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特許7567464情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241008BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G08G1/09 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020217188
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102453
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-02-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 克宏
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-010937(JP,A)
【文献】特開2017-087980(JP,A)
【文献】特開2020-187765(JP,A)
【文献】特開2016-001464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報処理装置であって、
自車両と進路が交差する車両である交差車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起が行われていることを判定することと、
前記交差車両において前記注意喚起が行われていることを条件として、危険回避に関する所定の処理を行うことと、
を実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記所定の処理として、前記自車両の運転者に対して、前記交差車両の接近を通知し、
前記交差車両から送信されたデータに基づいて、前記交差車両において前記注意喚起が行われていることを判定し、
交通信号機を制御する路側装置から、交通信号に関する信号データを受信しており、かつ、前記交差車両から前記データを受信した場合に、前記信号データの内容にかかわらず、前記所定の処理を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記データは、当該データを送信した車両の位置情報を含み、
前記制御部は、前記データに含まれる前記位置情報に基づいて、前記交差車両から送信された前記データを判別する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データは、当該データを送信した車両の位置情報および進行方向を含み、
前記制御部は、前記データに含まれる前記位置情報および進行方向に基づいて、前記交差車両から送信された前記データを判別する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
車両によって実行される情報処理方法であって、
自車両と進路が交差する車両である交差車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起が行われていることを判定する第1ステップと、
前記交差車両において前記注意喚起が行われていることを条件として、危険回避に関する所定の処理を行う第2ステップと、
を含み、
前記第2ステップでは、前記所定の処理として、前記自車両の運転者に対して、前記交差車両の接近を通知し、
前記交差車両から送信されたデータに基づいて、前記交差車両において前記注意喚起が行われていることを判定し、
交通信号機を制御する路側装置から、交通信号に関する信号データを受信しており、かつ、前記交差車両から前記データを受信した場合に、前記信号データの内容にかかわらず、前記所定の処理を行う、
情報処理方法。
【請求項5】
前記データは、当該データを送信した車両の位置情報を含み、
前記データに含まれる前記位置情報に基づいて、前記交差車両から送信された前記データを判別する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記データは、当該データを送信した車両の位置情報および進行方向を含み、
前記データに含まれる前記位置情報および進行方向に基づいて、前記交差車両から送信された前記データを判別する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
請求項からのいずれか1項に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の走行制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
出会い頭による衝突事故を防止するシステムがある。例えば、車両同士が位置情報を交換することで、衝突の危険を事前に警告することができる。
しかし、斯様なシステムでは、信号機がある交差点や立体交差など、衝突の可能性が低い場所においても警告が発せられてしまう場合がある。これに対応するため、例えば、特許文献1には、交通信号機がある交差点において、衝突事故を防止するための警報を抑制するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-174055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両走行時の安全を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、
