(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】洗面装置
(51)【国際特許分類】
A47K 1/02 20060101AFI20241008BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241008BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A47K1/02 C
G06T7/00 660A
G01B11/00 H
(21)【出願番号】P 2021001476
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/225756(WO,A1)
【文献】特開2011-015892(JP,A)
【文献】特表2019-512847(JP,A)
【文献】実開昭63-019335(JP,U)
【文献】特開2019-165851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側から入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーと、
上記ハーフミラーの後方に配置されたライトと、
上記ライトを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる移動装置及び当該ライトの照射向きを変更させる変更装置の少なくとも一方の装置を含む可動装置と、
上記ハーフミラーの前方を検知領域とし、検出情報を出力するセンシング装置と、
上記検出情報が入力され、かつ上記可動装置の駆動を制御するコントローラと、を備え、
上記可動装置は、上記移動装置及び上記変更装置を有し、
上記コントローラは、
上記検出情報に基づいて、人の口の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、
上記位置情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能に上記可動装置を駆動する駆動処理と、を実行し、
上記取得処理において、上記検出情報に基づいて、人の顔の輪郭の位置を示す第1輪郭情報を取得し、当該第1輪郭情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能である照射角度を示す角度情報を取得し、
上記駆動処理において、上記位置情報及び角度情報に基づいて、上記可動装置を駆動する洗面装置。
【請求項2】
前面側から入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーと、
上記ハーフミラーの後方に配置されたライトと、
上記ライトを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる移動装置及び当該ライトの照射向きを変更させる変更装置の少なくとも一方の装置を含む可動装置と、
上記ハーフミラーの前方を検知領域とし、検出情報を出力するセンシング装置と、
上記検出情報が入力され、かつ上記可動装置の駆動を制御するコントローラと、
頭の長さを示す長さ情報を記憶するメモリと、を備え、
上記センシング装置は、
上記検知領域を撮像し、第1撮像情報を出力する第1カメラを有し、
上記コントローラは、
上記検出情報に基づいて、人の口の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、
上記位置情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能に上記可動装置を駆動する駆動処理と、を実行し、
上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて上記位置情報を取得し、
上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて人の顔の輪郭の位置を示す第1輪郭情報を取得し、当該第1輪郭情報に基づいて、顔の輪郭の下端の位置と顔の輪郭の左右方向における中央の位置との左右方向に沿った距離を取得し、上記長さ情報及び当該距離より上記ライトが人の口に光を照射可能である照射角度を示す角度情報を取得し、
上記駆動処理において、上記角度情報に基づいて、上記変更装置を駆動する洗面装置。
【請求項3】
前面側から入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーと、
上記ハーフミラーの後方に配置されたライトと、
上記ライトを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる移動装置及び当該ライトの照射向きを変更させる変更装置の少なくとも一方の装置を含む可動装置と、
上記ハーフミラーの前方を検知領域とし、検出情報を出力するセンシング装置と、
上記検出情報が入力され、かつ上記可動装置の駆動を制御するコントローラと、を備え、
上記センシング装置は、
上記検知領域を撮像し、第1撮像情報を出力する第1カメラと、
上記ハーフミラーの後方に配置され、レーザ光を照射し、レーザ光の反射光に基づき距離を測定し、距離情報を出力する距離測定装置と、を有し
、
上記距離測定装置を上下方向及び左右方向に沿って移動させる移動機構をさらに備え、
上記コントローラは、
上記検出情報に基づいて、人の口の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、
上記位置情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能に上記可動装置を駆動する駆動処理と、を実行し、
上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて上記位置情報を取得し、
上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて口の輪郭を示す第2輪郭情報を取得し、当該第2輪郭情報に基づいて、口の最も上方及び下方に位置する2点の上下方向における中央、及び口の最も左方及び右方に位置する2点の左右方向における中央の座標を示す上記位置情報を取得し、上記位置情報が示す位置と対向する上記移動機構上の位置に上記距離測定装置を移動し、上記距離情報を取得する洗面装置。
【請求項4】
前面側から入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーと、
上記ハーフミラーの後方に配置されたライトと、
上記ライトを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる移動装置及び当該ライトの照射向きを変更させる変更装置の少なくとも一方の装置を含む可動装置と、
上記ハーフミラーの前方を検知領域とし、検出情報を出力するセンシング装置と、
