(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20241008BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
E02F9/16 A
B62D25/08 A
(21)【出願番号】P 2021037209
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020165108
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓二
(72)【発明者】
【氏名】下井 卓三
(72)【発明者】
【氏名】松島 慎之介
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-255215(JP,A)
【文献】特開2005-335474(JP,A)
【文献】特開2016-035149(JP,A)
【文献】特開平11-165660(JP,A)
【文献】特開2007-046396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械であって、
下部走行体に支持されるアッパーフレームと、
内部空間を囲む箱体により構成され、前記アッパーフレームに支持されるキャビンと、を備え、
前記キャビンは、前記内部空間の前後及び左右を囲む複数の壁部と、前記複数の壁部のうちの何れかの壁部である特定壁部に沿って設けられた荷重伝達部材と、を備え、
前記特定壁部は、当該特定壁部の幅方向である壁幅方向の端に位置して縦方向に延びる側縁である壁部側縁と、前記壁部側縁よりも前記壁幅方向の内側に設けられた窓を画定する窓縁と、を有し、
前記窓縁は、前記壁部側縁に沿う方向に延びる縦辺と、前記縦辺の延びる方向に対して交わる方向に延びる下辺と、前記縦辺と前記下辺とをつなぐ下コーナーと、を含み、
前記荷重伝達部材は、前記窓縁の前記縦辺よりも前記壁幅方向の外側において前記特定壁部の上部から前記縦辺に沿って下方に延びる上ピラー部と、前記下コーナーよりも上方でかつ前記下コーナーよりも前記壁幅方向の外側の位置から前記下コーナーよりも下方でかつ前記下コーナーよりも前記壁幅方向の内側の位置まで前記窓を避けるように延びる中間部と、前記窓の下方において前記壁部側縁から遠ざかるように前記中間部から延びる梁部と、を有し、
前記上ピラー部、前記中間部及び前記梁部は、前記キャビンの上部に対して前記特定壁部に沿う方向に加えられる荷重を前記アッパーフレームに伝達することが可能なようにこの順に連続し、前記荷重伝達部材のうち少なくとも前記中間部は、単一の部材により形成さ
れ、
前記複数の壁部は、前記内部空間の後に位置する後壁部を含み、
前記特定壁部は前記後壁部であり、前記窓は後窓であり、
前記荷重伝達部材は、前記後壁部に沿って設けられ、
前記窓縁の前記下辺は、前記壁幅方向に延び、前記梁部は、前記中間部から遠ざかるにつれて前記窓縁の前記下辺から遠ざかるように斜め下方に延びている、作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械であって、
前記上ピラー部、前記中間部及び前記梁部を含む前記荷重伝達部材の全体が単一の部材により形成されている、作業機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の作業機械であって、
前記中間部は、下方に向かうにつれて前記壁部側縁から遠ざかるように湾曲する部分を有する、作業機械。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の作業機械であって、
前記梁部は、前記壁部側縁から遠ざかるにつれて下方に位置するように前記アッパーフレームに向かって直線状に延びる形状を有する、作業機械。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の作業機械であって、
前記荷重伝達部材は、前記梁部から下方に延びる下ピラー部をさらに有する、作業機械。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の作業機械であって、
前記キャビンは、前記特定壁部の上端部から前記特定壁部の下端部まで前記壁部側縁に沿って下方に延びる後ピラーをさらに備え、
前記荷重伝達部材の前記上ピラー部は、前記後ピラーに隣接しながら前記後ピラーに沿って下方に延びている、作業機械。
【請求項7】
請求項
1~5の何れか1項に記載の作業機械であって、
前記キャビンは、前記後壁部の上端部から前記後壁部の下端部まで前記壁部側縁に沿って下方に延びる後ピラーをさらに備え、
前記荷重伝達部材の前記上ピラー部は、前記後ピラーよりも前記壁幅方向の内側に位置し、前記後ピラーに隣接しながら前記後ピラーに沿って下方に延びている、作業機械。
【請求項8】
請求項
1~7の何れか1項に記載の作業機械であって、
前記アッパーフレームは、前記キャビンを支持するサイドデッキを有し、
前記サイドデッキは、デッキ本体と、前記デッキ本体に支持された複数のマウントと、を含み、
前記複数のマウントは、前記キャビンの振動を抑制することが可能なように前記キャビンを支持し、
前記荷重伝達部材の下端部は、前記複数のマウントのうちの予め設定されたマウントである特定マウントに平面視で重なるような位置において前記キャビンの下部に接続されている、作業機械。
【請求項9】
請求項6または7に記載の作業機械であって、
前記キャビンは、前記後壁部の上端部から前記後壁部の下端部まで前記特定壁部に沿って下方に延びる他の後ピラーをさらに備え、前記他の後ピラーは、前記後ピラーに対して前記壁幅方向に間隔をおいて、前記後窓を介した位置に配置され、
前記荷重伝達部材の下端部は、前記他の後ピラーに接続されている、作業機械。
【請求項10】
請求項9に記載の作業機械であって、
前記アッパーフレームは、ブームの基端部が取り付けられて前記ブームを起伏可能に支持するブーム支持部を有し、前記ブーム支持部は、前記キャビンに対して隣り合うように設けられる起立片を含み、
前記荷重伝達部材の前記下端部と前記起立片は、前記他の後ピラー及び連結部材を介して連続するように配置されている、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の一例である油圧ショベルは、下部走行体と、この下部走行体に旋回可能に支持されるアッパーフレームと、このアッパーフレームに起伏可能に支持されるブームを含む作業装置と、内部空間を囲む箱体により構成され、ブームの側方においてアッパーフレームに支持されるキャビンと、を備える。キャビンは、前記内部空間の前後及び左右を囲む複数の壁部を備える。複数の壁部は、例えば、キャビンの背面を形成する後壁部、キャビンの左側面及び右側面を形成する左壁部及び右壁部などを含む。後壁部は、後窓を画定する窓縁を有する場合があり、左壁部及び右壁部のそれぞれは、横窓を画定する窓縁を有する場合がある。後窓及び横窓は、これらの窓を通じたオペレータの視界を確保するために設けられている。
【0003】
例えば作業機械が横転又は転倒した場合には、キャビンの上部に対して大きな荷重が加えられる。このため、作業機械のキャビンは、オペレータの安全確保の観点から、作業機械が横転又は転倒した場合にキャビンの内部空間を確保することが可能な剛性を有することが求められる。
【0004】
特許文献1の作業機械は、キャビンの左右方向の変形抑制効果を高めるために、左側リアピラーに左側から加えられる側方荷重を右側リアピラーに伝達する荷重伝達梁を備えている。特許文献2の作業機械は、後部の左支柱と右支柱とを上下方向の中間において接続する横部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-46396号公報
【文献】特開2004-42739号公報
【文献】特開2010-270557号公報
【文献】特開2010-255215号公報
【文献】特開2020-169454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような特許文献1,2の作業機械では、キャビンの上部に対して大きな荷重が加えられたときにキャビンの壁部における窓縁の下コーナーの近傍の部位に亀裂が生じやすい。具体的には以下の通りである。後窓の窓縁は、左側の縦辺と、下側の下辺と、これらをつなぐコーナーである下コーナーと、を含む。作業機械が横転してキャビンの上部に対して例えば左側から側方荷重が加えられると、前記下コーナーの近傍の部位(コーナー近傍部位)に亀裂が生じやすい。コーナー近傍部位に亀裂が発生すると、キャビンの剛性が低下する場合がある。また、特許文献3-5には、作業機械におけるキャブの構造がそれぞれ開示されているが、窓縁の前記下コーナーの近傍の部位における亀裂の発生を抑制することについては考慮されていない。
【0007】
本開示は、上記のような問題を踏まえてなされたものであり、窓を通じた視界を確保することができ、キャビンの上部に荷重が加えられた場合であっても窓の窓縁の前記下コーナーの近傍の部位であるコーナー近傍部位に亀裂が生じることを抑制してキャビンの剛性の低下を抑制することができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
