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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01R13/64
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021033140
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134174
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐太
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213080(JP,A)
【文献】特開2017-152273(JP,A)
【文献】特開2017-027755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングに嵌合されて、少なくとも一部が前記相手ハウジングの内部に配置されるハウジングと、
前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合により、第1位置から、前記ハウジングを前記相手ハウジングに対して嵌合状態に固定する第2位置に移動可能に設けられ、当該嵌合状態を検知するための嵌合検知部材と、
を備え、
前記嵌合検知部材は、前記ハウジングの幅方向に延設されている基部と、一対の第1アーム部と、を有し、
前記第1アーム部は、前記基部の前記幅方向における両端から嵌合方向に延設され、
前記ハウジングには、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると、前記第1アーム部によって前記幅方向の両側から外寄りに押されて、接触して撓むことで前記相手ハウジングの内部に接触する一対の第2アーム部が設けられている、コネクタ。
【請求項2】
前記第2アーム部は、その一端が自由端であり、他端が前記ハウジングの本体部に接続される固定端であることにより片持ち状に形成されている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2アーム部は、その両端が前記ハウジングの本体部に接続される両持ち状に形成されている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2アーム部には、前記第2位置に配置されている前記嵌合検知部材に向かって突出する撓み部用突部が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記嵌合検知部材は、前記基部から延設されていると共に、前記ハウジングに掛止めされる部分が形成されていることで前記ハウジングからの脱落を防止する第3アーム部を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記相手ハウジングに係止可能な係止部が設けられていると共に、撓み可能に形成されているロックアーム部を有し、
前記第3アーム部には、前記第2位置に移動したとき、前記ロックアーム部を押すことで前記係止部を前記相手ハウジングに係止させる押圧部が形成されている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項7】
相手ハウジングに嵌合されて、少なくとも一部が前記相手ハウジングの内部に配置されるハウジングと、
前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合により、第1位置から、前記ハウジングを前記相手ハウジングに対して嵌合状態に固定する第2位置に移動可能に設けられ、当該嵌合状態を検知するための嵌合検知部材と、
を備え、
前記ハウジングには、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると、前記嵌合検知部材の一部と接触して撓むことで前記相手ハウジングの内部に接触する撓み部が設けられ
前記嵌合検知部材は、
基部と、
前記基部から延設されていると共に、前記ハウジングに掛止めされる部分が形成されていることで前記ハウジングからの脱落を防止する第3アーム部と、を有し、
前記ハウジングは、前記相手ハウジングに係止可能な係止部が設けられていると共に、撓み可能に形成されているロックアーム部を有し、
前記第3アーム部には、前記第2位置に移動したとき、前記ロックアーム部を押すことで前記係止部を前記相手ハウジングに係止させる押圧部が形成されている、コネクタ。
【請求項8】
前記第3アーム部の延設された先端には、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると前記第2アーム部又は前記撓み部に接触する、前記嵌合検知部材の一部に向かって突出する第3アーム部用突部が形成されている、請求項5から7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
相手ハウジングに嵌合されて、少なくとも一部が前記相手ハウジングの内部に配置されるハウジングと、
前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合により、第1位置から、前記ハウジングを前記相手ハウジングに対して嵌合状態に固定する第2位置に移動可能に設けられ、当該嵌合状態を検知するための嵌合検知部材と、
を備え、
