(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】洗米機
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20241008BHJP
B02B 1/06 20060101ALI20241008BHJP
A47J 27/14 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B02B7/00 101Z
B02B1/06 D
A47J27/14 N
(21)【出願番号】P 2020213803
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-041983(JP,A)
【文献】特開2020-099537(JP,A)
【文献】特開2015-104475(JP,A)
【文献】特開2018-027528(JP,A)
【文献】特開2015-103171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 7/00
B02B 1/06
A47J 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗米タンク(2)に米を供給する計量供給部(20)
と、洗米タンク(2)に水を供給する給水管(11,35)
と、洗米タンク(2)内の水を排水するための排水バルブ(63)を備え、
洗米運転後に、洗米タンク(2)の下部に設ける投下バルブ(25)を開いて米と水加減水を下方に待機する炊飯釜(6)に投入する
米・水投下工程を実行する洗米機において、
連続洗米運転の設定がなされているか否かを判定する手段を備え、
米・水投下工程を実行し投下バルブ(25)を閉じると、
連続洗米運転か否か判定され、
次の洗米運転が無いと判定された場合には、米量に対応しない一定水量の水を供給し、該供給後の所定時間経過後に排水バルブ(63)を開いて前記一定水量の水を排水し、
次の洗米運転が連続して有ると判定された場合には、洗米タンク(2)内に
米量に対応する水量の水を供給して待機させる構成とした洗米機。
【請求項2】
米供給終了間際で排水を開始
すると共に、新たな水の供給で洗米運転を開始するよう構成した請求項1
に記載の洗米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗米機に関するものであり、特に、業務用の大型炊飯器に適した洗米機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用の大型炊飯器における洗米機は、洗米タンクに米を供給する前に水を待機させることで投入時における米の損傷を防止できる構成としている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によると、洗米タンクに、最初に投下される米が洗米タンクの底面に衝突することにより、米が割れたり、米に傷が付くことを効果的に防止できるが、水の供給タイミングに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、待機水を洗米タンクに供給するタイミングを合理化し糠や残米の付着を防止しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、洗米タンク(2)に米を供給する計量供給部(20)と、洗米タンク(2)に水を供給する給水管(11,35)と、洗米タンク(2)内の水を排水するための排水バルブ(63)を備え、
洗米運転後に、洗米タンク(2)の下部に設ける投下バルブ(25)を開いて米と水加減水を下方に待機する炊飯釜(6)に投入する米・水投下工程を実行する洗米機において、
連続洗米運転の設定がなされているか否かを判定する手段を備え、
米・水投下工程を実行し投下バルブ(25)を閉じると、連続洗米運転か否か判定され、
次の洗米運転が無いと判定された場合には、米量に対応しない一定水量の水を供給し、該供給後の所定時間経過後に排水バルブ(63)を開いて前記一定水量の水を排水し、
次の洗米運転が連続して有ると判定された場合には、洗米タンク(2)内に米量に対応する水量の水を供給して待機させる構成とした洗米機である。
第2の本発明は、米供給終了間際で排水を開始すると共に、新たな水の供給で洗米運転を開始するよう構成した第1の本発明の洗米機である。
本発明に関連する第1の発明は、洗米タンク2に米を供給する計量供給部20、洗米タンク2に水を供給する給水管11,35を備え、洗米タンク2の下部に設ける投下バルブ25を開いて米と水加減水を下方に待機する炊飯釜6に投入する洗米機において、投下バルブ25を閉じると、洗米タンク2内に水を供給して待機させる構成とした。
【0007】