提供される作業機械は、下部走行体に支持されるアッパーフレームと、内部空間を囲む箱体により構成され、前記アッパーフレームに支持されるキャビンと、を備え、前記キャビンは、前記内部空間の前後及び左右を囲む複数の壁部と、前記複数の壁部のうちの何れかの壁部である特定壁部に沿って設けられた荷重伝達部材と、を備え、前記特定壁部は、当該特定壁部の幅方向である壁幅方向の端に位置して縦方向に延びる側縁である壁部側縁と、前記壁部側縁よりも前記壁幅方向の内側に設けられた窓を画定する窓縁と、を有し、前記窓縁は、前記壁部側縁に沿う方向に延びる縦辺と、前記縦辺の延びる方向に対して交わる方向に延びる下辺と、前記縦辺と前記下辺とをつなぐ下コーナーと、を含み、前記荷重伝達部材は、前記窓縁の前記縦辺よりも前記壁幅方向の外側において前記特定壁部の上部から前記縦辺に沿って下方に延びる上ピラー部と、前記下コーナーよりも上方でかつ前記下コーナーよりも前記壁幅方向の外側の位置から前記下コーナーよりも下方でかつ前記下コーナーよりも前記壁幅方向の内側の位置まで前記窓を避けるように延びる中間部と、前記窓の下方において前記壁部側縁から遠ざかるように前記中間部から延びる梁部と、を有し、前記上ピラー部、前記中間部及び前記梁部は、前記キャビンの上部に対して前記特定壁部に沿う方向に加えられる荷重を前記アッパーフレームに伝達することが可能なようにこの順に連続し、前記荷重伝達部材のうち少なくとも前記中間部は、単一の部材により形成されている。
【0009】
この作業機械では、荷重伝達部材の上ピラー部、中間部及び梁部は、上記のように窓を避けるように配置されているので、作業機械による作業が行われるときには、窓を通じたオペレータの視界が確保される。荷重伝達部材の梁部は、壁部側縁から遠ざかるように中間部から延びているので、荷重が加えられたキャビンの上部に対して壁幅方向に離れた位置で荷重をアッパーフレームに直接又は間接的に伝達することができる。このような梁部を含む荷重伝達部材は、前記荷重による特定壁部の変形を効果的に抑制するつっかえ棒のような役割を果たす。荷重伝達部材の中間部は、下コーナーよりも上方でかつ壁幅方向の外側の位置である外上位置から下コーナーよりも下方でかつ壁幅方向の内側の位置である内下位置まで窓を避けるように延びる部分であるので、窓縁の下コーナーの近傍の部位(コーナー近傍部位)に位置する。荷重伝達部材のうち少なくとも前記中間部は単一の部材により形成されている。すなわち、荷重伝達部材は、コーナー近傍部位に溶接個所を有していない。従って、特定壁部に沿う方向の荷重がキャビンの上部に加えられた場合であっても、荷重伝達部材は、コーナー近傍部位に位置する中間部において亀裂が生じることを抑制しながら、当該荷重を上ピラー部、中間部及び梁部の順にアッパーフレームに伝達することができる。アッパーフレームは、強度が高いので、荷重伝達部材を介して伝達される前記荷重を受け止めて荷重伝達部材を支持することができる。以上のことから、この作業機械では、作業機械による作業が行われるときには窓を通じた視界を確保することができ、キャビンの上部に荷重が加えられた場合であっても窓の窓縁のコーナー近傍部位に亀裂が生じることを抑制してキャビンの剛性の低下を抑制することができる。なお、前記中間部は、前記外上位置から前記内下位置まで連続して単一の部材により形成されていればよいので、本開示は、上記のように単一の部材により形成された前記中間部に対して、他の付属部品が例えば溶接などによって取り付けられることを排除していない。
【0010】
前記作業機械において、前記上ピラー部、前記中間部及び前記梁部を含む前記荷重伝達部材の全体が単一の部材により形成されていることが好ましい。この構成では、中間部だけでなく荷重伝達部材全体が、単一の部材により形成されたものであり、複数の部材を溶接により連結して形成されたものではないので、溶接個所に起因する亀裂の発生を荷重伝達部材全体において抑制できる。
【0011】
前記作業機械において、前記中間部は、下方に向かうにつれて前記壁部側縁から遠ざかるように湾曲する部分を有することが好ましい。この構成では、上記のように湾曲する部分を有する中間部は、曲げ方向にスムーズに弾性変形するので、当該中間部においてバネ効果が得られる。これにより、特定壁部に沿う方向の荷重がキャビンの上部に加えられたときに、荷重伝達部材は、当該荷重のエネルギーの一部を効果的に吸収することができる。従って、この構成では、前記コーナー近傍部位に位置する中間部において亀裂が生じることをさらに抑制できる。
【0012】
前記作業機械において、前記梁部は、前記壁部側縁から遠ざかるにつれて下方に位置するように前記アッパーフレームに向かって直線状に延びる形状を有することが好ましい。この構成では、直線状に延びる梁部を介して前記荷重をアッパーフレームに直線的に効率よく伝達することができる。
【0013】
前記作業機械において、前記荷重伝達部材は、前記梁部から下方に延びる下ピラー部をさらに有していてもよい。この構成では、荷重伝達部材が下ピラー部をさらに有することにより、当該荷重伝達部材の剛性がより高められているので、キャビンの剛性をより高めることができる。
【0014】
前記作業機械において、前記キャビンは、前記特定壁部の上端部から前記特定壁部の下端部まで前記壁部側縁に沿って下方に延びる後ピラーをさらに備え、前記荷重伝達部材の前記上ピラー部は、前記後ピラーに隣接しながら前記後ピラーに沿って下方に延びていることが好ましい。この構成では、特定壁部に沿って配置される荷重伝達部材は、後ピラーとは別の部材として設けられている。従って、特定壁部に沿う方向の荷重がキャビンの上部に加えられた場合であっても、荷重伝達部材と後ピラーとが特定壁部の変形を効果的に抑制することができるので、当該荷重に対するキャビンの剛性をさらに高めることができる。
【0015】
前記作業機械において、前記複数の壁部は、前記内部空間の後に位置する後壁部を含み、前記特定壁部は前記後壁部であり、前記窓は後窓であり、前記荷重伝達部材は、前記後壁部に沿って設けられていることが好ましい。この構成では、キャビンの左サイド及び右サイドのうち荷重伝達部材の上ピラー部が配置されているサイドの上部に対して後壁部に沿う方向の側方荷重が加えられた場合であっても、コーナー近傍部位に位置する中間部に亀裂が生じることを抑制してキャビンの剛性の低下を抑制することができる。作業機械が横転した場合にオペレータがキャビンの側方の扉以外の経路を通じてキャビンから脱出することができるように脱出経路が予め設定される。この脱出経路は、例えばキャビンの後窓を通じた経路に設定される。荷重伝達部材の上ピラー部、中間部及び梁部は、後窓を避けるように配置されているので、作業機械が横転した場合であっても、後窓を通じた脱出経路が確保される。
【0016】
前記キャビンは、前記後壁部の上端部から前記後壁部の下端部まで前記壁部側縁に沿って下方に延びる後ピラーをさらに備え、前記荷重伝達部材の前記上ピラー部は、前記後ピラーよりも前記壁幅方向の内側に位置し、前記後ピラーに隣接しながら前記後ピラーに沿って下方に延びていることが好ましい。この構成では、後壁部に沿って配置される荷重伝達部材は、後ピラーとは別の部材として設けられている。従って、後壁部に沿う方向の側方荷重がキャビンの上部に加えられた場合であっても、荷重伝達部材と後ピラーとが特定壁部の変形を効果的に抑制することができるので、側方荷重に対するキャビンの剛性をさらに高めることができる。しかも、荷重伝達部材の上ピラー部が後ピラーよりも壁幅方向の内側において後ピラーに隣接しながら後ピラーに沿って下方に延びているので、側方荷重は、後ピラーを介して荷重伝達部材の上ピラー部に効率よく伝達される。
【0017】
前記アッパーフレームは、前記キャビンを支持するサイドデッキを有し、前記サイドデッキは、デッキ本体と、前記デッキ本体に支持された複数のマウントと、を含み、前記複数のマウントは、前記キャビンの振動を抑制することが可能なように前記キャビンを支持し、前記荷重伝達部材の下端部は、前記複数のマウントのうちの予め設定されたマウントである特定マウントに平面視で重なるような位置において前記キャビンの下部に接続されていることが好ましい。この構成では、荷重伝達部材の下端部がアッパーフレームの特定マウントの真上に配置されているので、荷重伝達部材は、キャビンの上部に対して加えられる側方荷重をアッパーフレームの特定マウントに効率よく伝達することができる。
【0018】
前記作業機械において、前記複数の壁部は、前記内部空間の左に位置する左壁部と、前記内部空間の右に位置する右壁部と、を含み、前記特定壁部は前記左壁部及び前記右壁部のうちの一方の壁部であり、前記窓は横窓であり、前記壁部側縁は前記特定壁部の後端に位置して前記縦方向に延びる後縁であり、前記荷重伝達部材は、前記一方の壁部に沿って設けられていてもよい。この構成では、キャビンの上部に対して後方荷重が加えられた場合であっても、コーナー近傍部位に位置する中間部に亀裂が生じることを抑制してキャビンの剛性の低下を抑制することができる。
【0019】
前記キャビンは、前記特定壁部の上端部から前記特定壁部の下端部まで前記壁部側縁に沿って下方に延びる後ピラーをさらに備え、前記荷重伝達部材の前記上ピラー部は、前記後ピラーよりも前側に位置し、前記後ピラーに隣接しながら前記後ピラーに沿って下方に延びていることが好ましい。この構成では、左壁部及び右壁部のうちの一方の壁部に沿って配置される荷重伝達部材は、後ピラーとは別の部材として設けられている。従って、当該一方の壁部に沿う方向の後方荷重がキャビンの上部に加えられた場合であっても、荷重伝達部材と後ピラーとが前記一方の壁部(特定壁部)の変形を効果的に抑制することができるので、後方荷重に対するキャビンの剛性をさらに高めることができる。しかも、荷重伝達部材の上ピラー部が後ピラーよりも前側において後ピラーに隣接しながら後ピラーに沿って下方に延びているので、後方荷重は、後ピラーを介して荷重伝達部材の上ピラー部に効率よく伝達される。
【0020】
前記キャビンは、前記横窓よりも前側に位置して前記特定壁部の上端部から前記特定壁部の下端部まで下方に延びる前ピラーと、前記前ピラーと前記後ピラーとの間に位置して前記特定壁部の上端部から下方に延びる中間ピラーと、をさらに備え、前記荷重伝達部材の下端部は、前記中間ピラーよりも前側の位置において前記キャビンの下部に接続されていることが好ましい。この構成では、荷重伝達部材の下端部が中間ピラーの下端部よりも後側の位置においてキャビンの下部に接続されている場合に比べて、後方荷重が加えられたキャビンの上部に対して前方により離れた位置で荷重をアッパーフレームに直接又は間接的に伝達することができる。このことは、後方荷重に対するキャビンの剛性をさらに高めることを可能にする。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、壁部の窓を通じた視界を確保しつつ、コーナー近傍部位に亀裂が生じることを抑制してキャビンの剛性の低下を抑制することができる作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
