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  • 特許-画像形成装置 図1
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  • 特許-画像形成装置 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20241008BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/01 203
G03G15/00 303
G03G21/00 370
B41J21/00 Z
B41J2/01 451
B41J2/01 125
B41J2/01 127
B41J2/01 305
B65H43/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021023324
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125629
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川原 稔
(72)【発明者】
【氏名】茅原 健悟
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-238544(JP,A)
【文献】特開2011-154184(JP,A)
【文献】特開2010-271407(JP,A)
【文献】特開2015-078898(JP,A)
【文献】特開平08-132678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
G03G 15/00
G03G 21/00
B41J 21/00
B65H 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を備え、1つの記録媒体を前記画像形成部に供給してから排出するまでの間に前記画像形成部に複数回、前記記録媒体を搬送可能な画像形成装置であって、
前記画像形成部に向けて搬送される記録媒体を検出する検出部と、
少なくとも1回、前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の先端部以外の部位を前記検出部が検出したタイミングに基づいて、当該記録媒体の画像形成タイミングを決定する決定部と、
前記記録媒体が前記画像形成装置に供給されてから前記画像形成部を経由して前記画像形成装置から排出されるまでの搬送経路を構成する搬送経路部と、
前記搬送経路において前記画像形成部を通過した記録媒体を前記搬送経路に再搬送する再搬送経路を構成する再搬送経路部と、
を備え
前記搬送経路部における、前記再搬送経路部との合流部分から前記画像形成部に対応する位置までの経路は、直線経路で構成され、
前記検出部は、前記直線経路上に配置されている、
画像形成装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の後端部を前記検出部が検出したタイミングに基づいて当該記録媒体の画像形成タイミングを決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定部は、
1回目に前記画像形成部に搬送される記録媒体の先端部を前記検出部が検出したタイミングに基づいて前記記録媒体の搬送前画像形成タイミングを決定し、
前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の先端部以外の部位を前記検出部が検出したタイミングに応じて、当該記録媒体の画像形成タイミングを前記搬送前画像形成タイミングから変更する、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出部から前記画像形成部までの前記記録媒体の搬送距離は、前記記録媒体の長さ以上である、
請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記検出部による前記記録媒体の検出後、前記記録媒体のサイズ情報と、前記検出部から前記画像形成部までの前記記録媒体の搬送距離情報とに基づいて前記画像形成タイミングを決定する、
請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に位置し、前記記録媒体における画像を前記記録媒体に定着させる定着部を備え、
前記決定部は、前記定着部に起因する前記記録媒体の伸縮量を検出し、前記伸縮量に基づいて前記記録媒体の画像形成タイミングを決定する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体に形成する画像データを生成するデータ生成部を備え、
前記データ生成部は、前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の伸縮量に基づいて前記画像データの収縮または拡張を行う、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録媒体を前記画像形成部に向けて搬送するためのローラー部材の回転数を検出する回転検出部と、
