(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び、その制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241008BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20241008BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04N1/00 567J
H04N1/00 L
B65H7/12
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2021021750
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】村橋 賢一
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
B65H 7/12
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を給送方向へ給送する給送部と、
搬送経路に沿って給送される前記媒体の重送を重送検出位置において検出する重送検出部と、
前記給送方向において前記重送検出位置よりも下流に設けられ、給送された前記媒体を読み取る読取部と、
前記搬送経路において前記給送部と前記重送検出位置との間にある媒体検出位置に向けて光量を変更可能に光を放出する発光部と、前記搬送経路を越えた前記光を検出する受光部と、を有し、前記媒体検出位置における前記媒体の有無を検出する媒体検出部と、
前記重送検出部及び前記媒体検出部の検出結果に基づいて処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光量が第一光量である状態で前記媒体検出部により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されると前記光量を前記第一光量よりも大きい第二光量に変更する制御を行い、
前記第一光量から前記第二光量への変更により前記受光部による前記光の検出量が所定量を超えた場合、前記重送検出部の検出結果に従って前記媒体が重送であるか否かを判定し、
前記第一光量から前記第二光量への変更によっても前記検出量が前記所定量を超えない場合、前記媒体が重送であると判定しない、画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一光量から前記第二光量への変更により前記検出量が前記所定量を超えるか否かを判別した後、前記光量を前記第一光量に変更する制御を行い、前記媒体検出部により前記媒体有りから前記媒体無しへの切り替わりが検出されると前記媒体の後端が前記媒体検出位置を通過したと判定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光量が第一光量である状態で前記媒体検出部により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されてから前記媒体が第一距離給送されるまでに前記検出量が前記所定量を超えるか否かを判別し、
前記第一距離は、ISO/IEC 7810に規定されたID-1の短辺のサイズである、請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記光量が第一光量である状態で前記媒体検出部により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されてから前記媒体が第一距離よりも短い第二距離給送された時に前記検出量が前記所定量を超えるか否かを判別する、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記重送検出位置及び前記媒体検出位置は、前記給送方向と直交する方向において、前記搬送経路の中心位置を中心として第三距離の範囲内にあり、
前記第三距離は、ISO/IEC 7810に規定されたID-1の短辺のサイズである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記搬送経路よりも下にある下ユニットと、前記搬送経路よりも上にある上ユニットと、を備え、
前記上ユニットは、前記下ユニットに対して開閉可能に設けられ、
前記読取部は、前記下ユニットに配置され前記媒体の下面を読み取る第一読取部と、前記上ユニットに配置され前記媒体の上面を読み取る第二読取部と、を含み、
前記重送検出部は、発信部と、受信部と、を有し、
前記発信部と前記受信部の内、一方が前記下ユニットに配置され、他方が前記上ユニットに配置され、
前記発光部と前記受光部の内、一方が前記下ユニットに配置され、他方が前記上ユニットに配置され、
前記上ユニットが前記下ユニットに対して閉じている状態において、前記第二読取部が前記第一読取部に対向する位置にあり、前記受信部が前記発信部に対向する位置にあり、前記受光部が前記発光部に対向する位置にある、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記光量を前記第一光量から前記第二光量に変更する制御、及び、前記光量を前記第二光量から前記第一光量に変更する制御を前記媒体の単位で行う、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
媒体を給送方向へ給送する給送部と、
搬送経路に沿って給送される前記媒体の重送を重送検出位置において検出する重送検出部と、
前記給送方向において前記重送検出位置よりも下流に設けられ、給送された前記媒体を読み取る読取部と、
前記搬送経路において前記給送部と前記重送検出位置との間にある媒体検出位置に向けて光量を変更可能に光を放出する発光部と、前記搬送経路を越えた前記光を検出する受光部と、を有し、前記媒体検出位置における前記媒体の有無を検出する媒体検出部と、を備え、前記重送検出部及び前記媒体検出部の検出結果に基づいて処理を行う画像読取装置の制御方法であって、
前記光量が第一光量である状態で前記媒体検出部により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されると前記光量を前記第一光量よりも大きい第二光量に変更する第一工程と、
前記第一光量から前記第二光量への変更により前記受光部による前記光の検出量が所定量を超えた場合に前記重送検出部の検出結果に従って前記媒体が重送であるか否かを判定する第二工程と、
前記第一光量から前記第二光量への変更によっても前記検出量が前記所定量を超えない場合に前記媒体が重送であると判定しない第三工程と、を含む、画像読取装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送された媒体を読み取る画像読取装置、及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置として、給紙部にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ給紙するADFすなわち自動給紙装置を備えるものが知られている。ADFは、給紙部にセットされた原稿を1枚ずつ分離し、画像を読み取る読取部に原稿を給紙する。複数枚の原稿が重なって給送される重送が生じると、原稿が正しく読み取られない。そこで、重送を検出する重送検出センサーが画像読取装置に設けられる。特許文献1に開示された画像読取装置は、重送検出無効スイッチやスタートスイッチ等を備え、重送検出を有効にする有効モードと、重送検出を無効にする無効モードと、を切り替え可能である。有効モードにおいて重送が検出されると、各原稿を順に搬送しながら画像を読み取る読取動作が中断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転免許証、健康保険証、会員証、各種プラスチックカード、厚紙、等といった厚い媒体は、重送検出を有効にする有効モードにおいて、1枚であっても重送と検出されることがある。重送が検出されると、読取動作が中断される。この場合、ユーザーは、重送検出を無効にする無効モードに移行させるため重送検出無効スイッチを操作し、再び媒体の読取動作を実行させるためにスタートスイッチを操作する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像読取装置は、
