(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/06 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B41J11/06
(21)【出願番号】P 2020218881
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】矢下 未桜
(72)【発明者】
【氏名】伊東 瞬
(72)【発明者】
【氏名】弥藤 圭一
(72)【発明者】
【氏名】赤間 淳貴
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敦彦
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221720(JP,A)
【文献】特開2017-030284(JP,A)
【文献】特開2015-027751(JP,A)
【文献】特開2010-694(JP,A)
【文献】特開2013-010198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送される記録媒体に液滴を吐出することで記録を行う記録部と、
前記記録部に対向して配置され、前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部材と、
少なくとも1つが前記支持部材の前記搬送方向と交差する幅方向の端部に設けられ、前記支持面から窪んだ窪み部であって、前記記録部から吐出された前記液滴を受容する前記窪み部と、
前記窪み部に接続され、前記窪み部の前記液滴を前記搬送方向に沿って排出する排出路と、を備え、
前記排出路は、前記幅方向の幅が前記窪み部の前記幅方向の幅より狭く、且つ前記幅方向の位置が前記記録媒体の端部の位置より内側に配置され、
前記幅方向において、前記排出路における前記記録媒体の内側寄りに位置する第2端辺は、前記窪み部における前記記録媒体の内側寄りに位置する第1端辺の延長線上に、前記第1端辺と連続して配置される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記支持部材は、前記幅方向における前記窪み部より内側に前記記録媒体を吸引する吸引部が設けられ、
前記吸引部は、空気が流入する少なくとも1つの吸引口を有する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の記録装置において、
前記支持部材における前記窪み部が設けられた領域は、前記搬送方向において前記記録部が前記記録媒体に記録を行う記録領域の一部を含み、且つ前記幅方向において前記記録媒体の両端より外側の非記録領域の一部を含む、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記窪み部及び前記排出路は、前記搬送方向に沿って延在され且つ前記幅方向に並ぶ複数の溝部を有する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、
前記窪み部における前記複数の溝部は、前記窪み部の前記搬送方向の端部において前記幅方向に接続され且つ前記排出路と接続される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の記録装置において、
前記溝部の1つ当たりの前記幅方向の幅に相当する第1長さは、隣り合う前記溝部の前記幅方向の間隔に相当する第2長さより短い、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記窪み部は、前記支持面において、前記記録媒体の前記幅方向の一端が位置する基準位置に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置において、
前記記録部は、前記幅方向の幅が異なる複数のサイズの前記記録媒体に記録が可能とされ、
複数の前記窪み部のうち、前記基準位置以外の位置に設けられる前記窪み部は、前記記録媒体の前記幅方向における他方の端部の位置に合わせて、複数設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記排出路は、前記窪み部から前記搬送方向の下流に延在される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項9に記載の記録装置において、
前記支持面は、水平方向に沿って配置され、
前記窪み部の第1底面及び前記排出路の第2底面は、それぞれ前記搬送方向の下流に向かうほど鉛直方向の位置が低くなるように傾斜される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記窪み部の前記搬送方向の下流端に位置する壁面は、前記搬送方向の下流に向かうほど鉛直方向の位置が高くなる斜面である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記排出路の前記搬送方向の上流端部における前記幅方向の外端に位置する内壁面は、前記窪み部に向けて前記排出路の前記幅方向の幅が広がるように傾斜した傾斜面を有する、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインクジェットプリント装置は、フチなしプリントで打ち捨てられたインクを受ける受け部を有する。受け部には、負圧が供給される長孔と、インクを長孔に誘導する誘導部とが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置のように記録媒体を支持する支持部材の裏側にインクを流す構成では、回収したインクによって負圧発生部が汚れる可能性がある。このため、支持部材の表側においてインクを流すことが好ましい。
