(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ボトル検査方法及びボトル検査装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/28 20060101AFI20241008BHJP
B65B 61/26 20060101ALI20241008BHJP
B65B 3/02 20060101ALI20241008BHJP
B65B 57/02 20060101ALI20241008BHJP
B65B 57/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65B61/28
B65B61/26
B65B3/02
B65B57/02 D
B65B57/04
(21)【出願番号】P 2020205849
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 高明
(72)【発明者】
【氏名】桑野 誠司
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-047944(JP,A)
【文献】特開2015-200595(JP,A)
【文献】特開2020-063994(JP,A)
【文献】特開2003-010791(JP,A)
【文献】特開2013-075712(JP,A)
【文献】特開平10-297095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/28
B65B 61/26
B65B 3/02
B65B 57/02
B65B 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームをボトルに成形し、前記プリフォーム又は前記ボトルの少なくとも一方を殺菌することにより得られる殺菌された前記ボトルに無菌雰囲気で殺菌された内容物を充填後、前記内容物が充填された前記ボトルを密封する無菌充填機において、ボトルを検査するボトル検査方法であって、
少なくとも前記ボトルの口部天面、サポートリング、胴部及び底部を撮像し、
撮像により得られる画像を再生可能に保存し、
前記画像を所定の基準と照合して前記ボトルの良否を判断し、
撮像された箇所の良否を識別可能に印字し、
不良と判断された前記ボトルを前記無菌充填機から排出
し、
排出された前記ボトルの印字された情報から前記ボトルの不良箇所を特定し、特定された不良箇所を撮像し、撮像された画像と排出された前記ボトルの保存された前記画像を照合し、不良との判断が適切か否かを検証し、判断基準及び判断基準の入力について見直しを行うことを特徴とするボトル検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のボトル検査方法において、
前記印字をレーザー照射により行うことを特徴とするボトル検査方法。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2に記載のボトル検査方法において、
不良と判断された前記ボトルに、検査時刻又はボトル検査装置において前記ボトルを把持するグリッパの番号の少なくとも一方を印字することを特徴とするボトル検査方法。
【請求項4】
プリフォーム及びボトルを搬送する搬送路、前記プリフォームを供給するプリフォーム供給装置、供給された前記プリフォームを成形温度に加熱する加熱部、加熱された前記プリフォームを前記ボトルに成形するボトル成形部、成形された前記ボトルを検査ずるボトル検査部、前記プリフォーム又は前記ボトルの少なくとも一方を殺菌する殺菌部、殺菌された前記ボトルに殺菌された内容物を充填する充填部及び内容物が充填された前記ボトルを密封する密封部を備える無菌充填機において、前記ボトル検査部を構成するボトル検査装置が、
少なくとも前記ボトルの口部天面、サポートリング、胴部及び底部を撮像する撮像装置、
撮像された画像を再生可能に保存する画像保存装置、
撮像された前記画像を所定の基準と照合し、前記ボトルの良否を判断する判断装置、
撮像された箇所の良否を識別可能とする印字を行う印字装置、
不良と判断された前記ボトルを前記無菌充填機から排出するボトル排出装置
、及び
前記印字装置により印字された印字を読み取り、前記画像保存装置に保存された前記画像を再生する印字読み取り装置を備え
、
前記ボトル排出装置から排出された不良と判断された前記ボトルの印字された情報から前記ボトルの不良箇所を特定し、特定された不良箇所を撮像し、撮像された画像と前記画像保存装置に保存され、再生された画像とを照合し、不良との判断が適切か否かを検証し、前記判断装置の判断基準及び判断基準の入力について見直しをするように構成されることを特徴とするボトル検査装置。
【請求項5】
請求項
4に記載のボトル検査装置において、
前記印字装置が前記ボトルの表面にレーザーを照射するレーザー照射装置を備えることを特徴とするボトル検査装置。
【請求項6】
請求項
4又は請求項
5に記載のボトル検査装置において、
前記印字装置が前記ボトルに、検査時刻又はボトル検査装置において前記ボトルを把持するグリッパの番号の少なくとも一方を印字するように構成されることを特徴とするボトル検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームをボトルに成形し、プリフォーム又はボトルの少なくとも一方の状態で殺菌することにより得られる殺菌されたボトルに無菌雰囲気で殺菌された内容物を充填後、密封する無菌充填機において、ボトルを検査するボトル検査方法及びボトル検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリフォームを連続走行させながら、プリフォームをボトルに成形する温度に加熱し、加熱されたプリフォームをボトルにブロー成形し、成形されたボトルを検査し、検査されたボトルを殺菌し、殺菌されたボトルに内容物を充填し、内容物が充填されたボトルを密封する無菌充填機において、検査により不良と判断されたボトルは走行路から排除することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
プリフォームを連続走行させながら、プリフォームに殺菌剤を吹き付け、さらにプリフォームにホットエアを吹き付け殺菌し、殺菌されたプリフォームを加熱炉内に導入し、加熱炉内でプリフォームをボトルに成形するための温度まで加熱し、加熱されたプリフォームをボトルに成形し、成形されたボトルを検査し、検査されたボトルを殺菌し、殺菌されたボトルに内容物を充填し、内容物が充填されたボトルを密封する無菌充填機において、検査により不良と判断されたボトルは走行路から排除することが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
成形されたボトルは外観を撮像し、異物、傷、成形不良等の有無を確認し、基準と照合し、不良か否か判断される。検査装置及び検査方法は様々提案されている。例えば、ボトルの胴部及び首部をカメラにより撮像し、検査する装置がある(特許文献3参照)。また、ボトルの外観を撮像し、濃淡を画素単位で示し、濃淡画像から良・不良を判断するボトルの検査装置及び検査方法も提案されている(特許文献4参照)。
