(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】顔画像管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241008BHJP
G06Q 10/1053 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2021005062
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠
(72)【発明者】
【氏名】柳平 拳
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-007591(JP,A)
【文献】特開2003-099527(JP,A)
【文献】特開2003-150583(JP,A)
【文献】特開2017-097489(JP,A)
【文献】特開2019-071587(JP,A)
【文献】特開2003-022350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント機能を有する撮影装置からユーザの顔画像を受信する画像受信部と、
前記顔画像を取得する第1ウェブサイトの第1URL、及び前記第1URLが埋め込まれたウェブエントリー用データを取得する第2ウェブサイトの第2URLを生成する管理部と、
前記第1URL及び前記第2URLの情報を前記撮影装置へ送信し、前記第2URLを用いてアクセスしてきた第1端末に対し、前記ウェブエントリー用データを送信する送信部と、
前記第1URLを用いてアクセスしてきた第2端末から前記顔画像の要求を受け付けると、前記第1端末に対し、前記顔画像の公開の可否を問い合わせる問合せ部と、
を備え、
前記送信部は、前記第1端末から前記顔画像の公開の許可が通知されると、前記第2端末に前記顔画像を送信する、顔画像管理システム。
【請求項2】
前記ユーザを撮影し、前記顔画像を送信し、前記送信部から受信した前記第1URL及び前記第2URLの情報を用紙にプリントして出力する撮影装置をさらに備える、請求項1に記載の顔画像管理システム。
【請求項3】
前記第2端末からの前記顔画像の要求には、企業名、担当者名又は前記顔画像の用途が含まれており、
前記問合せ部は、前記第1端末に対して前記顔画像の公開の可否を問い合わせる際に、前記企業名、前記担当者名又は前記顔画像の用途を通知する、請求項1又は2に記載の顔画像管理システム。
【請求項4】
前記ウェブエントリー用データは前記顔画像を含まない、請求項1乃至3のいずれかに記載の顔画像管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザを撮影し、運転免許証やパスポートの申請、履歴書や資格試験の受験票への貼付など、用途に応じたサイズの顔写真をプリント出力するボックス型の証明写真撮影装置が知られている。また、顔写真の画像データを証明写真撮影装置からサーバにアップロードし、ユーザが画像データをスマートフォン等にダウンロードし、ウェブ履歴書(ウェブエントリー)に利用できるようにしたサービスも提供されている。
【0003】
海外では、企業が人材募集する際、募集をしている役職の為に、性別、年齢、出身地等を求めてはならないとされている。そのため、性別や生年月日が推測されるような顔写真を履歴書に載せないことが一般的となっている。
【0004】
ビジネスのグローバル化を考慮すると、日本企業においても、証明写真の無い履歴書での人材採用が求められる。しかし、企業によっては、履歴書に貼付した顔写真を社員証などに転用していることがあり、顔写真の無い履歴書では、採用後の手続きに支障をきたすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-108874号公報
【文献】特許第4715662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、応募段階では応募者の顔写真を採用者側に非公開としつつ、採用者からの要求に応じて応募者の顔写真を採用者側に公開可能とする顔画像管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の顔画像管理システムは、プリント機能を有する撮影装置からユーザの顔画像を受信する画像受信部と、前記顔画像を取得する第1ウェブサイトの第1URL、及び前記第1URLが埋め込まれたウェブエントリー用データを取得する第2ウェブサイトの第2URLを生成する管理部と、前記第1URL及び前記第2URLの情報を前記撮影装置へ送信し、前記第2URLを用いてアクセスしてきた第1端末に対し、前記ウェブエントリー用データを送信する送信部と、前記第1URLを用いてアクセスしてきた第2端末から前記顔画像の要求を受け付けると、前記第1端末に対し、前記顔画像の公開の可否を問い合わせる問合せ部と、を備え、前記送信部は、前記第1端末から前記顔画像の公開の許可が通知されると、前記第2端末に前記顔画像を送信するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、応募段階では応募者の顔写真を採用者側に非公開としつつ、採用者からの要求に応じて応募者の顔写真を採用者側に公開可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像管理システムを用いた人材採用システムの模式図である。
