(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20241008BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241008BHJP
A61N 1/362 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G08B25/04 K
H04M11/00 302
A61N1/362
(21)【出願番号】P 2020203029
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 豊和
(72)【発明者】
【氏名】相良 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0357031(US,A1)
【文献】国際公開第2008/149467(WO,A1)
【文献】特開2019-113989(JP,A)
【文献】特開2016-058899(JP,A)
【文献】特開2013-114430(JP,A)
【文献】特開2016-224618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N1/00-1/44
G06Q50/22
G08B19/00-31/00
G16H10/00-80/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する通報の情報を医療従事者に通知するメッセージを生成し、
前記メッセージに基づいて前記患者の元へ向かう前記医療従事者がAEDを持ち出した場合、前記AEDが持ち出された設置場所の情報を前記通報と関連づける、制御部、
を備え
、
前記制御部は、
前記医療従事者の端末装置の位置と前記医療従事者の車両の位置とが一致していると、前記医療従事者が前記車両に搭乗していると判定し、
複数のAEDの設置場所のうちのいずれかの設置場所において前記車両が所定時間以上停止していたと判定すると、当該設置場所から前記AEDが持ち出されたと推定する、情報処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記端末装置又は前記車両に前記メッセージを送信する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の情報処理装置において、
複数の医療従事者の位置情報を記憶している記憶部をさらに備える、情報処理装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記位置情報が前記患者の位置に近い前記医療従事者に前記メッセージを送信する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項
3又は
4に記載の情報処理装置において、
前記記憶部は、複数のAEDの設置場所の情報を記憶している、情報処理装置。
【請求項6】
患者に関する通報の情報を医療従事者に通知するメッセージを生成することと、
前記メッセージに基づいて前記患者の元へ向かう前記医療従事者がAEDを持ち出した場合、前記AEDが持ち出された設置場所の情報を前記通報と関連づけることと、
前記医療従事者の端末装置の位置と前記医療従事者の車両の位置とが一致していると、前記医療従事者が前記車両に搭乗していると判定することと、
複数のAEDの設置場所のうちのいずれかの設置場所において前記車両が所定時間以上停止していたと判定すると、当該設置場所から前記AEDが持ち出されたと推定することと、
を含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項7】
請求項
6に記載のプログラムにおいて、
前記端末装置又は前記車両に前記メッセージを送信すること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項8】
請求項
6又は7に記載のプログラムにおいて、
複数の医療従事者の位置情報を記憶すること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項9】
請求項
8に記載のプログラムにおいて、
前記位置情報が前記患者の位置に近い前記医療従事者に前記メッセージを送信すること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項10】
請求項
6から
9のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
複数のAEDの設置場所の情報を記憶すること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項11】
患者に関する通報の情報を医療従事者に通知するメッセージを生成することと、
前記メッセージに基づいて前記患者の元へ向かう前記医療従事者がAEDを持ち出した場合、前記AEDが持ち出された設置場所の情報を前記通報と関連づけることと、
前記医療従事者の端末装置の位置と前記医療従事者の車両の位置とが一致していると、前記医療従事者が前記車両に搭乗していると判定することと、
複数のAEDの設置場所のうちのいずれかの設置場所において前記車両が所定時間以上停止していたと判定すると、当該設置場所から前記AEDが持ち出されたと推定することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の情報処理方法において、
前記端末装置又は前記車両に前記メッセージを送信すること、をさらに含む、情報処理方法。
【請求項13】
請求項
11又は12に記載の情報処理方法において、
