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特許7567465電動アクチュエータの製造方法、および電動アクチュエータ
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  • 特許-電動アクチュエータの製造方法、および電動アクチュエータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電動アクチュエータの製造方法、および電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/023 20120101AFI20241008BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20241008BHJP
   F16H 61/32 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
F16H57/023
H02K7/116
F16H61/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020218203
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103515
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】雫 修通
(72)【発明者】
【氏名】姜 永大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】横塚 孝
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-025159(JP,A)
【文献】特開2015-175398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/023
H02K 7/116
F16H 61/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転するモータシャフトを有するモータ部と、
前記モータシャフトに連結される伝達機構と、
前記伝達機構を介して前記モータシャフトの動力が伝わり、前記中心軸線と平行な出力軸線を中心として回転する出力シャフトと、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向一方側から回転可能に支持する第1ハウジング部材と、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向他方側から回転可能に支持する第2ハウジング部材と、を備える電動アクチュエータの製造方法であって、
前記第1ハウジング部材に設けられる第1位置決め部と、前記第2ハウジング部材に設けられる第2位置決め部とを軸方向から見て互いに重ね合わせ、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部に治具を挿入した状態で、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とを互いに固定する固定工程を有し、
軸方向から見て、前記出力シャフトは、前記中心軸線と、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部と、を通過する仮想直線上に配置される、電動アクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記第1位置決め部および前記第2位置決め部は、それぞれ前記仮想直線に対して鏡映対称形状である、請求項に記載の電動アクチュエータの製造方法。
【請求項3】
前記第1位置決め部は、軸方向から見て前記第1ハウジング部材の外縁から内側に延びる切欠状であり、
前記第2位置決め部は、軸方向から見て前記第2ハウジング部材の外縁から内側に延びる切欠状であり、請求項又はに記載の電動アクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記治具は、軸方向から見て、前記仮想直線に沿う先端側に向かうに従い幅寸法が狭くなるくさび形状であり、
前記固定工程において、前記治具は、前記仮想直線に沿って前記第1位置決め部および前記第2位置決め部に挿入され、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部の開口縁に接触する、請求項に記載の電動アクチュエータの製造方法。
【請求項5】
前記治具は、軸方向に沿って積層され、前記仮想直線に沿う方向への相対的な移動が許容された第1治具片および第2治具片を有し、
前記固定工程において、
前記第1治具片は、前記仮想直線に沿って前記第1位置決め部に挿入され、前記第1位置決め部の開口縁に接触し、
前記第2治具片は、前記仮想直線に沿って前記第2位置決め部に挿入され、前記第2位置決め部の開口縁に接触する、請求項に記載の電動アクチュエータの製造方法。
【請求項6】
前記固定工程は、前記中心軸線に対する前記第1ハウジング部材および前記第2ハウジング部材の位置合わせをしながら行われる、請求項1~の何れか一項に記載の電動アクチュエータの製造方法。
【請求項7】
中心軸線を中心として回転するモータシャフトを有するモータ部と、
前記モータシャフトに連結される伝達機構と、
前記伝達機構を介して前記モータシャフトの動力が伝わり、前記中心軸線と平行な出力軸線を中心として回転する出力シャフトと、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向一方側から回転可能に支持する第1ハウジング部材と、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向他方側から回転可能に支持する第2ハウジング部材と、を備え、
前記第1ハウジング部材には、第1位置決め部が設けられ、
前記第2ハウジング部材には、第2位置決め部が設けられ、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、軸方向から見て前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とを互いに重ねた状態で固定され、
軸方向から見て、前記出力シャフトは、前記中心軸線と、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部と、を通過する仮想直線上に配置される、電動アクチュエータ。
【請求項8】
中心軸線を中心として回転するモータシャフトを有するモータ部と、
前記モータシャフトに連結される伝達機構と、
前記伝達機構を介して前記モータシャフトの動力が伝わり、前記中心軸線と平行な出力軸線を中心として回転する出力シャフトと、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向一方側から回転可能に支持する第1ハウジング部材と、
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向他方側から回転可能に支持する第2ハウジング部材と、
前記第1ハウジング部材および前記第2ハウジング部材を固定する複数のボルトと、を備え、
前記第1ハウジング部材には、第1位置決め部が設けられ、
前記第2ハウジング部材には、第2位置決め部が設けられ、
前記第1位置決め部は、軸方向から見て前記第1ハウジング部材の外縁から内側に延びる切欠状であり、
前記第2位置決め部は、軸方向から見て前記第2ハウジング部材の外縁から内側に延びる切欠状であり、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、軸方向から見て前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とを互いに重ねた状態で固定され、