【
図2】前記作業機械のアッパーフレーム及びキャビンを示す平面図である。
【
図4】前記キャビンの構造を説明するために当該キャビンを構成する部材の一部を省略した図である。
【
図5】前記キャビンにおける複数のピラー、複数の梁、複数の下部フレーム及び荷重伝達部材と、アッパーフレームにおけるフレーム本体及びフレーム構成部材と、を示す斜視図である。
【
図6】前記キャビンの後壁部(背面部)及び荷重伝達部材を示す正面図である。
【
図7】前記第1の実施形態の変形例1に係る作業機械におけるキャビンの後壁部及び荷重伝達部材を示す正面図である。
【
図8】前記第1の実施形態の変形例2に係る作業機械におけるキャビンの後壁部及び荷重伝達部材を示す正面図である。
【
図9】前記第1の実施形態の変形例3に係る作業機械におけるキャビンの後壁部及び荷重伝達部材を示す正面図である。
【
図10】前記第1の実施形態の変形例4に係る作業機械におけるキャビンとアッパーフレームの一部を示す斜視図である。
【
図12】前記第1の実施形態の変形例5に係る作業機械におけるキャビンとアッパーフレームの一部を示す斜視図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線における断面図である。
【
図14】前記第1の実施形態の変形例6に係る作業機械におけるキャビンの後壁部及び荷重伝達部材を示す正面図である。
【
図15】前記第1の実施形態の変形例7に係る作業機械におけるキャビンとアッパーフレームの一部を示す斜視図である。
【
図16】前記第1の実施形態の変形例8に係る作業機械におけるキャビンとアッパーフレームの一部を示す斜視図である。
【
図17】第2の実施形態に係る作業機械におけるキャビンとアッパーフレームの一部を示す斜視図である。
【
図18】前記第2の実施形態に係る作業機械におけるキャビンの右壁部及び荷重伝達部材を示す側面図である。
【
図19】前記第2の実施形態に係る作業機械におけるキャビンの左壁部及び荷重伝達部材を示す斜視図である。
【
図20】前記第2の実施形態に係る作業機械におけるキャビンの左壁部及び荷重伝達部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態に係る作業機械について説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る油圧ショベル10を示す側面図である。油圧ショベル10は、作業機械の一例である。
図1に示すように、油圧ショベル10は、下部走行体11と、当該下部走行体11に旋回可能に支持される上部旋回体12と、作業装置13と、複数の油圧アクチュエータと、を備える。
【0025】
上部旋回体12は、下部走行体11に旋回可能に支持されるアッパーフレーム20と、当該アッパーフレーム20に支持されるキャビン30と、キャビン30の後方に配置されたカウンタウェイト29と、を含む。
【0026】
作業装置13は、アッパーフレーム20に起伏可能に支持されるブーム14と、ブーム14の先端部に回動可能に支持されるアーム15と、アーム15の先端部に回動可能に支持されるバケット16と、を含む。
【0027】
複数の油圧アクチュエータは、図略の油圧ポンプからの作動油の供給を受けてブーム14を起伏動作させるように作動するブームシリンダ17と、前記油圧ポンプからの作動油の供給を受けてアーム15を回動動作させるように作動するアームシリンダ18と、前記油圧ポンプからの作動油の供給を受けてバケット16を回動動作させるように作動するバケットシリンダ19と、前記油圧ポンプからの作動油の供給を受けてアッパーフレーム20を旋回動作させるように作動する図略の旋回モータと、を含む。
【0028】
図2は、油圧ショベル10のアッパーフレーム20及びキャビン30を示す平面図である。
図3は、キャビン30を示す斜視図である。
図4は、キャビン30の構造を説明するために当該キャビン30を構成する部材の一部を省略した図である。
図5は、キャビン30の骨組みを示す斜視図である。
【0029】
図2及び
図5に示すように、アッパーフレーム20は、キャビン30が載置される上面を有するフレーム本体23と、当該フレーム本体23の上面に設けられたブーム支持部21と、を含む。フレーム本体23は、センターセクション23Aと、サイドデッキ23Bと、を含む。サイドデッキ23Bは、センターセクション23Aの左側に設けられ、センターセクション23Aに支持されている。図示は省略するが、センターセクション23Aの右側にもサイドデッキが設けられている。ブーム支持部21は、ブーム14の基端部が取り付けられてブーム14を起伏可能に支持する部分である。ブーム支持部21は、左右一対の起立片21A,21Bを含む。一対の起立片21A,21Bは、左右方向に互いに間隔をおいて配置され、前後方向にそれぞれ延びる板状の部材であり、フレーム本体23のセンターセクション23Aの上面から上方にそれぞれ起立している。ブーム支持部21は、
図2に示すアッパーフレーム20の幅方向W(フレーム本体23の幅方向W)において、フレーム本体23の中央付近に設けられている。アッパーフレーム20の幅方向Wは左右方向である。ブーム支持部21の左側起立片21Aは、キャビン30に対して幅方向Wの内側(本実施形態では右側)に隣り合うように設けられている。
【0030】
図2に示すように、キャビン30は、アッパーフレームの幅方向Wの中央に対して幅方向Wの外側(本実施形態では左側)に偏った位置においてアッパーフレーム20のフレーム本体23に支持される。具体的には、キャビン30は、フレーム本体23のサイドデッキ23B上に配置されている。キャビン30は、内部空間を囲む箱体により構成される。キャビン30の内部空間には、図略の運転席、操縦レバー、操縦ペダルなどが配置される。
【0031】
図3に示すように、キャビン30は、前記内部空間の前に位置し、前窓51を有する前壁部30F(前面部30F)と、前記内部空間の後に位置し、後窓53を有する後壁部30B(背面部30B)と、前記内部空間の左に位置し、開閉扉50を有する左壁部30L(左面部30L)と、前記内部空間の右に位置し、右窓を有する右壁部30R(右面部30R)と、前記内部空間の上に位置する上壁部30T(天面部30T)と、前記内部空間の下に位置し、キャビン30の床面を有する下壁部30U(床面部30U)と、を有する。開閉扉50は、左窓52を有する。キャビン30は、複数のピラーと、複数の梁と、複数の下部フレームと、荷重伝達部材60と、を有する。後壁部30Bは、特定壁部の一例である。前壁部30F、後壁部30B、左壁部30L及び右壁部30Rは、前記内部空間の前後及び左右を囲む複数の壁部の一例である。
【0032】
図5に示すように、複数のピラーは、左前ピラー35と、右前ピラー36と、左後ピラー37と、第1の右後ピラー38と、第2の右後ピラー39と、左中間ピラー44と、を含む。複数の下部フレームは、前下フレーム31と、後下フレーム32と、左下フレーム33と、右下フレーム34と、を含む。複数の梁は、前上梁40と、後上梁41と、左上梁42と、右上梁43と、を含む。前下フレーム31、後下フレーム32、前上梁40及び後上梁41のそれぞれは、左右方向(幅方向W)に延びる構造部材である。左下フレーム33、右下フレーム34、左上梁42及び右上梁43のそれぞれは、前後方向に延びる構造部材である。複数のピラーのそれぞれは、上下方向又は上下方向に対して傾斜する方向に延びる構造部材である。
【0033】
後壁部30Bは、アッパーフレーム20におけるフレーム本体23のサイドデッキ23Bから上方に起立するように設けられ、キャビン30の背面を形成する。
図6に示すように、後壁部30Bは、正面視において長方形状を有する。後壁部30Bは、リアパネル54を含む。リアパネル54は、左後ピラー37に接続された左端部と、第1の右後ピラー38に接続された右端部と、後下フレーム32に接続された下端部と、後上梁41に接続された上端部と、を有する。
【0034】
図4及び
図6に示すように、後壁部30Bのリアパネル54は、後壁部30Bの幅方向である壁幅方向W1(
図2及び
図6参照)の左端に位置して縦方向に延びる左側縁である壁部側縁E1を有する。第1の実施形態における壁幅方向W1は左右方向である。壁部側縁E1の延びる方向である前記縦方向は、上下方向であってもよく、上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、壁部側縁E1は、
図4に示すように壁部側縁E1の延びる向きが変化しながら後壁部30Bの上端から下端まで延びていてもよく、前記縦方向は、このような形態も含む概念である。
【0035】
左後ピラー37は、本開示における後ピラーの一例である。左後ピラー37は、後壁部30Bの上端部から後壁部30Bの下端部まで壁部側縁E1に沿って下方に延びている。左後ピラー37は、左上梁42の後端部から左下フレーム33の後端部まで下方に延びている。第1の右後ピラー38は、後壁部30Bの上端部から後壁部30Bの下端部までリアパネル54における壁幅方向W1の右端に位置する右側縁に沿って下方に延びている。第1の右後ピラー38は、右上梁43の後端部から右下フレーム34の後端部まで下方に延びている。後上梁41は、左後ピラー37の上端部と第1の右後ピラー38の上端部とを接続するように壁幅方向W1に延びている。後下フレーム32は、左後ピラー37の下端部と第1の右後ピラー38の下端部とを接続するように壁幅方向W1に延びている。第2の右後ピラー39は、第1の右後ピラー38の前側において第1の右後ピラー38に隣合うように配置され、右上梁43の後端部から右下フレーム34の後端部まで下方に延びている。
【0036】
図4及び