車両に搭載される情報処理装置であって、自車両と進路が交差する車両である交差車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起が行われていることを判定することと、前記交差車両において前記注意喚起が行われている場合に、危険回避に関する所定の処理を行うことと、を実行する制御部を有する。
【0006】
また、本開示の第二の態様に係る情報処理装置は、
車両に搭載される情報処理装置であって、第一のデータに基づいて、自車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起を行うことと、前記注意喚起が行われた場合に、その旨を示す第二のデータを外部に送信することと、自車両と進路が交差する車両である交差車両から前記第二のデータを受信した場合に、危険回避に関する所定の処理を行うことと、を実行する制御部を有する。
【0007】
また、本開示の第三の態様に係る情報処理方法は、
車両によって実行される情報処理方法であって、自車両と進路が交差する車両である交差車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起が行われていることを判定するステップと、前記交差車両において前記注意喚起が行われている場合に、危険回避に関する所定の処理を行うステップと、を含む。
【0008】
また、他の態様として、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両走行時の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る車両システムの概要図。
図2】路側装置の一例を概略的に示したブロック図。
図3】システムが管理する交差点の一例を示す概要図。
図4】路側装置から送信される路側データの例。
図5】車載端末の一例を概略的に示したブロック図。
図6】車載端末から送信される車両データの例。
図7】第一の実施形態において車載端末が実行する処理のフローチャート図。
図8】第一の実施形態において車載端末が実行する処理のフローチャート図。
図9】ステップS22における処理を示すフローチャート図。
図10】減速における速度パターンを示した図。
図11】ドライバーに提示される画像の例。
図12】第一の実施形態において車載端末が実行する処理のフローチャート図。
図13】車両同士の進路の交わりを説明する図。
図14】ドライバーに提示される画像の他の例。
図15】第三の実施形態において車載端末が実行する処理のフローチャート図。
図16】第三の実施形態において車載端末が実行する処理のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る車両システムは、路側装置と、複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車載端末と、を含むシステムである。
【0012】
本開示の第一の態様は、車両に搭載される車載端末(情報処理装置)である。
具体的には、自車両と進路が交差する車両である交差車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起が行われていることを判定することと、前記交差車両において前記注意喚起が行われている場合に、危険回避に関する所定の処理を行うことと、を実行する制御部を有する。
【0013】
交差車両とは、自車両と進路(軌跡)が交差する車両、すなわち、自車両と衝突のおそれがある車両である。
制御部は、交差車両において、衝突に関する注意喚起が行われていることを判定する。注意喚起は、典型的には、信号無視のおそれを警告するものであるが、これ以外であってもよい。注意喚起は、交差車両に搭載された装置によってなされてもよい。
交差車両において注意喚起がなされている場合、当該交差車両が、一時停止すべき箇所や赤信号に気付いていないなど、衝突の危険が高い状況にあると言える。そこで、制御部は、このような場合に、自車両において、衝突を防止するための措置を講ずる。所定の処理として、例えば、交差車両が飛び出してくるおそれがある旨を運転者に通知する処理や、車両のブレーキを自動的にかける処理が挙げられる。
【0014】
また、前記制御部は、前記交差車両から送信されたデータに基づいて、前記交差車両において前記注意喚起が行われていることを判定することを特徴としてもよい。
当該データは、例えば、車々間通信によってブロードキャスト送信されてもよい。
【0015】
また、前記データは、当該データを送信した車両の位置情報を含み、前記制御部は、前記データに含まれる前記位置情報に基づいて、前記交差車両から送信された前記データを判別することを特徴としてもよい。
また、前記データは、当該データを送信した車両の位置情報および進行方向を含み、前記制御部は、前記データに含まれる前記位置情報および進行方向に基づいて、前記交差車両から送信された前記データを判別することを特徴としてもよい。
データを送信した車両の位置情報(および進行方向)を、自車両の位置情報(および進行方向)と比較することで、当該データを送信した車両が、自車両と進路が交差する車両
であるか否かを判定することができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記所定の処理として、前記自車両の運転者に対して、前記交差車両の接近を通知することを特徴としてもよい。
かかる構成によると、交差車両の飛び出し等に備えさせることができる。
【0017】
また、前記制御部は、交通信号機を制御する路側装置から、交通信号に関する信号データを受信しており、かつ、前記交差車両から前記データを受信した場合に、前記信号データの内容にかかわらず、前記所定の処理を行うことを特徴としてもよい。
