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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】空気調和機及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20241008BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241008BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20241008BHJP
【FI】
F24F11/56
H04Q9/00 301D
H04W84/10 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021038588
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138615
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】平田 匠
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 央弥
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓磨
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/229800(WO,A1)
【文献】特表2006-526932(JP,A)
【文献】特開2020-120256(JP,A)
【文献】特開2002-280925(JP,A)
【文献】特開2005-167367(JP,A)
【文献】特開2004-129042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0313544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/56
H04Q 9/00
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機及び人検知部を有する空気調和機であって、
前記室内機は、
機器との間で近距離無線通信を行う通信部と、
前記通信部を、セントラルおよびペリフェラルのいずれかで動作するように設定する設定変更部と、を有し、
前記設定変更部は、
前記人検知部が人の存在を検知したときに、前記通信部の動作をセントラルからペリフェラルに変更することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記設定変更部は前記通信部の動作をセントラルからペリフェラルに変更し、セントラルとして動作している機器を検出する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気調和機であって、
検出したセントラルとして動作している機器と近距離無線通信を確立する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項に記載の空気調和機であって、
検出したセントラルとして動作している機器と近距離無線通信を確立した後、前記通信部がセントラルとして動作していたときに近距離無線通信を確立していた他の機器に対して、当該近距離無線通信の切断信号を送る
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項に記載の空気調和機であって、
前記通信部が前記他の機器に対して、前記近距離無線通信の切断信号を送信した後、前記セントラルとして動作している機器を経由して前記他の機器と通信する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記通信部がペリフェラルとして動作し、セントラルとして動作している機器と近距離無線通信を確立した状態のときに、同近距離無線通信が断となった場合、前記設定変更部は前記通信部をセントラルとして動作させ、ペリフェラルとして動作する機器を検出する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項に記載の空気調和機であって、
検出したペリフェラルとして動作している機器と近距離無線通信を確立する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項8】
室内機及び人検知部と、第1の機器とを有する空気調和システムであって、
前記室内機は、
