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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/06 20060101AFI20241008BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20241008BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20241008BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B25J13/06
B25J19/06
B25J9/22 A
G05B19/42 J
G05B19/42 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021019546
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122366
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山口 航輝
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-189391(JP,A)
【文献】特開2015-157325(JP,A)
【文献】特開2007-268662(JP,A)
【文献】特開2010-052106(JP,A)
【文献】特開2010-247279(JP,A)
【文献】国際公開第2003/086718(WO,A1)
【文献】特開2018-043307(JP,A)
【文献】特開2005-230919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ー 21/02
G05B 19/42 - 19/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターを備える複数のロボットアームと、
前記ロボットアームを制御する複数のコントローラーと、
前記コントローラーを指定して指示信号を送信する教示装置と、を備え、
前記コントローラーは、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、
前記モーターを稼働するか否かを制御するモーター稼働制御部と、
前記教示装置と電気的に接続する配線を接続するコネクターと、
前記モーターを稼働するか否かを設定するスイッチ部と、を備え、
前記モーター稼働制御部は、前記指示信号に関わらず、前記スイッチ部における前記モーターを稼働するか否かの設定に基づいて、前記モーターの稼働を制御することを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットシステムであって、
前記スイッチ部は着脱可能な鍵と錠前とを備え、
前記錠前を施錠するか開錠するかにより前記モーターを稼働するか否かが設定可能になることを特徴とするロボットシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロボットシステムであって、
前記コントローラーは前記モーターを稼働するか否かの設定を示す設定情報を前記教示装置に送信し、
前記教示装置は前記モーターを稼働するか否かの設定を表示することを特徴とするロボットシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のロボットシステムであって、
前記コントローラーはモーター停止条件を記憶する記憶部を備え、
前記ロボットアームの動作が前記モーター停止条件に該当するとき、前記制御部は、前記モーターを停止し、前記モーターにブレーキをかけて前記ロボットアームの姿勢を維持することを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産効率を向上させるために、多くの工場では複数のロボットが稼働する。各ロボットは教示装置としてのペンダントを操作してロボットアームとしてのロボットの動作を指示する。複数のロボット及びペンダントを備えるロボットシステムが特許文献1に開示されている。これによると、各ロボットにはロボットコントローラーが電気的に接続される。ロボットコントローラーはロボットを制御する。複数のロボットコントローラーは上位コントローラーと電気的に接続される。
【0003】