しかし、支持部材の表側且つ記録媒体の下側においてインクを流す構成では、インクが排出路の一部に滞留した場合、溢れたインクによって記録媒体の裏面が汚れる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る記録装置は、搬送方向に搬送される記録媒体に液滴を吐出することで記録を行う記録部と、前記記録部に対向して配置され、前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部材と、少なくとも1つが前記支持部材の前記搬送方向と交差する幅方向の端部に設けられ、前記支持面から窪んだ窪み部であって、前記記録部から吐出された前記液滴を受容する前記窪み部と、前記窪み部に接続され、前記窪み部の前記液滴を前記搬送方向に沿って排出する排出路と、を備え、前記排出路は、前記幅方向の幅が前記窪み部の前記幅方向の幅より狭く、且つ前記幅方向の位置が前記記録媒体の端部の位置より内側に配置され、前記幅方向において、前記排出路における前記記録媒体の内側寄りに位置する第2端辺は、前記窪み部における前記記録媒体の内側寄りに位置する第1端辺の延長線上に、前記第1端辺と連続して配置されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態1に係るプリンターにおけるプラテンを概略的に示した平面図。
【
図3】実施形態1に係るプリンターにおけるプラテンの+X方向端部の平面図。
【
図4】実施形態1に係るプリンターにおける窪み部の一部を拡大した平面図。
【
図8】実施形態2に係るプリンターにおける窪み部の一部を拡大した平面図。
【
図9】実施形態2の変形例1に係るプリンターにおける窪み部の一部を拡大した平面図。
【
図10】実施形態2の変形例2に係るプリンターにおける窪み部の一部を拡大した平面図。
【
図11】実施形態2の変形例3に係るプリンターにおける窪み部の一部を拡大した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の第1の態様から第12の態様までについて概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る記録装置は、搬送方向に搬送される記録媒体に液滴を吐出することで記録を行う記録部と、前記記録部に対向して配置され、前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部材と、少なくとも1つが前記支持部材の前記搬送方向と交差する幅方向の端部に設けられ、前記支持面から窪んだ窪み部であって、前記記録部から吐出された前記液滴を受容する前記窪み部と、前記窪み部に接続され、前記窪み部の前記液滴を前記搬送方向に沿って排出する排出路と、を備え、前記排出路は、前記幅方向の幅が前記窪み部の前記幅方向の幅より狭く、且つ前記幅方向の位置が前記記録媒体の端部の位置より内側に配置され、前記幅方向において、前記排出路における前記記録媒体の内側寄りに位置する第2端辺は、前記窪み部における前記記録媒体の内側寄りに位置する第1端辺の延長線上に、前記第1端辺と連続して配置されることを特徴とする。
本態様によれば、前記支持部材において、前記排出路の前記幅方向の幅が前記窪み部の前記幅方向の幅より狭いことで、前記排出路より前記幅方向の外側の部位を、前記記録媒体を支持する部位として使用できる。これにより、前記記録媒体の前記幅方向の端部が、前記窪み部及び前記排出路へ垂れ下がることを抑制できる。
さらに、前記支持部材における前記記録媒体に対して下側に配置される部位では、前記排出路の前記第2端辺が、前記窪み部の前記第1端辺の延長線上に前記第1端辺と連続して配置されることで、前記窪み部から前記排出路までの経路が直線状となる。これにより、前記窪み部の前記液滴が、前記排出路を通して外側へ排出され易くなる。
このように、前記記録媒体の前記幅方向の端部の垂れ下がりが抑制されると共に前記窪み部の前記液滴が排出され易くなることで、前記記録媒体の裏面の前記液滴による汚れを抑制できる。
【0008】
第2の態様に係る記録装置は、第1の態様において、前記支持部材は、前記幅方向における前記窪み部より内側に前記記録媒体を吸引する吸引部が設けられ、前記吸引部は、空気が流入する少なくとも1つの吸引口を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記吸引部が前記幅方向における前記窪み部より内側において前記記録媒体を吸引することで、前記支持部材上の前記記録媒体の浮きが抑制され、前記記録媒体の姿勢が安定するので、前記窪み部に対する前記記録媒体の前記幅方向の端部位置がずれることを抑制できる。なお、前記吸引口に最も近い前記窪み部の一部及び前記排出路の一部は、前記搬送方向に直線状に形成されており、前記液滴が排出され易いので、前記液滴が前記吸引口へ流れることを抑制できる。