【0005】
無菌充填機において製造される製品について、無菌充填機のブロー成形装置、ボトル検査装置、ボトルの殺菌洗浄装置、充填装置、キャップ巻締装置における連鎖履歴情報をボトルに印字し、データベース化して保存することが提案されている(参考文献5参照)。連鎖履歴情報とは、ブロー成形装置では、マンドレル番号、搬送ホイールのグリッパ番号、ブローステーション番号、胴部温度、口部温度、成形エア圧力等であり、検査装置では、検査後のグリッパ番号、検査項目等であり、殺菌洗浄装置、充填装置及びキャップ巻締装置では、殺菌用ノズル番号、洗浄用ノズル番号、充填用ノズル番号、巻締ヘッド番号、巻締トルク等である。工程の抜き取り検査で発見された不良品や、ボトルを成型し製品化後に出荷された飲料入りボトルであって返却された現物から、ボトル成形過程でのボトル不良発生原因を特定して、設備を修正するために、保存されて読み出される連鎖履歴情報を基に原因を追究することができるとしている。例えば特定のグリッパで不良が多発している場合、グリッパの異常を特定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-155631号公報
【文献】特開2018-047944号公報
【文献】特開2008-76081号公報
【文献】特開2005-300174号公報
【文献】特開2013-75712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載される通り、無菌充填機において成形されるボトルは検査され、検査により不良と判断されるボトルは飲料が充填される前に無菌充填機の外部に排出される。無菌充填機を稼働させ、成形されるボトルに飲料を充填して製品を生産するとき、排出されるボトルは無駄となる。排出されるボトルは廃棄するか、洗浄、粉砕してプリフォーム成形に使用してリサイクルする。検査により不良と判断され、排出されるボトルは検査装置に入力される判断基準に従って、不良と判断される。
【0008】
ボトルの良否を決定する判断基準は経験により形成されている。排出されるボトルの数は判断基準に左右されるため、決められた判断基準が適切か否か検証されなければならない。ボトルの欠陥は、黒点、白化、欠け、傷、気泡、バリ、異物等であり、撮像される画像に現れるこれらの欠陥の大きさの基準を設定し、所定の大きさ以上であればボトルは不良と判断される。基準は検査装置の精度、これまでの経験値等により設定される。設定される判断基準が適切であるか、設定される基準値を超えて不良と判断されるボトルを実際に確認して検証する必要がある。
【0009】
入力される判断基準は、適切に運用されているか否かも検証されなければならない。検査装置は入力される基準値にしたがって、ボトルの良、不良を判断する。基準値の入力は、例えば、黒色のフィルムをボトルに貼着し、疑似不良サンプル品を作成し、この撮像画像を基に行われる。基準値の入力は人により行われる。同一の疑似不良サンプルを使用したとしても、画像の角度、距離等のパラメータが毎回同一とは限らず、入力される基準値が常に一定とは限らない。したがって、良、不良の判断が常に一定とは限らない。
【0010】
画像として把握される黒点、白化、欠け、傷等の大きさが疑似サンプルと必ずしも同一ではない。さらに、欠陥は千差万別であり、作成された疑似サンプルの欠陥と実際のボトルに見られる欠陥の状態は一致していない場合が多い。疑似サンプルにより入力される基準値が適切か否かも検証されなければならない。
【0011】
特許文献5では、無菌充填機における工程毎の様々な事項を個別記号としてボトルに印字し、印字から工程毎の様々な事項を読み取れるようにしている。また、抜き取りにより発見されるボトルの不良を検証している。しかし、抜き取りによる目視検査であり、検査装置で不良と判断されるボトルの全てを排除することは行っていない。また、不良の基準について検証することが目的ではなく、不良の原因を追究することを目的としている。例えば、抜き取りにより不良と判断されるボトルが、印字された記号により搬送時に同一のグリッパを経由していることが判明するとき、ボトルの不良原因がそのグリッパの異常であることが特定できることである。
【0012】
無菌充填機におけるボトル検査装置により不良と判断されるボトルが無駄に不良と判断されていないか、不良判断の基準が適切か、検査装置の運用が適切に行われているか、を検証しなければならない。無菌充填機から排出されるボトルを検証し、検査装置でのボトルの良、不良の判断を適正化し、無駄は省かなければならない。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、プリフォームから成形されるボトルを検査し、検査による良否の結果を識別できる印字を行い、不良と判断されて排出されたボトルの不良の箇所の画像と、印字から再生されるボトルの画像を照合可能とするボトル検査方法及びボトル検査装置を提供することを目的とする。不良と判断されたボトルの不良箇所と検査時に保存された画像を照合し、不良との判断が適切か否かを検証し、判断基準及び判断基準の入力について見直しを行う。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るボトル検査方法は、プリフォームをボトルに成形し、前記プリフォーム又は前記ボトルの少なくとも一方を殺菌することにより得られる殺菌された前記ボトルに無菌雰囲気で殺菌された内容物を充填後、前記内容物が充填された前記ボトルを密封する無菌充填機において、ボトルを検査するボトル検査方法であって、少なくとも前記ボトルの口部天面、サポートリング、胴部及び底部を撮像し、撮像により得られる画像を再生可能に保存し、前記画像を所定の基準と照合して前記ボトルの良否を判断し、撮像された箇所の良否を識別可能に印字し、不良と判断された前記ボトルを前記無菌充填機から排出し、排出された前記ボトルの印字された情報から前記ボトルの不良箇所を特定し、特定された不良箇所を撮像し、撮像された画像と排出された前記ボトルの保存された前記画像を照合し、不良との判断が適切か否かを検証し、判断基準及び判断基準の入力について見直しを行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るボトル検査方法において、前記印字をレーザー照射により行うと好適である。
【0018】
また、本発明に係るボトル検査方法において、不良と判断された前記ボトルに、検査時刻又はボトル検査装置において前記ボトルを把持するグリッパの番号の少なくとも一方を印字すると好適である。
【0019】
