(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体噴射装置、液体噴射装置の廃液回収方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241008BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241008BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/165 307
B41J2/01 401
B41J2/17 207
B41J2/01 129
B41J2/17
(21)【出願番号】P 2021016330
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠
(72)【発明者】
【氏名】荒深 和志
(72)【発明者】
【氏名】占部 雄一
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043031(JP,A)
【文献】特開2005-212351(JP,A)
【文献】特開2013-001070(JP,A)
【文献】特開2004-034662(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298475(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109367241(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/01
B41J 2/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するヘッドと、
液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させる硬化部と、
液体を廃液として回収する廃液回収部と、を備え、
前記廃液回収部は、
前記ヘッドから液体を吸収する吸収体と、
未使用の前記吸収体を保持する第1回転軸と、
使用済の前記吸収体を保持する第2回転軸と、を有し、
前記硬化部は、前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与え
、
前記吸収体は、前記ヘッドから液体を受ける面である第1面と、前記第1面と反対の面
である第2面とを有し、
前記硬化部は、前記第1面に向けて前記エネルギーを放出するように構成され、
前記第1回転軸は、前記硬化部によって前記エネルギーが前記第1面に向けて放出され
た後の前記吸収体を巻き取る場合、前記第1面が内側となるように前記吸収体を巻き取る
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記第2回転軸は、前記硬化部によって前記エネルギーが前記第1面に向けて放出され
た後の前記吸収体を、前記第2面が内側となるように巻き取ることを特徴とする請求項1
に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記硬化部は、前記吸収体に対して前記第1回転軸に保持されている部分と前記第2回
転軸に保持されている部分との間となる部分に向けて前記エネルギーを放出するように構
成され、
前記吸収体において液体を吸収した部分である吸収部分の液体に前記硬化部が前記エネ
ルギーを与える前に、前記吸収部分を前記第2回転軸が巻き取った場合、
前記廃液回収部は、前記吸収体を前記第2回転軸から前記第1回転軸に巻き戻す巻戻動
作を実行し、
前記巻戻動作と並行、又は、前記巻戻動作後に、前記吸収部分の液体に前記硬化部が前
記エネルギーを与えることを特徴とする請求項
1に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記巻戻動作では、前記吸収部分を前記第2回転軸が巻き取った際に前記第1回転軸か
ら前記第2回転軸に送った前記吸収体の長さよりも、長い量の前記吸収体を巻き戻し、
前記硬化部は、前記巻戻動作と並行して、前記吸収部分の液体に前記エネルギーを与え
ることを特徴とする請求項
3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記吸収体において液体を吸収した部分である吸収部分の長さが、前記硬化部が前記エ
ネルギーを一度に与えることが可能な硬化区間の長さよりも長い場合に、
前記第1回転軸が前記吸収体を巻き戻しつつ、前記硬化部が前記吸収体に吸収された液体
に前記エネルギーを与えることを特徴とする請求項1から請求項
4の何れか一項に記載の
液体噴射装置。
【請求項6】
液体を噴射するヘッドと、
液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させる硬化部と、
液体を廃液として回収する廃液回収部と、を備え、
前記廃液回収部は、
前記ヘッドから液体を吸収する吸収体と、
未使用の前記吸収体を保持する第1回転軸と、
使用済の前記吸収体を保持する第2回転軸と、を有し、
前記硬化部は、前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与え、
前記硬化部が前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与える時間は、前記吸収
体が吸収した液体の量に基づいて変更されることを特徴とする
液体噴射装置。
【請求項7】
液体を噴射するヘッドと、
液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させる硬化部と、
液体を廃液として回収する廃液回収部と、を備え、
前記廃液回収部は、
前記ヘッドから液体を吸収する吸収体と、
未使用の前記吸収体を保持する第1回転軸と、
使用済の前記吸収体を保持する第2回転軸と、を有し、
前記硬化部は、前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与え、
前記ヘッドが噴射する液体を昇温可能な昇温部を備え、
前記硬化部は、前記昇温部が液体を昇温させている間に、前記吸収体に吸収された液体
に前記エネルギーを与えることを特徴とする
液体噴射装置。
【請求項8】
ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置の廃液回収方法であって、
第1回転軸及び第2回転軸に保持される吸収体において、前記ヘッドから噴射される液
体を廃液として吸収した部分である吸収部分を、使用済の前記吸収体を保持する前記第2
回転軸が巻き取った場合、
前記第2回転軸から、未使用の前記吸収体を保持する前記第1回転軸に前記吸収体を巻