前記ハウジングには、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると、前記嵌合検知部材の一部と接触して撓むことで前記相手ハウジングの内部に接触する撓み部が設けられ
前記嵌合検知部材は、
基部と、
前記基部から延設されていると共に、前記ハウジングに掛止めされる部分が形成されていることで前記ハウジングからの脱落を防止する第3アーム部と、を有し、
前記第3アーム部の延設された先端には、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると前記撓み部に接触する、前記嵌合検知部材の一部に向かって突出する第3アーム部用突部が形成されている、コネクタ。
【請求項10】
前記ハウジングには、前記相手ハウジングと嵌合が完了することにより、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動可能な移動通路が形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有するコネクタが開示されている。特許文献1に記載のコネクタは、嵌合検知部材が本係止した際、嵌合検知部材のロック規制部が、雌ハウジングのガタ押さえアーム斜面と当接する。また、この当接と共に、嵌合検知部材の指当部が、雄ハウジングのガタ押さえフード斜面と当接する。これらの当接により、当該コネクタは、ロック規制部と指当部とで、雄ハウジング及び雌ハウジングを挟み込んで嵌合方向のガタ付きを防止する。この結果、特許文献1に記載のコネクタは、雌端子及び雄端子の微摺動磨耗を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-074190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコネクタにおいて、ロック規制部は雄ハウジングの内部に配置されている一方、指当部は外部に露出している。それゆえ、例えば、外部からの衝撃により指当部が変形したとき、指当部とガタ押さえフード斜面との間に隙間が生じやすくなる。この結果、2つのハウジング同士のガタ付きを抑制できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ハウジング同士のガタ付きを抑制することできるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るコネクタは、
相手ハウジングに嵌合されて、少なくとも一部が前記相手ハウジングの内部に配置されるハウジングと、
前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合により、第1位置から、前記ハウジングを前記相手ハウジングに対して嵌合状態に固定する第2位置に移動可能に設けられ、当該嵌合状態を検知するための嵌合検知部材と、
を備え、
前記嵌合検知部材は、前記ハウジングの幅方向に延設されている基部と、一対の第1アーム部と、を有し、
前記第1アーム部は、前記基部の前記幅方向における両端から嵌合方向に延設され、
前記ハウジングには、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると、前記第1アーム部によって前記幅方向の両側から外寄りに押されて、接触して撓むことで前記相手ハウジングの内部に接触する一対の第2アーム部が設けられている。
【0009】
前記第2アーム部は、その一端が自由端であり、他端が前記ハウジングの本体部に接続される固定端であることにより片持ち状に形成されていてもよい。
【0010】
前記第2アーム部は、その両端が前記ハウジングの本体部に接続される両持ち状に形成されていてもよい。
【0011】
前記第2アーム部には、前記第2位置に配置されている前記嵌合検知部材に向かって突出する撓み部用突部が形成されていてもよい。
【0012】
前記嵌合検知部材は、前記基部から延設されていると共に、前記ハウジングに掛止めされる部分が形成されていることで前記ハウジングからの脱落を防止する第3アーム部を有していてもよい。
【0013】
前記ハウジングは、前記相手ハウジングに係止可能な係止部が設けられていると共に、撓み可能に形成されているロックアーム部を有し、
前記第3アーム部には、前記第2位置に移動したとき、前記ロックアーム部を押すことで前記係止部を前記相手ハウジングに係止させる押圧部が形成されていてもよい。
本発明の第2の観点に係るコネクタは、
相手ハウジングに嵌合されて、少なくとも一部が前記相手ハウジングの内部に配置されるハウジングと、
前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合により、第1位置から、前記ハウジングを前記相手ハウジングに対して嵌合状態に固定する第2位置に移動可能に設けられ、当該嵌合状態を検知するための嵌合検知部材と、
を備え、
前記ハウジングには、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると、前記嵌合検知部材の一部と接触して撓むことで前記相手ハウジングの内部に接触する撓み部が設けられ、
前記嵌合検知部材は、
基部と、
前記基部から延設されていると共に、前記ハウジングに掛止めされる部分が形成されていることで前記ハウジングからの脱落を防止する第3アーム部と、を有し、
前記ハウジングは、前記相手ハウジングに係止可能な係止部が設けられていると共に、撓み可能に形成されているロックアーム部を有し、