本発明に係るボトル検査装置は、プリフォーム及びボトルを搬送する搬送路、前記プリフォームを供給するプリフォーム供給装置、供給された前記プリフォームを成形温度に加熱する加熱部、加熱された前記プリフォームを前記ボトルに成形するボトル成形部、成形された前記ボトルを検査するボトル検査部、前記プリフォーム又は前記ボトルの少なくとも一方を殺菌する殺菌部、殺菌された前記ボトルに殺菌された内容物を充填する充填部及び内容物が充填された前記ボトルを密封する密封部を備える無菌充填機において、前記ボトル検査部を構成するボトル検査装置が、少なくとも前記ボトルの口部天面、サポートリング、胴部及び底部を撮像する撮像装置、撮像された画像を再生可能に保存する画像保存装置、撮像された前記画像を所定の基準と照合し、前記ボトルの良否を判断する判断装置、撮像された箇所の良否を識別可能とする印字を行う印字装置、不良と判断された前記ボトルを前記無菌充填機から排出するボトル排出装置、及び前記印字装置により印字された印字を読み取り、前記画像保存装置に保存された前記画像を再生する印字読み取り装置を備え、前記ボトル排出装置から排出された不良と判断された前記ボトルの印字された情報から前記ボトルの不良箇所を特定し、特定された不良箇所を撮像し、撮像された画像と前記画像保存装置に保存され、再生された画像とを照合し、不良との判断が適切か否かを検証し、前記判断装置の判断基準及び判断基準の入力について見直しをするように構成されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るボトル検査装置において、前記印字装置が前記ボトルの表面にレーザーを照射するレーザー照射装置を備えると好適である。
【0022】
また、本発明に係るボトル検査装置において、前記印字装置が前記ボトルに、検査時刻又はボトル検査装置において前記ボトルを把持するグリッパの番号の少なくとも一方を印字するように構成されると好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無菌充填機においてボトルを検査するとき、ボトル検査装置により不良と判断され、無菌充填機の外部に排出されるボトルの不良箇所と検査装置により撮像された画像を照合し、ボトルの良、不良の判断基準の適正化及び検査装置の運用の適正化を行い、不良とすべきボトルのみを無菌充填機から排出し、良品とすべきボトルを排出するという無駄をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態に係る無菌充填機の一例の概略を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る無菌充填機の他の一例の概略を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るボトル検査装置の概略を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るボトル検査装置による検査を示し、(A)はボトル胴部の検査を、(B)はサポートリングの検査を、(C)はボトル口部天面の検査を、(D)はボトル底部の検査を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。本発明に係るボトル検査方法による検査を行うボトル検査装置を搭載する無菌充填機の概要を説明し、ボトル検査方法及びボトル検査装置の実施形態を説明する。
【0026】
図1に示すように、無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置4、プリフォーム1をボトル2に成形する温度に加熱する加熱部6、加熱されたプリフォーム1をボトル2に成形するボトル成形部16、成形されたボトル2を検査するボトル検査部23、成形されたボトル2を殺菌するボトル殺菌部30、殺菌されたボトル2をエアリンスするエアリンス部34、エアリンスされたボトル2に殺菌された内容物を無菌雰囲気で充填する充填部39、密封部材である蓋材3を殺菌する蓋材殺菌装置52、内容物が充填されたボトル2を殺菌された蓋材3により無菌雰囲気で密封する密封部44、密封されたボトル2を排出コンベヤ50に載置する排出部47及び排出コンベヤ50によりボトル2を非無菌ゾーンに排出する出口部51を備える。
【0027】
加熱部6は加熱部チャンバー12、ボトル成形部16はボトル成形部チャンバー17、ボトル検査部23はボトル検査部チャンバー27、ボトル殺菌部30はボトル殺菌部チャンバー33、エアリンス部34はエアリンス部チャンバー36、充填部39は充填部チャンバー41、密封部44は密封部チャンバー46、排出部47は排出部チャンバー49及び出口部51は出口部チャンバー53により各々遮蔽されている。
【0028】
ボトル殺菌部30で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がボトル検査部23に流入しないように、ボトル検査部チャンバー27とボトル殺菌部チャンバー33の間に雰囲気遮断チャンバーが設けられても構わない。ボトル殺菌部チャンバー33内で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、雰囲気遮断チャンバーが排気されることで、ボトル検査部チャンバー27内に流入することはない。ここで、加熱部6とボトル成形部16は単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。また、蓋材殺菌装置52と密封部44も単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。さらに、密封部44と排出部47も単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。
【0029】
無菌充填機の稼働中には、ボトル殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53は、除菌フィルタにより無菌化された無菌エアが供給され、各チャンバー内の圧力を陽圧にすることで、無菌充填機の無菌性が維持される。陽圧に保持する圧力は、充填部チャンバー41内が最も高く、エアリンス部チャンバー36、ボトル殺菌部チャンバー33と上流に行くほど低く設定される。また、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49、出口部チャンバー53と下流に行くにほど低く設定される。雰囲気遮断チャンバーは排気されることで、雰囲気遮断チャンバー内の圧力は、大気圧とほぼ同一又は陰圧に保持される。
【0030】
無菌充填機は稼働時に必要なチャンバーについて、無菌雰囲気を保持しなければならない。ボトル殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53内は無菌充填機の稼働前に殺菌される。すなわち、SOP(Sterilizing out of Place)が行われる。その後、無菌エアが供給されることにより各チャンバー内は無菌雰囲気に保持される。ボトル殺菌部チャンバー33は無菌充填機の稼働中に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が噴霧されるため、無菌充填機の稼働前に殺菌されなくても構わない。
【0031】
プリフォーム1が、
図1に示すプリフォーム供給装置4から、プリフォーム供給コンベヤ5により所望の速度で連続的に加熱部6に供給される。
【0032】
プリフォーム1は試験管状の有底筒状体であり、
