(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】点火コイル
(51)【国際特許分類】
H01F 38/12 20060101AFI20241008BHJP
F02P 15/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01F38/12 A
F02P15/00 303A
(21)【出願番号】P 2021025106
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 健大
(72)【発明者】
【氏名】近藤 祐樹
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-165448(JP,A)
【文献】中国実用新案第202721020(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/12
F02P 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁路を形成するコア部材(10)と、通電によって磁界を発生させるコイル(20)とを含み、点火プラグ(100)に高電圧を印加する点火コイル(1)であって、
上記コア部材は、柱状の中心コア(11)と、該中心コアの外周側に設けられた矩形筒状の外周コア(12)とを含み、
上記コイルは、上記中心コアに巻装された一次コイル(21)と、該一次コイルの外周側に巻装された二次コイル(22)と、該二次コイルに設けられるとともに点火プラグに電気的に接続されるように構成された高圧端子(23)とを含み、
上記中心コアの軸方向に直交する方向であって、上記中心コアと上記高圧端子とが並ぶ方向を高さ方向としたとき、上記外周コアの高さ方向の長さは上記中心コアの高さ方向の長さより大きく、
上記コア部材は、上記高圧端子と上記軸方向に対向する位置に上記コア部材が欠落してなるコア欠落部(13)を有
し、
上記外周コアは、上記高さ方向から見てC字形状を有する第1外周コア(121)及び第2外周コア(122)を含み、
上記第1外周コアと上記第2外周コアとは、上記中心コアの中心軸を基準として線対称に配置されているとともに、上記中心コアにおける軸方向の一方の端部(112)を挟み込む中心コア挟持部(123)を有しており、
上記高さ方向において、上記中心コアに対して上記高圧端子が配置される側を下方、反対側を上方としたとき、上記コア欠落部は上記中心コアの上記端部の下方であって上記中心コア挟持部同士の間に形成されている、点火コイル。
【請求項2】
上記高さ方向において、上記中心コアに対して上記高圧端子が配置される側を下方、反対側を上方としたとき、上記コア部材は上記コア欠落部の上方にコア部材が残存してなるコア残存部(14)を有し、
上記コア残存部の上端(14a)は、上記外周コアの上面(12a)よりも下方の位置又は該上面と同じ位置に位置しており、上記コア残存部の下端(14b)は、上記外周コアの下面(12b)よりも上方の位置に位置している、請求項1に記載の点火コイル。
【請求項3】
上記高さ方向において、上記中心コアに対して上記高圧端子が配置される側を下方、反対側を上方としたとき、
上記中心コアの中心軸(L1)は、高さ方向における上記外周コアの中心位置(L2)よりも上方に位置している、請求項1又は2に記載の点火コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点火コイルを構成する一次コイルへの通電をイグナイタによって遮断することにより、相互誘導作用で二次コイルに高電圧を発生させ、当該高電圧を点火コイルの一端側に取り付けられた点火プラグに印加する点火コイルが知られている。例えば、特許文献1には、このような点火コイルとして、柱状の中心コアとその外周側に設けられた外周コアと、中心コアに巻装された一次コイル及び二次コイルとを備えるとともに、二次コイルに高電圧が流れる電線を接続するための高圧端子が設けられた構成が開示されている。
