(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】プログラム作成支援方法、プログラム作成支援装置、プログラム作成支援プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20241008BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20241008BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20241008BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
G06F3/04847
G06F3/04817
(21)【出願番号】P 2020198135
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】安達 大稀
(72)【発明者】
【氏名】竹内 馨
(72)【発明者】
【氏名】木下 敬文
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-015857(JP,A)
【文献】国際公開第2008/099851(WO,A1)
【文献】特開2020-019127(JP,A)
【文献】特開2022-073191(JP,A)
【文献】特開2021-030364(JP,A)
【文献】特開2017-001122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/18 - 19/46
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、前記対象物に対して作業を行う
ロボット用のプログラムの作成を支援するプログラム作成支援方法であって、
前記ロボットを表すロボット画像と、前記力制御におけるパラメーターに対応する態様
を有するマーク
と、を含むシミュレーション画像を表示機器に表示し、
入力機器に対するユーザーの操作に応じて
、前記シミュレーション画像上においてカー
ソルを移動させ、
前記シミュレーション画像上における前記カーソルの移動に応じて、前記マークの態様
を変更し、及び、
前記マークの態様に対応する前記力制御におけるパラメーターを前記ユーザーに提示す
る
ことを含むプログラム作成支援方法。
【請求項2】
前記マークが、矢印である、請求項1に記載のプログラム作成支援方法。
【請求項3】
前記マークの態様として、前記矢印の方向、長さ及び太さのうち少なくとも何れか1種
を変更する、請求項2に記載のプログラム作成支援方法。
【請求項4】
前記パラメーターを前記プログラムに設定する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の
プログラム作成支援方法。
【請求項5】
前記力制御におけるパラメーターとして、前記目標力の方向、前記目標力の大きさ、及
び、機械インピーダンスのパラメーターの少なくとも何れか1種を提示する、請求項1乃
至4の何れか1項に記載のプログラム作成支援方法。
【請求項6】
前記シミュレーション画像は、前記マークとして第1のマークと第2のマークを含み、
前記第1のマークの様態は、前記力制御におけるパラメーターのうちの、前記目標力の
並進力の大きさと対応し、
前記第2のマークの様態は、前記力制御におけるパラメーターのうちの、前記目標力の
トルクの大きさと対応し、
前記シミュレーション画像において、前記カーソルを上下方向に移動させることにより
、前記第1のマークの長さを変更し、
前記シミュレーション画像において、前記カーソルを左右方向に移動させることにより
、前記第2のマークの長さを変更する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のプログラム
作成支援方法。
【請求項7】
前記マークの態様として、前記マークの色を変更し、
前記マークの色に対応する前記力制御におけるパラメーターが、機械インピーダンスの
パラメーターであ
り、
前記シミュレーション画像において、前記カーソルを上下方向又は左右方向に移動させ
ることにより、前記マークの色を変更する、請求項1乃至
5の何れか1項に記載のプログ
ラム作成支援方法。
【請求項8】
対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、前記対象物に対して作業を行う
ロボット用のプログラムの作成を支援するプログラム作成支援装置であって、
前記ロボットを表すロボット画像と、前記力制御におけるパラメーターに対応する態様
を有するマーク
と、を含むシミュレーション画像を表示する表示機器と、
ユーザーの操作を検出する入力機器と、
前記操作に応じて、
前記シミュレーション画像上においてカーソルを移動させ、前記シ
ミュレーション画像上における前記カーソルの移動に応じて、前記マークの態様を変更し
、及び、前記マークの態様に対応する前記力制御におけるパラメーターを前記ユーザーに
提示する制御回路と、
を備えるプログラム作成支援装置。
【請求項9】