媒体を給送方向へ給送する給送部と、
搬送経路に沿って給送される前記媒体の重送を重送検出位置において検出する重送検出部と、
前記給送方向において前記重送検出位置よりも下流に設けられ、給送された前記媒体を読み取る読取部と、
前記搬送経路において前記給送部と前記重送検出位置との間にある媒体検出位置に向けて光量を変更可能に光を放出する発光部と、前記搬送経路を越えた前記光を検出する受光部と、を有し、前記媒体検出位置における前記媒体の有無を検出する媒体検出部と、
前記重送検出部及び前記媒体検出部の検出結果に基づいて処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光量が第一光量である状態で前記媒体検出部により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されると前記光量を前記第一光量よりも大きい第二光量に変更する制御を行い、
前記第一光量から前記第二光量への変更により前記受光部による前記光の検出量が所定量を超えた場合、前記重送検出部の検出結果に従って前記媒体が重送であるか否かを判定し、
前記第一光量から前記第二光量への変更によっても前記検出量が前記所定量を超えない場合、前記媒体が重送であると判定しない、態様を有する。
【0006】
また、本発明の画像読取装置の制御方法は、
媒体を給送方向へ給送する給送部と、
搬送経路に沿って給送される前記媒体の重送を重送検出位置において検出する重送検出部と、
前記給送方向において前記重送検出位置よりも下流に設けられ、給送された前記媒体を読み取る読取部と、
前記搬送経路において前記給送部と前記重送検出位置との間にある媒体検出位置に向けて光量を変更可能に光を放出する発光部と、前記搬送経路を越えた前記光を検出する受光部と、を有し、前記媒体検出位置における前記媒体の有無を検出する媒体検出部と、を備え、前記重送検出部及び前記媒体検出部の検出結果に基づいて処理を行う画像読取装置の制御方法であって、
前記光量が第一光量である状態で前記媒体検出部により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されると前記光量を前記第一光量よりも大きい第二光量に変更する第一工程と、
前記第一光量から前記第二光量への変更により前記受光部による前記光の検出量が所定量を超えた場合に前記重送検出部の検出結果に従って前記媒体が重送であるか否かを判定する第二工程と、
前記第一光量から前記第二光量への変更によっても前記検出量が前記所定量を超えない場合に前記媒体が重送であると判定しない第三工程と、を含む、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像読取装置の外観の例を模式的に示す斜視図。
【
図2】画像読取装置の搬送経路の例を模式的に示す縦断面図。
【
図3】下ユニットの搬送面部の例を模式的に示す図。
【
図4】画像読取システムの構成例を模式的に示すブロック図。
【
図6】重送であるか否かを判定することが好ましい媒体が給送される場合の制御の例を模式的に示す図。
【
図7】重送であると判定しないことが好ましい厚い媒体が給送される場合の制御の例を模式的に示す図。
【
図8】搬送制御処理の例を模式的に示すフローチャート。
【
図9】媒体の給送位置に応じた制御処理の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0009】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~9に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
【0010】
[態様1]
図1~4等に例示するように、本技術の一態様に係る画像読取装置(例えばスキャナー1A)は、給送部UF、重送検出部30、読取部20、媒体検出部31、及び、制御部40を備える。前記給送部UFは、媒体M0を給送方向D1へ給送する。前記重送検出部30は、搬送経路10に沿って給送される前記媒体M0の重送を重送検出位置P2において検出する。前記読取部20は、前記給送方向D1において前記重送検出位置P2よりも下流に設けられ、給送された前記媒体M0を読み取る。前記媒体検出部31は、前記搬送経路10において前記給送部UFと前記重送検出位置P2との間にある媒体検出位置P1に向けて光量Q0を変更可能に光31cを放出する発光部31aと、前記搬送経路10を越えた前記光31cを検出する受光部31bと、を有し、前記媒体検出位置P1における前記媒体M0の有無を検出する。前記制御部40は、前記重送検出部30及び前記媒体検出部31の検出結果に基づいて処理を行う。当該制御部40は、
図6~9に例示するように、前記光量Q0が第一光量Q1である状態で前記媒体検出部31により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されると前記光量Q0を前記第一光量Q1よりも大きい第二光量Q2に変更する制御を行う。また、当該制御部40は、前記第一光量Q1から前記第二光量Q2への変更により前記受光部31bによる前記光31cの検出量(例えば
図8,9に例示する検出電圧V1)が所定量(例えば
図9に例示する閾値Vth)を超えた場合、前記重送検出部30の検出結果に従って前記媒体M0が重送であるか否かを判定する。さらに、当該制御部40は、前記第一光量Q1から前記第二光量Q2への変更によっても前記検出量(V1)が前記所定量(Vth)を超えない場合、前記媒体M0が重送であると判定しない。
【0011】
上述した態様1において、発光部31aの光量Q0が第一光量Q1である状態で媒体検出部31により媒体無しから媒体有りへの切り替わりが検出されると、給送される媒体M0の先端Maが検出されたことになる。媒体M0の先端Maが検出されると、発光部31aの光量Q0が第一光量Q1よりも大きい第二光量Q2に変更される。媒体M0が厚い場合、
図7に例示するように受光部31bからの光31cが媒体M0により十分に遮られるので、受光部31bによる光31cの検出量(V1)が所定量(Vth)を超えない。媒体M0が厚くない場合、
図6に例示するように受光部31bからの光31cが媒体M0を透過するので、受光部31bによる光31cの検出量(V1)が所定量(Vth)を超える。媒体M0が厚くないため光31cの検出量(V1)が所定量(Vth)を超えた場合、重送検出部30の検出結果に従って媒体M0が重送であるか否かが判定される。媒体M0が厚いため光31cの検出量(V1)が所定量(Vth)を超えない場合、媒体M0が重送であると判定されない。このようにして、媒体M0の有無を検出する媒体検出部31で、重送であるか否かを判定することが好ましい媒体M1と、重送であると判定しないことが好ましい厚い媒体(例えばカードM2)と、が判別される。従って、上記態様1は、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制可能な画像読取装置を提供することができる。
【0012】
ここで、画像読取装置には、スキャナー、ファクシミリ、原稿の読み取り機能と画像データの出力機能を備える複合機、等が含まれる。
光量が第二光量である状態で光の検出量に応じて場合分けするための所定量は、光量が第一光量である状態で媒体の有無を判別するための検出量と一致していてもよいし、異なっていてもよい。また、光の検出量が所定量を超える場合は発光部からの光を受光部が検出する場合でもよいし、光の検出量が所定量を超えない場合は発光部からの光を受光部が検出しない場合でもよい。
媒体が重送であると判定しないことは、重送検出部に重送の検出を停止させることでもよいし、重送検出部が重送を検出しても媒体が重送であると判定しないことでもよい。
重送と判定された時の処理には、媒体の給送を停止させる処理、媒体の読み取りを停止させる処理、等が含まれる。重送と判定されない時には、重送と判定された時の処理が行われない。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0013】
[態様2]
