(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H03B5/32 A
(21)【出願番号】P 2020195824
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】井富 登
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-251601(JP,A)
【文献】特開2006-191517(JP,A)
【文献】特開2020-170885(JP,A)
【文献】特開2011-97553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/30-5/42
H03H 9/00-9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と表裏関係にある第2面とを有する半導体基板と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する貫通電極を含
み、第1辺と前記第1辺に対向する第2辺を有するベースと、
前記第1面に対して、導電性の接合部材を介して固定される振動素子と、
を含み、
前記第2面には、
前記貫通電極を介して前記振動素子に電気的に接続され、前記振動素子を発振させて発振信号を生成する発振回路と、
前記貫通電極よりも前記第1辺に近い位置に配置されている温度センサー回路と、
前記温度センサー回路の出力に基づいて、前記発振信号の温度補償を行う温度補償回路と、
温度補償された前記発振信号に基づくクロック信号を出力する出力バッファー回路と、
が配置され、
前記出力バッファー回路と前記貫通電極との距離をDbx1とし、前記温度センサー回路と前記貫通電極との距離をDsx1としたとき、
Dsx1<Dbx1であ
り、
前記第1面に直交する方向からの平面視において、前記接合部材と前記第1辺との間に前記貫通電極が配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の振動デバイスにおいて、
前記ベースは、前記貫通電極である第1貫通電極と、第2貫通電極とを含み、
前記発振回路は、第1貫通電極及び第2貫通電極を介して前記振動素子に電気的に接続され、
前記出力バッファー回路と前記第2貫通電極との距離をDbx2とし、前記温度センサー回路と前記第1貫通電極との距離Dsx1と、前記温度センサー回路と前記第2貫通電極との距離Dsx2のうち、短い方の距離をDsxとしたとき、
Dsx<Dbx1、且つ、Dsx<Dbx2であることを特徴とする振動デバイス。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の振動デバイスにおいて、
前記温度センサー回路は、
前記第1辺と、前記第1辺に平行で且つ前記貫通電極を通る仮想線との間の領域に配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項4】
請求項
3に記載の振動デバイスにおいて、
前記領域に、前記温度センサー回路と前記発振回路とが配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記貫通電極は、
前記出力バッファー回路と前記温度センサー回路との間に配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記温度補償回路は、
前記出力バッファー回路と前記温度センサー回路との間に配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記第2面には、
前記出力バッファー回路と前記温度センサー回路との間に、ロジック回路が配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記接合部材は、
一端が前記振動素子に電気的に接続され、他端が前記貫通電極に電気的に接続されるバンプを含むことを特徴とする振動デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記振動素子を収容するように前記ベースに接合されているリッドを含むことを特徴とする振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、振動素子を用いたデバイスとして発振器等の振動デバイスが知られている。例えば特許文献1には、断面がH型のパッケージの第1凹部に、振動素子を収容し、第2凹部に、温度センサー回路と温度補償回路と発振回路と増幅回路を有するIC(Integrated Circuit)チップを収容した温度補償型の発振器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発振回路の発振信号に基づくクロック信号を出力する出力バッファー回路は、他の回路ブロックに比べて消費電力が大きく発熱しやすい。そして上述の特許文献1では、増幅回路である出力バッファー回路と温度センサー回路が同一のICチップに形成されているため、温度センサー回路は、出力バッファー回路における発熱の影響を受けやすい。一方、特許文献1では、出力バッファー回路と振動素子は、ICチップ及び振動素子を収容しているパッケージの内部配線等を介して接続されている。従って、出力バッファー回路と振動素子の間では、出力バッファー回路と温度センサー回路との間と比較して、熱が伝わりにくい。このため、特許文献1のような構造を用いて温度補償型の発振器を構成すると、出力バッファー回路の発熱の影響により、温度センサー回路の検出温度と振動素子の実温度との間に誤差が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1面と前記第1面と表裏関係にある第2面とを有する半導体基板と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する貫通電極を含むベースと、前記第1面に対して、導電性の接合部材を介して固定される振動素子と、を含み、前記第2面には、前記貫通電極を介して前記振動素子に電気的に接続され、前記振動素子を発振させて発振信号を生成する発振回路と、温度センサー回路と、前記温度センサー回路の出力に基づいて、前記発振信号の温度補償を行う温度補償回路と、温度補償された前記発振信号に基づくクロック信号を出力する出力バッファー回路と、が配置され、前記出力バッファー回路と前記貫通電極との距離をDbx1とし、前記温度センサー回路と前記貫通電極との距離をDsx1としたとき、Dsx1<Dbx1である振動デバイスに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態の振動デバイスの構成例を示す断面図。
【
図2】本実施形態の振動デバイスの具体的な構成例を示す断面図。
【
図3】振動デバイスの振動素子の一例を示す平面図。
【
図7】振動デバイスの製造方法の一例を示す製造工程図。
【
図8】出力バッファー回路、温度センサー回路、貫通電極の配置関係を示す平面図。
【
図10】出力バッファー回路、温度センサー回路、貫通電極の配置関係を示す平面図。
【
図11】貫通電極と集積回路の各回路の配置関係を示す平面図。
【
図12】貫通電極と集積回路の各回路の配置関係の別の例を示す平面図。
【
図14】出力バッファー回路の出力ドライバーの他の構成例を示す図。
【
図15】出力バッファー回路の出力ドライバーの他の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。また以下の各図面において、説明の便宜上、一部の構成要素を省略することがある。また各図面において、分かり易くするために各構成要素の寸法比率は実際とは異なっている。
【0008】
1.振動デバイス
図1は本実施形態の振動デバイス1の構成例を示す断面図である。
図1に示すように本実施形態の振動デバイス1は、ベース2と振動素子5を含む。また振動デバイス1は、リッド7や再配置配線層8や外部接続端子91、92を含むことができる。ベース2は、半導体基板20と貫通電極40を含む。半導体基板20は、第1面21と、第1面21と表裏関係にある第2面22を有する。第1面21は半導体基板20の例えば上面であり、第2面22は半導体基板20の例えば下面である。貫通電極40は、半導体基板20の第1面21と第2面22を貫通する電極である。振動素子5は、半導体基板20の第1面21側に配置されている。例えば振動素子5は、半導体基板20の第1面21から所与の離間距離だけ離れた位置に配置されている。具体的には振動素子5は、半導体基板20の第1面21に対して、例えば導電性の接合部材60を介して固定される。外部接続端子91、92は、半導体基板20の第2面22側に絶縁層80等を介して設けられる。絶縁層80は例えば再配置配線層8を構成する絶縁層である。
【0009】
なお本実施形態で説明する各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。X軸に沿った方向を「X軸方向」、Y軸に沿った方向を「Y軸方向」、Z軸に沿った方向を「Z軸方向」と言う。また各軸方向の矢印先端側を「プラス側」、基端側を「マイナス側」、Z軸方向プラス側を「上」、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。例えばZ軸方向は鉛直方向に沿い、XY平面は水平面に沿っている。
図1はY軸方向からの断面視での振動デバイス1の断面図である。また半導体基板20の第1面21及び第2面22は、XY平面に沿った面であり、Z軸に直交する面である。なお「直交」は、90°で交わっているものの他、90°から若干傾いた角度で交わっている場合も含むものとする。
【0010】
振動デバイス1は例えば発振器である。具体的には振動デバイス1は、温度補償水晶発振器(TCXO)、恒温槽付き水晶発振器(OCXO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、SAW(Surface Acoustic Wave)発振器、電圧制御型SAW発振器、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)発振器等の発振器である。MEMS発振器は、シリコン基板等の基板に圧電膜及び電極を配置したMEMSの振動素子により実現できる。但し振動デバイス1は、加速度センサー、角速度センサーのような慣性センサーや、傾斜センサーのような力センサー等であってもよい。
