(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】流動加熱炉及び加熱方法
(51)【国際特許分類】
B22C 5/00 20060101AFI20241008BHJP
B22D 29/00 20060101ALI20241008BHJP
F26B 3/08 20060101ALI20241008BHJP
F27B 15/08 20060101ALI20241008BHJP
F27D 13/00 20060101ALI20241008BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B22C5/00 C
B22D29/00 F
B22D29/00 G
F26B3/08
F27B15/08
F27D13/00 B
F27D17/00 101G
(21)【出願番号】P 2021007847
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩庸
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-141418(JP,A)
【文献】実開昭59-054538(JP,U)
【文献】特開昭58-075685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 29/00
B22C 5/00
F27B 15/08
F27D 13/00
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中子に用いられた中子砂を再生する流動加熱炉であって、
流動気体によって前記中子砂を流動させながら加熱する流動槽と、
前記流動槽と連通し、前記流動気体を排気する排気流路と、
を備え、
前記排気流路は、
筒状の本体部と、
前記
本体部の内部を介して前記流動槽内に前記中子砂を投入するための投入部
と、
前記本体部の内部に傾いて架け渡された、前記中子砂が通過可能な複数の孔部を有する板状の分散板と、
を備え
、
前記分散板は、複数の前記孔部が千鳥状に設けられたパンチングメタルである、
流動加熱炉。
【請求項2】
前記排気流路の前記本体部の内部には、複数の前記分散板が架け渡されている、請求項
1に記載の流動加熱炉。
【請求項3】
複数の前記分散板が傾く方向は異なる、請求項
2に記載の流動加熱炉。
【請求項4】
前記本体部の内部には、傾く方向の異なる前記分散板が交互に架け渡されている、請求項
3に記載の流動加熱炉。
【請求項5】
前記分散板が傾く角度は、前記中子砂の安息角度以上である、請求項
1乃至
4の何れか一項に記載の流動加熱炉。
【請求項6】
前記排気流路は、前記本体部を通過した前記流動気体から、当該流動気体に含まれる前記中子砂を含む異物を取り除いて、前記流動気体を前記流動加熱炉の外部へと排出する集塵機をさらに備える、請求項1乃至5の何れか一項に記載の流動加熱炉。
【請求項7】
中子に用いられた中子砂を流動気体によって流動させながら加熱する流動槽を備える流動加熱炉を用いて、前記中子砂を加熱する加熱方法であって、
前記流動加熱炉は、前記流動槽と連通し、前記流動気体を排気する排気流路をさらに備え、
前記排気流路は、
筒状の本体部と、
当該
本体部の内部を介して前記流動槽内に前記中子砂を投入するための投入部
と、
前記本体部の内部に傾いて架け渡された、前記中子砂が通過可能な複数の孔部を有する板状の分散板と、
を備え、
前記分散板は、複数の前記孔部が千鳥状に設けられたパンチングメタルであり、
前記排気流路において、前記排気流路内を通って排気される前記流動気体が、前記投入部から前記排気流路内に投入された前記中子砂を加熱
するとともに、前記流動気体によって加熱された前記本体部の壁部や前記分散板に前記中子砂が接触することによって、前記中子砂が加熱され、
前記流動槽において、前記排気流路において加熱された前記中子砂をさらに加熱する、
