(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20241008BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q30/0202
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2020217068
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 実
(72)【発明者】
【氏名】宮原 俊治
(72)【発明者】
【氏名】横山 弘彰
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102043(JP,A)
【文献】特開2015-201090(JP,A)
【文献】特開2002-279279(JP,A)
【文献】特開2000-200260(JP,A)
【文献】特開2019-032904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
学習の対象である第1のユーザが最後に購入した第1の商品の1つ前に購入した商品から、前記第1の商品からN(N:2以上の正の整数)個前までに購入したN個の第2の商品それぞれに関する情報を含む前記第1のユーザの購入遍歴情報を入力データとし、前記第1の商品に関する情報をラベルとする、複数の第1のユーザについての学習データによって学習された予測モデルへ、予測の対象である第2のユーザが現在保有する商品からN-1個前までに購入した商品を含むN個の第3の商品それぞれに関する情報を含む前記第2のユーザの購入遍歴情報を入力することと、
前記予測モデルからの前記入力に対する出力に基づいて、前記第2のユーザが購入する可能性のある1つ又は複数の商品に関する第1の情報を取得することと、
前記第1の情報を出力することと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記学習データの前記入力データは、前記第1の商品の購入時における前記第1のユーザの家族構成をさらに含み、
前記コンピュータが、前記予測モデルへの前記入力において、現在の前記第2のユーザの家族構成をさらに入力する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記学習データの前記入力データは、前記N個の第2の商品それぞれの購入時における前記第1のユーザの家族構成をさらに含み、
前記コンピュータが、前記予測モデルへの前記入力において、前記N個の第3の商品それぞれの購入時における前記第2のユーザの家族構成をさらに入力する、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記学習データの前記入力データは、前記N個の第2の商品それぞれの保有期間をさらに含み、
前記コンピュータが、前記予測モデルへの前記入力において、前記N個の第3の商品そ
れぞれの保有期間をさらに入力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記学習データの前記入力データは、前記第1のユーザの属性をさらに含み、
前記コンピュータが、前記予測モデルへの前記入力において、前記第2のユーザの属性をさらに入力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記学習データの前記入力データは、前記N個の第2の商品それぞれについて、購入に関する価値観を示す、前記N個の前記第1のユーザの価値観情報をさらに含み、
前記コンピュータが、前記予測モデルへの前記入力において、前記N個の第3の商品それぞれについて、前記N個の前記第2のユーザの価値観情報をさらに入力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第1のユーザの価値観情報及び前記第2のユーザの価値観情報は、それぞれ、商品の購入に関する価値観についての前記第1のユーザ及び前記第2のユーザのアンケートの回答データである、
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、ユーザの商品の購入に関する価値観を分類する所定数のタイプのそれぞれと、前記所定数のタイプそれぞれに分類されるユーザが購入する可能性の高い1又は複数の商品との対応付けを記憶部に記憶することをさらに含み、
前記N個の前記第1のユーザの価値観情報は、前記N個の第2の商品それぞれについての前記第1のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類された、前記N個の前記第1のユーザのタイプであり、
前記学習データの前記ラベルは、前記第1の商品に関する情報としての、前記第1の商品の購入に関する前記第1のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類された前記第1のユーザのタイプであり、
前記コンピュータが、
前記N個の第3の商品のそれぞれについての前記第2のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類される、前記N個の前記第2のユーザのタイプを、前記N個の前記第2のユーザの価値観情報として取得し、
前記予測モデルへ、前記N個の第3の商品のそれぞれについての前記N個の前記第2のユーザのタイプをさらに入力し、
前記予測モデルへの前記入力に対する出力に基づいて、前記第2のユーザの現在の商品の購入に関する価値観が分類されることが予測される第1のタイプを取得し、
前記記憶部において、前記第1のタイプに対応付けられている1又は複数の商品に関する情報を、前記第1の情報として取得する、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記予測モデルの出力は、前記所定数のタイプそれぞれの、前記第2のユーザの現在の商品の購入に関する価値観が分類される確率であり、
前記コンピュータが、前記確率が最も高いタイプを前記第1のタイプとして取得する、請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記コンピュータが、前記予測モデルを前記学習データで学習させる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
学習の対象である第1のユーザが最後に購入した第1の商品の1つ前に購入した商品から、前記第1の商品からN(N:2以上の正の整数)個前までに購入したN個の第2の商
品それぞれに関する情報を含む前記第1のユーザの購入遍歴情報を入力データとし、前記第1の商品に関する情報をラベルとする、複数の第1のユーザについての学習データによって学習された予測モデルへ、予測の対象である第2のユーザが現在保有する商品からN-1個前までに購入した商品を含むN個の第3の商品それぞれに関する情報を含む前記第2のユーザの購入遍歴情報を入力することと、