近距離無線通信を行う第1の通信部の動作をセントラルとして前記第1の機器と近距離無線通信を確立した後、前記人検知部が人の存在を検出したときに、前記第1の通信部の動作をセントラルからペリフェラルに変更し、前記セントラルとして動作している第2の機器を検出した場合、前記セントラルとして動作している前記第2の機器と近距離無線通信を確立し、
前記第1の機器は、
前記室内機との近距離無線通信を切断した後、前記セントラルとして動作している前記第2の機器を検出した場合、前記セントラルとして動作している前記第2の機器と近距離無線通信を確立することを特徴とする空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)等の近距離無線通信では、機器同士、例えば、セントラル機器とペリフェラル機器との間で所定の手順を経て、セントラル機器とペリフェラル機器との間で通信を確立し、必要なデータの授受が行われる。
【0003】
例えば、BLEを使用した機器としては、空気調和機内の室内機と、室内機を遠隔操作するリモコンとがあり、室内機をセントラル機器、リモコンをペリフェラル機器として、室内機とリモコンとの間をBLEで通信を確立する空気調和システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-156691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BLE通信では、複数台の機器間で通信を行うこともできる。よって例えば、BLEを採用した空気調和システムでは、室内機をセントラル機器、リモコンをペリフェラル機器として使用中に、例えば、スマートフォン端末をリモコンとして追加する場合も想定できる。
【0006】
しかし、BLE通信ではその規格によって、システム内のセントラル機器は1台に限定される。また、一般にスマートフォン端末はセントラル機器として設計されておりペリフェラル機器として動作することができない。上記で記載の空気調和システムには、セントラル機器である室内機が既にあるため、当該空気調和システムにはセントラル機器となるスマートフォン端末が追加できないという問題があった。
【0007】
本発明ではこのような問題に鑑み、新たなセントラル機器を追加できる空気調和機及び空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空気調和機は、室内機を有する。前記室内機は、機器との間で近距離無線通信を行う通信部と、前記通信部を、セントラルおよびペリフェラルのいずれかで動作するように設定する設定変更部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空気調和機は、新たなセントラルの機器を追加できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施例の空気調和システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、室内機の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、設定テーブルの一例を示す説明図である。
図4図4は、リモコンの構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、空調補助機器の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、スマートフォン端末の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、空気調和システム内のペアリング登録に関わる処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、空気調和システム内にスマートフォン端末が接続する際の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、空気調和システム内にスマートフォン端末が接続する際の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、空気調和システムからスマートフォン端末の離脱に関わる処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図11図11は、室内機とスマートフォン端末との間の通信断による再接続処理に関わる処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本願の開示する空気調和システムの実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