上記検出情報が入力され、かつ上記可動装置の駆動を制御するコントローラと、
上記ハーフミラーの後方に配置され、第2撮像情報を出力する第2カメラと、
ディスプレイと、を備え、
上記可動装置は、上記ライト及び上記第2カメラを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる上記移動装置及び、上記第2カメラの撮像向きを変更させる装置の少なくとも一方の装置を含んでおり、
上記コントローラは、
上記検出情報に基づいて、人の口の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、
上記位置情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能に上記可動装置を駆動する駆動処理と、
上記駆動処理において、上記位置情報に基づいて、上記第2カメラが人の口を撮像可能に上記可動装置を駆動する処理と、
上記第2カメラから上記第2撮像情報を取得し、上記第2撮像情報で示される画像を上記ディスプレイに表示させる表示処理と、を実行する洗面装置。
【請求項5】
前面側から入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーと、
上記ハーフミラーの後方に配置されたライトと、
上記ライトを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる移動装置及び当該ライトの照射向きを変更させる変更装置の少なくとも一方の装置を含む可動装置と、
上記ハーフミラーの前方を検知領域とし、検出情報を出力するセンシング装置と、
上記検出情報が入力され、かつ上記可動装置の駆動を制御するコントローラと、を備え、
上記コントローラは、
上記検出情報に基づいて、人の口の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、
上記位置情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能に上記可動装置を駆動する駆動処理と、を実行し、
上記ハーフミラーは、後面が上下方向及び左右方向に沿って拡がる矩形の平板形状であって、
上記移動装置は、上記ライトを上記上下方向及び上記左右方向に沿って移動させる洗面装置。
【請求項6】
上記センシング装置は、
上記検知領域を撮像し、第1撮像情報を出力する第1カメラを有し、
上記コントローラは、
上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて上記位置情報を取得する請求項1、4または5に記載の洗面装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、洗面ボウルと、水栓と、洗面ボウルの奥側に立設した鏡と、当該鏡に取り付けられた照明器具と、当該照明器具を当該鏡の上下方向に移動可能な昇降手段と、を備える洗面化粧台を開示する。当該照明器具は、当該鏡の手前側において使用者が上下動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、洗面台では、鏡と照明器具が設けられているものがある。ユーザが洗面台の前で歯を磨くとき等、ユーザが洗面台に設けられた鏡に映る口内を見ることが考えられる。照明器具は、例えば、鏡の上端に取り付けられており、口内まで光が届かない場合があった。
【0005】
一方、特許文献1に記載の洗面化粧台によれば、照明器具の上下方向における位置を顔の前に調整することで、口内の奥まで光を届かせることができる。しかしながら、ユーザが歯ブラシなどを持ちつつ照明器具を操作する必要があり、使い難さがあった。また、ユーザの顔の位置や角度が変わると、照明器具を操作し直す必要があった。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、人の口に光を照射できる使いやすい洗面装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る洗面装置は、前面側から入射した光の一部を透過し、一部を反射するハーフミラーと、上記ハーフミラーの後方に配置されたライトと、上記ライトを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる移動装置及び当該ライトの照射向きを変更させる変更装置の少なくとも一方の装置を含む可動装置と、上記ハーフミラーの前方を検知領域とし、検出情報を出力するセンシング装置と、上記検出情報が入力され、かつ上記可動装置の駆動を制御するコントローラと、を備える。上記コントローラは、上記検出情報に基づいて、人の口の位置を示す位置情報を取得する取得処理と、上記位置情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能に上記可動装置を駆動する駆動処理と、を実行する。
【0008】
コントローラは、位置情報に基づいてライトが人の口に光を照射可能に可動装置を駆動するため、洗面装置は、ユーザの口に光を当てることができる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記可動装置は、上記移動装置及び上記変更装置を有する。上記コントローラは、上記取得処理において、上記検出情報に基づいて、人の顔の輪郭の位置を示す輪郭情報を取得し、当該輪郭情報に基づいて、上記ライトが人の口に光を照射可能である照射角度を示す角度情報を取得し、上記駆動処理において、上記位置情報及び角度情報に基づいて、上記可動装置を駆動する。
【0010】
コントローラは、ライトが人の口に対し人の口の向きに応じた光を照射可能に上記可動装置を駆動するため、ユーザがハーフミラーに対して顔を傾けた場合でもユーザの口内に光を照射することができる。
【0011】
(3) 好ましくは、上記センシング装置は、上記検知領域を撮像し、第1撮像情報を出力する第1カメラを有する。上記コントローラは、上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて上記位置情報を取得する。
【0012】
(4) 好ましくは、頭の長さを示す長さ情報を記憶するメモリをさらに備える。上記コントローラは、上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて人の顔の輪郭の位置を示す第1輪郭情報を取得し、当該第1輪郭情報に基づいて、顔の輪郭の下端の位置と顔の輪郭の左右方向における中央の位置との左右方向に沿った距離を取得し、上記長さ情報及び当該距離法より上記ライトが人の口に光を照射可能である照射角度を示す角度情報を取得し、上記駆動処理において、上記角度情報に基づいて、上記変更装置を駆動する。
【0013】