図4に示すボトル2と同様な口部1aがその成形当初に付与される。この口部1aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。また、プリフォーム1には口部1aの下部に搬送のためのサポートリング1bが形成される。プリフォーム1又はボトル2はこのサポートリング1bを介してグリッパ22により把持され、無菌充填機内を走行する。無菌充填機にはプリフォーム1及びボトル2を搬送する搬送路が設けられる。
【0033】
プリフォーム1は射出成形、圧縮成形等によって成形される。プリフォーム1の材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、これらの樹脂単体又は混合物であっても構わないし、リサイクルされた熱可塑性樹脂を含んでも構わない。また、バリア性を付与するために、エチレン-ビニルアルコール共重合体、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンをモノマーとするポリアミド等の熱可塑性樹脂を層として、又は混合物として含んでも構わない。
【0034】
加熱部6に供給されたプリフォーム1は、一定ピッチで多数のグリッパ22が設けられたホイール7、8により搬送され、加熱炉搬送ホイール9に達する。ここでグリッパ22から解放され、プリフォーム1の口部1aにスピンドルが挿入されて搬送される。
【0035】
プリフォーム1は、加熱部6内で赤外線ヒータ14又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃であると好適である。プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
【0036】
プリフォーム1は、口部1aにスピンドルが挿入され、赤外線ヒータ14により加熱され、回転しながら無端チェーン13により搬送される。スピンドルは無端チェーン13に一定間隔で設けられている。無端チェーン13はプーリ10及び11により回転する。スピンドルに代えてマンドレルをプリフォーム1に挿入することにより、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
【0037】
加熱されたプリフォーム1は、スピンドルから解放され、グリッパ22に把持されて、ホイール15を経て、ボトル成形部16の成形ホイール18に搬送される。成形ホイール18に備えられた金型20により、プリフォーム1はボトル2にブロー成形される。金型20及びプリフォーム1にエアを吹き込むブローノズルは、成形ホイール18の回りに複数個配置され、成形ホイール18の回転とともに成形ホイール18の周りを一定速度で旋回する。加熱されたプリフォーム1が到来すると、金型20はプリフォーム1を挟み込む。続いてブローノズルがプリフォーム1に接合され、図示しない延伸ロッドがブローノズルに設けられた孔に導かれ、プリフォーム1内に挿入される。挿入される延伸ロッドがプリフォーム1の底部を伸ばすことによりプリフォーム1は縦延伸され、同時にブローノズルからプリフォーム1内にエアが吹きこまれ、横延伸される。プリフォーム1は金型20内で縦延伸及び横延伸され、ボトル2が成形される。成形されたボトル2は金型20から取り出され、ホイール19に設けられたグリッパ22によりサポートリング1bを把持され、ホイール21を経てボトル検査部23のボトル胴部検査ホイール24に受け渡される。
【0038】
成形されたボトル2はボトル検査部23において検査され、不良がないことが確認されたボトル2だけが、さらにボトル殺菌部30に搬送される。成形不良などによる異常なボトル2を使用して不適正な製品を生産しないように、ボトル2をボトル検査部23において検査しなければならない。検査により不良が発見された場合、そのボトルは
図1に示すボトル排出装置28により無菌充填機の外部に排出される。
【0039】
ボトル検査部23における検査により不良と判断されなかったボトル2は、ボトル殺菌部30で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がボトル検査部23に流入しないように、ボトル検査部23とボトル殺菌部30の間に設けられた雰囲気遮断チャンバーを経て、ボトル殺菌部30に搬送されても構わない。雰囲気遮断チャンバー内は排気され、大気圧同等又は陰圧となっており、ボトル殺菌部30で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がボトル検査部23に流入しない。
【0040】
ボトル殺菌部30に搬送されたボトル2は、ボトル殺菌ホイール29において殺菌される。ボトル2に殺菌剤のガスが吹き付けられ、ボトル2は殺菌される。ボトル2に殺菌剤のガスを吹き付けるため、殺菌剤ガス吹き付けノズルが設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズルは、その先端のノズル孔が直下を走行するボトル2の口部1aの開口に正対し得るように固定される。殺菌剤ガス吹き付けノズルは一本であっても複数本であっても構わない。ボトル2に吹き付けられた殺菌剤のガスがボトル2の内部に流入し、ボトル2の内面を殺菌する。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物はボトル2の外面にも流れて、ボトル2の外面が殺菌される。
【0041】
殺菌されるボトル2は、ボトル成形部16において成形される前にプリフォーム1に加えられる熱が残留し、成形されたボトル2の表面温度が40℃以上であると殺菌剤が活性化され、殺菌効果が高まる。ボトル検査部23において、ボトル2の表面の温度を測定し、測定された温度が40℃未満であればボトル2を不良としてボトル排出装置28により、無菌充填機の外部に排出しても構わない。ボトル2の温度の基準は40℃でなくとも構わない。すなわち、ボトル検査装置はボトル2の表面温度を測定するボトル表面温度測定装置を備えても構わない。
【0042】
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、殺菌剤ガス生成器によりガス化される殺菌剤又はガス化された殺菌剤が凝結したミスト又はこれらの混合物である。殺菌剤ガス生成器は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部と、この殺菌剤供給部から供給された殺菌剤を分解温度以下に加熱して気化させる気化部とを備える。殺菌剤供給部は、殺菌剤供給路及び圧縮空気供給路からそれぞれ殺菌剤と圧縮空気を導入して殺菌剤を気化部内に噴霧するようになっている。気化部は、内外壁間にヒータを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱し気化させる。気化した殺菌剤のガスは殺菌剤ガス吹き付けノズルから気化部外に噴出する。
【0043】
殺菌剤供給部の運転条件としては、例えば圧縮空気の圧力は0.05MPa~0.6MPaの範囲で調整される。また、殺菌剤は重力落下であっても圧力を加えられても構わないし、供給量は自由に設定することができ、例えば殺菌剤は殺菌剤供給路56aに、1g/min.~100g/min.の範囲で供給される。また、気化部の内表面は140℃から450℃に加熱されることで噴霧された殺菌剤が気化する。