交差車両からデータを受信した場合、当該交差車両が自車両の進路を支障するおそれが高い。よって、仮に、青信号を通知する信号データを受信していたとしても、危険回避のための処理を行うことが好ましい。これにより、衝突のおそれを低減することができる。
【0018】
本開示の第二の様態は、車両に搭載される車載端末(情報処理装置)である。
具体的には、第一のデータに基づいて、自車両の運転者に対して、衝突の危険に関する注意喚起を行うことと、前記注意喚起が行われた場合に、その旨を示す第二のデータを外部に送信することと、自車両と進路が交差する車両である交差車両から前記第二のデータを受信した場合に、危険回避に関する所定の処理を行うことと、を実行する制御部を有する。
このように、同一の情報処理装置が、自車両と交差車両の双方に搭載されていてもよい。
【0019】
また、前記第一のデータは、一時停止が指定された箇所を示す道路地図データであることを特徴としてもよい。
また、前記第一のデータは、交通信号機を制御する路側装置から送信された、交通信号に関する信号データであることを特徴としてもよい。
また、前記第一のデータは、車載カメラが撮像した道路標識の画像データであることを特徴としてもよい。
これらの情報を参照することで、衝突の危険が高い状況下にあることを認識することができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記第一のデータと、前記自車両の走行状況と、に基づいて、危険度を算出し、前記危険度が所定値以上である場合に、前記注意喚起を行うことを特徴としてもよい。
例えば、信号無視をはじめとする交通違反が発生する確率や、交通違反が発生した際の危険の度合いに基づいて、注意喚起を行うか否かを決定することができる。
【0021】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0022】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、図1を参照しながら説明する。本実施形態に係るシステムは、路側装置100と、少なくとも二台の車両10に搭載された車載端末200と、を含んで構成される。
【0023】
路側装置100は、道路上を走行する車両10に対して情報提供を行う装置である。本実施形態では、路側装置100は、交差点に設置された交通信号機の制御装置を兼ねており、信号機の灯火の状態を、交差点の近傍(例えば、半径100メートル)に位置する車両10に対して無線によって送信する。路側装置100が車両10に対して送信するデータを、路側データと称する。
【0024】
車載端末200は、複数の車両10に搭載されるコンピュータである。車載端末200は、路側装置100から受信した路側データに基づいて危険度を判定し、判定した危険度に応じて警報を出力する機能を有する。例えば、車両10が赤信号に向かって走行しており、速度が落ちていない(すなわち、信号無視をするおそれがある)場合、車載端末200は、警報音などによって、ドライバーに対する警告を行う。
また、車載端末200は、車内で警報を出力した場合に、警報を出力中である旨を周辺の車両に向けて通知する。
さらに、車載端末200は、他の車両に搭載された車載端末200から当該通知を受けた場合に、ドライバーに対して、当該他の車両に注意すべき旨(例えば、信号無視をした車両が、交差する道路から飛び出してくるおそれがある旨)の通知を出力する。
【0025】
交差点に設置された路側装置が、信号機の灯火の状態に関するデータを路車間通信によってブロードキャスト送信し、これを受信した車両がドライバーに対してアシストを行う(例えば、警報を出力する)システムが知られている。しかし、当該システムでは、路側データを受信した車両のドライバーが指示に従わなかったケースを考慮していない。
【0026】
実施形態に係る車両システムでは、この問題に対応するため、路側データに基づいて警報が発せられている車両がある場合に、当該車両が、近傍に位置する他の車両に対してこれを通知する。また、他の車両は、当該通知を受けた場合に、「警報を出力している車両が近くにある」旨の注意喚起を行う。これにより、仮に、赤信号に気付かずに交差点に進入しようとしている車両が存在するような場合であっても、周辺の車両に対してこれを知らせることができる。
【0027】
以降の説明においては、二台の車両10が、信号機を有する同一の交差点に向かって走行している例を挙げる。すなわち、双方の車両は互いに進路が交差する車両である。実施形態では、赤信号側の車両10(停止すべき車両)を、車両10Aまたは第一の車両10Aと称し、青信号側の車両10(優先通行権のある車両)を、車両10Bまたは第二の車両10Bと称する。本実施形態では、第一の車両10Aと第二の車両10Bは、共に同一の車載端末200を搭載している。
実施形態の説明では、第一の車両10Aが、路側装置100から受信した路側データに基づいて警報を出力し、第二の車両10Bが、「警報が出力されている車両(車両10A)が近傍に存在する」旨の通知を受信する。
【0028】
システムの構成要素について、詳しく説明する。
路側装置100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、路側装置100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0029】
図2は、図1に示した路側装置100の構成の一例を概略的に示したブロック図である。路側装置100は、制御部101、記憶部102、通信部103、および、信号機インタフェース104を有して構成される。
【0030】
制御部101は、路側装置100の制御を司る手段である。制御部101は、例えば、CPUによって構成される。