前記第3アーム部には、前記第2位置に移動したとき、前記ロックアーム部を押すことで前記係止部を前記相手ハウジングに係止させる押圧部が形成されている。
【0014】
前記第3アーム部の延設された先端には、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると前記第2アーム部又は前記撓み部に接触する、前記嵌合検知部材の一部に向かって突出する第3アーム部用突部が形成されていてもよい。
本発明の第3の観点に係るコネクタは、
相手ハウジングに嵌合されて、少なくとも一部が前記相手ハウジングの内部に配置されるハウジングと、
前記ハウジングと前記相手ハウジングとの嵌合により、第1位置から、前記ハウジングを前記相手ハウジングに対して嵌合状態に固定する第2位置に移動可能に設けられ、当該嵌合状態を検知するための嵌合検知部材と、
を備え、
前記ハウジングには、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると、前記嵌合検知部材の一部と接触して撓むことで前記相手ハウジングの内部に接触する撓み部が設けられ、
前記嵌合検知部材は、
基部と、
前記基部から延設されていると共に、前記ハウジングに掛止めされる部分が形成されていることで前記ハウジングからの脱落を防止する第3アーム部と、を有し、
前記第3アーム部の延設された先端には、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動すると前記撓み部に接触する、前記嵌合検知部材の一部に向かって突出する第3アーム部用突部が形成されている。
【0015】
前記ハウジングには、前記相手ハウジングと嵌合が完了することにより、前記嵌合検知部材が前記第2位置に移動可能な移動通路が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコネクタによれば、ハウジングには、撓み部が設けられている。この撓み部は、嵌合検知部材が第2位置に移動すると、嵌合検知部材の一部と接触して撓むことで相手ハウジングの内部に接触する。これにより、本発明に係るコネクタは、ハウジング同士のガタ付きを抑制することできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るコネクタの分解平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】嵌合検知部材が仮係止状態にハウジングに取り付けられているコネクタの平面図である。
図5図4のB-B断面図である。
図6】嵌合検知部材が第1位置に配置されている場合のコネクタの断面図である。
図7】嵌合検知部材が第2位置に配置されている場合のコネクタの断面図である。
図8】(A)は、図6のC-C断面図である。(B)は、図7のD-D断面図である。
図9図3の状態から各部を組み付けたコネクタの断面図である。
図10】(A)は、嵌合検知部材のCPA(コネクタ位置保証)機能を説明するためのコネクタの断面図(その1)である。(B)は、嵌合検知部材のCPA(コネクタ位置保証)機能を説明するためのコネクタの断面図(その2)である。(C)は、嵌合検知部材のCPA(コネクタ位置保証)機能を説明するためのコネクタの断面図(その3)である。
図11】相手ハウジングとハウジングとの嵌合を説明するためのコネクタの断面図(その1)である。
図12】相手ハウジングとハウジングとの嵌合を説明するためのコネクタの断面図(その2)である。
図13】相手ハウジングとハウジングとの嵌合を説明するためのコネクタの断面図(その3)である。
図14】相手ハウジングとハウジングとの嵌合を説明するためのコネクタの断面図(その4)である。
図15】嵌合検知部材のCPA(コネクタ位置保証)機能を説明するためのコネクタの断面図(その4)である。
図16】本発明の実施の形態2に係るコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
以下、本発明の実施形態1に係るコネクタ1について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直交するXYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標のY軸方向は、図1に示すように、コネクタ1の相手ハウジング10に対してハウジング20が嵌合するために移動する嵌合方向D1と同一の方向である。X軸方向は、コネクタ1の幅方向と同一の方向である。Z軸方向は、コネクタ1の高さ方向と同一の方向である。
【0019】
コネクタ1は、例えば、自動車に装備される電子回路部品である実装対象200に取り付けられ、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有するコネクタである。実装対象200は、本実施の形態1では、回路基板である。しかしながら、これに限られない。実装対象200は、回路基板以外のものであってもよい。
【0020】
コネクタ1は、図1及び図2に示すように、相手ハウジング10と、ハウジング20と、CPA部材として機能する嵌合検知部材30と、雄端子60と、図示しない雌端子とを備える。
【0021】
相手ハウジング10は、図3に示すように、本実施の形態1においては、実装対象200に実装されるリセプタクルコネクタのハウジングである。相手ハウジング10は、収容空間11が+Y方向に開口するように形成されている略箱形状の部材である。相手ハウジング10の収容空間11の開口には、ハウジング20が挿入される。この相手ハウジング10は、樹脂からなり、例えば、射出成型により形成されている。相手ハウジング10には、ハウジング20の少なくとも一部が配置される収容空間11が形成されている。また、相手ハウジング10は、図3及び図5に示すように、ハウジング20との嵌合用の被係止部12を有する。