【0044】
殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズルからボトル2に吹き付けられる。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の吹き付け量は任意であるが、吹き付け量は、殺菌剤ガス生成器に供給される殺菌剤の量と吹き付け時間により決まる。殺菌剤ガス生成器は複数備えても構わない。吹き付け量はボトル2の大きさによっても変動する。
【0045】
殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含有することが好ましい。その含有量は0.5質量%~65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%~40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易であり、低濃度となるために殺菌後のボトル2への殺菌剤の残留量を低減できる。
【0046】
また、殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル類等の1種又は2種以上を含んでも構わない。
【0047】
さらに、殺菌剤は過酢酸、酢酸等の有機酸、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素化合物、オゾン等の殺菌効果を有する化合物、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。
【0048】
ボトル殺菌ホイール29で殺菌されたボトル2は
図1に示すように、ホイール31を経て、エアリンス部34に搬送される。ボトル2は、
図1に示すエアリンスホイール32
において、エアリンスノズルにより正立状態のボトル2に無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは常温でも構わないが、加熱されることが好ましい。無菌エアは、ボトル2の内部に残存する殺菌剤を排出し、残存する殺菌剤を分解してさらに殺菌効果を高め、ボトル2の内部に異物が存在する場合は排除する効果もある。また、ボトル2を倒立状態にして無菌エアをボトル2内に吹き付けても構わない。この場合、異物の排除には正立状態よりも効果的である。
【0049】
エアリンス部34でエアリンスされたボトル2は
図1に示すように、ホイール35を経て、充填部39に搬送される。充填部39では、充填ホイール40にて、充填ノズルによりボトル2に内容物が充填される。内容物はあらかじめ殺菌されており、ボトル2と同期的に走行する充填ノズルにより、ボトル2内に一定量の飲料等の内容物が充填される。
【0050】
充填部39は、多数の充填ノズルを水平面内で高速回転する充填ホイール40の回りに配置してなるもので、充填ホイール40の回転と共に充填ノズルを旋回運動させつつ、充填ノズルの下を充填ホイール40の周速度に同調して走行するボトル2に、充填ノズルから内容物を定量充填する。
【0051】
内容物が充填されたボトル2は、
図1に示すホイール43を経て密封部44に搬送される。密封部44に設けられた密封ホイール45では、蓋材殺菌装置52により殺菌された密封部材である蓋材3が、殺菌蓋材搬送路54により蓋材供給ホイール54a及び蓋材受け取りホイール54bを経て、密封ホイール45に供給され、図示しないキャッパーにより、ボトル2の口部1aに巻き締められ、ボトル2は密封される。
【0052】
密封されたボトル2は、密封ホイール45のグリッパ22から排出部47の排出ホイール48のグリッパ22に受け渡される。排出ホイール48に受け渡されたボトル2は排出コンベヤ50に載置される。排出コンベヤ50に載置されたボトル2は出口部チャンバー53内から無菌充填機の外部に排出される。
【0053】
図1は成形されたボトル2を殺菌する無菌充填機を示すが、本発明に係るボトル検査方法を実施し、ボトル検査装置を備える無菌充填機は、プリフォーム1を殺菌して殺菌されたボトル2を得るものでも構わない。これを
図2に示す。また、プリフォーム1及びボトル2の状態で2回殺菌する無菌充填機でも構わない。
【0054】
図2に示すように、無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置4、供給されたプリフォーム1を殺菌するプリフォーム殺菌部37を備え、殺菌されたプリフォーム1は
図1に示す無菌充填機と同様にボトル2に成形される。しかし、
図1に示すボトル2を殺菌する無菌充填機とは異なり、殺菌されたプリフォーム1の無菌性を維持するために、加熱部チャンバー12、ボトル成形部チャンバー17及びボトル検査部チャンバー27内は無菌に保持されなければならない。プリフォーム1を殺菌する無菌充填機は、ボトル殺菌部30及びエアリンス部34を備えなくても構わない。
【0055】
加熱部チャンバー12、ボトル成形部チャンバー17、ボトル検査部チャンバー27、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53内は無菌充填機の稼働前に殺菌される。すなわち、SOPが行われる。その後、除菌フィルタにより無菌化された無菌エアが各チャンバー内に供給され、無菌充填機の稼働中は、各チャンバー内が無菌エアにより陽圧に保持される。陽圧に保持される圧力は、充填部チャンバー41を最高圧として、検査部チャンバー27、ボトル成形部チャンバー17と上流に行くにしたがい、低く設定される。
【0056】
プリフォーム殺菌部37を遮蔽するプリフォーム殺菌部チャンバー42は、プリフォーム殺菌部チャンバー42内のエア中の殺菌剤を分解するフィルタ65と、ブロワ66からなる排気装置64が連結される。無菌充填機の稼働中にプリフォーム殺菌部チャンバー42内のエアが排気されることにより、隣接する加熱部6への殺菌剤の流入を防止することができる。プリフォーム殺菌部チャンバー42内の圧力は、排気装置64により排気されることにより大気圧以下とすることが好ましい。
【0057】
図2に示すプリフォーム1が、
図1に示すプリフォーム供給装置4から供給され、所望の速度でプリフォーム供給コンベヤ5により連続的にプリフォーム殺菌部37に供給される。プリフォーム1は、プリフォーム供給コンベヤ5から殺菌剤ガス吹き付けホイール67に一定間隔で設けられたグリッパ22に把持され、殺菌剤ガス吹き付けホイール67に受け渡される。受け渡されたプリフォーム1はプリフォーム1を殺菌するために殺菌剤ガス吹き付けノズルにより、殺菌剤のガスが吹き付けられる。殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズルから出た後、ガス状態のままで、若しくはミストとなって又はそれらの混合物となって、プリフォーム1の内部に流入し、あるいはプリフォーム1の外面に接触する。
【0058】