制御部101は、機能モジュールとして、信号制御部1011および状態通知部1012を有している。各機能モジュールは、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0031】
信号制御部1011は、信号機の灯火を制御する。具体的には、信号サイクルを演算し、所定のサイクルごとに灯火を切り替える指令を出力する。灯火の制御は、後述する信号機インタフェース104を介して行うことができる。
図3は、路側装置100に対応する信号機が設置された交差点の一例を示す見取り図である。本実施形態では、上下方向の交通流と、左右方向の交通流を制御するため、信号制御部1011は、信号機301Aおよび302B、信号機301Cおよび302Dの各ペアに対してそれぞれ制御を行う。
【0032】
状態通知部1012は、信号機の灯火の状態を車両10に通知するためのデータ(路側データ)を生成し、無線信号によってブロードキャスト送信する。図3の点線で囲まれた領域は、無線信号が届く範囲を表す。
図4は、図3で示した交差点に対応する路側装置100から送信される路側データの例である。路側データには、交差点(ないし路側装置100)の識別子、交差点の位置情報、複数の信号機の識別子、各信号機に接続する道路の方位、信号機のサイクルに関する情報、現在の灯火の状態、状態が変わるまでの残り時間などに関する情報が含まれる。
これらの情報を送信することで、路側装置100から車載端末200に対して、信号の状態(または、信号が変わるタイミング)を通知することができる。
なお、本例では、道路が接続されている方位を数値によって表したが、道路の接続関係を示すデータ(地図情報)を路側データに含ませてもよい。
【0033】
記憶部102は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部102には、制御部101にて実行される各種プログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。また、記憶部102には、前述した信号機を制御するためのデータ(信号サイクルやタイムテーブルに関するデータ等)が記憶される。
【0034】
通信部103は、無線によって車載端末200と路車間通信を行うためのインタフェースである。通信部103は、例えば、車載端末200との間で、5.8GHz帯の電波を利用したDSRC通信を行う。
信号機インタフェース104は、路側装置100と複数の信号機(例えば、301A~301D)を接続するためのインタフェースユニットである。制御部101は、信号機インタフェース104にコマンドを送信することで、複数の信号機の灯火の状態を切り替えることができる。
【0035】
次に、図5を参照して、車載端末200について説明する。
車載端末200は、車両10に搭載される小型のコンピュータである。車載端末200は、制御部201、記憶部202、路車間通信部203、入出力部204、車々間通信部205、車両通信部206、および、GPSモジュール207を有して構成される。
【0036】
制御部201は、車載端末200の制御を司る手段である。制御部201は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。制御部201は、後述する記憶部202に記憶されたプログラムをCPUによって実行することでこれらの機能を実現してもよい。
【0037】
制御部201は、機能モジュールとして状態報知部2011、警報部2012、および、他車監視部2013を有している。各機能モジュールは、記憶手段(ROM等)に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0038】
状態報知部2011は、自車両の走行に関するデータ(以下、車両データ)を取得し、当該車両データを、後述する車々間通信部205を介して、無線によってブロードキャスト送信する。自車両の走行に関する情報として、例えば、車両の識別子、位置情報、進行方向、速度などが挙げられるが、これらに限られない。図6に、車両データの例を示す。警報フラグについては後述する。
自車両の位置情報や進行方向は、後述するGPSモジュール207から取得することができる。また、自車両の速度は、後述する車両プラットフォーム300から取得することができる。
【0039】
車両データは、所定の周期で(例えば、100ミリ秒おきに)送信される。送信された車両データは、他の車両によって、交通の安全のために利用される。複数の車両が車両データをブロードキャスト送信し、他の車両がこれを受信して利用することで、例えば、出合い頭事故の防止、接触事故の防止などに活用することができる。
【0040】
警報部2012は、路側装置100から受信した路側データに基づいて、ドライバーに対して警報を出力する。具体的には、(1)路側装置100に関連付いた信号機と、自車両との位置関係を判定し、(2)進行方向の前方に赤信号がある場合であって、所定の停止位置までに車両が安全に停止できない速度が出ている場合に、ドライバーに対して警報を行う。
なお、本例では、ドライバーが赤信号を見落としていると推定される場合に警報を出力する例を挙げるが、出力されるのは、赤信号の見落としを防止するための予備的な警報であってもよい。また、危険度に基づいて、複数段階の警報を出力してもよい。
【0041】
警報部2012は、状態報知部2011が生成した車両データに、警報の出力有無を通知するフラグ(警報フラグ。符号601)を設定する。警報フラグには、警報が出力されている期間において真値(1)が設定され、警報が出力されていない期間において偽値(0)が設定される。なお、警報が複数段階ある場合、いずれの段階において警報フラグをセットしてもよい。警報フラグに真値がセットされた車両データが、本開示における「第二のデータ」に対応する。