【0009】
第3の態様に係る記録装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記支持部材における前記窪み部が設けられた領域は、前記搬送方向において前記記録部が前記記録媒体に記録を行う記録領域の一部を含み、且つ前記幅方向において前記記録媒体の両端より外側の非記録領域の一部を含むことを特徴とする。
本態様によれば、前記記録媒体の前記幅方向の端部が、前記支持部材上において前記幅方向の内側へずれることがあっても、前記記録領域の一部に設けられた前記窪み部が、前記液滴を受容するので、前記液滴が前記支持面に沿って拡散されることを抑制できる。
【0010】
第4の態様に係る記録装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記窪み部及び前記排出路は、前記搬送方向に沿って延在され且つ前記幅方向に並ぶ複数の溝部を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記溝部を有さない構成に比べて前記液滴が流れる流路の断面積が小さくなることで、毛細管現象が生じ易くなるので、前記窪み部の前記液滴を前記搬送方向に流し易くすることができる。
【0011】
第5の態様に係る記録装置は、第4の態様において、前記窪み部における前記複数の溝部は、前記窪み部の前記搬送方向の端部において前記幅方向に接続され且つ前記排出路と接続されることを特徴とする。
本態様によれば、前記窪み部のうち前記搬送方向に前記排出路が存在しない部位において流れた前記液滴は、前記複数の溝部の前記幅方向に接続された部位を通って前記排出路へ流れる。これにより、前記窪み部の前記搬送方向の端部において行き場をなくした前記液滴が溢れることを防ぐことができる。
【0012】
第6の態様に係る記録装置は、第4の態様又は第5の態様において、前記溝部の1本当たりの前記幅方向の幅に相当する第1長さは、隣り合う前記溝部の前記幅方向の間隔に相当する第2長さより短いことを特徴とする。
本態様によれば、前記溝部の前記幅方向の幅を狭く設定することで、前記溝部における前記液滴の毛細管現象が生じ易くなるので、前記液滴を前記搬送方向に流しやすくすることができる。
【0013】
第7の態様に係る記録装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記窪み部は、前記支持面において、前記記録媒体の前記幅方向の一端が位置する基準位置に設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録媒体のサイズが変更されることがあっても、前記窪み部が前記基準位置に位置しているので、前記窪み部の位置を変更しなくて済む。
【0014】
第8の態様に係る記録装置は、第7の態様において、前記記録部は、前記幅方向の幅が異なる複数のサイズの前記記録媒体に記録が可能とされ、複数の前記窪み部のうち、前記基準位置以外の位置に設けられる前記窪み部は、前記記録媒体の前記幅方向における他方の端部の位置に合わせて、複数設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録媒体の複数のサイズに合わせて複数の前記窪み部の位置が決まっているので、前記記録媒体のサイズが変更されても、前記窪み部の位置を変更しなくて済む。
【0015】
第9の態様に係る記録装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つにおいて、前記排出路は、前記窪み部から前記搬送方向の下流に延在されることを特徴とする。
本態様によれば、前記窪み部の前記液滴は、前記排出路を通って前記搬送方向の下流へ流れる。ここで、前記液滴が前記搬送方向の上流へ流れる構成に比べて、前記排出路を流れる前記液滴に対して、前記搬送方向に進行する前記記録媒体の周囲からの風圧による抵抗力が作用し難くなるので、前記排出路において前記液滴を流れ易くすることができる。
【0016】
第10の態様に係る記録装置は、第9の態様において、前記支持面は、水平方向に沿って配置され、前記窪み部の第1底面及び前記排出路の第2底面は、それぞれ前記搬送方向の下流に向かうほど鉛直方向の位置が低くなるように傾斜されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1底面及び前記第2底面が前記鉛直方向の下方に向けて傾斜されているので、前記液滴が、自重の作用により前記窪み部及び前記排出路を流れ易くすることができる。
【0017】
第11の態様に係る記録装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つにおいて、前記窪み部の前記搬送方向の下流端に位置する壁面は、前記搬送方向の下流に向かうほど鉛直方向の位置が高くなる斜面であることを特徴とする。
本態様によれば、前記搬送方向の下流へ搬送される前記記録媒体の下流端部の一部が、前記壁面と接触した場合、前記壁面が、前記鉛直方向の上方に向けて傾斜した斜面となっているので、前記壁面と接触した前記記録媒体の下流端部の一部は、前記斜面によって上方に案内される。これにより、前記壁面が前記鉛直方向に沿って配置される構成に比べて、前記記録媒体の下流端部の一部が前記壁面に引っ掛かることを抑制できる。