軸方向から見て前記第1位置決め部および前記第2位置決め部は、前記複数のボルトのうち、一方のボルトと、他方のボルトと、の間に位置する、電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータの製造方法、および電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が選択したシフトレンジに応じて回転式アクチュエータを駆動制御し、自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムが知られている。特許文献1には、シフトバイワイヤシステムに用いられるアクチュエータとして、モータと減速機と出力軸とこれらを収容するハウジングとを備える回転式アクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-194087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアクチュエータのハウジングは、軸方向において互いに締結されるフロントハウジングおよびリアハウジングを有する。フロントハウジングおよびリアハウジングは、入力側と出力軸とを軸方向の両側からそれぞれ回転可能に支持する。このような構造では、フロントハウジングとリアハウジングとの入力軸における同軸度を確保したとしても、出力軸における位置ずれを解消することができず、出力軸の回転効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて、出力シャフトの回転効率を高めることができる電動アクチュエータの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの製造方法における一つの態様は、中心軸線を中心として回転するモータシャフトを有するモータ部と、前記モータシャフトに連結される伝達機構と、前記伝達機構を介して前記モータシャフトの動力が伝わり、前記中心軸線と平行な出力軸線を中心として回転する出力シャフトと、前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向一方側から回転可能に支持する第1ハウジング部材と、前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向他方側から回転可能に支持する第2ハウジング部材と、を備える電動アクチュエータの製造方法である。電動アクチュエータの製造方法の一つの態様は、前記第1ハウジング部材に設けられる第1位置決め部と、前記第2ハウジング部材に設けられる第2位置決め部とを軸方向から見て互いに重ね合わせ、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部に治具を挿入した状態で、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とを互いに固定する固定工程を有する。
【0007】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転するモータシャフトを有するモータ部と、前記モータシャフトに連結される伝達機構と、前記伝達機構を介して前記モータシャフトの動力が伝わり、前記中心軸線と平行な出力軸線を中心として回転する出力シャフトと、前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向一方側から回転可能に支持する第1ハウジング部材と、前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを軸方向他方側から回転可能に支持する第2ハウジング部材と、を備える。前記第1ハウジング部材には、第1位置決め部が設けられる。前記第2ハウジング部材には、第2位置決め部が設けられる。前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、軸方向から見て前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とを互いに重ねた状態で固定される。軸方向から見て、前記出力シャフトは、前記中心軸線と、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部と、を通過する仮想直線上に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータの出力シャフトの回転効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の電動アクチュエータの断面図である。
図2図2は、一実施形態の電動アクチュエータの斜視図である。
図3図3は、一実施形態の電動アクチュエータの下側から見た平面図である。
図4図4は、一実施形態の第1切欠部および第2切欠部と、組立工程において、これらに挿入される治具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図に適宜示すZ軸は、上下方向を示している。Z軸の正の側(+Z側)は上側であり、Z軸の負の側(-Z側)は下側である。以下の説明においては、Z軸と平行な方向を「上下方向Z」と呼ぶ。また、各図に適宜示すX軸およびY軸は、上下方向Zと直交する水平方向のうちの一方向をそれぞれ示している。X軸とY軸とは、互いに直交している。以下の説明においては、X軸と平行な方向を「第1水平方向X」と呼び、Y軸と平行な方向を「第2水平方向Y」と呼ぶ。また、X軸の正の側(+X側)を「第1水平方向Xの一方側」と呼び、X軸の負の側(-X側)を「第1水平方向Xの他方側」と呼ぶ。Y軸の正の側(+Y側)を「第2水平方向Yの一方側」と呼び、Y軸の負の側(-Y側)を「第2水平方向Yの他方側」と呼ぶ。なお、本実施形態において、上下方向Zは、所定方向に相当し、下側は、所定方向一方側に相当し、上側は、所定方向他方側に相当する。
【0011】
なお、上下方向、水平方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
<電動アクチュエータ>
図1は、本実施形態の電動アクチュエータ10の断面図である。
本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ10は、モータ部40と、減速機構(伝達機構)50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、モータ部センサ8と、出力部センサ7と、仕切部材80と、を備える。
【0013】
以下、電動アクチュエータ10の各部の説明は、組み立て工程における電動アクチュエータ10の姿勢を基に行う。具体的には、モータ部40の中心軸線J1が上下方向Zと平行に配置されている場合について、電動アクチュエータ10の各部の説明を行う。なお、車両に取り付けられる際の電動アクチュエータ10の姿勢は、特に限定されず、以下の説明において用いられる上下方向Z等の名称によっては限定されない。
【0014】
モータ部40の中心軸線J1は、各図に一点鎖線で適宜示されている。本実施形態において中心軸線J1は、上下方向Zに延びている。言い換えれば、以下の説明において上下方向Zは、中心軸線J1の軸方向である。以下の説明では、特に断りのない限り、中心軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0015】
モータ部40は、ロータ40aと、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ステータ43と、マグネットホルダ46と、第1センサマグネット45と、ナット48と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、ロータ40aと、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ステータ43と、マグネットホルダ46と、第1センサマグネット45と、ナット48と、を備える。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
【0016】
ロータ40aは、上下方向Zに延びる中心軸線J1を中心として回転する。ロータ40aは、モータシャフト41と、ロータ本体42と、を有する。すなわち、モータ部40は、モータシャフト41と、ロータ本体42と、を有する。モータシャフト41は、上下方向Zに延びている。モータシャフト41は、中心軸線J1を中心として回転可能である。モータシャフト41は、中心軸線J1に対して偏心した偏心軸線J2を中心とする偏心軸部41aを有する。本実施形態において偏心軸部41aは、モータシャフト41の下側部分の一部である。偏心軸部41aには、第3ベアリング44cが固定されている。偏心軸線J2は、中心軸線J1と平行である。偏心軸部41aは、偏心軸線J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸線J1を中心として延びる円柱状である。
【0017】
図2および図3に示すように、モータシャフト41は、小径部41bと、中径部41cと、大径部41gと、を有する。本実施形態において小径部41b、中径部41c、および大径部41gは、モータシャフト41の上側部分の一部である。
【0018】
小径部41bは、大径部41gよりも上側に位置する。本実施形態において小径部41bは、モータシャフト41のうち最も上側に位置する部分である。小径部41bの上側の端部は、モータシャフト41の上側の端部である。小径部41bの外周面にはナット48が締結されるネジ部が設けられる。
【0019】
小径部41bは、小径部41bの上側の端部から下側に窪み中心軸線J1が通る中央凹部41iを有する。中央凹部41iの内縁は、上側から見て、中心軸線J1を中心とする円形状である。中央凹部41iの内側面は、中心軸線J1を中心とし、内径が下側に向かうに従って小さくなるテーパ面である。中央凹部41iは、例えば、モータシャフト41に旋盤を用いた機械加工を施す際に作られるセンタ穴である。