【0042】
車両データに含まれる警報フラグが真値であることは、当該車両データを送信した車両の車室内において、減速または停止を促す警報が出力されていることを意味する。このような車両データを送信した車両は、例えば、赤信号を無視して交差点に進入する、一時停止せずに優先道路に進入するといったように、交通の安全を阻害するおそれがある。
警報フラグを含む車両データをブロードキャスト送信することで、例えば、近傍の車両に対して、交通の安全を阻害するおそれがある車両が接近している旨の注意喚起を行うことができる。
【0043】
他車監視部2013は、他車両から受信した車両データに含まれる警報フラグに基づいて、ドライバーに対する注意喚起を行う。具体的には、他車両から車両データを受信した場合に、当該車両と自車両との位置関係を判定し、自車両と進路が交わる車両から送信された車両データに警報フラグが設定されている場合に、「他の車両に注意すべき」旨の通知を出力する。
【0044】
記憶部202は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部202には、制御部201にて実行される各種プログラム、データ等が記憶される。
【0045】
路車間通信部203は、路側装置100との間で無線通信を行うための通信手段である
。路車間通信部203は、通信部103と同様の手段によって、無線通信を行う。
【0046】
入出力部204は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示する手段である。具体的には、タッチパネルとその制御手段、液晶ディスプレイとその制御手段から構成される。タッチパネルおよび液晶ディスプレイは、本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。また、入出力部204は、音声を出力するためのスピーカ等を有していてもよい。
【0047】
車々間通信部205は、他の車両に搭載された車載端末200と無線通信を行うためのインタフェースである。車々間通信部205は、例えば、他の車両に搭載された車載端末200との間で、5.8GHz帯の電波を利用したDSRC通信を行う。
【0048】
車両通信部206は、車両プラットフォーム300と通信を行うためのインタフェースユニットである。車両通信部206は、車両プラットフォーム300が有するECU301と、車載ネットワーク経由で通信可能に構成される。
GPSモジュール207は、人工衛星から送信された電波を受信し、位置情報を算出するモジュールである。
【0049】
車両プラットフォーム300は、車両10を制御するコンピュータを含むプラットフォームである。車両プラットフォーム300は、例えば、エンジンECU、ボディECU、自動運転ECUといった、車両を制御する一つ以上のコンピュータ(ECU301)を含む。
【0050】
次に、システムに含まれる各構成要素が実行する処理の詳細について説明する。
図7は、車載端末200が、車両データをブロードキャスト送信する処理を示したフローチャートである。図示した処理は、制御部201(状態報知部2011)によって、所定の周期ごとに実行される。
【0051】
まず、ステップS11で、車両通信部206を介して車両プラットフォーム300と通信を行い、車両の状態に関するデータを取得する。このようなデータとして、例えば、位置情報、進行方向、速度などが挙げられる。
次に、ステップS12で、車両データを送信する周期が到来したか否かを判定する。車両データを送信する周期は、例えば、100ミリ秒おきとすることができる。周期が到来していない場合、処理は初期状態に戻る。周期が到来した場合、処理はステップS13に遷移し、取得したデータを含む車両データを生成し、車々間通信部205を介してブロードキャスト送信する。
【0052】
図8は、車載端末200が、路側装置100から路側データを受信し、受信した路側データに基づいて警報を行う処理を示したフローチャートである。図示した処理は、制御部201(警報部2012)によって、所定の周期ごとに実行される。
【0053】
まず、ステップS21で、路車間通信部203を介して、路側装置100から路側データを受信する。また、車両プラットフォーム300を介して、自車両の速度情報を取得する。
【0054】
次に、ステップS22で、受信した路側データに基づいて、通知レベルを判定する。通知レベルは、赤信号に関する通知をどの程度の強さで行うかを表す値であって、「通知なし」「通知あり」「警報あり」の三段階をとる。
【0055】
図9は、ステップS22における処理を詳細に示したフローチャートである。
まず、ステップS221で、路側データに基づいて、自車両に対面する信号機の状態を取得する。例えば、図3の例において、自車両が、信号機301Aに対面する方向に走行しているものとする。すなわち、進行方向の方位は0度である。この場合において、車載端末200が、図4に示した路側データを受信したものとする。図示した例の場合、自車両の進行方向に対応する信号機のIDは「S001」であり、現在の状態は「青」となる。一方、自車両が、信号機301Cに対面する方向に走行している場合、進行方向の方位は90度となり、対応する信号機の現在の状態は「赤」となる。
なお、本例では、車両の進行方向によって、自車両に対面する信号機を特定したが、路側データに地図情報が含まれている場合、当該地図情報に基づいて、自車両に対面する信号機を特定してもよい。
【0056】
