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特許7567411画像検査装置、画像形成装置及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像形成装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20241008BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241008BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/14
G03G21/00 384
B41J29/393 105
B41J25/20
H04N1/12 Z
H04N1/04 106A
G06T1/00 430J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020200663
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088705
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 庄一
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150329(JP,A)
【文献】特開2016-139026(JP,A)
【文献】特開2019-054408(JP,A)
【文献】特開2016-103805(JP,A)
【文献】特開2014-017673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/00
B41J 29/00
B41J 25/20
H04N 1/00
G06T 1/00
B65H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が印刷された用紙を背景を含んで読み取って読取画像を取得する読取部と、
前記読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定手段と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれを調整する画像位置調整を実施する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記画像位置調整の程度を緩和させる画像検査装置。
【請求項2】
画像が印刷された用紙を背景を含んで読み取って読取画像を取得する読取部と、
前記読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定手段と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれの測定結果が所定の閾値を超えている場合に前記用紙を不良品と判断して排出する制御を実施する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記制御の程度を緩和させる画像検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記画像の位置ずれの測定結果の経過を加味して前記制御を行う請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記不良品を判断するための閾値をオペレーターが設定するための設定手段を備え、
前記設定手段により設定された前記閾値が、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい用紙に対して予め設定された前記所定の閾値より小さい場合に、前記用紙について不良品として排出される可能性が増える旨を通知する通知手段を備える請求項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記背景部材の濃度は切り替え可能に構成され、
前記背景部材の濃度の切り替えを制御する背景部材制御手段を備える請求項1~のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記背景部材制御手段は、前記印刷ジョブの実行中の前記背景部材の濃度が前記印刷ジョブにおいて使用される枚数の最も多い用紙に適合した濃度となるよう制御する請求項に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記印刷ジョブの実行中に画像の位置ずれを監視する用紙をオペレーターが選択するための選択手段を備え、
前記背景部材制御手段は、前記印刷ジョブの実行中の前記背景部材の濃度が前記選択手段により選択された用紙に適合した濃度となるように制御する請求項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記背景部材の濃度をオペレーターが指示するための入力手段を備え、
前記背景部材制御手段は、前記背景部材の濃度が前記入力手段により指示された濃度となるように制御する請求項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記背景部材制御手段は、前記印刷ジョブと同時または連携して実施される調整機能に応じて、前記印刷ジョブの実行中の前記背景部材の濃度を制御する請求項に記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記背景部材制御手段は、出力紙濃度調整の実施時は前記背景部材が黒となるように制御する請求項に記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記背景部材制御手段は、測色器によるキャリブレーション併用時は、前記背景部材が白となるように制御する請求項9又は10に記載の画像検査装置。
【請求項12】
前記測定手段は、印刷ジョブの実行により画像形成装置により画像が印刷された用紙のそれぞれについて前記用紙に対する画像の位置ずれを測定するものであり、
前記背景部材制御手段は、前記画像形成装置に備えられた用紙トレイのそれぞれにセットされた用紙の色又は濃度を測定可能なセンサーによる前記印刷ジョブで使用する用紙トレイにセットされた用紙の色又は濃度の測定結果に基づいて、前記印刷ジョブの実行中の前記背景部材の濃度を制御する背景制御手段を備える請求項に記載の画像検査装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の画像検査装置と連携する画像形成装置であって、
前記測定手段が前記測定を実施する際に用いる位置調整用画像を含む画像を用紙に印刷し、前記位置調整用画像を印刷する際には、当該画像形成装置で使用可能な色材のうち、前記用紙との濃度差が最も大きい色材を選択して前記位置調整用画像を印刷する画像形成手段を備える画像形成装置。
【請求項14】
画像が印刷された用紙を、読取部により、当該読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材を含んで読み取って読取画像を取得する読取工程と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定工程と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれを調整する画像位置調整を実施する制御工程と、
含み
前記制御工程は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記画像位置調整の程度を緩和させる制御方法。