【実施例
【0012】
図1は、本実施例の空気調和システム1の一例を示す説明図である。図1に示す空気調和システム1は、空気調和機2と、空調補助機器3と、スマートフォン端末4とを有する。空気調和機2は、室内の空気を加熱又は冷却する機器である。空調補助機器3は、空気調和機2と連動して空気調和機2内の室内機21が配置された室内空間の空調を補助する機器である。空調補助機器3は、例えば、加湿器、サーキュレーター及び空気清浄機等である。スマートフォン端末4は、例えば、空気調和機2の利用者が携帯するBLE通信機能を有する端末である。尚、スマートフォン端末4に限定されるものではなく、BLE通信機能を有するタブレット端末や携帯端末等でも良い。
【0013】
空気調和機2は、室内機21と、室外機22と、リモコン23とを有する。室内機21は、例えば、室内に配置され、空調空間である室内の空気を加熱又は冷却する空気調和機2の一部である。室内機21は、例えば、部屋等の空調空間に備えられているものとする。室外機22は、例えば、室外ファンや圧縮機等が備えられている。リモコン23は、BLE通信で室内機21を遠隔操作する操作機器である。空気調和システム1は、BLE通信を用いて、室内機21、リモコン23、空調補助機器3及びスマートフォン端末4と近距離無線通信が可能である。
【0014】
図2は、室内機21の構成の一例を示すブロック図である。図2に示す室内機21は、BLE通信部31と、室外機通信部32と、操作部33と、人検知部34と、室内機本体35と、記憶部36と、制御部37とを有する。BLE通信部31は、他の機器とBLE通信を行うインタフェースである。室外機通信部32は、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)方式で室外機22との間で通信を行うインタフェースである。操作部33は、室内機21に対して各種コマンドを入力するインタフェースである。人検知部34は、室内機21が設置された空調空間での人の存在を検知するセンサである。室内機本体35は、図示しない室内ファンや室内熱交換器などを備え、室内熱交換器で室外機22から供給される冷媒と熱交換を行った室内空気が室内ファンによって吹き出されることで、部屋の暖房、冷房、除湿等が行われる。
【0015】
BLE通信部31は、Bluetoothの標準化団体であるBluetooth SIGが定めた仕様に則り、所定のネゴシエーションを経て他の機器とBLE通信を確立する。所定のネゴシエーションは、例えば、室内機21がセントラルとして動作する場合、スキャン動作を開始し、スキャン動作に応じてアドバタイズを受信する。そして、アドバタイズを受信した場合、アドバタイズに対するスキャン要求を送信し、スキャン要求に対するスキャン応答を受信した場合、接続要求をペリフェラルの機器に送信することで、ペリフェラルの機器とのBLE通信を確立する。
【0016】
また、所定のネゴシエーションは、例えば、室内機21がペリフェラルとして動作する場合、アドバタイズをブロードキャストで送信し、アドバタイズに対するスキャン要求をセントラルの機器から受信する。そして、スキャン要求を受信した後、セントラルの機器に対してスキャン応答を送信し、スキャン応答に対する接続要求をセントラルの機器から受信した場合にセントラルの機器とのBLE通信を確立する。尚、アドバタイズは、ペリフェラルの機器がBLE通信範囲に自装置の存在を報知する信号であって、自装置の機器IDを含む信号である。スキャン要求は、アドバタイズを受信したセントラルの機器がアドバタイズを送信したペリフェラルの機器に対して機器情報を要求する信号であって、ペリフェラルの機器ID及びアドバタイズを送信した機器の機器IDを含む信号である。スキャン応答は、スキャン要求に応答する信号である。接続要求は、例えば、自装置の機器ID、接続相手先の機器の機器IDやデータ通信に使用するパラメータ等を含む信号である。尚、機器IDとはハードウエアと紐付けて割り付けられるユニークな符号を言い、BLE通信での規格では、例えばBluetooth Device Addressなどがそれに当たる。
【0017】
記憶部36は、各種情報を記憶する。記憶部36は、設定テーブル36Aと、自装置メモリ36Bとを有する。設定テーブル36Aは、例えば、室内機21がセントラルとして動作する場合に、ペリフェラルとして動作し室内機21のBLE通信部31と通信を行う他機器の機器IDを記憶するテーブルである。自装置メモリ36Bは、室内機21を識別する機器IDを記憶する。
【0018】