対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、前記対象物に対して作業を行う
ロボット用のプログラムの作成を支援するプログラム作成支援プログラムであって、
前記ロボットを表すロボット画像と、前記力制御におけるパラメーターに対応する態様
を有するマーク
と、を含むシミュレーション画像を表示機器に表示し、
入力機器に対するユーザーの操作に応じて
、前記シミュレーション画像上においてカー
ソルを移動させ、
前記シミュレーション画像上における前記カーソルの移動に応じて、前記マークの態様
を変更し、及び、
前記マークの態様に対応する前記力制御におけるパラメーターを前記ユーザーに提示す
る
処理をコンピューターに実行させるプログラム作成支援プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラム作成支援プログラムを記憶する、前記コンピューターによ
り読み込み可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム作成支援方法、プログラム作成支援装置、プログラム作成支援プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、指定値及び力センサーの計測値に基づいてロボットの力制御に関するパラメーターを調整し、パラメーターの入力に関するガイダンス情報を含む教示操作画面を生成するロボット教示補助装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、力制御に関するパラメーターと、力制御における目標力との関係を把握することが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様は、対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、前記対象物に対して作業を行うロボット用のプログラムの作成を支援するプログラム作成支援方法であって、前記目標力を表す態様を有するマークを表示機器に表示し、入力機器に対するユーザーの操作に応じて前記マークの態様を変更し、及び、前記マークの態様に対応する前記力制御におけるパラメーターを前記ユーザーに提示することを含むプログラム作成支援方法である。
【0006】
他の一態様は、対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、前記対象物に対して作業を行うロボット用のプログラムの作成を支援するプログラム作成支援装置であって、前記目標力を表す態様を有するマークを表示する表示機器と、ユーザーの操作を検出する入力機器と、前記操作に応じて前記マークの態様を変更し、及び、前記マークの態様に対応する前記力制御におけるパラメーターを前記ユーザーに提示する制御回路とを備えるプログラム作成支援装置である。
【0007】
他の一態様は、対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、前記対象物に対して作業を行うロボット用のプログラムの作成を支援するプログラム作成支援プログラムであって、前記目標力を表す態様を有するマークを表示機器に表示し、入力機器に対するユーザーの操作に応じて前記マークの態様を変更し、及び、前記マークの態様に対応する前記力制御におけるパラメーターを前記ユーザーに提示する処理をコンピューターに実行させるプログラム作成支援プログラムである。
【0008】
他の一態様は、上述のプログラム作成支援プログラムを記憶する、前記コンピューターにより読み込み可能な記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るプログラム作成支援装置の基本構成を説明するブロック図。
【
図2】方向調整モードにおけるシミュレーション画面の一例を説明する図。
【
図5】力調整モードにおけるシミュレーション画面の一例を説明する図。
【
図6】トルク調整モードにおけるシミュレーション画面の一例を説明する図。
【
図8】力インピーダンスパラメーター調整モードにおけるシミュレーション画面の一例を説明する図。
【
図9】トルクインピーダンスパラメーター調整モードにおけるシミュレーション画面の一例を説明する図。
【
図11】プログラム作成支援方法の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面においては、同一又は類似の要素には同一又は類似の符号をそれぞれ付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係るロボットシステムは、プログラム作成支援装置10、制御装置20及びロボット30を備える。ロボット30は、対象物に作用する力を目標力に制御する力制御により、対象物に対して作業を行う。制御装置20は、プログラムに従って、対象物に対する作業を行うようにロボット30を制御する。ここで、プログラムは、所期のタスクを実行するための運動及び補助機能をロボット30に行わせるタスクプログラムを意味する。プログラム作成支援装置10は、ロボット30用のプログラムの作成を支援する。
【0012】