そして、中心コアを長手方向に貫く中心線を、長手方向に直交する上下方向における点火コイルの中心位置よりも上方又は下方に位置させている。これにより、一次コイルやイグナイタを外部電源等と電気的に接続するための端末処理部が下方にオフセットされることとなり、端末処理部がオフセットされた分、点火コイルが小型化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、点火コイルにおいて最も高電位となる高圧端子が外周コアに対向して近接した状態で配置されることとなる。そのため、出力電圧を上昇させると、高圧端子と外周コアとの間の電界強度が上昇して電圧ストレスが高まるため、点火コイルの信頼性が低下する恐れがある。一方、高圧端子と外周コアとを離間させれば、両者間の電圧ストレスを低減できるが、点火コイルの大型化を招く。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、出力電圧が上昇しても信頼性を確保できる点火コイルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、磁路を形成するコア部材(10)と、通電によって磁界を発生させるコイル(20)とを含み、点火プラグ(100)に高電圧を印加する点火コイル(1)であって、
上記コア部材は、柱状の中心コア(11)と、該中心コアの外周側に設けられた矩形筒状の外周コア(12)とを含み、
上記コイルは、上記中心コアに巻装された一次コイル(21)と、該一次コイルの外周側に巻装された二次コイル(22)と、該二次コイルに設けられるとともに点火プラグに電気的に接続されるように構成された高圧端子(23)とを含み、
上記中心コアの軸方向に直交する方向であって、上記中心コアと上記高圧端子とが並ぶ方向を高さ方向としたとき、上記外周コアの高さ方向の長さは上記中心コアの高さ方向の長さより大きく、
上記コア部材は、上記高圧端子と上記軸方向に対向する位置に上記コア部材が欠落してなるコア欠落部(13)を有し、
上記外周コアは、上記高さ方向から見てC字形状を有する第1外周コア(121)及び第2外周コア(122)を含み、
上記第1外周コアと上記第2外周コアとは、上記中心コアの中心軸を基準として線対称に配置されているとともに、上記中心コアにおける軸方向の一方の端部(112)を挟み込む中心コア挟持部(123)を有しており、
上記高さ方向において、上記中心コアに対して上記高圧端子が配置される側を下方、反対側を上方としたとき、上記コア欠落部は上記中心コアの上記端部の下方であって上記中心コア挟持部同士の間に形成されている、点火コイルにある。
【発明の効果】
【0007】
上記点火コイルにおいては、中心コアと外周コアとを含むコア部材において、外周コアは高さ方向の長さが中心コアの高さ方向の長さより大きくなっている。そして、コア部材は二次コイルに設けられた高圧端子と軸方向に対向する位置にコア部材が欠落してなるコア欠落部を有する。当該コア欠落部により、高圧端子とコア部材との間の空間が広く形成されているため、出力電圧が上昇しても両者間の絶縁を確保することができる。また、コア欠落部が形成されることにより、高圧端子とコア部材との間の電界強度の上昇が抑止され、電圧ストレスを軽減することができる。そのため、出力電圧が上昇しても点火コイルの信頼性を確保することができる。また、高圧端子とコア部材とを従来以上に離間させる必要がないため、点火コイルの大型化を抑制することができる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、出力電圧が上昇しても、信頼性の確保が図れる点火コイルを提供することができる。
【0009】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図1における、III-III線位置断面図。
【
図6】実施形態2における、
図1のII-II線位置相当の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
上記点火コイルの実施形態について、
図1~
図5を用いて説明する。
本実施形態の点火コイル1は、
図1及び
図2に示すように、磁路を形成するコア部材10と、通電によって磁界を発生させるコイル20とを含み、点火プラグ100に高電圧を印加する。
図1及び
図2に示しように、コア部材10は、柱状の中心コア11と、該中心コア11の外周側に設けられた矩形筒状の外周コア12とを含む、
コイル20は、中心コア11に巻装された一次コイル21と、一次コイル21の外周側に巻装された二次コイル22と、二次コイル22に設けられるとともに点火プラグ100に電気的に接続されるように構成された高圧端子23とを含む。
そして、中心コア11の軸方向Xに直交する方向であって、中心コア11と高圧端子23とが並ぶ方向を高さ方向Yとしたとき、外周コア12の高さ方向Yの長さH2は中心コア11の高さ方向Yの長さH1より大きい。
さらに、
図2及び
図3に示すように、コア部材10は、高圧端子23と軸方向Xに対向する位置にコア部材10が欠落してなるコア欠落部13を有する。