本発明に関連する第2の発明は、本発明に関連する第1の発明において、待機用の水を供給し、設定時間経過すると洗米タンク2の水を排水すべく構成する。
【0008】
本発明に関連する第3の発明は、本発明に関連する第1又は第2の発明において、待機水量は、洗米量に応じて変更する構成とした。
【0009】
本発明に関連する第4の発明は、本発明に関連する第1から第3のいずれかの発明において、米供給終了時または米供給終了間際で排水を開始し、新たな水の供給で洗米運転を開始するよう構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新たな米を洗米タンク2へ供給したときに米に傷がつきにくい。炊飯釜へ米と水加減水を供給して投下バルブ25を閉じ動作後に水を供給するので、洗米タンク2内に糠や残米が付着し難い。
本発明に関連する第1の発明によれば、新たな米を洗米タンク2へ供給したときに米に傷がつきにくい。炊飯釜へ米と水加減水を供給して投下バルブ25を閉じ動作後に水を供給するので、洗米タンク2内に糠や残米が付着し難い。
【0011】
本発明に関連する第2の発明によれば、本発明に関連する第1の発明の効果に加え、夏場の時期等で長時間待機による水の劣化を防止できる。
【0012】
本発明に関連する第3の発明によれば、本発明に関連する第1又は第2の発明の効果に加え、待機水量は、洗米量に応じて洗米量が多いときは水量も多く、少ないときは少ない水量になるよう両者略比例的に設定されるものであるから、投下される米が洗米タンク2の底面に衝突することを少なくしひいては砕米を少なくでき、また水の無駄を少なくできる。
【0013】
本発明に関連する第4の発明によれば、本発明に関連する第1から第3のいずれかの発明の効果に加え、米の供給開始から終了又は終了間際まで既に供給されて浸漬された米の糠や塵埃を迅速に排出しながら洗米でき洗米時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】洗米タンクに水を供給する給水管の平面図である。
【
図6】洗米機で実行される動作を示す工程図である。
【
図7】洗米機で実行される動作のタイミングチャートである。
【
図9】(A)炊飯内釜及びその周辺の斜視図、(B)炊飯釜とその周辺の斜視図である。
【
図10】(A)(B)引出し式架台及びその周辺構成の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および
図2に示されるように、炊飯器用の洗米機は、米を貯蔵する貯米庫1と、米を洗米する洗米タンク2とを備えた洗米機3を備え、洗米機3の貯米庫1は、支持機枠5の上部に矢印Aで示される横方向に移動可能に取り付けられ、洗米機3の洗米タンク2は貯米庫1の下部に配置されている。
【0016】
2つの炊飯装置4は、洗米タンク2の下方に間隔をおいて左右に配置され、夫々炊飯釜6、釜加熱用バーナ7と引出式の架台8から構成されている。
【0017】
貯米庫1は下部に図示しない開口部が形成され、洗米タンク2は貯米庫1の開口部の直下に配置され、洗米タンク2は、その内部に設けられ、鉛直軸まわりに回転する攪拌部材9を備えている。
【0018】
洗米タンク2の下端部には、給排水用のジャケット10が設けられ、ジャケット10には、洗米タンク2に水を供給する下部給水管11と、洗米タンク2にエアを供給する給気管12が設けられている。
【0019】
給水管13は、洗米タンク2の上部と同じ高さ位置に設けられ、
図4に示されるように、切換えバルブ14によって、下部給水管11と上部給水管35に、選択的に給水されるように構成されている。給水管13の切換えバルブ14の上流側には、給水管13から洗米タンク2への給水量を計量する流量センサ50が設けられている。下部給水管11および上部給水管35には、それぞれ、開閉バルブ11a、開閉バルブ35aが設けられている。ここに、切換えバルブ14は、第一の位置に位置しているときに、給水管13が下部給水管11に連通され、第二の位置に位置しているときに、給水管13が上部給水管35に連通されるように構成されている。
【0020】
洗米タンク2の下部側方には、排水口15を有する排水箱16が設けられ、排水箱16は、上部が洗米タンク2の上部側面に開口するオーバーフロー管17に、連結管17aを介して接続されている。排水口15は排水管(図示せず)に接続され、排水管には排水バルブ(図示せず)が設けられている。
【0021】
図3に示されるように、貯米庫1の上部には、米投入口18が開口し、米投入口18は蓋部材19によって開閉されるように構成されている。貯米庫1の下部はホッパ状に形成され、ホッパ状をなした貯米庫1の底部には、計量供給部20が設けられている。計量供給部20は、モータ20aによって駆動される定量繰出弁によって構成される計量部20bによって、貯米庫1から洗米タンク2に供給される米の量が計量され、所定量の米が貯米庫1から洗米タンク2内に落下供給される。