前記記録媒体の伸縮量に基づいて、前記回転検出部により検出される回転数に基づくクロック信号の分周率または逓倍率を変更する変更部と、
を備える、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記検出部が、前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の先端部および後端部を検出することにより、前記記録媒体の伸縮量を決定する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記検出部とは異なる位置に配置され、搬送経路における記録媒体の詰まりを検出可能な詰まり検出部を備え、
前記決定部は、前記詰まり検出部が前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の先端部および後端部を検出することにより、前記記録媒体の伸縮量を決定する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記決定部は、前記先端部から前記後端部までの前記記録媒体の搬送量に基づいて前記記録媒体の伸縮量を決定する、
請求項または請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像形成装置では、例えば両面印刷の際等においては、1つの記録媒体が画像形成部に供給されてから排出されるまでの間に複数回(例えば、2回)、画像形成部に搬送される。画像形成装置においては、画像形成を行うことにより記録媒体が伸縮することがある。例えば、定着部における加熱または紫外線照射による記録媒体への画像定着や、画像形成において用いられる液滴によって記録媒体が伸縮する。
【0003】
ところで、1つの記録媒体を複数回、画像形成部に搬送可能な構成では、例えば両面印刷の際、表面を印刷した後、画像形成部に再搬送される際に、記録媒体が伸縮していると、裏面の画像形成タイミングが、表面の画像形成タイミングと異なる場合がある。
【0004】
このような課題を解決するため、例えば特許文献1では、予め生成した、記録媒体の縮み量と記録タイミングとの関係に基づいて、記録媒体の裏面における記録タイミングを生成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-59495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、記録媒体の裏面を記録する前に、記録媒体の縮み量を検出する必要があるとともに、記録媒体の縮み量と記録タイミングとの関係を予め生成する必要があるため、全体として処理が煩雑となる。
【0007】
本発明の目的は、記録媒体の伸縮に起因した画像形成タイミングのずれを簡易に抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、
画像形成部を備え、1つの記録媒体を前記画像形成部に供給してから排出するまでの間に前記画像形成部に複数回、前記記録媒体を搬送可能な画像形成装置であって、
前記画像形成部に向けて搬送される記録媒体を検出する検出部と、
少なくとも1回、前記画像形成部へ搬送された後の記録媒体の先端部以外の部位を前記検出部が検出したタイミングに基づいて、当該記録媒体の画像形成タイミングを決定する決定部と、
前記記録媒体が前記画像形成装置に供給されてから前記画像形成部を経由して前記画像形成装置から排出されるまでの搬送経路を構成する搬送経路部と、
前記搬送経路において前記画像形成部を通過した記録媒体を前記搬送経路に再搬送する再搬送経路を構成する再搬送経路部と、
を備え
前記検出部は、前記搬送経路部における、前記再搬送経路部との合流部分と、前記画像形成部に対応する位置との間に対応する位置に配置されている
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の伸縮に起因した画像形成タイミングのずれを簡易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図3A】画像形成タイミングを決定する際の検出部の検出タイミングを説明するための図である。
図3B】画像形成タイミングを決定する際の検出部の検出タイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、記録媒体Pに対する画像の記録を行うインクジェット式の画像形成装置である。画像形成装置1は、給紙部10と、搬送部20と、画像形成部30と、定着部40と、再搬送部50と、排出部60と、検出部70と、制御部100とを備える。
【0013】
画像形成装置1は、制御部100による制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを搬送部20により、画像形成部30に搬送して画像形成部30で記録媒体P上にインクを吐出して画像を記録する。画像形成装置1は、画像を記録した記録媒体Pを定着部40に搬送して、記録媒体Pに画像を定着させた後、排出部60に当該記録媒体Pを搬送する。