図6に示すように、リアパネル54は、その上部に開口を有する。リアパネル54の当該開口は、後窓53を構成する。リアパネル54は、後窓53(前記開口)を画定する窓縁を有する。この窓縁には窓ガラスが取り付けられている。
【0037】
リアパネル54の窓縁は、上辺S1、下辺S2、内辺S3(右辺S3)及び外辺S4(左辺S4)を含む。外辺S4は、縦辺の一例である。外辺S4は、後壁部30Bの壁部側縁E1に沿う方向に延びる縁であり、下辺S2は、外辺S4の延びる方向に対して交わる方向に延びる縁である。具体的には、上辺S1及び下辺S2は、上下方向に互いに間隔をおいて後壁部30Bの壁幅方向W1(アッパーフレーム20の幅方向W)にそれぞれ延びている。内辺S3は、上辺S1及び下辺S2に対して幅方向Wの内側(本実施形態では右側)に位置して上下方向に延びている。外辺S4は、上辺S1及び下辺S2に対して幅方向Wの外側(本実施形態では左側)に位置して上下方向に延びている。前記窓縁は、外辺S4と下辺S2とをつなぐ外下コーナーC1と、内辺S3と下辺S2とをつなぐ内下コーナーC2と、外辺S4と上辺S1とをつなぐ外上コーナーC3と、内辺S3と上辺S1とをつなぐ内上コーナーC4と、をさらに含む。外下コーナーC1は、下コーナーの一例である。
【0038】
本実施形態では、外下コーナーC1は、外辺S4の下端から下方に向かうにつれて右側(幅方向Wの内側)に位置するような形状を有する。一方、外辺S4は、上下方向に延びる形状を有し、下辺S2は、左右方向(幅方向W)に延びる形状を有する。具体的には、外下コーナーC1は、外辺S4の下端と下辺S2の左端とを滑らかにつなぐ湾曲形状を有する。内下コーナーC2は、内辺S3の下端から下方に向かうにつれて左側(幅方向Wの外側)に位置するような形状を有する。ただし、外下コーナーC1及び内下コーナーC2のそれぞれは、例えばほぼ直角の角により構成されていてもよい。本実施形態では、上辺S1、下辺S2、内辺S3及び外辺S4のそれぞれは、直線状に延びているが、上辺S1、下辺S2、内辺S3及び外辺S4の少なくとも一つは、曲線部分を含んでいてもよい。
【0039】
荷重伝達部材60は、後壁部30Bのリアパネル54、左後ピラー37及び第1の右後ピラー38の少なくとも一つに固定されている。荷重伝達部材60は、上ピラー部64と、中間部62と、梁部65と、を有する。上ピラー部64は、外辺S4よりも壁幅方向W1の外側である左側において後壁部30Bの上部から外辺S4に沿って下方に延びる部分である。中間部62は、外下コーナーC1よりも上方でかつ外下コーナーC1よりも壁幅方向W1の外側である左側(幅方向Wの外側)の位置である外上位置から外下コーナーC1よりも下方でかつ外下コーナーC1よりも壁幅方向W1の内側である右側(幅方向Wの内側)の位置である内下位置まで後窓53を避けるように延びる部分である。梁部65は、壁部側縁E1から遠ざかるように中間部62から延びる部分である。具体的には、梁部65は、中間部62における右側の端部(幅方向Wの内側の端部)である内端部からアッパーフレーム20の一部を構成するフレーム構成部材に向かって後窓53の下方において右側(幅方向Wの内側)に延びる部分である。
【0040】
本実施形態では、荷重伝達部材60の全体が単一の部材により形成されている。言い換えると、荷重伝達部材60は、複数の部材を溶接により連結して形成されたものではない。従って、荷重伝達部材60は、外下コーナーC1の近傍の部位であるコーナー近傍部位に位置する中間部62に溶接個所を有していない。なお、ここでいう溶接個所は、荷重伝達部材60を形成するための溶接個所であり、荷重伝達部材60を例えば後壁部30Bに固定するための溶接個所のことではない。荷重伝達部材60は、例えば押出成形などの成形手段を用いて作製することができるが、成形手段は、押出成形に限られない。荷重伝達部材60は、例えば四角形の断面形状を有する閉断面を有するが、閉断面の形状は、例えば円形や楕円形などであってもよい。これらの点は、後述する第2の実施形態に係る左右の荷重伝達部材70R,70Lにおいても同様である。
【0041】
上ピラー部64、中間部62及び梁部65は、キャビン30の上部に対して左側(幅方向Wの外側)から加えられる側方荷重Fをフレーム構成部材に伝達することが可能なようにこの順に連続している。本実施形態では、前記フレーム構成部材は、ブーム支持部21の左側起立片21Aと、当該左側起立片21Aに取り付けられた連結部材22と、を含む。左側起立片21A及び連結部材22は、アッパーフレーム20の一部を構成する。
【0042】
上ピラー部64の上端部61、すなわち荷重伝達部材60の上端部61は、後上梁41に接続されている。荷重伝達部材60の上端部61の高さ位置は、油圧ショベル10が左側に横転したときにキャビン30の上部が左側から受ける側方荷重Fの高さ位置に一致し又は当該側方荷重Fの高さ位置の近くにある。上ピラー部64は、左後ピラー37に対して壁幅方向W1の内側である右側(幅方向Wの内側)に位置し、左後ピラー37に隣接しながら左後ピラー37の上部に沿って下方に延びている。上ピラー部64は、正面視において左後ピラー37と窓縁の外辺S4との間に配置されている。本実施形態では、荷重伝達部材60の上端部61は、外上コーナーC3よりも上方に位置しているが、外上コーナーC3よりも下方に位置していてもよい。荷重伝達部材60の上端部61は、外上コーナーC3よりも壁幅方向W1の外側である左側(幅方向Wの外側)に位置している。
【0043】
本実施形態では、中間部62は、下方に向かうにつれて壁部側縁E1から遠ざかるように湾曲する部分を有する。中間部62は、正面視において、湾曲形状の外下コーナーC1を避けるように当該外下コーナーC1よりも外側において湾曲しながら延びる部分を有する。中間部62は、正面視において、外下コーナーC1の外側を覆うように湾曲する部分を有する。
【0044】
梁部65は、壁部側縁E1から遠ざかるにつれて下方に位置するようにブーム支持部21の左側起立片21Aに向かって直線状に延びる形状を有する。言い換えると、梁部65は、中間部62の内端部から右側(幅方向Wの内側)に向かうにつれて下方に位置するようにフレーム構成部材に向かって直線状に延びる形状を有する。このように梁部65が右斜め下方に傾斜するような直線状の形状を有することにより、中間部62の湾曲部分の曲率半径が小さくなることを抑制し、中間部62を緩やかに湾曲させた形状にすることができる。
【0045】
梁部65の右端部63(幅方向Wの内側の内端部)、すなわち荷重伝達部材60の右端部63(荷重伝達部材60の下端部63)は、第1の右後ピラー38に接続されている。荷重伝達部材60の右端部63とアッパーフレーム20の左側起立片21Aは、第1の右後ピラー38及び連結部材22を介して連続するように配置されている。これにより、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fを左側起立片21Aに伝達することができる。なお、連結部材22が省略され、右後ピラー38と左側起立片21Aとが直接連結されていてもよい。
【0046】
本実施形態に係る油圧ショベル10では、上ピラー部64は窓縁の外辺S4に沿って下方に延び、中間部62は後窓53を避けるように延び、梁部65は後窓53の下方において延びている。従って、荷重伝達部材60は、後窓53に重ならずに後窓53を通じた視界及び脱出経路を確保しながら側方荷重Fをフレーム構成部材に伝達することができる。しかも、荷重伝達部材60の中間部62が単一の部材により形成されていることにより、キャビン30の上部に側方荷重Fが加えられた場合であっても、中間部62に亀裂が生じることを抑制してキャビン30の剛性の低下を抑制することができる。
【0047】
具体的には、荷重伝達部材60は、コーナー近傍部位に溶接個所を有していない。このため、荷重伝達部材60は、側方荷重Fがキャビンの上部に加えられたときに、コーナー近傍部位に位置する中間部62において亀裂が生じることを抑制してキャビン30の剛性の低下を抑制しながら、当該側方荷重Fを上ピラー部64、中間部62及び梁部65を介してアッパーフレーム20の前記フレーム構成部材に伝達することができる。アッパーフレーム20は強度が高く、アッパーフレーム20の一部を構成する左側起立片21Aは、荷重伝達部材60を介して伝達される側方荷重Fを受け止めることができる。
【0048】
従って、キャビン30の上部に側方荷重Fが加えられたときに、荷重伝達部材60は、左側起立片21Aに支持され、コーナー近傍部位に位置する荷重伝達部材60の中間部62は、亀裂の発生が抑制される。しかも、荷重伝達部材60は後窓53に重ならないように配置されている。よって、この油圧ショベル10は、後窓53を通じた視界及び脱出経路を確保しつつ、コーナー近傍部位に亀裂が生じることを抑制してキャビンの剛性の低下を抑制することができる。
【0049】
一方、特許文献1,2の作業機械のそれぞれは、上下方向に延びる左側のリアピラー(左支柱)における上下方向の中央付近に、略水平方向に延びる梁材(横部材)の左側端部が接続される構造を有するので、これらを接続する溶接個所が窓縁の左下コーナーの近傍の部位であるコーナー近傍部位に存在する。従って、キャビンの上部に側方荷重が加えられ、左下コーナーを中心として窓縁の縦辺と下辺とが近づくように窓縁が変形したときに、コーナー近傍部位に存在する溶接個所に亀裂が生じやすい。
【0050】
本実施形態では、中間部62だけでなく荷重伝達部材60全体が、単一の部材により形成され、複数の部材を溶接により連結して形成されたものではないので、溶接個所に起因する亀裂の発生を荷重伝達部材60全体において抑制できる。
【0051】
本実施形態では、中間部62は、上ピラー部64の下端部から下方に向かうにつれて壁幅方向W1の内側である右側(幅方向Wの内側)に位置するように湾曲する部分を有するので、当該中間部62においてバネ効果が得られる。これにより、側方荷重Fがキャビン30の上部に加えられたときに、荷重伝達部材60は、側方荷重Fのエネルギーの一部を効果的に吸収することができる。従って、前記コーナー近傍部位に位置する中間部62において亀裂が生じることをさらに抑制できる。