き戻す巻戻動作を実行することと、
前記巻戻動作と並行、又は、前記巻戻動作後に、前記第1回転軸に保持されている部分
と前記第2回転軸に保持されている部分との間で前記吸収部分の液体にエネルギーを与え
ることによって液体を硬化させることと、を含むことを特徴とする液体噴射装置の廃液回
収方法。
【請求項9】
ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置の廃液回収方法であって、
第1回転軸及び第2回転軸に保持される吸収体において、前記ヘッドから噴射される液
体を廃液として吸収した部分である吸収部分の長さが、液体を硬化させるエネルギーが及
ぶ硬化区間の長さよりも長い場合、
未使用の前記吸収体を保持する前記第1回転軸に前記吸収体を巻き戻しつつ、前記吸収
部分の液体に前記エネルギーを与えることを含むことを特徴とする液体噴射装置の廃液回
収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液体噴射装置及び液体噴射装置の廃液回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体噴射装置の一例として、液体を噴射するヘッドと、液体を廃液として吸収する吸収体とを備えるインクジェットプリンターが記載されている。このインクジェットプリンターでは、吸収体がヘッドを払拭することによって、ヘッドに付着する液体を吸収体が吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした液体噴射装置では、例えば、吸収体に吸収された液体が吸収体から垂れると、装置内を汚損するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体噴射装置は、液体を噴射するヘッドと、液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させる硬化部と、液体を廃液として回収する廃液回収部と、を備え、前記廃液回収部は、前記ヘッドから液体を吸収する吸収体と、未使用の前記吸収体を保持する第1回転軸と、使用済の前記吸収体を保持する第2回転軸と、を有し、前記硬化部は、前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与える。
【0006】
上記課題を解決する液体噴射装置の廃液回収方法は、ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置の廃液回収方法であって、第1回転軸及び第2回転軸に保持される吸収体において、前記ヘッドから噴射される液体を廃液として吸収した部分である吸収部分を、使用済の前記吸収体を保持する前記第2回転軸が巻き取った場合、前記第2回転軸から、未使用の前記吸収体を保持する前記第1回転軸に前記吸収体を巻き戻す巻戻動作を実行することと、前記巻戻動作と並行、又は、前記巻戻動作後に、前記第1回転軸に保持されている部分と前記第2回転軸に保持されている部分との間で前記吸収部分の液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させることと、を含む。
【0007】
上記課題を解決する液体噴射装置の廃液回収方法は、ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置の廃液回収方法であって、第1回転軸及び第2回転軸に保持される吸収体において、前記ヘッドから噴射される液体を廃液として吸収した部分である吸収部分の長さが、液体を硬化させるエネルギーが及ぶ硬化区間の長さよりも長い場合、未使用の前記吸収体を保持する前記第1回転軸に前記吸収体を巻き戻しつつ、前記吸収部分の液体に前記エネルギーを与えることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図2に示す状態からヘッドのメンテナンスを複数回実行したときの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、液体噴射装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって、文字、写真などの画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
図1に示すように、液体噴射装置11は、筐体12と、支持部13と、ヘッド14と、硬化部15と、制御部16と、廃液回収部17とを備える。
筐体12は、液体噴射装置11が備える各種構成を収容する。
【0011】
支持部13は、媒体99を支持するように構成される。支持部13は、例えば、搬送される媒体99を支持する。
ヘッド14は、液体を噴射するように構成される。ヘッド14は、液体を吐出する1以上のノズル18を有する。ヘッド14は、支持部13に支持される媒体99にノズル18から液体を吐出することによって、媒体99に画像を記録する。
【0012】
液体噴射装置11は、キャリッジ19を備えてもよい。キャリッジ19は、ヘッド14を搭載する。媒体99に対してキャリッジ19が走査することによって、ヘッド14が媒体99に画像を記録する。本例では、キャリッジ19は、媒体99に対して走査するうえに、媒体99が搬送される方向にも移動するように構成される。すなわち、液体噴射装置11は、いわゆるラテラルプリンターである。液体噴射装置11は、媒体99に対して走査するシリアルプリンターでもよいし、媒体99の幅にわたって一斉に液体を噴射可能なラインプリンターでもよい。
【0013】
液体噴射装置11は、液体収容部21を備えてもよい。液体収容部21は、液体を収容するように構成される。液体収容部21は、例えば、キャリッジ19に搭載される。液体収容部21は、ヘッド14と接続される。そのため、液体収容部21に収容される液体はヘッド14に供給される。
【0014】
液体噴射装置11は、昇温部22を備えてもよい。昇温部22は、液体を昇温させるように構成される。昇温部22は、例えば、発熱素子を含む。昇温部22は、例えば、電圧が印加されることによって、発熱する。昇温部22は、例えば、キャリッジ19に搭載される。昇温部22は、例えば、液体収容部21に収容される液体を昇温させる。
【0015】
昇温部22は、ヘッド14が液体を噴射するにあたってその液体を適切な粘度にするために、液体を昇温する。液体の温度が低い場合、その液体の粘度が高くなる。この場合、ヘッド14は、液体を適切に噴射できない。そのため、昇温部22が液体を昇温させている間、液体噴射装置11は記録できない。昇温部22は、例えば、液体噴射装置11の電源が投入されると、液体を昇温させる。昇温部22は、液体を適切な温度まで昇温すると、液体の温度を維持するように駆動する。