上位コントローラーはそれぞれのロボットに対応した複数のコネクターを備える。各コネクターはそれぞれロボットと対応する。例えば、第1ロボット~第10ロボットの10台のロボットに対して、上位コントローラーには第1コネクター~第10コネクターの10個のコネクターが設置される。第1ロボットの動作を指示するときにはペンダントのコネクターと第1コネクターとが電気的に接続される。第2ロボットの動作を指示するときにはペンダントのコネクターと第2コネクターとが電気的に接続される。動作を指示するロボットに対応するコネクターにペンダントのコネクターを接続することにより、操作するロボットが指定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-204439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成ではペンダントのコネクターと操作対象でないロボットのコネクターとを誤って接続した場合や、上位コントローラーが故障した場合に、操作対象でないロボットが作動してしまう恐れがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ロボットシステムは、モーターを備える複数のロボットアームと、前記ロボットアームを制御する複数のコントローラーと、前記コントローラーを指定して指示信号を送信する教示装置と、を備え、前記コントローラーは、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記モーターを稼働するか否かを制御するモーター稼働制御部と、前記教示装置と電気的に接続する配線を接続するコネクターと、前記モーターを稼働するか否かを設定するスイッチ部と、を備え、前記モーター稼働制御部は、前記指示信号に関わらず、前記スイッチ部における前記モーターを稼働するか否かの設定に基づいて、前記モーターの稼働を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態にかかわるロボットシステムの構成を示すブロック図。
図2】教示装置の構成を示すブロック図。
図3】第1コントローラーの構成を示すブロック図。
図4】第1コントローラーの構成を示すブロック図。
図5】イネーブルスイッチ及びイネーブル有効・無効スイッチとロボットアームの動作状態との関係を説明するための図。
図6】イネーブルスイッチ及びイネーブル有効・無効スイッチとロボットアームの動作状態との関係を説明するための図。
図7】第2実施形態にかかわる第1コントローラーの構成を示すブロック図。
図8】第3実施形態にかかわる第1コントローラーの構成を示すブロック図。
図9】第4実施形態にかかわる第1コントローラーの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1実施形態
本実施形態では、ロボットシステムの特徴的な例について、図に従って説明する。図1に示すように、ロボットシステム1はロボットアームとしての第1ロボットアーム2、ロボットアームとしての第2ロボットアーム3及びロボットアームとしての第3ロボットアーム4を備える。ロボットシステム1は複数のロボットアームを備え、ロボットアームの台数は限定されない。
【0009】
第1ロボットアーム2~第3ロボットアーム4は複数のモーター5を備え、各モーター5にはブレーキ6が備わっている。モーター5に電流が流れないとき、ブレーキ6が動作するので、第1ロボットアーム2は所定の姿勢を維持する。第2ロボットアーム3及び第3ロボットアーム4は第1ロボットアーム2と同じ構造になっている。
【0010】
ロボットシステム1はロボットアームを制御する複数のコントローラーを備える。第1ロボットアーム2は配線7によりコントローラーとしての第1コントローラー8と電気的に接続される。第1コントローラー8は第1ロボットアーム2を制御する。第2ロボットアーム3は配線7によりコントローラーとしての第2コントローラー9と電気的に接続される。第2コントローラー9は第2ロボットアーム3を制御する。第3ロボットアーム4は配線7によりコントローラーとしての第3コントローラー11と電気的に接続される。第3コントローラー11は第3ロボットアーム4を制御する。
【0011】
ロボットシステム1はコントローラーを指定して指示信号を送信する教示装置12を備える。教示装置12と第1コントローラー8とは配線7により電気的に接続される。第1コントローラー8と第2コントローラー9とは配線7により電気的に接続される。第2コントローラー9と第3コントローラー11とは配線7により電気的に接続される。
【0012】
教示装置12、第1コントローラー8、第2コントローラー9及び第3コントローラー11の接続形態はデイジーチェーンになっている。教示装置12は第1コントローラー8、第2コントローラー9及び第3コントローラー11に指示信号を送信する。
【0013】
第1コントローラー8は教示装置12と電気的に接続する配線7を接続するコネクターとしての第1コネクター13を備える。第1コントローラー8は第2コントローラー9及び第3コントローラー11の複数のコントローラーとの間を電気的に接続する配線7を接続するコネクターとしての第2コネクター14を備える。第1コントローラー8は第1ロボットアーム2と電気的に接続される配線7を接続する第3コネクター15を備える。
【0014】