【0052】
本実施形態では、梁部65は、中間部62の前記内端部から右側(幅方向Wの内側)に向かうにつれて下方に位置するように前記フレーム構成部材に向かって直線状に延びる形状を有する。従って、フレーム構成部材が中間部62の内端部に比べて下方に設けられている場合であっても、中間部62の内端部からフレーム構成部材に向かって下方に傾斜するように直線状に延びる梁部65を介して側方荷重Fをフレーム構成部材に直線的に効率よく伝達することができる。
【0053】
本実施形態では、荷重伝達部材60の上ピラー部64は、左後ピラー37(外側ピラー)に対して壁幅方向W1の内側である右側(幅方向Wの内側)に位置し、左後ピラー37に隣接しながら左後ピラー37に沿って下方に延びている。このように荷重伝達部材60が左後ピラー37とは別の部材として設けられているので、側方荷重Fに対するキャビン30の剛性をさらに高めることができ、しかも、キャビン30の上部に加えられる側方荷重Fは、左後ピラー37に隣接しながら左後ピラー37に沿って下方に延びる荷重伝達部材60の上ピラー部64に左後ピラー37を介して効率よく伝達される。
【0054】
[第1の実施形態の変形例]
以上、本開示の第1の実施形態に係る作業機械について説明したが、本開示は、これらの形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0055】
図7は、第1の実施形態の変形例1に係る油圧ショベル10におけるキャビン30の後壁部30B及び荷重伝達部材60を示す正面図である。
図7に示すように、変形例1に係る荷重伝達部材60は、上ピラー部64、中間部62及び梁部65を溶接などの連結手段を用いて連結することにより形成されている。具体的に、上ピラー部64の下端部と中間部62の上端部62Aは、連結部601において連結され、中間部62の右端部62Bと梁部65の左端部は、連結部602において連結されている。前記連結手段は、溶接に限られず、ボルト締結などの他の手段であってもよい。中間部62は、単一の部材により形成されている。中間部62は、外下コーナーC1よりも上方でかつ外下コーナーC1よりも壁幅方向W1の外側である左側(幅方向Wの外側)の位置である外上位置から外下コーナーC1よりも下方でかつ外下コーナーC1よりも壁幅方向W1の内側である右側(幅方向Wの内側)の位置である内下位置まで後窓53を避けるように延びる部分である。
【0056】
図7に示すように、中間部62の上端部62Aは、上ピラー部64の延びる方向(変形例1では上下方向)と同じ向きに延びている。また、中間部62の右端部62Bは、梁部65の延びる方向(変形例1では右斜め下へ向く方向)と同じ向きに延びている。具体的には、中間部62は、上端部62Aを含む部分であって上ピラー部64の延びる方向と同じ向きに延びる部分である上側直線部と、右端部62Bを含む部分であって梁部65の延びる方向と同じ向きに延びる部分である下側直線部と、上側直線部と下側直線部をつなぐ湾曲部と、を含む。なお、
図6に示される中間部62並びに後述する
図8及び
図9に示される中間部のそれぞれは、
図7に示される中間部62と同様に、上ピラー部64の延びる方向と同じ向きに延びる部分である上側直線部と、梁部65の延びる方向と同じ向きに延びる部分である下側直線部と、上側直線部と下側直線部をつなぐ湾曲部と、を含んでいてもよい。
【0057】
変形例1に係る油圧ショベル10の他の構成は、
図1~
図6を参照して説明した第1の実施形態に係る油圧ショベル10と同様である。
【0058】
図8は、第1の実施形態の変形例2に係る油圧ショベル10におけるキャビン30の後壁部30B及び荷重伝達部材60を示す正面図である。
図8に示すように、荷重伝達部材60は、梁部65における右端部63(幅方向Wの内側の内端部)から下方に延びる下ピラー部66をさらに有していてもよい。この変形例1では、荷重伝達部材60が下ピラー部66をさらに有すことにより、当該荷重伝達部材60の剛性がより高められているので、キャビン30の剛性をより高めることができる。下ピラー部66は、梁部65の前記内端部から後壁部30Bの下端部まで延びている。ただし、下ピラー部66は、必ずしも後壁部30Bの下端部まで延びていなくてもよく、梁部65の前記内端部と後壁部30Bの下端部との間の高さ位置まで延びるような形状であってもよい。また、下ピラー部66は、後壁部30Bの後下フレーム32又は下壁部30Uと接する下端を有することが好ましい。これにより、荷重伝達部材60は、側方荷重Fをアッパーフレーム20の左側起立片21Aに伝達できるだけでなく、側方荷重Fを後壁部30Bの後下フレーム32又は下壁部30Uを介してアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bにも伝達できる。なお、
図8に示す変形例2では、下ピラー部66は、梁部65の右端部63から下方に延びているが、梁部65の中間部分、すなわち、梁部65の右端部63と梁部65の左端部の間の部分から下方に延びていてもよい。
【0059】
梁部65の右端部63と下ピラー部66の上端部との接続部分は、湾曲形状を有する。従って、この接続部分は、曲げ方向にスムーズに弾性変形するので、当該接続部分においてバネ効果が得られる。これにより、側方荷重がキャビンの上部に加えられたときに、荷重伝達部材は、側方荷重のエネルギーの一部をより効果的に吸収することができる。
【0060】
下ピラー部66は、第1の右後ピラー38と接する右側面を有し、この右側面が右後ピラー38と溶接されていてもよい。また、下ピラー部66は、後下フレーム32又は下壁部30Uと接する下端を有し、この下端が後下フレーム32又は下壁部30Uと溶接されていてもよい。
【0061】
変形例2に係る油圧ショベル10の他の構成は、
図1~
図6を参照して説明した第1の実施形態に係る油圧ショベル10と同様である。
【0062】
図9は、第1の実施形態の変形例3に係る油圧ショベル10におけるキャビン30の後壁部30B及び荷重伝達部材60を示す正面図である。
図9に示すように、変形例3に係る梁部65は、中間部62の前記内端部から壁幅方向W1の内側である右側(幅方向Wの内側)向かってほぼ水平方向に直線状に延びる形状を有する。変形例3に係る油圧ショベル10の他の構成は、
図1~
図6を参照して説明した第1の実施形態に係る油圧ショベル10と同様である。
【0063】
なお、図示は省略するが、荷重伝達部材の梁部は、中間部の右端部(内端部)から幅方向Wの内側に向かうにつれて上方に位置するようにフレーム構成部材に向かって直線状又は曲線状に延びる形状を有していてもよい。この場合であっても、梁部は、中間部における幅方向Wの内側の端部である内端部からフレーム構成部材に向かって後窓の下方において前記幅方向の内側に延びる形状を有する。
【0064】
前記第1の実施形態では、フレーム構成部材がブーム支持部21の左側起立片21A及び連結部材22であるが、本開示におけるフレーム構成部材は、アッパーフレーム20の一部を構成し、キャビン30が横転又は転倒したときに荷重伝達部材60を介して伝達される荷重を受け止めることができる部材であればよく、左側起立片21A及び連結部材22以外の部材であってもよい。このようなフレーム構成部材としては、例えば、後述する変形例4~変形例8(
図10~
図16)のようにアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bを挙げることができる。
【0065】
前記第1の実施形態では、後壁部30Bは、左後ピラー37(外側ピラー)を有するが、作業機械が比較的小型のタイプであれば、当該外側ピラーを省略することもできる。
【0066】
本開示に係る技術は、油圧ショベル10以外の作業機械にも適用可能である。
【0067】
前記第1の実施形態では、荷重伝達部材60の上ピラー部64、中間部62及び梁部65は、後壁部30Bに接しているが、荷重伝達部材60の中間部62及び梁部65の少なくとも一方は、後壁部30Bに接していなくてもよい。
【0068】
前記第1の実施形態では、荷重伝達部材60における幅方向Wの内側の内端部である右端部63(梁部65の右端部63)が第1の右後ピラー38に接続されることにより、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fをフレーム構成部材の左側起立片21Aに伝達することができる。ただし、このような形態に限られない。荷重伝達部材60の右端部63は、フレーム構成部材に直接接続されていてもよい。この場合、第1の右後ピラー38は、上側のピラー部と、下側のピラー部と、を有し、上側のピラー部と下側のピラー部との間に荷重伝達部材60の梁部65が介在するように配置されていてもよい。この場合であっても、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fをフレーム構成部材の左側起立片21Aに伝達することができる。
【0069】
また、第1の右後ピラー38は、上側のピラー部と、下側のピラー部と、これらの間に位置する中間のピラー部と、を有し、これらが上下方向に連続するように連結されたものであってもよく、荷重伝達部材60の右端部63は、第1の右後ピラー38の中間のピラー部に接続されていてもよい。この場合、中間のピラー部の剛性は、上側のピラー部及び下側のピラー部の剛性よりも高いことが好ましい。
【0070】
図6~
図9にそれぞれ示される連結部材22は省略可能である。この場合、上述したように荷重伝達部材60の右端部63がフレーム構成部材の左側起立片21Aに直接接続されていてもよく、第1の右後ピラー38がフレーム構成部材の左側起立片21Aに直接接続されていてもよい。また、連結部材22が省略される場合、キャビン30が左側起立片21Aに接続されておらず、キャビン30が左側起立片21Aに対して幅方向W(左右方向)に間隔をあけて配置されていてもよい。この場合であっても、左側起立片21Aは、キャビン30に対して幅方向Wの内側である右側に隣り合うように設けられているので、