【0022】
被係止部12は、相手ハウジング10を構成する+Z寄りの壁の一部である天井壁部10aの下面(-Z寄りの面)から突出して形成されている。また、被係止部12は、収容空間11の開口近傍に形成されている。被係止部12には、嵌合方向D1に対して傾斜する傾斜面12aと、嵌合方向D1に対して概ね直交する面である被係止面12bとが形成されている。
【0023】
また、この相手ハウジング10には、複数の雄端子60が組み付けられている。相手ハウジング10に雄端子60が組み付けられることで、相手ハウジング10及び雄端子60は、コネクタ1の一部である雄コネクタを構成する。
【0024】
雄端子60は、導電性の素材からなる。雄端子60は、+Y側の端部60a及び-Y側の端部60bが相手ハウジング10から突出して形成されている。雄端子60の+Y側の端部60aは、相手ハウジング10に形成されている収容空間11の内部に突出している。雄端子60の-Y側の端部60bは、相手ハウジング10の-Y寄りの後端面から突出してから略S字状に湾曲し、さらに-Y方向に平行に延設されている。雄端子60の-Y側の端部60bは、回路基板である実装対象200にはんだ付けされる外部リード部として用いられる。なお、雄端子60は、これに限られず、この形状、構造以外のものであってもよい。
【0025】
ハウジング20は、相手ハウジング10に嵌合されて、少なくとも一部が相手ハウジング10の収容空間11に配置される。このハウジング20は、本実施形態においては、電線ケーブルが接続されるプラグコネクタのハウジングである。ハウジング20は、Y軸方向をやや長手方向とする略直方体形状に形成されている。このハウジング20は、樹脂からなり、例えば、射出成型により形成されている。ハウジング20には、端子収容室21と、端子挿入口22とが形成されている。
【0026】
端子収容室21には、電線ケーブルが接続されている複数本の雌端子が-Y方向に挿入される。本実施の形態1でのハウジング20には、雌端子の本数に対応する数の端子収容室21が形成されている。
【0027】
端子挿入口22は、端子収容室21に雌端子を挿入するための開口である。端子挿入口22は、ハウジング20の後端面(+Y寄りの端面)に設けられている。この端子挿入口22を介して、端子収容室21は外部に通じている。端子挿入口22からは雌端子が挿入されて、端子収容室21に配置される。ハウジング20及び雌端子は、コネクタ1の一部である雌コネクタを構成する。
【0028】
雌端子(図示なし)は、例えば、導電性の板材を曲げ加工することにより形成されている。雌端子の一方の端部には、雄端子60の+Y側の端部60aが挿入されて受け入れる筒状部が形成されている。また、雌端子は、その筒状部の内部に、雄端子60の+Y側の端部60aに接触する弾性接触片を有する。雌端子の筒状部に挿入された雄端子60の+Y側の端部60aは、雌端子の筒状部の弾性接触片の弾性力によって導電可能に固定される。また、雌端子の他方の端部には、電線ケーブルが圧着されて固定される圧着部が形成されている。なお、雌端子は、これに限られず、この形状、構造以外のものであってもよい。
【0029】
また、ハウジング20は、図1図3及び図5に示すように、係止部23と、係止解除部24と、側壁25と、ロックアーム部26R、26Lと、撓み部として機能する第2アーム部40R、40Lとを有する。
【0030】
係止部23は、図5に示すように、相手ハウジング10との嵌合のために、相手ハウジング10の被係止部12に係止する。係止部23は、ロックアーム部26Rとロックアーム部26Lとの間に、ロックアーム部26Rとロックアーム部26Lとを相互に接続するように設けられている。係止部23には、嵌合方向D1に傾斜する傾斜面23aと、嵌合方向D1に概ね直交する面である係止面23bとが形成されている。係止部23の係止面23bが、被係止部12の被係止面12bと対向することで、係止部23と被係止部12との係止が完了する。
【0031】
係止解除部24は、図6に示すように、ロックアーム部26R、26Lに設けられている。係止解除部24は、ユーザによって-Z方向に押圧されることにより、係止部23と被係止部12との係止を解除する。この係止の解除によって、ユーザは、相手ハウジング10からハウジング20を取り外すことが可能になる。
【0032】
側壁25は、図1及び図2に示すように、ハウジング20の剛性及び強度を向上させるためにリブ状に形成されている。側壁25は、係止解除部24やロックアーム部26R、26Lを挟むように一対形成されていると共に、Y軸方向に沿って延設されている。側壁25には、その一部が切り欠かれるように形成されている切欠き部25aが設けられている。
【0033】
ロックアーム部26R、26Lは、図1及び図3に示すように、相手ハウジング10とハウジング20との嵌合の進行に伴って撓み可能に形成されている。ロックアーム部26Rは、ハウジング20の-Y寄りの先端部分からY軸方向に延びて、ハウジング20の+Y寄りの後端部分に接続されている。同様に、ロックアーム部26Lも、ハウジング20の-Y寄りの先端部分からY軸方向に延びて、ハウジング20の+Y寄りの後端部分に接続されている。
【0034】