(5) 好ましくは、上記センシング装置は、上記ハーフミラーの後方に配置され、レーザ光を照射し、レーザ光の反射光に基づき距離を測定し、距離情報を出力する距離測定装置を有する。 洗面装置は、上記距離測定装置を上下方向及び左右方向に沿って移動させる移動機構をさらに備える。上記コントローラは、上記取得処理において、上記第1撮像情報に基づいて口の輪郭を示す第2輪郭情報を取得し、当該第2輪郭情報に基づいて、口の最も上方及び下方に位置する2点の上下方向における中央、及び口の最も左方及び右方に位置する2点の左右方向における中央の座標を示す上記位置情報を取得し、上記位置情報が示す位置と対向する上記移動機構上の位置に上記距離測定装置を移動し、上記距離情報を取得する。
【0014】
(6) 好ましくは、洗面装置は、ハーフミラーの後方に配置され、第2撮像情報を出力する第2カメラと、ディスプレイと、をさらに備える。上記可動装置は、上記ライト及び上記第2カメラを上記ハーフミラーの後面に沿って移動させる上記移動装置及び、上記第2カメラの撮像向きを変更させる装置の少なくとも一方の装置を含んでいる。上記コントローラは、上記駆動処理において、上記位置情報に基づいて、上記第2カメラが人の口を撮像可能に上記可動装置を駆動する処理と、上記第2カメラから上記第2撮像情報を取得し、上記第2撮像情報で示される画像を上記ディスプレイに表示させる表示処理と、を実行する。
【0015】
ライトに照らされた口の画像をディスプレイを通じて確認することができる。
【0016】
(7) 好ましくは、上記ハーフミラーは、後面が上下方向及び左右方向に沿って拡がる矩形の平板形状である。上記移動装置は、上記ライトを上記上下方向及び上記左右方向に沿って移動させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、人の口に光を照射できる使いやすい洗面装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係る洗面装置10の構成図であって、
図1(A)は、洗面装置10の模式側面図であり、
図1(B)は、洗面装置10の模式正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る洗面装置10の機能ブロック図である。
【
図3】
図3(A)は、照射装置33が固定された移動機構34を模式的に示す斜視図であり、
図4(B)は、ブラシケース15を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4(A)は、照明装置35を模式的に示す斜視図であり、
図4(B)は、照明装置35が固定された移動装置36を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、制御プログラム25に従ったコントローラ21が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、コントローラ21が実行する第1算出処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、コントローラ21が実行する第2算出処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(A)は、顔を含む人が撮像された第1画像データの一例を示す模式図であり、
図8(B)は、人の頭と照明装置35の位置関係を示す模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。例えば、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することができる。或いは、後述の処理の一部は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜省略することができる。また、以下の説明においては、洗面装置10が使用された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、ハーフミラー31が露出する最大面を前面38として前後方向8が定義され、洗面装置10を後方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。
【0020】
[洗面装置10]
洗面装置10は、例えば、住宅等において洗面台として用いられる。
図1に示されるように、洗面装置10は、支持台11と、洗面ボウル12と、水栓13と、筐体14と、ブラシケース15と、を有する。
【0021】
図1に示されるように、支持台11は、洗面ボウル12及び筐体14を支持する。支持台11は、例えば、住宅の洗面室の床面上に配される。支持台11は、前側に箱型の収納部11Aを有する。収納部11Aは、例えば、2枚の扉が前端に設けられ、収納可能な内部空間を有する。支持台11は、後側に箱型の格納部11Bを有している。格納部11Bには、コントローラ21が内部に格納されている。
【0022】
洗面ボウル12は、公知のものを用いることができる。洗面ボウル12は、収納部11Aの上端に一部が埋め込まれて配置される。洗面ボウル12には、水栓13が取り付けられている。水栓13は、公知のものを用いることができる。水栓13は、例えば、洗面ボウル12の後端側の上面に配される。
【0023】
筐体14は、格納部11Bの上に固定される。筐体14は、略直方体形状である。筐体14は、例えば、上下方向7に沿った長さ寸法が前後方向8及び左右方向9に沿った長さ寸法より長い。筐体14は、例えば、前後方向8に沿った長さ寸法が左右方向9に沿った長寸法より短い。
図1に示されるように、筐体14は、ハーフミラー31と、カメラ32と、照射装置33と、移動機構34と、照明装置35と、移動装置36と、ディスプレイ37と、を有する。なお、カメラ32及び照射装置33は、センシング装置の一例である。
【0024】
[ハーフミラー31]
図1に示されるように、ハーフミラー31は、筐体14の前面に設けられている。ハーフミラー31は、平板形状である。ハーフミラー31は、最大面が上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる。ハーフミラー31は、例えば、前面視矩形であり、上下方向7に沿った長さ寸法が左右方向9に沿った長さ寸法より長い。ハーフミラー31は、前面へ入射した光の一部を後方へ透過し、一部を前方へ反射する。
【0025】
[カメラ32]
カメラ32は、筐体14の前面の下端に配置されている。カメラ32のレンズは、前後方向8においてハーフミラー31と同等の位置にあり、前方へ向いて露出している。カメラ32の本体は、筐体14内に位置する。カメラ32は、レンズ及び撮像素子を有し、レンズで集光された光を撮像素子で撮像する。カメラ32は、撮像した静止画像を第1画像データとして出力する。カメラ32は、洗面装置10の前方であって、カメラ32より上方の領域39を撮像する。なお、カメラ32は、第1カメラの一例である。第1画像データは、検出情報及び第1撮像情報の一例である。領域39は、検知領域の一例である。