【0012】
以下、本実施形態の点火コイル1について、詳述する。
図1及び
図2に示す点火コイル1は、例えば、内燃機関の点火装置に設けられた点火プラグ100に高電圧を印加するように構成されている。そして、
図2に示すように、点火コイル1は、コア部材10、コイル20、イグナイタ30、端末処理部31を備える。これらは、ハウジング40内に封止部材41により封止された状態で収納されている。
【0013】
本実施形態1では、
図3に示すように、後述の中心コア11の中心軸L1が延在する方向を軸方向Xとし、軸方向Xに直交する方向であって、中心コア11と後述の高圧端子23とが並ぶ方向を高さ方向Yとする。そして、高さ方向Yにおいて、中心コア11から高圧端子23へ向かう方向を下方Y1とし、反対方向を上方Y2とする。また、
図3に示すように、軸方向X及び高さ方向Yに直交する方向を幅方向Zとする。
【0014】
図1に示すコア部材10は、磁路を形成するように構成されている。コア部材10の材質は限定されず、公知のものを採用することができる。コア部材10は、中心コア11と外周コア12とを含む。中心コア11は、
図2、
図4及び
図5に示すように、柱状をなしており、
図2に示すように、中心軸L1を有する。中心コア11の軸方向Xの端部には、幅広に形成された第1端部111と、反対側に位置する第2端部112とが形成されている。
【0015】
図4及び
図5に示すように、外周コア12は、中心コア11の外周側に設けられている。本実施形態1では、外周コア12は、第1外周コア121と第2外周コア122とを含む。第1外周コア121と第2外周コア122はいずれも、高さ方向Zから見てC字形状を有する。そして、第1外周コア121と第2外周コア122とは、中心コア11の中心軸L1を基準として線対称に配置されている。第1外周コア121と第2外周コア122は軸方向Xの一方の端部に、中心コア11における軸方向Xの第2端部112を挟み込む中心コア挟持部123を有している。これにより、中心コア11の第2端部112は、中心コア挟持部123において外周コア12と当接している。また、中心コア11の第1端部111は、外周コア12において、後述のイグナイタ30が設けられている側の内周面12cに当接している。
【0016】
図2及び
図3に示すように、外周コア12の高さ方向Yの長さH2は、中心コア11の高さ方向Yの長さH1より大きくなっている。そして、中心コア11の中心軸L1は、高さ方向Yにおける外周コア12の中心位置を示す仮想線L2よりも上方Y2に位置している。換言すると、外周コア12は、中心コア11に対して下方Y1にオフセットされている。中心軸L1と仮想線L2との高さ方向Yにおける距離は例えば、1.0~6.0mmとすることができる。
【0017】
図1及び
図3に示すように、外周コア12に対して、高圧端子23が位置する側と反対側には、イグナイタ30が設けられている。また、当該イグナイタ30が設けられる側において、外周コア12の上方Y2に端末処理部31が設けられている。端末処理部31は、後述の一次コイル21やイグナイタ30を外部電源等と電気的に接続する
【0018】
コア部材10を構成する中心コア11と外周コア12の種類は限定されないが、電磁鋼板を積層してなる電磁鋼板積層コアとしたり、磁性金属粉末を圧縮してなる圧粉コアとしたりすることができる。本実施形態1では、中心コア11と外周コア12は電磁鋼板積層コアである。
【0019】
図1及び
図2に示すように、コイル20は、中心コア11に設けられている。コイル20は、一次コイル21と二次コイル22とを含む。一次コイル21は、略筒状の一次スプール241に一次巻き線を巻回して中心コア11に巻装されている。また、二次コイル22は、一次コイル21を内側に位置させる筒状の二次スプール242に二次巻き線を巻回して一次コイル21の外周側に巻装されている。そして、二次コイル22には二次スプール242に固定された高圧端子23が設けられている。高圧端子23は、点火プラグ100の接続端子101に接続されるように構成されている。
図2に示すように、高圧端子23は、二次コイル22の巻き終わり側の端部であって点火プラグ100が設けられる側に位置している。本実施形態1では、高圧端子23は最大50kV程度の電位を持つのに対して、コア部材10の帯電電位は通常0~6kV程度となっている。
【0020】
図2に示すように、コア部材10は、高圧端子23と軸方向Xに対向する位置に、コア部材10が欠落してなるコア欠落部13を有する。本実施形態1では、