前記予測モデルからの前記入力に対する出力に基づいて、前記第2のユーザが購入する可能性のある1つ又は複数の商品に関する第1の情報を取得することと、
前記第1の情報を出力することと、
を実行する制御部を含む情報処理装置。
【請求項12】
前記学習データの前記入力データは、前記第1の商品の購入時における前記第1のユーザの家族構成をさらに含み、
前記制御部は、前記予測モデルへの前記入力において、現在の前記第2のユーザの家族構成をさらに入力する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記学習データの前記入力データは、前記N個の第2の商品それぞれの購入時における前記第1のユーザの家族構成をさらに含み、
前記制御部は、前記予測モデルへの前記入力において、前記N個の第3の商品それぞれの購入時における前記第2のユーザの家族構成をさらに入力する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記学習データの前記入力データは、前記N個の第2の商品それぞれの保有期間をさらに含み、
前記制御部は、前記予測モデルへの前記入力において、前記N個の第3の商品それぞれの保有期間をさらに入力する、
請求項11から13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記学習データの前記入力データは、前記第1のユーザの属性をさらに含み、
前記制御部は、前記予測モデルへの前記入力において、前記第2のユーザの属性をさらに入力する、
請求項11から14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記学習データの前記入力データは、前記N個の第2の商品それぞれについて、購入に関する価値観を示す、前記N個の前記第1のユーザの価値観情報をさらに含み、
前記制御部は、前記予測モデルへの前記入力において、前記N個の第3の商品それぞれについて、前記N個の前記第2のユーザの価値観情報をさらに入力する、
請求項11から15のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記第1のユーザの価値観情報及び前記第2のユーザの価値観情報は、それぞれ、商品の購入に関する価値観についての前記第1のユーザ及び前記第2のユーザのアンケートの回答データである、
請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
ユーザの商品の購入に関する価値観を分類する所定数のタイプのそれぞれと、前記所定数のタイプそれぞれに分類されるユーザが購入する可能性の高い1又は複数の商品との対応付けを記憶する記憶部をさらに含み、
前記N個の前記第1のユーザの価値観情報は、前記N個の第2の商品それぞれについての前記第1のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類された、前記N個の前記第1のユーザのタイプであり、
前記学習データの前記ラベルは、前記第1の商品に関する情報としての、前記第1の商品の購入に関する前記第1のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類された前記第1のユーザのタイプであり、
前記制御部は、
前記N個の第3の商品のそれぞれについての前記第2のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類される、前記N個の前記第2のユーザのタイプを、前記N個の前記第2のユーザの価値観情報として取得し、
前記予測モデルへ、前記N個の第3の商品のそれぞれについての前記N個の前記第2のユーザのタイプをさらに入力し、
前記予測モデルへの前記入力に対する出力に基づいて、前記第2のユーザの現在の商品の購入に関する価値観が分類されることが予測される第1のタイプを取得し、
前記記憶部において、前記第1のタイプに対応付けられている1又は複数の商品に関する情報を、前記第1の情報として取得する、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記予測モデルの出力は、前記所定数のタイプそれぞれの、前記第2のユーザの現在の商品の購入に関する価値観が分類される確率であり、
前記制御部は、前記確率が最も高いタイプを前記第1のタイプとして取得する、
請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
コンピュータに、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客が購入した商品に関する情報に基づいて、顧客が商品を購入する確率を推定する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の態様の一つは、顧客が購入する可能性の高い商品をより精度良く予測可能な情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
学習の対象である第1のユーザが最後に購入した第1の商品の1つ前に購入した商品から、前記第1の商品からN(N:2以上の正の整数)個前までに購入したN個の第2の商品それぞれに関する情報を含む前記第1のユーザの購入遍歴情報を入力データとし、前記第1の商品に関する情報をラベルとする、複数の第1のユーザについての学習データによって学習された予測モデルへ、予測の対象である第2のユーザが現在保有する商品からN-1個前までに購入した商品を含むN個の第3の商品それぞれに関する情報を含む前記第2のユーザの購入遍歴情報を入力することと、
前記予測モデルからの前記入力に対する出力に基づいて、前記第2のユーザが購入する可能性のある1つ又は複数の商品に関する第1の情報を取得することと、
前記第1の情報を出力することと、
を含む情報処理方法である。
【0006】
本開示の態様の他の一つは、
学習の対象である第1のユーザが最後に購入した第1の商品の1つ前に購入した商品から、前記第1の商品からN(N:2以上の正の整数)個前までに購入したN個の第2の商品それぞれに関する情報を含む前記第1のユーザの購入遍歴情報を入力データとし、前記第1の商品に関する情報をラベルとする、複数の第1のユーザについての学習データによって学習された予測モデルへ、予測の対象である第2のユーザが現在保有する商品からN-1個前までに購入した商品を含むN個の第3の商品それぞれに関する情報を含む前記第2のユーザの購入遍歴情報を入力することと、
前記予測モデルからの前記入力に対する出力に基づいて、前記第2のユーザが購入する可能性のある1つ又は複数の商品に関する第1の情報を取得することと、
前記第1の情報を出力することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置である。
【0007】