【請求項15】
画像が印刷された用紙を、読取部により、当該読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材を含んで読み取って読取画像を取得する読取工程と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定工程と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれの測定結果が所定の閾値を超えている場合に前記用紙を不良品と判断して排出する制御を実施する制御工程と、
含み
前記制御工程は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記制御の程度を緩和させる制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物の付加価値を高める手段として、通常のYMCKの色材(電子写真方式においてはトナー。以下、トナーとする)に加え、5色目のトナーを用いる画像形成装置が知られている。その中で、特に白トナーを用いる印刷が増えており、白トナーの効果を引き出す有効な用紙として黒紙がある。
【0003】
画像形成装置において用紙に対する画像位置のずれを調整するために、用紙のたとえば4隅に、画像コンテンツに影響しない程度の小さなトンボ(位置調整用画像)を印刷し、用紙輪郭(用紙エッジ)とトンボとの位置を読取装置で読み取ってその距離を測定し、印刷時の用紙に対する画像の位置調整(画像位置調整)を実施する技術が知られている。一般的に、読取装置の背景部材は、白色の用紙が読みやすいよう、黒となっているため、黒紙の用紙輪郭が読みにくい。そこで、印刷に使用する用紙に合わせて、背景部材の濃度を適宜切り替えることができるものが存在する。例えば、特許文献1には、複数の背景色を切り替え可能な背景部材を備え、用紙の色に応じて、背景部材の色を適宜切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-57902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像位置調整には、例えばジョブ(印刷ジョブ)中の用紙各々の例えば4隅に(後工程の断裁時に、画像コンテンツから切り離される位置に)トンボを印刷し、用紙輪郭とトンボとの位置を読取装置で読み取ってその距離を測定し、測定結果に基づいて、ジョブ中の画像位置の変動を抑える調整方法(リアルタイム画像位置調整と呼ぶ)も存在する。この場合、1つのジョブ内で、例えばページ毎に違う用紙トレイから用紙を搬送し、印刷することがあり、例えば一方の用紙トレイが白紙、もう一方の用紙トレイが黒紙、というジョブもありうる。この場合、用紙の色がページ毎に頻繁に切り替わると、特許文献1の技術では、背景部材を切り替える制御が困難となるという問題があった。そこで、ジョブ中に白、または黒、どちらかの背景部材に固定して読み取ることになるが、用紙と背景部材の濃度が近似している場合、用紙輪郭の読み取りに誤差等のエラーが生じる可能性が高くなる。その結果、例えば、ジョブ中の画像位置ずれを測定して、画像位置ずれの大きい印刷物を不良品(ヤレ紙)として排除したり、画像位置ずれを解消するようジョブ中に画像位置の調整値を更新したりする制御を併用した場合、用紙と背景部材の濃度が近似しているページで過剰に画像位置ずれを検知してしまい、その結果、過剰なヤレ紙が発生したり、ジョブ中の調整値がばらつき、結果として、画像位置が不安定となるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、用紙と背景部材の濃度差が小さいことにより読取画像から用紙輪郭が正確に取得できない場合に生じる不具合を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像検査装置は、
画像が印刷された用紙を背景を含んで読み取って読取画像を取得する読取部と、
前記読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定手段と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれを調整する画像位置調整を実施する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記画像位置調整の程度を緩和させる
【0008】
また、本発明に係る画像検査装置は、
画像が印刷された用紙を背景を含んで読み取って読取画像を取得する読取部と、
前記読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定手段と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれの測定結果が所定の閾値を超えている場合に前記用紙を不良品と判断して排出する制御を実施する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記制御の程度を緩和させる。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、
請求項1~12のいずれか一項に記載の画像検査装置と連携する画像形成装置であって、
前記測定手段が前記測定を実施する際に用いる位置調整用画像を含む画像を用紙に印刷し、前記位置調整用画像を印刷する際には、当該画像形成装置で使用可能な色材のうち、前記用紙との濃度差が最も大きい色材を選択して前記位置調整用画像を印刷する画像形成手段を備える
【0010】
また、本発明に係る制御方法は、
画像が印刷された用紙を、読取部により、当該読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材を含んで読み取って読取画像を取得する読取工程と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定工程と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれを調整する画像位置調整を実施する制御工程と、
を含み、
前記制御工程は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記画像位置調整の程度を緩和させる
【0011】
また、本発明に係る制御方法は、
画像が印刷された用紙を、読取部により、当該読取部による前記用紙の読み取り時に前記用紙の背景となる位置に設けられた背景部材を含んで読み取って読取画像を取得する読取工程と、
前記読取画像から前記用紙の用紙輪郭情報を抽出し、抽出した前記用紙輪郭情報に基づいて前記用紙に対する前記画像の位置ずれを測定する測定工程と、
前記画像の位置ずれの測定結果に基づく制御として、前記画像の位置ずれの測定結果が所定の閾値を超えている場合に前記用紙を不良品と判断して排出する制御を実施する制御工程と、
を含み、
前記制御工程は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、前記用紙と前記背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて前記画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する前記制御の程度を緩和させる