【0026】
[照射装置33]
照射装置33は、レーザポインタ及び距離測定装置として用いられる。照射装置33は、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging Laser Imaging Detection and Ranging)と称される距離計測装置である。
図2に示されるように、照射装置33は、例えば、出射部41と、計測部42と、を有する。照射装置33は、レーザ光を計測対象物に照射し、計測対象物により反射された反射光の強度をセンサ出力に基づき時系列輝度信号に変換する。照射装置33は、レーザ光の発光の時点と、輝度信号値のピークに対応する時点との時間差に基づき、計測対象物までの距離を計測する。
【0027】
照射装置33は、レーザポインタとして用いられる場合、出射部41よりレーザ光を照射し続ける。照射装置33は、距離測定装置として用いられる場合、出射部41よりレーザ光を間欠的に照射する。このとき、照射装置33は、照射装置33から計測対象物までの距離を示す距離情報を出力する。出射部41は、照射装置33から前方に前後方向8に沿ってレーザ光を照射する。計測部42は、受光した反射光に基づき、計測対象物までの距離を計測する。
【0028】
[移動機構34]
図1及び
図3(A)に示されるように、移動機構34は、ハーフミラー31の後方において上下方向7及び左右方向9に沿って照射装置33を移動させる。移動機構34は、例えば、上下方向7に沿って延びる2本のレール45と、左右方向9に沿って延びるレール46と、照射装置33が固定される保持具47と、を有する。
【0029】
レール45は、上端が筐体14の天板の下面、下端が筐体14の底板の上面にビス等で接合されている。レール45は、筐体14の内部空間の左右方向9の中央より左右両側に配されている。レール46は、左右端がそれぞれレール45と連結されている。レール46は、レール45との間にローラを有する。レール46は、例えば、左端のローラがモータ(不図示)によって駆動され、レール45に対して摺動する。すなわち、レール46は、レール45に沿って上下方向7に移動できる。
【0030】
保持具47は、例えば、側面視コの字状に形成される。保持具47は、上面に照射装置33が固定される。照射装置33は、ハーフミラー31の後方に配置されている。
【0031】
保持具47は、レール46との間にローラ(不図示)を有する。保持具47は、例えば、ローラがモータ(不図示)によって駆動され、レール46に対して摺動する。すなわち、保持具47は、レール46に沿って左右方向9に移動できる。なお、レール46及び保持具47のモータは、直流モータや交流モータなど種々のモータを用いることができるが、例えば、ステッピングモータである。レール46及び保持具47のモータは、コントローラ21によって回転量が制御される。
【0032】
[照明装置35]
図4(A)に示されるように、照明装置35は、基部51と、回転部52と、支持部53と、スポットライト54と、カメラ55と、を有する。
【0033】
基部51は、回転部52を回転可能に支持する。基部51は、
図1及び
図4の姿勢において、最大面が上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる円盤形状である。基部51は、例えば、前面の上下方向7及び左右方向9の中央に回転部52に挿入される棒状の回転軸(不図示)が前後方向8に沿って突出している。基部51は、回転部52が基部51の回転軸の軸線周りに回転するためのパンモータ(不図示)を有する。
【0034】
回転部52は、パンシャーシ52Aと、支持部53を支持する2つのチルトシャーシ52Bと、を有する。パンシャーシ52Aは、最大面が上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる円盤形状である。パンシャーシ52Aは、基部51の回転軸が挿入される挿入孔と、基部51のパンモータの駆動力が伝達されるギアを有する。パンシャーシ52Aは、基部51のパンモータが駆動することにより、基部51の回転軸の軸線周りに回転する。
【0035】
チルトシャーシ52Bは、支持部53を回転可能に支持する。チルトシャーシ52Bは、
図1及び
図4の姿勢において、パンシャーシ52Aの前面の上端及び下端から前後方向8に沿って突出する。チルトシャーシ52Bは、前端部に上下方向7に沿った挿入孔を有する。チルトシャーシ52Bの挿入孔には、支持部53の上下方向7に沿って延びる軸53Bが挿入される。上端のチルトシャーシ52Bは、支持部53が軸53Bの軸線周りに回転するためのチルトモータを有する。
【0036】
支持部53は、スポットライト54及びカメラ55が固定される円盤状の本体53Aと、回転部52のアームと連結する軸53Bと、を有する。軸53Bは、チルトシャーシ52Bのチルトモータの回転力が伝達されるギアが設けられている。軸53Bは、本体53Aに固定されている。軸53Bは、チルトモータにより回転され、本体53Aが軸53Bの軸線周りに回転する。
【0037】
回転部52及び支持部53が回転することによって、スポットライト54の照射向き及びカメラ55の撮像向きが変更される。なお、基部51のパンモータ及び回転部52のチルトモータは、直流モータや交流モータなど種々のモータを用いることができるが、例えば、ステッピングモータである。基部51のパンモータ及び回転部52のチルトモータは、コントローラ21によって回転角度や回転量が制御される。基部51、回転部52、及び支持部53は、変更装置及び可動装置の一例である。
【0038】
スポットライト54は、直線光を照射する。スポットライト54は、公知のものが用いられるが、例えば、LEDと反射鏡を組み合わせたものが用いられる。スポットライト54は、LEDから照射された光が反射鏡によって並行光とされる。スポットライト54のON及びOFFは、コントローラ21によって制御される。なお、スポットライト54は、LEDとレンズを組み合わせられたものであって、LEDから照射された光がレンズによって並行光とされてもよい。また、スポットライト54に代えて、拡散光を照射するライトが使用されてもよい。
【0039】
カメラ55は、レンズ及び撮像素子を有しており、レンズで集光された光を撮像素子で撮像する。カメラ55は、撮像した映像を第2画像データとして出力する。カメラ55は、洗面装置10の前方であって、スポットライト54が照射する直線光が当たる領域を含む領域を撮像する。なお、カメラ55は、第2カメラの一例であり、第2画像データは、第2撮像情報の一例である。
【0040】
[移動装置36]
図1及び