【0016】
硬化部15は、液体にエネルギーを与えることによって、その液体を硬化させるように構成される。硬化部15は、エネルギーとして、例えば、光エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギーなどを放出するように構成される。硬化部15は、例えば、電圧が印加されることによって、エネルギーを放出する。本例では、硬化部15は、光エネルギーの一例として、紫外線を液体に与えるように構成される。そのため、本例の硬化部15は、例えば発光素子を含む。液体は、紫外線が照射されることによって硬化する。本例では、ヘッド14が噴射する液体は、例えば、UVインクである。
【0017】
硬化部15は、例えば、赤外線を液体に与えてもよいし、輻射熱を液体に与えてもよいし、マイクロ波を液体に与えてもよい。液体の性質に合わせたエネルギーを硬化部15が液体に与えることによって、液体の硬化が促進される。
【0018】
硬化部15は、例えば、媒体99に噴射された液体にエネルギーを与えることによって、媒体99に噴射された液体を硬化させる。これにより、媒体99に噴射された液体が媒体99に定着する。
【0019】
硬化部15は、例えば、キャリッジ19に搭載される。硬化部15は、例えば、媒体99が搬送される搬送方向A1にヘッド14と並ぶ状態でキャリッジ19に搭載される。硬化部15は、例えば、ヘッド14よりも搬送方向A1の上流に位置する。硬化部15は、キャリッジ19が移動しながら、媒体99に噴射された液体にエネルギーを与えることによって、液体を媒体99に定着させる。
【0020】
制御部16は、例えば、液体噴射装置11を統括的に制御する。制御部16は、例えば、ヘッド14、廃液回収部17、キャリッジ19、昇温部22を制御する。制御部16は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0021】
廃液回収部17は、ヘッド14から液体を廃液として回収するように構成される。廃液とは、媒体99に記録される画像に寄与しない液体である。廃液は、例えば、ヘッド14のメンテナンスによって発生する。廃液回収部17は、例えば、支持部13と隣り合う位置に位置する。廃液回収部17は、例えば、直上に位置するヘッド14から廃液を回収する。
【0022】
ヘッド14のメンテナンスとして、例えば、フラッシング、クリーニング、ワイピングが挙げられる。
フラッシングとは、ノズル18の目詰まりを抑制するために液体をノズル18から適宜噴射する動作である。フラッシングは、例えば、記録前、記録中、記録後に実行される。フラッシングが実行される場合、ヘッド14は、廃液回収部17に向けて液体を噴射する。
【0023】
クリーニングとは、ヘッド14内の異物、気泡などを排出するために液体をノズル18から強制的に排出する動作である。本例では、クリーニングとして、ヘッド14内を加圧することによって液体をノズル18から強制的に排出する加圧クリーニングを実行する。クリーニングは、例えば、記録前、記録後に実行される。クリーニングが実行される場合、ヘッド14は、廃液回収部17に向けて液体を排出する。
【0024】
ワイピングとは、ヘッド14に付着する液体を除去するためにヘッド14を払拭する動作である。ワイピングは、例えば、クリーニング後に実行される。ワイピングが実行される場合、ヘッド14は、廃液回収部17によって払拭される。
【0025】
図2に示すように、廃液回収部17は、ケース24と、液体を吸収する吸収体25と、吸収体25を保持する第1回転軸26と、吸収体25を保持する第2回転軸27とを有する。本例の廃液回収部17は、吸収体25をヘッド14に押し付ける押付ローラー28と、吸収体25をガイドする1又は複数のガイドローラー29とを有する。
【0026】
ケース24は、例えば、吸収体25、第1回転軸26、第2回転軸27、押付ローラー28、ガイドローラー29などを収容する。ケース24は、例えば、筐体12に対して着脱可能に構成される。そのため、廃液回収部17は、液体噴射装置11に対して交換できる。
【0027】
吸収体25は、ヘッド14から液体を吸収する。吸収体25は、廃液を吸収する。吸収体25は、例えば、布でもよいし、スポンジでもよい。吸収体25は、長尺の部材である。
【0028】
吸収体25は、第1回転軸26及び第2回転軸27に保持される。吸収体25は、例えば、中間部分31を有する。中間部分31とは、吸収体25のうち、第1回転軸26に保持されている部分と第2回転軸27に保持されている部分との間となる部分である。中間部分31は、第1回転軸26に巻き付けられている部分と第2回転軸27に巻き付けられている部分との間となる部分である。吸収体25は、中間部分31のうちヘッド14と対向する部分で、例えば、フラッシング、クリーニング、ワイピングによる液体を受ける。
【0029】
吸収体25は、第1面32と第2面33とを有する。第1面32は、ヘッド14から液体を受ける面である。そのため、第1面32は、例えば、ヘッド14と対向する面である。第2面33は、第1面32と反対の面である。
【0030】
第1回転軸26は、例えば、未使用の吸収体25を保持する。すなわち、第1回転軸26は、液体を吸収していない吸収体25を保持する。本例では、第1回転軸26は、使用済の吸収体25を一時的に保持することもあるが、主には未使用の吸収体25を保持する。そのため、第1回転軸26は、未使用の吸収体25を供給する供給部としても機能する。
【0031】
第1回転軸26は、例えば、ロール状に巻き重ねられた吸収体25を保持する。本例では、第1回転軸26は、第1面32が内側となるように吸収体25を保持する。すなわち、第1回転軸26は、第2面33が外側となるように吸収体25を保持する。
【0032】
第2回転軸27は、例えば、使用済の吸収体25を保持する。すなわち、第2回転軸27は、液体を吸収した吸収体25を保持する。そのため、第2回転軸27は、使用済の吸収体25を回収する回収部としても機能する。
【0033】
第2回転軸27は、例えば、ロール状に巻き重ねられた吸収体25を保持する。本例では、第2回転軸27は、第1面32が外側となるように吸収体25を保持する。すなわち、第2回転軸27は、第2面33が内側となるように吸収体25を保持する。
【0034】
第1回転軸26及び第2回転軸27は、例えば、搬送方向A1に並ぶように位置する。第1回転軸26及び第2回転軸27は、例えば、キャリッジ19が走査する方向に延びるように位置する。
【0035】