本開示の態様の他の態様の一つは、コンピュータに、本開示の態様の一つである情報処理方法を実行させるためのプログラム、又は、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、顧客が購入する可能性の高い商品をより精度良く予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る購入予測システムにおける、購入商品の予測の流れを示す図の一例である。
【
図2】
図2は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、価値観タイプと車両との対応表の一例である。
【
図6】
図6は、購入予測モデルの学習の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、購入予測モデルの予測処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、購入予測モデルの出力データに基づく購入商品の判定処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、購入予測システムにおける購入予測モデルの学習処理のフローチャートの一例である。
【
図10】
図10は、購入予測システムにおける予測処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様の一つは、情報処理方法である。情報処理方法は、例えば、サーバ等のコンピュータによって実行される。当該情報処理方法は、予測モデルを用いて、ユーザが次に購入する可能性のある1つ又は複数の商品を予測する方法である。商品は、例えば、自家用車、家庭用電化製品、及び家具等の耐久財である。
【0011】
当該予測モデルは、所定のアルゴリズムによって構築された機械学習モデルである。当該予測モデルは、複数の学習データによって学習されている。当該予測モデルのアルゴリズム及び学習方法は所定のものに限定されない。
【0012】
予測モデルの学習データは、入力データとラベルとを含む。学習データの入力データは、第1のユーザが最後に購入した第1の商品の1つ前に購入した商品から、第1の商品からN個前までに購入したN個の第2の商品それぞれに関する情報を含む第1のユーザの購入遍歴情報である。予測モデルのラベルは、第1のユーザが最後に購入した第1の商品に関する情報である。複数の学習データは、複数の第1のユーザについてのデータである。すなわち、第1のユーザは、学習データの対象となるユーザである。
【0013】
当該情報処理方法は、予測モデルへ、予測の対象である第2のユーザが現在保有する商品からN-1個前までに購入した商品を含むN個の第3の商品それぞれに関する情報を含む第2のユーザの購入遍歴情報を入力し、予測モデルからの入力に対する出力に基づいて、第2のユーザが購入する可能性のある1つ又は複数の商品に関する第1の情報を取得し、出力することを含む。
【0014】
予測の対象である第2のユーザがこれまでに購入してきた歴代の商品に関する情報は、第2のユーザの当該商品の購入に対する価値観が反映されている。したがって、本開示の態様の一つによれば、予測の対象の第2のユーザがこれまでに購入してきた歴代の商品に関する情報を用いるため、第2のユーザの価値観に応じて、第2のユーザが次に購入する可能性のある商品をより精度良く予測することができる。
【0015】
予測の対象である第2のユーザが次に購入する可能性のある商品をより精度良く予測す
るとは、例えば、予測された商品に関する販売促進活動を行った際に、第2のユーザが当該予測された商品に関して、何らかの行動を行う確率がより高くなることである。第2のユーザが当該予測された商品に関して行う行動には、例えば、当該商品について検索する、当該商品を店舗へ見に行く、及び、当該商品を購入する等である。
【0016】
本開示の態様の一つでは、学習データの入力データは、第1のユーザが最後に購入した第1の商品の購入時における第1のユーザの家族構成をさらに含んでもよい。この場合には、予測モデルへの入力において、現在の第2のユーザの家族構成をさらに入力してもよい。または、学習データの入力データは、第1のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第2の商品それぞれの購入時における第1のユーザの家族構成をさらに含み、予測モデルへの入力において、第2のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第3の商品それぞれの購入時における第2のユーザの家族構成をさらに入力してもよい。
【0017】
耐久財である当該商品は家族と共に使用することが多いため、各商品の購入時の家族構成は、当該商品の購入に対する価値観に影響する。また、家族構成は経年とともに変化する可能性があるので、価値観も家族構成の変化とともに変化する可能性がある。したがって、予測モデルの入力データの一つとして家族構成を用いることによって、家族構成の変化に伴って変化する予測対象の第2のユーザの価値観に応じて、より精度良く第2のユーザが次に購入する可能性のある商品を予測することができる。
【0018】
本開示の態様の一つでは、学習データの入力データは、第1のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第2の商品それぞれの保有期間をさらに含み、予測モデルへの入力において、第2のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第3の商品それぞれの保有期間をさらに入力してもよい。または、学習データの入力データは、第1のユーザの属性をさらに含み、予測モデルへの入力において、第2のユーザの属性をさらに入力するようにしてもよい。ユーザの属性は、例えば、年齢、性別、生年、及び、職業等の少なくともいずれかである。
【0019】
商品の保有期間及びユーザの属性は、それぞれ、当該商品の購入に対する価値観に影響する情報の一つである。保有期間は、例えば、購入時期から処分時期までの期間である。例えば、時勢及びユーザの年齢は、購入時期によって異なり、これらの変化とともに、ユーザの価値観も変化する可能性がある。また、例えば、男性と女性とで嗜好が異なったりすることがあり、ユーザの属性に応じた価値観の特性がある。したがって、予測モデルの入力データの一つとして商品の保有期間又はユーザの属性を用いることによって、予測の対象である第2のユーザの価値観に応じて、より精度良く第2のユーザが次に購入する可能性のある商品を予測することができる。
【0020】