【0011】
ベース2は、半導体基板20により構成される。半導体基板20は、例えばシリコン基板である。但し半導体基板20は、シリコン基板には限定されず、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板であってもよい。
【0012】
またベース2は、集積回路10を含む。半導体回路である集積回路10は、半導体基板20の第2面22に形成されている。集積回路10は複数の回路素子により構成される。回路素子は、例えばトランジスターなどの能動素子や、或いはキャパシターや抵抗などの受動素子である。具体的には集積回路10は、各回路ブロックが複数の回路素子を含む複数の回路ブロックにより構成される。また集積回路10は、半導体基板20に対して不純物をドーピングすることで形成される不純物領域である拡散領域と、金属層と絶縁層が積層された配線層とにより形成される。拡散領域により、集積回路10の回路素子であるトランジスターのソース領域及びドレイン領域が形成され、配線領域により、回路素子間を接続する配線が形成される。
【0013】
またベース2は貫通電極40を含む。貫通電極40は、半導体基板20の第1面21と第2面22を貫通する導電性材料により構成される。例えば半導体基板20に対して貫通孔を形成し、この貫通孔を導電性材料で埋めることにより貫通電極40が形成される。導電性材料は、銅などの金属であってもよいし、導電性のポリシリコンなどであってもよい。導電性のポリシリコンとは、例えばリン(P)、ボロン(B)、砒素(As)等の不純物をドープして導電性を付与したポリシリコンのことを言う。導電性材料としてポリシリコンを用いると、集積回路10の形成工程において加わる熱に対して十分な耐性を有する貫通電極40の実現が可能になる。
【0014】
貫通電極40の一端は、導電性の接合部材60を介して振動素子5に電気的に接続される。
図1では、導電性の接合部材60は、一端が振動素子5に電気的に接続され、他端が貫通電極40に電気的に接続されるバンプ62などにより実現される。具体的にはバンプ62の他端は、端子64を介して貫通電極40に接続される。バンプ62は導電性のバンプであり、具体的には金属バンプである。なお導電性の接合部材60を、導電性の接着材などにより実現してもよい。
【0015】
貫通電極40の他端は集積回路10に電気的に接続される。具体的には貫通電極40の他端は、集積回路10に形成されるコンタクトパッド36を介して集積回路10の回路素子に接続される。このようにすることで、貫通電極40を介して振動素子5と集積回路10とを電気的に接続できるようになる。
【0016】
リッド7は接合部材71、72を介してベース2に接合される。そしてベース2と、蓋体であるリッド7とにより、気密性を有する収容空間SPが形成され、振動素子5は、この収容空間SP内に収容される。収容空間SPは気密封止されており、収容空間SP内は、例えば減圧状態である。これにより、振動素子5を安定して駆動させることができる。なお、収容空間SP内の状態は減圧状態に限定されず、例えば収容空間SP内が不活性ガス雰囲気であってもよい。
【0017】
再配置配線層8は、半導体基板20の第2面22側に設けられ、絶縁層80と、再配置配線用の配線82を含む。絶縁層80は例えばポリイミド等の樹脂層により実現され、配線82は例えば銅箔などの金属配線により実現される。絶縁層80は、振動デバイス1の実装の際の半田付けに耐えられる耐熱性を有する必要があり、ポリイミドを用いることが好適である。また配線82の材料は、銅以外にも銀などの金属材料を用いてもよい。また再配置配線層8での配線層や端子の厚みは例えば50μm程度である。再配置配線層8を設けることで、集積回路10に形成されるコンタクトパッド38、39と、外部接続端子91、92とを電気的に接続できるようになる。そして、振動デバイス1の外部接続端子91、92を、振動デバイス1が実装される回路基板等の端子や配線に接続する実装を行うことで、振動デバイス1を電子機器に組み込むことが可能になる。またこのような再配置配線層8を設けることで、集積回路10の部分の機械的な保護や、振動デバイス1の実装の際の半田付け工程における熱から集積回路10等を熱的に保護することが可能になる。
【0018】
図2は振動デバイス1の具体的な構成例を示す断面図であり、
図3は、振動デバイス1の振動素子5の一例を示す平面図である。まず
図3を用いて振動素子5の詳細について説明する。
【0019】
振動素子5は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。例えば
図3に示すように、振動素子5は、振動基板50と、振動基板50の表面に配置された電極と、を有する。振動基板50は、厚みすべり振動モードを有し、本実施形態ではATカット水晶基板から形成されている。ATカット水晶基板は、三次の周波数温度特性を有しているため、優れた温度特性を有する振動素子5となる。また電極は、振動基板50の上面に配置された励振電極52と、励振電極52と対向して下面に配置された励振電極53と、を有する。上面はZ軸方向プラス側の面であり、下面はZ軸方向マイナス側の面である。また励振電極52、53の一方が第1励振電極であり、励振電極52、53の他方が第2励振電極である。また電極は、振動基板50の下面に配置された一対の端子56、57と、端子56と励振電極52とを電気的に接続する配線54と、端子57と励振電極53とを電気的に接続する配線55と、を有する。
【0020】
なお、振動素子5の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、振動素子5は、励振電極52、53に挟まれた振動領域がその周囲から突出したメサ型となっていてもよいし、逆に、振動領域がその周囲から凹没した逆メサ型となっていてもよい。また、振動基板50の周囲を研削するベベル加工や、上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。また振動素子5は、厚みすべり振動モードで振動するものに限定されない。例えば振動素子5は、複数の振動腕が面内方向に屈曲振動する音叉型振動素子、複数の振動腕が面外方向に屈曲振動する音叉型振動素子、駆動振動する駆動腕及び検出振動する検出腕を備えて角速度を検出するジャイロセンサー素子、又は加速度を検出する検出部を備えた加速度センサー素子であってもよい。また振動基板50は、ATカット水晶基板から形成されたものに限定されず、ATカット水晶基板以外の水晶基板、例えば、Xカット水晶基板、Yカット水晶基板、Zカット水晶基板、BTカット水晶基板、SCカット水晶基板、STカット水晶基板等から形成されていてもよい。また、本実施形態では、振動基板50が水晶で構成されているが、これに限定されず、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム等の圧電単結晶体により構成されていてもよいし、これら以外の圧電単結晶体で構成されていてもよい。また振動素子5は、圧電駆動型の振動素子に限らず、静電気力を用いた静電駆動型の振動素子であってもよい。
【0021】
そして
図2、
図3に示すように、振動素子5は、導電性の接合部材60、61を介して、半導体基板20の上面である第1面21に固定される。なお
図2では図示していないが、
図3に示すように例えばY軸方向に沿って2つの接合部材60、61が設けられている。また後述の
図8等に示すように、半導体基板20には例えばY軸方向に沿って2つの貫通電極40、41が設けられており、これらの貫通電極40、41は、導電性の接合部材60、61を介して振動素子5に電気的に接続されている。貫通電極40、41の一方が第1貫通電極であり、貫通電極40、41の他方が第2貫通電極である。具体的には、貫通電極40の一端は、接合部材60と、振動素子5の端子56及び配線54を介して、振動素子5の励振電極52に電気的に接続されている。また貫通電極41の一端は、接合部材61、振動素子5の端子57及び配線55を介して、振動素子5の励振電極53に電気的に接続されている。そして貫通電極40、41の他端は集積回路10に電気的に接続されている。これにより振動素子5と集積回路10は貫通電極40、41を介して電気的に接続されるようになる。具体的には、貫通電極40、41の他端は
図2、
図8等に示すコンタクトパッド36、37を介して、集積回路10の発振回路11に電気的に接続されている。これにより振動素子5と発振回路11は貫通電極40、41を介して電気的に接続されるようになる。
【0022】
接合部材60、61は、導電性と接合性とを兼ね備えていれば、特に限定されず、例えば、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、はんだバンプ、樹脂コアバンプ等の各種の導電性のバンプ62により実現できる。或いは、接合部材60、61として、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系の各種接着剤に銀フィラー等の導電性フィラーを分散させた導電性接着剤等を用いてもよい。接合部材60、61として導電性のバンプ62を用いれば、接合部材60、61からのガスの発生を抑制でき、収容空間SPの環境変化、特に圧力の上昇を効果的に抑制することができる。一方、接合部材60、61として導電性接着剤を用いれば、接合部材60、61が導電性のバンプ62である場合に比べて柔らかくなり、振動素子5に応力が伝わりにくくなるという利点がある。
【0023】
また半導体基板20は、貫通孔が形成された後に熱酸化されることで、半導体基板20の第1面21や貫通孔の内面に、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁膜である絶縁層44が形成される。熱酸化により絶縁層44を形成することにより、半導体基板20の表面に緻密で均質な絶縁層44を形成することができる。また絶縁層44と半導体基板20との線膨張係数差を小さくすることもできる。そのため、熱応力が生じにくくなり、優れた発振特性を有する振動デバイス1を実現できる。絶縁層44の構成材料は、特に限定されず、例えば窒化シリコン(SiN)により構成されていてもよいし、樹脂で構成されていてもよい。また、絶縁層44の形成方法としては、熱酸化に限定されず、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成してもよい。