加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動加熱炉及び加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鋳造に使用した中子に用いられた砂(以下、「中子砂」と称する)を回収し、中子砂に付着している不純物やバインダを取り除くことにより当該中子砂を再利用することが記載されている。具体的には、特許文献1には、中子を備える金型によって鋳造された鋳造品を500℃で熱処理して、中子の表面を被覆している有機バインダを焙焼することにより中子を崩壊させ、有機バインダがある程度取り除かれた中子砂を回収することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、鋳造工程において中子に用いられる有機バインダが加熱されることによって生じるヤニ、煤、異臭(ガス)等を防ぐため、水ガラス等の無機バインダを用いて形成された中子が用いられている。無機バインダを用いて形成された中子から中子砂を再生する場合にも、加熱によって無機バインダが中子砂から取り除かれる。そして、当該無機バインダが加熱炉内で再凝固することを防ぐため、流動気体によって前記中子砂を流動させながら加熱する流動槽が必要となる。このような流動槽において加熱を行う加熱炉を流動加熱炉と称し、当該流動加熱炉では、高温の排気が発生するため、熱効率が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、熱効率が改善された流動加熱炉及び加熱方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る流動加熱炉は、中子に用いられた中子砂を再生する流動加熱炉であって、流動気体によって前記中子砂を流動させながら加熱する流動槽と、前記流動槽と連通し、前記流動気体を排気する排気流路と、を備え、前記排気流路は、前記排気流路を介して前記流動槽内に前記中子砂を投入するための投入部を備える。
【0007】
本発明に係る加熱方法は、中子に用いられた中子砂を流動気体によって流動させながら加熱する流動槽を備える流動加熱炉を用いて、前記中子砂を加熱する加熱方法であって、前記流動加熱炉は、前記流動槽と連通し、前記流動気体を排気する排気流路をさらに備え、前記排気流路は、当該排気流路を介して前記流動槽内に前記中子砂を投入するための投入部を備え、前記排気流路において、前記排気流路内を通って排気される前記流動気体が、前記投入部から前記排気流路内に投入された前記中子砂を加熱し、前記流動槽において、前記排気流路において加熱された前記中子砂をさらに加熱する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る流動加熱炉及び加熱方法によれば、排気流路の投入部から中子砂が排気流路を通って流動槽に投入されるため、排気流路を通って排気される流動気体によって中子砂が流動槽に到達する前に加熱される。そのため、流動気体から熱が中子砂に伝達される分、流動加熱炉の熱効率が向上される。よって、熱効率が改善された流動加熱炉及び加熱方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る流動加熱炉を側方から見た断面を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る流動加熱炉の排気流路の内部を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る排気流路の分散板の一例を説明する図である。
【
図4】本発明の実施例1における砂温度及び排気温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態1に限定されるものではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
図1は、本実施の形態1に係る流動加熱炉100を側方から見た断面を模式的に示す図である。流動加熱炉100は、鋳造に使用された中子に用いられた中子砂200を再生するために、当該中子砂200を加熱する。例えば、鋳造に使用された中子は砕かれ、中子砂200が生じる。そして、流動加熱炉100は、当該中子砂200を加熱することにより、無機バインダを中子砂200から取り除いて、中子砂200を再生する。流動加熱炉100は、
図1に示すように、流動槽101、排気流路102を備える。排気流路102は、流動槽101の上側に設けられている。
【0012】
流動槽101は、流動気体によって中子砂200を流動させながら加熱する加熱槽である。ここで、流動気体とは、流動加熱炉100内において流動する気体であって、当該気体の流動に伴って、流動槽101内部の中子砂200も流動する。具体的には、流動気体は流動槽101の下部から流動槽101内部に供給され、流動槽101において加熱されることによって上昇し、排気流路102を通って外部へと排気される。流動槽101は、