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、用紙と背景部材の濃度差が小さいことにより読取画像から用紙輪郭が正確に取得できない場合に生じる不具合を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2図1の制御部により実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図3】事前調整で使用されるトンボの一例を示す図である。
図4A】縦倍率、横倍率、上下画像シフト、左右画像シフトのそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す図である。
図4B】回転、スキュー、たて台形、よこ台形、曲り、曲り位置のそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す図である。
図5】キャリブレーションチャートの一例を示す図である。
図6】ジョブ中の画像位置調整で使用されるトンボの一例を示す図である。
図7】用紙と背景部材の濃度差が大きい場合と小さい場合の画像位置ずれ量のばらつきと不良品判断閾値の関係を示すグラフである。
図8】不良品判断閾値を2つ用いた場合の不良品判断を説明するための図である。
図9】用紙と背景部材の濃度差が大きい場合と小さい場合の画像位置調整を模式的に示す図である。
図10】画像形成装置と画像検査装置を別体して構成した構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0026】
〔画像形成装置の構成〕
まず、本発明の実施形態における画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の主要構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、画像形成装置100は、制御部101、通信部102、操作表示部103、記憶部104、給紙部105、搬送部106、画像形成部150、定着部160、読取部170、測色器180、画像解析部190等を備えて構成されている。
【0028】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部101のCPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
【0029】
通信部102は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部機器との間で各種データの送受信を行う。
【0030】
操作表示部103は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示部103aと、各種操作キー、表示部103aの画面に重ねられて配置されたタッチパネル、テンキー等により構成される入力部103bとを備える。操作表示部103は、表示部103aにおいて各種情報を表示させ、また入力部103bに対するユーザー(オペレーター)の入力操作を操作信号に変換して制御部101に出力する。
【0031】
記憶部104は、例えば、不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部104には、画像形成装置100に係る各種設定情報を始めとする各種データや、ジョブ(Job)情報(ジョブの設定情報及びジョブの画像データ)等が記憶されている。ジョブの設定情報には、ジョブで使用されるページごとの用紙トレイ105a~105cの情報や、用紙の色やサイズ、用紙種別、総印刷用紙数、ジョブと同時または連携して実施される調整機能の情報等が含まれる。
また、記憶部104には、用紙トレイ105a~105cにセットされている用紙に関する情報(サイズ、色(濃度)、種別等)が記憶されている。
また、記憶部104には、用紙と背景部材171a、171bの濃度差が、後述する所定値B0以上の場合と所定値B0未満の場合のそれぞれに対応する、後述する画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御で用いられるパラメーターが記憶されている。
【0032】
給紙部105は、制御部101からの指示に従って用紙トレイ105a~105cに収容された用紙を給紙する。
搬送部106は、通紙経路及びレジストローラー対等の複数の搬送ローラー対を有し、給紙部105から給紙された用紙を画像形成装置100内で搬送する。また、搬送部106は、反転経路106aを有し、用紙の表裏を反転させて画像形成部150に搬送することが可能である。また、搬送部106は、印刷物を排出する排紙経路106b、及びヤレ紙を排出する排紙経路106cを有する。
【0033】
画像形成部150は、ジョブの設定情報と画像データとに基づいて用紙上に画像を印刷し、印刷物を生成する。本実施形態において、画像形成部150は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)、S(特色。本実施形態では白)の色ごとの画像形成ユニットを有し、通常のY、M、C、Kのトナーを用いた画像の他、白色のトナーを用いた印刷が可能である。
定着部160は、用紙上に印刷されたトナーによる画像を熱と圧力とで用紙に定着させる。
なお、図1においては、画像形成部150をいわゆる電子写真方式の画像形成部として図示しているが、印刷方式はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式等の他の印刷方式の画像形成部であってもよい。
【0034】
読取部170は、画像形成部150により印刷され、定着部160により定着された印刷物を読み取って読取画像データ(読取画像)を取得して画像解析部190に出力する。読取部170は、例えば、カラースキャナー等により構成される。読取部170は、画像形成部150と定着部160の下流側に配置されており、用紙搬送中に画像を読み取る構成となっている。
【0035】
読取部170は、用紙の一方の面の画像を読み取って読取画像を取得する読取部170aと、用紙の他方の面の画像を読み取って読取画像を取得する読取部170bと、を備えて構成されている。本実施形態では、読取部170bが片面印刷の印刷面(両面印刷の表面)を読み取り、読取部170aが両面印刷の裏面を読み取る構成としているが、これに限定されない。
読取部170aと読取部170bのそれぞれには、通紙経路を挟んで対向する位置に、背景部材171a、背景部材171bが設けられている。背景部材171a、171bは、例えば、図1に示すように、濃度が異なる2つの面(黒色面1711、白色面1712)を有し、図示しない駆動源により回転させることで、用紙を読み取る際の背景面(対応する読取部に対向する面)を黒又は白に切り替えることができるようになっている。すなわち、背景部材171a、171bは、濃度が切り替え可能に構成されている。本実施形態では、背景部材171a及び171bを同じ濃度の背景面にセットすることとする。
また、読取部170による読取サイズは、用紙サイズよりも大きくなっており、用紙輪郭と、その近傍の背景部材の範囲を含む、用紙サイズよりも広い範囲を読み取り可能に構成されている。
【0036】
また、読取部170の用紙搬送方向下流側には、測色器180が備えられている。測色器180は、分光測色計等により構成され、高精度の測色が可能である。測色器180には、通紙経路を挟んで背景部材181が配置されている。背景部材181は、例えば、白色により構成されている。
【0037】
画像解析部190は、読取部170により出力された読取画像を解析して、用紙の表面と裏面のそれぞれに印刷された画像(画像コンテンツ)の用紙に対する位置ずれ量(画像位置ずれ量)や色の調整値を算出して制御部101に出力する。画像解析部190は、例えば、制御部101のCPUとROMに記憶されたプログラムとの協働により実現される。