第2アーム部40R、40Lは、図1及び図2に示すように、初期位置から移動した後の嵌合検知部材30の一部と接触することで撓み可能に形成されている。第2アーム部40R、40Lは、その撓みに基づいて、相手ハウジング10の収容空間11の内面に接触して、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きを抑制する。この第2アーム部40R、40Lは、側壁25の切欠き部25a内に、-Y方向に突出して形成されている。また、本実施の形態1においては、第2アーム部40R、40Lは、その一端(-Y寄りの端部)が自由端であり、他端(+Y寄りの端部)が側壁25に接続される固定端であることにより片持ち状に形成されている。
【0035】
また、第2アーム部40R、40Lには、初期位置から移動した後の嵌合検知部材30の一部に向かって突出する撓み部用突部41が形成されている。第2アーム部40Rの撓み部用突部41と、第2アーム部40Lの撓み部用突部41とは、互いに対向するように突出する。
【0036】
上述のように構成されているハウジング20には、図3に示すように、Y軸方向に沿って延びる移動通路Aが形成されている。この移動通路Aは、嵌合検知部材30がスライド移動するための通路であり、ハウジング20と相手ハウジング10との嵌合が完了することにより、嵌合検知部材30が移動可能となるように構成されている。
【0037】
嵌合検知部材30は、図1及び図2に示すように、相手ハウジング10とハウジング20との嵌合を固定するためのCPA(コネクタ位置保証)部材として機能する。また、嵌合検知部材30は、相手ハウジング10とハウジング20との嵌合作業時に、両ハウジング10、20の嵌合の状態が中途嵌合であるか、完全に嵌合されているかを、ユーザが視認して嵌合状態を確認・検知するために用いられる。嵌合検知部材30は、図6に示す第1位置から、図7に示す第2位置に移動可能に、ハウジング20に取り付けられている。第1位置は、嵌合検知部材30の移動前の初期位置、嵌合検知部材30の待機位置である。第2位置は、嵌合検知部材30が、ハウジング20を相手ハウジング10に対して嵌合状態に固定する位置である。図1及び図2に示すように、嵌合検知部材30は、基部31と、基部31から突出するメインアーム部32、第3アーム部33R、33L、第1アーム部50R、50Lとを有する。
【0038】
基部31は、ユーザが嵌合検知部材30をスライド移動させる時に指で押す押圧部として用いられる。
【0039】
メインアーム部32は、基部31から嵌合方向D1(-Y方向)に延設されている。メインアーム部32の先端部分には、+Z方向に突出した嵌合固定用突部35が形成されている。
【0040】
嵌合固定用突部35は、図6及び図7に示すように、両ハウジング10、20が嵌合すると、ハウジング20の係止部23に係止する。このため、係止部23は、嵌合固定用突部35に対する被係止部としての機能も有する。嵌合固定用突部35と係止部23との係止により、嵌合検知部材30は、相手ハウジング10とハウジング20とを嵌合状態に固定する。
【0041】
第3アーム部33R、33Lは、図1及び図2に示すように、ハウジング20に掛止めされる部分が形成されていることでハウジング20からの脱落を防止するために形成されている。第3アーム部33R、33Lは、メインアーム部32を挟むように、基部31から嵌合方向D1(-Y方向)に延設されている。第3アーム部33R、33Lは、連結部34によってメインアーム部32に連結されている。また、第3アーム部33R、33Lのそれぞれには、係止部36と、仮係止部37と、押圧部38とが形成されている。
【0042】
係止部36は、図8に示すように、ロックアーム部26R、26Lに係止することで、ハウジング20に対する掛止め部分として構成されている。したがって、ロックアーム部26R、26Lは、係止部36が係止する被係止部としても機能する。係止部36は、互いに外向きに突出する形状に形成されている。
【0043】
仮係止部37は、ロックアーム部26R、26Lに仮係止することで、係止部36と同様に、ハウジング20に対する掛止め部分として構成されている。したがって、ロックアーム部26R、26Lは、仮係止部37が仮係止する被係止部としても機能する。仮係止部37も、互いに外向きに突出する形状に形成されている。
【0044】
押圧部38は、図9に示すように、上方向(+Z方向)に突出して形成されている。押圧部38は、嵌合検知部材30が第2位置に移動したときに、ロックアーム部26R、26Lの下面(-Z寄りの面)を押す。これにより、押圧部38は、図7及び図9に示すように、ハウジング20の係止部23を相手ハウジング10の被係止部12に係止させて、当該係止が容易に解除されないようにするためのものである。
【0045】
また、第3アーム部33R、33Lの先端部分は、図1及び図2に示すように、嵌合方向D1に傾斜する傾斜面が形成されることにより、先細りの形状に形成されている。この先細りの形状は、コネクタ1の製造・組立て時において、ハウジング20への嵌合検知部材30の挿入作業時における挿入効率を向上させるための形状である。
【0046】
第1アーム部50R、50Lは、図8に示すように、嵌合検知部材30が第1位置から第2位置に移動した後において、第2アーム部40R、40Lに接触する嵌合検知部材30の一部として構成されている。第1アーム部50R、50Lは、第3アーム部33R、33Lを挟むように、基部31から嵌合方向D1(-Y方向)に延設されている。第1アーム部50R、50Lは、ハウジング20への嵌合検知部材30の挿入の際に、ハウジング20の側壁25に摺動しつつ移動通路Aを移動する。これにより、第1アーム部50R、50Lは、コネクタ1の製造・組立て時において、ハウジング20への嵌合検知部材30の挿入を案内することで挿入効率を向上させる。
