(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ラミネート接着剤、積層体及び包装体
(51)【国際特許分類】
C09J 175/08 20060101AFI20241008BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20241008BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20241008BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241008BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C09J175/08
B32B7/12
B32B27/38
B65D65/40 D
C08G18/28 090
(21)【出願番号】P 2020218510
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】396009595
【氏名又は名称】東洋モートン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武本 昇
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-172669(JP,A)
【文献】特開2003-113359(JP,A)
【文献】特開2017-137426(JP,A)
【文献】特表2020-513445(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116903(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152370(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/008822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/08
B32B 7/12
B32B 27/38
B65D 65/40
C08G 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物、及びシラン化合物を含有するラミネート接着剤であって、
前記ポリオール組成物が
、ポリオール
とポリイソシアネート
との反応生成物であるポリエーテルウレタンポリオールを含み、
該ポリオールが、ひまし油類とポリエーテルポリオールとを含み、
前記ひまし油類の含有率が、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として5~33質量%であり、
前記シラン化合物が、アミノシラン化合物を含む、ラミネート接着剤。
【請求項2】
前記アミノシラン化合物が、第一級アミノ基を有するアミノシラン化合物である、請求項1に記載のラミネート接着剤。
【請求項3】
前記アミノシラン化合物の含有率が、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として、0.05~0.5質量%である、請求項1又は2に記載のラミネート接着剤。
【請求項4】
前記シラン化合物が、さらにエポキシシラン化合物を含む、請求項1~3いずれか1項に記載のラミネート接着剤。
【請求項5】
前記エポキシシラン化合物の含有率が、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として、0.1~0.5質量%以下である、請求項4に記載のラミネート接着剤。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載のラミネート接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つの基材の間に配置された積層体。
【請求項7】
請求項6に記載の積層体を用いた包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プラスチックフィルム、及び金属蒸着フィルムの積層に好適に用いられる、ラミネート接着剤、及びそれを用いた積層体に関する。さらに、本発明は、食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨等に用いられる、前記積層体を用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、衛生用品、日用品等の種々の物品を充填包装する包装製品を構成するための包装材料として、延伸プラスチックなどを含む基材層と、包装材料同士を溶着させるためのシーラント層とが少なくとも積層された積層体が使用されている。そして、通常、該積層体は、積層体の各層を接合するための接着剤層を更に含む。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装材料を構成する積層体の分野においても化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。
バイオマスは、枯渇性資源ではない、現生生物体構成物質を起源とする産業資源を指し、カーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。
【0003】
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、ひまし油中の水酸基の一部とジイソシアネートとの反応生成物であるウレタン変性ひまし油含むポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有する接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ひまし油類を含むポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を含むポリイソシアネート成分、及びポリオール成分を含有するラミネート用接着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-030905号公報
【文献】特開2019-137712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載の接着剤は、ひまし油を用いているため、バイオマス度が向上し硬化速度も速い。しかしながら、ひまし油は分子量分布が大きく、低分子量成分を多く含むという特徴を有するため、ひまし油を用いてなる接着剤は初期凝集力に劣り、接合後の積層体において幅方向に筋状の浮き(トンネリング)が発生する、という課題が生じる。そして、トンネリングの現象は、接着剤で接合する2つの基材の伸びやすさに違いがあるほど発生しやすく、例えば、伸びやすい二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムと、伸びにくいアルミ蒸着ポリエチレンテレフタラート(VMPET)フィルムとを接合した積層体は、特にトンネリングが発生しやすい。