【0038】
上記制御部101、操作表示部103、読取部170、及び画像解析部190は、本発明の画像検査装置を構成している。また、制御部101は、本発明の制御手段、背景部材制御手段を構成している。また、操作表示部103は、本発明の設定手段、選択手段、入力手段、通知手段を構成している。また、制御部101及び画像解析部190は、本発明の測定手段を構成している。
【0039】
〔画像形成装置の動作〕
次に、画像形成装置100における動作について説明する。
上述のように、ジョブ中に各ページで使用される用紙の濃度に応じて背景部材171aと背景部材171bの背景面を切り替える制御は困難な場合がある。しかし、読取部170aと読取部170bの用紙を読み取る際の濃度(背景部材171aと171bの背景面)が固定されている場合、印刷に用いる用紙の濃度によっては、読取画像から用紙輪郭が正確に読み取れない場合がある。このような状況で、印刷物を読み取った読取画像における用紙輪郭と画像(トンボや画像コンテンツ)との位置関係に基づいて画像位置ずれを測定し、測定結果に基づいて画像位置調整や検品を行うと、過剰な調整やヤレ紙が生じるなどの不具合が起こる。
そこで、本実施形態では、用紙と背景部材171a、171bの濃度差に基づいて、画像位置ずれの測定結果に基づいて行う制御の程度を加減する(具体的には、濃度差が所定値B0より小さい場合、濃度差が所定値B0以上である場合に比べて制御の程度を緩和する)ことで、用紙と背景部材の濃度が近似していることにより読取画像から用紙輪郭が正確に取得できないことによる不具合を低減する。
【0040】
図2は、制御部101により実行される印刷処理の流れを示すフローチャートである。図2に示す印刷処理は、ジョブが選択され、印刷開始が指示された際に、制御部101のCPUとRAMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0041】
まず、制御部101は、表裏それぞれの画像位置の事前調整を実施する(ステップS11)。
【0042】
事前調整は、印刷の最初から用紙の正しい位置に画像が印刷された印刷物が得られるよう、ジョブに基づく印刷に先立って行う画像位置調整である。なお、このジョブに基づく印刷に先立って行う画像位置調整は、少なくとも用紙トレイ105a~105cの用紙を交換した直後のジョブの実行前に、用紙を交換したトレイについて行えばよく、毎回のジョブの実行前に実施する必要はない。
【0043】
事前調整では、まず、画像形成部150により図3に示す位置調整用画像(トンボと呼ぶ)T1~T4を、ジョブの印刷に用いる種別の用紙の4辺のエッジから予め設定された距離(例えば、用紙エッジから10mm)だけ内側に付与して画像形成部150用紙の表裏に印刷し、その印刷物を読取部170a及び読取部170bにより読み取り、得られた読取画像を画像解析部190により解析して用紙輪郭を抽出し、用紙エッジとトンボT1~T4との位置関係(距離)を取得する。そして、画像解析部190は、表裏のそれぞれについて、用紙エッジとトンボT1~T4(各用紙エッジに対向するトンボ)との距離が所定の距離となるように複数の調整項目の調整値を算出し、記憶部104に記憶させる。
【0044】
ここで、制御部101は、調整対象とする用紙の色によって、読取部170a、読取部170bのそれぞれに対向させる背景部材171a、171bの背景面を黒色面1711又は白色面1712にセットしてから読み取りを行わせる。例えば、白い用紙の場合は黒色面1711を、黒い用紙の場合は白色面1712を背景面としてセットし、その他の用紙色の場合は、黒色面1711又は白色面1712のうち、読み取りやすい、あるいは読み取り可能な方(例えば、用紙との濃度差が大きい方)を適宜選択して背景面としてセットする。なお、画像形成部150によりトンボT1~T4を印刷する際には、使用する用紙と容易に識別できる濃度の色材(用紙との濃度差が所定の閾値以上の色材)、例えば、黒用紙であれば白トナーや白インクを選択して印刷することが好ましい。これにより、より確度の高い画像位置ずれ測定が可能となる。
【0045】
なお、測定精度や安定性を向上するために、事前調整は複数回繰り返しても構わない。また、複数枚の前記トンボT1~T4を付与した印刷物を印刷して各々調整値を算出し、その平均値を用いるようにしてもよい。
【0046】
事前調整を含む画像位置調整において算出される調整項目としては、縦横それぞれの倍率、上下、左右それぞれの画像シフト、回転、スキュー、たて台形、よこ台形、曲り、曲り位置、が挙げられる。これらの調整項目は、それぞれ独立して調整値を求めることが可能である。上記の調整項目のうち、倍率、画像シフト、回転、スキュー、たて台形、よこ台形の調整項目の調整により、四隅の画像位置を調整することができる。また、曲り、曲り位置は、画像の歪みを調整するためのもので、これらを併用することで、さらに高度な画像位置調整が可能である。
【0047】
図4Aに、縦倍率、横倍率、上下画像シフト、左右画像シフトのそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す。図4Bに、回転、スキュー、たて台形、よこ台形、曲り、曲り位置のそれぞれの調整項目における調整値の範囲及び調整イメージを示す。なお、図4A図4Bにおける太矢印Aは、用紙搬送方向を示すものであり、実線は用紙を、点線は目標とする画像位置を、ハッチングは現状の画像位置を、細矢印は調整により画像が動く方向を示している。なお、図4Aの画像シフトについては、現状の画像位置と目標の画像位置の双方を示すと見にくくなるため、両者を同一として表し、調整により画像が動く方向のみを示す図としている。また、図4Bについては、用紙を示す実線は省略している。
【0048】
なお、本実施形態において、事前調整は、トンボT1~T4が印刷された用紙を読取部170で読み取って、得られた読取画像を画像解析部190で解析することにより図4A図4Bに示す各調整項目の調整値を自動的に取得することとして説明しているが、トンボT1~T4が印刷された用紙をユーザーが目視で観察して決定した各調整項目の調整値の入力を操作表示部103から受け付けて、各調整値の値を取得することとしてもよい。
【0049】
また、ステップS11の事前調整では、画像位置だけでなく色調整(キャリブレーションや出力紙濃度調整)を行うこととしてもよい。
【0050】
印刷時のキャリブレーションは、例えばオフセット印刷のインキで印刷するために作成された画像データに基づいて電子写真方式のトナーで印刷を行う際、仕上がりの色調をインキによるオフセット印刷と同等に調整するために実施するものである。例えば、図5に示すような、あらかじめ階調値の組み合わせが定められた複数のパッチからなるキャリブレーションチャート(片面のチャート)を用紙に印刷し、この印刷結果を測定することで、印刷画像の色調を調整するための、いわゆるカラープロファイルを作成する。ジョブに基づく印刷時には、作成したカラープロファイルを適用することで印刷画像の色調を管理する。この色調管理方法は既存の手法が多く存在するが、いずれもキャリブレーションチャートのパッチを正しく読み取ることが前提となっている。そのため、正しい読み取り値が得られる専用の測色器180を、読取部170(ここでは読取部170b)の近傍に配置し、測色器180と片面印刷時の印刷面を読み取る読取部170bでパッチP1を読み取り、読取部170bの読み取り値を測色器180の読み取り値に変換するための変換式を算出する。さらに、より様々な階調値が含まれるパッチP2を読取部170bで読み取り、これらの測定値及び上述の変換式をもとに、キャリブレーションを実施し、カラープロファイルを生成し、記憶部104に記憶する。