【0020】
中径部41cは、小径部41bの下側に段差を介して繋がっている。中径部41cの外径は、小径部41bの外径よりも大きい。中径部41cには、第1ベアリング44aが固定されている。より詳細には、中径部41cには、第1ベアリング44aの内輪が嵌め合わされて固定されている。中径部41cの上側の端部は、第1ベアリング44aよりも上側に位置する。
【0021】
大径部41gは、中径部41cの下側に段差を介して繋がっている。大径部41gの外径は、中径部41cの外径よりも大きい。大径部41gは、モータシャフト41のうちロータ本体42が固定された部分である。大径部41gの外周面には、ロータ本体42が固定されている。大径部41gの上側の端部は、中径部41cに固定された第1ベアリング44aの内輪を下側から支持している。
【0022】
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41に固定されている。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bとは、モータシャフト41を中心軸線J1回りに回転可能に支持している。第1ベアリング44aは、モータシャフト41のうち大径部41gよりも上側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態において第1ベアリング44aは、中径部41cを回転可能に支持するベアリングである。第2ベアリング44bは、モータシャフト41のうち大径部41gよりも下側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態において第2ベアリング44bは、モータシャフト41の下側の端部を回転可能に支持するベアリングである。
【0023】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されている。より詳細には、ロータ本体42は、大径部41gに固定されている。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されたロータコア42aと、ロータコア42aの外周部に固定されたロータマグネット42bと、を有する。図示は省略するが、本実施形態においてロータマグネット42bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。
【0024】
ステータ43は、ロータ40aの径方向外側に位置する。より詳細には、ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置されている。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコア43aと、インシュレータ43bと、複数のコイル43cと、を有する。各々のコイル43cは、インシュレータ43bを介してステータコア43aのティースに装着されている。
【0025】
マグネットホルダ46は、モータシャフト41のうち大径部41gよりも上側に位置する部分に固定されている。マグネットホルダ46は、中心軸線J1を中心とする略円板状である。マグネットホルダ46は、例えば、金属製の板部材をプレス加工することで作られている。マグネットホルダ46は、ナット48によってモータシャフト41に固定している。
【0026】
第1センサマグネット45は、マグネットホルダ46に固定されている。第1センサマグネット45は、上下方向Zに見てモータシャフト41を囲む環状である。第1センサマグネット45は、例えば、中心軸線J1を中心とする円環状である。第1センサマグネット45は、例えば、板面が上下方向Zを向く板状である。第1センサマグネット45の板面は、例えば、上下方向Zと直交している。第1センサマグネット45は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に設けられている。第1センサマグネット45の磁界は、モータ部センサ8によって検出される。
【0027】
減速機構50は、モータ部40の下側に位置する。減速機構50は、モータシャフト41に連結される。減速機構50とステータ43との上下方向Zの間には、仕切部材80が配置されている。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置されている。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、複数の突出部54と、を有する。
【0028】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸線J2を中心として、偏心軸線J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部51bが設けられている。外歯ギア51の歯車部51bは、外歯ギア51の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0029】
外歯ギア51は、モータシャフト41に連結されている。より詳細には、外歯ギア51は、モータシャフト41の偏心軸部41aに第3ベアリング44cを介して連結されている。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結されている。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング44cは、モータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸線J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0030】
本実施形態において外歯ギア51は、複数の穴部51aを有する。本実施形態において穴部51aは、外歯ギア51を上下方向Zに貫通している。複数の穴部51aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部51aは、偏心軸線J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部51aは、上下方向Zに見て円形状である。穴部51aは、内径が突出部54の外径よりも大きい。なお、穴部51aは、底部を有する穴であってもよい。
【0031】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側に位置し、外歯ギア51を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア52は、中心軸線J1を中心とする円環状である。内歯ギア52は、ハウジング11に固定されている。内歯ギア52は、外歯ギア51と噛み合っている。
【0032】
出力ギア53は、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置されている。すなわち、出力ギア53は、上下方向Zに見て外歯ギア51と重なって配置されている。出力ギア53は、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続されている。出力ギア53は、例えば、上下方向Zに見て、中心軸線J1を中心とする円環状である。出力ギア53の径方向外側面には、歯車部53aが設けられている。歯車部53aは、出力ギア53の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。出力ギア53の歯車部53aの歯部は、後述する駆動ギア62の歯車部62aの歯部と噛み合っている。
【0033】
出力ギア53の内周縁部は、第4ベアリング44dの外輪に取り付けられた止め輪49の下側に対向して配置されている。止め輪49は、第4ベアリング44dよりも径方向外側に突出している。止め輪49によって、出力ギア53が第4ベアリング44dに対して上側に移動することが抑制されている。
【0034】
複数の突出部54は、出力ギア53から外歯ギア51に向かって上下方向Zに突出している。複数の突出部54は、出力ギア53の下面から下側に突出する円柱状である。本実施形態において複数の突出部54は、出力ギア53と一体成形されている。複数の突出部54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。
【0035】
突出部54の外径は、穴部51aの内径よりも小さい。複数の突出部54は、複数の穴部51aのそれぞれに上側から挿入されている。突出部54の外周面は、穴部51aの内側面と内接している。複数の突出部54は、穴部51aの内側面を介して、外歯ギア51を中心軸線J1回りに揺動可能に支持している。上述したように、本実施形態において出力ギア53は止め輪49によって上側への移動が抑制されているため、出力ギア53に設けられた突出部54が穴部51aから上側に抜け出ることが抑制されている。