本開示の態様の一つでは、学習データの入力データは、第1のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第2の商品それぞれについて、購入に関する価値観を示す、N個の第1のユーザの価値観情報をさらに含んでもよい。この場合には、本開示の態様の一つでは、予測モデルへの入力において、第2のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第3の商品それぞれについて、N個の第2のユーザの価値観情報をさらに入力するようにしてもよい。第1のユーザの価値観情報及び第2のユーザの価値観情報は、第1のユーザ及び第2のユーザの主観的な情報の一つである。第1のユーザの価値観情報及び第2のユーザの価値観情報は、例えば、それぞれ、商品の購入に関する価値観についての第1のユーザ及び第2のユーザのアンケートの回答データであってもよい。したがって、予測モデルの入力データの一つとしてユーザの価値観情報を用いることによって、予測対象の第2のユーザの価値観に応じて、より精度良く第2のユーザが次に購入する可能性のある商品を予測することができる。
【0021】
また、本開示の態様の一つは、ユーザの商品の購入に関する価値観を分類する所定数の
タイプのそれぞれと、所定数のタイプそれぞれに分類されるユーザが購入する可能性の高い1又は複数の商品との対応付けを記憶部に記憶することをさらに含んでもよい。この場合には、N個の学習対象である第1のユーザの価値観情報は、第1のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第2の商品それぞれについての第1のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類された、N個の第1のユーザのタイプであってもよい。また、学習データのラベルは、第1のユーザの購入遍歴に含まれる第1の商品に関する情報としての、第1の商品の購入に関する第1のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類された第1のユーザのタイプであってもよい。この場合には、本開示の態様の一つは、第2のユーザの購入遍歴に含まれるN個の第3の商品のそれぞれについての第2のユーザのアンケートの回答データに基づいて分類される、N個の第2のユーザのタイプを、N個の第2のユーザの価値観情報として取得し、予測モデルへさらに入力してもよい。さらに、本開示の態様の一つは、予測モデルへの当該入力に対する出力に基づいて、第2のユーザの現在の商品の購入に関する価値観が分類されることが予測される第1のタイプを取得し、記憶部において、第1のタイプに対応付けられている1又は複数の商品に関する情報を、第1の情報として取得してもよい。
【0022】
予測の対象である第2のユーザが次に購入する可能性のある商品には、世の中に存在するすべての商品が対象となるが、その数は膨大である。また、ユーザの商品の購入に関する価値観はユーザごとに異なるため、その数も膨大である。したがって、ユーザの購入に関する価値観を所定数のタイプに分類し、各タイプに購入される可能性の高い商品を対応付けておくことで、予測モデルの入力と出力として用いられる情報の数をスケールダウンさせることができ、予測モデルによる予測に係る処理負荷を削減することができる。また、この場合には、予測モデルの出力は、所定数のタイプそれぞれの、第2のユーザの現在の商品の購入に関する価値観が分類される確率であり、確率が最も高いタイプを第1のタイプとして取得してもよい。
【0023】
本開示の態様の一つでは、予測モデルを学習データで学習させるようにしてもよい。これによって、予測モデルを適宜更新することができる。
【0024】
本開示の他の態様として、上述の情報処理方法を実行する情報処理装置、コンピュータに上述の情報処理方法の処理を実行させるためのプログラム、及び、当該プログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても特定することができる。
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る購入予測システム100における、購入商品の予測の流れを示す図の一例である。購入予測システム100は、ユーザの商品の購入遍歴から当該ユーザが次に購入する商品を予測するシステムである。第1実施形態では、予測対象の商品は、自家用車である。第1実施形態では、車両は、車名で識別されるものとする。なお、購入予測システム100が予測対象とする商品は、自家用車に限定されず、家庭用電化製品、及び、家具等の耐久財も含む。また、購入予測システム100が予測対象とする商品には、個人使用のものに限定されず、組織、企業、工場、及び、施設で使用される耐久財も含まれてもよい。
【0027】
購入予測システム100は、購入商品の予測に、購入予測モデルを用いる。購入予測モデルは、例えば、インターネットの調査等で収集された、車両購入経験者のこれまで購入した歴代の車両に関する情報と最後に購入した車両に関する情報との関係を学習する。当該購入予測モデルに、予測対象者が購入した歴代の車両に関する情報を入力して得られる
出力に基づいて、当該予測対象者が次に購入する可能性のある車両が予測される。以降、購入予測モデルの学習に用いられるデータの取得元となるユーザを学習対象ユーザと称する。また、購入予測モデルを用いた予測の対象となるユーザを予測対象ユーザと称する。学習対象ユーザは、「第1のユーザ」の一例である。予測対象ユーザは、「第2のユーザ」の一例である。購入予測モデルは、「予測モデル」の一例である。
【0028】
第1実施形態では、購入予測モデルの学習では、学習対象ユーザが最後に購入した車両から3台前に購入した車両から1台前に購入した車両までの3台の車両に関する情報と最後に購入した車両に関する情報との関係が学習される。購入予測モデルを用いる予測では、予測対象ユーザが2台前に購入した車両から現在保有している車両までの3台の車両に関する情報が購入予測モデルに入力され、購入予測モデルの出力に基づいて、次に購入する可能性のある車両が判定される。
【0029】
ユーザの車両の購入遍歴は、当該ユーザの車両の購入に関する価値観を反映している。したがって、第1実施形態によれば、ユーザの車両の購入履歴から次に購入される可能性のある車両を精度良く予測することができる。
【0030】
また、ユーザの車両の購入に関する価値観に影響を与える情報は、購入した歴代の車両に関する情報の他にも存在する。また、ユーザの価値観は、当該ユーザが本来持っている不変的価値観と、環境等の影響によって変化する価値観とがある。ユーザが本来持っている不変的価値観に影響を与える情報には、例えば、ユーザの属性情報、幼少期の趣味及び原体験等がある。ユーザの属性情報には、例えば、生年、性別、及び、職業等がある。ただし、ユーザの不変的価値観に影響を与えるユーザの属性情報はこれに限定されない。
【0031】
変化するユーザの価値観に影響を与える情報には、例えば、年齢、家族構成、及び、住居環境等の時間の経過とともに変化する情報がある。ただし、変化するユーザの価値観に影響を与える情報はこれらに限定されない。
【0032】