プリフォーム1の内部に向かって吹き付けられる殺菌剤のガスは、プリフォーム1内に流入した後、プリフォーム1の口部1aから溢れ出るが、この溢れ出た殺菌剤のガス等の流れはプリフォーム1の外面へと向かって流れを変え、プリフォーム1の外面に接触する。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がプリフォーム1の内外面に接触し、付着することにより、プリフォーム1の表面に付着した菌等が殺菌される。殺菌剤は
図1に示す無菌充填機においてボトル2を殺菌する殺菌剤と同様である。
【0059】
殺菌剤ガス吹き付けノズルは一個のみならず、複数個をプリフォーム1の搬送路に沿って配置し、これらの殺菌剤ガス吹き付けノズルから殺菌剤のガスをプリフォーム1に向かって吹き付けるようにしても構わない。殺菌剤が吹き付けられたプリフォーム1に、常温又は加熱された無菌エアを吹き付けても構わない。
【0060】
殺菌されたプリフォーム1はホイール8を経て加熱部6に導入され、
図1に示す無菌充填機と同様に加熱され、ボトル成形部16によりボトル2に成形され、成形されたボトル2はボトル検査部23を構成するボトル検査装置により検査される。ボトル検査部23により検査され、不良と判断されたボトル2はボトル排出装置28により無菌充填機の外部に排出される。ボトルの胴部断面形状は四角、六角、丸等どのような形状でも構わない。
【0061】
不良と判断されなかったボトル2は、充填部チャンバー41内のホイール38に受け渡され、ホイール68を経て充填ホイール40に受け渡され、ボトル2に内容物が充填される。内容物が充填されたボトル2は
図1に示す無菌充填機と同様に密封されて無菌充填機の外部に排出される。
【0062】
ボトル検査部23は
図1及び
図2に示すように、ボトル検査部23を構成するボトル検査装置を備える。ボトル検査装置は、ボトル胴部検査ホイール24、ボトル軸方向検査ホイール25及びボトル排出ホイール26を備える。検査部23のボトル胴部検査ホイール24及びボトル軸方向検査ホイール25には、検査対象となるボトル2の部位を撮像する撮像装置、撮像のために検査対象部位を照らす照明装置を備える。また、図示しないが、ボトル検査部23を構成するボトル検査装置は、撮像された画像を保存する画像保存装置、撮像された画像と所定の基準を照合し、ボトル2の良否を判断する判断装置を備える。ボトル検査部23を構成するボトル検査装置が備えるボトル排出ホイール26には、撮像された箇所の画像を判断装置が判断した良否を識別可能とする印字を行う印字装置、及び不良と判断されたボトル2を無菌充填機から排出するボトル排出装置28を備える。
【0063】
図3に示すように、ボトル胴部検査ホイール24はボトル胴部撮像装置55a、55b、55c並びに55d及びボトル胴部照明装置56a並びに56bを備える。ホイール21を経てボトル検査部23のボトル胴部検査ホイール24に受け渡されたボトル2はボトル胴部検査ホイール24において胴部を検査される。
【0064】
ボトル胴部照明装置56aはボトル胴部検査ホイール24のボトル2の搬送路の外側にボトル胴部検査ホイール24の中心点に対向して設けられ、ボトル2の胴部全体に光を照射する。ボトル胴部検査ホイール24のボトル2を搬送する搬送路の内側にボトル胴部撮像装置55a及び55bが設けられる。ボトル胴部照明装置56aから発せられた照明光がボトル2の胴部を通過し、ボトル胴部撮像装置55a及び55bがボトル2を透過した照明光を受けてボトル2の胴部を撮像する。
図4(A)に示すように、55aはボトル2の上部を撮像し、55bはボトル2の下部を撮像する。
【0065】
ボトル胴部検査ホイール24のボトル2の搬送路の内側にボトル胴部検査ホイール24の中心点に対向するようにボトル胴部照明装置56bが設けられ、ボトル2の胴部全体に光を照射する。ボトル胴部検査ホイール24のボトル2を搬送する搬送路の内側から発せられたボトル胴部照明装置56bによる照明光がボトル2の胴部を通過し、ボトル胴部撮像装置55c及び55dがボトル2を透過した照明光を受けてボトル2の胴部を撮像する。
図4(A)に示すように、55cはボトル2の上部を撮像し、55dはボトル2の下部を撮像する。
【0066】
搬送されるボトル2を二方向から撮像することにより、ボトル2の全体を撮像することとなる。ボトル胴部検査ホイール24では、最初にボトル2を搬送路の内側から撮像しているが、外側から撮像しても構わない。また、ボトル2の上部及び下部の撮像の順序はいずれからでも構わない。また、胴部二箇所を撮像しているが、撮像装置は一箇所でも三箇所以上でも構わない。
【0067】
ボトル胴部照明装置56a及び56bは照明光を発するものであればどのようなものでも構わないが、LEDを光源とすることが好ましく、照明光はボトル2の軸に直交する方向に照射される。ボトル胴部撮像装置55a、55b、55c及び55dは撮像装置が備えるレンズが捉えた光学像をCCD、MOS、MOSセンサ等の撮像素子により信号に変換し画像を形成する。ボトル2の上部を撮像するボトル胴部撮像装置55a及び55cはボトル2に対して斜め上方から、ボトル2の軸に直交する面に対して10°~20°の角度に向ける。ボトル2の下部を撮像するボトル胴部撮像装置55b及び55dはボトル2に対して斜め下方から、ボトル2の軸に直交する面に対して10°~20°の角度に向ける。また、円形のボトル2の搬送路の接線に対して30°~50°の方向からボトル2に向ける。
【0068】
ボトル胴部撮像装置55a、55b、55c及び55dで得られる画像を形成する信号は、画像保存装置に送信され保存される。画像は判断装置に入力された所定の基準と照合され、ボトル2の良否が判断される。所定の基準とは、胴部の場合、例えば黒色で0.5mmφ以上の画像が存在した場合不良とするというものである。黒色の大きさは任意に定められる。予めボトル2の胴部表面に黒色で0.5mmφのシールを貼着して不良サンプルとして、この画像を撮像し、この0.5mmφ以上の画像を認識した場合、判断装置はボトル2を不良と判断するように判断装置を設定する。実際には、ボトル2の胴部表面の傷、異物、変色等が設定する大きさ以上であれば判断装置はボトル2を不良と判断する。
【0069】
図3に示すように、ボトル軸方向検査ホイール25はサポートリング撮像装置57、ボトル口部天面撮像装置58及びボトル底部撮像装置59を備える。撮像装置の配置順序は適宜入れ替え可能であり、他の撮像装置及び検査装置を追加しても、サポートリング撮像装置57、ボトル口部天面撮像装置58及びボトル底部撮像装置59のいずれかを省略しても構わない。ボトル胴部検査ホイール24において胴部を検査されたボトルは、ボトル軸方向検査ホイール25に受け渡され、サポートリング1b、ボトル口部天面及びボトル底部を検査される。
【0070】
図4(B)は、サポートリング1bの検査を示す。サポートリング1bを検査するためにサポートリング撮像装置57とボトル2の口部1aの間にサポートリング照明装置60が設けられる。サポートリング照明装置60は、サポートリング1bの上方に環状に設けられる。例えば、サポートリング照明装置60は赤色LEDを環状に配置することにより構成される。また、撮像のタイミングに合わせて発光するようにしても構わない。サポートリング撮像装置57は、例えば、魚眼レンズを有し、魚眼レンズで捉えた撮像をMOS、MOSセンサ等の撮像素子により電気信号に変換するものである。サポートリング照明装置60から発する照射光が、サポートリング1bに反射する光をサポートリング撮像装置57が受光するが、反射光がサポートリング照明装置60を通過する箇所は、サポートリング照明装置60の環状中心部で、反射光の通過に妨げとならないように構成されている。