【0024】
そして貫通孔の絶縁層44の内側に、銅又は導電性ポリシリコン等の導電性材料を充填することにより、貫通電極40、41が形成される。即ち貫通孔内を導電性材料で埋めることで貫通電極40、41を形成する。そして貫通電極40、41の一端は振動素子5に電気的に接続される。具体的には貫通電極40、41の一端は振動素子5の励振電極52、53に電気的に接続される。一方、貫通電極40、41の他端は集積回路10に電気的に接続される。具体的には貫通電極40、41の他端はコンタクトパッド36、37を介して集積回路10の発振回路11に電気的に接続される。
【0025】
図2に示すように集積回路10は、例えばN型のトランジスター23やP型のトランジスター24により構成される。これらのトランジスター23、24は、半導体基板20に形成された拡散領域であるソース領域及びドレイン領域と、ゲート電極と、ゲート酸化膜とにより構成される。またトランジスター23、24は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)と呼ばれる素子分離膜25により素子分離される。また集積回路10は、トランジスター23、24等の複数の回路素子間の接続配線を実現する配線層30を含む。例えば
図2の配線層30は、金属層31、32、絶縁層33、34、35を含む。金属層31、32は、各々、第1金属層、第2金属層であり、絶縁層33、34、35は、各々、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層である。金属層31は、絶縁層33と絶縁層34の間に形成され、 金属層32は、絶縁層34と絶縁層35の間に形成される。これらの金属層31、32は例えばアルミニウムなどの金属により実現される。また最上層の絶縁層35によりパシベーション膜が形成される。また金属層31と金属層32は、ビアコンタクトと呼ばれるコンタクトにより電気的に接続され、金属層31とトランジスター23、24のソース領域やドレイン領域はコンタクトにより電気的に接続される。そして
図2に示すように、貫通電極40、41の他端に電気的に接続されるコンタクトパッド36は、下層の金属層31により形成される。また外部接続端子91、92に電気的に接続されるコンタクトパッド38、39は、上層の金属層32により形成される。なお、配線層30では、集積回路10においてトランジスター23、24に近い側の層を下層とし、遠い側の層を上層としている。また
図2では、配線層30が2層の金属層31、32を有する場合について示しているが、本実施形態はこれに限定されず、配線層30は3層以上の金属層を有してもよい。この場合には、複数の金属層のうちの最下層の金属層によりコンタクトパッド36、37が形成され、最上層の金属層によりコンタクトパッド38、39が形成される。また最上層の絶縁層によりパシベーション膜が形成される。
【0026】
また再配置配線層8は、ポリイミド等の樹脂層により実現される絶縁層80と、銅箔等により実現される配線82を含む。そしてコンタクトパッド38は外部接続端子91に電気的に接続され、コンタクトパッド39は配線82を介して外部接続端子92に電気的に接続されている。
【0027】
また
図2では外部接続端子91、92の各々は、第1金属層101と第2金属層102を有する2層構造になっている。ポリイミドの絶縁層80側の第1金属層101としては、例えばポリイミドとの密着性を高めるためにチタンタングステン層が用いられる。第2金属層102としては、例えば外部の端子や配線との半田付け等が容易な銅又は金等の金属層が用いられる。
【0028】
図4に集積回路10の構成例を示す。集積回路10は発振回路11と出力バッファー回路12と温度補償回路15と温度センサー回路16を含む。また集積回路10はロジック回路13、電源回路14、メモリー17を含むことができる。
【0029】
発振回路11は振動素子5を発振させる回路である。例えば発振回路11は、端子TXA、TXBに電気的に接続され、発振信号OSCを生成する。具体的には発振回路11は、配線LA、LB、端子TXA、TXBを介して振動素子5に電気的に接続され、振動素子5を発振させることで発振信号OSCを生成する。端子TXA、TXBの一方が第1端子であり、端子TXA、TXBの他方が第2端子である。例えば発振回路11は、端子TXAと端子TXBとの間に設けられた発振用の駆動回路と、キャパシターや抵抗などの受動素子により実現できる。駆動回路は、例えばCMOSのインバーター回路やバイポーラートランジスターにより実現できる。駆動回路は、発振回路11のコア回路であり、駆動回路が、振動素子5を電圧駆動又は電流駆動することで、振動素子5を発振させる。発振回路11としては、例えばインバーター型、ピアース型、コルピッツ型、又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。また発振回路11には、可変容量回路が設けられ、この可変容量回路の容量の調整により、発振周波数を調整できるようになっている。可変容量回路は、例えばバラクターなどの可変容量素子により実現できる。或いは可変容量回路を、キャパシターアレイと、キャパシターアレイに接続されるスイッチアレイとにより実現してもよい。例えば可変容量回路を、容量値がバイナリーに重み付けされた複数のキャパシターを有するキャパシターアレイと、各スイッチが、キャパシターアレイの各キャパシターと端子TXA又はTXBとの間の接続のオン、オフを行う複数のスイッチを有するスイッチアレイとにより構成してもよい。なお本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0030】
出力バッファー回路12は、発振信号OSCに基づくクロック信号CKを出力する。例えば出力バッファー回路12は、発振信号OSCをバッファリングして、クロック信号CKとして端子TCKに出力する。そして、このクロック信号CKが振動デバイス1の外部接続端子91を介して外部に出力される。例えば出力バッファー回路12は、シングルエンドのCMOSの信号形式でクロック信号CKを出力する。例えば端子TOEからの出力イネーブル信号OEがアクティブである場合には、ロジック回路13からのイネーブル信号がアクティブになって、出力バッファー回路12は、発振信号OSCをバッファリングしたクロック信号CKを出力する。一方、出力イネーブル信号OEが非アクティブである場合には、出力バッファー回路12は、クロック信号CKを例えばローレベルなどの固定電圧レベルに設定する。これにより端子TCKの電圧レベルが固定電圧レベルに設定される。なお信号がアクティブとは、例えば正論理の場合にはハイレベルであり、負論理の場合にはローレベルである。また信号が非アクティブとは、例えば正論理の場合にはローレベルであり、負論理の場合にはハイレベルである。なお出力バッファー回路12が、CMOS以外の信号形式でクロック信号CKを出力するようにしてもよい。
【0031】
ロジック回路13は制御回路であり、種々の制御処理を行う。例えばロジック回路13は、集積回路10の全体の制御を行ったり、集積回路10の動作シーケンスの制御を行う。またロジック回路13は、発振回路11の制御のための各種の処理を行ったり、電源回路14の制御を行ってもよい。ロジック回路13は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線によるASIC(Application Specific Integrated Circuit)の回路により実現できる。
【0032】
電源回路14は、端子TVDDから電源電圧VDDが供給され、端子TGNDからグランド電圧であるGNDが供給される。そして電源回路14は、集積回路10の各内部回路用の電源電圧を各内部回路に供給する。電源回路14は、集積回路10において用いられる基準電圧や基準電流などの生成を行ってもよい。例えば電源回路14はレギュレーターを有し、レギュレーターにより生成されたレギュレート電圧を、発振回路11や出力バッファー回路12やロジック回路13に供給する。この場合に電源回路14は、発振回路11に供給されるレギュレート電圧を生成するレギュレーターと、出力バッファー回路12やロジック回路13に供給されるレギュレート電圧を生成するレギュレーターを有していてもよい。
【0033】
温度補償回路15は、発振回路11の発振信号OSCの温度補償を行う。発振信号OSCの温度補償は発振回路11の発振周波数の温度補償である。そして出力バッファー回路12は、温度補償された発振信号OSCに基づくクロック信号CKを出力する。具体的には温度補償回路15は、温度センサー回路16からの温度検出情報に基づいて温度補償を行う。例えば温度補償回路15は、温度センサー回路16からの温度検出電圧に基づいて温度補償電圧を生成し、生成された温度補償電圧を発振回路11に出力することで、発振回路11の発振信号OSCの温度補償を行う。例えば温度補償回路15は、発振回路11が有する可変容量回路に対して、当該可変容量回路の容量制御電圧となる温度補償電圧を出力することで、温度補償を行う。この場合には発振回路11の可変容量回路は、バラクター等の可変容量素子により実現される。温度補償は、温度変動による発振周波数の変動を抑制して補償する処理である。例えば温度補償回路15は、多項式近似によるアナログ方式の温度補償を行う。例えば振動素子5の周波数温度特性を補償する温度補償電圧が多項式により近似される場合に、温度補償回路15は、当該多項式の係数情報に基づいてアナログ方式の温度補償を行う。アナログ方式の温度補償は、例えばアナログ信号である電流信号や電圧信号の加算処理等により実現される温度補償である。具体的にはメモリー17には、温度補償用の多項式の係数情報が記憶されており、ロジック回路13が、この係数情報をメモリー17から読み出して、例えば温度補償回路15のレジスターに設定する。そして温度補償回路15は、レジスターに設定された係数情報に基づいてアナログ方式の温度補償を行う。
【0034】