すなわち、ユーザの車両の購入に関する価値観に影響を与える情報には、購入した歴代の車両に関する情報に加えて、例えば、ユーザの属性情報、趣味、原体験、購入時の家族構成、購入時の年齢、及び、購入時の住居環境等の情報がある。第1実施形態では、これらの情報も用いて購入予測モデルの学習及び購入予測モデルによる予測を行い、ユーザが次に購入する可能性のある車両の予測の精度を向上させる。
【0033】
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、購入予測システム100の購入商品の予測を実施する装置である。情報処理装置1は、例えば、サーバ等の専用のコンピュータ、又は、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータである。情報処理装置1は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、外部記憶装置103、入力部104、出力部1
05、及び、通信部106を有する。メモリ102および外部記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。
【0034】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、購入商品予測プログラム、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。購入商品予測プログラムは、ユーザの車両の購入遍歴から当該ユーザが次に購入する可能性のある商品を予測するためのプログラムである。
【0035】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0036】
CPU 101は、外部記憶装置103に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。CPU 101は、「情報処理装置」の「制御部」の一例である。
【0037】
入力部104は、例えば、キーボード、又は、マウス等のポインティングデバイス等の入力装置である。入力部104から入力された信号は、CPU 101へ出力される。出力部105は、ディスプレイ、及び、プリンタ等の出力装置である。出力部105は、CPU 101からの信号の入力に応じて情報を出力する。なお、入力部104及び出力部105は、それぞれ、音声の入力装置及び出力装置であってもよい。
【0038】
通信部106は、ネットワークとの情報の入出力を行うインタフェースである。通信部106は、有線のネットワークと接続するインタフェースであってもよいし、無線のネットワークと接続するインタフェースであってもよい。通信部106は、例えば、NIC(Network Interface Card)や無線回路等である。なお、情報処理装置1のハードウェア構成は、
図2に示されるものに限定されない。
【0039】
図3は、情報処理装置1の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、機能構成要素として、学習制御部11、予測制御部12、購入予測モデル13、対応表14、購入遍歴情報DB 15、及び、顧客情報DB 16を備える。これらの機能構成要素は、例えば、情報処理装置1のCPU 101が商品購買予測プログラムを実行することによって達成される。
【0040】
学習制御部11は、購入予測モデル13の作成及び更新の処理を行う。購入予測モデル13の作成及び更新のいずれについても、学習制御部11は、学習データを取得し、購入予測モデル13に学習データを入力して学習させる。学習データは、購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16から取得される。学習データ及び購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16に保持されている情報の詳細は後述される。
【0041】
学習制御部11は、購入予測モデル13の更新を所定のタイミングで行う。購入予測モデル13の更新のタイミングは、例えば、予め決められた周期、予め決められたイベントの発生、及び、学習指示の入力等である。購入予測モデル13の更新の周期は、例えば、1カ月から1年の間の任意の期間に設定される。購入予測モデル13の学習の詳細については、後述される。
【0042】
予測制御部12は、例えば、予測開始の指示が入力されると、予測対象ユーザの購入商品の予測を開始する。予測開始の指示は、例えば、入力部104を通じて、又は、ネットワーク経由でユーザ端末から入力される。予測開始の指示とともに、例えば、予測対象ユーザの識別情報又は予測対象ユーザのデータが入力される。予測開始の指示とともに、予測対象ユーザの識別情報が入力された場合には、予測制御部12は、例えば、購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16から、予測対象ユーザの識別情報に相当するデータを取得する。ここで取得されるデータは、例えば、予測対象のユーザ属性情報、3台前に購入した車両から現在保有する車両までの車両に関する情報、及び、それぞれの車両の購入に対するアンケートの回答データである。
【0043】
予測制御部12は、予測対象ユーザのデータから購入予測モデル13への入力データを生成する。予測制御部12は、予測対象ユーザの車両の購入に対するアンケートの回答データに基づいて分類を行い、3台前までの購入車両それぞれの購入に関する予測対象ユーザの価値観タイプを取得する。購入予測モデル13への入力データは、例えば、ユーザ属性情報、2台前までの購入車両それぞれについて、車両に関する情報、購入に関する価値観のタイプ、保有期間、及び、購入時の家族構成をスコア化したデータである。
【0044】
予測制御部12は、予測対象ユーザの入力データを購入予測モデル13へ入力し、購入予測モデル13の出力を取得する。購入予測モデル13の出力に基づいて、予測制御部12は、予測対象ユーザが次に購入する可能性のある車両を判定する。予測制御部12は、予測対象ユーザが購入する可能性のある車両に関する情報を、予測開始の指示の入力経路に応じて、出力部105から出力したり、又は、ネットワーク経由でユーザ端末へ送信したりする。購入商品の予測処理の詳細については、後述される。
【0045】
購入予測モデル13は、学習済みモデルである。購入予測モデル13は、入力値を与えられると、所定の演算を行い、演算結果を出力値として出力する。購入予測モデル13は、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰、木、ベイズ、時系列等の教師あり学習を行う機械学習モデルである。ただし、購入予測モデル13は、特定の機械学習モデルに限定されない。また、購入予測モデル13の学習方法も特定の学習方法に限定されない。
【0046】