複数の医療従事者の位置情報を記憶すること、をさらに含む、情報処理方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の情報処理方法において、
前記位置情報が前記患者の位置に近い前記医療従事者に前記メッセージを送信すること、をさらに含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AED(Automated External Defibrillator)の普及が進み、多くの場所にAEDが設置されるようになりつつある。
【0003】
特許文献1は、駐車場の精算機にAED収納ボックスが設置されている駐車場管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
治療のためにAEDが持ち出されたときに、設置場所から遠く離れた場所にAEDが持ち出されると、AEDがどこに持ち出されたかわからなくなる場合がある。
【0006】
本開示の目的は、AEDがどこに持ち出されたかを特定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、
患者に関する通報の情報を医療従事者に通知するメッセージを生成し、
前記メッセージに基づいて前記患者の元へ向かう前記医療従事者がAEDを持ち出した場合、前記AEDが持ち出された設置場所の情報を前記通報と関連づける、制御部、
を備える。
【0008】
本開示に係るプログラムは、
患者に関する通報の情報を医療従事者に通知するメッセージを生成することと、
前記メッセージに基づいて前記患者の元へ向かう前記医療従事者がAEDを持ち出した場合、前記AEDが持ち出された設置場所の情報を前記通報と関連づけることと、
を含む動作をコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示に係る情報処理方法は、
患者に関する通報の情報を医療従事者に通知するメッセージを生成することと、
前記メッセージに基づいて前記患者の元へ向かう前記医療従事者がAEDを持ち出した場合、前記AEDが持ち出された設置場所の情報を前記通報と関連づけることと、
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、AEDがどこに持ち出されたかを特定できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
図1を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成及び概要を説明する。
【0014】
情報処理システム1は、情報処理装置10と、車両20と、端末装置30とを備える。情報処理装置10と、車両20と、端末装置30とは、ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。ネットワーク40は移動体通信網及びインターネットなどを含むネットワークであってよい。
【0015】
図1では、情報処理装置10、車両20及び端末装置30をそれぞれ1台ずつ示しているが、情報処理装置10、車両20及び端末装置30は、それぞれ2台以上であってもよい。
【0016】
図1に示すように、車両20は、医療従事者2が搭乗している車両である。また、端末装置30は、車両20に搭乗している医療従事者2が所有している端末装置である。
【0017】
医療従事者2は、医師、看護師、救急救命士などであってよい。
【0018】
AED3は、所定の設置場所に設置されているAEDである。医療従事者2は、治療に必要な場合、AED3を持ち出すことができる。
図1では、AED3を1台示しているが、複数のAED3が、それぞれの所定の設置場所に設置されていてよい。
【0019】
患者4は、自宅、道路などのような病院以外の場所にいる患者である。患者4は、治療が必要である旨を、救急センターなどのような救急患者に対応可能な組織に通報する。本実施形態においては、救急患者に対応可能な組織が救急センターである場合を例に挙げて説明する。救急センターに通報するのは患者4でなくてもよい。例えば、患者4の異変に気付いた第三者が、救急センターに通報してもよい。
【0020】
情報処理装置10は、例えば、サーバとして機能するように構成された専用のコンピュータである。情報処理装置10は、汎用のPC(Personal Computer)であってもよい。
【0021】
情報処理装置10は、車両20及び端末装置30と、ネットワーク40を介して通信可能である。情報処理装置10は、患者4に関する通報の情報を救急センターなどから取得すると、患者4に関する通報の情報を医療従事者2に通知するメッセージを生成し、医療従事者2の端末装置30、又は、医療従事者2が搭乗している車両20に送信する。以後、「患者4に関する通報の情報を医療従事者2に通知するメッセージ」のことを、単に「メッセージ」と称して説明する場合もある。
【0022】
情報処理装置10は、メッセージを見た医療従事者2がメッセージに基づいて患者4の元へ向かうときにAED3を持ち出した場合、AED3が持ち出された設置場所の情報を、通報と関連づけて記憶する。
【0023】
車両20は、情報処理装置10及び端末装置30と、ネットワーク40を介して通信可能である。車両20は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、EV(Electric Vehicle)、又はFCV(Fuel Cell Vehicle)などの任意の種類の自動車である。車両20は、任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)のレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。車両20は、MaaS(Mobility as a Service)専用車両でもよい。