なお温度補償回路15がデジタル方式の温度補償を行うようにしてもよい。この場合には温度補償回路15は例えばロジック回路により実現される。具体的には温度補償回路15は、温度センサー回路16の温度検出情報である温度検出データに基づいてデジタルの温度補償処理を行う。例えば温度補償回路15は、温度検出データに基づいて周波数調整データを求める。そして、求められた周波数調整データに基づいて、発振回路11の可変容量回路の容量値が調整されることで、発振回路11の発振周波数の温度補償処理が実現される。この場合には発振回路11の可変容量回路は、バイナリーに重み付けされた複数のキャパシターを有するキャパシターアレイと、スイッチアレイとにより実現される。またメモリー17は、温度検出データと周波数調整データの対応を表すルックアップテーブルを記憶しており、温度補償回路15は、ロジック回路13によりメモリー17から読み出されたルックアップテーブルを用いて、温度データから周波数調整データを求める温度補償処理を行う。
【0035】
温度センサー回路16は、温度を検出するセンサー回路である。具体的には温度センサー回路16は、環境の温度に応じて変化する温度依存電圧を、温度検出電圧として出力する。例えば温度センサー回路16は、温度依存性を有する回路素子を利用して温度検出電圧を生成する。具体的には温度センサー回路16は、PN接合の順方向電圧が有する温度依存性を用いることで、温度に依存して電圧値が変化する温度検出電圧を出力する。PN接合の順方向電圧としては、例えばバイポーラートランジスターのベース・エミッター間電圧などを用いることができる。
【0036】
なおデジタル方式の温度補償処理を行う場合には、温度センサー回路16は、環境温度などの温度を測定し、その結果を温度検出データとして出力する。温度検出データは、温度に対して例えば単調増加又は単調減少するデータである。この場合の温度センサー回路16としては、リングオシレーターの発振周波数が温度依存性を有することを利用した温度センサー回路を用いることができる。具体的には温度センサー回路16は、リングオシレーターとカウンター回路を含む。カウンター回路は、発振回路11からの発振信号OSCに基づくクロック信号により規定されるカウント期間において、リングオシレーターの発振信号である出力パルス信号をカウントし、そのカウント値を温度検出データとして出力する。
【0037】
メモリー17は集積回路10で用いられる各種の情報を記憶する。メモリー17は例えば不揮発性メモリーなどにより実現できる。不揮発性メモリーはFAMOS(Floating gate Avalanche injection MOS)メモリー又はMONOS(Metal-Oxide- Nitride-Oxide-Silicon)メモリー等のEEPROMであるが、これに限らず、OTP(One Time Programmable)メモリー又はヒューズ型ROM等であってもよい。或いはメモリー17はRAM等の揮発性のメモリーにより実現してもよい。
【0038】
そして
図4の端子TXA、TXBは、
図2、
図8等のコンタクトパッド36、37により実現される。即ち発振回路11は、コンタクトパッド36、37により実現される端子TXA、TXBを介して振動素子5に電気的に接続される。また端子TCKはコンタクトパッド38により実現される。即ち出力バッファー回路12からのクロック信号CKは、コンタクトパッド38により実現される端子TCKを介して外部接続端子91から外部に出力される。また端子TVDD、TGNDは、
図2、
図8等のコンタクトパッド39、68により実現される。即ち、電源電圧VDDやGNDは、コンタクトパッド39、68により実現される端子TVDD、TGNDを介して集積回路10に供給される。具体的にはVDD、GNDは電源回路14に供給される。また端子TOEはコンタクトパッド69により実現される。即ち出力イネーブル信号OEは、コンタクトパッド69により実現される端子TOEを介して集積回路10に入力される。例えばロジック回路13に入力される。
【0039】
図5に発振回路11の構成例を示す。
図5に示すように、発振回路11は、インバーター回路DV1、DV2と可変容量回路CV1、CV2を含む。インバーター回路DV1は振動素子5の駆動回路であり、入力ノードが振動素子5の一端に接続され、出力ノードが振動素子5の他端に接続される。インバーター回路DV2は、インバーター回路DV1の出力信号をバッファリングして、発振信号OSCとして出力する。インバーター回路DV1、DV2は、レギュレート電源電圧VREG1とGNDが供給されて動作する。レギュレート電源電圧VREG1は電源回路14が有するレギュレーターにより生成される。
【0040】
可変容量回路CV1は、一端が振動素子5の一端に接続され、他端がGNDノードに接続される。可変容量回路CV2は、一端が振動素子5の他端に接続され、他端がGNDに接続される。これらの可変容量回路CV1、CV2は、前述したように、温度補償電圧である容量制御電圧により容量が制御されるバラクター等の可変容量素子により実現してもよいし、キャパシターアレイとスイッチアレイとを有し、容量値が周波数制御データにより制御される回路により実現してもよい。
【0041】
図6に出力バッファー回路12の構成例を示す。
図6に示すように出力バッファー回路12は、NAND回路NAとインバーター回路IV1、IV2、IV3を含む。このように出力バッファー回路12は例えば複数の信号反転回路等のバッファー回路により構成される。そしてNAND回路NAの第1入力ノードに発振回路11からの発振クロック信号である発振信号OSCが入力され、第2入力ノードにロジック回路13からのイネーブル信号ENが入力される。例えば端子TOEから入力される出力イネーブル信号OEがアクティブなレベルであるハイレベルになると、イネーブル信号ENがハイレベルになって、発振信号OSCがNAND回路NAとインバーター回路IV1、IV2、IV3によりバッファリングされて、クロック信号CKとして出力される。一方、端子TOEから入力される出力イネーブル信号OEが非アクティブなレベルであるローレベルになると、イネーブル信号ENがローレベルになり、出力バッファー回路12の出力がローレベルに固定される。
【0042】
次に本実施形態の振動デバイス1の製造方法について説明する。
図7は振動デバイス1の製造方法の一例を示す製造工程図である。
【0043】
集積回路形成工程(S11)では、半導体基板20を準備し、
図1、
図2に示すように半導体基板20の下面である第2面22に集積回路10を形成する。再配置配線層形成工程(S12)では、例えば絶縁層80、配線82、外部接続端子91、92等を有する再配置配線層8を形成し、集積回路10のコンタクトパッド38、39等と外部接続端子91、92等とを電気的に接続する。ベース薄肉化工程(S13)では、半導体基板20の振動素子5の搭載面側である第1面21を研磨して、ベース2を薄肉化する。即ちベース2の薄板化を行う。
【0044】
孔形成工程(S14)では貫通孔を形成する。具体的には半導体基板20にドライエッチングで孔を形成し、更に
図2の配線層30の第1金属層である金属層31までウェットエッチングで孔を形成する。絶縁層形成工程(S15)では、半導体基板20を熱酸化し、半導体基板20の表面、特に貫通孔の内面に酸化シリコン(SiO
2)又は樹脂層による絶縁膜である絶縁層44を形成する。貫通電極形成工程(S16)では、貫通孔内を銅等の導電性材料で埋めて、貫通電極40、41を形成する。振動素子配置工程(S17)では、振動素子5を準備し、この振動素子5を接合部材60、61を介して半導体基板20の第1面21に接合する。リッド接合工程(S18)では、リッド7を準備して、減圧環境下において、接合部材71、72を介してベース2にリッド7を接合する。個片化工程(S19)では、ダイシングソー等によって振動デバイス1の個片化を行う。以上により振動デバイス1が得られる。
【0045】
以上のように本実施形態では、各々が振動素子5と集積回路10を有する複数のベース2が形成された第1半導体ウェハーと、複数のリッド7が形成された第2半導体ウェハーとを貼りつけることで、複数のベース2と複数のリッド7を接合する。そして、その後に振動デバイス1の個片化を行うことで、多数の振動デバイス1を製造する。例えば縦、横が1mm~数mm程度、厚さが1mm未満の小型の振動デバイス1を製造する。このようにすれば、ウェハレベルパッケージ(WLP)の振動デバイス1の実現が可能になり、高スループット、且つ、低コストでの振動デバイス1の製造が可能になる。即ち振動素子5及び集積回路10を有する振動デバイス1を、ウェハーレベルのバッチ処理で一括製造することが可能になる。
【0046】
2.貫通電極と出力バッファー回路の配置関係
図8は本実施形態の振動デバイス1での出力バッファー回路12、温度センサー回路16、貫通電極40、41の配置関係を示す平面図である。また
図8では、集積回路10の各回路の配置位置と、貫通電極40、41、外部接続端子91、92、93、94の配置位置の関係も示されている。
図8は、Z軸方向マイナス側からベース2を見た平面視での平面図であり、集積回路10が形成されるベース2に対してZ軸方向プラス側に位置する貫通電極40、41の外形や、ベース2に対してZ軸方向マイナス側に位置する外部接続端子91、92、93、94の外形は、点線で示されている。
図9は、振動デバイス1の底面での外部接続端子91、92、93、94の配置位置を示すものであり、Z軸方向マイナス側から振動デバイス1の底面を見た平面視での平面図である。なお
図8、
図9では外部接続端子91、92、93、94が矩形形状になっているが、これらの端子は厳密な矩形形状ではなくてもよく、例えばコーナー部が面取りされているような形状であってもよいし、矩形形状以外の形状であってもよい。
【0047】
本実施形態の振動デバイス1は、上述のように、半導体基板20と、半導体基板20の第1面21と第2面22との間を貫通する貫通電極40とを含むベース2と、半導体基板20の第1面21に対して、導電性の接合部材60、61を介して固定される振動素子5を含む。そして半導体基板20の第2面22には、