また、特許文献2に記載の接着剤は、ポリイソシアネート硬化剤側にひまし油を用いているため、経時で硬化剤が白濁化し、接着剤の透明性が損なわれるという課題がある。
したがって本発明の課題は、バイオマス度が向上し、硬化速度が速く、さらに、トンネリングが発生しやすい構成においてもトンネリングを抑制でき、透明性に優れる、ラミネート接着剤、該接着剤を用いたバイオマス度が向上し、さらにトンネリングが抑制された積層体、並びに包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の一態様に係るラミネート接着剤は、ポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物、及びシラン化合物を含有するラミネート接着剤であって、ポリオール組成物が、ひまし油類とポリエーテルポリオールとを含むポリオール、及びポリイソシアネートの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリオールを含み、ひまし油類の含有率が、ポリオール組成物の固形分質量を基準として5~33質量%であり、シラン化合物が、アミノシラン化合物を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係るラミネート接着剤は、前記アミノシラン化合物が、第一級アミノ基を有するアミノシラン化合物であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るラミネート接着剤は、前記アミノシラン化合物の含有率が、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として、0.05~0.5質量%であることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るラミネート接着剤は、前記シラン化合物が、さらにエポキシシラン化合物を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るラミネート接着剤は、前記エポキシシラン化合物の含有率が、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として、0.1~0.5質量%以下であることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る積層体は、上述するラミネート接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つの基材の間に配置されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る包装体は、上述する積層体を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、バイオマス度が向上し、硬化速度が速く、さらに、トンネリングが発生しやすい構成においてもトンネリングを抑制でき、透明性に優れる、ラミネート接着剤、該接着剤を用いたバイオマス度が向上し、さらにトンネリングが抑制された積層体、並びに包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<ラミネート接着剤>
本発明のラミネート接着剤は、ポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物、及びシラン化合物を含有し、前記ポリオール組成物が、ひまし油類とポリエーテルポリオールとを含むポリオール、及びポリイソシアネートの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリオールを含み、前記ひまし油類の含有率が、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として5~33質量%であり、前記シラン化合物が、アミノシラン化合物を含むことを特徴とする。
バイオマス度を向上させるためにひまし油類であるポリオールを用いることは一般的に行われている。しかしながら、ひまし油類を用いてなるポリエーテルウレタンポリオールは、分子量分布が大きくなり低分子量成分を多く含む傾向にあるため、最終的に得られる接着剤は、ラミネート初期の凝集力に劣り、接合後の積層体において幅方向に筋状の浮き(トンネリング)が発生しやすい。
上記に対し、本願発明のラミネート接着剤は、所定量のひまし油類であるポリオールと、アミノシラン化合物とを組み合わせることで、界面密着性を向上させ、トンネリングの発生を抑制することができる。さらに、本願発明のラミネート接着剤は、ポリオール組成物(ポリオール主剤)側にひまし油類を用いているため、経時したポリオール主剤をは配合して接着剤とした場合においても、透明性に優れるものとなる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】
<ポリオール組成物>
本発明において使用するポリオール組成物は、主成分として水酸基を2つ以上有するポリオール化合物を含有する組成物である。本発明においてポリオール組成物は、ひまし油類とポリエーテルポリオールとを含むポリオール、及びポリイソシアネートの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリオールを含み、ひまし油類の含有率が、ポリオール組成物の固形分質量を基準として5~33質量%の範囲であることを特徴とする。
ひまし油類とポリエーテルポリオールとをウレタン変性したポリエーテルウレタンポリオールを含むと、ひまし油だけを使用する場合よりも、後述するポリイソシアネート組成物との反応により形成される接着剤層の分岐比率が下がる。これにより、接着剤層のガラス転移点(Tg)が下がり、積層体の接着強度に優れる。
また、ひまし油類の含有率が、ポリオール組成物の固形分質量を基準として5~33質量%の範囲であることで、バイオマス度を高めつつ、優れた硬化速度とトンネリング抑制とを両立できる。ひまし油類の含有率は、好ましくは、5~25質量%の範囲である。
【0017】
[ポリエーテルウレタンポリオール]
前記ポリエーテルウレタンポリオールの原料であるポリオールは、ひまし油類とポリエーテルポリオールとを少なくとも含む。
【0018】
(ひまし油類)
上記ひまし油類としては特に制限されず、公知のひまし油、又は水酸基を含有するひまし油誘導体を使用でき、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基を含有するひまし油誘導体としては、例えば、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ひまし油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、ひまし油脂肪酸縮合物、ひまし油のエチレンオキサイド5~50モル付加体、ひまし油系ポリオールが挙げられる。