第1回転軸26及び第2回転軸27は、回転することによって、吸収体25を巻き出したり、巻き取ったりする。そのため、吸収体25は、第1回転軸26及び第2回転軸27が回転することによって、搬送方向A1の下流又は上流に向かって送られる。本例では、第1回転軸26は、第2回転軸27よりも搬送方向A1の下流に位置する。したがって、本例では、吸収体25は、主に、搬送方向A1の上流に向かって送られる。
【0036】
押付ローラー28は、搬送方向A1において第1回転軸26と第2回転軸27との間に位置する。押付ローラー28は、キャリッジ19が走査する方向に延びるように位置する。押付ローラー28は、例えば、ケース24に保持される。
【0037】
押付ローラー28には、吸収体25が巻き掛けられる。押付ローラー28には、中間部分31が巻き掛けられる。押付ローラー28は、第2面33に接触する。押付ローラー28は、例えば、上下に移動するように構成される。押付ローラー28は、移動することによって、中間部分31をヘッド14に押し付ける。押付ローラー28が中間部分31をヘッド14に押し付ける状態で、ヘッド14と廃液回収部17とが相対的に移動することによって、ワイピングが実行される。本例では、廃液回収部17に対してヘッド14が移動するが、ヘッド14に対して廃液回収部17が移動してもよいし、ヘッド14及び廃液回収部17の双方が移動してもよい。本例では、ワイピングが実行される際、ヘッド14は、吸収体25が押し付けられた状態で、廃液回収部17に対して搬送方向A1の下流に向けて移動する。
【0038】
ガイドローラー29は、搬送方向A1において第1回転軸26と第2回転軸27との間に位置する。ガイドローラー29は、キャリッジ19が走査する方向に延びるように位置する。ガイドローラー29は、例えば、ケース24に保持される。ガイドローラー29は、ケース24に限らず、例えば筐体12に取り付けられてもよい。
【0039】
ガイドローラー29には、吸収体25が巻き掛けられる。ガイドローラー29には、中間部分31が巻き掛けられる。ガイドローラー29は、例えば、第1回転軸26から巻き出された吸収体25を第2回転軸27に向かってガイドする。吸収体25は、押付ローラー28とガイドローラー29とを経て、第1回転軸26から第2回転軸27に送られる。
【0040】
次に、廃液回収部17による廃液の回収について説明する。
廃液回収部17は、ヘッド14のメンテナンスが実行される場合に、ヘッド14から廃液を回収する。廃液回収部17は、吸収体25を静止させた状態で廃液を回収してもよいし、吸収体25送りながら廃液を回収してもよい。廃液回収部17は、例えば、クリーニングのように廃液の量が多い場合、吸収体25を送りながら廃液を回収してもよい。
【0041】
図2及び
図3に示すように、吸収体25が液体を吸収すると、吸収体25に吸収部分35が形成される。吸収部分35とは、吸収体25において液体を吸収した部分である。メンテナンスの種類、メンテナンスの回数などによって、吸収体25に形成される吸収部分35の長さ、吸収部分35の数などが異なる。
【0042】
廃液回収部17は、例えば、ヘッド14のメンテナンスが実行されるたびに、第1回転軸26から第2回転軸27に吸収体25を送る。廃液回収部17は、例えば、ヘッド14のメンテナンスが実行される場合、未使用の吸収体25で廃液を回収する。そのため、一度のメンテナンスで回収した廃液の量が多い場合や、メンテナンスを複数回実行した場合などでは、吸収部分35が第2回転軸27に巻き取られる場合がある。
【0043】
ヘッド14のメンテナンスによって吸収体25が液体を吸収すると、吸収体25に吸収された液体に硬化部15がエネルギーを与える。これにより、吸収体25に吸収された液体が硬化する。吸収体25に吸収された液体が硬化すると、吸収体25から液体が垂れたり、吸収体25から液体が飛散したりすることによって装置内を汚損するおそれが低減される。
【0044】
本例では、吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与えると、その液体が硬化することによって、吸収部分35が消失する。すなわち、吸収部分35とは、吸収体25において液体を吸収した部分であって、且つ、硬化部15によって硬化されていない部分である。
【0045】
ヘッド14から噴射される液体は、臭気を放つことがある。特に、ヘッド14がUVインクを噴射する場合、UVインクに含まれるモノマーが臭気を放ちやすい。そのため、UVインクを吸収体25に吸収させたまま放置すると、廃液回収部17から臭気が発生するおそれがある。この点、吸収体25に吸収された液体を硬化部15が硬化させることによって、UVインクに含まれるモノマーがポリマーに変化するため、廃液回収部17から臭気が発生するおそれが低減される。
【0046】
硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える時期は、限定されない。本例では、硬化部15は、ヘッド14のメンテナンスが完了した後に液体にエネルギーを与えるが、ヘッド14のメンテナンスと並行して液体にエネルギーを与えてもよい。例えば、ヘッド14のメンテナンスが実行されるたびに、吸収体25に吸収された液体に硬化部15がエネルギーを与えてもよい。すなわち、吸収体25が液体を吸収するたびに、液体を硬化させてもよい。例えば、ヘッド14のメンテナンスが複数回実行された後に、吸収体25に吸収された液体に硬化部15がエネルギーを与えてもよい。例えば、昇温部22が液体を昇温させている間に、吸収体25に吸収された液体に硬化部15がエネルギーを与えてもよい。この場合、液体噴射装置11が記録できない時間に、吸収体25に吸収された液体が硬化されるため、記録できない時間が有効活用される。
【0047】
硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える時間は、例えば、吸収体25が吸収した液体の量に基づいて異なっていてもよい。例えば、硬化部15に電圧が印加される時間が変更されることによって、硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える時間が変更されてもよい。第1回転軸26及び第2回転軸27によって単位時間あたりの吸収体25の送り量が変更されることによって、硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える時間が変更されてもよい。吸収体25が吸収する液体の量が多いほど、硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える時間を長くする。これにより、吸収体25に吸収された液体が適切に硬化される。
【0048】