図2及び
図4に示すようにコア欠落部13は中心コア11の第2端部112の下方Y1であって中心コア挟持部123同士の間に形成されている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、本実施形態1では、中心コア挟持部123同士の間におけるコア欠落部13の上方Y2の位置に、中心コア11の第2端部112が位置しており、当該第2端部112がコア欠落部13に対してコア部材10が残存したコア残存部14となっている。そして、コア残存部14の上端14aは、外周コア12の上面12aよりも下方Y1に位置しており、コア残存部14の下端14bは、上記外周コアの下面よりも上方Y2に位置している。
【0022】
次に、本実施形態1の点火コイル1における作用効果について、詳述する。
本実施形態1の点火コイル1では、中心コア11と外周コア12とを含むコア部材10において、外周コア12は高さ方向Yの長さH2が中心コア11の高さ方向Yの長さH1より大きくなっている。そして、コア部材10は二次コイル22に設けられた高圧端子23と軸方向Yに対向する位置にコア部材10が欠落してなるコア欠落部13を有する。当該コア欠落部13により、高圧端子23とコア部材10との間の空間が広く形成されているため、出力電圧が上昇しても両者間の絶縁を確保することができる。また、コア欠落部13が形成されることにより、高圧端子23とコア部材10との間の電界強度の上昇が抑止され、電圧ストレスを軽減することができる。そのため、出力電圧が上昇しても、点火コイルの信頼性を確保することができる。また、高圧端子23とコア部材10とを従来以上に離間させる必要がないため、点火コイルの大型化を抑制することができる。
【0023】
また、本実施形態1では、高さ方向Yにおいて、中心コア11に対して高圧端子23が配置される側を下方Y1、反対側を上方Y1としたとき、コア部材10は、コア欠落部13の上方Y2にコア部材10が残存してなるコア残存部14を有している。そして、コア残存部14の上端14aは、外周コア12の上面12aよりも下方Y1の位置に位置しており、コア残存部14の下端14bは、外周コア12の下面12bよりも上方の位置に位置している。これにより、高さ方向Yにおいて、コア残存部14は外周コア12の内側に位置していることから、コア欠落部13が設けられていても、コア残存部14において中心コア11と外周コア12との接触面積が確保されるため、コア部材10における磁路断面積を確保でき、点火コイル1の昇圧性能の低下が抑制されている。
【0024】
また、本実施形態1では、高さ方向Yにおいて、中心コア11に対して高圧端子23が配置される側を下方Y1、反対側を上方Y2としたとき、中心コア11の中心軸L1は、高さ方向Yにおける外周コア12の中心位置よりも上方Y2に位置している。これにより、外周コア12が中心コア11に対して下方にオフセットされることとなり、外周コア12の上方Y2に端末処理部31などを配置するための領域を形成することができ、ハウジング内の配置スペースの効率化が図られて、点火コイル1の小型化を促すことができる。
【0025】
また、本実施形態1では、外周コア12は、高さ方向Yから見てC字形状を有する第1外周コア121及び第2外周コア122を含む。そして、第1外周コア121と第2外周コア122とは、中心コア11の中心軸L1を基準として線対称に配置されているとともに、中心コア11における軸方向Xの一方の端部である第2端部112を挟み込む中心コア挟持部123を有している。さらに、高さ方向Yにおいて、中心コア11に対して高圧端子23が配置される側を下方Y1、反対側を上方Y2としたとき、コア欠落部13は中心コア11の第2端部112の下方Y1であって中心コア挟持部123同士の間に形成されている。これにより、
図5に示す、コア部材10を高さ方向Yに投影した投影形状を高さ方向Yにおいて変化させることなく、コア欠落部13を形成することができる。そのため、コア欠落部13の形成のために加工工程などを設ける必要がなく、点火コイル1における製造性の向上が図られる。
【0026】
以上のごとく、本実施形態1によれば、出力電圧が上昇しても信頼性の向上が図られる点火コイル1を提供することができる。
【0027】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、外周コア12において第1外周コア121及び第2外周コア122はC字形状を有していたが、本実施形態2では、これに替えて、
図6~