このキャリブレーションの場合、背景部材181の測色器180と対向する面と、背景部材171bの背景面は白で一致していることが重要となる。そこで、制御部101は、背景部材171a及び背景部材171bの背景面を白にセットして上記キャリブレーションを行う。
【0051】
また、通常、電子写真方式の印刷物の色管理は、中間転写ベルトに対向して設けられたイメージセンサにより検出される、中間転写ベルト上に転写されたトナー像のトナー量により制御されるが、この場合、用紙にトナー像を転写する際の転写効率や、用紙上のトナーと発色の良否によって、実際の印刷物上の印刷結果が変化することになる。そこで、より精度よく色管理を行うために、用紙に印刷された画像を読取部170で読み取り、その階調値をもとに、印刷物の色管理をする手法がある。これを、出力紙濃度調整と呼ぶ。
【0052】
出力紙濃度調整は、以下の3ステップで実施される。
<ステップA>
まず、前出のキャリブレーション同様、キャリブレーションチャートの同一のカラーパッチ(パッチP1)を測色器180と読取部170bで読み取って読み取り値を比較し、読取部170bの読み取り値を、測色器180の読み取り値に変換するための変換式を生成する。
<ステップB>
ステップAの変換式を用いて、キャリブレーションチャートのパッチP2の読取部170bによる読み取り結果を変換し、得られた測定結果をもとに、階調変換テーブル(あるいは同様の効果を持った空間LUT(ルックアップテーブル))を作成し、記憶部104に記憶する。これがジョブ開始前の色管理状態となる。
<ステップC>
ジョブ実行中において、用紙上の画像周辺部(裁ち落とし部)に検査用のカラーパッチを印刷し、または、ジョブにより印刷される画像(画像コンテンツ)において色検査に利用可能な領域を指定して、検査用のカラーパッチや指定した領域を読取部170bで読み取り、その読み取り結果の変動を軽減するよう、印刷時のプロセス条件や、印刷画像の階調変換特性を変換(階調変換テーブル又は空間LUTを変更)し、色調管理する。
図2のステップS11においては、出力紙濃度調整を行う場合ステップA~ステップBを実施し、ステップCについては、ジョブ中に実施する。
【0053】
出力紙濃度調整は、今の色調の如何にかかわらず、現在の色調を維持する(例えばジョブ中の色調変化を押さえる)ことを目標としている。そのため、背景部材171bの背景面は白でも黒でもよいが、ステップA~ステップCまで常に同じものを使うことが必要条件である。ステップCでは、両面印刷のジョブ中に、画像コンテンツの領域を指定して読取結果の変動を算出する場合があり、背景色が白の場合、裏面の画像が写ってノイズになる可能性がある。また、一般的に、白用紙が使用されることが多いため、背景色は白用紙の輪郭を読み取りやすい黒にすることが好ましい。そこで、出力紙濃度調整を実施する場合には、背景部材171a及び背景部材171bの背景面を黒にセットすることが好ましい。
【0054】
次いで、制御部101は、ジョブ実行時の背景部材171a及び171bの背景面の濃度をセットする(ステップS12)。
例えば、ジョブと同時または連携して実施される調整機能に応じて、背景部材171a及び背景部材171bの背景面の濃度をセットする(切り替え制御する)。
例えば、出力紙濃度調整の実施時は、上述のように、背景部材171a及び背景部材171bの背景面を黒にセットする。
また、例えば、測色器180によるキャリブレーション併用時は、キャリブレーション実施時に合わせて、背景部材171a及び背景部材171bの背景面を白にセットする。
【0055】
また、例えば、用紙トレイ105a~105cにセットされている用紙のうち、ジョブで使用される用紙トレイにセットされた用紙の構成に基づいて、背景部材171a及び171bの背景面の濃度をセットすることとしてもよい。
例えば、背景部材171a及び171bの背景面の濃度が、ジョブで使用する枚数が最も多い用紙に適合したものになるようにセットする。例えば、画像形成装置100内(例えば、各用紙トレイ内)に用紙色(又は濃度)を測定するセンサーを具備し、センサーの測定結果に基づいて各用紙トレイの用紙の濃度を取得し、ジョブで最も多く使用する用紙トレイの用紙との濃度差が大きい方の面(黒色面1711又は白色面1712)を背景部材171a及び171bの背景面としてセットする。なお、上記センサーの代わりに読取部170a及び170bの読取画像の階調値を用いて用紙色(又はRGB各々の階調値から換算した濃度)を測定してもよい。
また、ジョブの実行中に画像の位置ずれを監視する用紙(用紙の属性など)をユーザーが入力部103bにより選択可能に構成し、ジョブの実行中の背景部材171a及び171bの濃度が入力部103bにより選択された用紙に適合した濃度となるように背景部材171a及び171bの背景面の濃度をセットする(選択された用紙との濃度差が大きい方の面(黒色面1711又は白色面1712)を背景部材171a及び171bの背景面としてセットする)こととしてもよい。
このように構成することで、より印刷数が多い用紙や、よりユーザーが品質上重要とする用紙に対し、より確度の高い印刷管理ができ、ジョブ全体の品質向上に寄与することができる。
【0056】
また、入力部103bからユーザーにより背景部材171a及び171bの濃度を指示可能に構成し、入力部103bにより指示された濃度となるように背景部材171a及び171bの背景面の濃度をセットすることとしてもよい。これにより、ユーザーが意図した濃度にセットすることが可能となる。
【0057】
次いで、制御部101は、用紙と背景部材171a、171bの濃度差情報を取得する(ステップS13)。
ジョブで使用する用紙トレイが複数ある場合、各々の用紙トレイの用紙色が異なる場合があるので、濃度差情報はジョブで使用する用紙トレイごと(用紙トレイの用紙ごと)に取得する。
濃度差情報は、例えば、上述した用紙色(又は濃度)を測定する専用のセンサーの測定結果から各用紙トレイにセットされている用紙の濃度を求めて、ステップS12でセットされた背景面との濃度差を算出することにより取得することができる。濃度としては、反射率に基づく光学濃度を用いてもよいし、RGB各々の階調値から換算した濃度を用いてもよい。また、例えば、上記センサーの測定結果が色である場合、測定結果を濃度に変換して、ステップS12でセットされた背景面との濃度差を算出する。背景面の濃度は、白の場合と黒の場合を予め測定して記憶部104に記憶しておけばよい。
あるいは、各用紙トレイにセットされている用紙に関する情報(記憶部104に記憶されている)に含むような形で、各用紙トレイにセットされた用紙と背景部材171a、171bの濃度差をユーザーが入力部103bから指定できるようにしてもよい。この場合、濃度差を数値で指定してもよいが、濃度差が大か小かをユーザーが指定するようにし、制御部101は、濃度差大が指定されている場合、濃度差情報を後述する所定値B0より大きい値(例えば、100)として取得し、濃度差小が指定されている場合、濃度差情報を後述する所定値B0より小さい値(例えば、10)として取得してもよい。
【0058】
次いで、制御部101は、印刷物の画像位置ずれ量の測定結果に基づいて実施する制御で用いるパラメーターをセットする(ステップS14)。
ステップS14では、ジョブで使用される用紙ごとに、濃度差情報を参照して、用紙と背景部材の濃度差に応じたパラメーターをセットする。
【0059】
画像位置ずれ量の測定結果に基づいて実施する制御としては、例えば、検品又は画像位置調整がある。