図4(B)に示されるように、移動装置36は、ハーフミラー31の後側において上下方向7及び左右方向9に沿って照明装置35を移動させる。移動装置36は、例えば、移動機構34の後側であって、筐体14内に配される。移動装置36は、例えば、棒状の軸61A、61Bと、モータ62A、62Bと、矩形の枠状に配された棒状のプーリ63A、63B、63C、63Dと、ベルト64と、を有する。
【0041】
軸61Aは、プーリ63Aを支持する。軸61Bは、プーリ63Cを支持する。軸61Aは、筐体14の天板の下面にビス等で固定されている。軸61Aは、例えば、筐体14の内部空間の左右方向9の中央より右側に配されている。軸61Aは、筐体14の天板の下面から下方へ上下方向7に沿って延びる。軸61Bは、筐体14の右側の側壁の内面にビス等で固定されている。軸61Bは、例えば、筐体14の内部空間の上下方向7の中央より下側に配されている。軸61Bは、筐体14の右側の側壁の内面から左方へ左右方向9に沿って延びる。
【0042】
モータ62A、62Bは、プーリ63B、63Dを支持し、回転させる。モータ62Aは、回転軸が上下方向7に沿った姿勢で、筐体14の底板の上面にビス等で固定されている。モータ62Aは、例えば、筐体14の底板の左端側に固定されている。モータ62Bは、回転軸が左右方向9に沿った姿勢で、筐体14の左側の側壁の内面にビス等で固定されている。モータ62Bは、例えば、筐体14の側壁の上端側に固定されている。なお、モータ62A、62Bは、直流モータや交流モータなど種々のモータを用いることができるが、例えば、サーボモータである。モータ62A、62Bは、コントローラ21によって回転量が制御される。
【0043】
プーリ63A、63Bは、上下方向7に沿った姿勢である。プーリ63Aは、筐体14の内部空間の左右方向9の中央より右側に、プーリ63Bは、同左側に配されている。プーリ63Aは、軸61Aと連結している。具体的には、軸61Aは、プーリ63A内に挿入されている。プーリ63Aは、上下端にベアリング機構を有しており、軸61Aの軸線周りに回転可能とされている。プーリ63Bは、モータ62Aと連結している。具体的には、プーリ63Bの下端がモータ62Aの回転軸に固定されている。
【0044】
プーリ63C、63Dは、左右方向9に沿った姿勢である。プーリ63Cは、筐体14の内部空間の上下方向7の中央より下側に、プーリ63Dは、同上側に配されている。プーリ63Cは、軸61Bと連結している。具体的には、軸61Bは、プーリ63C内に挿入されている。プーリ63Cは、上下端にベアリング機構を有しており、軸61Bの軸線周りに回転可能とされている。プーリ63Dは、モータ62Bと連結している。具体的には、プーリ63Dの左端がモータ62Bの回転軸に固定されている。
【0045】
ベルト64は、照明装置35を支持する。ベルト64は、プーリ63A及びプーリ63Bに巻かれる第1部64Aと、プーリ63C及びプーリ63Dに巻かれる第2部64Bと、を有する。第1部64A及び第2部64Bは、平ベルト状である。第1部64Aは、左右方向9に沿った長さ寸法が上下方向7に沿った長さ寸法より長い。第2部64Bは、上下方向7に沿った長さ寸法が左右方向9に沿った長さ寸法より長い。
【0046】
第1部64Aと第2部64Bとは、移動装置36の前側と後側とで十字に交差する。第1部64Aと第2部64Bとは、前側で交差する交差部64Cにおいて繋がっている。第1部64Aと第2部64Bとは、後側において繋がっておらず、前後に重なる点を有する。交差部64Cの前面には、照明装置35が固定されている。すなわち、照明装置35は、ハーフミラー31の後方に配置されている。
【0047】
第1部64Aは、プーリ63Bの回転に従って回転する。第2部64Bは、プーリ63Dの回転に従って回転する。すなわち、交差部64Cは、第1部64Aの回転によって左右方向9に沿って移動し、第2部64Bの回転によって上下方向7に沿って移動する。交差部64Cが移動するため、照明装置35が移動する。なお、第1部64Aは、第2部64Bの回転に従って、プーリ63A、63Bに沿って上下に移動する。第2部64Bは、第1部64Aの回転に従って、プーリ63C、63Dに沿って左右に移動する。
【0048】
[ディスプレイ37]
ディスプレイ37は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、各種情報を表示する表示画面を備える。
図1に示されるように、ディスプレイ37は、例えば、ハーフミラー31の後面に密着して配置される。ディスプレイ37は、表示画面の外側のフレームが接着剤等でハーフミラー31の後面と接着されて固定されている。ディスプレイ37は、例えば、ハーフミラー31に対して、上下方向7の中央付近であって、左右方向9の中央より左側に配置される。ユーザは、ディスプレイ37に表示された各種情報をハーフミラー31を介して、ハーフミラー31の前方から視認することができる。
【0049】
[ブラシケース15]
ブラシケース15は、歯ブラシのケースとして用いられる。
図1に示されるように、ブラシケース15は、略直方体である。ブラシケース15は、例えば、左右方向9に沿った長さ寸法が上下方向7及び前後方向8に沿った長さ寸法より長い。ブラシケース15は、前後方向8に沿った長さ寸法が上下方向7に沿った長さ寸法より短い。
【0050】
図3(B)及び
図3(C)に示されるように、ブラシケース15は、ケース本体71と、反射型フォトセンサ72と、光を反射する反射部73と、を有する。ケース本体71は、例えば、ブラシケース15の内部空間を区画し、左右方向9に並ぶ4つの空間を形成する内壁と、ブラシケース15の外郭を形成する外壁と、からなる。なお、以下では、区画されたブラシケース15の4つの空間のうち、2つの空間にそれぞれ1本の歯ブラシが置かれている例について説明する。
【0051】
反射型フォトセンサ72は、例えば、ブラシケース15の後端に配されている。反射型フォトセンサ72は、発光部72Aと、受光部72Bと、を有する。発光部72Aは、反射部73に向けて光を照射する。受光部72Bは、反射部73に反射された光を受光する。反射型フォトセンサ72は、例えば、洗面装置10に設けられたハーフミラー31の上方の照明(不図示)の電源がONとされたとき、発光部72Aが間欠的に光を照射し続ける。
【0052】
反射部73は、ブラシケース15の前端であって、反射型フォトセンサ72と対向する位置に配されている。なお、反射型フォトセンサ72及び反射部73は、ケース本体71の内壁によって区画された空間毎に設けられている。
【0053】
反射型フォトセンサ72は、発光部72Aが照射した光を受光部72Bが受光したとき、ON情報を出力する。反射型フォトセンサ72は、発光部72Aが照射した光を受光部72Bが受光できなかったとき、OFF情報を出力する。反射型フォトセンサ72は、例えば、反射部73との間に歯ブラシがない場合、ON情報を出力することができる。一方、反射型フォトセンサ72は、例えば、反射部73との間に歯ブラシがある場合、受光部72Bが反射部73に反射された光を受光できないため、OFF情報を出力する。なお、反射型フォトセンサ72は、受光部72Bの受光強度に応じてOFF情報またはON情報を出力してもよい。