制御部37は、室内機21全体を制御する。制御部37は、設定変更部37Aを有する。制御部37は、例えば、リモコン23、空調補助機器3やスマートフォン端末4等の機器との間でBLE通信を行うBLE通信部31を制御する。
【0019】
設定変更部37Aは、BLE通信部31を、BLE通信のセントラル又はペリフェラルのいずれかで動作するように設定する。室内機21がペリフェラルとして動作する場合に、設定変更部37Aは、BLE通信部31の動作をセントラルからペリフェラルに変更し、セントラルとして動作している他機器を検出する。具体的には、室内機21がペリフェラルとして動作する場合に、設定変更部37Aは、BLE通信部31をペリフェラルに変更し、例えば、BLE通信のアドバタイズをブロードキャストで送信し、アドバタイズに対するスキャン要求に応じて、セントラルとして動作している機器(スマートフォン端末4)を検出する。設定変更部37Aは、アドバタイズに対するスマートフォン端末4からのスキャン要求に応じて、セントラルとして動作しているスマートフォン端末4を検出する。BLE通信部31は、検出したセントラルとして動作しているスマートフォン端末4とBLE通信を確立する。これら一連の動作により、セントラル機器は室内機21からスマートフォン端末4に変更される。
【0020】
設定変更部37Aは、人検知部34が空調空間内の人の存在を検知したときに、BLE通信部31の動作をセントラルからペリフェラルに変更しセントラルとして動作している他機器を検出する。これは空調空間内の人である利用者がセントラルとして動作している機器、すなわちスマートフォン端末4を携帯している場合である。
【0021】
BLE通信部31は、検出したセントラルとして動作している他機器とBLE通信を確立した後、BLE通信部31がセントラルとして動作していたときにBLE通信を確立していた機器に対して、BLE通信の切断信号を送信する。具体的には、BLE通信部31は、検出したセントラルとして動作しているスマートフォン端末4とBLE通信を確立した後、BLE通信部31がセントラルとして動作していたときにBLE通信を確立していたリモコン23や空調補助機器3にBLE通信の切断信号を送信する。BLE通信部31は、BLE通信を確立していた機器に対して、BLE通信の切断信号を送信した後、セントラルとして動作している機器、例えば、スマートフォン端末4を経由して他の機器、例えば、リモコン23や空調補助機器3と通信する。
【0022】
設定変更部37Aは、BLE通信部31がペリフェラルとして動作し、セントラルとして動作している機器とBLE通信を確立した状態から同BLE通信が断となった場合、BLE通信部31の設定を変更してセントラルとして動作させ、ペリフェラルとして動作する機器を検出する。BLE通信部31は、検出したペリフェラルとして動作している機器とBLE通信を確立する。
【0023】
図3は、設定テーブル36Aの一例を示す説明図である。図3に示す設定テーブル36Aは、室内機21のBLE通信部31がセントラルまたはペリフェラルとして動作する他機器を識別する機器IDを記憶するテーブルである。制御部37は、設定テーブル36Aを参照し、BLE通信部31がセントラルとして動作する場合にペリフェラルとして動作する機器IDを認識できる。更に、制御部37は、設定テーブル36Aを参照し、BLE通信部31がペリフェラルとして動作する場合にセントラルとして動作する機器IDを認識できる。
【0024】
図4は、リモコン23の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すリモコン23は、BLE通信部41と、操作部42と、表示部43と、記憶部44と、制御部45とを有する。BLE通信部41は、他の機器とBLE通信を行うインタフェースである。BLE通信部41は、所定のネゴシエーションを経て他の機器とBLE通信を確立する。操作部42は、各種コマンド等を入力する入力インタフェースである。表示部43は、各種情報を表示出力する。記憶部44は、各種情報を記憶する。記憶部44は、通信先メモリ44Aと、自装置メモリ44Bとを有する。通信先メモリ44Aは、BLE通信の通信先であるセントラルとして動作する機器を識別する機器IDを記憶する。自装置メモリ44Bは、自装置であるリモコン23を識別する機器IDを記憶する。制御部45は、リモコン23全体を制御する。
【0025】