ロボット30は、例えば、6自由度で運動する6軸アームを有する多関節ロボットである。ロボット30は、ベース、ベースに支持されるマニピュレーター、マニピュレーターのメカニカルインターフェイスに取り付けられるエンドエフェクター、及び、力センサーを備える。ロボット30のマニピュレーターは、マニピュレーターの各ジョイントを駆動する複数のアクチュエーターと、各ジョイントの回転角を検出する複数のエンコーダーとを備える。ロボット30の力センサーは、エンドエフェクターを介して対象物に作用する力を検出する。
【0013】
制御装置20は、プログラムを実行することにより、ロボット30のマニピュレーター及びエンドエフェクターを制御し、対象物に対する作業をロボット30に行わせる。制御装置20は、ロボット30の力センサーから、対象物に作用する力に相当する信号を入力される。制御装置20は、対象物に作用する力が、プログラムにより定義される目標力になるように、ロボット30に対して力制御を行う。本実施形態において力は、負荷、即ち力及びトルクを意味し得る。また、並進成分の力を、負荷と区別するために並進力という場合がある。
【0014】
また、制御装置20は、ロボット30のエンコーダーから得られるポーズが、プログラムにより定義される目標ポーズとなるようにロボット30を制御する。ポーズは、例えば、ツールセンターポイント(TCP)の位置及び姿勢を意味する。TCPは、ロボット30のエンドエフェクターの位置の基準である。
【0015】
プログラム作成支援装置10は、表示機器11、入力機器12、制御回路13及び通信インターフェイス(I/F)16を備える。プログラム作成支援装置10は、様々な汎用のコンピューターにより構成可能である。プログラム作成支援装置10の各ハードウェアは、制御装置20と共有されてもよい。表示機器11は、制御回路13による制御に応じて画像を表示する。表示機器11として、例えば、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ等の表示装置が採用され得る。
【0016】
入力機器12は、ユーザーの操作を検出し、ユーザーの操作に応じた信号を制御回路13に出力する。入力機器12として、例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、プッシュボタン、タッチセンサー等の種々の入力装置が採用され得る。互いに一体的に構成される表示機器11及び入力機器12として、タッチパネルディスプレイが採用されてもよい。
【0017】
制御回路13は、処理回路14及び記憶装置15を備える。処理回路14は、プログラム作成支援装置10の動作に必要な演算を処理する、コンピューターの処理装置を構成する。処理回路14は、例えば、記憶装置15に記憶されるプログラム作成支援プログラムを実行することにより、実施形態に記載されるプログラム作成支援装置10の各種機能を実現する。処理回路14の少なくとも一部を構成する処理装置として、例えば、中央演算処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサー(DSP)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)等の種々の論理演算回路を採用可能である。処理回路14は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0018】
記憶装置15は、プログラム作成支援装置10の動作に必要な一連の処理を示すプログラム作成支援プログラムや各種データを記憶する、コンピューターにより読み取り可能な記憶媒体を備える。記憶媒体として、例えば半導体メモリーや種々のディスクメディアを採用可能である。記憶媒体は、不揮発性の補助記憶装置に限るものでなく、レジスターやキャッシュメモリー等の揮発性の主記憶装置を含み得る。記憶媒体の少なくとも一部は、処理回路14の一部により構成されてもよい。記憶装置15は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個の複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0019】
通信I/F16は、例えば、処理回路14による制御に応じて、制御装置20との間に通信リンクを確立することにより、制御装置20と通信可能に接続する。通信I/F16は、例えば、信号を送受信するアンテナ、通信リンクにおいて伝送される信号を処理する回路、通信用ケーブルのプラグが差し込まれるレセプタクルを含み得る。通信I/F16は、プログラム作成支援装置10において作成されるプログラムを制御装置20に送信する。通信I/F16は、プログラム作成支援装置10において作成されるプログラムを記憶するための補助記憶装置のプラグが差し込まれるレセプタクルを含み得る。
【0020】
処理回路14は、例えば、プログラム作成支援プログラムを実行すると、作業をロボット30に行わせるプログラムを作成するため作成画面を表示機器11に表示させる。処理回路14は、例えば、入力機器12に対するユーザーの操作に応じて、ロボット30が行う作業を決定し、作業における動作のシーケンスを示す画像を表示機器11に表示する。動作のシーケンスを示す画像は、例えば、各種類の動作を示すブロックである動作オブジェクトにより構成される。これにより、ロボット30が行う動作のシーケンスがユーザーに提示される。