検品では、測定された画像位置ずれ量が予め定められた不良品判断閾値を超えているか否かを判断し、不良品判断閾値を超えていない場合、印刷物が良品(用紙に対する位置ずれが小さい)であると判断して印刷物を通常の排紙経路106bから排出し、不良品判断閾値を超えている場合、印刷物が不良品であると判断して、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかの処理を行う。
(1)印刷物をヤレ紙として排紙経路106cから排出し、再印刷する。
(2)画像位置ずれが発生している旨の警告を表示部103aに表示させる。
(3)自動的にメンテナンスモードに移行する。
ここで、記憶部104には、不良品判断閾値として、用紙と背景部材の濃度差が予め定められた所定値B0以上である場合に対応する閾値th11と、上記濃度差が予め定められた所定値B0未満である場合に対応する閾値th12が記憶されている(閾値th11<閾値th12)。所定値B0は、その値より濃度差が小さいと読取画像において用紙輪郭情報の抽出が失敗することがあるものとして実験的又は経験的に求めた値である。ステップS14では、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御が検品の場合、用紙ごとに、パラメーターとして、用紙と背景部材の濃度差に応じて、不良品判断閾値(閾値th11又はth12)がセットされる。
【0060】
画像位置調整では、測定された画像位置ずれ量に基づいて調整値を算出する。
調整値は、画像位置ずれ量の測定結果、印刷経過時間(印刷枚数)ごとの調整値(調整量)の上限を規定する勾配、及び調整値の算出に用いる印刷物の枚数(平均枚数。何枚の印刷物の読取結果を平均して調整値を求めるかを表す枚数。)のパラメーターに基づいて算出される。ここで、記憶部104には、印刷経過時間(印刷枚数)ごとの調整値の上限を規定する勾配として、用紙と背景部材の濃度差が予め定められた所定値B0以上である場合に対応する勾配g11と、上記濃度差が予め定められた所定値B0未満である場合に対応する勾配g12が記憶されている(勾配g11>勾配g12)。また、記憶部104には、調整値の算出に用いる印刷物の平均枚数として、用紙と背景部材の濃度差が予め定められた所定値B0以上である場合に対応する平均枚数P11と、上記濃度差が予め定められた所定値B0未満である場合に対応する平均枚数P12と、が記憶されている(平均枚数P11<平均枚数P12)。ステップS14では、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御が画像位置調整の場合、用紙ごとに、パラメーターとして、用紙と背景部材の濃度差に応じて、印刷経過時間(枚数)ごとの調整値の上限を規定する勾配(勾配g11又はg12)及び調整値の算出に用いる印刷物の平均枚数(P11又はP12)がセットされる。なお、パラメーターは、調整項目ごとにセットされることとしてもよい。
【0061】
次いで、制御部101は、ジョブに基づく印刷を開始し(ステップS15)、1シート(用紙)分の印刷を実施する(ステップS16)。
ステップS16において、制御部101は、まず、印刷対象の画像データに画像処理(例えば、ラスタライズ処理や、記憶部104に記憶されているカラープロファイルを用いた色変換や階調変換テーブルに基づく処理等)を施す。次いで、制御部101は、画像形成部150及び搬送部106等を制御して画像データに基づく画像コンテンツが用紙上の印刷領域に描画され、トンボT11~T14(図6参照)が用紙の余白部(用紙エッジから所定の距離)に付与された画像を用紙上に印刷させ、定着部160により定着させる。このとき、記憶部104に記憶されている各調整項目の調整値に基づいて、用紙に印刷される画像の位置を調整する。なお、両面印刷を行う場合、制御部101は、搬送部106及び画像形成部150を制御して、両面印刷を行わせる。また、画像形成部150によりトンボT11~T14を印刷する際には、使用する用紙と容易に識別できる濃度の色材(用紙との濃度差が所定の閾値以上の色材)、例えば、黒用紙であれば白トナーや白インクを選択して印刷することが好ましい。これにより、より確度の高い画像位置ずれ測定が可能となる。
【0062】
次いで、制御部101は、読取部170により印刷済み用紙(印刷物)を読み取らせ、用紙輪郭及び背景(背景部材)を含む読取画像を取得する(ステップS17)。
両面印刷の場合は、読取部170a及び読取部170bにより印刷物のそれぞれの面を読み取らせて両面の読取画像を取得し、片面印刷の場合は、読取部170bにより印刷物の印刷面を読み取らせ、片面の読取画像を取得する。ここで、読取画像は、RGBの階調値で得られる。
【0063】
次いで、制御部101は、画像解析部190により読取画像の解析を行わせ、用紙に対する画像位置ずれ量を測定する(ステップS18)。
ステップS18において、制御部101は、画像解析部190により、取得した読取画像から用紙輪郭情報とトンボT11~T14を抽出させ、用紙輪郭の4辺の用紙エッジと対応するトンボT11~T14との距離を取得させる。そして、取得した距離に基づいて、用紙に対する画像の位置ずれ量を測定する。
【0064】
なお、上述の濃度差情報は、ステップS17で取得された読取画像を画像解析部190により解析することにより取得してもよい。そして、読取画像に基づいて取得された濃度差情報に基づいて、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御に用いるパラメーターをセットすることとしてもよい。この場合、濃度差情報の取得及びパラメーターのセットは、ステップS17の後に行われる。濃度としては、読取部170から出力される階調値(読取画像の階調値)又はその換算値を用いる。
【0065】
次いで、制御部101は、取得された濃度差情報を参照し、用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が所定値B0より小さいか否かを判断する(ステップS19)。
【0066】
用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が所定値B0以上であると判断した場合(ステップS19;NO)、制御部101は、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御を通常モードで実施し(ステップS20)、ステップS22に移行する。
一方、用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が所定値B0より小さいと判断した場合(ステップS19;YES)、制御部101は、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御を緩和モードで実施し(ステップS21)、ステップS22に移行する。
【0067】
ここで、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御としては、上述のように、検品又は画像位置調整が挙げられる。
用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が所定値B0より小さい場合、読取画像から用紙輪郭が検出しづらく、読取画像から正確な用紙輪郭情報が抽出できない場合がある。用紙輪郭情報が正確でない場合、用紙輪郭情報と用紙に印刷されたトンボの位置関係に基づいて測定される画像位置ずれ量についても、不正確となる。不正確な画像位置ずれ量をそのまま反映して制御を行うと、過剰な調整や印刷物排除、警告等が発生してしまう。