【0036】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置されている。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、滑り軸受65と、第2センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、滑り軸受65と、第2センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を備える。
【0037】
出力シャフト61は、モータシャフト41の上下方向Zに延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びているため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結されている。本実施形態において出力シャフト61は、中心軸線J1と平行な出力軸線J3を中心とする円筒状である。
【0038】
出力軸線J3は、出力シャフト61の中心軸である。出力軸線J3は、中心軸線J1と平行であり、中心軸線J1から径方向に離れて配置されている。すなわち、モータシャフト41と出力シャフト61とは、上下方向Zと直交する方向に互いに離れて配置されている。言い換えれば、モータシャフト41と出力シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に互いに離れて配置されている。そのため、モータシャフト41と出力シャフト61とが上下方向Zに並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を上下方向Zに小型化できる。図1において出力軸線J3は、例えば、中心軸線J1の右側に位置する。なお、出力軸線J3を中心とする径方向を「出力径方向」と呼ぶ。出力径方向は、出力シャフト61の径方向である。
【0039】
出力シャフト61は、下側に開口している。出力シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置されている。出力シャフト61の下側部分には、シャフトフランジ部61bが設けられている。シャフトフランジ部61bは、出力径方向の外側に突出している。シャフトフランジ部61bは、出力軸線J3を中心とする円環状である。
【0040】
出力シャフト61には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトDSを出力軸線J3回りに回転させる。
【0041】
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定されている。駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びている。駆動ギア62は、出力ギア53と噛み合っている。図示は省略するが、駆動ギア62は、例えば、上下方向Zに見て、略扇形形状である。出力軸線J3を中心とする周方向における駆動ギア62の寸法は、出力径方向の外側に向かうに従って大きくなっている。駆動ギア62は、出力径方向の外端部に歯車部を有する。駆動ギア62の歯車部62aは、出力軸線J3を中心とする周方向に沿って並ぶ複数の歯部を有する。駆動ギア62は、出力ギア53と噛み合っている。これにより、駆動ギア62は、減速機構50に接続されている。駆動ギア62には、減速機構50を介してモータ部40の回転が伝達される。
【0042】
マグネットホルダ64は、出力軸線J3を中心として上下方向Zに延びる略円筒状の部材である。マグネットホルダ64は、上下方向Zの両側に開口している。マグネットホルダ64は、出力シャフト61の上部に固定されている。本実施形態においてマグネットホルダ64は、モータ部40の第1ベアリング44aの径方向外側に配置されている。マグネットホルダ64は、上下方向Zに見て、回路基板70と部分的に重なっている。マグネットホルダ64は、回路基板70よりも下側に配置されている。出力シャフト61は、マグネットホルダ64の内側に圧入されている。
【0043】
第2センサマグネット63は、出力軸線J3を中心とする円環状である。第2センサマグネット63は、マグネットホルダ64の上端部に嵌め合わされている。第2センサマグネット63は、例えば、接着剤によってマグネットホルダ64と固定されている。出力シャフト61にマグネットホルダ64が固定されることで、第2センサマグネット63は、マグネットホルダ64を介して出力シャフト61に固定されている。第2センサマグネット63の一部は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向している。
【0044】
出力シャフト61の上側の端部は、マグネットホルダ64の上側の端部よりも下側に位置する。出力シャフト61の上側の端部には、工具を嵌合可能な操作部66が設けられている。操作部66は、例えば、出力シャフト61の上側の端部から下方に窪む穴部である。操作部66の形状は、例えば、上下方向Zに見て、出力軸線J3を中心とする正方形または正六角形である。
【0045】
モータシャフト41が中心軸線J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸線J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、穴部51aの内周面と突出部54の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0046】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52はハウジング11の後述する第2ハウジング部材14に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸線J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸線J2回りの回転は、穴部51aと突出部54とを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸線J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0047】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力軸線J3回りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力軸線J3回りに回転する。このようにして、出力シャフト61には、減速機構50を介してモータ部40の回転が伝達される。すなわち、出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41の動力が伝わり出力軸線J3を中心として回転する。このような減速機構50の構成によれば、モータシャフト41の回転に対して、出力シャフト61の回転を比較的大きく減速できる。そのため、出力シャフト61の回転トルクを比較的大きくできる。したがって、電動アクチュエータ10を小型化しつつ、電動アクチュエータ10の出力を確保しやすい。本実施形態の電動アクチュエータ10において出力シャフト61は、1周しない範囲内で双方向に回転させられる。
【0048】
ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力シャフト61を含む出力部60、回路基板70、バスバーユニット90、および仕切部材80を収容している。ハウジング11は、第1ハウジング部材12と、蓋部材13と、第2ハウジング部材14と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、第1ハウジング部材12と、蓋部材13と、第2ハウジング部材14と、を備える。本実施形態において、第1ハウジング部材12は、モータシャフト41および出力シャフト61を上側(軸方向一方側)から回転可能に支持する。また、第2ハウジング部材14は、モータシャフト41および出力シャフト61を下側(軸方向他方側)から回転可能に支持する。
【0049】
第1ハウジング部材12は、ステータ43を内部に収容している。第1ハウジング部材12は、上側に開口する開口部12aと、下側に開口する開口部12bと、を有する。本実施形態において第1ハウジング部材12は、金属製である。第1ハウジング部材12は、例えば、ダイカストによって成形されている。第1ハウジング部材12は、例えば、上下方向Zに見て、多角形状である。
【0050】
第1ハウジング部材12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられたモータケース部32および出力シャフト上側保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、出力シャフト上側保持部33と、を有する。
【0051】