図8に例示するように、前記制御部40は、前記第一光量Q1から前記第二光量Q2への変更により前記検出量(V1)が前記所定量(Vth)を超えるか否かを判別した後、前記光量Q0を前記第一光量Q1に変更する制御を行い、前記媒体検出部31により前記媒体有りから前記媒体無しへの切り替わりが検出されると前記媒体M0の後端Mbが前記媒体検出位置P1を通過したと判定してもよい。この態様は、媒体M0の先端Maを検出する媒体検出部31が媒体M0の厚さを判別した後に媒体M0の後端Mbを検出することができるので、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制する好適な画像読取装置を提供することができる。
【0014】
[態様3]
図8,9に例示するように、前記制御部40は、前記光量Q0が第一光量Q1である状態で前記媒体検出部31により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されてから前記媒体M0が第一距離L1給送されるまでに前記検出量(V1)が前記所定量(Vth)を超えるか否かを判別してもよい。前記第一距離L1は、ISO/IEC 7810に規定されたID-1の短辺のサイズS1でもよい。ここで、ISOは国際標準化機構の略称であり、IECは国際電気標準会議の略称である。本態様は、カードサイズの厚い媒体でも当該厚い媒体が重送と判定されることを抑制することができる。
尚、上記態様3には含まれないが、第一距離L1がID-1の短辺のサイズS1とは異なる場合も、本技術に含まれる。
【0015】
[態様4]
図8,9に例示するように、前記制御部40は、前記光量Q0が第一光量Q1である状態で前記媒体検出部31により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されてから前記媒体M0が第一距離L1よりも短い第二距離L2給送された時に前記検出量(V1)が前記所定量(Vth)を超えるか否かを判別してもよい。これにより、重送であるか否かを判定することが好ましい媒体M1と、重送であると判定しないことが好ましい厚い媒体(M2)と、を判別する精度が向上する。従って、本態様は、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制する好適な画像読取装置を提供することができる。
【0016】
[態様5]
図3に例示するように、前記重送検出位置P2及び前記媒体検出位置P1は、前記給送方向D1と直交する方向(例えば幅方向D2)において、前記搬送経路10の中心位置10aを中心として第三距離L3の範囲内にあってもよい。前記第三距離L3は、ISO/IEC 7810に規定されたID-1の短辺のサイズS1でもよい。本態様は、カードサイズの厚い媒体でも当該厚い媒体が重送と判定されることを抑制することができる。
尚、上記態様5には含まれないが、第三距離L3がID-1の短辺のサイズS1とは異なる場合も、本技術に含まれる。
【0017】
[態様6]
図1,2に例示するように、本画像読取装置(1A)は、前記搬送経路10よりも下にある下ユニット3と、前記搬送経路10よりも上にある上ユニット4と、を備えていてもよい。前記上ユニット4は、前記下ユニット3に対して開閉可能に設けられてもよい。前記読取部20は、前記下ユニット3に配置され前記媒体M0の下面を読み取る第一読取部(例えば下部読取センサー20B)と、前記上ユニット4に配置され前記媒体M0の上面を読み取る第二読取部(例えば上部読取センサー20A)と、を含んでいてもよい。前記重送検出部30は、発信部30aと、受信部30bと、を有していてもよい。前記発信部30aと前記受信部30bの内、一方が前記下ユニット3に配置され、他方が前記上ユニット4に配置されてもよい。前記発光部31aと前記受光部31bの内、一方が前記下ユニット3に配置され、他方が前記上ユニット4に配置されてもよい。前記上ユニット4が前記下ユニット3に対して閉じている状態において、前記第二読取部(20A)が前記第一読取部(20B)に対向する位置にあってもよく、前記受信部30bが前記発信部30aに対向する位置にあってもよく、前記受光部31bが前記発光部31aに対向する位置にあってもよい。本態様は、媒体の両面を読み取る好適な画像読取装置を提供することができる。
【0018】
[態様7]
図8に例示するように、前記制御部40は、前記光量Q0を前記第一光量Q1から前記第二光量Q2に変更する制御、及び、前記光量Q0を前記第二光量Q2から前記第一光量Q1に変更する制御を前記媒体M0の単位で行ってもよい。これにより、給送される媒体M0の単位で、重送であるか否かを判定することが好ましい媒体M1と、重送であると判定しないことが好ましい厚い媒体(M2)と、が判別される。従って、本態様は、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制する好適な画像読取装置を提供することができる。
【0019】
[態様8]
また、本技術の一態様に係る画像読取装置の制御方法は、上記給送部UF、上記重送検出部30、上記読取部20、及び、上記媒体検出部31を備える制御方法であって、以下の工程(A),(B),(C)を含んでいる。
(A)前記光量Q0が第一光量Q1である状態で前記媒体検出部31により前記媒体無しから前記媒体有りへの切り替わりが検出されると前記光量Q0を前記第一光量Q1よりも大きい第二光量Q2に変更する第一工程ST1。
(B)前記第一光量Q1から前記第二光量Q2への変更により前記受光部31bによる前記光31cの検出量(V1)が所定量(Vth)を超えた場合に前記重送検出部30の検出結果に従って前記媒体M0が重送であるか否かを判定する第二工程ST2。
(C)前記第一光量Q1から前記第二光量Q2への変更によっても前記検出量(V1)が前記所定量(Vth)を超えない場合に前記媒体M0が重送であると判定しない第三工程ST3。
従って、本態様は、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制可能な画像読取装置の制御方法を提供することができる。
尚、上記態様8に上記態様2~7を付加することも可能である。
【0020】
さらに、本技術は、上述した画像読取装置を含む画像読取システム、該画像読取装置の制御方法、上述した制御部に対応する機能をコンピューターに実現させる画像読取プログラム、該画像読取プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。
【0021】
(2)画像読取装置を含む画像読取システムの構成の具体例:
図1は、画像読取装置の具体例としてスキャナー1Aの外観を模式的に示している。
図2は、スキャナー1Aの搬送経路10を模式的に例示する縦断面図である。
図3は、下ユニット3の搬送面部3aを模式的に例示している。
図4は、画像読取システムSY1の構成を模式的に例示している。
図4に示すように、画像読取システムSY1は、スキャナー1Aと制御装置60を含んでいる。
図1,2に示すスキャナー1Aは、原稿とも呼ばれる媒体M0の両面を読み取り可能なドキュメントスキャナーであり、複数枚の媒体M0を1枚ずつ給送する自動給送機能を有する。
【0022】
尚、
図1~3等に示すX-Y-Z座標系において、X方向はスキャナー1Aの幅方向であって媒体M0の幅方向でもあり、Y方向はX方向と直交する方向であって媒体M0の搬送方向でもあり、Z方向はX方向及びY方向と直交する方向であって概ね媒体M0の面と直交する方向でもある。Y方向は媒体M0の給送方向D1でもあり、X方向は媒体M0の搬送経路10の幅方向D2でもある。ここで、X方向とY方向は互いに交差していれば直交していなくてもよく、X方向とZ方向は互いに交差していれば直交していなくてもよく、Y方向とZ方向は互いに交差していれば直交していなくてもよい。また、Y方向の矢印の向きである+Y方向側を装置前面側とし、+Y方向側とは反対の-Y方向側を装置背面側とする。媒体M0が給送されてくる-Y方向側を上流と呼ぶことがあり、媒体M0が搬送されていく+Y方向側を下流と呼ぶことがある。
【0023】
図1,2に示すスキャナー1Aは、媒体M0の画像を読み取る読取部20を内部に備える装置本体2を備えている。装置本体2は、媒体M0の搬送経路10よりも下にある下ユニット3、及び、搬送経路10よりも上にある上ユニット4を備えている。上ユニット4は、下ユニット3に対して給送方向下流側の回動支点を中心として開閉可能に設けられている。回動支点は、スキャナー1Aの前縁部近傍においてX方向に沿って配置された回転軸で構成されている。ユーザーは、閉じている上ユニット4を装置前面側に回動させることにより開くことができ、媒体M0の搬送経路10を露出させることにより媒体M0のジャム等といった処理を容易に行うことができる。ユーザーは、開いている上ユニット4を下ユニット3に合わせるように回動させることにより閉じることができ、搬送経路10を閉じることができる。上ユニット4は、搬送経路10を開閉する。