【0021】
動作オブジェクトは、入力機器12に対するユーザーの操作に応じて選択されることにより、パラメーターを変更できる状態になる。各動作の力制御におけるパラメーターは、動作オブジェクト毎に予めデフォルトの値が設定され、記憶装置15に記憶される。力制御における目標力は、各動作のパラメーターによって決定される。
【0022】
図2に示すように、表示機器11は、例えば1つの動作オブジェクトが選択されると、目標力を表す態様を有するマークA1を含むシミュレーション画面51を表示する。マークA1は、例えば矢印である。マークA1が矢印の場合、マークA1の態様は、例えば、矢印の方向、長さ及び太さのうち少なくとも何れか1種の態様を採用可能である。
図2に示す例において、マークA1の矢印の方向は、目標力の方向を表す。マークA1は、例えば、基準点Pから目標力の方向を指すように表示される。基準点Pは、例えば、ロボット画像RにおけるTCPに相対的に定義される。マークA1の矢印の長さ又は太さは、目標力の大きさを表す。
【0023】
シミュレーション画面51において、マークA1は、ロボット30を表すロボット画像Rと共に、仮想の三次元空間における画像として表示される。ロボット画像Rは、各動作の初期位置に対応するポーズを表し得る。更に、
図2に示す例では、シミュレーション画面51は、基準点Pに対する目標力の各成分を表す複数の矢印を含む。複数の矢印は、x軸に平行な力Fx、y軸に平行な力Fy、z軸に平行な力Fz、x軸周りのトルクTx、y軸周りのトルクTy、及び、z軸周りのトルクTzの方向を表す。xyzにより表される座標系は、例えばベース座標系である。座標系は、ワールド座標系、メカニカルインターフェイス座標系等の他の座標系から、作業の種類やユーザーの操作に応じて変更されるようにしてもよい。更に、シミュレーション画面51は、x軸及びy軸のそれぞれに平行な複数のグリッド線から構成されるロボット30の設置面を含む。
【0024】
処理回路14は、入力機器12に対するユーザーの操作に応じてマークA1の態様を変更する。処理回路14は、マークA1の態様に対応するように、ロボット30の各動作の力制御における目標力を変更する。これにより、処理回路14は、マークA1の態様に対応する力制御におけるパラメーターを算出する。力制御におけるパラメーターは、例えば、目標力の方向、目標力の大きさ、及び、機械インピーダンスのパラメーターの少なくとも1種のパラメーターを含む。
【0025】
図3に示すように、例えば、表示機器11に表示される作成画面は、目標力を調整するための画面である調整パネル52を含む。調整パネル52は、例えば5種のボタンB1~B5を含む。ボタンB1は、例えば「Direction」と表示され、目標力の方向の調整をする場合に操作される。ボタンB2は、例えば「Force」と表示され、目標力の並進力の大きさを調整する場合に操作される。ボタンB3は、例えば「Torque」と表示され、目標力のトルクの大きさを調整する場合に操作される。
【0026】
ボタンB4は、例えば「Firmness F」と表示され、目標力の並進力の機械インピーダンスのパラメーターを調整する場合に操作される。ボタンB5は、例えば「Firmness T」と表示され、目標力のトルクの機械インピーダンスのパラメーターを調整する場合に操作される。なお、機械インピーダンスのパラメーターは、仮想弾性係数、仮想粘性係数及び仮想質量係数の少なくとも何れかを含む。以下、機械インピーダンスのパラメーターを単に「インピーダンスパラメーター」という。
【0027】
図3に示す例では、ボタンB1が操作されることにより、ボタンB1が強調表示され、目標力の方向を調整する方向調整モードに処理回路14が移行したことを意味している。方向調整モードにおいて、ユーザーは、例えばマウス等の入力機器12を操作することにより、目標力の方向を調整する。
図2に示す例では、シミュレーション画面51上にマウスのポインターであるカーソルQが表示される。カーソルQは、二次元座標における位置を示すため、仮想的な三次元空間における目標力の方向を直接的に指定することが困難である。
【0028】
そこで、
図4に示すように、処理回路14は、カーソルQの二次元座標を、球表面の三次元座標に変換することにより、目標力の方向として、マークA1の方向を算出する。具体的には、カーソルQの二次元座標は、上下方向の座標θ、左右方向の座標φにより定義される。この場合、カーソルQの三次元座標であるx、y及びzは、式(1)~(3)により算出される。即ち、
図2に示す例において、ユーザーは、例えばマウスのボタンを押下しながらカーソルQをシミュレーション画面51上で移動させることにより、仮想的な三次元空間におけるマークA1の方向を調整することができる。カーソルQの移動は、タッチパネルのスワイプやキーボードの方向キー等により実現されてもよい。
x=rsinθcosφ …(1)
y=rsinθsinφ …(2)
z=rcosθ …(3)
【0029】