第2コントローラー9は教示装置12と電気的に接続する配線7を接続する第4コネクター16を備える。第4コネクター16に接続された配線7は、第1コントローラー8を介して、教示装置12と電気的に接続される。第2コントローラー9は第3コントローラー11との間を電気的に接続する配線7を接続する第5コネクター17を備える。第2コントローラー9は第2ロボットアーム3と電気的に接続される配線7を接続する第6コネクター18を備える。
【0015】
第3コントローラー11は教示装置12と電気的に接続する配線7を接続する第7コネクター19を備える。第7コネクター19に接続された配線7は、第1コントローラー8及び第2コントローラー9を介して、教示装置12と電気的に接続される。第3コントローラー11は第3ロボットアーム4と電気的に接続される配線7を接続する第8コネクター21を備える。
【0016】
図2以降の回路図において配線が交差する場所に点があるとき、交差する配線は電気的に接続される。配線が交差する場所に点がないとき、配線は電気的に接続されない。図2に示すように、教示装置12は教示用電源部22及びイネーブルスイッチ23を備える。イネーブルスイッチ23は第1ロボットアーム2~第3ロボットアーム4を動作可能とするか動作しないようにするかを選択する操作部である。教示用電源部22はイネーブルスイッチ23に所定の電圧を供給する。所定の電圧は第1コントローラー8~第3コントローラー11が備えるフォトカプラーを駆動する電圧である。
【0017】
イネーブルスイッチ23は第1スイッチ23a、第2スイッチ23b及び押しボタン23cを備える。第1スイッチ23a及び第2スイッチ23bは押しボタン23cに連動する。第1スイッチ23a及び第2スイッチ23bはそれぞれ3つの接点を備える。3つの接点の1つに教示用電源部22から電圧が供給される。第1スイッチ23aには第1配線7aが電気的に接続される。第2スイッチ23bには第2配線7bが電気的に接続される。
【0018】
教示装置12は棒状の握り部を備え、操作者は握り部を握って操作する。押しボタン23cは握り部に設置される。操作者が教示装置12を保持する握力で握り部を握ると押しボタン23cが押される。操作者が握り部を離すと押しボタン23cは押されない。
【0019】
操作者が押しボタン23cを押していないとき、第1スイッチ23a及び第2スイッチ23bは切れて第1配線7a及び第2配線7bに教示用電源部22の電圧が印加されない。操作者が押しボタン23cを押すとき、第1スイッチ23a及び第2スイッチ23bが入るので第1配線7a及び第2配線7bに教示用電源部22の電圧が印加される。操作者が押しボタン23cを強く押すとき、第1スイッチ23a及び第2スイッチ23bが切れて第1配線7a及び第2配線7bに教示用電源部22の電圧が印加されない。スイッチが切れるとき、スイッチを含む回路が開く。スイッチが入るとき、スイッチを含む回路が閉じる。
【0020】
操作者が握り部を握らないとき、第1配線7a及び第2配線7bには教示用電源部22の電圧が印加されない。操作者が握り部を通常の握力で握るとき、第1配線7a及び第2配線7bに教示用電源部22の電圧が印加される。操作者が握り部を強く握るとき、第1配線7a及び第2配線7bには教示用電源部22の電圧が印加されない。
【0021】
教示装置12は他にも、教示制御部24を備える。教示制御部24には教示入力部25、教示表示部26、第1稼働表示部27、第2稼働表示部28及び第3稼働表示部29が電気的に接続される。配線7は第1配線7a及び第2配線7bに加えて第3配線7cを備える。第3配線7cは教示制御部24と第1コントローラー8とを電気的に接続する。他にも、配線7には電圧が0ボルトのグランドレベルの第6配線7fが含まれる。
【0022】
教示入力部25はタッチキー、ジョイスティックや押しボタン等である。操作者は教示入力部25を操作して第1ロボットアーム2~第3ロボットアーム4の動作を指示する。
【0023】
教示表示部26は液晶表示装置やプラズマディスプレイ等で構成される。教示表示部26には教示入力部25から入力された情報や第1ロボットアーム2~第3ロボットアーム4の状態を示す情報が表示される。
【0024】
第1稼働表示部27、第2稼働表示部28及び第3稼働表示部29は例えば赤と青等の2色表示可能なLED(light emitting diode)が用いられる。第1稼働表示部27には第1ロボットアーム2の動作状態が示される。第2稼働表示部28には第2ロボットアーム3の動作状態が示される。第3稼働表示部29には第3ロボットアーム4の動作状態が示される。赤色LEDが点灯するとき、対応するロボットアームは稼働状態である。青色LEDが点灯するとき、対応するロボットアームは休止状態である。
【0025】