【0024】
端末装置30は、情報処理装置10及び車両20とネットワーク40を介して通信可能である。端末装置30は、例えば、スマートフォン又はタブレットなどであってよい。
【0025】
図2を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の構成を説明する。
【0026】
情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、制御部15とを備える。
【0027】
通信部11は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部11は、LAN(Local Area Network)に対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、情報処理装置10は、通信部11を介してネットワーク40に接続されている。通信部11は、ネットワーク40を介して多様な情報を送信及び受信する。通信部11は、ネットワーク40を介して、車両20及び端末装置30と通信可能である。
【0028】
記憶部12は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部12は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、情報処理装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部11によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部12に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク40から受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部12の一部は、情報処理装置10の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部12の一部は、任意のインタフェースを介して情報処理装置10と接続されてよい。
【0029】
入力部13は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力用インタフェースを含む。例えば、入力部13は、物理キー、静電容量キー、出力部14のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等を含むが、これに限定されない。
【0030】
出力部14は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力部14は、情報を画像で出力するディスプレイ、情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0031】
制御部15は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部15は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0032】
図3を参照して、本開示の実施形態に係る車両20の構成を説明する。
【0033】
車両20は、通信装置21と、制御装置22と、位置情報取得装置23と、出力装置24とを備える。通信装置21、制御装置22、位置情報取得装置23及び出力装置24は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0034】
通信装置21は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信装置21は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、車両20は、通信装置21を介してネットワーク40に接続されている。通信装置21は、ネットワーク40を介して多様な情報を送信及び受信する。通信装置21は、ネットワーク40を介して、情報処理装置10及び端末装置30と通信可能である。
【0035】
制御装置22は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御装置22は、車両20の各部を制御しながら、車両20の動作に関わる処理を実行する。
【0036】
位置情報取得装置23は、任意の衛星測位システムに対応する1つ以上の受信機を含む。例えば、位置情報取得装置23は、GPS(Global Positioning System)受信機を含んでもよい。位置情報取得装置23は、車両20の位置の測定値を位置情報として取得する。位置情報は、例えば住所、緯度、経度、及び高度等を含む。
【0037】
出力装置24は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力装置24は、情報を映像で出力するディスプレイ、情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0038】
図4を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置30の構成を説明する。
【0039】
端末装置30は、通信部31と、記憶部32と、入力部33と、出力部34と、制御部35と、位置情報取得部36とを備える。
【0040】