【0014】
詳しくは、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色についてそれぞれ所定の記録階調数で記録媒体P上に色を重ねて出力することで当該記録媒体P上にカラー画像を記録する。
【0015】
記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙の他、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0016】
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から搬送部20に記録媒体Pを供給する供給部12とを有する。給紙部10では、供給部12によって給紙トレー11に積載された記録媒体Pを搬送することによって、搬送部20に記録媒体Pが供給される。
【0017】
搬送部20は、アライナー部21と、搬送経路部22とを有する。アライナー部21は、給紙部10から供給された記録媒体Pの搬送経路部22における幅方向の位置を調整する。
【0018】
搬送経路部22は、記録媒体Pが給紙部10から供給されてから、画像形成部30を経由して排出部60に排出されるまでの搬送経路を構成する。搬送経路部22は、所定の間隔をおいて平行に配置された従動ローラー221および駆動ローラー222とで張架された無端状の搬送ベルト223を有する。従動ローラー221および駆動ローラー222に張架された搬送ベルト223の上面は、記録媒体Pを密着させて載置する載置面とされている。なお、上記のアライナー部21も搬送経路部22の一部である。
【0019】
搬送経路部22では、駆動ローラー222が副走査モーターの回転駆動によって、図1中の反時計回り方向に所定速度で回転することにより、従動ローラー221との間に架け渡された搬送ベルト223を回転移動させる。かかる動作により、搬送ベルト223の上面に載置されている記録媒体Pは、副走査方向である矢印A方向に向けて搬送される。
【0020】
また、従動ローラー221付近には、従動ローラー221の回転数を検出可能な回転検出部23が設けられている(図2参照)。回転検出部23は、例えばロータリーエンコーダーである。回転検出部23が検出する回転数によって、例えば当該回転数に基づくクロック信号の分周率や逓倍率が生成される。従動ローラー221は、本発明の「ローラー部材」に対応する。
【0021】
画像形成部30は、複数(4つ)のヘッドユニット31を有しており、搬送経路部22における搬送ベルト223の搬送面と所定の距離だけ離隔されるように配置される。4つのヘッドユニット31は、Y,M,C,Kの4色のインクにそれぞれ対応しており、それぞれが異なる複数種類のインクを吐出可能に構成されている。
【0022】
ヘッドユニット31は、画像の記録時に固定されて用いられ、記録媒体Pの搬送に応じて搬送方向の異なる位置に所定の間隔で順次インクを吐出していく、シングルパス方式で画像を記録する。なお、画像形成部30は、シングルパス方式に限られず、記録媒体Pの幅方向に走査可能なキャリッジを用いる、スキャン方式で画像を記録するものでも良い。
【0023】
定着部40は、搬送経路部22における画像形成部30よりも搬送方向(矢印Aの方向)の下流側に配置される。定着部40は、搬送ベルト223に載置された記録媒体Pに対して、例えば紫外線等の活性化エネルギー光を照射して記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させて定着させる。なお、図1では、画像形成部30の箇所と、定着部40の箇所とで2つの搬送ベルトが並んで配置されているが、1つの搬送ベルトで構成されていても良い。
【0024】
また、定着部40は、加熱部(図示略)が設けられている。加熱部は、記録媒体Pが所定の温度範囲内の温度になるように当該記録媒体Pを加熱する。加熱部は、例えば赤外線ヒーター等を有し、制御部100から供給される制御信号に基づいて赤外線ヒーターに通電して当該赤外線ヒーターを発熱させる。
【0025】
再搬送部50は、両面印刷の際に、表面に画像が形成された記録媒体Pの裏面側に画像が形成可能なようにして、再度画像形成部30に搬送させるための搬送部である。この再搬送部50により、画像形成装置1では、1つの記録媒体Pを画像形成部30に供給してから排出するまでの間に画像形成部30に、表面印刷と裏面印刷とで計2回、記録媒体Pを搬送可能に構成されている。再搬送部50は、再搬送経路部51と、反転部52とを有する。
【0026】
再搬送経路部51は、搬送経路部22において画像形成部30を通過した記録媒体Pを搬送経路部22に再搬送する再搬送経路を構成する。再搬送経路部51は、搬送経路部22と排紙部60との間において、搬送経路部22から分岐して、搬送ベルト223の下方を通ってアライナー部21の上流側と合流する。
【0027】
反転部52は、再搬送経路部51内において、再搬送経路部51と搬送経路部22との合流部分付近に設けられる。反転部52は、再搬送経路部51を搬送される記録媒体Pを反転部52側に導いて(矢印B参照)、記録媒体Pの裏面が画像形成部30側を向くように、当該記録媒体Pをスイッチバックさせることで反転させる。そして、反転した記録媒体Pは、再搬送経路部51に戻って、搬送経路部22との合流部分に搬送される(矢印C参照)。