図5は、空調補助機器3の構成の一例を示すブロック図である。図5に示す空調補助機器3は、BLE通信部51と、操作部52と、表示部53と、補助機器本体54と、記憶部55と、制御部56とを有する。BLE通信部51は、他の機器とBLE通信を行うインタフェースである。BLE通信部51は、所定のネゴシエーションを経て他の機器とBLE通信を確立する。操作部52は、各種コマンド等を入力する入力インタフェースである。表示部53は、各種情報を表示する。補助機器本体54は、例えば、空調補助機器3が加湿器の場合、加湿器本体に内蔵する図示しない給水タンクに収容される水を加熱して蒸気とし、その蒸気を室内空間に放出することで室内空間を加湿する。加湿器本体は、例えば、図示しない給水タンクやエアフィルタ等を有する。
【0026】
記憶部55は、各種情報を記憶する。記憶部55は、通信先メモリ55Aと、自装置メモリ55Bとを有する。通信先メモリ55Aは、BLE通信の通信先であるセントラルとして動作する機器を識別する機器IDを記憶する。自装置メモリ55Bは、自装置である空調補助機器3を識別する機器IDを記憶する。制御部56は、空調補助機器3全体を制御する。
【0027】
図6は、スマートフォン端末4の構成の一例を示すブロック図である。図6に示すスマートフォン端末4は、BLE通信部61と、無線通信部62と、操作部63と、表示部64と、記憶部65と、制御部66とを有する。BLE通信部61は、他の機器とBLE通信するインタフェースである。BLE通信部61は、所定のネゴシエーションを経て他の機器とBLE通信を確立する。無線通信部62は、例えば、5Gの無線通信を行うインタフェースである。操作部63は、各種コマンドを入力する入力インタフェースである。表示部64は、各種情報を表示する。記憶部65は、設定テーブル65Aと、自装置メモリ65Bとを有する。設定テーブル65Aは、自装置であるスマートフォン端末4のBLE通信部61がセントラルとして動作する場合にペリフェラルとして動作する機器を識別する機器IDを記憶するテーブルである。自装置メモリ65Bは、自装置であるスマートフォン端末4を識別する機器IDを記憶する。制御部66は、スマートフォン端末4全体を制御する。
【0028】
次に本実施例の空気調和システム1の動作について説明する。図7は、空気調和システム1内のペアリング登録に関わる処理動作の一例を示すシーケンス図である。空気調和システム1内のBLE通信範囲内に、室内機21と、リモコン23と、空調補助機器3とが存在する場合を想定する。室内機21のBLE通信部31はセントラル、リモコン23のBLE通信部41はペリフェラル、空調補助機器3のBLE通信部51はペリフェラルとして動作するように設定されている(ステップS11)。
【0029】
リモコン23のBLE通信部41は、操作部42を通じてペアリング開始指示の操作を検出した場合(ステップS12A)、アドバタイズをブロードキャストで送信する(ステップS13)。また、室内機21のBLE通信部31も、操作部33を通じてペアリング開始指示の操作を検出した場合(ステップS12B)、スキャン動作を開始する(ステップS14)。室内機21のBLE通信部31は、スキャン動作に応じて、リモコン23からのアドバタイズを受信した場合、リモコン23との所定のネゴシエーションを経て、リモコン23のBLE通信部41をペリフェラルとしてペアリング登録を完了する(ステップS15)。尚、室内機21は、通信相手先であるリモコン23の機器IDを設定テーブル36Aに登録する。また、リモコン23のBLE通信部41も、アドバタイズに対する室内機21との所定のネゴシエーションを経て室内機21のBLE通信部31をセントラルとしてペアリング登録を完了する(ステップS16)。尚、リモコン23は、通信相手先である室内機21の機器IDを通信先メモリ44Aに登録する。
【0030】
更に、空調補助機器3内のBLE通信部51は、操作部52を通じてペアリング開始指示の操作を検出した場合(ステップS17A)、アドバタイズをブロードキャストで送信する(ステップS18)。また、室内機21内のBLE通信部31も、操作部33を通じてペアリング開始指示の操作を検出した場合(ステップS17B)、スキャン動作を開始する(ステップS19)。BLE通信部31は、スキャン動作に応じて、空調補助機器3からのアドバタイズを受信した場合、空調補助機器3との所定のネゴシエーションを経て、空調補助機器3のBLE通信部51をペリフェラルとしてペアリング登録を完了する(ステップS20)。尚、室内機21は、通信相手先である空調補助機器3の機器IDを設定テーブル36Aに登録する。また、空調補助機器3のBLE通信部51も、アドバタイズに対する室内機21との所定のネゴシエーションを経て室内機21のBLE通信部31をセントラルとしてペアリング登録を完了する(ステップS21)。尚、空調補助機器3は、通信相手先である室内機21の機器IDを通信先メモリ55Aに登録する。その結果、室内機21のBLE通信部31は、リモコン23及び空調補助機器3との間でBLE通信が可能な状態となる(ステップS22)。