通信部31は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部31は、LTE、4G及び5G等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、端末装置30は、通信部31を介してネットワーク40に接続されている。通信部31は、ネットワーク40を介して多様な情報を送信及び受信する。通信部31は、ネットワーク40を介して、情報処理装置10及び車両20と通信可能である。
【0041】
記憶部32は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部32は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、端末装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部31によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部32に記憶された情報は、例えば通信部31を介してネットワーク40から受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部32の一部は、端末装置30の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部32の一部は、任意のインタフェースを介して端末装置30と接続されてよい。
【0042】
入力部33は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力用インタフェースを含む。例えば、入力部33は、物理キー、静電容量キー、出力部34のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0043】
出力部34は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力部34は、情報を画像で出力するディスプレイ、情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0044】
制御部35は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部35は、端末装置30の各部を制御しながら、端末装置30の動作に関わる処理を実行する。
【0045】
位置情報取得部36は、任意の衛星測位システムに対応する1つ以上の受信機を含む。例えば、位置情報取得部36は、GPS受信機を含んでもよい。位置情報取得部36は、端末装置30の位置の測定値を位置情報として取得する。位置情報は、例えば住所、緯度、経度、及び高度等を含む。
【0046】
(情報処理システムの動作)
図1に示す情報処理システム1の動作を、
図1~
図4を参照して説明する。
【0047】
患者4は、自宅、道路などのような病院以外の場所において治療を必要としている患者である。患者4又は患者4の異変に気付いた第三者は、患者4に治療が必要である旨を、救急センターに通報する。
【0048】
救急センターに設置されているサーバなどの情報通信機器は、患者4に関する通報の情報を、情報処理装置10に送信する。患者4に関する通報の情報は、例えば、患者の氏名、通報を受けた日時、患者の位置、患者の状態、AEDの要否などの情報を含んでよい。以後、「患者4に関する通報の情報」を、単に「通報情報」と称して説明する場合もある。
【0049】
情報処理装置10の通信部11は、救急センターに設置されている情報通信機器が送信した通報情報を受信する。制御部15は、救急センターに設置されている情報通信機器が送信した通報情報を、通信部11を介して取得する。
【0050】
記憶部12は、複数の医療従事者2の位置情報を記憶している。記憶部12が位置情報を記憶している医療従事者2は、自分の位置情報を登録することを了承している医療従事者である。
【0051】
記憶部12は、医療従事者2に関連づけて、医療従事者2が所有している端末装置30の識別情報、端末装置30の位置情報、医療従事者2が所有している車両20の識別情報、車両20の位置情報などの情報を記憶している。
【0052】
ここで、医療従事者2の位置情報は、医療従事者2が所有している端末装置30の位置情報であってよい。医療従事者2が車両20に搭乗している場合は、医療従事者2の端末装置30の位置と、医療従事者2の車両20の位置とは一致している。なお、ここで、医療従事者2の端末装置30の位置と、医療従事者2の車両20の位置とが一致しているとは、位置が完全に一致している場合に限らず、医療従事者2の端末装置30の位置と、医療従事者2の車両20の位置とが所定の距離の範囲にある場合を含む。
【0053】
記憶部12が記憶している医療従事者2の端末装置30の位置情報は、定期的に更新されている。医療従事者2の端末装置30の位置情報は、情報処理装置10が端末装置30の位置情報を定期的に取得することによって、定期的に更新されている。端末装置30の制御部35は、位置情報取得部36が取得した端末装置30の位置情報を、通信部31を介して情報処理装置10に定期的に送信している。
【0054】
記憶部12が記憶している医療従事者2の車両20の位置情報は、定期的に更新されている。医療従事者2の車両20の位置情報は、情報処理装置10が車両20の位置情報を定期的に取得することによって、定期的に更新されている。車両20の制御装置22は、位置情報取得装置23が取得した車両20の位置情報を、通信装置21を介して情報処理装置10に定期的に送信している。
【0055】