【0028】
また、再搬送経路部51には、記録媒体Pの詰まり(ジャム)を検出するための詰まり検出部53が設けられている。詰まり検出部53は、例えば、再搬送経路部51を通過する記録媒体Pの通過を検出可能なメディアセンサーであり、再搬送経路部51における2箇所に設けられている。
【0029】
排出部60は、搬送部20によって画像形成部30、定着部40を通過した記録媒体Pが排出される部分であり、当該記録媒体Pが載置される排出トレー61等を有する。
【0030】
検出部70は、搬送ベルト223に載置される記録媒体Pを検出可能なメディアセンサーである。検出部70は、搬送経路部22における、例えば搬送方向における、アライナー部21と、搬送ベルト223との間に対応する位置に設けられている。
【0031】
言い換えると、検出部70は、搬送経路部22における、再搬送経路部51との合流部分と、画像形成部30に対応する位置との間に対応する位置に配置されている。また、検出部70は、例えば、検出部70から画像形成部30までの記録媒体Pの搬送距離が、記録媒体Pの長さ以上となる位置に配置されている。
【0032】
図2に示すように、制御部100は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)、記憶部104等を備える。CPU101は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM102に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部104に格納されている各種データが参照される。記憶部104は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0033】
制御部100は、再搬送経路部51を用いて、両面印刷を行う場合、検出部70の検出結果に基づいて、記録媒体Pにおける画像形成タイミングを決定する。言い換えると、制御部100は、1つの記録媒体Pを画像形成部30に供給してから排出するまでの間に、複数回、記録媒体Pを搬送する場合、検出部70の検出結果に基づいて記録媒体Pにおける画像形成タイミングを決定する。制御部100は、本発明の「決定部」に対応する。
【0034】
具体的には、図3Aに示すように、制御部100は、記録媒体Pの表面の印刷を行う場合、記録媒体Pの先端部を検出部70が検出したタイミングに基づいて記録媒体Pの画像形成タイミング(搬送前画像形成タイミング)を決定する。言い換えると、制御部100は、1回目に画像形成部30に搬送される記録媒体Pの先端部を検出部70が検出したタイミングに基づいて、当該記録媒体Pの画像形成タイミングを決定する。
【0035】
このときの画像形成タイミングは、記録媒体Pの先端部を検出したタイミングと、記録媒体Pのサイズ情報と、検出部70から画像形成部30までの記録媒体Pの搬送距離情報とに基づいて決定される。
【0036】
なお、ここで言う記録媒体Pの先端部は、検出部70の位置を通過する記録媒体Pのうち、検出部70の位置に最初に到達する記録媒体Pの端部である。
【0037】
記録媒体Pのサイズ情報は、給紙部10に格納可能な記録媒体Pのサイズ情報である。また、記録媒体Pの搬送距離情報は、搬送経路部22における検出部70に対応する位置から、画像形成部30における最上流側に対応する位置までの距離情報である。
【0038】
そして、図3Bに示すように、制御部100は、1回、画像形成部30へ搬送された後、再搬送経路部51を介して搬送される記録媒体Pの後端部を検出部70が検出したタイミングに基づいて、当該記録媒体Pの画像形成タイミングを決定する。このときの記録媒体Pの表面(図3Bにおける下側の面)には、画像形成部30により画像Gが形成されている。
【0039】
このときの画像形成タイミングは、記録媒体Pのサイズ情報と、検出部70から画像形成部30までの記録媒体Pの搬送距離情報と、再搬送経路部51を搬送された際の記録媒体Pの先端部を検出したタイミングとに基づいて決定される。
【0040】
なお、ここで言う記録媒体Pの後端部は、検出部70の位置を通過する記録媒体Pのうち、検出部70の位置に最後に到達する記録媒体Pの端部である。
【0041】
本実施の形態では、検出部70から画像形成部30までの記録媒体Pの搬送距離が、記録媒体Pの長さ以上となる位置に配置されているため、記録媒体Pの後端部が検出部70の位置を通過したタイミングにおいては、まだ記録媒体Pが画像形成部30に対応する位置に到達していない。
【0042】
そのため、記録媒体Pの後端部が検出部70の位置を通過したタイミングで画像形成タイミングを決定することで、記録媒体Pの表面に画像が形成されたことに起因する記録媒体Pの伸縮を考慮した画像形成を行うことができる。
【0043】
制御部100は、記録媒体Pの裏面の印刷を行う場合、例えば検出部70が記録媒体Pの先端部と記録媒体Pの後端部とを検出することに基づいて、当該記録媒体Pの画像形成タイミングを決定する。