本実施形態において外壁部30は、上下方向Zに見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、第1ハウジング部材12の上側の開口部12aである。底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁38が設けられている。筒状壁38は、中心軸線J1および出力軸線J3を囲む環状である。筒状壁38に囲まれた開口部が、第1ハウジング部材12の下側の開口部12bである。
【0052】
モータケース部32および出力シャフト上側保持部33は、底壁部31の上面に設けられている。モータケース部32は、モータ部40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸線J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ部40を内側に保持している。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ部40のステータ43が固定されている。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、基板固定部32hと、を有する。
【0053】
区画壁32aは、上下方向Zに見た中央に、第1ベアリング44aを保持する第1ベアリング保持部32cを有する。すなわち、第1ハウジング部材12は、第1ベアリング保持部32cを有する。第1ベアリング保持部32cは、中心軸線J1を中心として上下方向Zに沿って延びる円筒状である。第1ベアリング保持部32cは、下側に開口している。第1ベアリング保持部32cの内周面に、第1ベアリング44aが保持されている。第1ベアリング44aは、第1ベアリング保持部32cの径方向内側に隙間嵌めされている。
【0054】
区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が上下方向Zに大型化することを抑制できる。第1ベアリング保持部32cの下側の端部の内周縁部は、面取りされている。これにより、第1ベアリング保持部32cの下側の端部における内径は、下側に向かうに従って大きくなっている。
【0055】
区画壁32aは、区画壁32aを上下方向Zに貫通するガイド孔32fを有する。ガイド孔32fは、区画壁32aのうち第1ベアリング保持部32cの内周面32eよりも径方向内側に位置する部分に設けられている。ガイド孔32fは、例えば、中心軸線J1を中心とする円形状の孔である。ガイド孔32fの下側の端部は、第1ベアリング保持部32cの内部に開口している。これにより、ガイド孔32fの内部は、第1ベアリング保持部32cの上側において、第1ベアリング保持部32cの内部と繋がっている。
【0056】
基板固定部32hは、区画壁32aから上側に突出している。基板固定部32hは、複数設けられている。基板固定部32hは、円柱状である。基板固定部32hは、回路基板70を下側から支持している。基板固定部32hの上側の端面には、雌ネジ孔が設けられている。基板固定部32hの雌ネジ孔には、回路基板70を上下方向Zに貫通するボルト96が上側から締め込まれている。これにより、基板固定部32hには、回路基板70が固定されている。
【0057】
出力シャフト上側保持部33は、出力軸線J3を中心とする円筒状である。出力シャフト上側保持部33は、底壁部31よりも下側に突出している。出力シャフト上側保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。出力シャフト上側保持部33は、出力シャフト上側保持部33を上下方向Zに貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状の滑り軸受65が嵌め合わされている。
【0058】
図2は、電動アクチュエータ10の斜視図である。
第1ハウジング部材12は、固定部34を有する。固定部34は、下側の端面に雌ネジ穴36を有する。すなわち、第1ハウジング部材12は、上側に窪む雌ネジ穴(図示略)を有する。固定部34は、第1ハウジング部材12に複数設けられる。複数の固定部34は、筒状壁38の周囲に沿って互いに間隔を空けて配置され、筒状壁38を囲んでいる。
【0059】
第1ハウジング部材12は、下側を向く締結面37を有する。締結面37は、例えば、上下方向Zと直交する平坦面である。締結面37は、例えば、加工面である。なお、本明細書において「或る面が加工面である」とは、或る面が、切削加工および研削加工等の機械加工が施されることによって作られていることを意味する。本実施形態において締結面37は、ダイカストによって成形された第1ハウジング部材12の表面に対して、切削加工が施されて作られた面である。
【0060】
第1ハウジング部材12の締結面37の外縁には、第1切欠部(第1位置決め部)71が設けられる。すなわち、第1ハウジング部材12には、第1切欠部71が設けられる。第1切欠部71は、軸方向から見て第1ハウジング部材12の外縁から内側に延びる切欠状である。第1切欠部71は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との中心軸線J1周りの周方向の位置決めに用いられる。第1切欠部71の構成については、後段の電動アクチュエータ10の製造方法の説明と合わせて、詳細に説明する。
【0061】
図1に示すように、蓋部材13は、下側に開口する凹部13bを有する容器状の部材である。本実施形態において蓋部材13は、金属製である。蓋部材13は、例えば、ダイカストによって成形されている。蓋部材13は、第1ハウジング部材12の上側に固定されている。より詳細には、蓋部材13と第1ハウジング部材12とは、蓋部材13を上下方向Zに貫通する複数のボルトにより締結されている。蓋部材13は、第1ハウジング部材12の上側の開口部12aを閉塞している。図示は省略するが、凹部13bには、回路基板70の上面に実装された電子部品が収容されている。凹部13bには、例えば、回路基板70に実装されたキャパシタ、トランジスタなどが収容されている。蓋部材13は、出力シャフト61を上側から覆っている。
【0062】
蓋部材13は、出力シャフト61の上側に位置する挿入孔13cを有する。挿入孔13cは、上下方向Zに見て操作部66と重なっている。挿入孔13cには、取り外し可能な栓部材15が取り付けられている。栓部材15は、例えば外周面に設けられた雄ネジ部が挿入孔13cの内周面に設けられた雌ネジ部に締め込まれることで、挿入孔13cに着脱可能に取り付けられている。これにより、挿入孔13cは、着脱可能に取り付けられた栓部材15によって開放可能に閉塞されている。したがって、電動アクチュエータ10の内部に挿入孔13cから異物が侵入することを抑制できる。
【0063】
一方、栓部材15を取り外すことにより、挿入孔13cを介して、電動アクチュエータ10の外部から操作部66に多角柱状のレンチ等の工具を挿入することが可能となる。これにより、工具を出力シャフト61に連結することができる。工具が出力シャフト61に連結された状態において、工具を出力軸線J3回りに回転させることで、出力シャフト61を回転させることが可能である。
【0064】
第2ハウジング部材14は、減速機構50を下側から覆っている。本実施形態において第2ハウジング部材14は、金属製である。第2ハウジング部材14は、例えば、ダイカストによって成形されている。第2ハウジング部材14は、第1ハウジング部材12の下側に固定されている。より詳細には、図2に示すように、第2ハウジング部材14は、第1ハウジング部材12の下側に複数のボルト97で固定されている。ボルト97は、固定部34の雌ネジ穴に締め込まれている。なお、第2ハウジング部材14は、板状のブラケットと共締めされて第1ハウジング部材12に固定されていてもよい。
【0065】
図1に示すように、第2ハウジング部材14は、第1ハウジング部材12の下側の開口部12bを閉塞している。第2ハウジング部材14は、収容部14pと、フランジ部14cと、を有する。収容部14pは、上側に開口する容器状の部分である。収容部14pは、減速機構50を内部に収容している。これにより、第2ハウジング部材14は、減速機構50を内部に収容している。収容部14pは、第2ベアリング保持部14aと、内側底壁部14fと、内側周壁部14bと、外側底壁部14jと、外側周壁部14kと、円筒部14rと、を有する。すなわち、第2ハウジング部材14は、第2ベアリング保持部14aと、内側底壁部14fと、内側周壁部14bと、外側底壁部14jと、外側周壁部14kと、円筒部14rと、を有する。
【0066】