図5は、目標力の並進力の大きさを調整する力調整モードにおけるシミュレーション画面51の一例である。処理回路14は、
図3のボタンB2が操作されることにより力調整モードに移行する。ユーザーは、例えばマウスのボタンを押下しながらカーソルQをシミュレーション画面51上で移動させることにより、仮想的な三次元空間におけるマークA1の長さを調整することができる。
図5に示す例において、マークA1の長さは、目標力の並進力の大きさを表す。マークA1の太さが並進力の大きさを表すようにしてもよい。カーソルQの移動は、タッチパネルのスワイプやキーボードの方向キー等により実現されてもよい。
【0030】
図6は、目標力のトルクの大きさを調整するトルク調整モードにおけるシミュレーション画面51の一例である。処理回路14は、
図3のボタンB3が操作されることによりトルク調整モードに移行する。トルク調整モードのシミュレーション画面51は、マークA1の中心軸周りに表示されるマークA2を含む。マークA2は、目標力のトルクに対応する回転方向を表す矢印である。マークA2は、例えば、トルク調整モードへの移行に伴いシミュレーション画面51に表示される。マークA2は、目標力がトルク成分を有する場合に常にシミュレーション画面51に表示されるようにしてもよい。
【0031】
トルク調整モードにおいて、ユーザーは、例えばマウスのボタンを押下しながらカーソルQをシミュレーション画面51上で移動させることにより、仮想的な三次元空間におけるマークA2の長さを調整することができる。
図6に示す例において、マークA2の長さは、目標力のトルクの大きさを表す。カーソルQの移動は、タッチパネルのスワイプやキーボードの方向キー等により実現されてもよい。
【0032】
或いは、目標力の並進力の大きさ及びトルクの大きさは、同時に調整可能であってもよい。例えば、処理回路14は、マークA1及びマークA2をシミュレーション画面51に表示する。カーソルQが上下方向に移動されることにより、マークA1の長さ及び並進力の大きさが調整され、カーソルQが左右方向に移動されることにより、マークA2の長さ及びトルクの大きさが調整されるようにしてもよい。
【0033】
その他、処理回路14は、
図3のボタンB4が操作されることにより、目標力の並進力のインピーダンスパラメーターを調整する力インピーダンスパラメーター調整モードに移行する。更に、処理回路14は、
図3のボタンB5が操作されることにより、目標力のトルクのインピーダンスパラメーターを調整するトルクインピーダンスパラメーター調整モードに移行する。
【0034】
図7に示すように、処理回路14は、力インピーダンスパラメーター調整モード又はトルクインピーダンスパラメーター調整モードに移行すると、「硬さ」を示す色を提示するカラーバー53を表示機器11に表示する。
図7に示す例では、インピーダンスパラメーターにより決定される硬さが、最も柔らかい場合の値を1として「Soft」と表示し、最も硬い場合の値を10として「Hard」と表示している。硬さを示す色は、値が1のときに最も淡く、値が10のときに最も濃い。硬さを示す色は、硬さにより徐々に異なる。実際には、値が1のときに赤く、値が10のときに青いなど、硬さを示す色は、硬さを示す値が小さい場合に暖色系、硬さを示す色が大きい場合に寒色系の色であってもよい。色の勾配は、種々の色空間によって決定され得る。
【0035】
図8は、力インピーダンスパラメーター調整モードにおけるシミュレーション画面51の一例である。力インピーダンスパラメーター調整モードにおいて、ユーザーは、例えばマウスのボタンを押下しながらカーソルQをシミュレーション画面51上で上下方向に移動させることにより、マークA1の色を調整することができる。処理回路14は、マークA1の態様としてマークA1の色を変更する。マークA1の色に対応する力制御におけるパラメーターは、並進力のインピーダンスパラメーターである。即ち、マークA1の色を調整することにより、目標力の並進力のインピーダンスパラメーターを決定できる。
【0036】
図9は、トルクインピーダンスパラメーター調整モードにおけるシミュレーション画面51の一例である。トルクインピーダンスパラメーター調整モードのシミュレーション画面51は、マークA1の中心軸周りに表示されるマークA2を含む。ユーザーは、例えばマウスのボタンを押下しながらカーソルQをシミュレーション画面51上で左右方向に移動させることにより、マークA2の色を調整することができる。処理回路14は、マークA2の態様としてマークA2の色を変更する。マークA2の色に対応する力制御におけるパラメーターは、トルクのインピーダンスパラメーターである。即ち、マークA2の色を調整することにより、目標力のトルクのインピーダンスパラメーターを決定できる。目標力の並進力及びトルクのインピーダンスパラメーターは、同時に調整可能であってもよい。
【0037】
図10に示すように、処理回路14は、パラメーター画面54を表示機器11に表示することにより、マークA1及びマークA2の態様に対応する力制御における各パラメーターをユーザーに提示する。パラメーター画面54は、目標力の方向、目標力の大きさ、及び、インピーダンスパラメーターの少なくとも何れか1種のパラメーターを含む。目標力の大きさは、並進力の大きさ及びトルクの大きさの少なくとも何れかである。パラメーター画面54に表示される各パラメーターは、入力機器12に対するユーザーの操作に応じてタスクプログラムに設定され得る。