第1コントローラー8~第3コントローラー11はモーター5を稼働するか否かの設定を示す設定情報を教示装置12の教示制御部24に送信する。教示制御部24はモーター5を稼働するか否かの設定を示す設定情報を入力し、設定情報に対応する第1稼働表示部27~第3稼働表示部29を点灯する。ロボットシステム1では教示装置12の第1稼働表示部27~第3稼働表示部29がモーター5を稼働するか否かの設定を表示する。
【0026】
この構成によれば、教示装置12にはモーター5を稼働するか否かの設定が表示される。従って、操作者は教示装置12を見て、操作対象のロボットアームのモーター5を操作可能であるか否かを確認できる。
【0027】
教示装置12は第9コネクター30を備える。配線7は第9コネクター30を介して教示装置12と第1コントローラー8とを電気的に接続する。
【0028】
図3に示すように、第1コントローラー8は教示装置12と配線7の第1配線7a、第2配線7b、第3配線7c及び第6配線7fにより電気的に接続される。第1配線7a、第2配線7b、第3配線7c及び第6配線7fは第2コントローラー9と電気的に接続される。
【0029】
第1コントローラー8はモーター5を稼働するか否かを制御するモーター稼働制御部31と、モーター5を稼働するか否かを設定するスイッチ部としての第1イネーブル有効・無効スイッチ32と、を備える。
【0030】
第1イネーブル有効・無効スイッチ32は第3スイッチ32a及び第4スイッチ32bを備える。第3スイッチ32aは第1接点32cと第2接点32dとの間で回路の開閉を行う。第4スイッチ32bは第3接点32eと第4接点32fとの間で回路の開閉を行う。
【0031】
第1接点32cは第1配線7aと電気的に接続される。第3接点32eは第2配線7bと電気的に接続される。第2接点32dは第4配線7dによりモーター稼働制御部31と電気的に接続される。第4接点32fは第5配線7eによりモーター稼働制御部31と電気的に接続される。
【0032】
第1イネーブル有効・無効スイッチ32は着脱可能な鍵32gと錠前32hとを備える。錠前32hを施錠するか開錠するかによりモーター5を稼働するか否かの設定が可能になる。この構成によれば、鍵32gを管理することにより第1コントローラー8の動作を管理することができる。第2コントローラー9及び第3コントローラー11は第1コントローラー8と同じく第1イネーブル有効・無効スイッチ32を備える。従って、動かすコントローラー数の管理や、鍵32gを操作する操作者の管理を容易に行うことができる。
【0033】
鍵32gの数は限定されない。鍵32gを複数用意すれば複数の操作者が複数台の第1イネーブル有効・無効スイッチ32を同時に操作できるので作業性を向上できる。鍵32gの個数を1つにして、鍵32gを操作する操作者を1人に限定しても良い。ロボットシステム1を厳しく管理することができる。
【0034】
第3スイッチ32a及び第4スイッチ32bは鍵32gの操作と電動する。鍵32gを用いて操作者が錠前32hを施錠するとき、第3スイッチ32a及び第4スイッチ32bが入る。このとき、教示用電源部22から所定の電圧がモーター稼働制御部31に印加される。鍵32gを用いて操作者が錠前32hを開錠するとき、第3スイッチ32a及び第4スイッチ32bが切れる。このとき、所定の電圧はモーター稼働制御部31に印加されない。
【0035】
モーター稼働制御部31に第4配線7dから所定の電圧が印加され、且つ、第5配線7eから所定の電圧が印加されるとき、第1ロボットアーム2のモーター5が稼働可能になる。第1配線7aまたは第2配線7bが断線するとき、第1ロボットアーム2のモーター5は稼働されない。
【0036】
モーター稼働制御部31には第1表示部33が電気的に接続される。第1稼働表示部27と同じく第1表示部33は赤色のLED及び青色のLEDを備える。第1ロボットアーム2のモーター5が稼働可能のとき、第1表示部33は赤色のLEDを点灯する。第1ロボットアーム2のモーター5は稼働されないとき、第1表示部33は青色のLEDを点灯する。操作者は第1表示部33を見て第1ロボットアーム2のモーター5が稼働可能であるか否かを確認する。
【0037】
第1コントローラー8はロボットアームの動作を制御する制御部34を備える。制御部34は第3配線7cと電気的に接続される。制御部34は第3配線7cを介して教示制御部24と通信する。
【0038】
第1コントローラー8は第1ロボットアーム2のモーター5を駆動するモーター駆動部35を備える。モーター駆動部35は制御部34から駆動信号を入力して、駆動信号に基づいて第1ロボットアーム2のモーター5を駆動する。
【0039】
第1コントローラー8は第1電源部36を備える。第1電源部36はモーター稼働制御部31、制御部34及びモーター駆動部35に電力を供給する。
【0040】
第1コントローラー8は接地部37を備える。接地部37はシャーシアースである。接地部37は地面に埋設させたアースと電気的に接続しても良い。接地部37は第6配線7fにて教示装置12、モーター稼働制御部31、制御部34、モーター駆動部35及び第2コントローラー9と電気的に接続される。