【0047】
また、第1アーム部50R、50Lの先端部分は、図1及び図2に示すように、嵌合方向D1に傾斜する傾斜面が形成されることにより、先細りの形状に形成されている。この先細りの形状は、コネクタ1の製造・組立て時において、ハウジング20への嵌合検知部材30の挿入作業時における挿入効率を向上させるための形状である。
【0048】
上述の第3アーム部33R、33Lと第1アーム部50R、50Lとは、図2に示すように、そのY軸方向の長さが、ほぼ同じ長さとなるように形成されている。このため、第3アーム部33R、33Lと第1アーム部50R、50Lとの先端部分は、長手方向(Y軸方向)における位置が、ほぼ同じ位置に配置される。また、第3アーム部33R、33Lの先端には、第1アーム部50R、50Lの先端に向かって突出する第3アーム部用突部33aが形成されている。なお、本実施の形態1では、第3アーム部用突部33aは、第3アーム部33R、33Lの先端に形成されているが、これに限られない。第3アーム部用突部33aは、第3アーム部33R、33Lの先端以外の箇所に形成されていてもよい。さらに、第1アーム部50R、50Lの先端には、第3アーム部33R、33Lの先端に向かって突出すると共に、第3アーム部用突部33aと対向する第1アーム部用突部が形成されている。なお、本実施の形態1では、第1アーム部用突部は、第1アーム部50R、50Lの先端に形成されているが、これに限られない。この第1アーム部用突部は、第1アーム部50R、50Lの先端以外の箇所に形成されていてもよい。この第1アーム部用突部と、第3アーム部用突部33aとは、それらの間に形成された隙間に、他の嵌合検知部材30のメインアーム部32、第3アーム部33R、33L及び第1アーム部50R、50L等が入り込まないような形状、寸法で形成されている。これにより、第3アーム部用突部33aは、コネクタ1の製造・組立て時において、嵌合検知部材30同士の絡み合いを防止する。
【0049】
上述のように構成されたコネクタ1の相手ハウジング10とハウジング20との嵌合方法について、図を用いて説明する。嵌合前において、嵌合検知部材30は、図5に示すように、メインアーム部32に形成された嵌合固定用突部35が、係止部23に係止し、移動通路A上でのスライド移動が規制されている状態で、ハウジング20に取り付けられている。また、図10(A)に示すように、この時の嵌合検知部材30は、第3アーム部33R、33Lの係止部36がロックアーム部26R、26Lに係止していない状態にあると共に、仮係止部37がロックアーム部26R、26Lに仮係止している第1位置(初期位置、待機位置)にある。
【0050】
図11に示すように、ハウジング20を、嵌合検知部材30と共に嵌合方向D1に移動させつつ、ハウジング20が、相手ハウジング10の収容空間11の開口に挿入されていくと、係止部23が被係止部12に当接する。
【0051】
さらに、ハウジング20が、相手ハウジング10の収容空間11の開口に挿入されていくと、図12に示すように、係止部23が被係止部12の傾斜面12aに案内される。係止部23が、被係止部12の傾斜面12aに案内されることにより、ハウジング20のロックアーム部26R、26Lと、嵌合検知部材30のメインアーム部32とが撓む。そして、被係止部12によって、矢印A1に示すように、係止部23は下寄り(-Z寄り)に押し込まれる。
【0052】
さらに、図13及び図14に示すように、ハウジング20が、相手ハウジング10の収容空間11の開口に挿入されていくと、やがて、ロックアーム部26R、26Lの撓みが解消されて、係止部23は、ロックアーム部26R、26Lの弾性回復に基づいて、矢印A2に示すように上方向(+Z方向)に戻される。この結果、係止部23の係止面23bと被係止部12の被係止面12bとが対向し、係止部23が被係止部12に係止する。
【0053】
なお、係止部23が被係止部12に係止した時点では、嵌合固定用突部35は、被係止部12の下面(-Z寄りの面)の面上に配置されており、メインアーム部32の撓みは解消されていない。
【0054】
以上により、コネクタ1の相手ハウジング10とハウジング20との嵌合が完了する。また、両ハウジング10、20の嵌合が完了すると、雄端子60の+Y側の端部60aの、雌端子の筒状部への挿入も完了し、雄端子60と雌端子とが電気的に接続される。
【0055】
次に、コネクタ1のCPA(コネクタ位置保証)機能を、図を用いて説明する。図10(A)における嵌合検知部材30の初期位置を第1位置(待機位置)とし、図10(C)における嵌合検知部材30の移動後の位置を第2位置(嵌合固定位置)とする。第2位置は、嵌合検知部材30が、ハウジング20を相手ハウジング10に対して嵌合状態に固定する位置である。
【0056】
なお、両ハウジング10、20の嵌合が完了していない中途嵌合の場合には、図13に示すように、係止部23は上方向(+Z方向)に戻っていないため、係止部23と被係止部12とは非係止状態にある。そして、嵌合固定用突部35は、突部用被係止部としての係止部23に係止している。このため、嵌合検知部材30は、-Y方向へのスライド移動が規制された状態にある。これにより、ユーザは、嵌合検知部材30を-Y方向に移動させることができず、両ハウジング10、20が中途嵌合であることを認識できる。