【0031】
尚、上記の例は、まず室内機21とリモコン23がペアリングを完了させ、その後、室内機21と空調補助機器3がペアリングを行う手順で記載しているが、この順序は逆であってもよい。その場合、まずステップS17~ステップS21を実行し、続いてステップS11~ステップS16を実行する。
【0032】
図8及び図9は、空気調和システム1内にセントラルとして動作するスマートフォン端末4が接続する際の処理動作の一例を示すシーケンス図である。尚、説明の便宜上、室内機21とリモコン23との間でBLE通信が確立した状態でスマートフォン端末4がBLE通信範囲内に進入した場合を想定する。
【0033】
室内機21は、リモコン23とのBLE通信によるデータ通信中(ステップS31)とする。室内機21内の設定変更部37Aは、人検知部34を通じて空調空間内の人の存在を検出した場合(ステップS32)、BLE通信部31をセントラルからペリフェラルとして動作するように切り替える(ステップS33)。
【0034】
また、スマートフォン端末4は、空調空間のBLE通信範囲内に進入した場合(ステップS34)、BLE通信のスキャン動作を行う(ステップS35)。
【0035】
室内機21のBLE通信部31は、ステップS33にてBLE通信部31をセントラルからペリフェラルとして動作するように切り替えられた場合、アドバタイズをブロードキャストで送信する(ステップS36)。スマートフォン端末4のBLE通信部61は、スキャン動作に応じて室内機21からのアドバタイズを受信した場合、スキャン要求を室内機21に送信する(ステップS37)。
【0036】
室内機21のBLE通信部31は、スマートフォン端末4からのスキャン要求を受信した場合、スキャン応答をスマートフォン端末4に送信する(ステップS38)。更に、スマートフォン端末4のBLE通信部61は、室内機21からのスキャン応答を受信した場合、接続要求を室内機21に送信する(ステップS39)。尚、室内機21は、通信相手先であるスマートフォン端末4の機器IDを設定テーブル36Aに登録し、スマートフォン端末4は、通信相手先である室内機21の機器IDを設定テーブル65Aに登録する。そして、室内機21及びスマートフォン端末4は、室内機21のBLE通信部31をペリフェラル、スマートフォン端末4のBLE通信部61をセントラルとし、BLE通信を確立してデータ通信可能な状態になる(ステップS40)。
【0037】
尚、リモコン23のBLE通信部41は、ステップS33にて室内機21のBLE通信部31がペリフェラルに切り替えられると、室内機21に対してデータを送信したとしても、室内機21からのデータ通信に対する応答を受信できなくなる。その結果、リモコン23のBLE通信部41は、室内機21からのデータ通信に対する応答を受信しなかった場合、データ送信の失敗と判断し、室内機21へのデータ送信をn回(nは例えば5)繰り返す(ステップS41)。リモコン23のBLE通信部41は、室内機21へのデータ送信をn回繰り返しても室内機21からの応答がない場合、通信断と判断する。そこで、リモコン23のBLE通信部41は、室内機21に対してアドバタイズを送信する(ステップS42)。しかしながら、室内機21のBLE通信部31は、ペリフェラルとして動作中であるため、リモコン23からのアドバタイズを受信できない状態にある。
【0038】
室内機21内のBLE通信部31は、スマートフォン端末4とのBLE通信が確立した後(ステップS51)、BLE通信部31がセントラルとして動作していた時のペリフェラルとして動作していた機器であるリモコン23にBLE切断信号を送信する(ステップS52)。リモコン23のBLE通信部41は、BLE切断信号を受信した場合、アドバタイズをブロードキャストで送信する(ステップS53)。
【0039】
スマートフォン端末4内のBLE通信部61は、スキャン動作に応じてリモコン23からのアドバタイズを受信した場合、スキャン要求をリモコン23に送信する(ステップS54)。リモコン23内のBLE通信部41は、スマートフォン端末4からのスキャン要求を受信した場合、スキャン応答をスマートフォン端末4に送信する(ステップS55)。更に、スマートフォン端末4のBLE通信部61は、リモコン23からのスキャン応答を受信した場合、接続要求をリモコン23に送信する(ステップS56)。尚、スマートフォン端末4は、通信相手先であるリモコン23の機器ID及びを設定テーブル65Aに登録し、リモコン23は、通信相手先であるスマートフォン端末4の機器ID及びを通信先メモリ44Aに登録する。その結果、リモコン23及びスマートフォン端末4は、BLE通信を確立してデータ通信可能な状態になる(ステップS57)。そして、スマートフォン端末4内のBLE通信部31は、室内機21及びリモコン23との間でデータ通信が可能な状態になる(ステップS58)。その結果、室内機21のBLE通信部31は、スマートフォン端末4を経由してリモコン23との間のデータ通信も可能なる。