【0054】
[コントローラ21]
図2に示されるように、コントローラ21は、CPU22と、メモリ23と、通信バス24と、を有する。
【0055】
メモリ23は、例えば、ROMや、RAMや、EEPROMや、不図示の装着部に装着されたUSBメモリなどの可搬記憶媒体やバッファなどである。メモリ23は、制御プログラム25、第1画像データの上下方向及び左右方向の中央を示す座標の第1原点情報、第1原点情報に対応する移動機構34に固定された照射装置33の上下方向7及び左右方向9における座標の基準を示す第2原点情報、移動装置36に固定された照明装置35の上下方向7及び左右方向9における座標の基準を示す第3原点情報、下記詳述の寸法Hを示す第1寸法情報、照射装置33とスポットライト54との前後方向8に沿った距離Dを示す第2寸法情報、を記憶する。
【0056】
第2原点情報の座標と第3原点情報の座標とは、前後方向8において重なる。これにより、移動機構34における照射装置33の上下方向7及び左右方向9における座標は、移動装置36における照明装置35の上下方向7及び左右方向9における座標として用いることができる。
【0057】
第1寸法情報は、人の頭を上方から視たとき、頭の回転軸から、鼻を除く顔の先端までの顔の正面と交差する方向に沿った長さ寸法H(
図8(B)参照)を示す。寸法Hは、予め決められた固定値である。寸法Hは、例えば、頭の長さの半分の寸法とされる。頭の長さは、例えば、人の頭を上方から視たとき、鼻を除く顔及び後頭部を含んだ人の輪郭において、顔の正面と交差する方向に沿った最大の長さ寸法とする。頭の長さは、例えば、18歳以上30歳以下の男性の頭の長さの平均値と、18歳以上30歳以下の女性の頭の長さの平均値と、60歳以上の男性及び女性の頭の長さの平均値と、を平均することによって導かれる。なお、頭の長さは、別の定義や算出方法により定められてもよいことは言うまでもない。
【0058】
第2寸法情報は、例えば、照明装置33の出射部41の前端から、照明装置35の基部51の前端までの前後方向8に沿った距離D(
図8(B)参照)を示す。
【0059】
制御プログラム25は、CPU22によって実行されるプログラムであって、主に人の口に光を照射する処理を実行するプログラムである。制御プログラム25が実行する処理については、詳しくは後述される。
【0060】
通信バス24は、CPU22、メモリ23、カメラ32、照射装置33、移動機構34、照明装置35、移動装置36、ディスプレイ37及びスイッチ機構72と接続されている。すなわち、CPU22によって実行される制御プログラム25は、通信バス24を通じて、情報やデータをメモリ23から読み出し、情報やデータをメモリ23に記憶させることができ、各装置が出力した情報を取得することができ、各装置に信号を出力して各装置を動作させることができる。
【0061】
[コントローラ21の動作]
以下、
図5~
図8が参照されつつ、本実施形態に係るコントローラ21に記述された命令に従ったコントローラ21の動作が説明される。
【0062】
図5に示されるように、コントローラ21は、例えば2つの反射型フォトセンサ72からOFF情報を取得する(S11)。このとき、コントローラ21は、その他の2つの反射型フォトセンサ72からON情報を取得する。具体的には、ユーザが洗面装置10に設けられたハーフミラー31の上方の照明(不図示)の電源をONとしたことに応じて、各発光部72Aが光を照射し、反射部73との間に歯ブラシがある反射型フォトセンサ72がOFF情報を出力し、歯ブラシがないその他の反射型フォトセンサ72がON情報を出力する。
【0063】
コントローラ21は、いずれかのOFF情報がON情報に変わったか否かを判断する(S12)。ユーザがブラシケース15から歯ブラシを抜き取るとき、いずれかのOFF情報がON情報に変わるためである。コントローラ21は、いずれかのOFF情報がON情報に変わったか否かを判断することで、ブラシケース15から歯ブラシが抜き取られたか否かを判断することができる。
【0064】
コントローラ21は、いずれかのOFF情報がON情報に変わったと判断すると(S12:Yes)、カメラ32に駆動電力を供給して、照射装置33のキャリブレーションを実行する(S13)。キャリブレーションでは、カメラ32が出力する第1画像データにおけるX軸座標及びY軸座標と対応する照射装置33の移動機構34におけるX軸座標及びY軸座標を取得する。コントローラ21は、例えば、予め決められた第1画像データにおけるX軸座標及びY軸座標に対して照射装置33がレーザ光を照射する処理を実行する。このとき、照射装置33は、レーザポインタとして用いられる。コントローラ21は、照射装置33が照射したレーザ光の第1画像データにおけるX軸座標及びY軸座標と予め決められた第1画像データにおけるX軸座標及びY軸座標との誤差を補正する。コントローラ21は、第2原点情報及び第3原点情報と第1原点情報との誤差を補正する。
【0065】
コントローラ21は、いずれかのOFF情報がON情報に変わるか、或いはON情報及びOFF情報が取得できなくなるまで、いずれかのOFF情報がON情報に変わったか否かを判断する(S12:No)。
【0066】
コントローラ21は、キャリブレーションを実行したことに応じて、カメラ32から第1画像データを取得する(S14)。コントローラ21は、第1画像データに対してフェイストラッキングの処理を実行する(S15)。歯ブラシを抜き取った人が洗面装置10の前方にいるので、第1画像データには、その人の顔が含まれる。したがって、フェイストラッキングにより、その人の顔の輪郭を検出する(S15)。
図7(B)に示されるように、人の顔の輪郭の検出では、X軸座標及びY軸座標で表される点が顔の輪郭線上に複数配される。
【0067】
図5に示されるように、コントローラ21は、顔の輪郭を検出したか否かを判断する(S16)。コントローラ21は、顔の輪郭を検出したと判断すると(S16:Yes)、フェイストラッキングの処理を実行して口の輪郭を検出する(S17)。
図7(B)に示されるように、人の口の輪郭の検出では、X軸座標及びY軸座標で表される点が顔及び口の輪郭線上に複数配される。コントローラ21は、検出した人の顔の輪郭を示す第1輪郭情報及び人の口の輪郭を示す第2輪郭情報をメモリ23に記憶する。第1輪郭情報及び第2輪郭情報は、例えば、各輪郭線上の点のX軸座標及びY軸座標と、輪郭線が結ばれる点の順と、で構成されることができる。なお、第1輪郭情報は、輪郭情報の一例である。
【0068】
コントローラ21は、顔の輪郭を検出しなかったと判断すると(S16:No)、再びカメラ32から第1画像データを取得する(S14)。
【0069】