図1に示すように、ヒータ101A、エアーチャンバー101B、焼結金網101C、仕切り板101D、出口部101E等を備える。
【0013】
ヒータ101Aは、例えば、流動槽101の側面及び底面に設けられ、流動槽101内部の中子砂200を加熱する。また、ヒータ101Aは、流動槽101の下部に設けられたエアーチャンバー101B内に供給された流動気体を加熱する。また、ヒータ101Aによって、流動槽101内部において、中子砂200とともに当該中子砂200を流動させる流動気体も加熱される。
【0014】
エアーチャンバー101Bは、流動槽101の底部側に設けられ、所定の気体供給源(不図示)から当該エアーチャンバー101B内に所定の気体が供給される。また、エアーチャンバー101Bの上部は、焼結金網101Cを介して、流動槽101内部に通じている。そのため、エアーチャンバー101B内に供給された気体は、焼結金網101Cを通って、流動槽101内部へと移動する。
【0015】
焼結金網101Cは、流動槽101内部からエアーチャンバー101Bへの中子砂200の通過を防ぐとともに、エアーチャンバー101Bから流動槽101内部への気体の通過を可能にする大きさの孔部を複数有する金網である。
【0016】
仕切り板101Dは、流動槽101の内部に立設された板状部材である。また、仕切り板101Dと流動槽101の少なくとも1つの内壁との間は離間している。そして、流動槽101の内部に投入された中子砂200は、当該仕切り板101Dによって形成された流動槽101内の通路を通って、出口部101Eに向かう。
【0017】
出口部101Eは、例えば、流動槽101の所定の高さに設けられた、中子砂200を排出する通路である。
図1に示す例では、出口部101Eは、流動槽101の上部側に設けられている。
【0018】
排気流路102は、流動槽101と連通し、流動槽101から流動気体を排気する流路である。排気流路102は、流動槽101の上側に設けられており、流動槽101において加熱され上昇気流となった流動気体を流動加熱炉100の外部へと排気する。排気流路102は、
図1に示すように、筒状の本体部102B、投入部102A、集塵機102C等を備える。
【0019】
投入部102Aは、本体部102Bの上部に設けられる、所定量の中子砂200を収容可能な容器であって、投入部102Aの底部は少なくとも一部が開口されており、投入部102Aは本体部102Bと通じている。これにより、投入部102Aから、本体部102Bを介して流動槽101内に中子砂200を投入することができる。
そして、本実施の形態1に係る排気流路102において、排気流路102内を通って排気される流動気体が、投入部102Aから排気流路102内に投入された中子砂200を加熱する。さらに、流動槽101において、排気流路102において加熱された中子砂200がさらに加熱される。
【0020】
本体部102Bは、流動槽101の上側に、流動槽101内部と本体部102Bの内部とが通じるように立設されている。
図2に、排気流路102の本体部102Bの内部の一例を示す。
図2に示すように、本体部102Bは、矩形形状の断面を有する角筒である。
【0021】
また、本体部102Bの内部には、1枚以上の分散板102Dが傾いて架け渡されている。当該分散板102Dには、中子砂200が通過可能な複数の孔部102Gが形成されている。例えば、本体部102Bの内部には、本体部102Bの内壁の一方の側から他方の側へ所定の角度で傾くように、1枚以上の分散板102Dが架け渡されている。分散板102Dによって、投入部102Aから投入された中子砂200が分散されるため、本体部102Bを通る流動気体と接触する中子砂200の面積が増え、中子砂200と流動気体との熱交換の効率が向上する。
具体的には、
図1に示すように、流動槽101から本体部102Bへと流入した流動気体は、分散板102Dに沿って、本体部102B内部を上昇する。一方、投入部102Aから本体部102B内部へと投入された中子砂200は、分散板102Dに沿って下降するとともに、分散板102Dの設けられた孔部102Gを通過して、下側の分散板102D上に落下する。このようにして、分散板102Dによって、分散されて下降する中子砂200は、分散板102Dに沿って上昇する流動気体と接触し、流動気体と中子砂200との間で熱交換が行われる。
【0022】
また、複数の分散板102Dが傾く方向は異なる。例えば、
図2に示すように、複数の分散板102Dには、本体部102Bの内壁の一方の側から他方の側に向かって下側に傾く第1の分散板102Eと、本体部102Bの内壁の一方の側から他方の側に向かって上側に傾く第2の分散板102Fとがある。