【0024】
装置本体2の背面側には、給送される媒体M0を載置する載置面11aを有する原稿載置部11が設けられている。原稿載置部11は、装置本体2に対して着脱可能に設けられている。原稿載置部11には、媒体M0の給送方向であるY方向と交差する幅方向であるX方向の側縁をガイドする左右一対のエッジガイド12,12が設けられている。また、原稿載置部11は、第一ペーパーサポート8及び第二ペーパーサポート9を備えている。第一ペーパーサポート8及び第二ペーパーサポート9は、原稿載置部11の内部に収納可能であり、且つ、
図1に示す様に原稿載置部11から引き出し可能であり、載置面11aの長さを調整可能である。
【0025】
装置本体2は、上ユニット4の装置前面側に、各種読み取り設定や読み取り実行の操作を行ったり、読み取り設定内容等を示したりするUI、すなわち、ユーザインタフェースが実現される操作パネル7を備えている。操作パネル7は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルであり、各種操作を行う為の操作部と、各種情報を表示する為の表示部とを兼用している。
上ユニット4の上部には、装置本体2内部に連なる給送口6が設けられている。原稿載置部11にセットされる媒体M0は、給送口6から装置本体2内部にある読取部20に向けて給送される。下ユニット3の装置前面側には、排出される媒体M0を受ける排紙トレイ5が設けられている。
【0026】
図2に示す搬送経路10は、下ユニット3と上ユニット4とによって挟まれた空間であり、媒体M0が通過する軌跡を示している。
図2に示す搬送経路10には、給送方向D1へ順に、原稿載置部11、ローラー14,15、媒体検出部31、重送検出部30、搬送ローラー対16、第二媒体検出部32、読取部20、及び、排出ローラー対17が配置されている。
搬送経路10の最も上流側にある原稿載置部11には、
図3に示すように、原稿載置部11上に媒体M0が存在するか否かを検出する為のセット検出部33が設けられている。セット検出部33には、接触式センサー等を用いることができる。
図3に示すセット検出部33は、レバーを有する接触式センサーであり、レバーが押されているか否かに応じて原稿載置部11に媒体M0がセットされているか否かを検出する。
【0027】
搬送経路10において、原稿載置部11の下流側には、原稿載置部11の載置面11aに載置された媒体M0を読取部20に向けて給送する給送ローラー14、及び、給送ローラー14との間で媒体M0をニップして分離する分離ローラー15が設けられている。給送ローラー14は、
図4に示す給送ローラー用モーター45により回転駆動される。給送ローラー14は、給送ローラー用モーター45から回転トルクを得て、
図2において反時計回り方向に回転する。給送ローラー14は、原稿載置部11の載置面11aに載置された媒体M0のうち、最下位のものと接する。従って、スキャナー1Aにおいて複数枚の媒体M0を原稿載置部11にセットした場合には、載置面11a側の媒体M0から順に下流側に向けて給送される。分離ローラー15には、
図4に示す搬送ローラー用モーター46から、不図示のトルクリミッタを介して回転トルクが伝達される。
【0028】
給送ローラー14と分離ローラー15との間に媒体M0が介在しない場合、或いは1枚のみ介在する場合、分離ローラー15は、不図示のトルクリミッタにおいて滑りが生じることにより、搬送ローラー用モーター46から受ける回転トルクに拘わらず従動回転する。この場合の分離ローラー15の回転方向は、
図2において時計回り方向である。給送ローラー14と分離ローラー15との間に、給送されるべき媒体M0に加えて更に2枚目以降の媒体M0が入り込むと、媒体間で滑りが生じる。これにより、分離ローラー15は、搬送ローラー用モーター46から受ける回転トルクによって、
図2において反時計回り方向に回転し、媒体M0の重送を抑制する。一方で、媒体M0の重送が生じることがあるので、分離ローラー15よりも下流側に重送検出部30が設けられている。
本具体例において、原稿載置部11、給送ローラー14、及び、分離ローラー15は、媒体M0を給送方向D1へ給送する給送部UFの例である。
【0029】
搬送経路10において、給送ローラー14の下流側には、搬送ローラー対16と、媒体M0の画像を読み取る読取部20と、排出ローラー対17とが設けられている。搬送ローラー対16は、
図4に示す搬送ローラー用モーター46により回転駆動される搬送駆動ローラー16aと、従動回転する搬送従動ローラー16bとを備えている。給送ローラー14と分離ローラー15とによりニップされて下流側に給送された媒体M0は、搬送ローラー対16にニップされて、搬送ローラー対16の下流側に位置する読取部20に給送される。
【0030】
搬送経路10において、給送ローラー14と搬送ローラー対16との間には、光学式の媒体検出部31が設けられている。
図2に示す媒体検出部31は、搬送経路10を挟んで対向配置される発光部31a及び受光部31bを備える光学式センサーである。発光部31aは下ユニット3に配置され、受光部31bは上ユニット4に配置されている。受光部31bは、上ユニット4が下ユニット3に対して閉じている状態において発光部31aに対向する位置にある。発光部31aは、
図3,6等に例示するように、搬送経路10において給送部UFと重送検出位置P2との間にある媒体検出位置P1に向けて光量Q0を変更可能に光31cを放出する。本具体例の媒体検出部31は、光量Q0のデジタル値をアナログ量に変換するD/A変換回路を備え、制御部40から出力される光量Q0のデジタル値をD/A変換回路でアナログ量に変換して発光部31aに前述の光量Q0の光31cを放出させるものとする。受光部31bは、搬送経路10を越えた光31cを検出し、
図4に示す制御部40に検出光の強度を示す電気信号、例えば、検出電圧を送信する。本具体例の媒体検出部31は、受光部31bの検出電圧のアナログ量をデジタル値に変換するA/D変換回路を備え、受光部31bの検出電圧のアナログ量をA/D変換回路でデジタル値に変換して制御部40に出力するものとする。発光部31aと受光部31bとの間に媒体M0が存在しない場合、発光部31aからの光31cが受光部31bに入射することにより、受光部31bの光31cの検出量が所定量を超える。この状態の電気信号が制御部40に入力されることにより、媒体検出位置P1において媒体無しが検出される。光量Q0が第一光量Q1である場合において、発光部31aと受光部31bとの間に媒体M0が存在する場合、発光部31aからの光31cが媒体M0に遮られることにより、受光部31bの光31cの検出量が所定量を超えない。この状態の電気信号が制御部40に入力されることにより、媒体検出位置P1において媒体有りが検出される。媒体検出部31により媒体無しから媒体有りへの切り替わりが検出されると、媒体M0の先端Maが媒体検出位置P1を通過したことになる。媒体検出部31により媒体有りから媒体無しへの切り替わりが検出されると、媒体M0の後端Mbが媒体検出位置P1を通過したことになる。従って、制御部40は、媒体M0の先端Ma及び後端Mbが媒体検出位置P1を通過したことを把握することができる。
【0031】
搬送経路10において、媒体検出位置P1と搬送ローラー対16との間には、
図3に示す重送検出位置P2において媒体M0の重送を検出する重送検出部30が配置されている。
図2に示す重送検出部30は、搬送経路10を挟んで対向配置される発信部30a及び受信部30bを備える超音波式センサーであり、発信部30aからの超音波が重送状態の2枚以上の媒体により減衰する原理を利用して媒体M0の重送を検出する。発信部30aは下ユニット3に配置され、受信部30bは上ユニット4に配置されている。受信部30bは、上ユニット4が下ユニット3に対して閉じている状態において発信部30aに対向する位置にある。発信部30aは、重送検出位置P2に向けて超音波を発信する。受信部30bは、搬送経路10を越えた超音波を検出し、検出した超音波の強度を示す電気信号を制御部40に送信する。2枚以上の媒体M0を通過したときの超音波の減衰度合は、1枚の媒体M0を通過したときの超音波の減衰度合よりも大きい。ここで、媒体M0が厚いカードM2でない媒体M1であるとする。発信部30aと受信部30bとの間に2枚以上の媒体M1が存在する場合、受信部30bの超音波の検出量が所定量を超えない。この状態の電気信号が制御部40に入力されることにより、重送検出位置P2において重送が検出される。発信部30aと受信部30bとの間に1枚のみ媒体M1が存在する場合、受信部30bの超音波の検出量が所定量を超える。この状態の電気信号が制御部40に入力されることにより、重送検出位置P2において重送が検出されない。受信部30bから電気信号を受信した制御部40は、媒体M1が重送であるか否かを判定することができる。