第2ベアリング保持部14aは、中心軸線J1を中心とする円筒状である。第2ベアリング保持部14aは、上側に開口し、下側に底部14dを有する。第2ベアリング保持部14aは、内側周壁部14bよりも内径が小さく、内側周壁部14bよりも下側に位置する。第2ベアリング保持部14aは、第2ベアリング44bを保持する。第2ベアリング44bは、第2ベアリング保持部14aの径方向内側に嵌め合わされている。より詳細には、第2ベアリング44bは、第2ベアリング保持部14aの径方向内側に隙間嵌めされている。第2ベアリング44bと底部14dとの上下方向Zの間には、予圧部材47が配置されている。予圧部材47は、例えば、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底部14dの上側の面と第2ベアリング44bの外輪の下側の端部とに接触している。予圧部材47は、第2ベアリング44bの外輪に対して上向きの予圧を加えている。
【0067】
内側底壁部14fは、第2ベアリング保持部14aの上側の端部から径方向外側に広がっている。内側底壁部14fは、中心軸線J1を中心とする円環状である。内側周壁部14bは、内側底壁部14fの外周縁部から上側に延びている。内側周壁部14bは、第2ベアリング保持部14aよりも径方向外側に位置する。内側周壁部14bは、中心軸線J1を中心とする円筒状である。内側周壁部14bは、上側に開口している。内側周壁部14bの内部には、内歯ギア52が嵌め合わされている。本実施形態において内側周壁部14bの内部には、内歯ギア52が圧入されている。
【0068】
外側底壁部14jは、内側周壁部14bの上側の端部から径方向外側に広がっている。外側底壁部14jの上下方向Zに見た外形は、筒状壁38の上下方向Zに見た外形と同様の形状である。外側周壁部14kは、外側底壁部14jの外周縁部から上側に延びている。外側周壁部14kは、内側周壁部14bよりも径方向外側に位置する。外側周壁部14kの上下方向Zに見た外形は、筒状壁38の上下方向Zに見た外形と同様の形状である。外側周壁部14kは、上側に開口する開口部14sを有する。第2ハウジング部材14の開口部14sは、第1ハウジング部材12の下側の開口部12bと上下方向Zに対向している。外側周壁部14kの径方向内側には、出力ギア53が収容されている。
【0069】
図2に示すように、円筒部14rは、外側底壁部14jから下側に突出している。円筒部14rは、出力軸線J3を中心とし、上下方向の両側に開口する円筒状である。円筒部14rの内側面には、下側に開口する出力シャフト下側保持部14eが設けられる。図1に示すように、出力シャフト下側保持部14eは、出力部60と上下方向Zに重なっている。出力シャフト61の下端部の外周面には、パッキン61cが嵌め込まれる。出力シャフト下側保持部14eは、パッキン61cを介して出力シャフト61を回転可能に支持する。出力シャフト61の下端部は、出力シャフト下側保持部14eを通じて下側に露出している。円筒部14rの上側の端部は、シャフトフランジ部61bを下側から支持している。
【0070】
フランジ部14cは、収容部14pの上側の端部から径方向外側に広がっている。本実施形態においてフランジ部14cは、外側周壁部14kの上側の端部から径方向外側に広がっている。フランジ部14cは、収容部14pの上側の開口部14sを囲む環状である。本実施形態においてフランジ部14cは、中心軸線J1および出力軸線J3を囲んでいる。
【0071】
図2に示すように、フランジ部14cは、フランジ部14cを上下方向Zに貫通する貫通孔14iを有する。貫通孔14iは、複数設けられている。貫通孔14iは、例えば、6つ設けられている。複数の貫通孔14iは、フランジ部14cが延びる周方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。貫通孔14iには、ボルト97が通されている。
【0072】
フランジ部14cは、上側を向く締結面14mを有する。締結面14mは、例えば、上下方向Zと直交する平坦面である。締結面14mは、例えば、加工面である。本実施形態において締結面14mは、ダイカストによって成形された第2ハウジング部材14の表面に対して、切削加工が施されて作られた面である。
【0073】
第2ハウジング部材14の締結面14mは、第1ハウジング部材12の締結面37と接触している。第2ハウジング部材14の締結面14mは、第1ハウジング部材12の締結面37に対してボルト97で固定されている。
【0074】
第2ハウジング部材14の締結面14mの外縁には、第2切欠部(第2位置決め部)72が設けられる。すなわち、第2ハウジング部材14には、第2切欠部72が設けられる。第2切欠部72は、軸方向から見て第2ハウジング部材14の外縁から内側に延びる切欠状である。第2切欠部72は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との中心軸線J1周りの周方向の位置決めに用いられる。第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とは、軸方向から見て第1切欠部71と第2切欠部72とを互いに重ねた状態で固定される。第2切欠部72の構成については、後段の電動アクチュエータ10の製造方法の説明と合わせて、詳細に説明する。
【0075】
図1に示すように、バスバーユニット90は、区画壁32aの上面に配置されている。バスバーユニット90は、円環板状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持された複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられている。本実施形態においてバスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られている。バスバーホルダ91は、例えば、複数のボルト95によって、モータケース部32の区画壁32aに固定されている。ボルト95は、例えば、3つ設けられている。
【0076】
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出している。本実施形態においてバスバー92の一方側の端部92aは、回路基板70を下側から上側に貫通している。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続されている。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイル43cから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイル43cと接続されている。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続されている。
【0077】
本実施形態において回路基板70は、モータ部40およびバスバーユニット90の上側に配置されている。回路基板70は、板面が上下方向Zと直交する板状である。回路基板70には、モータ部センサ8および出力部センサ7が取り付けられている。図示は省略するが、回路基板70の上下方向Zに見た形状は、概ね正方形状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイル43cと電気的に接続されている。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続されている。本実施形態において回路基板70は、第1ハウジング部材12における開口部12aの内側に収容されている。回路基板70は、蓋部材13によって上側から覆われている。回路基板70は、例えば、複数のボルト96によって、モータケース部32の基板固定部32hに固定されている。
【0078】
モータ部センサ8は、回路基板70の下面に固定されている。より詳細には、モータ部センサ8は、回路基板70の下側の面のうち第1センサマグネット45と隙間を介して上下方向Zに対向する部分に固定されている。モータ部センサ8は、第1センサマグネット45の磁界を検出可能な磁気センサである。モータ部センサ8は、例えば、ホールIC等のホール素子である。図示は省略するが、モータ部センサ8は、例えば、周方向に沿って3つ設けられている。モータ部センサ8は、第1センサマグネット45の磁界を検出することで第1センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0079】
出力部センサ7は、回路基板70の下面に固定されている。より詳細には、出力部センサ7は、回路基板70の下側の面のうち第2センサマグネット63と隙間を介して上下方向Zに対向する部分に固定されている。出力部センサ7は、第2センサマグネット63の磁界を検出可能な磁気センサである。出力部センサ7は、例えば、ホールIC等のホール素子である。出力部センサ7は、第2センサマグネット63の磁界を検出することで第2センサマグネット63の回転位置を検出して出力シャフト61の回転を検出する。
【0080】
<電動アクチュエータの製造方法>
本実施形態において、電動アクチュエータ10の製造方法(組立方法)は、主に、第1予備工程と、固定工程と、第2予備工程と、蓋部材固定工程と、を有する。
【0081】