図6~
図9にそれぞれ示される側方荷重Fがキャビン30の上部に加えられたときに、キャビン30全体が右側(幅方向Wの内側)に若干変形することにより、キャビン30の右側部が左側起立片21Aに接する。これにより、荷重伝達部材60は、側方荷重Fをフレーム構成部材としての左側起立片21Aに伝達することができる。
【0071】
図10は、第1の実施形態の変形例4に係る油圧ショベル10におけるキャビン30とアッパーフレーム20の一部を示す斜視図であり、
図11は、
図10のXI-XI線における断面図である。
【0072】
変形例4に係る油圧ショベル10は、荷重伝達部材60の梁部65の延びる方向が後述するマウントに向かう方向である点で、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態に係る油圧ショベル10と異なる。変形例4に係る油圧ショベル10のその他の構成は、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態と同様である。
【0073】
図10に示す変形例4に係る油圧ショベル10では、
図5に示す油圧ショベル10と同様に、アッパーフレーム20は、フレーム本体23とブーム支持部21とを含み、フレーム本体23は、センターセクション23Aとサイドデッキ23Bとを含む。
図10及び
図11に示すように、サイドデッキ23Bは、デッキ本体231と複数のマウント232(例えば4つのマウント232)とを含む。デッキ本体231は、センターセクション23Aに支持されており、キャビン30の下壁部30Uの真下に配置されている。デッキ本体231は、例えば、キャビン30の下壁部30Uを下からカバーするような大きさと形状を有する。4つのマウント232は、キャビン30の振動を抑制するために設けられた防振マウントである。4つのマウント232は、
図10において4つの破線の丸で示されるようにキャビン30の下壁部30Uの四隅に対応する位置において、キャビン30の下壁部30Uとデッキ本体231との間に介在してキャビン30を支持している。
図11に示すように、4つのマウント232のそれぞれは、デッキ本体231に支持されている。
【0074】
荷重伝達部材60の下端部63(右端部63)は、4つのマウント232のうちで右後に配置された右後マウント232の真上に位置し、キャビン30の下部に接続されている。荷重伝達部材60の下端部63は、右後マウント232に平面視で重なるような位置においてキャビン30の下部に接続されている。
図10に示す具体例では、荷重伝達部材60の下端部63が接続されているキャビン30の前記下部は、第1の右後ピラー38と後下フレーム32との境界部である。ただし、荷重伝達部材60の下端部63は、後下フレーム32のみに接続されていてもよく、下壁部30Uのみに接続されていてもよい。右後マウント232は、特定マウントの一例である。
【0075】
この変形例4に係る油圧ショベル10では、荷重伝達部材60の下端部63がアッパーフレーム20の右後マウント232の真上に配置されているので、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fをアッパーフレーム20の右後マウント232に効率よく伝達することができる。
【0076】
図12は、第1の実施形態の変形例5に係る油圧ショベル10におけるキャビン30とアッパーフレーム20の一部を示す斜視図であり、
図13は、
図12のXIII-XIII線における断面図である。
【0077】
変形例5に係る油圧ショベル10は、荷重伝達部材60の梁部65の延びる方向が第1の右後ピラー38の下端部に向かう方向である点で、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態に係る油圧ショベル10と異なる。変形例5に係る油圧ショベル10のその他の構成は、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態と同様である。
【0078】
この変形例5に係る油圧ショベル10では、荷重伝達部材60の下端部63が第1の右後ピラー38の下端部に接続されているので、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fを、第1の右後ピラー38を介してアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに伝達することができる。なお、荷重伝達部材60の梁部65の延びる方向が第2の右後ピラー39の下端部に向かう方向であってもよく、この場合、荷重伝達部材60の下端部63は、第2の右後ピラー39の下端部に接続される。
【0079】
図14は、第1の実施形態の変形例6に係る油圧ショベル10におけるキャビン30の後壁部30B及び荷重伝達部材60を示す正面図である。
【0080】
変形例6に係る油圧ショベル10は、荷重伝達部材60の梁部65の延びる方向が、キャビン30の下部のうち第1の右後ピラー38よりも左側の部分に向かう方向である点で、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態に係る油圧ショベル10と異なる。変形例6に係る油圧ショベル10のその他の構成は、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態と同様である。
【0081】
この変形例6に係る油圧ショベル10では、荷重伝達部材60の下端部63が後下フレーム32に接続されている。具体的には、荷重伝達部材60の下端部63は、後下フレーム32のうち左後ピラー37の下端部よりも第1の右後ピラー38の下端部に近い部位に接続されている。この変形例6では、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fを、後下フレーム32を介してアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに伝達することができる。
【0082】
図15は、第1の実施形態の変形例7に係る油圧ショベル10におけるキャビン30とアッパーフレーム20の一部を示す斜視図である。
【0083】
変形例7に係る油圧ショベル10は、荷重伝達部材60の梁部65の延びる方向が、キャビン30の下部のうち右後ピラー38,39よりも前側の部分に向かう方向である点で、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態に係る油圧ショベル10と異なる。変形例7に係る油圧ショベル10のその他の構成は、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態と同様である。
【0084】
この変形例7に係る油圧ショベル10では、荷重伝達部材60の下端部63は、キャビン30の下部のうち、第2の右後ピラー39よりも前側の部分に接続されている。具体的には、荷重伝達部材60の下端部63は、第2の右後ピラー39よりも前側において右下フレーム34に接続されている。より具体的には、荷重伝達部材60の下端部63は、第2の右後ピラー39の下端部と前後に隣合うように右下フレーム34に接続されている。この変形例7では、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fを、右下フレーム34を介してアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに伝達することができる。
【0085】
図16は、第1の実施形態の変形例8に係る油圧ショベル10におけるキャビン30とアッパーフレーム20の一部を示す斜視図である。
【0086】
変形例8に係る油圧ショベル10は、荷重伝達部材60の梁部65の延びる方向が下壁部30U(下壁部30Uの床面)に向かう方向である点で、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態に係る油圧ショベル10と異なる。変形例8に係る油圧ショベル10のその他の構成は、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態と同様である。
【0087】
この変形例8に係る油圧ショベル10では、荷重伝達部材60の下端部63は、後下フレーム32よりも前側において下壁部30Uに接続されている。具体的には、荷重伝達部材60の下端部63は、下壁部30Uのうち左後ピラー37の下端部よりも第1の右後ピラー38の下端部に近い部位に接続されている。この変形例8では、荷重伝達部材60は、キャビン30の上部に対して左側から加えられる側方荷重Fを、下壁部30Uを介してアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに伝達することができる。
【0088】
変形例4~8では、デッキ本体231及び複数のマウント232を含むサイドデッキ23Bは、アッパーフレーム20の一部を構成するフレーム構成部材の一例である。変形例4~8のそれぞれでは、
図6~
図9にそれぞれ示される連結部材22は省略されている。
【0089】
[第2の実施形態]
図17は、第2の実施形態に係る油圧ショベル10におけるキャビン30とアッパーフレーム20の一部を示す斜視図である。
図18は、キャビン30の右壁部30R及び荷重伝達部材70Rを示す側面図である。
図19は、キャビン30の左壁部30L及び荷重伝達部材70Lを示す斜視図であり、
図20は、左壁部30L及び荷重伝達部材70Lを示す側面図である。
【0090】
第2の実施形態に係る油圧ショベル10は、キャビン30が荷重伝達部材70R,70Lを備える点で、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態に係る油圧ショベル10と異なる。第2の実施形態に係る油圧ショベル10のその他の構成は、
図1~
図6に示される前記第1の実施形態と同様である。