【0018】
第12の態様に係る記録装置は、第1の態様から第11の態様のいずれか1つにおいて、前記排出路の前記搬送方向の上流端部における前記幅方向の外端に位置する内壁面は、前記窪み部に向けて前記排出路の前記幅方向の幅が広がるように傾斜した傾斜面を有する、ことを特徴とする。
本態様によれば、前記排出路の流路面積が、前記窪み部に近い位置ほど大きくなるので、前記窪み部から前記排出路へ前記液滴を流れ易くすることができる。さらに、前記傾斜面が形成されていることで、前記窪み部の前記搬送方向の下流端部では、前記記録媒体の前記搬送方向の下流端部と接触する部分の面積が小さくなるので、搬送される前記記録媒体が、前記窪み部の一部又は前記排出路の一部に引っ掛かることを抑制できる。
【0019】
以下、本発明の記録装置の一例について具体的に説明する。
各図においてX軸に沿ったX方向は、後述するプリンター10の装置幅方向且つ記録媒体の幅方向の一例である。-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て左方向となり、+X方向は右方向となる。
Y軸に沿ったY方向はプリンター10の装置奥行き方向の一例である。+Y方向は装置背面から前面に向かう方向であり、且つ後述する用紙P及びロール紙PRのプラテン30における搬送方向の一例である。-Y方向は装置前面から背面に向かう方向である。X方向及びY方向は、水平方向である。
Z軸に沿ったZ方向はプリンター10の装置高さ方向且つ鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方である。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。
用紙Pは、記録媒体の一例である。以後の説明では、用紙Pについて、ロール状態のものをロール紙PRとし、切断されたシート状のものを単票紙PSとして区別する。
【0020】
〔実施形態1〕
図1には、実施形態1における記録装置の一例としてのプリンター10が示される。プリンター10に対する+Y方向には、単票紙PSが積載される不図示の積載装置が設けられる。
プリンター10は、直方体形状の筐体12を有する。また、プリンター10は、一例として、A4サイズからA0サイズまでの大きさの用紙Pに印刷が可能なインクジェット方式のプリンターとして構成される。プリンター10では、普通紙も写真用紙も記録が可能である。
【0021】
具体的には、プリンター10は、筐体12の内部において、収納部14と、搬送部16と、記録部18と、切断部22と、排出ユニット24と、制御部26と、プラテン30と、プラテン30に設けられた、窪み部42、44、46と、排出部72(
図2参照)とを備える。
【0022】
筐体12は、筐体12の+Y方向の壁部を構成する側壁13を有する。側壁13には、Y方向に貫通する排出口19が形成される。排出口19は、プリンター10において使用可能な全ての用紙Pが通過可能な大きさを有する。
収納部14は、X方向に沿った中心軸周りに回転されるロール紙PRを収納する。
搬送部16は、複数の搬送ローラー対17を有する。また、搬送部16は、二点鎖線で示された搬送経路Kに沿って、収納部14から引き出されたロール紙PRを下流へ搬送する。
【0023】
記録部18は、搬送部16によって+Y方向に搬送されるロール紙PRに、液滴の一例としてのインクQを吐出することで記録を行う。なお、ロール紙PRは、記録部18と対向する領域において、+Y方向に搬送される。また、記録部18は、ロール紙PRに対して+Z方向に位置する。換言すると、ロール紙PRの+Z方向の上面に記録が行われる。
また、記録部18は、ロール紙PRに縁無し記録を行うことが可能である。縁無し記録とは、ロール紙PRの記録部18と対向する面の全体にインクQを吐出する記録を意味する。さらに、記録部18は、X方向の幅が異なる複数のサイズのロール紙PRに記録が可能である。
【0024】
切断部22は、記録部18により記録されたロール紙PRを切断することで単票紙PSを形成する。
排出ユニット24は、切断部22より下流に配置された支持台25と、排出ローラー対28とを有する。支持台25は、単票紙PSを支持すると共に排出口19へ単票紙PSを案内する。排出ローラー対28は、切断された単票紙PSを支持台25に送り込む。排出口19から排出された単票紙PSは、不図示の積載装置へ搬送される。
制御部26は、プリンター10の各部の動作を制御する。
【0025】
次にプラテン30、窪み部42、44、46及び排出部72などについて説明する。
プラテン30は、記録部18に対向して配置され、X方向に延在される。また、プラテン30は、支持部材の一例であり、ロール紙PRを支持する支持面32を有する。プラテン30は、中空の角筒状に形成されており、不図示の排気部によって排気されることで、内部が負圧室とされる。プラテン30のX方向の長さは、ロール紙PRのX方向の長さよりも長い。
支持面32は、X-Y面に沿って配置される。換言すると、支持面32は、水平方向に沿って配置される。
【0026】
図2に示されるように、支持面32は、窪み部42、44、46と、吸引部62と、排出部72とが設けられる。
窪み部42、44、46は、記録部18(
図1)から吐出されたインクQを受容する。