例えば、購入予測モデル13がニューラルネットワークを有する場合の処理は以下の通りである。購入予測モデル13には、パラメータ列{xi、i=1、2、・・・、N}が入力される。購入予測モデル13は、入力されたパラメータ列に重み係数{wi,j,l,(ここで、jは1から畳み込み演算される要素数Mまでの値、lは1から階層の数Lまでの値)}で積和演算する畳み込み処理と、畳み込み処理の結果を判定する活性化関数と、畳み込み処理に対する活性化関数の判定結果から一部を間引く処理であるプーリング処理とを実行する。購入予測モデル13は、以上の処理をパラメータ列が入力される入力層から最上位の全結合層まで複数階層Lに渡って繰り返し実行し、最終段階の全結合層で出力パラメータ(または出力パラメータ列){yk、k=1,・・・、P}を出力する。教師ありモデルでの学習では、出力パラメータ(出力値)と正解データ(ラベル)とが比較され、エラーが算出される。エラーは、上記ニューラルネットワークを複数階層に渡って最上位の全結合層から入力層に逆伝搬され、重み係数が調整される。また、学習済みの購入予測モデルに新たなパラメータ列が入力されると、購入予測モデル13は、入力されたパラメータ列に対して、出力パラメータを出力する。
【0047】
対応表14は、所定数の価値観タイプと、各価値観タイプについて購入される可能性の高い車両の車名との対応付けを保持する表である。学習対象ユーザ及び予測対象ユーザの歴代の購入車両の購入に関する価値観は、対応表14に定義される所定数の価値観タイプのいずれかに分類される。対応表14は、外部記憶装置103に格納されている。対応表14の詳細は後述される。
【0048】
購入遍歴情報DB 15、及び、顧客情報DB 16は、それぞれ、外部記憶装置103の記憶領域に作成される。購入遍歴情報DB 15には、例えば、インターネット調査によって収集された、各ユーザが歴代購入した車両に関するアンケート回答データが格納されている。購入遍歴情報DB 15に保持されている情報の詳細は後述される。顧客情報DB 16には、ユーザに関する情報が格納されている。ユーザに関するじょうほうには、例えば、ユーザの生年、性別、住所、職業、出身地、趣味、及び、現在の家族構成等の情報が格納されている。購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16に格納されているデータは、例えば、ユーザの識別情報で対応付けられている。
【0049】
なお、
図3に示される情報処理装置1のそれぞれの又は複数の機能構成要素は、他の装置による処理によって達成されてもよい。例えば、1の情報処理装置1が学習制御部11、予測制御部12、購入遍歴情報DB 15、及び、顧客情報DB 16を備え、他の情報処理装置1が購入予測モデル13を備え、両方の情報処理装置1が連携して購入予測システム100の処理を行ってもよい。
【0050】
<データの説明>
図4は、購入遍歴情報の一例である。購入遍歴情報は、顧客情報DB 16に保持されている情報である。
図4では、顧客Xの購入遍歴情報が示されている。購入遍歴情報は、例えば、インターネット及び店舗等で実施されたアンケート調査によって取得されている。購入遍歴情報には、第1実施形態では、3台前の購入車両から現在の保有車両それぞれについて、保有期間、車名、購入時の年齢、購入時の家族構成、購入時の住居環境、購入理由、購入時の車両へのニーズ、購入車両の主な用途、車両に関する思い出、車両の満足な点及び不満な点が含まれている。例えば、
図4に示される購入遍歴情報は、アンケートにおける各質問に対する回答データとして用意された複数の選択肢の中からユーザによって選択された選択肢が格納されている。また、ユーザの車両の購入遍歴が3台以下である場合には、現在の保有車両、1台前の保有車両、及び/又は、2台前の保有車両についての回答データのみが含まれることになる。ただし、車両の購入遍歴が3台以下である購入履歴情報は、学習データから除外してもよいし、学習データに含んでもよい。
【0051】
例えば、
図4に示される例のうち、各車両についての、購入時の住居環境、購入理由、購入時の車両へのニーズ、車両の主な用途、車両に関する思い出、車両の満足な点及び不満な点に基づいて、各車両の購入に関するユーザの価値観タイプが取得される。これらの情報は、「価値観情報」の一例である。また、
図4に示される例のうち、3代前の購入車両から現在の保有車両それぞれの車名は、「購入遍歴情報」の一例である。なお、購入遍歴情報は、
図4に示される例に含まれる情報に限定されない。また、現在の保有車両は、最後に購入した車両ともいえる。また、例えば、ユーザが現在車両を保有していない場合には、「現在の保有車両」に関する回答データは空欄となり、「1台前の車両」が最後に購入した車両となる。また、この場合には、購入履歴情報内の「2台前の車両」、「3台前の車両」、...が最後に購入した車両の1台前の車両、2台前の車両、...となる。
【0052】
図5は、価値観タイプと車両との対応表14の一例である。対応表14では、価値観タイプと、当該価値観タイプに分類されるユーザが購入する可能性の高い車両とが対応付けられている。
図5に示される価値観タイプには、コスパ重視派、家族団らん派、最新機能重視派、及び、ブランド指向派等がある。価値観タイプは、予め定義されている。
【0053】
例えば、
図4に示される、各車両についての、購入時の住居環境、購入理由、購入時の車両へのニーズ、車両の主な用途、車両に関する思い出、車両の満足な点及び不満な点のアンケートの回答データを所定の分類方法で分類することによって、車両の購入時のユーザが、
図5に示される価値観タイプのいずれかに分類される。なお、価値観タイプの定義は、
図5に示されるものに限定されない。
【0054】
<購入予測モデルの学習及び予測>
図6は、購入予測モデル13の学習の一例を示す図である。学習制御部11は、学習開始の指示の入力を受けると、学習データを取得する。学習データは、購入遍歴情報DB 15及ぶ顧客情報DB 16からサンプル数nの学習対象ユーザについてのデータである。具体的には、ユーザの属性情報、及び、最後に購入した車両の3台前の購入車両から最後に購入した車両のそれぞれについて、車両に関する情報、価値観及び思い出に関するアンケートの回答データ、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報のセットである。これ
らの情報のうち、ユーザの属性情報は、顧客情報DB 16から取得される。3台前の購入車両から最後に購入した車両のそれぞれについて、車両に関する情報、価値観及び思い出に関する情報、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報のセットは、購入遍歴情報DB 15から取得される(
図4参照)。
【0055】
学習制御部11は、まず、各学習対象ユーザの最後に購入した車両の3台前の購入車両から最後に購入した車両のそれぞれについて、購入に関する学習対象ユーザの価値観タイプを取得する。価値観タイプは、学習対象ユーザの最後に購入した車両の3台前の購入車両から最後に購入した車両のそれぞれについての価値観及び思い出に関するアンケートの回答データに基づく分類によって取得される。価値観タイプの分類に用いられる価値観及び思い出に関するアンケートの回答データは、例えば、