【0057】
次に、図14に示すように、両ハウジング10、20の嵌合が完了した場合には、係止部23が上方向(+Z方向)に移動し、被係止部12に係止する。一方、係止部23が上方向(+Z方向)に移動すると、嵌合固定用突部35と係止部23とのY軸方向における係止が解除される。このため、嵌合検知部材30は、移動通路Aを-Y方向に通過可能な状態になる。
【0058】
両ハウジング10、20の嵌合が完了すると、両ハウジング10、20の嵌合状態を確認するユーザは、図10(A)に示す第1位置(初期位置)から、移動通路Aに沿って、-Y方向に嵌合検知部材30を移動させる。なお、嵌合検知部材30の移動方向D2は、嵌合方向D1(-Y方向)と同一の方向である。
【0059】
嵌合検知部材30をスライド移動させていくと、図10(B)に示すように、係止部36とロックアーム部26R、26Lとの接触により、第3アーム部33R、33Lが互いに内側に撓む。そして、ロックアーム部26R、26Lの押圧により、図10(B)の矢印A3に示すように、一対の第3アーム部33R、33Lの間隔が狭くなる。
【0060】
さらに、嵌合検知部材30をスライド移動させていくと、図10(C)に示すように、係止部36が、ロックアーム部26R、26Lを乗り越えることにより、第3アーム部33R、33Lが弾性回復し、第3アーム部33R、33Lの間隔が広がって、係止部36がロックアーム部26R、26Lに係止する。
【0061】
また、図15に示すように、嵌合固定用突部35が、係止部23を乗り越えて、メインアーム部32の撓みが解消される。そして、嵌合固定用突部35は、メインアーム部32の弾性回復に基づいて、矢印A4に示すように上方向(+Z方向)に戻される。この結果、嵌合固定用突部35が、係止部23に係止する。
【0062】
このとき、図8(B)及び図10(C)に示すように、第2アーム部40R、40Lの撓み部用突部41は、嵌合検知部材30の第1アーム部50R、50Lと接触する。そして、第2アーム部40R、40Lは、第1アーム部50R、50Lとの接触により撓むことで相手ハウジング10の収容空間11の内面に接触する。この接触に基づいて、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きを抑制する。
【0063】
また、図9に示すように、押圧部38が、ロックアーム部26R、26Lの下面(-Z寄りの面)を押す。この押圧に基づいて、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の高さ方向(Z軸方向)のガタ付きを抑制する。
【0064】
図15に示すように、嵌合固定用突部35が係止部23に係止すると、係止部23の下側(-Z側)にメインアーム部32が配置される。このため、係止部23と嵌合固定用突部35との係止が解除されるまでは、係止部23と被係止部12とは、係止の解除が不可能に配置される。この結果、相手ハウジング10とハウジング20との嵌合が、嵌合検知部材30によって固定される。
【0065】
以上により、嵌合検知部材30の、図10(A)に示す第1位置(初期位置、待機位置)から、図10(C)に示す第2位置(嵌合固定位置)への移動が完了する。ユーザは、嵌合検知部材30を第2位置に押し込むことにより、両ハウジング10、20の嵌合が完了したことを確認することができる。
【0066】
以上、説明したように、本実施の形態1に係るコネクタ1において、ハウジング20には、図8(B)及び図10(C)に示すように、第2アーム部40R、40Lが設けられている。この第2アーム部40R、40Lは、嵌合検知部材30が第2位置に移動すると、嵌合検知部材30の第1アーム部50R、50Lと接触して撓むことで相手ハウジング10の収容空間11の内面に接触する。この接触に基づいて、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きを抑制することができる。
【0067】
ここで、相手ハウジング10とハウジング20との嵌合が完了した際、第2アーム部40R、40Lは、相手ハウジング10の収容空間11に配置されている。換言すると、第2アーム部40R、40Lは外部に露出していない。それゆえ、例えば、コネクタ1に外部から衝撃が加えられた場合、第2アーム部40R、40Lが変形して、第2アーム部40R、40Lと相手ハウジング10との間に隙間が生じるおそれが無い。したがって、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きを抑制することができる。
【0068】
また、本実施の形態1に係るコネクタ1においては、第2アーム部40R、40Lは、その一端(-Y寄りの端部)が自由端である片持ち状に形成されている。このため、第2アーム部40R、40Lの撓み量を大きくすることができる。これにより、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きの抑制の効果をさらに高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態1に係るコネクタ1においては、第2アーム部40R、40Lには、第2位置に配置されている嵌合検知部材30の第1アーム部50R、50Lに向かって突出する撓み部用突部41が形成されている。このため、嵌合検知部材30が第2位置に移動した際に、第1アーム部50R、50Lが、第2アーム部40R、40Lに接触しやすくなり、結果的に、第2アーム部40R、40Lの撓み量を大きくすることができる。これにより、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きの抑制の効果をさらに高めることができる。