次に、ステップS222で、自車両が停止すべきであるか否かを判定する。本ステップでは、自車両が所定の停止位置(停止線)に到達するまでに、信号が赤に変わることが予測される場合に、肯定判定となる。なお、所定の停止位置は、路側データに含まれる位置情報によって判定することができる。また、赤信号に変わるタイミングは、路側データに含まれる「残り時間」によって判定することができる。自車両が停止位置に到達するまでに、信号が赤に変わらないと予測される場合、本ステップは否定判定となる。
ステップS222で肯定判定となった場合、処理はステップS223へ遷移する。
ステップS222で否定判定となった場合、通知レベルは「通知なし」となる。
【0057】
ステップS223では、自車両の速度が、規定の速度を超過しているかを判定する。規定の速度は、図10に示したように、停止位置までの残り距離と速度との関係を示したデータ(速度パターン)によって定義することができる。図示した速度パターンは、例えば、規定の停止位置までに余裕を持って停止できる速度を表したものである。
自車両の速度が、このようなパターンによって示された速度を超過している場合、規定の停止位置までに余裕を持って停止できないことを意味する。例えば、符号1001で示したように、自車両の速度が、パターンによって示された速度を超過している場合、ステップS223で肯定判定となる。また、例えば、符号1002で示したように、自車両の速度が、パターンによって示された速度を超過していない場合、ステップS223で否定判定となる。
【0058】
なお、本例では、車両の速度に基づいて前記判定を行ったが、信号無視を行う危険があることを判定できれば、他の情報を利用してもよい。例えば、車両のブレーキペダルが踏まれていないことや、アクセルペダルが踏まれていることを判定し、減速の兆候が無い場合に、ステップS223で肯定判定を行うようにしてもよい。
さらに、ドライバーの状態に関する情報を取得可能な場合、当該情報に基づいて、信号無視を行う危険性を判定してもよい。例えば、車両プラットフォーム300が、ドライバーの視線を検知するためのセンサを有している場合、当該ドライバーの視線が信号機の方向に向いていないと判定された場合に、ステップS223で肯定判定を行うようにしてもよい。
【0059】
ステップS223で否定判定となった場合、通知レベルは「通知あり」となる。この場合、処理はステップS24へ遷移し、車両のドライバーに、赤信号の存在を通知する処理を行う。通知は、例えば、図11(A)に示したように、画像によって出力してもよいし、チャイム等の音声によって出力してもよい。また、これらを併用してもよい。
【0060】
ステップS223で肯定判定となった場合、通知レベルは「警報あり」となる。この場合、処理はステップS25へ遷移し、車両のドライバーに対して警報を出力する。警報は、例えば、図11(B)に示したように、画像によって出力してもよいし、警報音によって出力してもよい。また、これらを併用してもよい。
なお、本例では、ステップS22において警報出力の是非を判定したが、警報のレベルを複数設定し、レベルに応じた方法によって警報を出力するようにしてもよい。警報のレベルは、例えば、危険度に応じて決定してもよい。例えば、規定の停止位置で停止するために必要な減速度が高いほど、より危険であると判定し、より高レベルの警報を行うようにしてもよい。
【0061】
ステップS25で警報が出力されると、ステップS26で、車両データに含まれる警報フラグを真値に設定する。警報フラグを含む車両データは、次の送信周期においてブロードキャスト送信される。なお、ステップS26の処理が実行されない場合、車両データに含まれる警報フラグは偽値のままとなる。
【0062】
図12は、車載端末200が、車両データを受信した際に実行する処理を示したフローチャートである。図示した処理は、制御部201(他車監視部2013)によって、所定の周期ごとに実行される。
【0063】
まず、ステップS31で、他車両からブロードキャスト送信された車両データを受信する。
【0064】
次に、ステップS32で、自車両が、路側装置100から路側データを受信可能な範囲にいるか否かを判定する。例えば、警報部2012が、路側装置100から直近の所定の期間(例えば、500ミリ秒)において路側データを受信していた場合、本ステップは肯定判定となる。
本ステップで否定判定となった場合、処理はステップS37へ遷移する。ステップS32で否定判定となった場合、自車両が、信号のある交差点の近傍に位置しないことを意味する。この場合、ステップS37において、車両同士で交換された車両データに基づいて、安全に関する既知の処理を行う。安全に関する既知の処理として、例えば、信号のない交差点での出合い頭の衝突や、車線変更時の接触を回避するための処理などがある。
【0065】
ステップS32で肯定判定となった場合、自車両が、信号のある交差点の近傍に位置することを意味する。この場合、車々間通信を利用した、安全に関する既知の処理は行わず、代わりに、(1)図8に示したような、路側データに基づいて赤信号の存在を通知する処理と、(2)信号無視をするおそれが高い車両の存在を通知する処理の二つを実行する。
上記(1)は、警報部2012によって周期的に実行される。上記(2)については、以下(ステップS33~S36)で説明する。
【0066】
ステップS33では、車両データを送信した車両(以下、対象車両)と、自車両との位置関係を算出する。具体的には、車両データに含まれる位置情報および進行方向と、車載端末200または車両プラットフォーム300が取得した位置情報および進行方向を取得し、車両同士の相対的な位置関係を取得する。
ここで、車両同士の相対距離が所定値以下(例えば、50メートル以下)であり、各車両の推定される軌跡が交差する場合、対象車両と自車両が衝突ないし接触するおそれがあると判定される。
【0067】