図4に示される例の、各車両についての、購入時の住居環境、購入理由、購入時の車両へのニーズ、購入車両の主な用途、車両に関する思い出、車両の満足な点及び不満な点のアンケートの回答データである。
【0056】
価値観タイプの分類には、例えば、自己組織化マップ(Self-Organizing MAP,SOM)、
及び、その他クラスタ分析の手法等の既存の技術のいずれが用いられてもよい。学習対象ユーザの最後に購入した車両の3台前の購入車両から最後に購入した車両のそれぞれについて、価値観及び思い出に関するアンケート回答データを入力データとして、所定の分類計算処理を実行することによって、最後に購入した車両の、3台前の購入車両から1台前の購入車両のそれぞれの購入についての価値観タイプを取得することができる。
【0057】
購入予測モデル13の学習データは、学習対象ユーザの、ユーザの属性情報、最後に購入した車両の購入時の家族構成、及び、最後に購入した車両の3台前の購入車両から1台前の購入車両のそれぞれについて、車両に関する情報、価値観タイプ、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報のセットを入力データとする。また、購入予測モデル13の学習データは、学習対象ユーザの最後に購入した車両の購入についての価値観タイプをラベルとする。
【0058】
学習対象ユーザの属性情報は、例えば、生年、性別、職業、及び、趣味等である。ただし、購入予測モデル13の入力データとして用いられるユーザの属性情報は、これらに限定されない。購入予測モデル13の入力データとして用いられるユーザの属性情報は、生年、性別、職業、及び、趣味のいずれか一つ又は複数であってもよいし、その他の情報が追加又はこれらの情報と置換されてもよい。
【0059】
車両に関する情報は、例えば、車両の車名、諸元、仕様、及び、購入内容等である。なお、購入遍歴情報DB 15には、車両の車名は保持されているが、それ以外の情報は保持されていない。車両の諸元及び仕様等の情報については、学習制御部11が、車両の車名に基づいて、所定のデータベースやウェブ上の検索によって取得してもよい。車両の購入内容は、例えば、ユーザが選択したオプションの内容である。車両の購入内容については、例えば、アンケート調査によって取得され、購入遍歴情報DB 15に保持されていてもよい。
【0060】
購入予測モデル13に上記の入力データをスコアリングしたものを入力すると、例えば、全ての価値観タイプの学習対象ユーザが分類される確率が出力データとして取得される。これに対して、ラベルは、学習対象ユーザが分類される最後に購入した車両の購入についての価値観タイプが1であり、その他の価値観タイプが0となるデータである。購入予測モデル13は、出力データとラベルとの差分を取得し、当該差分が小さくなるように、パラメータを調整する。購入予測モデル13は、入力データの入力、出力データとラベルとの差分の取得、及びパラメータの調整を1つの学習データについての1回の学習とする。購入予測モデル13は、当該学習を、サンプル数nの学習データについて、所定回数、
又は、ラベルと出力データとの差分が閾値未満となるまで、繰り返し行う。サンプル数は、例えば、1000から10000である。
【0061】
また、対応表14(
図5参照)において、各価値観タイプについて、購入される可能性の高い車両は、例えば、学習データから取得されてもよい。具体的には、各価値観タイプについて、分類された学習対象ユーザが購入していた上位の車両、及び、当該車両と諸元及び仕様が類似する車両が、対応表14において、購入される可能性の高い車両として定義されてもよい。なお、対応表14において、各価値観タイプについて、購入される可能性の高い車両の定義は、これに限定されない。
【0062】
図7は、購入予測モデル13の予測処理の一例を示す図である。予測制御部12は、予測開始の指示の入力を受けると、予測対象ユーザのデータを、購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16から取得する。予測対象ユーザは、予測開始の指示とともに指定される。この時取得されるデータは、ユーザの属性情報、現在の家族構成、及び、2台前の購入車両から現在の保有車両のそれぞれについて、車両に関する情報、価値観及び思い出に関するアンケートの回答データ、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報のセットである。これらの情報のうち、ユーザの属性情報は、顧客情報DB 16から取得される。現在の家族構成、及び、2台前の購入車両から現在の保有車両のそれぞれについて、車両に関する情報、価値観及び思い出に関する情報、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報のセットは、購入遍歴情報DB 15から取得される(
図4参照)。
【0063】
予測制御部12は、まず、2台前の購入車両から現在の保有車両のそれぞれについて、価値観及び思い出に関するアンケートの回答データに基づいて、価値観タイプを取得する。価値観タイプの分類方法は、学習時と同様である。
【0064】
予測制御部12は、予測対象ユーザの、ユーザの属性情報、現在の家族構成、及び、2台前の購入車両から現在の保有車両のそれぞれについて、車両に関する情報、価値観タイプ、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報のセットを入力データとする。予測制御部12は、入力データをスコアリングしたものを購入予測モデル13へ入力し、出力データを取得する。出力データの詳細については、次の
図8において説明される。
【0065】
図8は、購入予測モデル13の出力データに基づく購入商品の判定処理の一例を示す図である。購入予測モデル13の出力データ(予測結果)として、各価値観タイプについて、予測対象ユーザの現在の価値観が分類される確率が取得される。予測制御部12は、最も確率の高い価値観タイプを、予測対象ユーザの現在の価値観タイプとして判定し、対応表14において当該価値観タイプに対応付けられている車両を、予測対象ユーザが次に購入する可能性のある車両として判定する(
図5参照)。
【0066】
図8に示される例では、価値観タイプ2「家族団らん派」の確率が最も高く、予測制御部12は、対応表14において価値観タイプ2「家族団らん派」に対応付けられている車名E、F、Gの車両を、予測対象ユーザが次に購入する可能性のある車両として判定する。予測制御部12は、予測対象ユーザが次に購入する可能性の車両に関する情報を出力する。次に購入する可能性の車両に関する情報は、例えば、車名、諸元、及び仕様等の情報である。
【0067】