窪み部42は、プラテン30の+X方向の端部に設けられ、支持面32から-Z方向に窪む。X方向において窪み部42が設けられた領域は、ロール紙PRの+X方向の端が位置する基準位置Aを含む。換言すると、窪み部42は、支持面32において、ロール紙PRのX方向の一端が位置する基準位置Aに設けられる。
図2では、X方向の基準位置Aが一点鎖線Aで示される。
【0027】
窪み部44は、窪み部42に対して-X方向に離れた位置に設けられ、支持面32から-Z方向に窪む。X方向において窪み部44が設けられた領域は、小サイズのロール紙PRの-X方向の端が位置する紙端位置Bを含む。なお、窪み部44は、一例として、Y方向に沿った不図示の線を中心にして、窪み部42と線対称の構成とされる。このため、窪み部42の具体的な構造について説明し、窪み部44の具体的な構造の説明は省略する。
図2では、X方向の紙端位置B、Cが一点鎖線B、Cで示される。
【0028】
窪み部46は、窪み部44に対して-X方向に離れた位置に設けられ、支持面32から-Z方向に窪む。X方向において窪み部46が設けられた領域は、中サイズのロール紙PRの-X方向の端が位置する紙端位置Cを含む。なお、窪み部46は、一例として、Y方向に沿った不図示の線を中心にして、窪み部42と線対称の構成とされる。このため、窪み部44と同様に、窪み部46の具体的な構造の説明は省略する。
上記の通り、窪み部42、44、46のうち、基準位置A以外の位置に設けられる窪み部44、46は、ロール紙PRのX方向における他方、即ち-X方向の端部の位置に合わせて設けられる。
【0029】
図3に示されるように、窪み部42は、+Z方向から見て、Y方向の寸法がX方向の寸法より長い矩形状に形成される。窪み部42におけるX方向の両端に位置する端辺のうち、-X方向となる内側に位置する端辺を第1端辺42Aと称する。換言すると、第1端辺42Aは、X方向において、窪み部42におけるロール紙PRの内側寄りに位置する。第1端辺42Aは、Y方向に沿って延びる。
プラテン30における窪み部42が設けられた領域S1は、X方向において記録部18(
図1)がロール紙PRに記録を行う記録領域G1の一部を含み、且つX方向においてロール紙PRの両端より外側の非記録領域G2の一部を含む。なお、窪み部42のX方向の幅に相当する長さをLAとする。また、窪み部42のY方向における長さは、記録部18が液滴を吐出する領域の長さより長い。
【0030】
図5に示されるように、窪み部42は、第1底面43と、内壁45とを有する。
第1底面43は、窪み部42と同様の形状を有する。第1底面43には、+Z方向に直立するリブ状の縦壁47が複数形成される。窪み部42において、縦壁47は、一例として、X方向に間隔をあけて9つ形成される。縦壁47のZ方向の高さに相当する長さは、窪み部42のZ方向の深さに相当する長さより短い。換言すると、縦壁47の+Z方向の端面は、支持面32より低い位置にある。
ここで、内壁45と縦壁47との間、及び隣り合う2つの縦壁47の間を溝部52とする。つまり、窪み部42は、一例として、10本の溝部52を有する。
【0031】
溝部52は、Y方向に沿って延在され且つX方向に並ぶ。溝部52の1本当たりのX方向の幅に相当する第1長さL1は、隣り合う溝部52のX方向の間隔に相当する第2長さL2より短く設定される。換言すると、溝部52の1本当たりのX方向の幅は、縦壁47の1つ当たりのX方向の幅より小さい。10本の溝部52は、窪み部42のY方向の下流端においてX方向に互いに接続され、且つ後述する排出部72(
図3)と接続される。10本の溝部52がX方向に接続された部位を合流部53(
図4)と称する。
【0032】
図4に示されるように、一例として、10本の溝部52のうち-X方向の端部に位置する3本の溝部52は、窪み部42のY方向の下流端において、合流部53を介して、後述する3本の溝部76と接続される。また、3本の溝部52と3本の溝部76とは、Y方向に直線状に並ぶ。換言すると、3本の溝部52と3本の溝部76との間は、合流部53によってY方向に分断される。これにより、3本の溝部52に対して+X方向に位置する7本の溝部52を流れたインクQが、合流部53において-X方向に流れ易くなり、7本の溝部52の+Y方向の端部に滞留することが抑制される。
なお、合流部53における+Y方向の部位には、壁面の一例としての斜面56が形成される。
【0033】
図6に示されるように、斜面56は、窪み部42のY方向の下流端に位置する。また、斜面56は、Y方向の下流に向かうほどZ方向の位置が高くなる。
第1底面43は、Y方向の下流に向かうほどZ方向の位置が低くなるように傾斜される。
図6では、水平面Mが一点鎖線Mで示される。一例として、第1底面43と水平面Mとが成す第1角度θ1は、斜面56と水平面Mとが成す第2角度θ2より小さい。
【0034】
図3に示されるように、プラテン30は、X方向における窪み部42より内側に吸引部62が設けられる。
吸引部62は、一例として、第1吸引室64と、第2吸引室65と、第3吸引室66と、第4吸引室67とを有する。そして、吸引部62は、プラテン30に支持されるロール紙PRを吸引する。
【0035】
第1吸引室64は、窪み部42に対する-X方向に配置され、窪み部42と隣り合う。第1吸引室64のY方向の長さは、窪み部42のY方向の長さより短い。また、第1吸引室64は、支持面32から-Z方向に窪む。第1吸引室64には、2つのリブ64Aと、3つの吸引口64Bとが形成される。3つの吸引口64Bは、プラテン30の内部と連通されており、空気が流入する。