図8に示すように発振回路11と温度補償回路15と温度センサー回路16と出力バッファー回路12が配置されている。発振回路11は、貫通電極40、41を介して振動素子5に電気的に接続され、振動素子5を発振させて発振信号OSCを生成する。温度補償回路15は、温度センサー回路16の出力に基づいて、発振信号OSCの温度補償を行う。例えば前述のように温度補償回路15は、温度センサー回路16の出力である温度検出電圧に基づいて、温度補償電圧を生成し、生成された温度補償電圧に基づいて、発振回路11の可変容量回路の容量値を調整することで、発振信号OSCの温度補償を行う。或いは温度補償回路15は、温度センサー回路16の出力である温度検出データに基づいて、周波数調整データを求め、求められた周波数調整データに基づいて、発振回路11の可変容量回路の容量値を調整することで、発振信号OSCの温度補償温度補償を行う。そして出力バッファー回路12は、温度補償された発振信号OSCに基づくクロック信号CKを出力する。例えば、温度補償回路15により温度補償された発振信号OSCが出力バッファー回路12によりバッファリングされて、クロック信号CKとして出力される。例えば出力バッファー回路12からのクロック信号CKが、コンタクトパッド38を介して外部接続端子91から振動デバイス1の外部に出力される。この出力バッファー回路12は、振動デバイス1の外部負荷を駆動する回路であるため、外部負荷の駆動時に例えば10mA以上の電流が流れる場合があり、発熱量が非常に大きい。
【0048】
そして
図8に示すように、出力バッファー回路12と貫通電極41との距離をDbx1とし、温度センサー回路16と貫通電極41との距離をDsx1とする。ここでは出力バッファー回路12の領域内の任意の点と貫通電極41の領域内の任意の点を結ぶ線の距離のうちの最短距離を、距離Dbx1としている。また温度センサー回路16の領域内の任意の点と貫通電極41の領域内の任意の点を結ぶ線の距離のうちの最短距離を、距離Dsx1としている。このときに本実施形態では、
図8に示すように、Dsx1<Dbx1の関係が成り立つ。即ち、出力バッファー回路12と貫通電極41との距離Dbx1に比べて、温度センサー回路16と貫通電極41との距離Dsx1が小さくなっており、温度センサー回路16が、出力バッファー回路12よりも貫通電極41の近くに配置されている。即ち、発振回路11、出力バッファー回路12、温度補償回路15、温度センサー回路16が形成されている半導体基板20に、振動素子5を接続固定した上で、半導体基板20の回路レイアウトにおいて、出力バッファー回路12よりも温度センサー回路16の方を貫通電極41の近くに配置する。例えば第1面21に直交する方向からの平面視において、貫通電極41に隣り合うように温度センサー回路16を配置する。例えば、その間に他の回路ブロックが介在しないように貫通電極41と温度センサー回路16を平面視において隣り合うように配置する。
【0049】
例えばセラミックのパッケージの第1凹部に振動素子を収容し、第2凹部にICチップを収容する従来の温度補償型の発振器では、ICチップの出力バッファー回路で発生した熱は、振動素子に伝わりにくい。即ち、振動素子はICチップに対して直接的に固定されておらず、ICチップと振動素子は、パッケージの内部配線等により電気的に接続されているだけであるため、当該内部配線の経路では、ICチップの出力バッファー回路での発熱が振動素子に対して伝わりにくい。またセラミックパッケージの第1凹部に収容される振動素子と、第2凹部に収容されるICチップとの間には、半導体基板に比べて熱伝導率が低いセラミックが介在するため、ICチップからの輻射熱も振動素子に伝わりにくい。一方、温度センサー回路は、出力バッファー回路と共に同じICチップ内に形成されているため、出力バッファー回路での発熱が温度センサー回路に対して直ぐに伝わるようになる。従って、温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間に誤差が発生し、この誤差が原因となって発振周波数などの発振特性が劣化してしまう。例えば発振器の起動時において、出力バッファー回路での発熱が、同じICチップ内の温度センサー回路に直ぐに伝わることで、温度センサー回路の検出温度は直ぐに高くなる一方で、出力バッファー回路での発熱が振動素子には伝わりにくいため、振動素子の実温度は直ぐには高くはならない。このため温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間に誤差が発生し、発振特性が劣化する事態が発生する。
【0050】
これに対して本実施形態では、半導体基板20に振動素子5が導電性の接合部材60、61を介して固定されると共に、温度センサー回路16と貫通電極41との距離Dsx1は、出力バッファー回路12と貫通電極41との距離Dbx1よりも小さくなっている。このように本実施形態では、半導体基板20に振動素子5が接合部材60、61を介して直接的に固定されるため、セラミックパッケージを用いた従来の発振器に比べて、出力バッファー回路12での発熱が振動素子5に伝わりやすくなる。即ち、本実施形態のようなWLPの振動デバイス1では、集積回路10の出力バッファー回路12での発熱が振動素子5に伝わりやすく、出力バッファー回路12での発熱により、振動素子5の温度も短時間で上昇するようになる。また出力バッファー回路12と振動素子5の間には、熱伝導率が低いセラミックが存在しないため、出力バッファー回路12での発熱が輻射熱としても振動素子5に伝わりやすくなる。一方、温度センサー回路16と貫通電極41との距離Dsx1は小さいため、出力バッファー回路12での発熱により上昇した振動素子5の実温度を、温度センサー回路16が短時間で検出できるようになる。即ち、振動素子5の実温度は、熱伝導率が高い貫通電極41等を介して集積回路10に伝わり、この実温度を、貫通電極41からの距離Dsx1が短い位置に配置された温度センサー回路16により短時間で検出できるようになる。例えば振動デバイス1の起動時において、出力バッファー回路12での発熱が、熱伝導経路を介して短時間で振動素子5に伝わることで、振動素子5の実温度が高くなり、この振動素子5の実温度が、貫通電極41等を介して、貫通電極41の近くに配置される温度センサー回路16により検出されるようになる。そして温度補償回路15が、温度センサー回路16の検出温度に基づいて温度補償処理を行うことで、振動素子5の実温度に応じた適切な発振周波数の温度補償が行われるようになる。従って、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を、効果的に抑制することが可能になる。
【0051】
また本実施形態では、ベース2は、第1貫通電極である貫通電極41と、第2貫通電極である貫通電極40を含む。そして発振回路11は、貫通電極41及び貫通電極40を介して振動素子5に電気的に接続される。ここで
図10に示すように、出力バッファー回路12と、第1貫通電極である貫通電極41との距離をDbx1とし、出力バッファー回路12と、第2貫通電極である貫通電極40との距離をDbx2とする。また温度センサー回路16と貫通電極41との距離をDsx1とし、温度センサー回路16と貫通電極40との距離をDsx2とする。そして温度センサー回路16と貫通電極41、40との距離Dsx1、Dsx2のうち、短い方の距離をDsxとする。
図10では、貫通電極40に比べて貫通電極41の方が温度センサー回路16に近い位置に配置され、Dsx1<Dsx2であるため、Dsx=Dsx1である。このときに本実施形態では、Dsx<Dbx1、且つ、Dsx<Dbx2が成り立つ。即ち、温度センサー回路16と貫通電極41との間の短い方の距離であるDsx=Dsx1は、出力バッファー回路12と貫通電極41との距離Dbx1よりも短く、且つ、出力バッファー回路12と貫通電極40との距離Dbx2よりも短い。
【0052】
即ち、振動素子5と集積回路10が2つの貫通電極40、41を介して電気的に接続される場合に、振動素子5の実温度は、貫通電極41を介した熱伝導経路により集積回路10に伝わると共に、貫通電極40を介した熱伝導経路によっても集積回路10に伝わる。そして
図10では、貫通電極40に比べて貫通電極41の方が温度センサー回路16に近い位置に配置されており、Dsx1<Dsx2の関係が成り立っている。従って、出力バッファー回路12からの発熱により上昇する振動素子5の実温度をなるべく速く検出するためには、温度センサー回路16に近い側の貫通電極41との距離Dsx1が短いことが重要である。そこで、温度センサー回路16と貫通電極41、40との距離Dsx1、Dsx2のうち、短い方の距離をDsx=Dsx1としたときに、Dsx<Dbx1、且つ、Dsx<Dbx2の関係が成り立つようにする。このような関係が成り立てば、温度センサー回路16との距離が近い方の貫通電極41との距離Dsx1が短くなるという関係が成り立ち、貫通電極41を介した熱伝導経路により伝わった振動素子5の実温度を、貫通電極41の近くに位置する温度センサー回路16が短時間で検出できるようになる。従って、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を抑制することが可能になる。
【0053】
なお、以上では、
図3の振動基板50の下面側の励振電極53に電気的に接続される貫通電極41を第1貫通電極とし、振動基板50の上面側の励振電極52に電気的に接続される貫通電極40を第2貫通電極としたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば上面側の励振電極52に電気的に接続される貫通電極40が第1貫通電極であり、下面側の励振電極53に電気的に接続される貫通電極41が第2貫通電極であってもよい。
【0054】
また本実施形態では、ベース2は、辺SD1と、辺SD1に対向する辺SD2を有する。辺SD1は第1辺であり、辺SD2は第2辺である。またベース2は辺SD3と、辺SD3に対向する辺SD4を有する。辺SD3は第3辺であり、辺SD4は第4辺である。例えばベース2は、平面視において、辺SD1、SD2、SD3、SD4を有する矩形形状になっている。なお矩形形状は、厳密な矩形形状である必要は無く、例えばコーナー部が面取りされているような形状であってもよい。
【0055】
そして