なお、予測制御部12は、測対象ユーザの現在の価値観が分類される確率が高い上位所定数の価値観タイプに対応付けられている車両を予測対象ユーザが次に購入する可能性のある車両として判定し、それらの車両に関する情報を出力してもよい。
【0068】
なお、上述の学習及び予測処理では、購入予測モデル13の入力の一部及び出力データ
を価値観タイプの分類確率としているが、これに限定されない。世の中に存在する車両の種類は、数千単位にのぼり、その数は膨大である。また、ユーザの価値観もそれぞれであり、アンケート回答データの組み合わせも膨大である。ユーザの価値観を所定数のタイプに分類し、各タイプについて購入される可能性の高い車両を対応付けておくことで、購入予測モデル13の入力データ及び出力データの数をスケールダウンさせることができ、購入予測モデル13による処理負荷を軽減することができる。
【0069】
一方で、情報処理装置1の性能が十分である場合には、購入予測モデル13の入力データ及び出力データは、価値観タイプを用いずに、アンケート回答データをそのまま入力データの一部として用いて、出力データを車両ごとの購入確率としてもよい。
【0070】
また、購入予測モデル13の入力データは、上述の入力データに限定されない。購入予測モデル13の入力データは、上述の入力データのうち、ユーザの属性情報、現在の家族構成、及び、3台前の購入車両から1台前の購入車両又は2台前の購入車両から現在の保有車両のそれぞれについて、価値観タイプ、購入時の家族構成、及び、保有期間の情報は、それぞれ、オプションとしてもよい。また、購入予測モデル13の入力データは、上述の入力データに加え、ユーザの原体験に関する情報が含まれてもよい。ユーザの原体験に関する情報は、例えば、幼少期の家族構成、出身地、及び、幼少期の趣味等である。
【0071】
<処理の流れ>
図9は、購入予測システム100における購入予測モデル13の学習処理のフローチャートの一例である。
図9に示される処理は、例えば、学習開始の指示の入力、又は、所定の周期で実行される。
図9に示される処理の実行主体は、情報処理装置1のCPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
図10についても同様である。
【0072】
OP101では、学習制御部11は、購入予測モデル13のサンプル数nの学習データを購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16から取得する。OP102では、取得した学習データから、各学習対象データの最後に購入した車両の3台前の車両から最後に購入した車両のそれぞれの購入について価値観タイプを取得し、購入予測モデル13への入力データを生成する(
図4~
図6参照)。OP103では、学習制御部11は、生成した入力データとラベルとを購入予測モデル13へ入力して学習させる。購入予測モデル13は、サンプル数nの学習データそれぞれについて、所定回数又は出力データとラベルとの出力が閾値未満となるまで、繰り返し学習を行う。購入予測モデル13の学習が終了すると、
図9に示される処理が終了する。
【0073】
図10は、購入予測システム100における予測処理のフローチャートの一例である。
図10に示される処理は、例えば、予測開始指示の入力、又は、所定の周期で実行される。
【0074】
OP201では、予測制御部12は、指定された予測対象ユーザのデータを購入遍歴情報DB 15及び顧客情報DB 16から取得する。OP202では、予測制御部12は、予測対象ユーザのデータから、予測対象ユーザの2台前の購入車両から現在の保有車両それぞれの購入について価値観タイプを取得し、購入予測モデル13への入力データを生成する。
【0075】
OP203では、予測制御部12は、生成した入力データを購入予測モデル13へ入力する。OP204では、予測制御部12は、購入予測モデル13の出力データとして、予測対象ユーザが各価値観タイプに分類される確率を取得する。OP205では、予測制御部12は、対応表14において、最も確率の高い価値観タイプに対応付けられている車両
を、予測対象ユーザが次に購入する可能性の高い車両として取得する。OP206では、予測制御部12は、予測対象ユーザが次に購入する可能性の高い車両に関する情報を出力する。その後、
図10に示される処理が終了する。
【0076】
なお、
図9及び
図10に示される処理は一例であって、実施の態様によって、適宜、実行順の変更、処理の変更等が可能である。
【0077】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、予測対象ユーザの商品の購入遍歴情報、アンケートの回答データ、家族構成、及び、ユーザ属性等の予測対象ユーザの商品の購入に関する価値観が反映される情報に基づいて、当該予測対象ユーザが次に購入する可能性のある商品が予測される。これによって、ユーザの本来有する不変的な価値観と、時間の経過や環境の変化等によって変化する価値観と、を考慮して、より精度良く、予測対象ユーザが次に購入する可能性のある商品を予測することができる。予測された予測対象ユーザが次に購入する可能性のある商品は、当該商品を予測対象ユーザに提案するなどの販売促進、及び、商品開発に役立てることができる。
【0078】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0079】
第1実施形態では、ユーザが保有する車両は、同時期に1台であることを前提として説明されているが、同時期に複数台の車両を保有する場合でも同様に適用することができる。例えば、車両の購入時期で、3台前の購入車両から現在保有する車両までを決定すればよい。車両の購入時期は、例えば、車両の保有期間の開始時期である。
【0080】
第1実施形態では、予測対象ユーザが次に購入する可能性のある車両の車名が予測されるが、これに限定されず、予測される車両に関する粒度は、任意に設定可能である。例えば、購入予測モデル13の出力から、予測対象ユーザが次に購入する可能性のある車両の車名とグレードとを予測するようにしてもよい。例えば、対応表14における価値観タイプに対応させる車両を、車名とグレードとにすることによって、実現可能である。
【0081】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0082】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0083】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタ
イプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0084】
1・・情報処理装置
11・・学習制御部
12・・予測制御部
13・・購入予測モデル
14・・対応表
15・・購入遍歴情報DB
16・・顧客情報DB
100・・購入予測システム
101・・CPU
102・・メモリ
103・・外部記憶装置
104・・入力部
105・・出力部
106・・通信部