【0041】
モーター稼働制御部31は、教示装置12が制御部34に出力する指示信号に関わらず、第1イネーブル有効・無効スイッチ32におけるモーター5を稼働するか否かの設定に基づいて、モーター5の稼働を制御する。
【0042】
この構成によれば、教示装置12の指示に関わらず、第1イネーブル有効・無効スイッチ32がモーター5を稼働しないことに設定されているとき、第1ロボットアーム2のモーター5は停止する。従って、教示装置12の故障や誤操作があっても第1ロボットアーム2が誤作動するのを抑制できる。
【0043】
図4に示すように、モーター稼働制御部31は第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39を備える。第1フォトカプラー38は第1発光素子38a及び第1フォトトランジスター38bを備える。第1発光素子38aのアノードには第4配線7dが電気的に接続される。第1発光素子38aのカソードには第6配線7fが電気的に接続される。第1フォトトランジスター38bのコレクターと第1電源部36とが第7配線7gにより電気的に接続される。
【0044】
第2フォトカプラー39は第2発光素子39a及び第2フォトトランジスター39bを備える。第2発光素子39aのアノードには第5配線7eが電気的に接続される。第2発光素子39aのカソードには第6配線7fが電気的に接続される。第2フォトトランジスター39bのコレクターと第1フォトトランジスター38bのエミッターとが第8配線7hにより電気的に接続される。第1発光素子38a及び第2発光素子39aにはLEDが用いられる。
【0045】
モーター駆動部35はリレー41及び複数のインバーター42を備える。インバーター42の数は第1ロボットアーム2に設置されたモーター5の個数と同じである。1つのインバーター42が1つのモーター5を駆動する。
【0046】
リレー41は電磁石41a及び第5スイッチ41bを備える。第5スイッチ41bは電磁石41aの通電に連動する。第2フォトトランジスター39bのエミッターと電磁石41aの一方の端子とは第9配線7jにより電気的に接続される。電磁石41aの他方の端子には第6配線7fが電気的に接続される。第5スイッチ41bの一方の端子と第1電源部36とは第10配線7kにより電気的に接続される。第5スイッチ41bの他方の端子とインバーター42とは第11配線7mにより電気的に接続される。第1電源部36から供給される駆動電圧が第11配線7mからインバーター42に供給される。駆動電圧はモーター5を駆動する電圧である。
【0047】
各インバーター42と第1電源部36とは第12配線7nにより電気的に接続される。第12配線7nによりインバーター42に制御電圧が供給される。制御電圧はインバーター42が機能するために供給される電圧である。
【0048】
各インバーター42と制御部34とは第13配線7pにより電気的に接続される。第13配線7pによりインバーター42に制御信号が供給される。各インバーター42と各モーター5とは第14配線7qにより電気的に接続される。インバーター42は第14配線7qを介してモーター5に駆動電流を出力する。
【0049】
第1イネーブル有効・無効スイッチ32から第4配線7d及び第5配線7eの両方に電流が供給されるとき、第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39はスイッチが入るのでリレー41の電磁石41aに電流が流れる。電磁石41aに電流が流れるとき、第5スイッチ41bが入るので、インバーター42に駆動電圧が印加される。
【0050】
第1イネーブル有効・無効スイッチ32、第1フォトカプラー38、第2フォトカプラー39、リレー41のいずれかが故障するときにはインバーター42に駆動電圧が供給されない。第4配線7d、第5配線7e、第7配線7g、第8配線7h、第9配線7jのいずれかが断線するときにはインバーター42に駆動電圧が供給されない。
【0051】
第11配線7mは複数のインバーター42と電気的に接続されているので、複数のインバーター42への駆動電圧の印加が第1イネーブル有効・無効スイッチ32により制御される。
【0052】
図5に示すように、イネーブルスイッチ23及び第1イネーブル有効・無効スイッチ32が共に有効のとき、ロボットアームの動作状態は動作可能になる。スイッチが有効とはスイッチが入る状態を示す。スイッチが無効とはスイッチが切れる状態を示す。イネーブルスイッチ23及び第1イネーブル有効・無効スイッチ32の一方が無効のとき、ロボットアームは動作しない。イネーブルスイッチ23及び第1イネーブル有効・無効スイッチ32が共に無効のとき、ロボットアームは動作しない。
【0053】
図6に示すように、第1ロボットアーム2の動作状態が動作可能であるためには、イネーブルスイッチ23及び第1イネーブル有効・無効スイッチ32が共に有効であるときに限定される。
【0054】