【0070】
また、本実施の形態1に係るコネクタ1の嵌合検知部材30には、図9に示すように、押圧部38が形成されている。押圧部38は、嵌合検知部材30が第2位置に移動したときに、ロックアーム部26R、26Lの下面(-Z寄りの面)を押す。このため、コネクタ1においては、ハウジング20の係止部23と、相手ハウジング10の被係止部12との係止が容易に解除されないように構成される。これにより、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の高さ方向(Z軸歩行)のガタ付きの抑制の効果をさらに高めることができる。ひいては、コネクタ1は、上述の第2アーム部40R、40Lが第1アーム部50R、50Lと接触する構成の効果と併せて、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)及び高さ方向(Z軸歩行)の双方向のガタ付きを抑制することができる。
【0071】
また、本実施の形態1に係るコネクタ1の嵌合検知部材30には、第3アーム部用突部33aが形成されている。第3アーム部用突部33aは、図8(B)に示すように、嵌合検知部材30が第2位置に移動すると、嵌合検知部材30の第1アーム部50R、50Lが第2アーム部40R、40Lと接触して撓むことにより、第1アーム部50R、50Lの先端部分と接触する。この接触に基づいて、第1アーム部50R、50Lが所定の撓み量を超えて撓むことを抑制することができる。換言すると、第1アーム部50R、50Lと第2アーム部40R、40Lとの間に隙間が生じることを抑制することができる。これにより、コネクタ1は、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向(X軸方向)のガタ付きの抑制の効果をさらに高めることができる。
【0072】
実施の形態2.
上記実施の形態1に係るコネクタ1においては、図1に示すように、第2アーム部40R、40Lは、他端(+Y寄りの端部)が側壁25に接続される固定端であることにより片持ち状に形成されている。しかしながら、これに限られない。図16に示す実施の形態2に係るコネクタ2のように、第2アーム部40R、40Lは、その両端(-Y寄り及び+Y寄りの端部)がハウジング20の側壁25に接続される両持ち状に形成されていてもよい。
【0073】
実施の形態2に係るコネクタ2においても、コネクタ1と同等の効果を奏することができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0075】
例えば、本発明の実施の形態では、嵌合検知部材30は、第2位置に移動した際の第2アーム部40R、40Lに接触する一部として、第1アーム部50R、50Lを有する。しかしながら、これに限られない。嵌合検知部材30は、第2位置に移動した際の第2アーム部40R、40Lに接触する一部として、第1アーム部50R、50L以外の形状や構造のものを有していてもよい。しかしながら、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向のガタ付きを効果的に抑制する観点からは、嵌合検知部材30は、第1アーム部50R、50L、もしくは、それと同等のものを有することが好ましい。
【0076】
また、本発明の実施の形態では、ハウジング20には、撓み部として構成されている第2アーム部40R、40Lが設けられている。しかしながら、これに限られない。ハウジング20には、第2アーム部40R、40L以外の形状や構造のものであってもよい。しかしながら、相手ハウジング10に対するハウジング20の幅方向のガタ付きを効果的に抑制する観点からは、ハウジング20には、第2アーム部40R、40L、もしくは、それと同等のものが設けられていることが好ましい。
【0077】
また、本発明の実施の形態では、相手ハウジング10は、実装対象200に実装されるリセプタクルコネクタのハウジングであり、ハウジング20は、電線ケーブルが接続されるプラグコネクタのハウジングである。しかしながら、これに限られない。例えば、双方のコネクタが、端子を有し、その端子に電線ケーブルが接続されたものであってもよい。また、これら以外のものであってもよい。
【0078】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0079】
1,2:コネクタ、10:相手ハウジング、10a:天井壁部、11:収容空間、12:被係止部、12a:傾斜面、12b:被係止面、20:ハウジング、21:端子収容室、22:端子挿入口、23:係止部、23a:傾斜面、23b:係止面、24:係止解除部、25:側壁、25a:切欠き部、26R,26L:ロックアーム部、30:嵌合検知部材、31:基部、32:メインアーム部、33R,33L:第3アーム部、33a:第3アーム部用突部、34:連結部、35:嵌合固定用突部、36:係止部、37:仮係止部、38:押圧部、40R,40L:第2アーム部(撓み部)、41:撓み部用突部、50R,50L:第1アーム部(嵌合検知部材の一部)、60:雄端子、60a:(+Y側の)端部、60b:(-Y側の)端部、200:実装対象、A:移動通路、A1,A2,A3,A4:矢印、D1:嵌合方向、D2:移動方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16