本例では、硬化部15は、キャリッジ19に搭載されるため、吸収体25に吸収された液体を硬化させる場合、廃液回収部17の直上に移動する。これにより、硬化部15は、中間部分31と対向する。そのため、本例では、硬化部15は、吸収体25のうち中間部分31に向けてエネルギーを放出するように構成される。硬化部15は、廃液回収部17の直上に移動すると、第1面32と対向する。したがって、硬化部15は、吸収体25に吸収された液体を硬化させる場合、第1面32に向けてエネルギーを放出する。
【0049】
本例では、ヘッド14が中間部分31と対向する場合、硬化部15も中間部分31と対向可能である。そのため、ヘッド14のメンテナンス時に、硬化部15は、中間部分31と対向可能である。したがって、ヘッド14のメンテナンスと並行して、吸収体25に吸収された液体を硬化部15が硬化できる。
【0050】
廃液回収部17は、吸収体25に吸収された液体を硬化部15によって硬化させる場合、第1回転軸26及び第2回転軸27を回転させることによって、吸収部分35を硬化部15と対向させる。廃液回収部17は、例えば、吸収部分35を硬化部15の直下に位置させる。
【0051】
硬化部15は、中間部分31に対して硬化区間36に位置する部分に向けてエネルギーを放出する。硬化区間36とは、吸収体25に吸収された液体に対して硬化部15が一度にエネルギーを与えることが可能な区間である。すなわち、硬化区間36は、液体を硬化させるエネルギーが及ぶ区間である。本例では、硬化区間36は、硬化部15が一度に紫外線を照射可能な区間である。廃液回収部17は、吸収部分35が硬化区間36と重なるように第1回転軸26及び第2回転軸27を回転させることによって、吸収体25に吸収された液体を硬化させる。
【0052】
本例では、硬化部15が中間部分31と対向する状態において、硬化部15の照射範囲は、吸収体25の幅全体を含む。そのため、硬化部15は、吸収体25に対して、その幅全体に向けて一度にエネルギーを放出可能である。
【0053】
吸収部分35が硬化区間36に収まらない場合、例えば、吸収部分35の長さが硬化区間36の長さよりも長い場合、廃液回収部17は、吸収体25を送りつつ、硬化部15によって吸収部分35を硬化させる。具体的には、第1回転軸26に吸収体25を巻き戻しつつ、硬化部15が吸収部分35の液体にエネルギーを与える。すなわち、硬化部15は、吸収部分35を、第1回転軸26に近い部分から順次硬化させる。
【0054】
ここでの「第1回転軸26に吸収体25を巻き戻しつつ」とは、巻き戻している途中に吸収体25の巻き戻しを停止させ、所定時間経過後に再度巻き戻しを行う構成でもよい。そのため、「第1回転軸26に吸収体25を巻き戻しつつ、硬化部15が吸収部分35の液体にエネルギーを与える」構成とは、巻き戻しの途中で吸収体25の巻き戻しを停止させ、液体にエネルギーを与えた後に再度巻き戻しを行う構成も含む。
【0055】
このとき、第1回転軸26は、連続的に巻き取ってもよいし、断続的に巻き取ってもよい。これにより、吸収部分35が第1回転軸26に巻き取られるおそれが低減される。例えば、硬化部15が吸収部分35を、第2回転軸27に近い部分から順次硬化させる場合、吸収部分35が第1回転軸26に巻き取られるおそれがある。この場合、吸収部分35の液体が未使用の部分に付着するおそれがある。
【0056】
吸収部分35が複数ある場合でも同様に、複数の吸収部分35のうち第1回転軸26に近い位置に位置する吸収部分35から順次硬化させる。これにより、吸収部分35が第1回転軸26に巻き取られるおそれが低減される。
【0057】
吸収体25では、第1面32が受けた液体の量によっては、受けた液体が第2面33に染み出ることがある。本例では、硬化部15が第1面32と対向するため、第2面33に染み出た液体を硬化させにくい。そのため、第2面33に染み出た液体の硬化が不足しているおそれがある状態で、第1回転軸26が吸収体25を巻き取る場合がある。この点、第1回転軸26は、硬化部15によってエネルギーが第1面32に向けて放出された後の吸収体25を巻き取る場合、第1面32を内側に吸収体25を巻き取る。そのため、第2面33に染み出た液体が未使用の吸収体25に付着するおそれが低減される。
【0058】
吸収体25は、硬化部15によって吸収部分35の液体が硬化された後、第2回転軸27に巻き取られる。本例では、上述したように、第2面33に染み出た液体の硬化が不足しているおそれがある状態で、第2回転軸27が吸収体25を巻き取る場合がある。この点、第2回転軸27は、硬化部15によってエネルギーが第1面32に向けて放出された後の吸収体25を、第2面33が内側となるように巻き取る。そのため、第2面33に染み出た液体が第2面33から垂れるおそれが低減される。また、第2面33に染み出た液体から臭気が発生するおそれが低減される。
【0059】
本例では、上述したように、吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える前に、吸収体25が第2回転軸27に巻き取られる場合がある。第2回転軸27が吸収部分35を巻き取ると、吸収部分35の液体が第2回転軸27に保持されている使用済の吸収体25に付着する。これにより、吸収部分35の液体量が減少するため、吸収部分35を硬化させやすくなる。特に、第2面33を硬化させやすくなる。したがって、廃液回収部17は、吸収部分35を一旦第2回転軸27に巻き取らせた後、第2回転軸27から第1回転軸26に巻き戻してから、硬化部15によって吸収部分35を硬化させてもよい。このように、廃液回収部17は、吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える前に、吸収部分35を第2回転軸27が巻き取った場合、吸収体25を第2回転軸27から第1回転軸26に巻き戻し、巻き戻した吸収部分35を硬化させてもよい。この場合、第2面33から染み出た液体が付着した使用済の吸収体25に向けて、硬化部15がエネルギーを放出してもよい。
【0060】
次に、制御部16が廃液回収部17を制御することによる具体的な廃液回収方法の一例について説明する。廃液回収部17は、例えば、廃液を吸収する吸収動作を実行する。廃液回収部17は、例えば、吸収動作が完了した後、回収した廃液を硬化させる硬化動作を実行する。硬化動作は、複数の吸収動作を経た後に実行されてもよい。硬化動作が実行される契機は、限定されない。例えば、硬化動作は、ユーザーの指示に基づいて実行されてもよいし、昇温部22による液体の昇温時に実行されてもよい。吸収動作及び硬化動作は、制御部16が廃液回収部17を制御することによって実行される。吸収動作及び硬化動作によって、廃液が回収される。
【0061】