また、本体部102Bの内部には、傾く方向の異なる分散板102Dが交互に架け渡されている。例えば、本体部102Bの内壁には、第1の分散板102Eと第2の分散板102Fとが交互に架け渡されている。
このように分散板102Dが配置されることにより、中子砂200がさらに分散され、中子砂200と流動気体との熱交換の効率がさらに向上する。
【0023】
また、本体部102Bの内壁に分散板102Dが架け渡される角度(分散板102Dが傾く角度)は、中子砂200の安息角度以上であることが好ましい。これにより、分散板102D上に滞留してしまうことを防ぐことができる。
【0024】
なお、本体部102Bの形状や分散板102Dの架け渡され方は上記に限定されるものではない。例えば、本体部102Bが円筒形状を有する場合、分散板102Dは、当該円筒の内壁に沿って螺旋状に設けられてもよい。
【0025】
集塵機102Cは、本体部102Bを通過した流動気体から、当該流動気体に含まれる異物、例えば、中子砂200等、を取り除いて、流動気体を流動加熱炉100の外部へと排出する。
【0026】
次に、
図3を参照しながら、分散板102Dに設けられる複数の孔部102Gについて説明する。
図3に示す例では、分散板102Dは、複数の孔部102Gが千鳥状に設けられたパンチングメタルである。具体的には、分散板102Dには、第1の方向D1に沿って、所定のピッチPで複数の孔部102Gが形成されている。また、孔部102Gは、所定の半径φの円形形状を有する。また、互いに隣接する3つの孔部102Gは、三角形の頂点の位置に配置されている。具体的には、第1の方向D1に沿って隣接する2つの孔部102Gと当該2つの孔部102Gの双方に隣接する1つの孔部102Gは、三角形の頂点の位置に配置されている。ここで、第1の方向D1に沿って隣接する2つの孔部102Gの双方に隣接する1つの孔部102Gが位置する三角形の角部の角度をθとする。当該三角形は二等辺三角形でもよく、θが60°のとき、当該三角形は正三角形である。
なお、分散板102Dは、所定の大きさの孔部を複数有する金網であってもよい。
【0027】
次に、本実施の形態1に係る流動加熱炉100における中子砂200の加熱方法について説明する。
まず、投入部102Aから排気流路102の本体部102B内へ中子砂200が投入される。
次に、排気流路102において、排気流路102内を通って排気される流動気体が、投入部102Aから排気流路102内に投入された中子砂200を加熱する。具体的には、本体部102Bの内部において、流動気体と中子砂200とが接触することによって、流動気体が中子砂200を直接加熱する。また、流動気体によって加熱された本体部102Bの壁部や分散板102Dに中子砂200が接触することによって、中子砂200が間接的に加熱される。
さらに、流動槽101において、排気流路102において加熱された中子砂200がさらに加熱される。
【0028】
実施例1
次に、本発明の実施例1について説明する。実施例1として、分散板102Dが設けられた本体部102Bにおける流動気体と中子砂200との熱交換効率を調べた。実施例1に係る分散板102Dは、
図3に示す半径φ=5mm、ピッチP=8mm、角度θ=60°の孔部102Gが設けられたパンチングメタルであった。また、排気流路102の本体部102Bの内部に設けられた分散板102Dの枚数は8枚であり、分散板102Dの傾く角度は水平方向を基準として30°であり、排気流路102のサイズは、幅30cm、奥行21cm、及び高さ150cmであった。また、8枚の分散板102Dは、
図2に示すように、本体部102Bの内部に、等間隔に、交互に傾く方向が異なるように架け渡されていた。また、実施例1では、中子砂200として、ACアルミナサンド(瓢屋社製)の新砂及び再生砂及びグリーンビーズ(キンセイマテック社製)の人工球形砂の新砂及び再生砂を用いた。また、本体部102Bの下部から本体部102B内に供給する流動気体の温度は340℃であり、当該流動気体の流量は0.45リットル/分であった。また、本体部102Bの上部から本体部102B内に投入される中子砂200の温度は25℃であり、当該中子砂200の投入量は165kg/時間であった。また、実施例1において、熱交換効率を以下の式(1)に基づいて算出した。
熱交換率=((加熱後の砂温度-加熱前の砂温度)×砂の比熱)/入熱量×100
・・・・・(1)
【0029】