コントローラ21は、口の輪郭を検出したことに応じて、第1画像データの左右方向に沿ったX軸及び上下方向に沿ったY軸における口の中心の第1座標を算出する(S18)。具体的には、コントローラ21は、メモリ23から第1原点情報を取得する。
図7(B)に示されるように、コントローラ21は、第1原点情報を基準とし、口の輪郭の最も上方に位置する点A1と最も下方に位置する点A2との中央のY軸座標を算出し、口の輪郭の最も左方に位置する点B1と最も右方に位置する点B2との中央のX軸座標を算出する。コントローラ21は、算出されたX軸座標及びY軸座標で表される点C1の座標を第1座標とする。コントローラ21は、第1座標をメモリ23に記憶する。
【0070】
図5に示されるように、コントローラ21は、第1座標を算出したことに応じて、照射装置33を移動する(S19)。具体的には、コントローラ21は、メモリ23から第1座標を取得する。コントローラ21は、第1座標を変換して第1座標と対応する移動機構34における第2座標を算出する。コントローラ21は、第2座標をメモリ23に記憶する。コントローラ21は、第2座標に基づきレール46及び保持具47のモータを駆動する。移動機構34に固定された照射装置33は、第2座標が示す位置に移動する。なお、第1座標は、第1画像データにおける口の中心位置を示す座標であるのに対して、第2座標は、照射装置33の移動範囲における第1座標に対応する位置の座標である。したがって、照射装置33が第2座標に移動されると、照射装置33の前方に第1座標で示される口の中心が位置することとなる。第1座標及び第2座標は、位置情報の一例である。
【0071】
コントローラ21は、照射装置33が第2座標へ移動したことに応じて、レーザポインタとして照射装置33の出射部41にレーザ光を照射させる(S20)。コントローラ21は、レーザ光を照射させたことに応じて、照射装置33から距離情報(寸法N:
図8(B)参照)を取得する(S21)。コントローラ21は、距離情報(寸法N:
図8(B)参照)をメモリ23に記憶する。なお、ステップS14~21は、取得処理の一例である。
【0072】
コントローラ21は、距離情報(寸法N)を取得したことに応じて、スポットライト54の照射角度を算出する第1算出処理を実行する(S22)。
【0073】
図6に示されるように、コントローラ21は、第1算出処理において、メモリ23から第1輪郭情報を取得する(S41)。コントローラ21は、第1輪郭情報を取得したことに応じて、顔の左右方向に沿った横幅の中央を示す第3座標を算出する(S42)。
図8(A)に示されるように、具体的には、コントローラ21は、第1輪郭情報から顔の輪郭の最も左方に位置する点E1と最も右方に位置する点E2との中央のX軸座標を算出し、第3座標とする。コントローラ21は、第3座標をメモリ23に記憶する。
【0074】
図6に示されるように、コントローラ21は、第3座標を算出したことに応じて、第1輪郭情報から顔の最も下端に位置する点F1(
図8(A)参照)のX軸座標及びY軸座標の第4座標を取得する(S43)。コントローラ21は、第4座標を算出したことに応じて、第3座標と第4座標のX軸座標との差を算出する(S44)。コントローラ21は、ステップS44で算出した差を寸法L(
図8(A)参照)としてメモリ23に記憶する(S45)。
【0075】
コントローラ21は、メモリ23から寸法Hを示す第1寸法情報を取得する(S46)。コントローラ21は、寸法L及び寸法Hに基づき、寸法Hからなる直線を斜辺とし、寸法Lの絶対値からなる直線と当該斜辺との内角を角度αとする直角三角形の角度αを算出する(S47)。具体的には、コントローラ21は、cosα=寸法L/寸法Hを演算する。角度αは、左右方向9に沿った仮想直線P1(
図8(B)参照)と照明装置35のスポットライト54が光を照射する向きに沿った仮想直線P2(
図8(B)参照)とが前後方向8及び左右方向9に沿って拡がる仮想平面上において交差する角度と同一となる。
【0076】
コントローラ21は、角度αを算出したことに応じて、スポットライト54の照射角度を示す角度情報としてメモリ23に角度αを記憶する(S48)。コントローラ21は、ステップS48を実行したことに応じて、第1算出処理を終了する。
【0077】
図1に示されるように、コントローラ21は、第1算出処理を実行したことに応じて、スポットライト54の照射位置を示す第5座標を算出する第2算出処理を実行する(S23)。なお、第5座標は、照射位置情報の一例である。
【0078】
図7に示されるように、コントローラ21は、第2算出処理において、寸法Hを示す第1寸法情報、寸法Nを示す距離情報、距離Dを示す第2寸法情報及び寸法Lをメモリ23から取得する(S51)。コントローラ21は、寸法H、寸法N、距離D、寸法Lに基づき、第2座標のX軸座標とスポットライト54の照射位置のX軸座標との差を示す寸法Lo(
図8(B)参照)を算出する(S52)。具体的には、コントローラ21は、寸法Hからなる直線を斜辺とし、寸法Lの絶対値からなる直線と当該斜辺との内角を角度αとする直角三角形における残りの辺の寸法Mを三平方の定理より算出する。コントローラ21は、寸法Mを算出したことに応じて、寸法Lo:寸法L=(寸法M+寸法N+距離D):寸法Mを演算する。
【0079】
コントローラ21は、寸法Loを算出したことに応じて、第2座標のX軸座標に寸法Lo-寸法Lで得られる値を減算し第5座標を算出する(S53)。コントローラ21は、第5座標をメモリ23に記憶する(S54)。コントローラ21は、第5座標をメモリ23に記憶したことに応じて、第2算出処理を終了する。なお、ステップS14~S23は、取得処理の一例である。
【0080】
コントローラ21は、第2算出処理を実行したことに応じて、移動装置36を駆動して、照明装置35を移動する(S24)。具体的には、コントローラ21は、メモリ23から第5座標を取得する。コントローラ21は、第5座標に基づきモータ62A、62Bを駆動する。移動装置36に固定された照明装置35は、第5座標が示す位置に移動する。なお、第5座標のX軸座標、Y軸座標が照明装置35の移動できる座標範囲を超える場合、コントローラ21は、当該座標範囲内における最も近いX軸座標、Y軸座標に上書きしてメモリ23を更新する。ステップS24は、駆動処理の一例である。
【0081】
コントローラ21は、照明装置35が第5座標に移動したことに応じて、角度αに基づきスポットライト54の照射角度を変更する(S25)。具体的には、コントローラ21は、支持部53の軸53Bを上下方向7に沿った姿勢となるように、基部51のパンモータを駆動する。コントローラ21は、支持部53の本体53Aの最大面と直交する軸線と平行である仮想直線P2と仮想直線P1とが角度αとなるように、回転部52のチルトモータを駆動する。
【0082】