第2コントローラー9には第1イネーブル有効・無効スイッチ32に相当する第2イネーブル有効・無効スイッチが設置される。第2ロボットアーム3の動作状態が動作可能であるためには、イネーブルスイッチ23及び第2イネーブル有効・無効スイッチが共に有効であるときに限定される。
【0055】
第3コントローラー11には第1イネーブル有効・無効スイッチ32に相当する第3イネーブル有効・無効スイッチが設置される。第3ロボットアーム4の動作状態が動作可能であるためには、イネーブルスイッチ23及び第3イネーブル有効・無効スイッチが共に有効であるときに限定される。
【0056】
従って、教示装置12の故障や誤操作があっても、第1イネーブル有効・無効スイッチ32を無効にすることによりロボットアームが誤作動するのを防止できる。
【0057】
本実施形態では故障の少ない第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39を用いている。従って、ソフトウエアで誤動作を防ぐように制御するときに比べて確実に誤動作を防ぐことができる。
【0058】
第2実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、モーター稼働制御部31が駆動電圧に変えて制御電圧を制御する点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0059】
図7に示すように、ロボットシステム45では第1電源部36の駆動電圧が第17配線7tによりインバーター42に供給される。
【0060】
第1電源部36の制御電圧が第15配線7rにより第1フォトカプラー38の第1フォトトランジスター38bに供給される。第2フォトカプラー39の第2フォトトランジスター39bと各インバーター42とが第16配線7sにより電気的に接続される。第1電源部36の制御電圧が第16配線7sによりインバーター42に供給される。
【0061】
第1イネーブル有効・無効スイッチ32から第4配線7d及び第5配線7eの両方に電流が供給されるとき、第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39はスイッチが入るので、インバーター42に制御電圧が供給される。
【0062】
第1電源部36からインバーター42に制御電圧を供給するとき、第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39を流れる電流は第1フォトトランジスター38b及び第2フォトトランジスター39bで制御可能である。
【0063】
この構成のときにも第1実施形態と同じく、教示装置12の故障や誤操作があっても、第1イネーブル有効・無効スイッチ32を無効にすることによりロボットアームが誤作動するのを抑制できる。制御電圧によりインバーター42に供給される電流は駆動電圧によりインバーター42に供給される電流より小さいので、第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39にて制御可能である。リレー41を使用しないので、第1コントローラー8は部品を減らすことができる。
【0064】
第3実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、所定の条件になるとき、制御部34は稼働状態を制御する点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0065】
図8に示すように、ロボットシステム48では第1ロボットアーム2は各モーター5に対応するブレーキ部49を備える。ブレーキ部49は第1実施形態のブレーキ6に相当する。ブレーキ部49は各モーター5の軸にブレーキをかけて第1ロボットアーム2の姿勢を維持する。
【0066】
モーター駆動部35は各ブレーキ部49を駆動するブレーキドライバー51を備える。各ブレーキドライバー51と各ブレーキ部49とは第18配線7uにより電気的に接続される。第18配線7uを介してブレーキドライバー51はブレーキ部49に駆動信号を出力する。制御部34と各ブレーキドライバー51とは第19配線7vにより電気的に接続される。第19配線7vを介して制御部34はブレーキドライバー51に制御信号を出力する。
【0067】
第1電源部36の駆動電圧が第17配線7tによりインバーター42及びブレーキドライバー51に供給される。第1電源部36の制御電圧が第20配線7wにより各インバーター42及び各ブレーキドライバー51に供給される。
【0068】
第1電源部36のスイッチ信号電圧が第21配線7xにより第1フォトカプラー38の第1フォトトランジスター38bに供給される。第2フォトカプラー39の第2フォトトランジスター39bと制御部34とが第22配線7yにより電気的に接続される。
【0069】