【
図2】人材採用プロセスを説明するフローチャートである。
【
図4】(a)~(c)は採用者端末の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像管理システムは、撮影装置1及びサーバ装置2を備え、企業の人材採用における応募者の顔画像の管理に好適なものである。撮影装置1とサーバ装置2とは通信可能に接続されている。
【0012】
本実施形態では、企業は、応募者の選考時には顔画像を使用せず、選考後、採用が決まった応募者の顔画像を取得する。この画像管理システムを用いた人材採用プロセスを
図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0013】
まず、応募者Aは、ボックス型の証明写真撮影装置である撮影装置1で応募者の顔を撮影する(ステップS1)。撮影装置1は、顔画像をサーバ装置2にアップロードする(ステップS2)。
【0014】
サーバ装置2は、企業が応募者Aの顔画像を取得するためのウェブサイトのURL、及び応募者Aがウェブエントリーの際に使用するデータをダウンロードするためのウェブサイトのURLを撮影装置1に通知する(ステップS3)。URLは、応募者Aの顔画像を識別する識別情報を含むものである。URLを示す二次元コードのデータを撮影装置1へ送信してもよい。
【0015】
撮影装置1は、サーバ装置2から通知されたURLを用紙にプリントし、出力する(ステップS4)。例えば、
図3に示すようなプリント物10を出力する。プリント物10は、紙の履歴書に貼付するための複数の画像コマ11を含む。従来の証明写真撮影装置では、顔が写った画像コマを含むものがプリント出力されたが、本実施形態では、画像コマ11に顔はプリントされず、応募者Aの顔画像を取得するためのウェブサイトのURLを示す二次元コードQ1がプリントされる。二次元コードQ1と共に、URLが画像コマ11内に印字されていてもよい。
【0016】
また、プリント物10には、ウェブエントリー用のデータをダウンロードするためのウェブサイトのURLを示す二次元コードQ2もプリントされている。
【0017】
応募者Aは、自身のスマートフォン等のユーザ端末3(第1端末)を操作して二次元コードQ2を読み取り、サーバ装置2に対し、ウェブエントリー用のデータを要求する(ステップS5)。
【0018】
サーバ装置2は、ユーザ端末3からアクセスされた時のURLに含まれる識別情報に基づいて、応募者Aの顔画像を取得するためのウェブサイトのURL情報を埋め込んだ、ウェブエントリー用のデータを生成し、ユーザ端末3へ送信する(ステップS6)。このウェブエントリー用のデータには、応募者Aの顔は含まれていない。
【0019】
なお、ユーザ端末3には、専用アプリ(アプリケーションプログラム)が事前にインストールされているものとし、応募者Aは、専用アプリを用いて二次元コードQ2の読み取りを行い、ウェブエントリー用データを取得する。サーバ装置2は、アクセスしてきたユーザ端末3にインストールされている専用アプリのアプリID(ユーザ情報)を、応募者Aの顔画像に紐付けて保存する。
【0020】
応募者Aが企業の人材募集に応募する(ステップS7)。紙の履歴書を提出する場合は、プリント物10の画像コマ11を切り取り、履歴書に貼付して提出する。ウェブエントリーの場合は、顔画像データに代えて、サーバ装置2から取得したウェブエントリー用データをアップロードする。
【0021】
企業の採用担当者Eは、顔写真の無い履歴書(ウェブエントリーシート)を用いて選考を行う(ステップS8)。
【0022】
選考により採用が決定した場合、社員証の作成等の用途で応募者Aの顔画像が必要になる。採用担当者Eは、PC等の採用者端末4(第2端末)を用いて、履歴書に貼付されていた画像コマ11内の二次元コードQ1、又はウェブエントリー時にアップロードされたデータに埋め込まれたURL情報で示されるウェブサイトにアクセスし、サーバ装置2に対し、応募者Aの顔画像を要求する(ステップS9)。サーバ装置2は、採用者端末4からアクセスされた際のURLに含まれる識別情報から、応募者Aの顔画像の要求であると判断する。
【0023】
ウェブサイトにアクセスすると、採用者端末4には、
図4(a)に示すような画面が表示される。採用担当者EがボタンB1を押すと、
図4(b)に示すような申請者情報入力画面に遷移する。採用担当者Eは、社名、所属部署名、自分の氏名等を入力する。
【0024】
続いて、