明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。なお、本実施形態の電動アクチュエータ10の第1予備工程および固定工程は、図示略の組立装置によって行われる。
【0082】
第1予備工程は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とに、モータ部40、減速機構50、および出力部60を組み付ける工程である。第1予備工程において、第1ハウジング部材12には、ステータ43が組み付けられる。一方で、第2ハウジング部材14には、減速機構50と出力部60とロータ40aとが組み付けられる。
【0083】
さらに、第1予備工程において、第1ハウジング部材12は、開口部12bを下側に向けて組立装置に取り付けられる。第1予備工程において、第2ハウジング部材14は、開口部14sを上側に向けて組立装置に取り付けられる。第1ハウジング部材12の開口部12bと第2ハウジング部材14の開口部14sとは、上下方向に隙間を介して対向する。
【0084】
固定工程は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを互いに固定する工程である。固定工程は、閉塞工程と、周方向位置合わせ工程と、締結工程と、を有する。閉塞工程は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを互いに接触させて、互いの開口部12b、14同士を閉塞する工程である。周方向位置合わせ工程は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを中心軸線J1周りの周方向に位置合わせを行う工程である。締結工程は、ボルト97を締結することで、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを互いに固定する工程である。
【0085】
閉塞工程において、組立装置は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを上下方向において互いに近づけ、互いの開口部12b、14sを閉塞させる。これにより、第1ハウジング部材12の締結面37と第2ハウジング部材14の締結面14mとが、互いに接触する。
【0086】
閉塞工程は、上述の組立装置を用いて行われる。閉塞工程は、中心軸線J1に対する第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14の位置合わせをしながら行われる。閉塞工程において、組立装置は、第1ハウジング部材12のガイド孔32fと第2ハウジング部材14に組み付けられるロータ40aとの同軸度を確保しながら、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを互いに近づける。これにより、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを中心軸線J1に対する同軸度を高めることができる。これにより、モータシャフト41が、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との間でこじれて保持されることが抑制され、モータシャフト41の回転効率を高めることができる。
【0087】
図3は、電動アクチュエータ10の下側から見た平面図である。
周方向位置合わせ工程は、閉塞工程の後に行われる。また、周方向位置合わせ工程は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを中心軸線J1に対する同軸度を保ったまま行われる。閉塞工程を経ることで、第1ハウジング部材の第1切欠部71と第2ハウジング部材14の第2切欠部72とは、軸方向から見て、少なくとも一部が重なる。しかしながら、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とは、中心軸線J1を中心とする周方向の位置ずれが生じ得るため、第1切欠部71と第2切欠部72とは完全には重ならない。
【0088】
周方向位置合わせ工程は、治具9を用いて行われる。周方向位置合わせ工程において、作業者等は、治具9を第1切欠部71および第2切欠部72に挿入する。治具9は、第1切欠部71の開口縁および第2切欠部の開口縁にそれぞれ接触する。これにより、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14のうち一方又は両方が、中心軸線J1周りに相対的に回転して周方向の位置合わせが完了する。周方向位置合わせ工程の後に、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との相対的な位置関係を保持したまま締結工程が行われる。
【0089】
本実施形態によれば、作業者等は、固定工程において、第1切欠部71と第2切欠部72とを軸方向から見て互いに重ね合わせ、第1切欠部71および第2切欠部72に治具9を挿入した状態で、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを互いに固定する。また、固定工程は、中心軸線J1に対する第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14の位置合わせをしながら行われる。
【0090】
第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14は、閉塞工程を経ることで、中心軸線J1における同軸度が高められるが、出力軸線J3における同軸度は確保されていない。出力軸線J3における第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14の位置ずれが生じると、出力シャフト61がこじれて、出力シャフト61の回転効率が低下する虞がある。
【0091】
本実施形態によれば、作業者等が、第1切欠部71および第2切欠部72に治具9を挿入した状態で、固定工程を行うことで、中心軸線J1周りの周方向における第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との位置合わせ工程を行うことができる。このため、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14の出力軸線J3における位置合わせを行うことができる。すなわち、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14の出力軸線J3における同軸度を高めることができる。結果的に、出力シャフト61が、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との間でこじれて保持されることを抑制することができ、出力シャフト61の回転効率を高めることができる。
【0092】
ここで、図3に示すように、電動アクチュエータ10を軸方向から見て、中心軸線J1と第1切欠部71および第2切欠部72と、を通過する仮想直線VLを想定する。
仮想直線VLは、軸方向から見て、第1切欠部71および第2切欠部72の中央を通過する。出力シャフト61は、仮想直線VL上に配置される。特に、本実施形態において、仮想直線VL上には、出力シャフト61の中心を通過する出力軸線J3上に配置される。すなわち、仮想直線VL上には、中心軸線J1、出力軸線J3、並びに第1切欠部71および第2切欠部72が配置される。
【0093】
図1に示すように、第1ハウジング部材12は、第1ベアリング保持部32cにおいて、第1ベアリング44aを介しモータシャフト41を回転可能に支持する。また、第1ハウジング部材12は、出力シャフト上側保持部33において、滑り軸受65を介し出力シャフト61を回転可能に支持する。
【0094】
第1ハウジング部材12の第1ベアリング保持部32c、出力シャフト上側保持部33および第1切欠部71は、寸法精度を確保するためにエンドミル等によって機械加工される。同様に、第2ハウジング部材14の第2ベアリング保持部14a、出力シャフト下側保持部14eおよび第2切欠部72は、機械加工される。
【0095】
本実施形態によれば、第1ハウジング部材12において、中心軸線J1、出力軸線J3、および第1切欠部71は、仮想直線VL上に配置される。このため、第1ベアリング保持部32c、出力シャフト上側保持部33および第1切欠部71の機械加工時に、工作機械の主軸の移動方向を仮想直線VLの方向に合わせることで、主軸を仮想直線VLと直交する方向に移動させることなく、これらを機械加工できる。結果的に、仮想直線VLに対する第1ベアリング保持部32c、出力シャフト上側保持部33および第1切欠部71の寸法精度を高めることができる。これにより、第1ハウジング部材12の機械加工によって、中心軸線J1の周方向における出力軸線J3、および第1切欠部71の寸法精度を高めることができる。
【0096】