本例では、廃液回収部17は、廃液を回収した後にその廃液を硬化させるが、廃液を回収しながらその廃液を硬化させてもよい。廃液を回収しながらその廃液を硬化させる場合、吸収体25は、第1回転軸26から第2回転軸27に送られながら、ヘッド14から液体を吸収し、硬化部15から放出されるエネルギーを受ける。
【0062】
制御部16は、ヘッド14をメンテナンスする場合に、吸収動作を実行する。吸収動作では、制御部16は、廃液を吸収体25に吸収させる。このとき、制御部16は、第1回転軸26及び第2回転軸27を制御することによって、吸収体25のうち未使用の部分をヘッド14と対向させる。
【0063】
制御部16は、吸収体25のうち未使用の部分で、廃液を吸収する。制御部16は、例えば、ワイピングの場合には、吸収体25をヘッド14に接触させる。制御部16は、例えば、フラッシング、クリーニングの場合には、ヘッド14から噴射される液体を吸収体25で受ける。これにより、吸収体25に吸収部分35が形成される。制御部16は、廃液を吸収体25で吸収し終えると、吸収動作を終了する。
【0064】
図4に示すように、制御部16は、ステップS11において、吸収部分35を第2回転軸27に保持させる。すなわち、制御部16は、吸収部分35を第2回転軸27に巻き付けさせる。このとき、制御部16は、第1回転軸26及び第2回転軸27を制御することによって、吸収体25を第1回転軸26から第2回転軸27に送る。吸収部分35が第2回転軸27に保持されると、吸収部分35の液体が使用済の部分に付着する。吸収部分35が複数ある場合、例えば、すべての吸収部分35が第2回転軸27に保持されるように制御する。したがって、制御部16は、吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える前に、吸収部分35を第2回転軸27に巻き取らせる。
【0065】
制御部16は、ステップS12において、吸収体25を巻き戻し、吸収部分35の液体を硬化させる。このとき、制御部16は、第1回転軸26及び第2回転軸27を制御することによって、吸収体25を第2回転軸27から第1回転軸26に巻き戻す巻戻動作を実行する。制御部16は、巻戻動作を実行することによって、吸収部分35を硬化区間36に位置させる。吸収部分35が複数ある場合、制御部16は、複数の吸収部分35のうち第1回転軸26に最も近い吸収部分35を硬化区間36に位置させる。制御部16は、硬化部15を制御することによって、吸収部分35の液体を硬化させる。制御部16は、硬化部15、第1回転軸26及び第2回転軸27を制御することによって、吸収体25に吸収された液体を第1回転軸26に近い部分から順次硬化させる。ここでの巻戻動作は、巻き戻しを開始してから完了するまでを指す。
【0066】
制御部16は、ステップS12において、吸収体25を巻き戻しながら硬化させてもよいし、巻き戻し終えた後に硬化させてもよい。例えば、吸収部分35が硬化区間36に収まらない場合、吸収部分35が複数ある場合などでは、吸収体25を巻き戻しながら硬化させる。吸収部分35が1つで且つ硬化区間36に収まる場合には、巻き戻し終えた後に硬化させる。すなわち、吸収体25を第2回転軸27から第1回転軸26に巻き戻す巻戻動作と並行、又は、巻戻動作後に、吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える。巻戻動作としては、巻戻動作中に吸収体25の巻き戻しを停止させ、所定時間経過後に再度巻き戻しを行う構成でもよい。そのため、巻戻動作と並行して吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える構成とは、巻戻動作中に吸収体25の巻き戻しを停止させ、硬化部15がエネルギーを与えた後に再度巻き戻しを行う構成も含む。
【0067】
制御部16は、巻戻動作において、ステップS11で吸収部分35を第2回転軸27が巻き取った際に第1回転軸26から第2回転軸27に送った吸収体25の長さよりも長い量の吸収体25を巻き戻してもよい。制御部16は、例えば、吸収部分35が第2回転軸27に巻き取られることによって、吸収部分35の液体が付着したと見込まれる使用済の部分を硬化区間36に位置させるように吸収体25を巻き戻してもよい。この場合、制御部16は、巻戻動作と並行して、硬化部15から吸収部分35の液体にエネルギーを与える。
【0068】
制御部16は、ステップS12の処理を終えると、硬化処理を終了する。その結果、吸収体25に吸収された液体が硬化される。
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0069】
(1)硬化部15は、吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える。
上記構成によれば、硬化部15によって、吸収体25に吸収された液体が硬化される。これにより、例えば、吸収体25から液体が垂れることによって装置内が汚損されるおそれを低減できる。また、吸収体25に吸収された液体から臭気が発生するおそれを低減できる。
【0070】
(2)第2回転軸27は、硬化部15によってエネルギーが第1面32に向けて放出された後の吸収体25を、第2面33が内側となるように巻き取る。
吸収体25がヘッド14から第1面32で液体を受けると、吸収した液体が第2面33に染み出る場合がある。硬化部15は第1面32に向けてエネルギーを放出するため、第2面33に染み出た液体が硬化しにくい。そのため、例えば、第2面33が外側となるように第2回転軸27が吸収体25を巻き取ると、第2面33に染み出た液体が第2面33から垂れるおそれがある。この点、上記構成によれば、第2面33が内側となるように第2回転軸27が吸収体25を巻き取るため、第2面33に染み出た液体が第2面33から垂れるおそれが低減される。また、第2面33に染み出た液体から臭気が発生するおそれを低減できる。
【0071】
(3)第1回転軸26は、硬化部15によってエネルギーが第1面32に向けて放出された後の吸収体25を巻き取る場合、第1面32が内側となるように吸収体25を巻き取る。
【0072】
吸収体25がヘッド14から第1面32で液体を受けると、吸収した液体が第2面33に染み出る場合がある。硬化部15は第1面32に向けてエネルギーを放出するため、第2面33に染み出た液体が硬化しにくい。そのため、例えば、第2面33が内側となるように第1回転軸26が吸収体25を巻き取ると、第2面33に染み出た液体が未使用の吸収体25に付着するおそれがある。この点、上記構成によれば、第1面32が内側となるように第1回転軸26が吸収体25を巻き取るため、第2面33に染み出た液体が未使用の吸収体25に付着するおそれが低減される。
【0073】