【0032】
搬送経路10において、搬送ローラー対16の下流側には、第二媒体検出部32が設けられている。第二媒体検出部32には、接触式センサー等を用いることができる。
図2に示す第二媒体検出部32は、レバーを有する接触式センサーであり、媒体M0の先端Ma或いは後端Mbの通過に伴いレバーが回動すると制御部40に送る電気信号が変化する。第二媒体検出部32から制御部40に送られる電気信号が変化することにより制御部40は、媒体M0の先端Ma或いは後端Mbの通過を検知することができる。
制御部40は、上述した媒体検出部31及び第二媒体検出部32により、搬送経路10における媒体M0の位置を把握することができる。
【0033】
搬送経路10において第二媒体検出部32の下流側に設けられた読取部20は、上ユニット4側に設けられた上部読取センサー20Aと、下ユニット3側に設けられた下部読取センサー20Bとを備えている。上ユニット4が下ユニット3に対して閉じている状態において、上部読取センサー20Aは下部読取センサー20Bに対向する位置にある。上部読取センサー20Aは、給送された媒体M0の上面を読み取り、該上面の読取結果RSを出力する。下部読取センサー20Bは、給送された媒体M0の下面を読み取り、該下面の読取結果RSを出力する。下部読取センサー20Bは第一読取部の例であり、上部読取センサー20Aは第二読取部の例である。上部読取センサー20A及び下部読取センサー20Bには、CISMすなわち密着型イメージセンサーモジュール等を用いることができる。媒体M0は、読取部20において媒体M0の上面及び下面の少なくとも一方の面の画像を読み取られる。読取部20の詳細は、後述する。
【0034】
搬送経路10において読取部20を通過した媒体M0は、読取部20の下流側に位置する排出ローラー対17にニップされ、下ユニット3の装置前面側に設けられた排出口18から排出される。排出ローラー対17は、
図4に示す搬送ローラー用モーター46により回転駆動される排出駆動ローラー17aと、従動回転する排出従動ローラー17bとを備えている。
【0035】
図3に示すように、下ユニット3の搬送面部3aには、給送方向D1へ順に、セット検出部33、給送ローラー14,14、媒体検出部31の発光部31a、重送検出部30の発信部30a、搬送駆動ローラー16a,16a、第二媒体検出部32、読取部20、及び、排出駆動ローラー17a,17aが配置されている。給送ローラー14,14は、搬送経路10の中心位置10aから左右対称となる位置にそれぞれ設けられている。ここで、中心位置10aは、給送方向D1と直交する幅方向D2における搬送経路10の中心の位置を意味する。搬送駆動ローラー16a,16aは、中心位置10aから左右対称となる位置にそれぞれ設けられている。排出駆動ローラー17a,17aは、中心位置10aから左右対称となる位置にそれぞれ設けられている。
【0036】
原稿載置部11に対する媒体M0のセット位置は、搬送経路10の中心位置10aを中心とする位置である。そこで、セット検出部33の検出位置、媒体検出位置P1、重送検出位置P2、及び、第二媒体検出部32の検出位置は、幅方向D2において搬送経路10の中心位置10aを中心として第三距離L3の範囲内にある。給送ローラー14,14、搬送駆動ローラー16a,16a、及び、排出駆動ローラー17a,17aは、幅方向D2において搬送経路10の中心位置10aを中心とした第三距離L3の範囲と一部重なる範囲にある。
【0037】
読み取り対象の媒体M0には、エッジガイド12,12でガイド可能な媒体M1、及び、該媒体M1よりも小さいカードM2等の媒体がある。カードM2には、運転免許証、健康保険証、会員証、キャッシュカード、クレジットカード、等がある。これらのカードは、プラスチックカードであることが多く、A4等定形サイズの媒体よりも厚い。国際規格であるISO/IEC 7810には、身分証明書カードの形状が定められている。スキャナー1Aで読み取られる身分証明書カードとしては、ISO/IEC 7810に規定されたID-1のカードが最小である。ID-1のカードの長辺は85.60mmであり、ID-1のカードの短辺は53.98mmである。カードM2をスキャナー1Aで読み取る場合、
図3に示すように、カードM2の短辺を幅方向D2に向けて原稿載置部11にセットすることがある。そこで、上述した第三距離L3は、ID-1のカードにおける短辺のサイズS1=53.98mmに設定してある。
【0038】
図4に示すように、スキャナー1Aは、制御系統として、制御部40、及び、半導体メモリーであるRAM38を備えている。ここで、RAMはRandom Access Memoryの略称である。制御部40は、媒体M0の送り制御及び読み取り制御を含め、スキャナー1Aの各種制御を行う。制御部40には操作パネル7からの信号が入力され、操作パネル7の表示、特にUIを実現する為の信号が制御部40から操作パネル7に送信される。制御部40は、給送ローラー14の駆動源である給送ローラー用モーター45、及び、分離ローラー15とローラー対16,17の駆動源である搬送ローラー用モーター46を制御する。制御部40には検出部30,31,32,33からの検出信号が入力され、これら検出信号に基づいて制御部40は必要な制御を行う。従って、制御部40は、重送検出部30及び媒体検出部31の検出結果に基づいて処理を行う。制御部40は、読取部20を制御する為の信号を読取部20に送信し、読取部20からの読取結果RSに基づいた読取画像データDA1をバッファーとしてのRAM38に格納する制御を行う。
【0039】
制御部40は、プロセッサーであるCPU41、半導体メモリーであるROM42、記憶部43、I/F47、等を備えている。ここで、CPUはCentral Processing Unitの略称であり、ROMはRead Only Memoryの略称であり、I/Fはインターフェイスの略称である。ROM42には、スキャナー1Aの各種機能を実現させるプログラム44が格納されている。ROM42は、プログラム44を含むデータを書き換え可能な半導体メモリーでもよい。プログラム44は、記憶部43に記憶されてもよく、記憶部43からRAM、例えば、RAM38に読み出されて実行されてもよい。プログラム44には、操作パネル7に表示するUIを制御するUIプログラム、
図8に例示する搬送制御処理を実行するための搬送制御プログラム、媒体M0の読み取りに必要な各種制御プログラム、等が含まれる。記憶部43は、データの読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリーである。記憶部43には、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリー、ハードディスクといった磁気記憶装置、等を用いることができる。CPU41は、プログラム44に従って各種演算処理を行い、スキャナー1A全体の動作を制御する。I/F47は、制御装置60のI/F67に接続され、所定の通信規格に従ってI/F67と通信を行うことにより、制御装置60に読取画像データDA1等を送信したり、制御装置60から各種情報を受信したりする。
【0040】
スキャナー1Aに接続された制御装置60は、プロセッサーであるCPU61、半導体メモリーであるROM62、半導体メモリーであるRAM63、記憶装置64、入力装置65、表示装置66、I/F67、等を備えている。これらの要素61~67等は、電気的に接続されていることにより互いに情報を入出力可能である。
【0041】