コントローラ21は、スポットライト54の照射角度を変更したことに応じて、スポットライト54を点灯する(S26)。コントローラ21は、スポットライト54を点灯したことに応じて、カメラ55から第2画像データを取得する(S27)。コントローラ21は、取得した第2画像データをディスプレイ37に表示する(S28)。なお、コントローラ21は、ステップS26においてスポットライト54が既に点灯しているとき、ステップS27を実行する。ステップS31は、表示処理の一例である。
【0083】
コントローラ21は、ステップS28を実行したことに応じて、反射型フォトセンサ72から取得するいずれかのON情報がOFF情報に変わったか否かを判断する(S12)。ユーザがブラシケース15へ歯ブラシを入れるとき、いずれかのON情報がOFF情報に変わるためである。コントローラ21は、いずれかのON情報がOFF情報に変わったか否かを判断することで、ブラシケース15へ歯ブラシが入れられたか否かを判断することができる。
【0084】
コントローラ21は、いずれかのON情報がOFF情報に変わったと判断すると(S29:Yes)、処理を終了する。コントローラ21は、いずれかのON情報がOFFに変わっていないと判断すると(S29:No)、再び第1画像データを取得し(S14)、以降の処理を実行する。
【0085】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、コントローラ21が、人の口の位置を示す位置情報及び距離情報から算出した第5座標及び角度αに基づき、スポットライト54を移動し、スポットライト54から光を照射するため、洗面装置10が、ユーザの口内を奥まで照らすことができる。
【0086】
ユーザがハーフミラー31に対して顔を左右に傾けた場合でもユーザの口内に光を照射することができる。
【0087】
また、洗面装置10は、スポットライト54でユーザの口に光を照射するため、ユーザの目に光が当たることが抑制される。これにより、ユーザが眩しさを感じることが抑制され、照らされた口内をハーフミラー31によって確認しやすい。
【0088】
また、反射型フォトセンサ72は、ブラシケース15から歯ブラシが抜き取られたときにON情報を出力することができるため、ユーザが口を開く歯磨きを行うときに、スポットライト54によって口内に光を照射することができる。
【0089】
また、コントローラ21は、カメラ55から取得した第2画像データをディスプレイ37に表示するため、ユーザは、スポットライトに照らされた口の画像をディスプレイ37を介して確認することができる。
【0090】
[変形例]
上記実施形態では、照射装置33及び移動機構34が設けられたが、照射装置33及び移動機構34が設けられずともよい。また、カメラ32は3次元カメラ又3次元レーザセンサが用いられる。このとき、コントローラ21は、カメラ32から第1画像データを取得し、公知の技法により位置情報、距離情報、及びハーフミラー31と正対した人の顔の向きと画像データにおける人の顔の向きとの左右における角度だけでなく上下における角度を算出してもよい。例えば、当該上下における角度は、特開2019-165851に記載の技法により算出されてもよい。
【0091】
また、例えば、コントローラ21は、第1画像データから上下に対応した角度情報である角度βを算出してもよい。コントローラ21は、第1算出処理において、第1画像データから鼻の輪郭を取得し、口の中心と同様に鼻の中心座標を算出する。コントローラ21は、ステップS42において、顔の輪郭の最も情報に位置する点と最も下方に位置する点のY軸座標から顔の上下方向に沿った縦幅の中央を示すY軸座標を算出する。コントローラ21は、当該Y軸座標と鼻の中心座標のY軸座標との差を算出し、寸法L’としてメモリ23に記憶する。コントローラ21は、寸法L’及び寸法Hに基づき、寸法Hからなる直線を斜辺とし、寸法L’の絶対値からなる直線と当該斜辺との内角を角度βとする直角三角形の角度βを算出する。具体的には、コントローラ21は、cosβ=寸法L’/寸法Hを演算する。
【0092】
コントローラ21は、第2算出処理において、第2座標のY軸座標とスポットライト54の照射位置のY軸座標との寸法Lo’を寸法Loと同様に求める。コントローラ21は、寸法Hからなる直線を斜辺とし、寸法L’の絶対値からなる直線と当該斜辺との内角を角度βとする直角三角形における残りの辺の寸法M’を三平方の定理より算出する。コントローラ21は、寸法M’を算出したことに応じて、寸法Lo’:寸法L’=(寸法M’+距離情報が示す寸法+距離D):寸法M’を演算する。コントローラ21は、ステップS25において、角度α及び角度βに基づき、基部51のパンモータ及び回転部52のチルトモータを駆動する。ユーザがハーフミラー31に対して顔を上下左右に傾けた場合でもユーザの口内の奥まで光を照射することができる。
【0093】
また、上記実施形態では、反射型フォトセンサ72が用いられたが、反射型フォトセンサ72は用いられずともよい。このとき、通信バス17と接続された赤外線センサや公知の操作用スイッチが設けられてもよい。なお、赤外線センサは、赤外線を検知したことに応じてON情報を出力する。
【0094】
また、スポットライト54用の操作用スイッチが設けられてもよい。コントローラ21は、操作用スイッチからONを示す情報を取得したとき、ステップS26においてスポットライト54を点灯し、操作用スイッチからONを示す情報を取得していないとき、ステップS26を実行せず、ステップS27を実行する。
【0095】
また、移動装置36は、移動機構34と同様に、上下方向7に沿って延びる2本のレールと、左右方向9に沿って延びるレールと、照明装置35が固定される保持具と、から構成とされてもよい。
【0096】
また、照明装置35は、移動装置36の保持具47に固定されたが、保持具47に固定されず、筐体14の後壁の内面に固定されてもよい。
【0097】
また、スポットライト54及びカメラ55は、基部51に固定されてもよい。
【0098】
また、ディスプレイ37は、設けられずともよい。また、コントローラ21は、通信I/Fを有しており、携帯端末装置等のディスプレイに第2画像データを表示させてもよい。
【0099】
また、コントローラ21は、支持台11内ではなく、筐体14内に設けられてもよい。このとき、筐体14は、支持台11と分離されて洗面装置とされてもよい。
【0100】
また、カメラ32に代えて、カメラ、CPU及びメモリを有する撮像装置が用いられてもよい。CPUがフェイストラッキングの処理を行ってもよい。CPU、メモリ及びコントローラ21は、コントローラの一例である。
【符号の説明】
【0101】
10・・・洗面装置
21・・・コントローラ
31・・・ハーフミラー
32・・・カメラ(センシング装置、第1カメラ)
33・・・照射装置33(センシング装置)
36・・・移動装置(可動装置)
37・・・ディスプレイ
38・・・前面
39・・・領域(検知領域)
52・・・回転部(変更装置、可動装置)
53・・・支持部(変更装置、可動装置)
54・・・スポットライト(ライト)
55・・・カメラ(第2カメラ)