制御部15は、通報情報を取得すると、通報情報を医療従事者2に通知するためのメッセージを生成する。制御部15は、記憶部12を参照して、患者4の位置と近い位置にいる医療従事者2の情報を抽出する。この際、制御部15は、医療従事者2の端末装置30の位置情報に基づいて、患者4の位置と近い位置にいる医療従事者2の情報を抽出してよい。
【0056】
制御部15は、患者4の位置に最も近い位置にいる医療従事者2に、通信部11を介して生成したメッセージを送信する。制御部15は、医療従事者2の端末装置30に、通信部11を介してメッセージを送信してよい。あるいは、患者4の位置に最も近い位置にいる医療従事者2の端末装置30の位置と車両20の位置とが一致していて、医療従事者2が車両20に搭乗していると推定される場合、医療従事者2の車両20に、通信部11を介してメッセージを送信してよい。以後の説明は、制御部15が、医療従事者2の端末装置30に、通信部11を介してメッセージを送信するものとして説明する。
【0057】
端末装置30の通信部31は、情報処理装置10が送信したメッセージを受信する。制御部35は、情報処理装置10が送信したメッセージを、通信部31を介して取得する。
【0058】
制御部35は、メッセージを出力部34に出力させる。出力部34が出力するメッセージは、患者4に関する通報の情報を含む。制御部35は、メッセージを、画像として出力部34に表示させてもよいし、音声として出力部34から出力させてもよい。
【0059】
入力部33は、メッセージに対する医療従事者2の入力を受け付ける。医療従事者2が入力した内容は、医療従事者2が患者4の元へ向かうことができるか否かの情報を含む。
【0060】
制御部35は、入力部33が医療従事者2から受け付けた情報を、通信部31を介して情報処理装置10に送信する。
【0061】
情報処理装置10の通信部11は、端末装置30から、メッセージに対し医療従事者2が入力した内容を受信する。制御部15は、メッセージに対し医療従事者2が入力した内容を、通信部11を介して取得する。
【0062】
制御部15は、端末装置30から取得した内容が、患者4の元へ向かうことができないとの情報を含む場合、患者4の位置に次に近い位置にいる医療従事者2の端末装置30に、通信部11を介してメッセージを送信する。制御部15は、患者4の元へ向かうことができるとの情報を端末装置30から取得するまで、医療従事者2の端末装置30に、通信部11を介してメッセージを送信する処理を繰り返す。この際、制御部15は、患者4の位置に近い順から優先順位をつけて、医療従事者2の端末装置30にメッセージを送信してよい。
【0063】
端末装置30の入力部33に、患者4の元へ向かうことができるとの内容を入力した医療従事者2は、患者4の元へ向かう。医療従事者2が車両20へ搭乗している場合、医療従事者2は、車両20に乗って患者4の元へ向かってよい。車両20が自動運転可能な車両である場合、車両20は、自動運転で患者4の元へ向かってよい。この場合、車両20は、患者4の位置情報を情報処理装置10から取得し、患者4の位置を目的地として設定してよい。
【0064】
端末装置30の制御部35が情報処理装置10から取得するメッセージは、AEDの要否の情報を含む。AEDが必要であるとの情報を出力部34が出力した場合、医療従事者2は、AED3の設置場所に向かい、AED3を持ち出してから患者4の元へ向かって患者4の応急処置をする。
【0065】
AED3を持ち出すと、医療従事者2は、持ち出したAED3が設置されていた設置場所の情報を、端末装置30の入力部33に入力する。制御部35は、AED3の設置場所の情報を、通信部31を介して情報処理装置10に送信する。
【0066】
情報処理装置10の通信部11は、AED3の設置場所の情報を受信する。制御部15は、AED3の設置場所の情報を、通信部11を介して取得する。
【0067】
制御部15は、AED3の設置場所の情報を、患者4に関する通報の情報と関連づけて、記憶部12に記憶する。
【0068】
これにより、記憶部12に記憶されている通報情報は、当該通報情報の患者4のために持ち出されたAED3の設置場所の情報と関連づけられている。したがって、記憶部12に記憶されている通報情報にアクセスすることにより、どの通報に対し、どこの設置場所にあったAED3が持ち出されたのかを知ることができる。
【0069】
例えば、患者4が運び込まれた病院の職員が、患者4の治療のために使用されたAED3を、もともとAED3が設置されていた場所に戻したい場合、病院の職員が情報処理装置10の記憶部12に記憶されている通報情報にアクセスすることで、AED3の設置場所の情報を取得することができる。この際、病院の職員は、例えば、患者の氏名を入力して、AED3の設置場所を検索してよい。
【0070】
例えば、AED3の設置場所の管理者が、AED3が持ち出されたことに気付いてどこにAED3が持ち出されたかを知りたい場合、AED3の管理者が情報処理装置10の記憶部12に記憶されている通報情報にアクセスすることで、AED3がどの通報に用いられたかの情報を取得することができる。この際、AED3の管理者は、例えば、AED3の設置場所を入力して、当該AED3が関連づけられている通報を検索してよい。
【0071】
<持ち出されたAEDの設置場所の推定>
上述の実施形態においては、持ち出したAED3の設置場所の情報を医療従事者2が端末装置30に入力する場合を説明したが、医療従事者2が車両20に搭乗して患者4の元へ向かう場合、車両20の位置情報に基づいて、情報処理装置10が、持ち出されたAED3の設置場所を推定してもよい。
【0072】
情報処理装置10の制御部15は、医療従事者2の端末装置30から患者4の元へ向かうことができるとの情報を取得すると、記憶部12に記憶されている当該医療従事者2の端末装置30の位置情報と、当該医療従事者2の車両20の位置情報とを取得する。