記憶装置64は、不図示のオペレーティングシステム、スキャナー1Aを制御するための読取制御プログラムPR1、等を記憶している。記憶装置64に記憶されている情報は、適宜、RAM63に読み出され、処理に使用される。記憶装置64には、ハードディスクといった磁気記憶装置、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリー、等を用いることができる。入力装置65には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。表示装置66には、液晶表示パネル等を用いることができる。入力装置65及び表示装置66は、制御装置60におけるUIを構成する。I/F67は、スキャナー1AのI/F47に接続され、所定の通信規格に従ってI/F47と通信を行うことにより、スキャナー1Aに各種情報を送信したり、スキャナー1Aから読取画像データDA1等を受信したりする。
【0042】
図5は、読取部20の構成を模式的に例示している。尚、上部読取センサー20Aと下部読取センサー20Bとは、
図5において互いに点対称の構造を有し、基本的な構成が同じである。そこで、下部読取センサー20Bの構成に着目して説明する。
下部読取センサー20Bは、透過板21、基準板22、ライトガイド23、レンズ24、及び、ラインセンサー25を備えている。下部読取センサー20Bは幅方向D2に長い形状であり、透過板21、基準板22、ライトガイド23、レンズ24、及び、ラインセンサー25も幅方向D2に長い形状である。
【0043】
透過板21は、無色透明のガラス、無色透明のアクリル板といった樹脂板、等により形成することができる。透過板21の外面、即ち、上部読取センサー20Aと対向する面は、媒体M0を読み取る読取面であり、媒体M0の搬送経路10を形成している。
基準板22は、シェーディング補正の為に、対向する上部読取センサー20Aのラインセンサー25により読み取られる。基準板22において上部読取センサー20Aと対向する面は、読取基準面22aである。基準板22には、例えば、白色、灰色、黒色といった色の樹脂板、白色、灰色、黒色といった色に塗装された金属板、等を用いることができる。
【0044】
ライトガイド23は、媒体M0或いは基準板22に向けて光を照射する為の導光部材であり、不図示の光源から幅方向D2へ発せられた光を対向する上部読取センサー20Aの方向へ導く。この場合の光源には、例えば、LEDすなわち発光ダイオードを用いることができる。また、光源には、蛍光ランプ等も用いることができる。ライトガイド23から上部読取センサー20Aに照射された光は、媒体M0或いは上部読取センサー20Aの読取基準面22aで反射し、レンズ24を介してラインセンサー25に到達し、ラインセンサー25で測光される。ラインセンサー25は、幅方向D2に沿って配列された多数の光電変換素子を備えている。光電変換素子の配置密度は、特に限定されないが、例えば、300~600dpi相当とすることができる。光電変換素子には、例えば、フォトダイオード等を用いることができる。一つの光電変換素子は一つの画素に対応し、ラインセンサー25は、各光電変換素子が測光した読取結果RSをRAM38に出力する。本具体例のラインセンサー25はCMOSイメージセンサーであるが、測光用のセンサーにはCCDで構成されるラインセンサーやエリアセンサーといった固体撮像素子等を用いてもよい。ここで、CMOSは、Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略称である。
【0045】
(3)搬送制御の具体例:
図3で示したカードM2は、A4等定形サイズの媒体よりも厚いため、1枚であっても重送と検出されることがある。重送と判定されると、媒体を給送しながら画像を読み取る読取動作が中断される。厚いカードM2を読み取るために重送検出無効スイッチを操作してからスタートスイッチを操作することが考えられるものの、操作の手間がかかる。特に、定形サイズの媒体M1とカードM2とを混載して原稿載置部11にセットする場合、カードM2よりも薄い媒体M1の重送は確実に検出する一方でカードM2の重送検出を自動的にスキップすることができると、読み取り作業の効率が向上する。ここで、給送方向D1において重送検出部30よりも上流側に厚い媒体を検出するセンサーを設けることが考えられるものの、当該センサーを追加するためにコストがかかってしまう。そこで、既存のセンサーを利用して厚い媒体を検出し、厚い媒体が給送された場合に重送検出部30による重送検出をスキップすることが望ましい。
【0046】
本具体例では、給送方向D1において重送検出部30よりも上流側にある光透過型の媒体検出部31を利用することにより、カードM2のような厚い媒体を検出することにしている。
光透過型の媒体検出部31は、本来、媒体M0の先端Ma及び後端Mbを検出する役割を担っている。本具体例の媒体検出部31は、媒体M0を光が貫通するか否かの特性を利用することにより、本来の役割が不要な期間に厚い媒体を検出する役割を担う。制御部40は、厚い媒体が検出された場合に重送検出を無効にする。
【0047】
光透過型の媒体検出部31の発光部31aは、媒体M0の先端Ma及び後端Mbを検出するために出荷前の工程で調整された最適な光量値の光を読取動作時に出力し続ける。その光量値は、本体、固定値である。本具体例の制御部40は、媒体M0の先端Maを検出する役割を終えたら前述の最適な光量値を厚い媒体検出用の光量値に切り替え、厚い媒体であるか否かを判定したら光量値を元に戻すことにより媒体M0の後端Mbの検出に備える。尚、前述の最適な光量値は、媒体検出位置P1に媒体M1が無ければ光が受光部31bに届き、且つ、媒体検出位置P1に媒体M1が有れば光が受光部31bに届かないように設定されている。従って、サポートされている最も薄い媒体でも光が媒体を貫通しない。本具体例では、カードM2のような厚い媒体で光が受光部31bに届かず、且つ、媒体M1で光が受光部31bに届くように光量を増やすことにより、厚い媒体であるか否かの判定が可能となっている。
【0048】
図6は、重送であるか否かを判定することが好ましい媒体M1が給送される場合の制御を模式的に例示している。尚、上述の最適な光量値の光量Q0は第一光量Q1であり、上述の厚い媒体検出用の光量値の光量Q0は第二光量Q2である。第二光量Q2は、第一光量Q1よりも大きい。
媒体M1の先端Maが媒体検出位置P1に到達する前の初期状態ST11では、発光部31aから媒体検出位置P1に向けて第一光量Q1の光31cが放出されている。この光31cが受光部31bに入射するので、受光部31bの検出結果は媒体無しに相当する「ON」となる。
【0049】
媒体M1が給送方向D1へ給送されることにより先端Maが媒体検出位置P1を通過した直後の状態ST12では、発光部31aから放出されている第一光量Q1の光31cが媒体M1に遮られる。光31cが受光部31bに入射しないため、受光部31bの検出結果は媒体有りに相当する「OFF」となる。媒体有りから媒体無しへの切り替わりが検出されたので、給送される媒体M1の先端Maが検出されたことになる。
媒体M1の先端Maが検出されると、制御部40は、発光部31aの光量Q0を第一光量Q1から第二光量Q2に増やす。
図6には、媒体M1の先端Maが媒体検出位置P1から第二距離L2給送された状態ST13が示されている。この状態ST13において、発光部31aから媒体検出位置P1に向けて放出される第二光量Q2の光31cは、媒体M1を透過して受光部31bに入射する。その結果、受光部31bの検出結果は、通常の媒体M1に相当する「ON」となる。この場合、重送検出部30の重送検出は、有効である。
【0050】
媒体M1が給送方向D1へ給送されることにより先端Maが重送検出位置P2を通過した直後の状態ST14では、重送検出部30の発信部30aから重送検出位置P2に向けて超音波が出力されている。媒体M1を横切る超音波の減衰度合が少ないため、受信部30bの検出結果は重送でないことに相当する「ON」となる。尚、
図6に示す媒体M1にずれて別の媒体が重なった場合、媒体M1と別の媒体とが重なっている部分が重送検出位置P2に到達すると、当該部分を横切る超音波の減衰度合が多いため、受信部30bの検出結果は重送であることに相当する「OFF」となる。
【0051】
図7は、重送であると判定しないことが好ましい厚いカードM2が給送される場合の制御を模式的に例示している。
カードM2の先端Maが媒体検出位置P1に到達する前の初期状態ST21では、発光部31aから媒体検出位置P1に向けて放出されている第一光量Q1の光31cが受光部31bに入射するので、受光部31bの検出結果は媒体無しに相当する「ON」となる。