図11に示すように、温度センサー回路16は、貫通電極40、41よりも辺SD1に近い位置に配置される。例えば発振回路11も、貫通電極40、41よりも辺SD1に近い位置に配置されており、温度センサー回路16と発振回路11は、辺SD1に沿って配置される。具体的には温度センサー回路16は、辺SD1と辺SD4が交差するコーナー部に配置される。例えば辺SD1と辺SD2との間の中心線をCLとする。例えば辺SD1と中心線CLとの距離と、辺SD2と中心線CLとの距離は等しい。この場合に、温度センサー回路16及び貫通電極40、41は、例えば、辺SD1と中心線CLとの間の領域である第1領域に配置される。一方、出力バッファー回路12は、辺SD2と中心線CLとの間の領域である第2領域に配置される。そして温度センサー回路16は、辺SD1と中心線CLとの間の第1領域において、貫通電極40、41よりも辺SD1に近い位置に配置されている。このようにすれば、辺SD1と貫通電極40、41との間の領域を有効利用して、温度センサー回路16を貫通電極41等に近い位置に配置することが可能になる。これにより温度センサー回路16等の効率的なレイアウト配置が可能になると共に、例えば貫通電極41の近くに温度センサー回路16を配置することで、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を抑制できるようになる。
【0056】
具体的には
図11に示すように、第1辺である辺SD1に平行で且つ貫通電極40、41を通る線を仮想線VLとする。この場合に温度センサー回路16は、辺SD1と仮想線VLとの間の領域に配置される。例えば
図1、
図2に示すように、貫通電極40、41のX軸方向マイナス側には、ベース2とリッド7の接合部分がある。即ちベース2とリッド7は、この接合部分において接合部材72により接合されている。このため、貫通電極40、41は、このベース2とリッド7の接合部分よりも、X軸方向プラス側に位置することになる。従って、集積回路10において、貫通電極40、41のX軸方向マイナス側の領域がデッドスペースになるおそれがある。この点、本実施形態では
図11に示すように、デッドスペースになるおそれがある辺SD1と仮想線VLとの間の領域に、温度センサー回路16を配置している。これにより集積回路10のレイアウトにおいてデッドスペースが生じてしまうのを防止でき、集積回路10の効率的なレイアウト配置が可能になる。また辺SD1と、貫通電極40、41を通る仮想線VLとの間の領域に、温度センサー回路16を配置することで、温度センサー回路16と貫通電極40、41の距離を近づけることが可能になる。これにより、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生も抑制できるようになる。
【0057】
また
図11では、辺SD1と仮想線VLとの間の領域に、温度センサー回路16と発振回路11とが配置されている。例えば辺SD1と仮想線VLとの間の領域に、温度センサー回路16と発振回路11が辺SD1に沿って配置される。例えば貫通電極40、41に隣り合うように温度センサー回路16及び発振回路11が配置される。
【0058】
このようにすれば、デッドスペースになるおそれがある辺SD1と仮想線VLとの間の領域を有効利用して、温度センサー回路16及び発振回路11を配置できるようになる。これにより集積回路10のレイアウトにおいてデッドスペースが生じてしまうのを防止でき、集積回路10の効率的なレイアウト配置が可能になる。また、このような領域に発振回路11を配置することで、発振回路11と貫通電極40、41との間を配線LA、LBによりショートパスで接続できるようになる。従って、配線LA、LBでの寄生抵抗や寄生容量を低減でき、当該寄生抵抗や寄生容量を原因とする発振回路11の発振特性の劣化を抑制できるようになる。
【0059】
また
図11や
図1、
図2に示すように、半導体基板20の第1面21に直交する方向からの平面視において、振動素子5を接合するための接合部材60、61と辺SD1との間に、貫通電極40、41が配置されている。例えば辺SD1から辺SD2へと、平面視において貫通電極40、41、接合部材60、61の順で配置されている。例えば辺SD1から辺SD2へと、平面視において隣り合うように貫通電極40、41と接合部材60、61が配置される。
【0060】
このようにすれば、振動素子5の実温度が、接合部材60、61を介して貫通電極40、41に対して、辺SD2から辺SD1へと向かう方向に沿って短い熱伝導経路で熱伝達され、熱伝達された振動素子5の実温度が、貫通電極40、41の近くに配置される温度センサー回路16により検出されるようになる。従って、振動素子5の実温度を、短い熱伝導経路で検出することが可能になり、検出された振動素子5の実温度に基づく発振周波数の温度補償を実現できるようになる。この結果、誤差の少ない温度補償を実現でき、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を抑制できるようになる。
【0061】
また
図11に示すように、貫通電極40、41は、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に配置される。例えば出力バッファー回路12から温度センサー回路16へと向かう方向をDRとした場合に、出力バッファー回路12の方向DR側に貫通電極41等が配置され、貫通電極41等の方向DR側に温度センサー回路16が配置される。例えば辺SD1から辺SD2へと、温度センサー回路16、貫通電極40、41、出力バッファー回路12の順に配置されていると言うこともできる。
【0062】
例えば振動デバイス1の起動時において、出力バッファー回路12が発熱した際に、その発熱の影響が温度センサー回路16に現れるまでの時間より、振動素子5が加熱されて、加熱の影響が発振周波数に現れるまでの時間の方が長い。従って、貫通電極40、41が出力バッファー回路12と温度センサー回路16の間に配置されるように、出力バッファー回路12、貫通電極40、41、温度センサー回路16を配置することで、温度センサー回路16よりも、貫通電極40、41に電気的に接続されている振動素子5の方が、出力バッファー回路12の発熱の影響を受けやすくなる。例えば出力バッファー回路12の発熱が、貫通電極40、41を介して振動素子5に伝達され、それ以降に温度センサー回路16に伝達されるようになる。これにより、温度センサー回路16の検出温度と振動素子5の実温度とを近づけることができ、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を抑制できるようになる。
【0063】
また温度補償回路15は、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に配置される。例えば出力バッファー回路12と温度センサー回路16とを結ぶ領域の範囲内に温度補償回路15の少なくとも一部が配置される。例えば出力バッファー回路12から温度センサー回路16へと向かう方向をDRとした場合に、出力バッファー回路12の方向DR側に温度補償回路15が配置され、温度補償回路15の方向DR側に温度センサー回路16が配置される。具体的には温度補償回路15の方向DR側に貫通電極41等が配置され、貫通電極41等の方向DR側に温度センサー回路16が配置される。
【0064】
例えば温度補償回路15は、出力バッファー回路12に比べると消費電流が小さく、出力バッファー回路12よりも発熱しにくい回路ブロックである。従って、このような温度補償回路15を、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に配置することで、出力バッファー回路12の発熱が温度センサー回路16に伝わりにくくなる。これにより、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を低減できるようになる。また限られた集積回路10のレイアウト面積の中で、出力バッファー回路12、温度補償回路15、温度センサー回路16等の各回路ブロックを効率的に配置できるようになるため、集積回路10のレイアウト面積の小面積化を実現できるようになる。
【0065】
また
図11では出力バッファー回路12が辺SD3に沿って配置されているが、
図12に示すように出力バッファー回路12を辺SD2に沿って配置するようにしてもよい。例えば出力バッファー回路12の長辺が辺SD2に沿うように出力バッファー回路12を配置する。そして
図12に示すように、半導体基板20の第2面22には、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に、ロジック回路13が配置される。例えば集積回路10における種々の制御を行う制御回路であるロジック回路13が、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に配置される。なお、
図11と同様に
図12においても、温度補償回路15は、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に配置されている。
【0066】
例えばロジック回路13は、出力バッファー回路12に比べると消費電流が小さく、出力バッファー回路12よりも発熱しにくい回路ブロックである。従って、このようなロジック回路13を、出力バッファー回路12と温度センサー回路16との間に配置することで、出力バッファー回路12の発熱が温度センサー回路16に伝わりにくくなる。これにより、温度センサー回路16での検出温度と振動素子5の実温度との間の誤差を低減できるようになる。また限られた集積回路10のレイアウト面積の中で、出力バッファー回路12、ロジック回路13、温度センサー回路16等の各回路ブロックを効率的に配置できるようになるため、集積回路10のレイアウト面積の小面積化を実現できるようになる。
【0067】
なお
図11、
図12において辺SD1から辺SD2に向かう方向を第1方向とし、辺SD3から辺SD4に向かう方向を第2方向とする。第1方向はX軸に沿った方向であり、第2方向はY軸に沿った方向である。また第1方向の反対方向を第3方向とし、第2方向の反対方向を第4方向とする。このとき、辺SD1の第1方向側に発振回路11が配置され、発振回路11の第1方向側に貫通電極40、41が配置される。また発振回路11の第2方向側に温度センサー回路16が配置される。また貫通電極40、41の第1方向側に、出力バッファー回路12、ロジック回路13、電源回路14、温度補償回路15、メモリー17が配置される。即ち貫通電極40、41と辺SD2との間の領域に、出力バッファー回路12、ロジック回路13、電源回路14、温度補償回路15、メモリー17が配置される。そして