図4(c)に示すような用途選択画面に遷移する。採用担当者Eは、顔画像の用途を選択し、申請ボタンB2を押す。
【0025】
サーバ装置2は、ユーザ端末3に対し、顔画像を公開してよいか問い合わせる(ステップS10)。例えば、サーバ装置2は、応募者Aの顔画像に紐付けられたアプリIDを用いて、ユーザ端末3のアプリに通知する。ユーザ端末3には、
図5に示すような問合せ画面が表示される。問合せ画面には、顔画像の公開申請をした会社名、担当者名、顔画像用途などが表示される。
【0026】
応募者Aが問合せ画面内の許可ボタンを押して顔画像の公開を許可すると(ステップS11)、サーバ装置2は応募者Aの顔画像を採用者端末4へ送信する(ステップS12)。これにより、
図6に示すように、採用者端末4に応募者Aの顔画像が表示される。ダウンロードボタンB3を押すと、顔画像データがダウンロードできる。企業は、ダウンロードした顔画像データを用いて、社員証の作成等を行う。
【0027】
次に、サーバ装置2の構成について説明する。サーバ装置2は、ウェブエントリー用のデータを応募者がダウンロードするウェブサイトや、応募者の顔画像を企業側が閲覧・ダウンロードするウェブサイトを提供するコンピュータであり、
図7に示すように、画像受信部21、画像処理部22、要求受付部23、送信部24、問合せ部25及び管理部26の機能を有する。
【0028】
画像受信部21は、撮影装置1から応募者Aの顔画像を受信する。管理部26が、受信した顔画像を識別する識別情報を生成する。また、管理部26は、この識別情報を含む、顔画像をダウンロードするウェブサイトのURL、及びウェブエントリー用データをダウンロードするウェブサイトのURLを生成する。顔画像は識別情報に紐付けられて記憶部20に格納される。
【0029】
画像処理部22は、記憶部20に格納される顔画像の暗号化処理を行う。また、画像処理部22は、顔画像を採用者端末4へ送信する際、暗号化された顔画像の復号化処理を行う。
【0030】
要求受付部23は、専用アプリがインストールされたユーザ端末3から、ウェブエントリー用データの要求を受け付ける。管理部26は、記憶部20内の識別情報のうち、ユーザ端末3によるアクセス時のURLに含まれる識別情報と同じ識別情報に、ユーザ端末3にインストールされている専用アプリのアプリIDを紐付けて登録する。これにより、応募者Aの顔画像と、この顔画像に対応する識別情報と、応募者Aのユーザ端末3のアプリIDとが対応付けられる。管理部26は、顔画像をダウンロードするウェブサイトのURL情報が埋め込まれ、顔画像は含まないウェブエントリー用データを生成する。
【0031】
また、要求受付部23は、採用者端末4から、応募者の顔画像の要求を受け付ける。管理部26は、採用者端末4によるアクセス時のURLに含まれる識別情報から、応募者Aの顔画像が要求されていると判定する。
【0032】
送信部24は、ウェブエントリー用データをユーザ端末3へ送信する。また、送信部24は、ユーザ端末3からの許可に伴い、応募者Aの顔画像を採用者端末4へ送信する。
【0033】
問合せ部25は、採用者端末4から、応募者の顔画像の要求を受け付けると、ユーザ端末3に対し、顔画像の公開可否を問い合わせる。
【0034】
管理部26は、各応募者の顔画像の公開履歴を管理する。例えば、管理部26は、誰に対して顔画像を公開しているかを管理する。これにより、
図8に示すように、応募者は、ユーザ端末3を用いて、自分の顔画像の公開状況を確認できる。また、応募者は、申請者毎に、又は一括して、顔画像の公開の停止を行うことができる。例えば、就職活動が終了した場合、就職先以外の企業には顔画像を非公開にすることができる。
【0035】
また、管理部26は、顔画像の閲覧やダウンロードをした採用者端末4のIPアドレスから位置情報を検索し、
図9に示すような、顔画像の閲覧やダウンロードが行われた日時、行った端末の位置等のレポート画面をユーザ端末3に表示してもよい。
【0036】
このように、本実施形態によれば、応募段階では応募者の顔画像を採用者側に非公開にできる。また、採用が決定した後は、採用者からの要求に応じて応募者が許可すると、採用者は、応募者の顔画像を閲覧したりダウンロードしたりできるようになる。
【0037】
上記実施形態において、撮影装置1での撮影時又はウェブエントリー用データの取得時に、応募者Aがパスコードを設定できるようにしてもよい。採用者Eが、応募者Aの顔画像を取得するためのウェブサイトで正しいパスコードを入力すると、顔画像が取得可能となる。パスコードは、応募者Aの許可に応じてサーバ装置2が採用者端末4に通知してもよいし、採用者Eが応募者Aから直接教えてもらってもよい。
【0038】
就職活動の終了に伴い、サーバ装置2に登録されている顔画像データを削除できるようにしてもよい。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 撮影装置
2 サーバ装置
3 ユーザ端末
4 採用者端末