【0052】
カードM2が給送方向D1へ給送されることにより先端Maが媒体検出位置P1を通過した直後の状態ST22では、発光部31aから放出されている第一光量Q1の光31cがカードM2に遮られる。光31cが受光部31bに入射しないため、受光部31bの検出結果は媒体有りに相当する「OFF」となる。媒体有りから媒体無しへの切り替わりが検出されたので、給送されるカードM2の先端Maが検出されたことになる。
カードM2の先端Maが検出されると、制御部40は、発光部31aの光量Q0を第一光量Q1から第二光量Q2に増やす。
図7には、カードM2の先端Maが媒体検出位置P1から第二距離L2給送された状態ST23が示されている。この状態ST23において、発光部31aから媒体検出位置P1に向けて放出される第二光量Q2の光31cは、カードM2に遮られる。その結果、受光部31bの検出結果は、カードM2に相当する「OFF」となる。この場合、重送検出部30の重送検出は、無効となる。
【0053】
カードM2が給送方向D1へ給送されることにより先端Maが重送検出位置P2を通過した直後の状態ST24では、重送検出部30による重送検出が無効となっている。この状態は、発信部30aから超音波を出力しない状態でもよいし、発信部30aから超音波を出力するが制御部40が重送と判定しない状態でもよい。
【0054】
図8は、上述した搬送制御を実現させる搬送制御処理を模式的に例示している。搬送制御処理を行う制御部40は、ステップS108~S110において第一工程ST1を実施し、ステップS118において第二工程ST2を実施し、ステップS120において第三工程ST3を実施する。以下、「ステップ」の記載を省略し、括弧内に各ステップの符号を示す。
図9は、媒体M0の給送位置に応じた制御処理を模式的に例示している。
図9では、先端Maが媒体検出位置P1にある状態のカードM2が実践で示され、この状態から給送された状態のカードM2が二点鎖線で示されている。
【0055】
搬送制御処理が開始すると、制御部40は、発光部31aの光量Q0を媒体M0の先端Maを検出するための第一光量Q1に設定し(S102)、重送検出部30による重送検出を有効モードに設定する(S104)。有効モードにおいて、制御部40は、重送検出部30の検出結果が重送である場合に媒体M0が重送と判定して読取動作を中断し、重送検出部30の検出結果が重送でない場合に媒体M0が重送でないと判定して読取動作を継続する。従って、制御部40は、有効モードにおいて、重送検出部30の検出結果に従って媒体M0が重送であるか否かを判定し、判定結果に応じた処理を行う。
【0056】
S104の処理後、制御部40は、
図4に示すモーター45,46を駆動させることにより原稿載置部11から媒体M0の給送を開始させる(S106)。S106の処理直後は、
図6,7に示す状態ST11,ST21である。制御部40は、媒体検出位置P1において媒体M0の先端Maが検出されるまで、すなわち、媒体検出部31の検出結果が媒体無しから媒体有りに切り替わるまで待機する(S108)。S108の処理は、制御部40が媒体無しから媒体有りに切り替わるまで媒体検出部31から検出結果を繰り返し取得する処理でもよいし、媒体検出部31が媒体無しから媒体有りへの切り替わりをトリガーとして制御部40に当該切り替わりを通知する処理でもよい。媒体M0の先端Maが検出された直後は、
図6,7に示す状態ST12,ST22である。
【0057】
媒体M0の先端Maが検出されると、制御部40は、発光部31aの光量Q0を第一光量Q1よりも大きい第二光量Q2に設定する(S110)。このようにして、制御部40は、光量Q0が第一光量Q1である状態で媒体検出部31により媒体無しから媒体有りへの切り替わりが検出されると光量Q0を第二光量Q2に変更する制御を行う。ここで、
図9に示すように、給送方向D1において媒体検出位置P1からの第一距離L1をID-1のカードにおける短辺のサイズS1=53.98mmとし、給送方向D1において媒体検出位置P1からの第二距離L2を第一距離よりも短い距離とする。制御部40は、媒体M0の先端Maが検出されてから媒体M0が第二距離L2給送されるまでに光量Q0を第二光量Q2に変更する制御を行う。
【0058】
光量Q0の変更後、制御部40は、モーター45,46の駆動を継続させることにより媒体M0を媒体検出位置P1から第二距離L2給送させる(S112)。S112の処理直後は、
図6,7に示す状態ST13,ST23である。当該状態ST13,ST23において、制御部40は、受光部31bの光31cの検出量に対応する検出電圧V1を受光部31bから取得する(S114)。S112の給送処理を行うのは、例えば、発光部31aの光量Q0が第一光量Q1から第二光量Q2に切り替わるまでにラグタイムがあることや、原稿を保持するキャリアシートを媒体として使用する場合に媒体の先端が検出されるまでの遅延があることによる。検出電圧V1の取得後、制御部40は、検出電圧V1に基づいて受光部31bが発光部31aからの第二光量Q2の光31cを検出したか否かに応じて処理を分岐させる(S116)。S116の判断処理は、例えば、
図9に示すように検出電圧V1が所定の閾値Vthを超えるか否かを判断する処理とすることができる。閾値Vthは、受光部31bの光31cの検出量と対比する所定量の例である。
以上より、制御部40は、発光部31aの光量Q0が第一光量Q1である状態で媒体検出部31により媒体無しから媒体有りへの切り替わりが検出されてから媒体M0が第一距離L1よりも短い第二距離L2給送された後に受光部31bの光31cの検出量が所定量を超えるか否かを判別する。この判別は、発光部31aの光量Q0が第二光量Q2である状態で行われる。第一距離L1はID-1のカードにおける短辺のサイズS1であるので、制御部40は、媒体M0の先端Maが検出されてから媒体M0が短辺のサイズS1給送されるまでに受光部31bの光31cの検出量が所定量を超えるか否かを判別することになる。
【0059】
図6に示す状態ST13のように受光部31bが発光部31aからの第二光量Q2の光31cを検出すると、検出電圧V1が閾値Vthを超える。この場合、制御部40は、検出対象の媒体M0が厚い媒体でなく通常の媒体M1であると判定し、重送検出の有効モードを維持する(S118)。有効モードにおいて、制御部40は、重送検出部30の検出結果が重送である場合に媒体M1が重送と判定して読取動作を中断し、重送検出部30の検出結果が重送でない場合に媒体M1が重送でないと判定して読取動作を継続する。従って、制御部40は、重送検出部30の検出結果に従って媒体M1が重送であるか否かを判定し、判定結果に応じた処理を行う。
【0060】
一方、
図7に示す状態ST23のように受光部31bが発光部31aからの第二光量Q2の光31cを検出しない場合、検出電圧V1は閾値Vthを超えない。この場合、制御部40は、検出対象の媒体M0がカードM2のような厚い媒体であると判定し、重送検出部30による重送検出を無効モードに設定する(S120)。無効モードにおいて、制御部40は、重送検出部30による重送検出を停止させる。これにより、制御部40は、検出対象の媒体M0が1枚で重送検出部30により重送と検出されるような厚い媒体であっても、検出対象の媒体M0が重送であると判定しない。尚、S120の処理は、重送検出部30が重送検出を継続する一方で重送検出部30の検出結果を無視して読取動作を継続する処理でもよい。いずれにしても、制御部40は、第一光量Q1から第二光量Q2への変更によっても受光部31bの光31cの検出量が所定量を超えない場合、媒体M0が重送であると判定しない。
【0061】
以上より、媒体M0の有無を検出する媒体検出部31で、重送であるか否かを判定することが好ましい媒体M1と、重送であると判定しないことが好ましいカードM2のような厚い媒体と、が判別される。検出対象の媒体M0が媒体M1であると判別されると、重送検出部30の検出結果に従って媒体M1が重送であるか否かが判定され、判定結果に応じた処理が行われる。検出対象の媒体M0がカードM2のような厚い媒体であると判別されると、媒体が重送であると判定されない。従って、本具体例は、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制することが可能となる。
【0062】