【0071】
サポートリング撮像装置57によりサポートリング1bの上部が撮像され、サポートリング1bの上面の状態が検査される。サポートリング1bは、グリッパ22により下部が把持されているため、サポートリング1bの撮像がグリッパ22により妨げられることはない
【0072】
サポートリング撮像装置57で得られる画像を形成する信号は、画像保存装置に送信され保存される。画像は判断装置に入力された所定の基準と照合され、ボトル2の良否が判断される。所定の基準とは、サポートリング1bの場合、例えば1mm角の欠けであり、1mm角以上の画像が存在した場合不良とするというものである。欠けの大きさは任意に定められる。予めボトル2のサポートリング1bの上面に白色で1mm角のシールを貼着して不良サンプルとして、この画像を撮像し、この1mm角以上の画像を認識した場合、判断装置はボトル2を不良と判断するように判断装置を設定する。サポートリング1bが欠けている場合、欠けている部分は白色の画像を認識することとなる。実際には、ボトル2のサポートリング1bのバリ、異物、変色等が設定する大きさ以上であれば判断装置はボトル2を不良と判断する。
【0073】
サポートリング1bは、例えば、内容物が飲料である場合に、製品としてのボトル2の購入者が、蓋材3を開封する際に触れる可能性があるため、欠け、バリ等が所定の基準を超える場合、安全性を阻害することとなる。
【0074】
図4(C)は、ボトル2の口部1aの天面の検査を示す。ボトル口部天面1cを検査するためにボトル口部天面撮像装置58とボトル2の口部1aの間にボトル口部天面照明装置61が設けられる。ボトル口部天面照明装置61はサポートリング照明装置60と同様に、サポートリング1bの上方に環状に設けられる。ボトル口部天面撮像装置58及びボトル口部天面照明装置61はサポートリング撮像装置57及びサポートリング照明装置60と構造や構成について同様である。ボトル口部天面照明装置61から発する照射光が、ボトル口部天面に反射する光をボトル口部天面撮像装置58が受光する。
【0075】
ボトル口部天面撮像装置58で得られる画像を形成する信号は、画像保存装置に送信され保存される。画像は判断装置に入力された所定の基準と照合され、ボトル2の良否が判断される。所定の基準とは、ボトル口部天面1cの場合、例えば0.5mmφの異物であり、0.5mmφ以上の画像が存在した場合不良とするというものである。異物の大きさは任意に定められる。予めボトル2のボトル口部天面に黒色で0.5mmφのシールを貼着して不良サンプルとして、この画像を撮像し、0.5mmφ以上の画像を認識した場合、判断装置はボトル2を不良と判断するように判断装置を設定する。実際には、ボトル2の口部天面の傷、バリ、異物、変色等が設定する大きさ以上であれば判断装置はボトル2を不良と判断する。
【0076】
ボトル口部天面1cは、蓋材3の内側天面が当たることにより、ボトル2を密封する箇所であることから、平坦かつ平滑である必要がある。このため、ボトル口部天面1cに傷、変形を生じたボトル2は不良品と判断される。蓋材3とボトル口部天面1cが密着していない場合、菌等が隙間から侵入し、製品の無菌性を損なうおそれがある。
【0077】
図4(D)は、ボトル2の底部の検査を示す。ボトル2の底部を検査するためにボトル底部撮像装置59がボトル口部1aの上方に、ボトル2の下方にボトル底部照明装置62が設けられる。ボトル底部撮像装置59はサポートリング撮像装置57と構造や構成について同様である。ボトル底部照明装置62は環状であっても平面状でも構わない。ボトル底部撮像装置59は、ボトル底部照明装置62の照射光がボトル2の底部を透過した光を受光するように、ボトルの口部1aの上方に配置される。
【0078】
ボトル底部撮像装置59で得られる画像を形成する信号は、画像保存装置に送信され保存される。画像は判断装置に入力された所定の基準と照合され、ボトル2の良否が判断される。所定の基準とは、ボトル底部の場合、例えば0.5mmφの異物であり、0.5mmφ以上の画像が存在した場合不良とする。異物の大きさは任意に定められる。予めボトル2の底部に黒色で0.5mmφのシールを貼着して不良サンプルとして、この画像を撮像し、0.5mmφ以上の画像を認識した場合、判断装置はボトル2を不良と判断するように判断装置を設定する。実際には、ボトル2の底部の傷、バリ、異物、変色等が設定する大きさ以上であれば判断装置はボトル2を不良と判断する。
【0079】
ボトル検査部23を構成するボトル検査装置は、
図3に示すようにボトル底部撮像装置59の下流に排出同期用センサ69を備える。排出同期用センサ69は、判断装置により不良と判断されたボトル2がボトル軸方向検査ホイール25からボトル排出ホイール26に受け渡された後、ボトル排出装置28で排出するように指示する信号を出力する。また、排出同期用センサ69は、ボトル2に印字する印字情報を印字装置63に出力する。
【0080】
ボトル軸方向検査ホイール25において、サポートリング1b、ボトル口部天面1c及びボトル底部を検査されたボトル2はボトル排出ホイール26に受け渡され、撮像された箇所の検査結果である、撮像された箇所の良否を識別可能に印字装置63により印字され、不良と判断されたボトル2はボトル排出装置28により無菌充填機の外部に排出される。印字装置63は、ボトル検査部23を構成するボトル検査装置として備えられる。
【0081】
図3に示すように、判断装置により不良と判断されたボトル2には、撮像された箇所の良否を識別可能とするための印字を行う印字装置63がボトル排出ホイール26に設けられる。ボトル胴部検査ホイール24及びボトル軸方向検査ホイール25に設けられる撮像装置により得られる画像から、判断装置が所定の基準と照合して判断された結果、すなわち撮像された箇所の良否を印字装置63により、ボトル2に識別可能に印字する。
【0082】
印字は例えば、検査時刻、検査部位、検査の結果について印字する。検査部位は記号化し、検査結果は良品の場合0、不良の場合1として印字数を極力減らす。検査時刻は特定の箇所を通過する時刻そのもの、又は記号化し、印字された情報から保存装置に保存された画像を再生することを可能とする。また、他の情報として、加熱部6内で挿入されたスピンドルの番号、各ホイール、特にボトル検査部23のボトル胴部検査ホイール24及びボトル軸方向検査ホイール25において、ボトル2が把持されたグリッパ番号等を印字しても構わない。また、プリフォーム1をボトル2に成形する金型20の番号を印字しても構わないが、通常、成形されるボトル2に金型番号は賦形される。その場合は印字する必要はない。ボトル2に成形による不良が認められるとき、グリッパ番号及び金型番号の印字により不良原因を特定することができることもある。ボトル2が良品と判断されるとき、グリッパ番号及び金型番号は印字しなくても構わない。検査部位の印字は不良と判断された箇所のみでも構わない。また、良品については製造日及び製造固有記号を印字しても構わない。不良品については、製造日及び製造固有記号を印字しなくても構わない。