【0022】
洗米タンク2には、貯米庫1から供給される米を受ける漏斗状に形成され、円筒状部2aと、円筒状部2aの下部にホッパ状部2bが接続された形状を有している。
【0023】
洗米タンク2の下端部に設けられたジャケット10の下端部には、洗米タンク2から炊飯装置4に米を投下する投下口24が形成されている。そしてこの投下口24には、上下動することによって、投下口24を開閉する投下バルブ25が挿通されている。さらに、ジャケット10内部には米を通過させない程度の小孔22aを形成したフィルタ22を備え、下部給水管11からの水は給水部10aからジャケット10内に入りフィルタ22を通過して洗米タンク2本体内に流入できる構成である。また、小孔22aから流出する洗米水は、ジャケット10に形成された排水部10bから前記排水箱16に排水される構成である。
【0024】
図2および
図3に示されるように、洗米タンク2の中央部には、鉛直方向に延び、撹拌部材9が取り付けられた中空軸26が設けられている。この中空軸26は支持機枠5に取り付けられたモータ27によって、ベベルギアなどを介して、正逆方向に回転可能に構成され、同時に、下方湾曲の棒状によって形成された撹拌部材9も回転するように構成されている。
【0025】
また、投下バルブ25の支持軸30は、中空軸26内に挿通されており、支持軸30の上端部はカム31を介して、モータ32に接続され、モータ32を駆動させることによって、支持軸30に支持された投下バルブ25を下方又は上方に往復移動させ、投下口24を開き又は閉じるように構成されている。
【0026】
上部給水管35は、漏斗状部2bの上部と同じ高さ位置に延び、上部給水管35には、洗米タンク2内に給水する複数のノズル35bが開口している。
図5に示されるように、洗米機3の制御系は、洗米機3全体の動作を制御するコントローラ40と、制御プログラムなどが格納されたROM41と、種々のデータが格納されるRAM42を備えている。本実施態様にかかる炊飯器の洗米機3の検出系としては、給水管13に設けられ、洗米タンク2への給水量を計量する流量センサ50と、計量供給部20に設けられ、貯米庫2から洗米タンク4に供給される米の量を計量する計量部20bと、洗米タンク2内に収容された水の水位を検出する水位センサ51を備えている。本実施態様にかかる洗米機3の駆動系としては、給水管13を介して供給される水を、下部給水管11と上部給水管35に選択的に給水する切換えバルブ14と、下部給水管11を開閉する開閉バルブ11aと、上部給水管35を開閉する開閉バルブ35aと、給気管12から洗米タンク2にエアを供給する給気モータ61と、貯米庫1から洗米タンク2に米を供給する計量供給部20の定量繰出弁を駆動するモータ20aと、中空軸26および撹拌部材9を回転させるモータ27と、カム31を介して、投下バルブ25の支持軸30を上下動させるモータ32と、排水口13に接続された排水管(図示せず)を開閉する排水バルブ63とを備えている。
【0027】
また、洗米機1の入力系は、洗米タンク2に供給する米と水の量などを設定可能なタッチパネル65を備え、表示系は、種々のメッセージを表示可能なディスプレイ68を備えている。
【0028】
図6は、洗米機3で実行される動作を示す工程図であり、
図7は、タイミングチャートである。
【0029】
オペレータがタッチパネル65を操作して、運転開始信号を入力すると、運転開始信号がコントローラ40に出力され、洗米炊飯動作が開始される(S1)。
【0030】
コントローラ40は運転開始信号を受けると、切換えバルブ14を水が下部給水管11に供給されるように、第一の位置に位置させ、開閉バルブ11aを開く。その結果、下部給水管11から、洗米タンク2への給水が開始される(S2)。
【0031】
洗米タンク2への給水量は給水管13に設けられた流量センサ50によって検出され、流量センサ50が検出した給水量はコントローラ40に出力される。こうして、所定量の水が洗米タンク2に供給されたと判定すると、コントローラ40は、開閉バルブ11aを閉じて、洗米タンク2への給水を停止させ、給水工程を終了させる(S3)。
【0032】
洗米タンク4への給水が停止されると、コントローラ40は、計量供給部20に米供給信号を出力し、計量供給工程を開始させる(S4)。
【0033】
米供給信号を受けると、計量供給部20は貯米庫1から洗米タンク2に、米を供給するとともに、計量部20bによって、貯米庫1から洗米タンク2に供給された米の量を計量して、計量信号をコントローラ40に出力する。
【0034】