図13(A)における点線は、各車両の推定される軌跡を表した図である。車両の軌跡は、例えば、車両の進行方向に基づいて推定することができる。自車両の進行方向は、車両プラットフォーム300から取得することができる。また、相手側車両の進行方向は、受信した車両データを参照することで取得することができる。
なお、ステアリングの操作状態(車両の舵角)や、ウインカーの動作状態に関するデータが利用可能な場合、当該データを利用して車両の軌跡を推定してもよい。図13(B)
は、車両の舵角を利用して推定した軌跡を表した図である。
【0068】
対象車両と自車両が衝突ないし接触するおそれがあると判定された場合(ステップS34-Yes)、処理はステップS35へ遷移する。それ以外の場合(ステップS34-No)、処理は終了する。
【0069】
ステップS35では、対象車両において警報が出力されているか否かを判定する。警報が出力中である(すなわち、車両データに含まれる警報フラグに真値が設定されている場合)、処理はステップS36へ遷移する。
警報が出力されていない場合(すなわち、車両データに含まれる警報フラグに偽値が設定されている場合)、処理は終了する。対象車両において警報が出力されていない場合、当該車両は、赤信号に従って減速または停止していると推定されるためである。
【0070】
ステップS36では、自車両において、危険回避のための処理を実行する。対象車両において警報が出力されている場合、当該車両は、(例えば、赤信号で交差点に進入することにより)自車両と接触ないし衝突するおそれがある状況下にあると言える。
従って、本ステップでは、信号を無視して進行してくる車両の存在に警戒すべき旨の通知を生成し、出力する。警報は、例えば、図11(C)に示したように、画像によって出力してもよいし、警報音によって出力してもよい。また、これらを併用してもよい。
さらに、危険回避を支援する他の処理を実行してもよい。例えば、自車両にブレーキをアシストする機能が搭載されている場合、自動でブレーキを動作させるか、または、その予備動作を行ってもよい。
【0071】
ステップS36では、さらに、対象車両の位置をドライバーに通知してもよい。例えば、車両がヘッドアップディスプレイやヘッドマウントディスプレイ等のインタフェース装置を有している場合、当該インタフェース装置を介して、対象車両が存在する位置や方向を、自車両のドライバーに提示することもできる。特に、車両にAR(拡張現実)表示装置(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)が搭載されている場合、対象車両が存在する位置や方向を、ドライバーに直感的に伝達することができる。
図14は、車両に搭載されたAR表示装置(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)に出力される画面の例である。図示したように、ドライバーが、AR表示装置を介して対象車両の位置を視認できるように、対象車両の位置を表すグラフィックを生成し、AR表示装置に出力するようにしてもよい。
【0072】
なお、警報部2012が、路側装置100から、自車両の進行に問題がない(例えば、青信号に対面している)旨の路側データを受信していた場合であっても、本ステップは実行される。
【0073】
以上説明したように、第一の実施形態に係る車載端末200は、路車間通信によって交差点の安全を確保するとともに、路車間通信に基づいた警報が出力されている場合に、その旨を車々間通信によって周囲の車両に報知する。
路側装置が、交通信号に関するデータを送信している交差点においては、路車間通信を行うことで、事故を防止することができる。しかし、このような形態では、信号に従わない車両による事故を防ぐことができない。一方で、車々間通信のみを利用した場合、例えば、相手側の車両が減速を開始している場合であっても警報が発せられてしまうといった問題が生じうる。
本実施形態に係る車両システムでは、路車間通信と車々間通信を併用することで、互いの欠点を補完することができ、車両の走行安全性を向上させることができる。
【0074】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、車載端末200が、自車両のドライバーに対して、他の車両の存在に警戒すべき旨の通知を出力した。これに対し、第二の実施形態は、車載端末200が、クルーズコントロールを利用して走行している自車両を自動的に減速させる実施形態である。
【0075】
第二の実施形態では、車両プラットフォーム300は、クルーズコントロールを行うためのECUをさらに含んで構成される。当該ECUは、少なくとも速度の制御を自動的に行う機能を提供する。
クルーズコントロール機能が有効になっている場合、車両10は、自車両の速度が所定の値を維持するように、または、車々間通信や、カメラ、ミリ波レーダ等によって先行車両を検知し、車間距離が所定の値を下回らないように、自動的に速度の制御を行う。
【0076】
第二の実施形態では、第一の車両10Aにおいて警報が出力されている場合に、ステップS35において、第二の車両10Bを減速させる。例えば、目標となる巡航速度の設定値を小さくすることで、車両を一時的に減速させる。
このように、第二の実施形態によると、クルーズコントロール機能を利用して走行している場合であっても、信号を無視するおそれがある車両の接近に備えることが可能になる。
【0077】
(第三の実施形態)
第一および第二の実施形態の説明では、路側装置100が車載端末200にデータを提供する例を示したが、データを提供する装置は、必ずしも路側装置100である必要はない。第三の実施形態は、車載端末200(警報部2012)が、路側データ以外に基づいて警報を出力する実施形態である。