そこで、制御部101は、用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差に基づいて、画像位置ずれ量の測定結果に基づいて実施される制御の程度(検品の厳しさ(不良品判断の厳しさ)の程度や画像位置調整の調整程度)を加減する。具体的には、用紙の濃度と背景部材の濃度との濃度差が所定値B0より小さいと判断した場合、所定値B0以上と判断した場合に比べて画像位置ずれ量の測定結果に基づいて実施する制御の程度を緩和する。以下、検品と画像位置調整のそれぞれについて説明する。
【0068】
(検品の場合)
図7は、縦軸を画像位置ずれ量、横軸を印刷経過時間(印刷枚数)として、印刷経過ごとの画像位置ずれ量をプロットしたグラフである。
図7に示すように、用紙と背景部材との濃度差が大きい場合(所定値B0以上の場合(□))、画像位置ずれ量の測定結果のばらつきは小さいが、用紙と背景部材との濃度差が小さい場合(所定値B0より小さい場合(〇))、画像位置ずれ量の測定結果のばらつきが大きくなるので、不良品を判断するための不良品判断閾値をばらつきが小さい場合と同じに設定すると、不良品と判断されるケースが頻発することになり、過剰にヤレ紙が排出されたり、警告が行われたりする。そこで、用紙と背景部材との濃度差が所定値B0より小さい場合、不良品判断閾値として通常モードより大きいものを用いる緩和モードで検品を行うことで、不良品判断基準を緩和し、不良品の排出や警告が頻発しないようにする。
具体的には、上段のステップ(図2ではステップS14)でセットされた、印刷物の用紙に対応する不良品判断閾値を用いて検品を行う。通常モードの場合、不良品判断閾値をth11として検品を行う。緩和モードの場合、不良品判断閾値をth11より大きいth12として、検品を行う。
【0069】
このように、用紙と背景部材との濃度差によって、検品における不良品判断閾値を制御するので、例えば一つのジョブ内で複数のトレイから用紙を供給する場合に、不良品判断閾値が、供給される用紙により変化することになる。この制御は、通常、不都合はないが、画像位置ずれをより厳しく管理したい、あるいはヤレ紙比率を最小限に抑えたい場合に、以下のような制御を採用することができる。
【0070】
・ヤレ紙比率を最小限としたい場合
各用紙トレイの不良品判断閾値を確認し、その中で最も不良品判断が緩い(不良品判断閾値が大きい)ものを共通の不良品判断閾値に選定する。
【0071】
・画像位置ずれをより厳しく管理したい場合
各用紙トレイの用紙にセットされた不良品判断閾値を確認し、それとは別に、ユーザーが入力部103bで不良品判断閾値を設定可能な構成とし、ユーザーが入力部103bで設定した不良品判断閾値を用いて検品を行う。その際、ユーザーが設定した不良品判断閾値が、用紙に対してセットされた不良品判断閾値より小さい用紙(用紙トレイ)については、ヤレ紙が多く発生する可能性がある旨、表示部103aに表示し、ユーザーに確認を求める制御を実施してもよい。
このように構成することで、ユーザーが装置の精度に適さない不良品判断閾値を設定した際に、意図しない動作となる可能性を排除あるいは軽減することができる。
【0072】
なお、上記説明では、通常モード及び緩和モードそれぞれで用いられる不良品判断閾値は用紙と背景部材の濃度差に応じて1つ設定していたが、本発明はこの場合に限らない。また、ジョブ中における画像位置ずれの測定結果の経過を加味した制御を行うこととしてもよい。
【0073】
例えば、図8に示すように、上述の不良品判断閾値(第一の閾値とする)より小さな第二の閾値を設定し、この第二の閾値を超える量の画像位置ずれが発生しない状況が所定枚数C1以上(図8では9枚)発生したのちに、第二の閾値を所定枚数C2(図8では5枚)以上、連続して超える場合に、第二の閾値を超える画像位置ずれが発生した印刷物を不良品として判断してもよい。この場合、不良品の判断を実施するために、所定枚数C2の結果監視が必要なため、第二の閾値を所定枚数C2が超えた時点(図8では黒丸で示した時点)で不良品の判断を実施し、そこから遡って、連続して第二の閾値を超えた印刷物(図8ではハッチングを付けた丸)を不良品(ヤレ)として排出する。
または、第二の閾値を超える画像位置ずれが発生しない状況が所定枚数C1以上(図8では9枚)発生したのちに、1枚でも第二の閾値を超えた場合、その印刷物を不良品と判断してもよい。また、第二の閾値は印刷の経過に応じて適宜変化させてもよい。例えば印刷時間が経過していく中で、徐々に印刷物の画像位置のずれ量のばらつきが増加(あるいは減少)してきた場合、これに応じて、第二の閾値を、徐々に大きく(小さく)設定するよう、制御してもよい。
このように、ジョブ中における画像位置ずれの測定結果の経過を加味した制御を行うことで、確度の高い印刷管理が可能となる。
【0074】
(画像位置調整の場合)
用紙と背景部材の濃度差が小さい場合、上述のように用紙輪郭情報が正確に抽出できず大きくばらつく可能性があるため、用紙輪郭を用いて測定した画像位置ずれ量の測定結果をそのまま調整値として画像位置調整に反映すると、画像位置が不安定となる可能性がある。そこで、前記濃度差が所定値B0より小さい場合に、緩和モードで画像位置調整を行い、画像位置ずれ量の測定結果の画像位置調整への反映を濃度差が所定値B0以上である場合よりも和らげるよう制御することで、ノイズによる画像位置の変動を抑えることができる。
具体的には、上段のステップ(図2ではステップS14)でセットされた、印刷物の用紙に対応する調整量の上限を規定する勾配及び平均枚数を用いて画像位置調整を行う。通常モードの場合、勾配をg11、平均枚数をP11として調整値を算出する。緩和モードの場合、勾配をg11より小さいg12、平均枚数をP11より大きいP12として調整値を算出する。
【0075】
図9(a)は、縦軸を画像位置ずれ量、横軸を印刷経過時間(印刷枚数)として、用紙と背景部材との濃度差が大きい場合(所定値B0以上の場合)に通常モードで画像位置調整を行った場合の印刷経過ごとの画像位置ずれ量をプロットしたグラフである。
用紙と背景部材との濃度差が大きい場合、1枚ごとの画像位置ずれ量の測定ばらつきが小さいから、少ない枚数P11(ここでは3枚)の平均で現在の位置ずれの状況を正しく把握することができるため、平均枚数を3枚とし、3枚分の平均ずれ量を算出する。そして、平均ずれ量に基づいて、勾配g11により規定される調整値上限を限度として調整値を算出し、次の印刷時に、この調整値を適用する。その際の調整値上限を規定する勾配g11を図9(a)において一点鎖線の勾配で表している。t1の時点に適用する調整値上限を矢印で示す。
【0076】
図9(b)は、縦軸を画像位置ずれ量、横軸を印刷経過時間(印刷枚数)として、用紙と背景部材との濃度差が小さい場合(所定値B0未満の場合)に緩和モードで画像位置調整を行った場合の印刷経過ごとの画像位置ずれ量をプロットしたグラフである。
用紙輪郭と背景部材との濃度差が小さい場合、1枚ごとの画像位置ずれ量の測定ばらつきが大きいから、通常モードよりも多くの枚数の平均で、現在の位置ずれの状況を把握する必要がある。そこで、より多くの枚数P12(ここでは5枚分)を平均枚数として平均ずれ量を算出する。そして、平均ずれ量に基づいて、勾配g12により規定される調整値上限を限度として調整値を算出し、次の印刷時に、この調整値を適用する。その際の調整値上限を規定する勾配g12を図9(b)において一点鎖線の勾配で表している。t2の時点に適用する調整値上限を矢印で示す。この調整値上限を規定する勾配g12も、通常モードに比べて小さく設定している。このようにすることで、不確実な画像位置ずれの測定結果に基づく画像位置調整の調整程度を少なくし(緩和し)、1枚1枚の画像位置ずれ測定にばらつきがあっても、ばらつきの影響を受けにくい画像位置調整が可能となる。