中でも、ポリエーテルウレタンポリオールの製造品質安定性の観点から、ひまし油類の酸価は、好ましくは0.1~5.0mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは0.1~2.0mgKOH/g未満の範囲であり、さら好ましくは0.1~1.0mgKOH/gの範囲である。
上記ポリエーテルウレタンポリオールの原料であるポリオールは、ポリウレタンポリオールの質量を基準として、ひまし油類を、5~33質量%の範囲で含むことが好ましい。
【0019】
(ポリエーテルポリオール)
上記ポリエーテルポリオールは、水酸基とエーテル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル;が挙げられる。
また、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオール開始剤に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合した付加重合体を、ポリエーテルポリオールとして用いてもよい。該付加重合体としては、例えば、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして好ましくは、ポリアルキレングリコールである。
【0020】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、好ましくは100~5,000であり、より好ましくは300~2,500である。
本明細書における数平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用い、溶媒としてテトロヒドロフランを用いて、標準ポリスチレン換算した値である。
ポリエーテルポリオールが、複数のポリエーテルポリオールを含む場合、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、各々のポリエーテルポリオールの数平均分子量とその質量比率から求めることができる。
【0021】
(ポリイソシアネート)
前記ポリエーテルウレタンポリオールの原料であるポリイソシアネートは、特に制限されず、公知のポリイソシアネート化合物を使用できる。
このようなポリイソシアネート化合物の具体例としては、後述の<ポリイソシアネート組成物>の記載を援用でき、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、剛直性及び耐熱性の観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;が好ましい。
【0022】
ひまし油類とポリエーテルポリオールとを含むポリオール、及びポリイソシアネートの反応生成物であるポリエーテルウレタンポリオールの重量平均分子量は、好ましくは5,000~45,000の範囲である。当該ポリエーテルウレタンポリオールは、変性されていてもよく、ポリエーテルウレタンポリオールに酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものであってもよい。酸無水物としては、後述する[その他ポリオール化合物]の項に記載の酸無水物を援用できる。
【0023】
[その他ポリオール化合物]
本発明におけるポリオール組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他ポリオール化合物を含んでもよい。その他ポリオール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油又はそれらの混合物のほか、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール等のグリコール;数平均分子量200~3,000のポリアルキレングリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;上記3官能又は4官能の脂肪族アルコールに、上記グリコール若しくはポリオールが付加したポリオールを用いることができる。
【0024】
上記その他ポリオール化合物は、ポリオール中の水酸基の一部が酸変性された酸変性物であってもよいし、酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものや、ジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。
前記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、炭素数2~30のアルキレングリコール又はアルカントリオールを無水トリメリット酸でエステル化反応させてなるエステル化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0025】
<ポリイソシアネート組成物>
本発明において使用するポリイソシアネート組成物は、主成分としてポリイソシアネート化合物を含有する組成物である。ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であり、1種を単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、又は脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、これらは変性された変性体であってもよい。
【0026】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;が挙げられる。
【0027】
ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、アロファネート型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビウレット型変性体、アダクト型変性体の他、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール成分とをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるポリウレタンポリイソシアネートが挙げられる。
上記ポリイソシアネートの変性体を形成するポリオール成分としては、特に制限されず、公知のポリオールから選択することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリエーテルウレタンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ひまし油系ポリオール、フッ素系ポリオールのほか、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオールが挙げられる。
【0028】