【0091】
図18に示すように、右壁部30Rは、前記内部空間の右に位置し、アッパーフレーム20におけるフレーム本体23のサイドデッキ23Bから上方に起立するように設けられ、キャビン30の右側面を形成する。右壁部30Rは、特定壁部の一例である。右壁部30Rは、右パネル56を有する。右パネル56は、右前ピラー36、右上梁43、右後ピラー38及び右下フレーム34により囲まれる領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられている。右パネル56は、その上部に開口を有する。右パネル56の当該開口は、右窓55を構成する。右パネル56は、右窓55を画定する窓縁を有する。この窓縁には窓ガラスが取り付けられている。右窓55は、横窓の一例である。
【0092】
右壁部30Rの右パネル56は、右壁部30Rの幅方向である壁幅方向W2の後端に位置して縦方向に延びる側縁である壁部側縁E2を有する。右壁部30Rにおける壁幅方向W2は前後方向である。壁部側縁E2の延びる方向である前記縦方向は、上下方向であってもよく、上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、壁部側縁E2は、壁部側縁E2の延びる向きが変化しながら右壁部30Rの上端から下端まで延びていてもよく、前記縦方向は、このような形態も含む概念である。
【0093】
右壁部30Rの窓縁は、上辺S11、下辺S12、前辺S13及び後辺S14を含む。後辺S14は、縦辺の一例である。後辺S14は、右壁部30Rの壁部側縁E2に沿う方向に延びる縁であり、下辺S12は、後辺S14の延びる方向に対して交わる方向に延びる縁である。右壁部30Rの窓縁は、後辺S14と下辺S12とをつなぐ後下コーナーC11と、前辺S13と下辺S12とをつなぐ前下コーナーC12と、後辺S14と上辺S11とをつなぐ後上コーナーC13と、前辺S13と上辺S11とをつなぐ前上コーナーC14と、をさらに含む。後下コーナーC11は、下コーナーの一例である。
【0094】
上辺S11及び下辺S12は、上下方向に互いに間隔をおいて配置されている。上辺S11は、前後方向に延びている。
図18に示す具体例では、下辺S12は、後下コーナーC11から前下コーナーC12に至るまでの間に、上下に位置が変動しながら前方に延びるような凹凸形状を有する。ただし、下辺S12の形状は、この具体例に限られず、例えば前後に直線状に延びるような形状であってもよい。前辺S13は、上辺S11及び下辺S12に対して前側に位置して縦方向に延びている。後辺S14は、上辺S11及び下辺S12に対して後側に位置して縦方向に延びている。
図18に示す具体例では、前辺S13の延びる縦方向は上下方向に対して傾斜する方向であり、後辺S14の延びる縦方向は上下方向である。ただし、前辺S13の延びる縦方向は上下方向であってもよく、後辺S14の延びる縦方向は上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0095】
図20に示すように、左壁部30Lは、前記内部空間の左に位置し、アッパーフレーム20におけるフレーム本体23のサイドデッキ23Bから上方に起立するように設けられ、キャビン30の左側面を形成する。左壁部30Lは、特定壁部の一例である。左壁部30Lは、開閉扉50と、左後パネル57と、を有する。開閉扉50は、左前ピラー35と左中間ピラー44の間の領域である前側領域を塞ぐように設けられている。左後パネル57は、左中間ピラー44と左後ピラー37の間の領域である後側領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられている。左後パネル57は、その上部に開口を有する。左後パネル57の当該開口は、左後窓58(左窓)を構成する。左後パネル57は、左後窓58を画定する窓縁を有する。この窓縁には窓ガラスが取り付けられている。左後窓58は、横窓の一例である。
【0096】
左壁部30Lの左後パネル57は、左壁部30Lの幅方向である壁幅方向W3(
図20参照)の後端に位置して縦方向に延びる側縁である壁部側縁E3を有する。左壁部30Lにおける壁幅方向W3は前後方向である。壁部側縁E3の延びる方向である前記縦方向は、上下方向であってもよく、上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、壁部側縁E3は、壁部側縁E3の延びる向きが変化しながら左壁部30Lの上端から下端まで延びていてもよく、前記縦方向は、このような形態も含む概念である。
【0097】
左後パネル57の窓縁は、上辺S11、下辺S12、前辺S13及び後辺S14を含む。後辺S14は、縦辺の一例である。後辺S14は、左壁部30Lの壁部側縁E3に沿う方向に延びる縁であり、下辺S12は、後辺S14の延びる方向に対して交わる方向に延びる縁である。左壁部30Lの窓縁は、後辺S14と下辺S12とをつなぐ後下コーナーC11と、前辺S13と下辺S12とをつなぐ前下コーナーC12と、後辺S14と上辺S11とをつなぐ後上コーナーC13と、前辺S13と上辺S11とをつなぐ前上コーナーC14と、をさらに含む。後下コーナーC11は、下コーナーの一例である。
【0098】
上辺S11及び下辺S12は、上下方向に互いに間隔をおいて配置されている。上辺S11は、前後方向に延びている。
図20に示す具体例では、下辺S12は、後下コーナーC11から前下コーナーC12まで前下がりの姿勢となるように延びている。すなわち、下辺S12は、後下コーナーC11から前下コーナーC12に向かうにつれて下方に位置するように水平面に対して傾斜している。ただし、下辺S12の形状は、この具体例に限られず、例えば前後に水平な直線状に延びるような形状であってもよく、
図18に示す右壁部30Rにおける窓縁の下辺S12のように凹凸形状を有していてもよい。前辺S13は、上辺S11及び下辺S12に対して前側に位置して縦方向に延びている。後辺S14は、上辺S11及び下辺S12に対して後側に位置して縦方向に延びている。
図20に示す具体例では、前辺S13及び後辺S14のそれぞれの延びる縦方向は上下方向である。ただし、これらの延びる縦方向は上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0099】
右側の荷重伝達部材70Rは、右壁部30Rの右パネル56、第1の右後ピラー38、第2の右後ピラー39及びキャビン30の下部の少なくとも一つに固定されている。左側の荷重伝達部材70Lは、左壁部30Lの左後パネル57、左後ピラー37及びキャビン30の下部の少なくとも一つに固定されている。右側の荷重伝達部材70Rは、上ピラー部74Rと、中間部72Rと、梁部75Rと、を有する。左側の荷重伝達部材70Lは、上ピラー部74Lと、中間部72Lと、梁部75Lと、を有する。
【0100】
図18に示すように、右側の荷重伝達部材70Rの上ピラー部74Rは、右壁部30Rにおける窓縁の後辺S14よりも後側(壁幅方向W2の外側)において右壁部30Rの上部から後辺S14に沿って下方に延びる部分である。中間部72Rは、後下コーナーC11よりも上方でかつ後下コーナーC11よりも後側(壁幅方向W2の外側)の位置である後上位置から後下コーナーC11よりも下方でかつ後下コーナーC11よりも前側(壁幅方向W2の内側)の位置である前下位置まで右窓55を避けるように延びる部分である。梁部75Rは、壁部側縁E2から遠ざかるように中間部72Rから延びる部分である。具体的に、梁部75Rは、中間部72Rにおける前側の端部である前端部からアッパーフレーム20の一部を構成するサイドデッキ23Bに向かって右窓55の下方において前下がりに延びる部分である。サイドデッキ23Bは、アッパーフレーム20の一部を構成するフレーム構成部材の一例である。
【0101】
図19及び
図20に示すように、左側の荷重伝達部材70Lの上ピラー部74Lは、左壁部30Lにおける窓縁の後辺S14よりも後側(壁幅方向W3の外側)において左壁部30Lの上部から後辺S14に沿って下方に延びる部分である。中間部72Lは、後下コーナーC11よりも上方でかつ後下コーナーC11よりも後側(壁幅方向W3の外側)の位置である後上位置から後下コーナーC11よりも下方でかつ後下コーナーC11よりも前側(壁幅方向W3の内側)の位置である前下位置まで左後窓58を避けるように延びる部分である。梁部75Lは、壁部側縁E3から遠ざかるように中間部72Lから延びる部分である。具体的に、梁部75Lは、中間部72Lにおける前側の端部である前端部からアッパーフレーム20の一部を構成するサイドデッキ23Bに向かって左後窓58の下方において前下がりに延びる部分である。サイドデッキ23Bは、アッパーフレーム20の一部を構成するフレーム構成部材の一例である。
【0102】
本実施形態では、右側の荷重伝達部材70Rの全体が単一の部材により形成され、左側の荷重伝達部材70Lの全体が単一の部材により形成されている。言い換えると、荷重伝達部材70R,70Lのそれぞれは、複数の部材を溶接により連結して形成されたものではない。従って、右側の荷重伝達部材70Rは、右壁部30Rにおける窓縁の後下コーナーC11の近傍の部位であるコーナー近傍部位に位置する中間部72Rに溶接個所を有していない。同様に、左側の荷重伝達部材70Lは、左壁部30Lにおける窓縁の後下コーナーC11の近傍の部位であるコーナー近傍部位に位置する中間部72Lに溶接個所を有していない。
【0103】
荷重伝達部材70Rの上ピラー部74R、中間部72R及び梁部75Rは、キャビン30の上部に対して後側から加えられる後方荷重F1をアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに伝達することが可能なようにこの順に連続している。同様に、荷重伝達部材70Lの上ピラー部74L、中間部72L及び梁部75Lは、キャビン30の上部に対して後側から加えられる後方荷重F1をアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに伝達することが可能なようにこの順に連続している。