【0036】
第2吸引室65は、第1吸引室64に対する-X方向に複数配置される。第2吸引室65のY方向の長さは、第1吸引室64のY方向の長さとほぼ等しい。また、第2吸引室65は、支持面32から-Z方向に窪む。第2吸引室65には、3つのリブ65Aと、2つの吸引口65Bとが形成される。2つの吸引口65Bは、プラテン30の内部と連通されており、空気が流入する。
【0037】
第3吸引室66は、第1吸引室64に対する+Y方向に配置され、合流部53及び後述する排出部72と-X方向に隣り合う。第3吸引室66のY方向の長さは、第1吸引室64のY方向の長さより短い。また、第3吸引室66は、支持面32から-Z方向に窪む。第3吸引室66には、1つのリブ66Aと、2つの吸引口66Bとが形成される。2つの吸引口66Bは、プラテン30の内部と連通されており、空気が流入する。また、2つの吸引口66Bは、第3吸引室66のX方向の中央より+X方向にずれて配置される。これにより、ロール紙PRの+X方向の端部の浮きを抑制する。
【0038】
第4吸引室67は、第3吸引室66に対する-X方向に複数配置される。第4吸引室67のY方向の長さは、第3吸引室66のY方向の長さとほぼ等しい。また、第4吸引室67は、支持面32から-Z方向に窪む。第4吸引室67には、1つのリブ67Aと、2つの吸引口67Bとが形成される。2つの吸引口67Bは、プラテン30の内部と連通されており、空気が流入する。また、2つの吸引口67Bは、第4吸引室67のX方向の中央に配置される。
【0039】
排出部72は、支持面32から-Z方向に窪んだ部位である。また、排出部72は、窪み部42の+Y方向且つ-X方向に位置する部位に接続され、窪み部42からY方向の下流に延在される。さらに、排出部72は、排出路の一例であり、窪み部42のインクQを+Y方向に沿って排出する。
排出部72は、X方向の幅に相当する長さLBが、既述の長さLAより短い。換言すると、排出部72のX方向の幅は、窪み部42のX方向の幅より狭い。排出部72は、X方向の位置がロール紙PRの+X方向の端部の位置より内側に配置される。
排出部72におけるX方向の両端に位置する端辺のうち、-X方向となる内側に位置する端辺を第2端辺72Aと称する。換言すると、第2端辺72Aは、X方向において、排出部72におけるロール紙PRの内側寄りに位置する。第2端辺72Aは、Y方向に沿って延びる。また、第2端辺72Aは、第1端辺42Aの延長線上に、第1端辺42Aと連続して配置される。
換言すると、排出部72の-X方向の端部の位置と、窪み部42の-X方向の端部の位置とが揃っている。
【0040】
図4に示されるように、排出部72は、第2底面73と、内壁75とを有する。
第2底面73には、+Z方向に直立するリブ状の縦壁74が、複数形成される。排出部72において、縦壁74は、一例として、X方向に間隔をあけて2つ形成される。縦壁74のZ方向の高さに相当する長さは、排出部72のZ方向の深さに相当する長さより短い。換言すると、縦壁74の+Z方向の端面は、支持面32より低い位置にある。
【0041】
内壁75と縦壁74との間、及び隣り合う2つの縦壁74の間を溝部76とする。つまり、排出部72は、一例として、3本の溝部76を有する。
溝部76は、Y方向に沿って延在され且つX方向に並ぶ。溝部76の1本当たりのX方向の幅に相当する長さは、一例として、溝部52の1本当たりの第1長さL1(
図5)と等しい。3本の溝部76は、合流部53を介して3本の溝部52とY方向に接続される。
【0042】
図7に示されるように、排出部72の第2底面73は、Y方向の下流に向かうほどZ方向の位置が低くなるように傾斜される。一例として、第2底面73と水平面Mとが成す第3角度θ3は、既述の第1角度θ1(
図6)とほぼ同じ大きさである。
【0043】
図3に示されるように、支持面32において、窪み部42に対する+Y方向且つ排出部72に対する+X方向に位置する部位は、+Z方向から見て四角形状の補助部78とされる。補助部78の+Z方向の上面78Aは、支持面32と同じ高さにあり、支持面32と繋がる。補助部78には、一例として、凹部79が形成される。凹部79は、支持面32から-Z方向に窪んだ部位である。
補助部78のX方向の中央より-X方向に位置する上面78Aは、ロール紙PRを支持可能である。つまり、補助部78は、窪み部42を通って+Y方向に搬送されるロール紙PRの+X方向の端部を支持することで、プラテン30におけるロール紙PRの支持を補助する機能を有する。
【0044】
次に、実施形態1のプリンター10の作用について説明する。なお、プリンター10の各構成については、
図1から
図7までを参照するものとして、個別の図番の記載を省略する。
【0045】
プリンター10によれば、プラテン30において、排出部72のX方向の幅が窪み部42のX方向の幅より狭いことで、排出部72よりX方向の外側の部位となる補助部78を、ロール紙PRを支持する部位として使用できる。これにより、ロール紙PRのX方向の端部が、窪み部42及び排出部72へ垂れ下がることを抑制できる。