ポリイソシアネート組成物として好ましくは、芳香族ポリイソシアネートに由来する構成単位を有する化合物を含むものであり、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートの変性体を含むものであり、さらに好ましくは、芳香族ポリイソシアネートとポリアルキレングリコールとを反応させて得られるポリウレタンポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体を含むものである。このようなポリイソシアネート化合物は、接着力、経済性の観点から好ましい。
【0029】
<シラン化合物>
本発明におけるシラン化合物は、加水分解性シリル基を有する化合物であり、金属箔または金属蒸着層に対する接着強度を向上させる働きを有する。
本発明におけるシラン化合物は、アミノ基と加水分解性シリル基とを有するアミノシラン化合物を含むことを必須とする。このようなアミノシラン化合物としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン等の第一級アミノ基を有するアミノシラン化合物;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等の第2級アミノ基を有するアミノシラン化合物;が挙げられる。
中でも、反応性の観点から、好ましくは第一級アミノ基を有するアミノシラン化合物であり、より好ましくは1分子中に1個の第一級アミノ基を有するアミノシラン化合物であり、さらに好ましくは3-アミノプロピルトリメトキシシランである。
アミノシラン化合物の含有率は、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として、好ましくは0.05~0.5質量%の範囲であり、より好ましくは0.1~0.3質量%の範囲である。上記範囲であると、溶液安定性を損なうことなく、界面密着性に優れるため好ましい。
【0030】
シラン化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、アミノシラン化合物以外のその他シラン化合物を含んでもよい。その他シラン化合物としては、例えば、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げられる。
本発明におけるシラン化合物は、溶液安定性の観点から、さらにエポキシシラン化合物を含むことが好ましい。
シラン化合物がさらにエポキシシラン化合物を含む場合、エポキシシラン化合物の含有率は、前記ポリオール組成物の固形分質量を基準として、好ましくは0.1~0.7質量%の範囲であり、より好ましくは0.1~0.5質量%の範囲である。上記範囲であると、界面密着性に優れるため好ましい。
【0031】
<溶剤>
本発明のラミネート接着剤は、溶剤型又は無溶剤型の接着剤として使用することができ、必要に応じて溶剤を含有してもよい。なお本発明の「溶剤」とは、上記ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、及びシラン化合物を溶解可能な、溶解性の高い有機溶剤を指す。
上記溶解性の高い有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n-ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。有機溶剤として好ましくは、ポリイソシアネートに対して不活性なものであり、例えば、酢酸エチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;が挙げられる。
【0032】
本発明のラミネート接着剤の粘度は、常温~150℃において好ましくは100~10,000mPa・s、より好ましくは100~5,000mPa・sであり、さらに好ましくは常温~100℃において100~10,000mPa・s、より好ましくは100~5,000mPa・sである。
常温~100℃において100~5,000mPa・sである場合は、無溶剤型の接着剤として用いることができる。
ラミネート接着剤の粘度が上記範囲より高い場合は、上記有機溶剤で希釈してもよい。有機溶剤の含有量は所要される粘度によるが、一般的に接着剤樹脂に対して50~70質量%の範囲で含有することが望ましい。
【0033】
本発明のラミネート接着剤は、前述のポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物、シラン化合物、及び必要に応じてその他成分を配合して得られる反応性接着剤であって、シラン化合物は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物との混合時に配合してもよいし、ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物に予め配合してもよい。
ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の配合割合は、ポリイソシアネート組成物における全イソシアネート基と、ポリオール組成物における全水酸基とのモル当量比[NCO/OH]が1.0~5.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.3~3.0の範囲である。
【0034】
ラミネート接着剤を配合した直後の酸価は、好ましくは3.0mgKOH/g以下であり、より好ましくは1.0mgKOH/g以下である。
【0035】
<その他成分>
本発明のラミネート接着剤は、接着剤又は包装体に要求される各種物性を満たすために、さらにその他成分を含有してもよい。その他成分は、ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物に予め配合してもよいし、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを混合する際に配合してもよい。その他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(リン酸又はリン酸誘導体)
本発明のラミネート接着剤は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、リン酸又はリン酸誘導体を含有することができる。
前記リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸のようなリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸のような縮合リン酸類;が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、例えば、上述のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化したものが挙げられる。該アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンのような脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノールのような芳香族アルコール;が挙げられる。