【0104】
荷重伝達部材70Rの上端部71R(上ピラー部74Rの上端部71R)は、右上梁43及び右後ピラー38の上端部の少なくとも一方に接続されている。荷重伝達部材70Rの上端部71の高さ位置は、油圧ショベル10が例えば転倒するときにキャビン30の上部が後側から受ける後方荷重F1の高さ位置に一致し又は当該後方荷重F1の高さ位置の近くにある。
【0105】
上ピラー部74Rは、右後ピラー38よりも前側に位置し、右後ピラー38に隣接しながら右後ピラー38に沿って下方に延びている。上ピラー部74Rは、側面視において右後ピラー38と窓縁の後辺S14との間に配置されている。本実施形態では、荷重伝達部材70Rの上端部71Rは、後上コーナーC13よりも上方に位置しているが、後上コーナーC13よりも下方に位置していてもよい。荷重伝達部材70Rの上端部71は、後上コーナーC13よりも後側に位置している。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態における第2の右後ピラー39は省略されている。
【0106】
荷重伝達部材70Rの中間部72Rは、下方に向かうにつれて壁部側縁E2から遠ざかるように湾曲する部分を有する。中間部72Rは、側面視において、後下コーナーC11を避けるように当該後下コーナーC11よりも外側において湾曲しながら延びる部分を有する。中間部72Rは、側面視において、後下コーナーC11の外側を覆うように湾曲する部分を有する。
【0107】
荷重伝達部材70Rの梁部75Rは、壁部側縁E2から遠ざかるにつれて下方に位置するようにアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに向かって直線状に延びる形状を有する。言い換えると、梁部75Rは、中間部72Rの前端部(下端部)から前側に向かうにつれて下方に位置するようにキャビン30の下部に向かって直線状に延びる形状を有する。このように梁部75Rが前下がりに傾斜するような直線状の形状を有することにより、中間部72Rの湾曲部分の曲率半径が小さくなることを抑制し、中間部72Rを緩やかに湾曲させた形状にすることができる。
【0108】
梁部75Rの下端部73R、すなわち荷重伝達部材70Rの下端部73Rは、キャビン30の下部、具体的には右下フレーム34に接続されている。これにより、荷重伝達部材70Rは、キャビン30の上部に対して後側から加えられる後方荷重F1を右下フレーム34を介してサイドデッキ23Bに伝達することができる。
【0109】
左側の荷重伝達部材70Lの構造は、上述した右側の荷重伝達部材70Rの構造と同様である。具体的には以下の通りである。荷重伝達部材70Lの上端部71L(上ピラー部74Lの上端部71L)は、左上梁42及び左後ピラー37の上端部の少なくとも一方に接続されている。荷重伝達部材70Lの上端部71の高さ位置は、油圧ショベル10が例えば転倒するときにキャビン30の上部が後側から受ける後方荷重F1の高さ位置に一致し又は当該後方荷重F1の高さ位置の近くにある。
【0110】
上ピラー部74Lは、左後ピラー37よりも前側に位置し、左後ピラー37に隣接しながら左後ピラー37の上部に沿って下方に延びている。上ピラー部74Lは、側面視において左後ピラー37と窓縁の後辺S14との間に配置されている。本実施形態では、荷重伝達部材70Lの上端部71Lは、後上コーナーC13よりも上方に位置しているが、後上コーナーC13よりも下方に位置していてもよい。荷重伝達部材70Lの上端部71Lは、後上コーナーC13よりも後側に位置している。
【0111】
荷重伝達部材70Lの中間部72Lは、下方に向かうにつれて壁部側縁E3から遠ざかるように湾曲する部分を有する。中間部72Lは、側面視において、後下コーナーC11を避けるように当該後下コーナーC11よりも外側において湾曲しながら延びる部分を有する。中間部72Lは、側面視において、後下コーナーC11の外側を覆うように湾曲する部分を有する。
【0112】
荷重伝達部材70Lの梁部75Lは、壁部側縁E3から遠ざかるにつれて下方に位置するようにアッパーフレーム20のサイドデッキ23Bに向かって直線状に延びる形状を有する。言い換えると、梁部75Lは、中間部72Lの前端部(下端部)から前側に向かうにつれて下方に位置するようにキャビン30の下部に向かって直線状に延びる形状を有する。このように梁部75Lが前下がりに傾斜するような直線状の形状を有することにより、中間部72Lの湾曲部分の曲率半径が小さくなることを抑制し、中間部72Lを緩やかに湾曲させた形状にすることができる。
【0113】
梁部75Lの下端部73L、すなわち荷重伝達部材70Lの下端部73Lは、キャビン30の下部、具体的には左下フレーム33に接続されている。これにより、荷重伝達部材70Lは、キャビン30の上部に対して後側から加えられる後方荷重F1を左下フレーム33を介してサイドデッキ23Bに伝達することができる。
【0114】
図19及び
図20に示すように、荷重伝達部材70Lの下端部73Lは、左中間ピラー44よりも前側の位置において左下フレーム33に接続されている。第2の実施形態では、左中間ピラー44は、ピラー本体44Aと、ピラー下部44Bと、を含む。ピラー本体44Aは、左上梁42から荷重伝達部材70Lの梁部75Lまで下方に延びる部分であり、ピラー下部44Bは、荷重伝達部材70Lの梁部75Lから左下フレーム33まで下方に延びる部分である。ピラー本体44Aの下端部は、荷重伝達部材70Lの梁部75Lの上面に例えば溶接などによって接続され、ピラー下部44Bの上端部は、荷重伝達部材70Lの梁部75Lの下面に例えば溶接などによって接続されている。
【0115】
[第2の実施形態の変形例]
以上、本開示の第2の実施形態に係る作業機械について説明したが、本開示は、これらの形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0116】
第2の実施形態では、右側の荷重伝達部材70R及び左側の荷重伝達部材70Lの一方が省略されていてもよい。
【0117】
第2の実施形態に係る油圧ショベルは、
図17及び
図19に示すように、第1の実施形態における荷重伝達部材60と同様の荷重伝達部材60を備えるが、この第2の実施形態では、荷重伝達部材60は省略されていてもよい。
【0118】
左側の荷重伝達部材70Lの下端部73Lは、左中間ピラー44よりも後側の位置において左下フレーム33に接続されていてもよい。
【0119】
荷重伝達部材70Rの下端部73R及び荷重伝達部材70Lの下端部73Lの少なくとも一方は、下壁部30U(下壁部30Uの床面)に接続されていてもよい。
【0120】
ピラー本体44Aとピラー下部44Bのうちのピラー下部44Bは省略可能である。すなわち、左中間ピラー44は、左上梁42から荷重伝達部材70Lの梁部75Lまで延びるピラー本体44Aを含む一方で、ピラー下部44Bを含まなくてもよい。
【0121】
また、左中間ピラー44は、左上梁42から左下フレーム33まで途切れずに連続する部材であってもよく、この場合、荷重伝達部材70Lの梁部75Lは、中間部72Lから左中間ピラー44の後面まで延びる部分と、左中間ピラー44の前面から左下フレーム33又は下壁部30Uまで延びる部分と、を含んでいてもよい。
【0122】
また、左中間ピラー44は、左上梁42から左下フレーム33まで途切れずに連続する部材であり、かつ、荷重伝達部材70Lの梁部75Lは、中間部72Lから左下フレーム33又は下壁部30Uまで途切れずに連続していてもよい。この場合、荷重伝達部材70Lの梁部75Lは、左中間ピラー44に対して右側又は左側にずれた位置に配置される。
【0123】
第1の実施形態では、荷重伝達部材60の上ピラー部64は、左後ピラー37(後ピラーの一例)よりも壁幅方向W1の内側(右側)に位置し、後ピラー37に隣接しながら後ピラー37に沿って下方に延びているが、このような形態に限られない。荷重伝達部材60の上ピラー部64は、後ピラー37よりも例えば前側に位置し、後ピラー37に隣接しながら後ピラー37に沿って下方に延びていてもよい。
【0124】
第2の実施形態では、荷重伝達部材70Rの上ピラー部74Rは、右後ピラー38(後ピラーの一例)よりも前側に位置し、右後ピラー38に隣接しながら右後ピラー38に沿って下方に延びているが、このような形態に限られない。荷重伝達部材70Rの上ピラー部74Rは、右後ピラー38よりも例えば左側又は右側に位置し、右後ピラー38に隣接しながら右後ピラー38に沿って下方に延びていてもよい。また、第2の実施形態では、荷重伝達部材70Lの上ピラー部74Lは、左後ピラー37(後ピラーの一例)よりも前側に位置し、左後ピラー37に隣接しながら左後ピラー37の上部に沿って下方に延びているが、このような形態に限られない。荷重伝達部材70Lの上ピラー部74Lは、左後ピラー37よりも右側又は左側に位置し、左後ピラー37に隣接しながら左後ピラー37の上部に沿って下方に延びていてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 :油圧ショベル
11 :下部走行体
12 :上部旋回体
13 :作業装置
20 :アッパーフレーム
21A :ブーム支持部の左側起立片
22 :連結部材
23 :フレーム本体
30 :キャビン
30B :後壁部(背面部)
37 :左後ピラー(外側ピラーの一例)
53 :後窓
60,70R,70L :荷重伝達部材
62,72 :荷重伝達部材の中間部
63,73 :荷重伝達部材の下端部
64,74 :荷重伝達部材の上ピラー部
65,75 :荷重伝達部材の梁部
66 :荷重伝達部材の下ピラー部
C1 :外下コーナー
E1 :後壁部の壁部側縁
E2 :右壁部の壁部側縁
E3 :左壁部の壁部側縁
F :側方荷重
F1 :後方荷重
S1 :上辺
S2 :下辺
S3 :内辺
S4 :外辺
W :アッパーフレームの幅方向
W1 :後壁部の壁幅方向
W2 :右壁部の壁幅方向
W3 :左壁部の壁幅方向