さらに、プラテン30におけるロール紙PRに対して-Z方向、即ち下側に配置される部位では、排出部72の第2端辺72Aが、窪み部42の第1端辺42Aの延長線上に第1端辺42Aと連続して配置されることで、窪み部42から排出部72までの経路が直線状となる。これにより、窪み部42のインクQが、排出部72を通して外側へ排出され易くなる。
このように、ロール紙PRのX方向の端部の垂れ下がりが抑制されると共に窪み部42のインクQが排出され易くなることで、ロール紙PRの-Z方向の裏面のインクQによる汚れを抑制できる。
【0046】
プリンター10によれば、吸引部62がX方向における窪み部42より内側においてロール紙PRを吸引することで、プラテン30上のロール紙PRの浮きが抑制され、ロール紙PRの姿勢が安定するので、窪み部42に対するロール紙PRのX方向の端部位置がずれることを抑制できる。なお、吸引口64Bに最も近い窪み部42の一部及び排出部72の一部は、+Y方向に直線状に形成されており、インクQが排出され易いので、インクQが吸引口64Bへ流れることを抑制できる。
プリンター10によれば、ロール紙PRのX方向の端部が、プラテン30上においてX方向の内側へずれることがあっても、記録領域G1の一部に設けられた窪み部42が、インクQを受容するので、インクQが支持面32に沿って拡散されることを抑制できる。
【0047】
プリンター10によれば、溝部52、76を有さない構成に比べてインクQが流れる流路の断面積が小さくなることで、毛細管現象が生じ易くなるので、窪み部42のインクQを+Y方向に流し易くすることができる。
プリンター10によれば、窪み部42のうち+Y方向に排出部72が存在しない部位、即ち、7本の溝部52において流れたインクQは、合流部53を通って排出部72へ流れる。これにより、窪み部42の+Y方向の端部において行き場をなくしたインクQが溢れることを防ぐことができる。
【0048】
プリンター10によれば、溝部52のX方向の幅を狭く設定することで、溝部52におけるインクQの毛細管現象が生じ易くなるので、インクQを+Y方向に流しやすくすることができる。
プリンター10によれば、ロール紙PRのサイズが変更されることがあっても、窪み部42が基準位置Aに位置しているので、窪み部42の位置を変更しなくて済む。
【0049】
プリンター10によれば、ロール紙PRの複数のサイズに合わせて窪み部42、44、46の位置が決まっているので、ロール紙PRのサイズが変更されても、窪み部42、44、46の位置を変更しなくて済む。
プリンター10によれば、窪み部42のインクQは、排出部72を通ってY方向の下流へ流れる。ここで、インクQがY方向の上流へ流れる構成に比べて、排出部72を流れるインクQに対して、+Y方向に進行するロール紙PRの周囲からの風圧による抵抗力が作用し難くなるので、排出部72においてインクQを流れ易くすることができる。
【0050】
プリンター10によれば、プラテン30がX-Y面に沿って配置された状態において、第1底面43及び第2底面73がZ方向の下方に向けて傾斜されているので、インクQが、自重の作用により窪み部42及び排出部72を流れ易くすることができる。
プリンター10によれば、Y方向の下流へ搬送されるロール紙PRの下流端部の一部が斜面56と接触した場合、斜面56が、Z方向の上方に向けて傾斜した斜面となっているので、斜面56と接触したロール紙PRの下流端部の一部は、斜面56によって上方に案内される。これにより、斜面56がZ方向に沿って配置される構成に比べて、ロール紙PRの下流端部の一部が斜面56に引っ掛かることを抑制できる。
【0051】
[実施形態2]
次に、記録装置の一例である実施形態2のプリンター80について、添付図面を参照して説明する。なお、プリンター10と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
図8には、プリンター80のプラテン82の一部が示される。プリンター80は、プリンター10(
図1)において、プラテン30に代えてプラテン82を備える構成とされる。プラテン82以外の構成は、プリンター10と同様の構成である。
【0053】
プラテン82は、プラテン30(
図1)において、補助部78の一部に傾斜面84が形成された点が異なる。他の構成は、プラテン30と同様である。
+Z方向から見て、補助部78の外周部には、斜面56と、傾斜面84と、+X方向の内壁75とが形成される。+X方向の内壁75は、内壁面の一例であり、排出部72のY方向の上流端部におけるX方向の外端に位置する。
【0054】
傾斜面84は、窪み部42に向けて排出部72のX方向の幅が広がるように傾斜される。具体的には、傾斜面84は、補助部78の-X方向且つ-Y方向の位置に形成される。また、傾斜面84は、+X方向の端部が-X方向の端部に対して-Y方向に位置するように傾斜される。+Z方向から見て、傾斜面84のX方向に対する傾斜角度は、一例として、45°程度である。
傾斜面84が形成されていることにより、プラテン30における傾斜面84に対する-X方向且つ-Y方向の位置には、空間部86が形成される。空間部86は、+Z方向から見て、三角形状に形成される。
【0055】
次に、実施形態2のプリンター80の作用について説明する。