同様に、第2ハウジング部材14は、第2ベアリング保持部14aにおいて、第2ベアリング44bを介しモータシャフト41を回転可能に支持する。また、第2ハウジング部材14は、出力シャフト下側保持部14eにおいて、パッキン61cを介して出力シャフト61を回転可能に支持する。本実施形態によれば、第2ベアリング保持部14a、出力シャフト下側保持部14eおよび第2切欠部72の機械加工時に、工作機械の主軸の移動方向を仮想直線VLの方向に合わせることで、主軸を仮想直線VLと直交する方向に移動させることなく、これらを機械加工できる。結果的に、仮想直線VLに対する第2ベアリング保持部14a、出力シャフト下側保持部14eおよび第2切欠部72の寸法精度を高めることができる。これにより、第2ハウジング部材14の機械加工によって、中心軸線J1の周方向における出力軸線J3、および第1切欠部71の寸法精度を高めることができる。
【0097】
このように、本実施形態によれば、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14は、中心軸線J1の周方向において、出力シャフト61を保持する部分、並びに第1切欠部71および第2切欠部72の位置精度が高められている。これにより、第1切欠部71と第2切欠部72とを中心軸線J1の周方向で位置合わせすることで、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14における出力シャフト61を保持する部分(出力シャフト上側保持部33および出力シャフト下側保持部14e)の位置精度をより確実に高めることができる。
【0098】
図3に示すように、第1切欠部71と第2切欠部72とは、軸方向から見て同形状である。また、第1切欠部71および第2切欠部72は、それぞれ仮想直線VLに対して鏡映対称形状である。上述したように、本実施形態の第1切欠部71および第2切欠部72は、それぞれ機械加工によって形成される。第1切欠部71および第2切欠部72は、それぞれ仮想直線VLに対して鏡映対称形状とすることで、中心軸線J1に対する周方向両側の寸法精度を同程度に精密加工することができる。これにより、第1切欠部71および第2切欠部72の中心軸線J1に対する周方向両側の寸法精度を高めることができる。
【0099】
本実施形態の第1切欠部71および第2切欠部72は、同幅部73と円弧部74とを有する。同幅部73は、第1切欠部71又は第2切欠部72の開口から仮想直線VLに沿って同幅で延びる領域であり、幅方向に対向する一対の壁面を有する。円弧部74は、第1切欠部71又は第2切欠部72の深さ方向の底部に配置される。円弧部74は、軸方向から見て半円の円弧形状であり、同幅部73の一対の壁面同士を繋ぐ。円弧部74の直径は、同幅部73の幅寸法と一致する。第1切欠部71および第2切欠部72は、同幅部73の幅寸法と同じ直径のエンドミルを用いて加工される。すなわち、本実施形態によれば、第1切欠部71および第2切欠部72の機械加工時に工作機械の主軸を仮想直線VLに沿って移動させて形成できる。このため、中心軸線J1の周方向における第1切欠部71および第2切欠部72の寸法精度を高めることができる。
【0100】
なお、本実施形態では、第1ハウジング部材12および第2切欠部72の位置決め部として、切り欠き状の位置決め部(第1切欠部71および第2切欠部72)が設けられる場合について説明する。しかしながら、位置決め部は、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14にそれぞれ設けられ、軸方向両側に開口するものであれば、本実施形態に限定されない。例えば、切り欠き状の位置決め部に代えて、軸方向に貫通する貫通孔を採用してもよい。
【0101】
なお、本実施形態に示すように、切り欠き状の位置決め部である第1切欠部71および第2切欠部72を採用することで、治具9を仮想直線VLに沿って切欠開口側から挿入することができる。このため、本実施形態によれば、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14を容易かつ高精度で位置決めすることができる。
【0102】
治具9は、軸方向から見て、仮想直線VLに沿う先端側に向かうに従い幅寸法が狭くなるくさび形状である。治具9の先端の幅寸法は、第1切欠部71および第2切欠部72の同幅部73の幅寸法より小さい。治具9の根元部の幅寸法は、第1切欠部71および第2切欠部72の同幅部73の幅寸法より大きい。固定工程において、治具9は、仮想直線VLに沿って第1切欠部71および第2切欠部72に挿入され、第1切欠部71および第2切欠部72の開口縁に接触する。
【0103】
本実施形態によれば、治具9がくさび状とされることで、仮想直線VLに沿って治具を挿入することで、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14とを容易に位置合わせすることができる。
【0104】
上述したように、本実施形態の第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材14は、第1切欠部71および第2切欠部72の周方向位置精度が高められている。一方で、第1切欠部71および第2切欠部72は、エンドミルなどの切削工具を仮想直線VLに沿って移動させて加工される。このため、第1切欠部71および第2切欠部72の深さ方向の寸法精度は高められていない。本実施形態によれば、治具9が、第1切欠部71および第2切欠部72の開口縁に接触する。このため、第1切欠部71および第2切欠部72の深さ方向の寸法精度に関わらず、第1切欠部71と第2切欠部72とを、高精度に位置決めできる。
【0105】
図4は、第1切欠部71および第2切欠部72と、これらに挿入される治具9の斜視図である。図4に示すように、治具9は、互いに分割された第1治具片9aおよび第2治具片9bを有することが好ましい。
【0106】
第1治具片9aと第2治具片9bとは、同形状である。すなわち、第1治具片9aおよび第2治具片9bは、仮想直線VLに沿う先端側に向かうに従い幅寸法が狭くなるくさび形状である。第1治具片9aと第2治具片9bとは一様な断面形状で軸方向に沿って延びる。第1治具片9aと第2治具片9bとは、軸方向に沿って積層される。
【0107】
第1治具片9aと第2治具片9bとは、互いに連結されている。第1治具片9aと第2治具片9bとは、仮想直線VLに沿う方向への相対的な移動を許容される。一方で、第1治具片9aと第2治具片9bとは、仮想直線VLに沿う方向以外への相対的な移動は許容されない。すなわち、第1治具片9aと第2治具片9bとは、仮想直線VLに直交する方向に沿う相対的な移動が制限される。
【0108】
第1治具片9aは、第1切欠部71に対向して配置される。一方で、第2治具片9bは、第2切欠部72に対向して配置される。第1治具片9aと第2治具片9bとの境界面は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14との境界面と同一平面上に配置される。第1治具片9aは、仮想直線VLに沿って第1切欠部71に挿入され、第1切欠部71の開口縁に接触する。第2治具片9bは、仮想直線VLに沿って第2切欠部72に挿入され、第2切欠部72の開口縁に接触する。
【0109】
本実施形態において、第1切欠部71の開口縁の位置と第2切欠部72の開口縁の位置とが、仮想直線VLに沿う方向においてずれる場合がある。これは、第1切欠部71が設けられる第1ハウジング部材12の外縁形状と、第2切欠部72が設けられる第2ハウジング部材14の外縁形状とが、必ずしも一致しないためである。
【0110】
本実施形態によれば、第1治具片9aと第2治具片9bとは、仮想直線VLに沿ってそれぞれ独立に動作可能である。このため、第1切欠部71およぎ第2切欠部72の開口縁の位置が、仮想直線VLに沿う方向において互いにずれて配置されていても、治具9によって周方向の位置決めを正確に行うことができる。
【0111】
固定工程の後には、第2予備工程および蓋部材固定工程が行われる。第2予備工程は、回路基板70とバスバーユニット90とを第2ハウジング部材14に取り付ける工程である。また、蓋部材固定工程は、第2ハウジング部材14に蓋部材13を固定する工程である。蓋部材固定工程を経ることで、電動アクチュエータ10が製造される。
【0112】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0113】
本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、減速機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0114】
9…治具、9a…第1治具片、9b…第2治具片、10…電動アクチュエータ、11…ハウジング、12…第1ハウジング部材、14…第2ハウジング部材、40…モータ部、41…モータシャフト、50…減速機構(伝達機構)、61…出力シャフト、71…第1切欠部(第1位置決め部)、72…第2切欠部(第2位置決め部)、J1…中心軸線、J3…出力軸線、VL…仮想直線
図1
図2
図3
図4