図4に、実施例1における、本体部102B内の様々な位置(
図1に示す位置P1~P5)における流動気体の温度、本体部102Bを通った後の(
図1に示す位置P5における)中子砂200の温度を示す。具体的には、
図4の縦軸は温度(℃)を示し、横軸は時間(秒)を示す。また、
図4の凡例で示すシンボル(I)は、本体部102Bの上部から排気された(
図1に示す位置P1の)流動気体の温度を示し、シンボル(II)~(IV)は、それぞれ、
図1に示す本体部102B内の位置P2~P4における流動気体の温度を示し、シンボル(V)は、
図1に示す位置P5における中子砂200の温度を示し、シンボル(VI)は、流動槽101の上部から本体部102B内に入る前(
図1における位置P5)の流動気体の温度を示す。なお、
図4に示すデータは、グリーンビーズの新砂のデータである。
【0030】
図4に示すように、流動槽101の上部から本体部102B内に入る前の流動気体の温度(シンボル(VI))は、340℃程度であり、本体部102B内において当該流動気体と中子砂200との間で熱交換が行われることにより、本体部102Bから排気された流動気体の温度(シンボル(I))は、35℃程度まで低下している。一方、本体部102Bの上側から本体部102B内に投入される中子砂200の温度は、上述した通り、25℃であり、本体部102Bを通り過ぎ、流動槽101内に投入される中子砂200の温度(シンボル(V))は、150℃程度まで上昇している。そして、本体部102Bにおける、流動気体と中子砂200との熱交換効率は94%程度と高い効率であることが分かった。
【0031】
以上に説明した本実施の形態1に係る流動加熱炉100及び加熱方法によれば、排気流路102の投入部102Aから中子砂200が排気流路102を通って流動槽101に投入されるため、排気流路102を通って排気される流動気体によって中子砂200が流動槽101に到達する前に加熱される。そのため、流動気体から熱が中子砂200に伝達される分、流動加熱炉100の熱効率が向上される。よって、熱効率が改善された流動加熱炉100及び加熱方法を提供することができる。
【0032】
また、排気流路102の本体部102Bの内部に傾いて架け渡された、中子砂200が通過可能な複数の孔部102Gを有する板状の分散板102Dによって、投入部102Aから投入された中子砂200が分散される。そのため、本体部102Bを通る流動気体と接触する中子砂200の面積が増え、中子砂200と流動気体との熱交換の効率が向上する。
【0033】
また、排気流路102の本体部102Bの内部に複数の分散板102Dが架け渡されていることにより、中子砂200がさらに分散され、中子砂200と流動気体との熱交換の効率がさらに向上する。
【0034】
また、本体部102Bの内部に、傾く方向の異なる複数の分散板102E、102Fが設けられることにより、中子砂200がさらに分散され、中子砂200と流動気体との熱交換の効率がさらに向上する。
【0035】
また、本体部102Bの内壁に、傾く方向の異なる複数の分散板102E、102Fが交互に架け渡されていることにより、中子砂200がさらに分散され、中子砂200と流動気体との熱交換の効率がさらに向上する。
【0036】
また、本体部102Bの内壁に分散板102Dが架け渡される角度は、中子砂200の安息角度以上であることにより、分散板102D上に滞留してしまうことを防ぐことができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本体部102Bの内壁に分散板102Dが架け渡される角度は、本体部102Bの内部における位置に応じて、変化させてもよい。分散板102Dが傾く角度を変化させることより、分散板102D上を中子砂200が通過する時間を変えることができる。例えば、本体部102Bの下部から上部に向かうにつれて、分散板102Dの傾く角度を小さくすることにより、本体部102Bの上部においては、温度が低下した流動気体と中子砂200とが接触する時間を長くして、熱交換効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0038】
100 流動加熱炉
101 流動槽
101A ヒータ
101B エアーチャンバー
101C 焼結金網
101D 仕切り板
101E 出口部
102 排気流路
102A 投入部
102B 本体部
102C 集塵機
102D 分散板
102E 第1の分散板
102F 第2の分散板
102G 孔部
200 中子砂