【0044】
具体的には、制御部100は、例えば、検出部70が記録媒体Pの先端部を検出してから、記録媒体Pの後端部を検出するまでの、記録媒体Pの搬送量に基づいて、記録媒体Pの伸縮量を検出する。記録媒体Pの搬送量は、例えば回転検出部23が検出した回転数(例えば、出力パルスのカウント値等)や、搬送ベルト223の搬送距離等である。
【0045】
そして、制御部100は、検出した記録媒体Pの伸縮量と、上記のサイズ情報および搬送距離情報とに基づいて画像形成タイミングを決定する。言い換えると、制御部100は、画像形成部30へ搬送された後の記録媒体Pの後端部を検出部70が検出したタイミングに応じて、当該記録媒体Pの画像形成タイミングを、上記の搬送前画像形成タイミングから変更する。
【0046】
これにより、表面に画像が形成された記録媒体Pの伸縮量を考慮した画像形成タイミングを決定することができるので、裏面における画像形成タイミングを正確にすることができる。
【0047】
また、制御部100は、検出した伸縮量に基づいて、画像データの収縮または拡張を行うように画像形成部30を制御する。具体的には、制御部100は、例えば記録媒体Pの元のサイズに対して、伸縮後の記録媒体Pのサイズの割合を算出して、画像データに当該割合を適用することで、画像データの収縮または拡張を行うように、当該画像データを生成する。制御部100は、本発明の「データ生成部」に対応する。
【0048】
これにより、伸縮量に応じた画像を記録媒体Pに形成することができる。
【0049】
以上のように構成された本実施の形態によれば、裏面の印刷を行う場合、画像形成部30へ搬送された後の記録媒体Pの後端部を検出部70が検出したタイミングに基づいて当該記録媒体Pの画像形成タイミングを決定する。
【0050】
例えば、特許文献1に記載の構成のように、記録媒体の伸縮量を検出した後、再搬送される記録媒体の位置を検出してから、当該伸縮量と、当該伸縮量に対応付けられた記録タイミングとに基づいて、記録タイミングを決定する。そのため、記録媒体の伸縮量と、記録媒体の位置とのそれぞれを検出する必要があるとともに、予め記録タイミングを生成しておく必要があるため、全体として処理が煩雑になる。
【0051】
それに対し、本実施の形態では、裏面印刷時の記録媒体Pの後端部の検出をもって、記録媒体Pの位置と、記録媒体Pの伸縮量とを両方検出できるとともに、特許文献1に記載の構成のように、予め記録タイミングを生成する必要もない。その結果、本実施の形態では、全体として処理を簡易にすることができる。
【0052】
すなわち、本実施の形態では、記録媒体Pの伸縮に起因した画像形成タイミングのずれを簡易に抑制することができる。
【0053】
また、特許文献1に記載の構成のように、記録媒体の伸縮量を比較的画像形成部から離れた位置で検出する場合、記録媒体の伸縮量を検出してから、しばらくの間、記録媒体が搬送された後、画像形成部に入り込む。この場合、例えば、記録媒体が搬送される間に、さらに記録媒体が伸縮したりすると、検出した伸縮量と、実際の伸縮量とに乖離が生じ、画像形成タイミングがずれるおそれがある。
【0054】
それに対し、本実施の形態では、画像形成部30に入る直前で記録媒体Pの伸縮量を検出可能であるので、当該伸縮量を検出してから、記録媒体Pが画像形成部30に入るまでの時間を極めて短くすることができる。その結果、検出した伸縮量と、実際の伸縮量とに乖離が生じることを抑制し、ひいては当該伸縮量に基づいて画像形成タイミングを決定しやすくすることができる。
【0055】
すなわち、本実施の形態では、記録媒体Pの伸縮に起因した画像形成タイミングのずれを簡易に抑制することができる。
【0056】
また、特許文献1に記載の構成では、記録媒体の縮み量と記録タイミングとの関係を予め生成するため、予め生成された記録タイミングで、画像形成が記録媒体に行われることになる。この記録タイミングは、画像形成装置が使用される前に生成される記録タイミングであるため、画像形成装置の部品の摩耗や、記録媒体に形成された画像の割合(カバレッジ)等は考慮されてないものとなる。そのため、これらに起因して実際の画像形成タイミングがずれるおそれがある。
【0057】
それに対し、本実施の形態では、画像形成部30に搬送された後の記録媒体Pの後端部が検出されたタイミングで画像形成タイミングを決定するので、現状の画像形成装置1の状態や記録媒体Pに形成された画像の割合を加味した画像形成タイミングとすることが可能となる。その結果、記録媒体Pの伸縮に起因した画像形成タイミングのずれを簡易に抑制することができる。
【0058】
また、記録媒体Pの伸縮量に基づいて画像形成タイミングを決定するので、画像形成タイミングを正確なものとすることができる。
【0059】
また、記録媒体Pの伸縮量に基づいて画像データを収縮または拡張するので、伸縮後の記録媒体Pのサイズに画像データを合わせることができる。
【0060】