リン酸又はその誘導体の含有率は、ラミネート接着剤の固形分質量を基準として、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~1質量%である。
【0037】
(レベリング剤又は消泡剤)
本発明のラミネート接着剤は、積層体の外観を向上させるため、さらにレベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物が挙げられる。
【0038】
(反応促進剤)
本発明のラミネート接着剤は、硬化反応を促進するため、さらに反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレートのような金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7のような3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン;が挙げられる。
【0039】
(その他の添加剤)
本発明のラミネート組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒が挙げられる。
【0040】
<積層体>
本発明の積層体は、上述のラミネート接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つの基材の間に配置されたものである。該積層体は、例えば、ラミネート接着剤を第1の基材に塗布し、必要に応じて乾燥工程を経た後に、第2の基材を貼り合わせ、両基材の間に位置する前記接着剤層を20℃~60℃の温度条件下にて硬化して形成することができるが、この構成に限定されず、さらに接着剤層等を介して別の層が積層されていてもよい。
ラミネート接着剤の乾燥後塗布量は任意であるが、ラミネート外観、接着性能の安定性の観点から、無溶剤型接着剤の場合は、好ましくは1~4g/m2、より好ましくは1~2g/m2の範囲であり、溶剤型接着剤の場合は、好ましくは1~6g/m2、より好ましくは2~4g/m2の範囲である。また、積層体の厚みは、包装材としての強度や耐久性の観点から、好ましくは10μm以上である。
【0041】
[基材]
基材は特に制限されず、包装体用途に一般的に使用される、プラスチックフィルム、紙、ガスバリア基材、シーラント等が挙げられ、2つの基材は同種であってもよく、異種であってもよい。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が用いられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
プラスチックフィルムは、好ましくは5~50μm、より好ましくは10~30μmの厚さを有するものである。
【0042】
紙としては、天然紙や合成紙等が挙げられる。
ガスバリア基材としては、アルミニウム箔の他、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層を有するプラスチックフィルムが好ましい。例えばアルミニウム箔の場合は、経済的な面から3~50μmの範囲の厚みが好ましい。
【0043】
シーラントとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。中でもレトルト時の耐熱性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、ヒートシール性の観点から未延伸ポリプロピレンが特に好ましい。
シーラントの厚みは特に限定されないが、包装体への加工性やヒートシール性等を考慮して10~60μmの範囲が好ましく、15~40μmの範囲がより好ましい。また、シーラントに高低差5~20μmの凸凹を設けることで、シーラントに滑り性や包装体の引き裂き性を付与することが可能である。
また、各種シーラントはアルミニウム箔の他、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層を有していてもよい。
【0044】
[印刷層]
本発明の積層体は、さらに印刷層を有していてもよい。
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、印刷層の形成方法は特に限定されない。
一般的には、印刷層は、顔料や染料等の着色剤を含む印刷インキを用いて基材上に形成される。印刷インキの塗工方法は特に限定されず、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法等の方法により塗布することができる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行うことにより印刷層が形成される。
印刷層の厚みは、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは1~5μm、さらに好ましくは1~3μmである。
【0045】
積層体の構成は特に限定されないが、少なくとも1層以上のプラスチックフィルムやガスバリア基材と、シーラントとを積層した構成であることが好ましい。構成の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
2軸延伸ポリプロピレン(OPP)/印刷層/接着剤層/CPP、
OPP/印刷層/接着剤層/AL蒸着CPP、
OPP/印刷層/接着剤層/PE、
印刷層/OPP/接着剤層/CPP、
NY/印刷層/接着剤層/PE、
印刷層/NY/接着剤層/CPP
NY/印刷層/接着剤層/CPP、
PET/印刷層/接着剤層/CPP、
印刷層/PET/接着剤層/CPP
PET/印刷層/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
透明蒸着PET/印刷層/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/印刷層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/PE、
PET/印刷層/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、
PET/印刷層/接着剤層/AL/接着剤層/PE、
PET/印刷層/接着剤層/NY/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、
PET/印刷層/接着剤層/AL/接着剤層/NY/接着剤層/CPP
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りの無い限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0047】
<ポリエーテルウレタンポリオールの製造>
(ポリエーテルウレタンポリオールA1)