(4)吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える前に、吸収部分35を第2回転軸27が巻き取った場合、廃液回収部17は、吸収体25を第2回転軸27から第1回転軸26に巻き戻す巻戻動作を実行する。巻戻動作と並行、又は、巻戻動作後に、吸収部分35の液体に硬化部15がエネルギーを与える。
【0074】
上記構成によれば、吸収部分35を第2回転軸27が巻き取った場合、第2面33に染み出た液体が使用済の部分に吸収される。この場合、吸収部分35の液体量が低減されるため、吸収部分35の液体を硬化させやすくなる。
【0075】
(5)巻戻動作では、吸収部分35を第2回転軸27が巻き取った際に第1回転軸26から第2回転軸27に送った吸収体25の長さよりも長い量の吸収体25を巻き戻す。硬化部15は、巻戻動作と並行して、吸収部分35の液体にエネルギーを与える。
【0076】
上記構成によれば、吸収部分35を第2回転軸27が巻き取ることによって使用済の吸収体25に付着した液体を硬化できる。さらに、使用済の吸収体25に付着した液体から臭気が発生するおそれを低減できる。
【0077】
(6)吸収体25において液体を吸収した部分である吸収部分35の長さが、硬化部15がエネルギーを一度に与えることが可能な硬化区間36の長さよりも長い場合に、第1回転軸26が吸収体25を巻き戻しつつ、硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える。
【0078】
上記構成によれば、吸収体25に吸収された液体を、第1回転軸26に近い部分から硬化部15によって硬化できる。これにより、吸収部分35が第1回転軸26に巻き取られるおそれが低減される。その結果、吸収体25において吸収部分35の液体が未使用の部分に付着するおそれが低減される。
【0079】
(7)硬化部15が吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える時間は、吸収体25が吸収した液体の量に基づいて変更される。
上記構成によれば、吸収体25に吸収される液体を効果的に硬化できる。
【0080】
(8)硬化部15は、昇温部22が液体を昇温させている間に、吸収体25に吸収された液体にエネルギーを与える。
上記構成によれば、昇温部22が液体を昇温させている時間を有効活用できる。
【0081】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1回転軸26及び第2回転軸27は、キャリッジ19が走査する方向に並ぶように位置してもよい。ラインプリンターの場合、第1回転軸26及び第2回転軸27は、ヘッド14の長手方向に並ぶように位置してもよい。こうした変更例では、第1回転軸26及び第2回転軸27は、例えば、搬送方向A1に延びるように位置する。
【0082】
・媒体99に噴射された液体を硬化させる硬化部15とは別に、吸収体25が吸収した液体を硬化させる硬化部を別途設けてもよい。
・硬化部15は、第2回転軸27に保持されている部分に向けてエネルギーを放出するように構成されてもよい。例えば、硬化部15は、吸収体25のうち第2回転軸27に保持されている部分に向けてエネルギーを放出するように構成されてもよい。
【0083】
・硬化部15は、吸収体25に対して、第2面33に向けてエネルギーを放出するように構成されてもよい。例えば、硬化部15は、第2面33と対向するように位置してもよい。
【0084】
・硬化部15は、ヘッド14に対してキャリッジ19が走査する方向に並ぶように設けられてもよい。
・硬化部15は、第1面32に対して、その幅全体にわたって一度にエネルギーを放出可能でなくともよく、例えば、硬化部15の照射範囲に、吸収体25の幅全体が含まれなくともよい。この場合、硬化部15又は吸収体25が移動することによって、硬化部15は、吸収体25の幅全体に向けてエネルギーを放出できる。
【0085】
・第1回転軸26は、メンテナンス終了時に、未使用の吸収体25を第2回転軸27側に向けて巻き出してもよい。この際に、第1回転軸26から巻き出された分の吸収体25を第2回転軸27で巻き取ってもよい。これによって、メンテナンスを行わない際には、吸収体25の未使用部分が第1回転軸26と第2回転軸27との間に位置することになる。そのため、ユーザーが吸収部分35または吸収体25に吸収された液体が硬化した箇所に触れる虞が低減される。
【0086】
また、吸収体25に吸収された液体が硬化する際に、吸収体25の面に対して凹凸を形成して硬化することがある。硬化された箇所がヘッド14または硬化部15と対向する位置にあると、キャリッジ19を移動させる際に、ヘッド14または硬化部15と液体が硬化した箇所が擦れる虞がある。
【0087】
この場合にも、吸収体25の未使用部分を第1回転軸26と第2回転軸27との間に位置させることで、ヘッド14または硬化部15と液体が硬化した箇所が擦れることを低減できる。この際、第1回転軸26が巻き出す吸収体25の未使用部分の長さは、ヘッド14または硬化部15の長さと同等の長さがあればよい。つまり、ヘッド14または硬化部15と対向する位置が吸収体25の未使用部分であればよい。
【0088】
また、メンテナンス終了時に吸収体25の未使用部分を第1回転軸26と第2回転軸27との間に位置させた場合、次のメンテナンス開始時には第1回転軸26が吸収体25の未使用部分を巻き取る動作を行ってからメンテナンスを行うことが好ましい。この構成によって、過去のメンテナンスで使用した吸収体25の続きから使用することができ、吸収体25の使用量を低減することができる。
【0089】
・ヘッド14が噴射する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド14が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材または画素材料などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射してもよい。
【0090】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体噴射装置は、液体を噴射するヘッドと、液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させる硬化部と、液体を廃液として回収する廃液回収部と、を備え、前記廃液回収部は、前記ヘッドから液体を吸収する吸収体と、未使用の前記吸収体を保持する第1回転軸と、使用済の前記吸収体を保持する第2回転軸と、を有し、前記硬化部は、前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与える。
【0091】