このように、コントローラ40は、所定量の水が下部給水管11から洗米タンク2に供給されたと判定した後に、貯米庫1から洗米タンク2に、米を供給するように構成されているから、冬場の過乾燥状態にある米のうち、貯米庫1から洗米タンク2に、最初に投下される米が洗米タンク2の底面に衝突することにより、米が割れたり、米に傷が付くことを効果的に防止することができ、米の品質の安定化を図ることが可能になるとともに、計量された米が洗米タンク2に投下される際に、洗米タンク2内の水に投下されるので、米が特定の位置に集中することが防止され、米を洗米タンク2内に均一に分散させることができる。
【0035】
コントローラ40は計量供給部20から入力された計量信号を米計量データとして、RAM42に格納する。こうして、計量供給部20からの計量信号に基づいて、所定量の米が洗米タンク2に供給された判定すると、コントローラ40は、計量供給工程を終了させる(S5)。
【0036】
次いで、コントローラ40は、切換えバルブ14を第一の位置に位置させ、開閉バルブ11aを開いて、下部給水管11から水を洗米タンク2に供給させるとともに、給気モータ61に駆動信号を出力して、給気管12からエアを洗米タンク2に供給させて、気泡が含まれた水を洗米タンク2に供給させつつ、攪拌部材9を回転させて、洗米工程を実行する(S6)。
【0037】
図7に示されるように、コントローラ40は、水位センサ51から検出信号が入力されると、給気モータ61に駆動停止信号を出力して、給気管12から洗米タンク2へのエアの供給を停止させる。一方、水は下部給水管11から洗米タンク2に供給されているから、洗米タンク2に収容されている水は、オーバーフローする。
【0038】
コントローラ40は、水位センサ51から検出信号が入力されてから、第一の所定時間経過後に、開閉バルブ11aを閉じて、下部給水管11から洗米タンク2への水の供給を停止させるとともに、モータ27に駆動停止信号を出力して、撹拌部材9の回転を停止させる。同時に、コントローラ40は、排水バルブ63を開いて、洗米タンク2内に収容されている水の排水を開始する。
【0039】
こうして、洗米工程が終了すると、コントローラ40は、切換えバルブ14を第二の位置に切り換え、開閉バルブ35aを開いて、給水管13と上部給水管35とを連通させ、その状態で、開閉バルブ35aを間欠的に開閉させて、上部給水管35の噴射ノズル35bから、水を供給しては、排水バルブ63を開いて、排水口15から水を排出するざる上げ浸漬工程を実行する(S7)。
【0040】
こうして、第二の所定時間にわたって、ざる上げ浸漬工程を実行すると、コントローラ40は、開閉バルブ35aを閉じて、上部給水管35の噴射ノズル35bから洗米タンクへの給水を停止させる。
【0041】
次いで、コントローラ40は、排水バルブ63を閉じて、洗米タンク2からの排水を停止させるとともに、開閉バルブ11aを開いて、下部給水管11から水を洗米タンク2内に供給する。
【0042】
その結果、水位センサ51が洗米タンク2内に収容された水面を検出すると、コントローラ40は、開閉バルブ11aを閉じて、下部給水管11からの給水を停止させるとともに、モータ27に駆動信号を出力して、攪拌部材9を回転させ、洗米タンク2内の水を攪拌して、撹拌工程を実行する(S8)。
【0043】
こうして、洗米タンク2の上端部に配置された水位センサ51が洗米タンク2内に含まれた水の水位を検出した状態で、第三の所定時間にわたって、撹拌部材9を回転させると、コントローラ40は、モータ27に駆動停止信号を出力して、攪拌部材9の回転を停止させて、撹拌工程を終了する。
【0044】
撹拌工程の終了後、コントローラ40は、排水バルブ63を開いて、洗米タンク2内の水を排水する(S9)。
【0045】
洗米タンク2内の水の排水が完了すると、洗米された米とともに、炊飯釜6に投下すべき水の量を加減する水加減工程が実行される(S10)。
【0046】
水加減工程にあたって、コントローラ40は、切換えバルブ14を第一の位置に位置させて、開閉バルブ11aを開いて、下部給水管11から水を洗米タンク2内に水を供給する。同時に、コントローラ40は、RAM42に記憶された米計量データに基づいて、洗米された米とともに、炊飯釜6に投下すべき水の量を算出し、流量センサ50によって検出された水の供給量が、炊飯釜6に投下すべき水の量に等しくなった時点で、開閉バルブ11aを閉じて、水加減工程を終了させる。
【0047】
こうして、水加減工程が完了すると、コントローラ40は、モータ32に駆動信号を出力して、支持軸30およびそれぞれに取り付けられた投下バルブ25を下方に移動させ、投下口24を開いて、洗米された米と水を炊飯装置4の炊飯釜6内に投下させる(S11)。
【0048】
炊飯釜6内に投下された米は、炊飯釜6によって、炊き上げられる。
【0049】
次いで前記計量供給開始(S4)から洗米工程(S6)までの間に行われる米損傷防止制御の詳細について