図11では、出力バッファー回路12の第2方向側に温度補償回路15が配置され、温度補償回路15の第2方向側にロジック回路13、電源回路14が配置され、ロジック回路13の第2方向側にメモリー17が配置される。一方、
図12では、出力バッファー回路12の第3方向側にロジック回路13、温度補償回路15が配置される。そしてロジック回路13の第3方向側に電源回路14が配置され、ロジック回路13の第2方向側にメモリー17が配置される。第3方向は、第1方向の反対方向であり、辺SD2から辺SD1に向かう方向である。
【0068】
また
図1、
図2に示すように接合部材60は、一端が振動素子5に電気的に接続され、他端が貫通電極40に電気的に接続されるバンプ62を含む。なお接合部材61も、バンプ62と同様の不図示のバンプを含むが、ここでは説明を省略する。例えば
図1、
図2では、バンプ62の他端は、端子64を介して貫通電極40に電気的に接続される。バンプ62としては、例えば金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、はんだバンプなどの金属バンプを用いることができる。このような金属バンプ等のバンプ62を接合部材60として用いることで、出力バッファー回路12での発熱が、貫通電極40等からバンプ62等を介して振動素子5に伝わりやすくなる。そして、出力バッファー回路12の発熱による振動素子5の実温度を温度センサー回路16を用いて、少ない誤差で検出することが可能になる。
【0069】
また本実施形態では
図1に示すように、振動デバイス1は、振動素子5を収容するようにベース2に接合されているリッド7を含む。例えばリッド7は接合部材71、72によりベース2に接合される。このようなリッド7を設ければ、ベース2とリッド7を接合することで形成される収容空間SPに、振動素子5を配置できるようになる。例えば気密封止された収容空間SPに振動素子5を配置できるようになり、振動素子5等を衝撃、埃、熱又は湿気等から好適に保護することが可能になる。
【0070】
ここでリッド7は、ベース2と同様に、シリコン基板により実現できる。これによりベース2とリッド7との線膨張係数が等しくなり、熱膨張に起因する熱応力の発生が抑えられ、優れた振動特性を有する振動デバイス1を実現できる。またベース2とリッド7の両方を半導体製造プロセスによって形成することができる。従って、振動デバイス1を精度良く製造することが可能になると共に、その小型化を図ることができる。但し、リッド7は、シリコン基板には限定されず、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板により実現されてもよい。
【0071】
なお振動デバイス1は、ベース2に接合されるリッド7を含まない構成としてもよい。例えば第1面21側に振動素子5が配置され、第2面22に集積回路10が形成されたベース2を、別のパッケージに収容したり、恒温槽付水晶発振器(OCXO)において恒温槽となる容器に収容するようにしてもよい。
【0072】
また本実施形態の振動デバイス1では、
図1、
図2、
図8等に示すように、貫通電極40、41と外部接続端子91は、第1面21に直交する方向からの平面視において重ならないように配置されている。例えば振動素子5と集積回路10を電気的に接続する貫通電極40、41と、クロック信号CKが出力される外部接続端子91とが、Z軸方向からの平面視において重ならないように配置される。このように本実施形態では、発振回路11及び出力バッファー回路12を有する集積回路10と振動素子5を含むWLP(Wafer Level Package)の振動デバイス1において、振動素子5と集積回路10の発振回路11を電気的に接続する貫通電極40、41と、クロック信号CKの出力用の外部接続端子91とが、平面視において重ならないように配置する。即ち、振動素子5に電気的に接続された配線の一部である貫通電極40、41と、発振信号OSCに基づくクロック信号CKの出力用の外部接続端子91のようなAC信号が流れる外部接続端子とを、平面視において重ならないように配置することで、貫通電極40、41と外部接続端子91との間の容量結合の容量を低減する。
【0073】
例えば本実施形態では、従来のようなセラミックパッケージを用いたものとは異なり、半導体基板20に直接に振動素子5を実装し、振動デバイス1を構成しているため、次のような特有の課題が生じる。WLPによる小型の振動デバイス1のパッケージでは、気密パッケージの一部を構成する半導体基板20の下面である第2面22に、集積回路10が形成されており、振動素子5に電気的に接続された導通ビア又はスルーホールと呼ばれる貫通電極40、41が半導体基板20に形成されている。そして振動素子5が電気的に接続されている貫通電極40、41は、特に交流信号であるAC信号の端子や電極が近くに配置されて容量結合してしまうと、発振周波数などの発振特性に悪影響が生じてしまう。そして、シリコン基板等の半導体基板20の第2面22側には、ポリイミド等の樹脂層により形成された薄い膜厚の絶縁層80が形成されており、更に絶縁層80の下面に例えば4つの外部接続端子91~94が形成されている。ここで絶縁層80の膜厚は、半導体基板20よりも薄く、例えば0.1mm以下である。また
図2に示すように貫通電極40、41の周囲にも薄い絶縁層44が形成されている。また貫通電極40、41と外部接続端子91~94との間には、従来のようなセラミックパッケージとは異なり、誘電体や導電体となり得る半導体基板20が介在する。このため、仮に貫通電極40、41と、AC信号であるクロック信号CKの出力用の外部接続端子91とが、平面視において重なって配置されていると、これらの薄い絶縁層80、44等を介してこれらが配置されているため、容量結合が大きくなり、発振特性に悪影響が生じてしまう。即ち容量値は電極間の距離に反比例するため、薄い絶縁層80、44による容量は大きくなってしまう。そして貫通電極40、41と外部接続端子91との間の容量結合の容量が大きくなると、外部接続端子91でのクロック信号CKの信号成分が、ノイズとして貫通電極40、41を介して振動素子5や発振回路11に伝達されてしまい、発振特性が劣化するなどの問題が発生してしまう。
【0074】
そこで本実施形態では
図8等に示すように、振動素子5に電気的に接続される貫通電極40、41と、AC信号であるクロック信号CKが出力される外部接続端子91とを、平面視において重ならないように配置している。このように貫通電極40、41と外部接続端子91を平面視において重ならないように配置すれば、貫通電極40、41と外部接続端子91が平面視において重なるように配置されている場合に比べて、貫通電極40、41と外部接続端子91との間の距離を離すことが可能になる。これにより貫通電極40、41と外部接続端子91との間の容量結合の容量を低減でき、振動素子5の発振特性が劣化するなどの事態を効果的に抑制できるようになる。
【0075】
なお、振動デバイス1の外部接続端子91~94は、振動デバイス1が実装される回路基板等の端子や配線に対して半田付けなどにより接続される実装が行われる。従って、外部接続端子91~94としては、半田付け等の実装に適した端子であることが望ましく、実装時に破損しないような熱耐性や強度も必要とされる。
【0076】
この点、集積回路のパッドを外部接続端子として用いる手法が考えられる。例えば配線層の最上層の金属層で形成されたパッドが外部接続端子として用いられている。しかしながら、集積回路のパッドは、半田付け等の実装に適した端子ではなく、面積が小さく、熱耐性や強度が低いため、実装時に破損してしまうなどの問題が発生するおそれがある。
【0077】
これに対して本実施形態の振動デバイス1では、半導体基板20の第2面22側に絶縁層80を介して設けられる外部接続端子91~94が用いられる。即ち、集積回路10のコンタクトパッド38、39、68、69ではなく、これらのパッドとは別に設けられ、例えば再配置配線層8の製造工程で形成された外部接続端子91~94が用いられる。従って、半田付け等による実装に適した端子を外部接続端子91~94として用いることが可能になる。例えば外部接続端子91~94は、コンタクトパッド38、39、68、69に比べて、大面積化できると共に、膜厚を厚くして強度も保てる。従って、外部接続端子91~94を外部の端子や配線に容易に接続して実装できると共に、実装時における破損等の発生も抑制できるようになる。
【0078】
一方、このように外部接続端子91~94が大面積になると、例えば貫通電極40、41と外部接続端子91との間の容量結合の容量が大きくなるおそれがある。この点、本実施形態では、貫通電極40、41と外部接続端子91を平面視において重ならないように配置しているため、外部接続端子91が大面積になっても、容量結合を原因とする発振特性の劣化を抑制できる。従って、本実施形態によれば、外部の端子や配線との接続による実装が容易であり、熱耐性や強度が高く破損しにくい外部接続端子91~94の提供と、貫通電極40、41と外部接続端子91との間の容量結合を原因とする発振特性の劣化の抑制とを、両立して実現することが可能になる。
【0079】
3.変形例
次に本実施形態の種々の変形例について説明する。例えば
図13は貫通電極40の他の例である。なお貫通電極41も同様であるため説明は省略する。
図13では、ベース2の貫通孔の内壁に絶縁層44が形成され、絶縁層44の更に内側に樹脂層45が形成されている。そして樹脂層45の内側に形成された金属層により貫通電極40が構成されている。このような貫通電極40により、振動素子5と集積回路10の発振回路11とを電気的に接続できるようになる。即ち振動素子5と集積回路10のコンタクトパッド36とが、バンプ62から構成される接合部材60と、貫通電極40とにより電気的に接続され、コンタクトパッド36が
図4の端子TXA、TXBとして発振回路11に電気的に接続されることで、振動素子5と発振回路11が電気的に接続される。
【0080】