ひまし油系ポリオールAを18部、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール40部、数平均分子量2,000の2官能ポリプロピレングリコール20部、トリレンジイソシアネート(以下、TDI)22部を反応容器に仕込み、反応触媒として、ジオクチル錫ジラウレートを、ひまし油系ポリオールA、数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール、数平均分子量2,000の2官能ポリプロピレングリコール及びトリレンジイソシアネートの合計質量に対して0.1%添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら80~90℃で2~4時間加熱してウレタン化反応させた。FT-IRでイソシアネート基の消失を確認し、酢酸エチルで希釈して、固形分濃度70%のポリエーテルウレタンポリオール(A1)の溶液を得た。
【0048】
(ポリエーテルウレタンポリオールA2~A8)
表1に示す配合組成に変更した以外は、A1と同様にして、ポリエーテルウレタンポリオールA2~A8の溶液を得た。表1中の数値は、特に断りのない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを表す。
【0049】
【0050】
表1中の略称を以下に示す。
・ひまし油系ポリオールA:豊国精油製「工業用一号ひまし油」、酸価0.5mgKOH/g
・ひまし油系ポリオールB:伊藤製油製「カク工一」、酸価1.5mgKOH/g
・ひまし油系ポリオールC:伊藤製油製「工一」、酸価3.0mgKOH/g
・PPG400:数平均分子量約400の2官能ポリプロピレングリコール
・PPG2000:数平均分子量2,000の2官能ポリプロピレングリコール
・TDI:2.4-トリレンジイソシアネート80%、2.6-トリレンジイソシアネート20%
【0051】
<ポリイソシアネート化合物の製造>
(ポリエーテルウレタンポリイソシアネートB1)
ひまし油系ポリオールC(伊藤製油製「工一」、酸価1.5mgKOH/g)35部、数平均分子量2,000の2官能のポリプロピレングリコール20部、数平均分子量400の2官能ポリプロピレングリコール10部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート35部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら70~80℃で4~7時間加熱してウレタン化反応を行った。反応完了後、酢酸エチルで不揮発分75%に希釈して、ポリエーテルウレタンポリイソシアネートB1の溶液を得た。B1溶液の粘度は3,000mPa・s/25℃であった。
【0052】
<ラミネート接着剤の製造>
[実施例1]
ポリエーテルウレタンポリオールの溶液、ポリイソシアネートの溶液を、表1に示す固形分質量になるように配合し、酢酸エチルで希釈して、固形分30%のラミネート接着剤を得た。得られた接着剤のバイオマス度を表2に示す。
【0053】
[実施例2~13、比較例1~5]
表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、各々、固形分30%のラミネート接着剤を得た。
【0054】
<ラミネート接着剤の評価>
得られた接着剤を用いて積層体を作製し、該積層体を用いて以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0055】
[積層体の製造]
[積層体の作製:OPP/接着剤層/VMPET、塗工速度200m/分]
コロナ処理OPPフィルム(東洋紡製P-2161、厚み20μm)に、ラミネーターを用いて、上述で得られた接着剤を塗工速度200m/分で塗布し、乾燥オーブン(60℃-70℃-80℃の3連オーブン、炉長2.5m)を用いて溶剤を揮散させた後、接着剤塗布面を、厚み12μmのVMPET(麗光製ダイアラスターH27、厚み12μm、アルミ蒸着PET)フィルムと貼り合わせて、積層体を得た。接着剤の固形分塗布量は2.5g/m2とした。
【0056】
[トンネリング]
上記積層体を40℃雰囲気下にて24時間保管した後、幅方向に端部から筋状の浮き(トンネリング)が生じるかを目視で観察し評価した。
〇:トンネリングの発生なし(非常に良好)
〇△:トンネリング発生長さ端部より5mm未満(良好)
△:トンネリング発生長さ端部より5mm以上、10mm未満(使用可能)
×:トンネリング発生長さ端部より10mm以上(使用不可)
【0057】
[硬化速度]
上記積層体をシリカゲル在中デシケーター内で40℃雰囲気下にて24時間保管し、1時間ごとにFT-IRにてイソシアネート基の消失を確認し以下の基準で評価した。
〇:イソシアネート基の消失が24時間未満である
×:イソシアネート基の消失が24時間以上である
【0058】
[溶液外観、粘度]
ポリエーテルウレタンポリオール(A1~A8)の固形分70%溶液、及びポリイソシアネート(CAT-29B、CAT-16B、B2)の固形分75%溶液を、常温(20℃)の環境下で、1ヶ月経時させた。経時後のポリエーテルウレタンポリオール(A1~A8)の固形分70%溶液、及びポリイソシアネート(CAT-29B、CAT-16B、B2)の固形分75%溶液を用いて、実施例1~13、比較例1~5と同様に配合して、各々接着剤を得た。得られた接着剤について、25℃環境下において、溶液外観を目視で観察した。また、接着剤の溶液粘度(秒)をザーンカップ#3を用いて測定し、経時前のポリエーテルウレタンポリオール及びポリイソシアネートを用いてなる接着剤の溶液粘度(秒)と比較した際の秒数の差を算出し、以下の基準で評価した。
〇:溶液外観が透明、且つ、溶液粘度の差が2.0秒以内
×:溶液外観が白濁、又は、溶液粘度の差が2.0秒を超える
【0059】
表2中の略称を以下に示す。
・PPG1000:数平均分子量1,000の3官能のポリプロピレングリコール
・CAT-29B:東洋モートン社製ポリイソシアネート(重量平均分子量 約9,000、固形分75%)
・CAT-16B:東洋モートン社製ポリイソシアネート(重量平均分子量 約5,000、固形分75%)
・KBM-903:信越シリコーン社製3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・KBE-903:信越シリコーン社製3-アミノプロピルトリエトキシシラン
・KBM-603:信越シリコーン社製N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・KBM-403:信越シリコーン社製3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0060】
【0061】
表2によれば、ポリオール組成物にひまし油類を用いてなるポリエーテルウレタンポリオールとアミノシラン化合物とを含む本発明の接着剤は、バイオマス度が向上しており、ラミネート後のトンネリングが発生せず、硬化速度に優れ、さらに、経時したポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を用いても接着剤の透明性、粘度が変化せず安定性に優れていた。