また、検出部70によって、画像形成タイミングを決定することで、他のセンサーを別途設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、記録媒体Pの伸縮量を検出部70が当該記録媒体Pの先端部と後端部とを検出することにより、検出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、詰まり検出部53を用いて記録媒体Pの伸縮量を検出しても良い。
【0062】
つまり、制御部100は、例えば、詰まり検出部53が記録媒体Pの先端部と後端部とを検出して記録媒体Pの伸縮量を検出する。このようにすることでも、記録媒体Pの伸縮量に応じた画像形成タイミングを決定することができる。
【0063】
また、上記実施の形態では、回転検出部23により検出された回転数に基づいて記録媒体Pの伸縮量を検出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、記録媒体Pの先端部が所定位置を通過してから後端部が通過するまでの時間や、搬送ベルト223の搬送距離に基づいて記録媒体Pの伸縮量を検出しても良いし、記録媒体Pに形成された画像を読み取り可能な読取部の読取結果に基づいて記録媒体Pの伸縮量を検出しても良い。
【0064】
また、上記実施の形態では、記録媒体Pの伸縮量に基づいて画像データの収縮または拡張を行っていたが、本発明はこれに限定されない。制御部100は、例えば回転検出部23により検出される回転数に基づくクロック信号の分周率または逓倍率を変更することで、記録媒体Pに形成される画像のサイズを変更しても良い。こうすることで、画像データを収縮または拡張することなしに、画像のサイズを記録媒体Pに合わせやすくすることができる。制御部100は、本発明の「変更部」に対応する。
【0065】
また、上記実施の形態では、検出部70から画像形成部30までの記録媒体Pの搬送距離が、記録媒体Pの長さ以上となる構成であったが、本発明はこれに限定されず、例えば検出部70から画像形成部30までの記録媒体Pの搬送距離が、記録媒体Pの長さ未満であっても良い。
【0066】
このような構成の場合、検出部70が記録媒体Pの後端部を検出する前に、当該記録媒体Pの先端部が画像形成部30に到達する。そのため、制御部100は、検出部70が記録媒体Pの後端部を検出するまで画像形成部30による画像形成を開始しない。
【0067】
そして、制御部100は、検出部70が記録媒体Pの後端部を検出した場合、記録媒体Pの先端部を画像形成部30の上流側に戻して、記録媒体Pを再び、画像形成部30に対応する位置に向けて搬送するように制御する。
【0068】
このような構成であっても、記録媒体Pの後端部を検出することで、記録媒体Pの伸縮量を考慮した画像形成タイミングを決定することができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、画像形成部へ搬送された後の記録媒体の後端部を検出部が検出することで、画像形成タイミングを決定していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像形成部へ搬送された後の記録媒体の先端部以外の部位を検出部が検出することで、画像形成タイミングを決定しても良い。
【0070】
先端部以外の部位としては、先端部から当該部位までの長さが、例えば、記録媒体における当該部位までの画像を検出する等して、当該記録媒体の伸縮量が判別可能な程度の長さを有する限り、どのような部位であっても良い。また、当該部位に応じて、検出部から画像形成部までの記録媒体の搬送距離を記録媒体の長さ未満とすることが可能となる。
【0071】
また、上記実施の形態では、定着部40を備えていたが、本発明はこれに限定されず、定着部40を備えていなくても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、両面印刷を行う構成であったが、本発明はこれに限定されず、記録媒体の同じ面に複数回印刷を行う追い刷り印刷を行う構成であっても良い。
【0073】
また、上記実施の形態では、表面の画像形成と裏面の画像形成とで合計2回、画像形成部に記録媒体を搬送していたが、本発明はこれに限定されず、3回以上、記録媒体を画像形成部に搬送しても良い。
【0074】
また、上記実施の形態では、再搬送部を有することで、1つの記録媒体を複数回、画像形成部に搬送していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の画像形成部が搬送方向に並ぶ構成であっても良い。
【0075】
また、上記実施の形態では、画像形成装置がインクジェット式の画像形成装置であったが、本発明はこれに限定されず、電子写真方式の画像形成装置であっても良い。
【0076】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
10 給紙部
11 給紙トレー
12 供給部
20 搬送部
21 アライナー部
22 搬送経路部
23 回転検出部
30 画像形成部
31 ヘッドユニット
40 定着部
50 再搬送部
51 再搬送経路部
52 反転部
53 詰まり検出部
60 排出部
61 排出トレー
70 検出部
100 制御部
221 従動ローラー
222 駆動ローラー
223 搬送ベルト
図1
図2
図3A
図3B