【0038】
なお、パラメーター画面54の各パラメーターを変更することにより、マークA1及びマークA2の態様を変更するようにしてもよい。即ち、パラメーター画面54の各パラメーターと、マークA1及びマークA2の態様とは、相互に影響する。
【0039】
図11を参照して、実施形態に係るプログラム作成支援方法として、プログラム作成支援装置10の動作の一例を説明する。
図11に示す処理を含む一連の処理は、制御回路13にインストールされるプログラム作成支援プログラムにより実行される。
【0040】
ステップS1において、処理回路14は、入力機器12に対するユーザーの操作に応じて、動作オブジェクトを決定し、動作オブジェクトに対応する力制御における目標力を記憶装置15から読み込む。
【0041】
ステップS2において、処理回路14は、ステップS2で読み込まれた目標力を表す態様を有するマークAをシミュレーション画面51に表示する。マークAは、マークA1及びマークA2の少なくとも何れかである。
【0042】
ステップS3において、処理回路14は、入力機器12を介してユーザーの操作を受け付ける。ステップS4において、処理回路14は、ステップS3で検出される操作に応じてマークAの態様を変更する。
【0043】
ステップS5において、処理回路14は、ステップS4で変更されたマークAの態様に対応する、力制御におけるパラメーターを算出する。表示機器11は、算出されるパラメーターを含むパラメーター画面54を表示する。ステップS6において、処理回路14は、入力機器12に対するユーザーの操作に応じて、パラメーター画面54に表示されるパラメーターをタスクプログラムにおけるパラメーターとして設定する。
【0044】
プログラム作成支援装置10によれば、目標力を表す態様を有するマークAを表示するため、ユーザーは目標力の変化を直感的に把握できる。更に、プログラム作成支援装置10は、マークAの態様に対応する力制御におけるパラメーターを提示するため、ユーザーは、力制御における目標力とパラメーターとの関係を容易に把握できる。
【0045】
更に、プログラム作成支援装置10は、数値で把握することが困難な力制御におけるパラメーターを、マークAの方向、長さ、色等の態様により表すため、ユーザーは力制御におけるパラメーターを直感的に把握することができる。更に、提示されたパラメーターをタスクプログラムに設定できるため、タスクプログラムの作成を簡略化できる。
【0046】
以上のように実施形態を説明したが、本発明はこれらの開示に限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成に置換されてよく、また、本発明の技術的範囲内において、各実施形態における任意の構成が省略されたり追加されたりしてもよい。このように、これらの開示から当業者には様々な代替の実施形態が明らかになる。
【0047】
例えば、
図12に示すように、処理回路14は、調整対象の目標力の成分を特定するためのリストボックスC2~C5を含む調整パネル52を表示機器11に表示してもよい。例えば、リストボックスC2~C5のそれぞれは、ユーザーの操作に応じて、Fx、Fy、Fz、Tx、Ty及びTzからなる目標力の成分のリストを、ユーザーに提示する選択肢として表示する。例えば、処理回路14は、入力機器12に対するユーザーの操作に応じて、リストボックスC5からFxの成分を調整対象として特定する。この場合、トルクインピーダンスパラメーター調整モードにおいて、Fxの成分に対応するマークA2の色を選択的に変更することができる。
【0048】
また、シミュレーション画面51において、力制御で使用する目標力の成分の有効無効に応じて、複数の矢印の色を変更するようにしてもよい。例えば
図2に示す例において、Fxの成分を選択的に無効にする場合、Fxの成分のみをグレーで表示し、他の成分をカラーで表示するようにしてもよい。更に、マークA1を、Fx、Fy及びFzの成分の複数の矢印に分解し、分解された矢印に対する操作により、対応する成分の長さを調整するようにしてもよい。更に、ボタンB4及びボタンB5のそれぞれの隣に、仮想弾性係数、仮想粘性係数及び仮想質量係数を選択するインピーダンスパラメーターのリストボックスを表示するようにしてもよく、インピーダンスパラメーターの種類毎にカラーバー53を表示するようにしてもよい。
【0049】
その他、上述の各構成を相互に応用した構成等、本発明は以上に記載しない様々な実施形態を含むことは勿論である。本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0050】
10…プログラム作成支援装置、11…表示機器、12…入力機器、13…制御回路、14…処理回路、15…記憶装置、16…通信I/F、20…制御装置、30…ロボット、51…シミュレーション画面、52…調整パネル、53…カラーバー、54…パラメーター画面、A1,A2…マーク、B1~B5…ボタン、C2~C5…リストボックス、Q…カーソル。