第1イネーブル有効・無効スイッチ32から第4配線7d及び第5配線7eの両方に電流が供給されるとき、第1フォトカプラー38及び第2フォトカプラー39はスイッチが入るので、制御部34にスイッチ信号電圧が供給される。
【0070】
第22配線7yから制御部34にスイッチ信号電圧が入力されないとき、制御部34はブレーキドライバー51にブレーキ部49がブレーキをかける制御信号を出力する。第3配線7cから入力する指示信号に応じる事無く、制御部34は各インバーター42にモーター5を回転させる制御信号を出力しない。
【0071】
第22配線7yから制御部34にスイッチ信号電圧が入力されるとき、第3配線7cから入力する指示信号に応じて制御部34は各インバーター42にモーター5を回転させる制御信号を出力する。制御部34はブレーキドライバー51にブレーキ部49がブレーキをかけない制御信号を出力する。
【0072】
この構成のときにも第1実施形態と同じく、教示装置12の故障や誤操作があっても、第1イネーブル有効・無効スイッチ32を無効にすることによりロボットアームが誤作動するのを抑制できる。
【0073】
第1コントローラー8はモーター停止条件を記憶する記憶部52を備える。モーター停止条件にはモーター5を回転しない状態が続く時間の長さを判定する判定値が含まれる。記憶部52は制御部34と電気的に接続される。第1ロボットアーム2の動作がモーター停止条件に該当するとき、制御部34がモーター5を停止する。制御部34はモーター5にブレーキをかけて第1ロボットアーム2の姿勢を維持する。
【0074】
この構成によれば、モーター停止条件に該当するとき、モーター5は停止され、ブレーキをかけられる。従って、第1ロボットアーム2は姿勢を維持するので、暴走することを抑制できる。第2ロボットアーム3及び第3ロボットアーム4も第1ロボットアーム2と同じ構成になっている。従って、第2ロボットアーム3及び第3ロボットアーム4も姿勢を維持するので、暴走することを抑制できる。
【0075】
第4実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、接地部37と電気的に接続される第6配線7fと第1配線7a~第3配線7cとが異なるコネクターに接続される点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0076】
図9に示すように、ロボットシステム55では、第1コントローラー8は第1コネクター13、第2コネクター14及び第3コネクター15に加えて第10コネクター56を備える。第1配線7a、第2配線7b及び第3配線7cは第2コネクター14を介して第2コントローラー9の第4コネクター16と電気的に接続される。
【0077】
第2コントローラー9は第4コネクター16に加えて第11コネクター57を備える。第6配線7fは第10コネクター56を介して第2コントローラー9の第11コネクター57と電気的に接続される。第1配線7a、第2配線7b、第3配線7c及び第6配線7fは第2コントローラー9内の回路と電気的に接続される。
【0078】
この構成のときにも第1実施形態と同じく、教示装置12の故障や誤操作があっても、第1イネーブル有効・無効スイッチ32を無効にすることによりロボットアームが誤作動するのを抑制できる。
【0079】
第5実施形態
第1実施形態では第1配線7a及び第2配線7bに教示用電源部22の電圧が印加されるとき、モーター5が駆動可能な状態になった。これに限らず、第1配線7a及び第2配線7bに教示用電源部22の電圧が印加されないとき、モーター5を駆動可能な状態にする回路構成にしても良い。この構成のときにも第1実施形態と同じく、教示装置12の故障や誤操作があっても、第1イネーブル有効・無効スイッチ32を無効にすることによりロボットアームが誤作動するのを抑制できる。
【0080】
第6実施形態
第1実施形態の第1イネーブル有効・無効スイッチ32では錠前32hに鍵32gを挿入して操作した。他にも、第1イネーブル有効・無効スイッチ32に数字を合わせる方式の鍵が用いられても良い。他にも、第1イネーブル有効・無効スイッチ32に顔認証、指紋認証等の生体認証が用いられても良い。鍵32gを紛失しても操作することができる。
【符号の説明】
【0081】
1,45,48,55…ロボットシステム、2…ロボットアームとしての第1ロボットアーム、3…ロボットアームとしての第2ロボットアーム、4…ロボットアームとしての第3ロボットアーム、5…モーター、8…コントローラーとしての第1コントローラー、9…コントローラーとしての第2コントローラー、11…コントローラーとしての第3コントローラー、12…教示装置、13…コネクターとしての第1コネクター、14…コネクターとしての第2コネクター、31…モーター稼働制御部、32…スイッチ部としての第1イネーブル有効・無効スイッチ、32g…鍵、32h…錠前、34…制御部、52…記憶部。
図1
図2
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図9