【0083】
ボトル2への印字はボトルのいずれの箇所でも構わないが、肩部が好ましい。不良と判断されたボトル2の印字を目視又は印字を画像として取り込む場合、肩部に印字されることで処理し易い。印字はレーザー照射又はインクジェット法により行われ、印字装置63はいずれかの方法によりボトル2に印字することができるように構成される。
【0084】
レーザーによる印字は、CO2レーザー、YVO4レーザー、YAGレーザー等をボトル2の外面に照射し、ボトル2を構成する透明な樹脂表面を熱により切削することで白色の文字を形成する。レーザーにより印字された文字は消失することがないため、レーザーにより印字することが好ましい。インクジェット法による印字は、インキをインクジェット法によりボトル2の外面に吹き付けて印字する。高速で印字する必要があり、コンテュニアス方式のインクジェットヘッドが好ましい。無菌充填機の場合、殺菌、リンス及び充填等の後工程においてインキが脱落するおそれがあるため、インキをUV硬化させることが好ましい。
【0085】
図2に示すプリフォーム1を殺菌する無菌充填機では、ボトル検査部チャンバー27内をSOPする必要がある。撮像装置及び照明装置をボトル検査部チャンバー27内に設置すると、これらの装置は稼働前の殺菌による殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物に暴露される。殺菌剤は、撮像装置及び照明装置を構成する材料を腐食等する作用があるため、撮像装置及び照明装置が劣化し、正常な検査に支障をきたすこととなる。これを防止するために、撮像装置及び照明装置が殺菌剤と接触しないように、撮像装置及び照明装置を密閉された容器に収納することが好ましい。
【0086】
密閉された容器に収納された撮像装置と無菌充填機の外部に設置された保存装置および判断装置とは無線又は有線で信号の交換がなされる。密閉された容器は曲面、平面又はこれらの組み合わせで構成される。密閉された容器の材料は殺菌剤のミスト又はガスにより腐食や劣化を生じることがなければ、どのようなものでも構わない。例えば、無菌充填機の部材として使用されるステンレスやガラスが好ましい。特に、光を使用して撮像するため、密閉された容器の光が通過する部分には、透明素材からなる光透過窓が設けられる。当該透明素材はガラスが好ましい。SOPの行われるとき、密閉された容器の内部に殺菌剤が流入しないように、密閉された容器の内部に無菌エアを供給することが好ましい。
【0087】
印字装置63はレーザー又はインキがボトル2の表面に到達しなければならないため、透過窓を形成することが困難であるため、密閉された容器にシャッターを設け、SOPの間はシャッターを閉じ、稼働させるときはシャッターを開けるように密閉された容器を構成することが好ましい。
【0088】
ボトル2への印字装置63による印字の後、不良と判断されたボトル2はボトル2を把持するグリッパ22が開くことで落下し、ボトル排出装置28から無菌充填機の外部に排出される。排出されるボトル2の印字から不良の箇所を確認し、排出が妥当であるかを検証する。
【0089】
印字を目視し、印字を保存装置に入力し、印字されたボトル2に該当する不良箇所の画像を保存装置から再生する。又は、印字を画像として取り込み、印字読み取り装置により印字されたボトル2に該当する不良箇所の画像を保存装置から再生する。再生された画像と不良と判断されたボトル2の不良箇所を照合し、一致することを確認する。一致していなければ不良の箇所の画像としての処理が適切ではないため、撮像方式を見直す必要がある。不良ではない形状の微妙な凹凸を撮像することで不良箇所と判断していないかを検証する。一致していれば、不良と判断された箇所が不良として妥当であるか検証する。不良の判断は所定の基準を定め、不良の疑似サンプルの画像により判断装置に判断基準を入力している。疑似サンプルとは異なるが、画像として認識したとき判断装置は不良と判断するときがある。不良の判断が不適切なときは、このようなボトル2を不良と判断しないように判断装置の所定の基準を修正しなければならない。
【0090】
ボトル検査装置に備えらえる印字読み取り装置は、無菌充填機のボトル検査部23に付属されていても、隔離された場所に設けられても構わない。
【0091】
再生された画像と不良と判断されたボトル2の不良箇所を照合するだけでなく、再生された画像と不良と判断されたボトル2の撮像画像を照合する。照合された結果双方の画像が一致することを確認する。一致していなければ、撮像装置、保存装置に欠陥があるため欠陥の有無を検証する。
【0092】
検証により、不良と判断されたボトル2の不良が不良として妥当でないという結果が得られたとき、所定の基準が不適切であるため、所定の基準を見直して再設定する。基準を判断装置に入力するとき、疑似不良サンプルを使用せずに実際に不良と判断されるボトル2を使用して所定の基準を判断装置に入力しても構わない。
【0093】
上述のように、ボトル検査部23を構成するボトル検査装置によりボトル2を検査し、不良と判断されたときに不良の箇所を印字することで排出されたボトル2の不良箇所を検証することができる。検証により、ボトル2の不良の判断基準の適切性及びボトル2の不良の判断基準の運用の適切性が明確となり、不適切なときは不適切な部分を修正する。その結果、不良と判断されて排出されるボトル2の数を低減することができる。本来不良ではないが、不良と判断されて廃棄されていたボトル2の数を削減することで、無駄を排除することができる。
【0094】
前述のように、ボトル2を殺菌する無菌充填機では、ボトル2を成形後にボトル2の表面温度が40℃以上であると殺菌効果が向上する。そこで、ボトル2の温度を測定するボトル表面温度測定装置をボトル検査部23にボトル検査装置として設けても構わない。ボトル表面温度測定装置は、例えば赤外線放射温度計(赤外線放射カメラ)であるが、他の温度計を使用することも可能である。測定された温度が所定の基準未満のとき、ボトル2をボトル排出装置28により無菌充填機の外部に排出しても構わない。このとき、温度不良について印字装置63により印字する。
【0095】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨内において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…プリフォーム
2…ボトル
3…蓋材
23…ボトル検査部
24…ボトル胴部検査ホイール
25…ボトル軸検査ホイール
26…ボトル排出ホイール
27…ボトル検査部チャンバー
28…ボトル排出装置
55…ボトル胴部撮像装置
56…ボトル胴部照明装置
57…サポートリング撮像装置
58…ボトル口部天面撮像装置
59…ボトル底部撮像装置
60…サポートリング照明装置
61…ボトル口部天面照明装置
62…ボトル底部照明装置
63…印字装置
69…排出同期用センサ