図8に示すように、第1外周コア121及び第2外周コア122はL字形状を有している。そして、
図8に示すように第1外周コア121と第2外周コア122とは、高さ方向Yから見て中心コア11の中心位置11cを基準に点対称となる位置に配置されて高さ方向Yに貫通した筒状をなすように互いに組み合わされている。
【0028】
図7に示すように、中心コア11は第1外周コア121と第2外周コア122の内側に位置している。そして、中心コア11の第1端部111は実施形態1の場合と同様に外周コア12の内周面12cに当接しているとともに、第2端部112も外周コア12の内周面12cと対向する内周面12dに当接している。
【0029】
図6及び
図7に示すように、コア欠落部13は、第2外周コア122において、軸方向Xにおいてイグナイタ30が設けられる側と反対側の下方Y1に形成されている。これにより、上述の実施形態1では中心コア11の第2端部112により形成されていたコア残存部14は、本実施形態2では、第2外周コア122により形成されている。そして、高さ方向Yにおいて、コア残存部14の上端14aは、外周コア12の上面12aと同じ位置に位置している。
【0030】
上述の実施形態1では、外周コア12は積層電磁鋼板コアとしたが、本実施形態2では、これかえて外周コア12を圧粉コアとしており、第2外周コア122を成形した後に上述のコア欠落部13を切り欠いて形成している。その他の構成要素は実施形態1の場合と同様であり、本実施形態においても実施形態1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0031】
本実施形態2によれば、上述の実施形態1において第1外周コア121及び第2外周コア122がC字形状を有することによる作用効果を除いて、上述の実施形態1と同等の作用効果を奏する。
【0032】
(実施形態3)
上述の実施形態1では、コア欠落部13を外周コア12において中心コア挟持部123の間に形成することとしたが、本実施形態3では、
図9に示すように、実施形態1の場合よりも中心コア挟持部123の間を切り欠いて、幅広のコア欠落部13を設けている。その他の構成要素は実施形態1の場合と同様であり、本実施形態においても実施形態1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0033】
本実施形態3の点火コイル1では、高圧端子23とコア部材10との間の空間がさらに広く形成されるため、両者間の絶縁性と電界強度の上昇の抑止とがさらに促され、一層点火コイルの信頼性を向上することができ、点火コイルの大型化を抑制することができる。なお、本実施形態3においても上述の実施形態1と同等の作用効果を奏する。
【0034】
(実施形態4)
上述の実施形態3では、コア欠落部13を実施形態1の場合に比べて幅広に形成したが、本実施形態4では、
図10に示すように、コア欠落部13における幅方向Zに互いに対向する側壁部13a、13bが、高さ方向Yにおいて下方Y1に向かうにつれて互いに遠ざかるように傾斜したテーパー面となっている。その他の構成要素は実施形態1の場合と同様であり、本実施形態においても実施形態1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0035】
本実施形態4の点火コイル1では、コア欠落部13の側壁部13a、13bがテーパー面となっていることにより、コア欠落部13の側壁部13a、13bと外周コア12の下面12bとのなす角が鈍角となるため、当該外周コア12における磁界の発生が阻害されにくくなり、コア欠落部13により点火コイル1の昇圧性能の低下を抑制することができる。なお、本実施形態4においても上述の実施形態1及び3と同等の作用効果を奏する。
【0036】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、
実施形態2におけるコア欠落部13を、実施形態3における幅広のコア欠落部13としたり、実施形態4における側壁部13a、13bがテーパー面のコア欠落部13としたりしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 点火コイル、10 コア部材、11 中心コア、12 外周コア、13 コア欠落部、14 コア残存部、20 コイル、21 一次コイル、22 二次コイル、23 高圧端子、100 点火プラグ、111 第1端部、112 第2端部、121 第1外周コア、122 第2外周コア、123 中心コア挟持部、241 一次スプール、242 二次スプール