【0077】
なお、出力紙濃度調整を行っている場合は、例えば、読取画像の所定の領域の色に基づいて、印刷時のプロセス条件や、階調変換カーブの変更等を行ってからステップS22に移行する。
【0078】
ステップS22において、制御部101は、全シートの印刷が終了したか否かを判断し、全シートの印刷が終了していないと判断した場合(ステップS22;NO)、ステップS16に戻り、次のシートに対して、ステップS16~ステップS22の処理を実行する。
全シートの印刷が終了したと判断した場合(ステップS22;YES)、制御部101は、印刷処理を終了する。
【0079】
なお、上記印刷処理においては、ジョブ中に用紙にトンボを印刷して、トンボと用紙輪郭との距離に基づいて画像位置ずれ量を測定する場合を例にとり説明したが、画像位置ずれ量の測定手法はこれに限定されない。例えば、制御部101は、ジョブの画像データに基づいて、印刷に用いる用紙に当該画像データに基づく画像を印刷した場合の印刷結果を予測してその印刷イメージを表す画像を比較画像情報として生成し、生成した比較画像情報における用紙輪郭と画像コンテンツとの位置関係と、実際に用紙にジョブの画像データに基づく画像を印刷した場合の印刷結果を読取部170で読み取ることにより得られた読取画像における用紙輪郭と画像コンテンツとの位置関係に基づいて、位置ずれ量を算出することとしてもよい。
【0080】
以上説明したように、画像形成装置100によれば、制御部101は、画像形成部150により画像が印刷された用紙を読取部170において読み取ることにより取得された読取画像から画像解析部190により用紙輪郭情報を抽出し、抽出した用紙輪郭情報に基づいて用紙に対する画像の位置ずれを測定し、画像の位置ずれの測定結果に基づく制御を実施する。その際、用紙と背景部材の濃度差に基づいて、画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する制御の程度を加減する。例えば、用紙と背景部材の濃度差が所定値より小さい場合は、用紙と背景部材の濃度差が所定値以上である場合に比べて画像の位置ずれの測定結果に基づいて実施する制御の程度を緩和させる。
したがって、用紙と背景部材の濃度差が小さいことにより読取画像から用紙輪郭が正確に取得できない場合に生じる不具合を低減することが可能となる。
【0081】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る画像検査装置の好適な例であり、これに限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施形態では、本発明の画像検査装置が、画像形成装置100と一体的に構成されている(画像形成装置100に組み込まれている)場合を例にとり説明したが、本発明の画像検査装置は、画像形成装置とは別体に構成されていてもよい。
【0083】
図10は、画像形成装置(画像形成装置1)と画像検査装置(画像検査装置2)を別体に構成した場合の構成例を示す図である。図10に示すように、画像検査装置2は図1に示した読取部170、測色器180、画像解析部190の他、制御部201、通信部202、表示部203a、入力部203b、記憶部204、搬送部206等を備えて構成されている。記憶部204には、用紙と背景部材の濃度差が所定値B0以上の場合と所定値B0未満の場合のそれぞれに対応する、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御で用いられるパラメーターが記憶されている。
【0084】
図10に示すように、画像検査装置2は、画像形成装置1で画像が印刷された用紙(印刷物)の用紙束Pから、用紙を1枚ずつ読取部170に搬送し、画像が印刷された用紙の読み取りを実施する。その際、制御部201は、画像形成装置1で印刷する際に用いられたジョブ情報(ジョブの設定情報)のうち必要な情報を、読取画像に基づく画像位置ずれの測定の実施に先立ち、または画像位置ずれ測定中に、画像解析部190による読取画像の解析に間に合うよう、通信部202を介して画像形成装置1から受け取り、記憶部204に記憶させる。制御部201は、受け取ったジョブ情報に基づいて、画像解析部190により読取部170により取得された読取画像の画像解析を行い、画像位置ずれ量を測定し、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御を行う。ジョブ情報には、画像形成装置1のジョブで使用された用紙トレイ105a~105cの情報や、用紙トレイの各々にセットされた用紙の色やサイズ、用紙種別等の属性、総印刷用紙数、ジョブと同時または連携して実施される調整機能の情報等、位置ずれの測定に必要な複数の情報が含まれる。画像読み取り時の背景部材171a、171bの濃度の制御(背景面のセット)や解析制御は、上記実施形態で説明した画像形成装置100に組み込まれた画像検査装置と同様であるが、印刷はすでに終了しているから、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御としては、画像位置ずれ量の測定結果が不良品判断閾値以上である場合にその用紙を不良品(ヤレ紙)と判断して排紙経路206cから排出する制御等(検品)を行う。不良品判断閾値は、上記実施形態と同様に、用紙と背景部材の濃度差に基づいて加減する。また、ヤレとして排紙した印刷結果を再印刷する必要があるため、再印刷のための再印刷ジョブ情報を生成する。再印刷ジョブ情報には、不良印刷の要因に基づいて、例えば画像位置ずれを補正するための調整値が含まれてもよい。
【0085】
なお、図10においては、画像検査装置2は、画像形成装置1で画像が印刷された用紙(印刷物)の用紙束Pから、用紙を1枚ずつ読取部170に搬送し、画像が印刷された用紙の読み取りや読取画像の解析等を実施することとしたが、画像形成装置1で画像が印刷された用紙をそのまま順次読取部170に搬送して画像が印刷された用紙の読み取りや読取画像の解析等を実施することとしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態で濃度を用いた部分については、濃度の代わりに色を使用してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、1つの所定値B0を用いて、画像位置ずれ量の測定結果に基づく制御の程度を2段階に分岐した場合を例にとり説明したが、N個の所定値を用いて、制御の程度をN+1段階に分岐してもよい(Nは正の整数)。
【0088】
また、上記実施形態では、背景部材171aと背景部材171bは同じ濃度の背景面にセットされることとしたが、異なる濃度にセットしてもよい。
【0089】
また、上記の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として不揮発性の半導体メモリーやハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【0090】
その他、画像検査装置及び画像形成装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 画像形成装置
101 制御部
102 通信部
103 操作表示部
104 記憶部
105 給紙部
106 搬送部
150 画像形成部
160 定着部
170 読取部
170a 読取部
170b 読取部
171a 背景部材
171b 背景部材
180 測色器
190 画像解析部
1 画像形成装置
2 画像検査装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10