図14に基づき説明する。洗米タンク2に洗米量によって予め設定した水量を供給すると(S101)、米が供給される(S102)。そして、米供給終了間際と判断すると排水バルブ63を開いて、洗米タンク2内の水を排水開始する(S103)。所定時間後排水バルブ63を閉じ、新たに水を供給し、攪拌部材9を駆動開始して洗米工程に入る(S104)。洗米運転が終了すると、排水し(S105)、水加減し(S106)、そして投下バルブ25を開いて米・水投下工程が行われる(S107)。
【0050】
米・水投下工程を実行し投下バルブ25を閉じ(107)後、所謂連続洗米運転か否か判定される。連続精米運転とは、予め複数回の洗米炊飯に対応して当該複数回洗米運転を設定し順次実行するもので、この連続洗米運転の設定がなされている場合、すなわちS108でイエスの場合であってこの場合には、S101に戻り同様行程を繰り返す。一方S108でノーの場合、すなわち、単発の洗米運転の設定の場合は、標準水量の供給を行う(S109)。ここで標準水量は米量に依拠しない予め設定された一定水量である。
【0051】
そして、次の洗米運転の設定がなされたか否か判定され(S110)、洗米運転設定がなされない場合には所定時間経過後(S111)、排水バルブ63を開いて上記供給の標準水量の水は排水される(S112)。一方、S110で次の洗米運転が設定された場合は、洗米量に対応する水量に調整し(S113)、S102に戻り以降の手順を実行するものである。
【0052】
このように、米・水投下工程を実行し投下バルブ25を閉じ後、遅滞なく標準水量を供給しておくことより(S107~S109)、洗米タンク2内に付着した糠や残米が付着し難くなる。また、所定時間経過すると、この水を排水することで(S111~S112)、夏場の時期等で長時間待機による水の劣化を防止する。
【0053】
また、前記のS101やS113における供給水量、すなわち待機水量は、洗米量に応じて洗米量が多いときは水量も多く、少ないときは少ない水量になるよう両者略比例的に設定されるものであるから、投下される米が洗米タンク2の底面に衝突することを少なくし水の無駄を少なくできる。
【0054】
さらに、S103の米供給終了間際で排水を開始し、S104の新たな水の供給で洗米運転を開始するので、米の供給開始から終了又は終了間際まで既に供給されて浸漬された米の糠や塵埃を迅速に排出しながら洗米でき洗米時間を短縮できる。
【0055】
本実施態様によれば、ざる上げ浸漬工程と水加減工程との間に、洗米タンク2内の水の水面を水位センサ51が検出している状態で、攪拌部材9を駆動させて、洗米タンク2内の水と米を攪拌する攪拌工程を実行しているから、洗米タンク2の内壁に付着している米が除去され、洗米タンク2に収容されている米を炊飯釜6に投下するときに、洗米タンク2の内壁に付着して残存する米の量を最小限にすることができる。
【0056】
次いで、前記S11における米・水投下工程後に実施される洗浄工程について説明する。オペレータがタッチパネル65を操作して、洗浄開始信号を入力すると、コントローラ40に出力され、洗浄工程動作が開始される。すなわち、この洗浄開始信号によってコントローラ40は、投下バルブ25を閉じ、開閉バルブ11aを開くように作動し、水は下部給水管11からジャケット10内に入り、ジャケット10内に設けたフィルタ22を通過して洗米タンク2へ給水される。
【0057】
次いで、炊飯装置4周辺の構成について説明する。
【0058】
図9において、炊飯釜6後方の支持機枠5両側にファン70を設け、炊飯釜6の蓋を外したところから、内釜6Aを取り出すまで、後方に送風できる構成とした。このように構成することにより、内釜6Aからの蒸気を後方へ送ることができるため(
図9(A))、作業者が快適に作業できる。なお、ファン70は逆転駆動可能に構成することにより、炊き上がり時の炊飯釜6取っ手等の冷却に利用できる(同図(B))。
【0059】
図10において、引出し式架台8の改良構成を示し、引出し用レール71は水平とし、レール71に案内される引出し式架台8を傾斜面72と載置ブロック73とで構成し、設備内水管の排水口74の下方に上記傾斜面72をのぞませている。このように構成すると、排水が勝手に前方に流れるため、作業者が掃除をしなくても良い。なお、傾斜面72への排水は、電磁バルブ75切換で行うが、先端にノズル76を構成し、任意に電磁バルブを切り換えることで、ノズル76からの噴出水にて洗浄を行うことができる。また、傾斜面72からの排水は、排水路77に案内されるが(
図10(A))、受け皿78を設けてホース等を介して排水路77に案内してもよい(同図(B))。
【符号の説明】
【0060】
2 洗米タンク
6 炊飯釜
11 下部給水管(給水管)
25 投下バルブ
35 上部給水管(給水管)
20 計量供給部