【0073】
制御部15は、医療従事者2の端末装置30の位置と、医療従事者2の車両20の位置情報とが一致している場合、医療従事者2が車両20に搭乗していると判定する。制御部15は、医療従事者2が搭乗している車両20から、車両20の位置情報を、通信部11を介して定期的に取得する。
【0074】
記憶部12は、複数のAED3の設置場所の情報を記憶している。
【0075】
制御部15は、患者4の元へ向かっている医療従事者2が搭乗している車両20が、記憶部12に記憶されている複数のAED3の設置場所のうちのいずれかの設置場所において所定時間以上停止していたと判定すると、当該設置場所からAED3が持ち出されたと推定する。
【0076】
制御部15は、推定したAED3の設置場所の情報を、患者4に関する通報の情報と関連づけて、記憶部12に記憶する。
【0077】
図5に示すフローチャートを参照して、情報処理システム1の動作を説明する。
【0078】
ステップS101において、情報処理装置10の制御部15は、救急センターに設置されている情報通信機器が送信した、患者4に関する通報の情報を、通信部11を介して取得する。
【0079】
ステップS102において、制御部15は、通報情報を医療従事者2に通知するためのメッセージを生成する。
【0080】
ステップS103において、制御部15は、患者4の位置に最も近い位置にいる医療従事者2に、通信部11を介してメッセージを送信する。
【0081】
ステップS104において、制御部15は、いずれかの設置場所からAED3が持ち出されたか否かを判定する。制御部15は、医療従事者2が端末装置30にAED3の設置場所を入力し、AED3の設置場所の情報を端末装置30から通信部11を介して取得すると、AED3が持ち出されたと判定する。あるいは、制御部15は、患者4の元へ向かっている医療従事者2が搭乗している車両20が、複数のAED3の設置場所のいずれかにおいて所定時間以上停止していたと判定すると、当該設置場所からAED3が持ち出されたと推定する。
【0082】
AED3が持ち出されていないと判定した場合(ステップS104のNo)、制御部15は、処理を終了する。
【0083】
AED3が持ち出されたと判定した場合(ステップS104のYes)、制御部15は、ステップS105に進む。
【0084】
ステップS105において、制御部15は、医療従事者2が持ち出したAED3の設置場所の情報を、患者4に関する通報の情報と関連づけて、記憶部12に記憶する。
【0085】
上述のように、本実施形態に係る情報処理装置10において、制御部15は、患者4に関する通報の情報を医療従事者2に通知するメッセージを生成し、メッセージに基づいて患者4の元へ向かう医療従事者2がAED3を持ち出した場合、AED3が持ち出された設置場所の情報を通報と関連づける。このように、持ち出されたAED3の設置場所の情報が通報と関連づけられるため、AED3がどの通報に対応するために持ち出されたかを特定することができる。通報の情報を参照すれば、AED3がどの患者のために用いられたかを特定することが出来るため、本実施形態に係る情報処理装置10は、AED3がどこに持ち出されたかを特定することができる。
【0086】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0087】
例えば、上述した実施形態において情報処理装置10において実行される一部の処理動作が、車両20又は端末装置30において実行されてもよい。
【0088】
例えば、上述した実施形態において端末装置30において実行される一部の処理動作が、車両20において実行されてもよい。
【0089】
例えば、スマートフォン又はコンピュータ等の汎用の電子機器を、上述した実施形態に係る情報処理装置10として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る情報処理装置10等の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、一実施形態に係る開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0090】
上述した実施形態において、医療従事者2が医療従事者2の車両20に搭乗して患者4の元へ向かう場合を説明したが、医療従事者2が搭乗する車両20は、医療従事者2が所有する車両20に限定されない。例えば、医療従事者2以外の第三者が、当該第三者の所有する車両20に医療従事者2を搭乗させて、患者4の元へ向かってもよい。
【0091】
上述した実施形態において、医療従事者2がAED3を持ち出して患者4の元へ向かう場合を説明したが、医療従事者2以外の第三者がAED3を患者4の元へ運んでもよい。この場合、医療従事者2は、AED3を持たずに患者4の元へ向かってもよい。
【0092】
上述した実施形態において、医療従事者2が患者4の元へ向かうものとして説明したが、患者4の元へ向かう者は医療従事者2に限定されない。例えば、救急救命の講座を受けた一般人が患者4の元へ向かってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 情報処理システム
2 医療従事者
3 AED
4 患者
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 制御部
20 車両
21 通信装置
22 制御装置
23 位置情報取得装置
24 出力装置
30 端末装置
31 通信部
32 記憶部
33 入力部
34 出力部
35 制御部
36 位置情報取得部
40 ネットワーク