プリンター80によれば、排出部72のX-Z面における流路面積が、窪み部42に近い位置ほど大きくなるので、窪み部42から排出部72へインクQを流れ易くすることができる。さらに、傾斜面84が形成されていることで、窪み部42の+Y方向の下流端部では、ロール紙PRの+Y方向の下流端部と接触する部分である斜面56の面積が、プラテン30に比べて小さくなるので、搬送されるロール紙PRが、窪み部42の一部又は排出部72の一部に引っ掛かることを抑制できる。
この場合、合流部53は、傾斜面84の延在方向に沿って設けられても良い。
【0056】
図9には、実施形態2に対する変形例1のプリンター80が示される。変形例1のプリンター80は、プラテン90を備える。プラテン90は、プラテン82(
図8)に対して、複数の縦壁47のY方向の長さが異なる。窪み部42において、中央に対する-X方向に位置する複数の縦壁47は、-X方向に位置するものほどY方向の長さが長い。これにより、Y方向に並ぶ縦壁47と縦壁74との間となる合流部91は、傾斜面84の延在方向に沿った流路を形成する。矢印は、一部のインクQの流れを表す。
【0057】
図10には、実施形態2に対する変形例2のプリンター80が示される。変形例2のプリンター80は、プラテン92を備える。プラテン92は、プラテン82(
図8)に対して、複数の縦壁47のY方向の長さが異なる。窪み部42において、中央に対する-X方向に位置する複数の縦壁47の一部は、傾斜面84まで延びる。複数の縦壁47の他の一部と縦壁74との間となる合流部93は、傾斜面84の+Y方向の端部位置からX方向に沿って延びる流路を形成する。矢印は、一部のインクQの流れを表す。
【0058】
図11には、実施形態2に対する変形例3のプリンター80が示される。変形例3のプリンター80は、プラテン94を備える。プラテン94は、プラテン82(
図8)に対して、複数の縦壁47のY方向の長さが異なる。複数の縦壁47は、-X方向に位置するものほどY方向の長さが長い。また、プラテン94は、傾斜面84(
図8)に代えて傾斜面96を備える。傾斜面96は、傾斜面84より傾斜方向の長さが長い。Y方向に並ぶ縦壁47と縦壁74との間となる合流部95は、傾斜面96の延在方向に沿った流路を形成する。矢印は、一部のインクQの流れを表す。
【0059】
本発明の実施形態1、2に係るプリンター10、80は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0060】
プリンター10、80において、吸引部62が設けられていなくてもよい。吸引部62において、吸引口の数は、実施形態1において説明した数以外の数であってもよい。
窪み部42において、溝部52の数は、実施形態1において説明した数以外の数であってもよい。窪み部42に溝部52が設けられていなくてもよい。同様に、排出部72において、溝部76の数は、実施形態1において説明した数以外の数であってもよい。排出部72に溝部76が設けられていなくてもよい。
【0061】
複数の溝部52は、窪み部42のY方向の下流端において、X方向に接続されなくてもよい。第1長さL1を第2長さL2以上の長さとしてもよい。
窪み部42は、基準位置Aに設けられなくてもよい。つまり、用紙Pの配置方式は、+X方向又は-X方向に用紙Pを寄せて配置するサイドレジスト方式に限らず、装置のX方向の中央と用紙Pの中央とを揃えるセンターレジスト方式とすることも可能である。
窪み部44、46のように-X方向に配置される窪み部の数は、1つ又は3つ以上あってもよい。
【0062】
排出部72は、窪み部42からY方向の上流に延在されてもよい。
支持面32は、水平方向に対して交差する方向に沿って配置されてもよい。この場合、第1底面43及び第2底面73は、支持面32の傾斜方向に対して交差する方向であり且つインクQが自重により流れる方向に傾斜されればよい。
斜面56を+Z方向に直立する壁面としてもよい。
傾斜面84は、窪み部42の+X方向の端部まで延びてもよい。また、傾斜面84に代えて、補助部78に曲面を形成してもよい。
記録部18は、シリアル方式の記録ヘッド、ラインヘッドのどちらであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…プリンター、12…筐体、13…側壁、14…収納部、16…搬送部、
17…搬送ローラー対、18…記録部、19…排出口、22…切断部、
24…排出ユニット、25…支持台、26…制御部、28…排出ローラー対、
30…プラテン、32…支持面、42…窪み部、42A…第1端辺、43…第1底面、
44…窪み部、45…内壁、46…窪み部、47…縦壁、52…溝部、53…合流部、
56…斜面、62…吸引部、64…第1吸引室、64A…リブ、64B…吸引口、
65…第2吸引室、65A…リブ、65B…吸引口、66…第3吸引室、66A…リブ、
66B…吸引口、67…第4吸引室、67A…リブ、67B…吸引口、72…排出部、
72A…第2端辺、73…第2底面、74…縦壁、75…内壁、76…溝部、
78…補助部、78A…上面、79…凹部、80…プリンター、82…プラテン、
84…傾斜面、86…空間部、90…プラテン、91…合流部、92…プラテン、
93…合流部、94…プラテン、95…合流部、96…傾斜面、A…基準位置、
B…紙端位置、C…紙端位置、G1…記録領域、G2…非記録領域、K…搬送経路、
L1…第1長さ、L2…第2長さ、LA…長さ、LB…長さ、M…水平面、Q…インク、
S1…領域、θ1…第1角度、θ2…第2角度、θ3…第3角度