また出力バッファー回路12は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、PECL(Positive Emitter Coupled Logic)、HCSL(High Speed Current Steering Logic)、又は差動のCMOS(Complementary MOS)等の信号形式で、差動のクロック信号CK、CKXを外部に出力してもよい。即ち出力バッファー回路12は、LVDS用、PECL用、HCSL用又は差動CMOS用の出力ドライバーを有していてもよい。例えば
図14はLVDS用の出力ドライバーの構成例である。この出力ドライバーは、3.5mAの駆動電流を流す電流源用のP型のトランジスターと、差動の入力信号IN、INXが入力されて差動のクロック信号CK、CKXを出力する差動部を構成するP型及びN型のトランジスターと、VSS側に設けられるN型のトランジスターを有する。電流源となるP型のトランジスターのゲートにはバイアス電圧BSPが印加される。これにより3.5mAの駆動電流が流れる。
図15は、PECL用の出力ドライバーの構成例である。この出力ドライバーは、15.25mAの駆動電流を流すP型のトランジスターと、差動部を構成する2つのP型のトランジスターと、クロック信号CK、CKXのノードに5.7mAのバイアス電流を流すバイアス電流回路を構成する2つのP型のトランジスターを有する。
【0081】
図16は、
図14、
図15のように差動のクロック信号CK、CKXを出力する場合の外部接続端子配置の例である。
図16では、外部接続端子91a、91b、92、93、94、95というように6端子の外部接続端子を有する振動デバイス1となっている。外部接続端子91a、91bは、差動のクロック信号CK、CKXが出力される端子である。外部接続端子92、93はVDD、GND用の端子であり、外部接続端子94は出力イネーブル信号OE用の端子である。外部接続端子95はNC(Non Connection)端子である。
図16の外部接続端子91a、91b、92、93、94、95も、振動デバイス1において、ベース2の半導体基板20の第2面22側に絶縁層80を介して設けられる。そして貫通電極40、41と、差動のクロック信号CK、CKXの出力用の外部接続端子91a、91bは、平面視において重ならないように配置される。
【0082】
以上のように本実施形態の振動デバイスは、第1面と第1面と表裏関係にある第2面とを有する半導体基板と、第1面と第2面との間を貫通する貫通電極を含むベースと、第1面に対して、導電性の接合部材を介して固定される振動素子と、を含む。第2面には、貫通電極を介して振動素子に電気的に接続され、振動素子を発振させて発振信号を生成する発振回路と、温度センサー回路と、温度センサー回路の出力に基づいて、発振信号の温度補償を行う温度補償回路と、温度補償された発振信号に基づくクロック信号を出力する出力バッファー回路と、が配置される。そして出力バッファー回路と貫通電極との距離をDbx1とし、温度センサー回路と貫通電極との距離をDsx1としたとき、Dsx1<Dbx1となっている。
【0083】
このように本実施形態の振動デバイスは、半導体基板と、半導体基板を貫通する貫通電極を有するベースと、半導体基板の第1面側に導電性の固定部材を介して固定される振動素子を含む。また半導体基板の第2面には、発振回路と温度センサー回路と温度補償回路と出力バッファー回路が配置される。そして出力バッファー回路と貫通電極との距離Dbx1とし、温度センサー回路と貫通電極との距離Dsx1について、Dsx1<Dbx1の関係が成り立つ。このように本実施形態の振動デバイスでは、半導体基板に振動素子が接合部材を介して固定されるため、出力バッファー回路での発熱が振動素子に伝わりやすくなる。一方、温度センサー回路と貫通電極との距離Dsx1は小さいため、出力バッファー回路での発熱により上昇した振動素子の実温度を、温度センサー回路が短時間で検出できるようになる。従って、温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を抑制することが可能になる。
【0084】
また本実施形態では、ベースは、貫通電極である第1貫通電極と、第2貫通電極とを含み、発振回路は、第1貫通電極及び第2貫通電極を介して振動素子に電気的に接続される。そして出力バッファー回路と第2貫通電極との距離をDbx2とし、温度センサー回路と第1貫通電極との距離Dsx1と、温度センサー回路と第2貫通電極との距離Dsx2のうち、短い方の距離をDsxとしたとき、Dsx<Dbx1、且つ、Dsx<Dbx2であってもよい。
【0085】
このようにすれば、温度センサー回路との距離が近い方の貫通電極との距離Dsx1が短くなるという関係が成り立ち、貫通電極を介した熱伝導経路により伝わった振動素子の実温度を、貫通電極の近くに位置する温度センサー回路が短時間で検出できるようになる。
【0086】
また本実施形態では、ベースは、第1辺と第1辺に対向する第2辺を有し、温度センサー回路は、貫通電極よりも第1辺に近い位置に配置されてもよい。
【0087】
このようにすれば、温度センサー回路の効率的なレイアウト配置が可能になると共に、貫通電極の近くに温度センサー回路が配置されることで、温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生を抑制できるようになる。
【0088】
また本実施形態では、温度センサー回路は、第1辺と、第1辺に平行で且つ貫通電極を通る仮想線との間の領域に配置されてもよい。
【0089】
このようにすれば、第1辺と仮想線との間の領域を有効利用して、温度センサー回路を配置できるようになり、効率的なレイアウト配置が可能になる。また温度センサー回路と貫通電極の距離を近づけることが可能になり、温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間の誤差を原因とする発振特性の劣化の発生も抑制できるようになる。
【0090】
また本実施形態では、上記領域に、温度センサー回路と発振回路とが配置されてもよい。
【0091】
このようにすれば、第1辺と仮想線との間の領域を有効利用して、温度センサー回路及び発振回路を配置できるようになり、効率的なレイアウト配置が可能になる。
【0092】
また本実施形態では、第1面に直交する方向からの平面視において、接合部材と第1辺との間に貫通電極が配置されてもよい。
【0093】
このようにすれば、振動素子の実温度が、接合部材を介して貫通電極に対して、第2辺から第1辺へと向かう方向に沿って短い熱伝導経路で熱伝達され、熱伝達された振動素子の実温度を、貫通電極の近くに配置される温度センサー回路により検出できるようになる。
【0094】
また本実施形態では、貫通電極は、出力バッファー回路と温度センサー回路との間に配置されてもよい。
【0095】
このようにすれば、出力バッファー回路の発熱が、貫通電極を介して振動素子に伝達され、それ以降に温度センサー回路に伝達されるようになり、温度センサー回路の検出温度と振動素子の実温度とを近づけることが可能になる。
【0096】
また本実施形態では、温度補償回路は、出力バッファー回路と温度センサー回路との間に配置されてもよい。
【0097】
このように、出力バッファー回路に比べて発熱しにくい温度補償回路を、出力バッファー回路と温度センサー回路との間に配置することで、出力バッファー回路の発熱が温度センサー回路に伝わりにくくなり、温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間の誤差を低減できるようになる。
【0098】
また本実施形態では、第2面には、出力バッファー回路と温度センサー回路との間に、ロジック回路が配置されてもよい。
【0099】
このように、出力バッファー回路に比べて発熱しにくいロジック回路を、出力バッファー回路と温度センサー回路との間に配置することで、出力バッファー回路の発熱が温度センサー回路に伝わりにくくなり、温度センサー回路での検出温度と振動素子の実温度との間の誤差を低減できるようになる。
【0100】
また本実施形態では、接合部材は、一端が振動素子に電気的に接続され、他端が貫通電極に電気的に接続されるバンプを含んでもよい。
【0101】
このようにバンプを接合部材として用いることで、出力バッファー回路での発熱が、貫通電極からバンプを介して振動素子に伝わりやすくなり、出力バッファー回路の発熱による振動素子の実温度を温度センサー回路を用いて、少ない誤差で検出することが可能になる。
【0102】
また本実施形態では、振動素子を収容するようにベースに接合されているリッドを含んでもよい。
【0103】
このようにすれば、ベースとリッドにより形成される収容空間に、振動素子を配置できるようになるため、振動素子を衝撃、埃、熱又は湿気等から好適に保護することが可能になる。
【0104】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また振動デバイスの構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…振動デバイス、2…ベース、5…振動素子、7…リッド、8…再配置配線層、10…集積回路、11…発振回路、12…出力バッファー回路、13…ロジック回路、14…電源回路、15…温度補償回路、16…温度センサー回路、17…メモリー、20…半導体基板、21…第1面、22…第2面、23、24…トランジスター、25…素子分離膜、30…配線層、31、32…金属層、33、34、35…絶縁層、36、37、38、39…コンタクトパッド、40、41…貫通電極、44…絶縁層、45…樹脂層、50…振動基板、52、53…励振電極、54、55…配線、56、57…端子、60、61…接合部材、62…バンプ、64…端子、68、69…コンタクトパッド、71、72…接合部材、80…絶縁層、82…配線、91、91a、91b、92、93、94、95…外部接続端子、101…第1金属層、102…第2金属層、
CK、CKX…クロック信号、CL…中心線、CV1、CV2…可変容量回路、DV1、DV2…インバーター回路、IV1、IV2、IV3…インバーター回路、LA、LB…配線、NA…NAND回路、OE…出力イネーブル信号、OSC…発振信号、SD1、SD2、SD3、SD4…辺、SP…収容空間、TCK、TGND、TOE、TVC、TVDD、TXA、TXB…端子、VL…仮想線、Dbx1、Dbx2,Dsx1、Dsx2、Dsx…距離