S118の処理、又は、S120の処理の後、制御部40は、発光部31aの光量Q0を媒体M0の後端Mbを検出するための第一光量Q1に設定する(S122)。このようにして、制御部40は、第一光量Q1から第二光量Q2への変更により受光部31bの光31cの検出量が所定量を超えるか否かを判別した後、発光部31aの光量Q0を第二光量Q2よりも小さい第一光量Q1に変更する制御を行う。
図9に示すように、制御部40は、媒体M0の先端Maが検出されてから媒体M0が第一距離L1給送されるまでに光量Q0を第一光量Q1に変更する制御を行う。
【0063】
光量Q0の変更後、制御部40は、媒体検出位置P1において媒体M0の後端Mbが検出されるまで、すなわち、媒体検出部31の検出結果が媒体有りから媒体無しに切り替わるまで待機する(S124)。S124の処理は、制御部40が媒体有りから媒体無しに切り替わるまで媒体検出部31から検出結果を繰り返し取得する処理でもよいし、媒体検出部31が媒体有りから媒体無しへの切り替わりをトリガーとして制御部40に当該切り替わりを通知する処理でもよい。媒体M0の後端Mbが検出された直後は、
図6,7に示す状態ST14,ST24である。
以上より、制御部40は、第二光量Q2から第一光量Q1への変更後、媒体検出部31により媒体有りから媒体無しへの切り替わりが検出されると媒体M0の後端Mbが媒体検出位置P1を通過したと判定する。従って、本具体例は、媒体M0の先端Maを検出する媒体検出部31が媒体M0の厚さを判別した後に媒体M0の後端Mbを検出することができる。
【0064】
媒体M0の後端Mbが検出されると、制御部40は、
図3,4に示すセット検出部33の検出結果に基づいて次の媒体M0が有るか否かに応じて処理を分岐させる(S126)。S126の判断処理は、例えば、セット検出部33が媒体M0の存在を検出している場合に処理をS104に戻し、セット検出部33が媒体M0の存在を検出していない場合に搬送制御処理を終了させる処理とすることができる。制御部40は、次の媒体M0が有る場合にS104~S126の処理を繰り返すことにより、光量Q0を第一光量Q1から第二光量Q2に変更する制御、及び、光量Q0を第二光量Q2から第一光量Q1に変更する制御を媒体M0の単位で行う。これにより、給送される媒体M0の単位で、重送であるか否かを判定することが好ましい媒体M1と、重送であると判定しないことが好ましいカードM2のような厚い媒体と、が判別される。
【0065】
以上説明したように、本具体例は、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制することが可能となる。
【0066】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、画像読取装置は、上部読取センサー20Aと下部読取センサー20Bの一方が無く媒体M0の片面のみ読み取る片面読み取り専用機でもよい。
上述した重送検出部30は発信部30aが下ユニット3に配置され受信部30bが上ユニット4に配置されていたが、受信部30bが下ユニット3に配置され発信部30aが上ユニット4に配置されてもよい。
上述した媒体検出部31は発光部31aが下ユニット3に配置され受光部31bが上ユニット4に配置されていたが、受光部31bが下ユニット3に配置され発光部31aが上ユニット4に配置されてもよい。
上述した媒体検出部31は検出電圧V1を制御部40に出力したが、媒体検出部31は受光部31bの光31cを検出したか否かを表す信号を制御部40に出力してもよい。この場合、受光部31bが光31cを検出することは光31cの検出量が所定量を超えることに相当し、受光部31bが光31cを検出しないことは光31cの検出量が所定量を超えないことに相当する。
【0067】
上述した処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。例えば、
図8に示す搬送制御処理において、重送検出を有効に設定するS104の処理と媒体M0の給送を開始させるS106の処理とを入れ替えることが可能である。
媒体M0の後端Mbを検出するための光量は、媒体M0の先端Maを検出するための第一光量Q1に限定されず、第一光量Q1と異なる光量でもよい。
上述した具体例では給送される媒体M0の単位で媒体M0の厚さが判別されたが、カードM2のような厚い媒体が判別された以降に連続して給送される全ての媒体M0について重送モードが無効にされてもよい。
【0068】
ところで、
図3に示す搬送ローラー対16や排出ローラー対17に厚い媒体が突き当たることにより、
図4に示す搬送ローラー用モーター46に大きな負荷がかかることがある。搬送ローラー用モーター46に大きな負荷がかかると、搬送ローラー用モーター46の過負荷検出機能が作用して読取動作が中断する可能性がある。そこで、
図8に示すS116,S120において厚い媒体が判別された場合、制御部40は、搬送ローラー用モーター46の過負荷検出機能を抑制する制御を行ってもよい。これにより、搬送ローラー用モーター46の過負荷検出機能により厚い媒体の読取動作が中断することを抑制することが可能となる。
【0069】
画像読取装置には、水平姿勢と傾斜姿勢とに切り替え可能な機種がある。ここで、水平姿勢は搬送経路が略水平な姿勢であり、傾斜姿勢は給送方向に向かって下がるように搬送経路が傾斜している姿勢である。画像読取装置が傾斜姿勢である場合、排出口に設けられる水平なスタッカーと傾斜した搬送経路との向きが異なる。このため、搬送経路から排出された厚い媒体がスタッカーに突き当たり、厚い媒体に損傷が生じるリスクがある。そこで、制御部は、画像読取装置の姿勢を検出する検出部から画像読取装置の姿勢を取得し、
図8に示すS120において厚い媒体が判別され、且つ、画像読取装置が傾斜姿勢である場合、読取動作を中止させてもよい。これにより、画像読取装置が傾斜姿勢である場合に送経路から排出された厚い媒体がスタッカーに突き当たることを抑制することが可能となる。
【0070】
図2等に示す発光部31aの第二光量Q2によっては、
図8に示すS118~S120において媒体M0が厚い媒体でないと判別され、且つ、実際には重送でないにもかかわらず重送検出部30により媒体M0の重送が検出されることが想定される。この場合において読取動作が中断した時、制御部40は、
図4に示す操作パネル7又は制御装置60から重走が誤検出されたことを示す入力を受け付けると、次回の搬送制御処理の時に
図8のS110で設定する第二光量Q2を第一光量Q1よりも大きい範囲で前回よりも下げてもよい。これにより、前述のような媒体が
図8のS116,S120において厚い媒体であると判別され、実際には重送でないにもかかわらず重送検出部30により媒体M0の重送が検出される場面が抑制される。
【0071】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、厚い媒体を検出する専用のセンサーが無くても厚い媒体が重送と判定されることを抑制可能な技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1A…スキャナー(画像読取装置の例)、2…装置本体、3…下ユニット、3a…搬送面部、4…上ユニット、10…搬送経路、10a…中心位置、11…原稿載置部、12…エッジガイド、14…給送ローラー、15…分離ローラー、16…搬送ローラー対、16a…搬送駆動ローラー、16b…搬送従動ローラー、17…排出ローラー対、17a…排出駆動ローラー、17b…排出従動ローラー、20…読取部、20A…上部読取センサー(第二読取部の例)、20B…下部読取センサー(第一読取部の例)、30…重送検出部、30a…発信部、30b…受信部、31…媒体検出部、31a…発光部、31b…受光部、31c…光、33…セット検出部、38…RAM、40…制御部、41…CPU、42…ROM、43…記憶部、44…プログラム、45…給送ローラー用モーター、46…搬送ローラー用モーター、47…I/F、60…制御装置、66…表示装置、67…I/F、D1…給送方向、D2…幅方向、DA1…読取画像データ、L1…第一距離、L2…第二距離、L3…第三距離、M0,M1…媒体、M2…カード、Ma…先端、Mb…後端、P1…媒体検出位置、P2…重送検出位置、PR1…読取制御プログラム、Q0…光量、Q1…第一光量、Q2…第二光量、RS…読取結果、S1…短辺のサイズ、ST1…第一工程、ST2…第二工程、ST3…第三工程、SY1…画像読取システム、UF…給送部、V1…検出電圧(検出量の例)、Vth…閾値(所定量の例)。