上記構成によれば、硬化部によって、吸収体に吸収された液体が硬化される。そのため、例えば、吸収体から液体が垂れるおそれが低減される。これにより、装置内が汚損されるおそれを低減できる。
【0092】
(B)上記液体噴射装置において、前記吸収体は、前記ヘッドから液体を受ける面である第1面と、前記第1面と反対の面である第2面とを有し、前記硬化部は、前記第1面に向けて前記エネルギーを放出するように構成され、前記第2回転軸は、前記硬化部によって前記エネルギーが前記第1面に向けて放出された後の前記吸収体を、前記第2面が内側となるように巻き取ってもよい。
【0093】
吸収体がヘッドから第1面で液体を受けると、吸収した液体が第2面に染み出る場合がある。硬化部は第1面に向けてエネルギーを放出するため、第2面に染み出た液体が硬化しにくい。そのため、例えば、第2面が外側となるように第2回転軸が吸収体を巻き取ると、第2面に染み出た液体が第2面から垂れるおそれがある。この点、上記構成によれば、第2面が内側となるように第2回転軸が吸収体を巻き取るため、第2面に染み出た液体が第2面から垂れるおそれが低減される。
【0094】
(C)上記液体噴射装置において、前記吸収体は、前記ヘッドから液体を受ける面である第1面と、前記第1面と反対の面である第2面とを有し、前記硬化部は、前記第1面に向けて前記エネルギーを放出するように構成され、前記第1回転軸は、前記硬化部によって前記エネルギーが前記第1面に向けて放出された後の前記吸収体を巻き取る場合、前記第1面が内側となるように前記吸収体を巻き取ってもよい。
【0095】
吸収体がヘッドから第1面で液体を受けると、吸収した液体が第2面に染み出る場合がある。硬化部は第1面に向けてエネルギーを放出するため、第2面に染み出た液体が硬化しにくい。そのため、例えば、第2面が内側となるように第1回転軸が吸収体を巻き取ると、第2面に染み出た液体が未使用の吸収体に付着するおそれがある。この点、上記構成によれば、第1面が内側となるように第1回転軸が吸収体を巻き取るため、第2面に染み出た液体が未使用の吸収体に付着するおそれが低減される。
【0096】
(D)上記液体噴射装置において、前記硬化部は、前記吸収体に対して前記第1回転軸に保持されている部分と前記第2回転軸に保持されている部分との間となる部分に向けて前記エネルギーを放出するように構成され、前記吸収体において液体を吸収した部分である吸収部分の液体に前記硬化部が前記エネルギーを与える前に、前記吸収部分を前記第2回転軸が巻き取った場合、前記廃液回収部は、前記吸収体を前記第2回転軸から前記第1回転軸に巻き戻す巻戻動作を実行し、前記巻戻動作と並行、又は、前記巻戻動作後に、前記吸収部分の液体に前記硬化部が前記エネルギーを与えてもよい。
【0097】
上記構成によれば、吸収部分を第2回転軸が巻き取った場合、第2面に染み出た液体が使用済の部分に吸収される。この場合、吸収部分の液体量が低減されるため、吸収部分の液体を硬化させやすくなる。
【0098】
(E)上記液体噴射装置において、前記巻戻動作では、前記吸収部分を前記第2回転軸が巻き取った際に前記第1回転軸から前記第2回転軸に送った前記吸収体の長さよりも、長い量の前記吸収体を巻き戻し、前記硬化部は、前記巻戻動作と並行して、前記吸収部分の液体に前記エネルギーを与えてもよい。
【0099】
上記構成によれば、吸収部分を第2回転軸が巻き取ることによって使用済の吸収体に付着した液体を硬化できる。
(F)上記液体噴射装置において、前記吸収体において液体を吸収した部分である吸収部分の長さが、前記硬化部が前記エネルギーを一度に与えることが可能な硬化区間の長さよりも長い場合に、前記第1回転軸が前記吸収体を巻き戻しつつ、前記硬化部が前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与えてもよい。
【0100】
上記構成によれば、吸収体に吸収された液体を、第1回転軸に近い部分から硬化部によって硬化できる。これにより、吸収部分が第1回転軸に巻き取られるおそれが低減される。その結果、吸収体において吸収部分の液体が未使用の部分に付着するおそれが低減される。
【0101】
(G)上記液体噴射装置において、前記硬化部が前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与える時間は、前記吸収体が吸収した液体の量に基づいて変更されてもよい。
上記構成によれば、吸収体に吸収される液体を効果的に硬化できる。
【0102】
(H)上記液体噴射装置は、前記ヘッドが噴射する液体を昇温可能な昇温部を備え、前記硬化部は、前記昇温部が液体を昇温させている間に、前記吸収体に吸収された液体に前記エネルギーを与えてもよい。
【0103】
上記構成によれば、昇温部が液体を昇温させている時間を有効活用できる。
(I)ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置の廃液回収方法であって、第1回転軸及び第2回転軸に保持される吸収体において、前記ヘッドから噴射される液体を廃液として吸収した部分である吸収部分を、使用済の前記吸収体を保持する前記第2回転軸が巻き取った場合、前記第2回転軸から、未使用の前記吸収体を保持する前記第1回転軸に前記吸収体を巻き戻す巻戻動作を実行することと、前記巻戻動作と並行、又は、前記巻戻動作後に、前記第1回転軸に保持されている部分と前記第2回転軸に保持されている部分との間で前記吸収部分の液体にエネルギーを与えることによって液体を硬化させることと、を含む。
【0104】
上記構成によれば、上述した液体噴射装置と同様の効果が得られる。
(J)ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置の廃液回収方法であって、第1回転軸及び第2回転軸に保持される吸収体において、前記ヘッドから噴射される液体を廃液として吸収した部分である吸収部分の長さが、液体を硬化させるエネルギーが及ぶ硬化区間の長さよりも長い場合、未使用の前記吸収体を保持する前記第1回転軸に前記吸収体を巻き戻しつつ、前記吸収部分の液体に前記エネルギーを与えることを含む。
【0105】
上記構成によれば、上述した液体噴射装置と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0106】
11…液体噴射装置、12…筐体、13…支持部、14…ヘッド、15…硬化部、16…制御部、17…廃液回収部、18…ノズル、19…キャリッジ、21…液体収容部、22…昇温部、24…ケース、25…吸収体、26…第1回転軸、27…第2回転軸、28…押付ローラー、29…ガイドローラー、31…中間部分、32…第1面、33…第2面、35…吸収部分、36…硬化区間、99…媒体。