【0078】
第三の実施形態では、警報部2012は、路側データの代わりに、車両が停止すべき状況にあるか否かを判定するためのデータ(状況データ)を取得し、状況データに基づいて、自車両が減速ないし停止すべき状況にあることを判定する。
【0079】
状況データとして、例えば、以下のようなものを例示することができる。
(1)道路地図データおよび位置情報
例えば、車載端末200(記憶部202)に道路地図データを記憶させ、当該道路地図データと、自車両の位置情報に基づいて、車両が一時停止すべき箇所を特定することができる。車両が一時停止すべき箇所として、例えば、一時停止の標識が存在する箇所、非優先道路から優先道路に出る箇所、道路外の施設等から道路に出る箇所などが挙げられる。(2)車載カメラから取得した画像データ
例えば、車両プラットフォーム300に車載カメラが含まれる場合、当該車載カメラから取得した画像を解析して、赤信号や、一時停止の標識などの存在を判定することができる。
【0080】
第三の実施形態では、状況データに基づいて行った判定の結果に基づいて、自車両が、停止すべき状況にあることを判定し、停止すべき状況下にもかかわらず、停止せずに通過しようとしている場合に、警報を出力する。
【0081】
図15は、第三の実施形態において、車載端末200(警報部2012)が警報を行う処理を示したフローチャートである。
【0082】
本実施形態では、ステップS21Aにおいて、状況データを取得する。状況データは、前述したように、車載カメラによって取得された画像であってもよいし、予め記憶された道路地図データであってもよい。また、GPSモジュールによって取得された位置情報で
あってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0083】
また、ステップS22Aにおいて、状況データおよび速度情報に基づいて、通知レベルを判定する。本ステップでは、取得したセンサデータに基づいて、所定の停止位置までに車両が停止できるか否かを判定し、(例えば、必要な減速度に応じて)第一の実施形態と同様に通知レベルを決定する。なお、この際、道路地図データ等を参照してもよい。
ステップS23以降の処理は、第一の実施形態と同様である。
【0084】
図16は、第三の実施形態において、車載端末200(他車監視部2013)が、車両データを受信した際に実行する処理を示したフローチャートである。
本実施形態では、路側装置100が路側データを送信しないため、ステップS32の判定を省略し、ステップS33~S36の処理と、ステップS37の処理を順次実行する。
【0085】
従来技術に係る処理(ステップS37の処理)のみでも、車々間通信によって、接触の危険等を通知することはできる。しかし、第三の実施形態では、ステップS33~S36の処理を併用するため、危険な状況下において、より強力に警告を発することができる。
【0086】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0087】
また、実施形態の説明では、「所定の停止位置までに第一の車両10Aが停止できるか」に基づいて警報の出力有無を決定したが、警報の出力有無は、停止の必要性、および、車両の速度以外に基づいて決定してもよい。
例えば、道路が交差ないし合流する箇所において、第一の車両10Aのドライバーの注意が交差する交通に向いていない場合に、当該第一の車両10Aにおいて警報を出力するようにしてもよい。すなわち、第一の車両10Aのドライバーが、周辺交通の安全を阻害する行動をしていた場合に、警報を出力するようにしてもよい。車載端末200は、このための機能(例えば、ドライバーをセンシングする機能)をさらに有していてもよい。
【0088】
また、実施形態の説明では、路側データとして、交通信号機の灯火の状態に関するデータを送信したが、路側データは、これ以外の情報を通知するものであってもよい。例えば、一時停止箇所の存在、踏切の存在、対向車や障害物の存在などを通知するものであってもよい。
【0089】
また、実施形態の説明では、車両データを車々間通信によって送信する例を挙げたが、警報が出力されている車両の存在を周辺の車両に伝達することができれば、データの伝送方法は車々間通信に限られない。例えば、ある車両において警報が出力中である場合に、センタサーバが、対象車両の近傍に位置する他の車両に対して、対応する車両データを送信するようにしてもよい。
【0090】
また、実施形態の説明では、第一の車両10Aと第二の車両10Bに同一の車載端末200が搭載される例を挙げたが、各車両にそれぞれ搭載される端末は異なってもよい。この場合、第一の車両10Aに搭載された端末が、状態報知部2011および警報部2012の機能を有しており、第二の車両10Bに搭載された端末が、他車監視部2013の機能を有していればよい。
【0091】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行
されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0092】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0093】
100・・・路側装置
101,201・・・制御部
102,202・・・記憶部
103・・・通信部
104・・・信号機インタフェース
200・・・車載端末
203・・・路車間通信部
204・・・入出力部
205・・・車々間通信部
206・・・車両通信部
300・・・車両プラットフォーム
301・・・ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16