【0040】
図10は、空気調和システム1からスマートフォン端末4の離脱に関わる処理動作の一例を示すシーケンス図である。尚、説明の便宜上、スマートフォン端末4、室内機21及びリモコン23がBLE通信中に、スマートフォン端末4がセントラル、室内機21及びリモコン23がペリフェラルとして動作している状態を想定する。
【0041】
スマートフォン端末4のBLE通信部61が室内機21のBLE通信範囲から離脱した場合(ステップS61)、室内機21のBLE通信部31及びリモコン23のBLE通信部41は、スマートフォン端末4へのデータ送信を実行しても、スマートフォン端末はBLE通信範囲から離脱しているため、スマートフォン端末4からの応答はない。その結果、室内機21のBLE通信部31及びリモコン23のBLE通信部41は、データ送信をn回(nは例えば5)繰り返すことになる(ステップS62)。
【0042】
室内機21のBLE通信部31及びリモコン23のBLE通信部41は、データ送信をn回繰り返しても、スマートフォン端末4からデータ送信に対する応答を受信できなかった場合、スマートフォン端末4とのBLE通信の通信断と判断する。そして、室内機21のBLE通信部31及びリモコン23のBLE通信部41は、スマートフォン端末4に対してn回(nは例えば5)アドバタイズを送信する(ステップS63)。
【0043】
室内機21の設定変更部37Aは、スマートフォン端末4へのアドバタイズの送信をn回繰り返した後、スマートフォン端末4からのスキャン要求を受信しなかった場合、BLE通信部31をペリフェラルからセントラルに切り替える(ステップS64)。また、リモコン23のBLE通信部41も、スマートフォン端末4へのアドバタイズの送信をn回繰り返した後、スマートフォン端末4からのスキャン要求を受信しなかった場合、アドバタイズをブロードキャストで送信する(ステップS65)。室内機21のBLE通信部31は、セントラルに切り替えられることで、スキャン動作を開始することになる。その結果、室内機21のBLE通信部31は、スキャン動作に応じてリモコン23のアドバタイズを受信することで、その後の所定のネゴシエーションを経て、リモコン23とのBLE通信を確立することになる。
【0044】
図11は、室内機21とスマートフォン端末4との間の通信断による再接続処理に関わる処理動作の一例を示すシーケンス図である。尚、説明の便宜上、室内機21とスマートフォン端末4とのBLE通信中に、室内機21のBLE通信部31はペリフェラル、スマートフォン端末4のBLE通信部61はセントラルとして動作しているものとする。
【0045】
スマートフォン端末4のBLE通信部61は、例えば室内機21を制御するためのデータを送信する。ここで、それに対する応答を室内機21のBLE通信部61から受信できなかった場合(ステップS71)、通信失敗と判断しデータ送信をn回(nは例えば5)繰り返す(ステップS72)。尚、データ送信のリトライ回数は、例えば、n回である。そして、室内機21のBLE通信部31及びスマートフォン端末4のBLE通信部61は、n回のデータ送信を夫々繰り返したとしても、データ送信に対する応答が受信できなかった場合、通信断と判断する。
【0046】
そして、室内機21のBLE通信部31は、アドバタイズをブロードキャストで送信するアドバタイズ送信を開始する(ステップS73)。スマートフォン端末4のBLE通信部61は、スキャン動作を開始する(ステップS74)。スマートフォン端末4のBLE通信部61は、スキャン動作に応じて室内機21からのアドバタイズを受信した場合(ステップS73A)、スキャン要求を室内機21に送信する(ステップS75)。
【0047】
室内機21のBLE通信部31は、スマートフォン端末4からのスキャン要求を受信した場合、スキャン応答をスマートフォン端末4に送信する(ステップS76)。スマートフォン端末4のBLE通信部61は、室内機21からのスキャン応答を受信した場合、接続要求を室内機21に送信する(ステップS77)。尚、室内機21は、通信相手先であるスマートフォン端末4の機器IDを設定テーブル36Aに登録し、スマートフォン端末4は、通信相手先である室内機21の機器IDを設定テーブル65Aに登録する。その結果、室内機のBLE通信部31は、スマートフォン端末4からの接続要求を受信した場合、スマートフォン端末4とのBLE通信を確立することになる(ステップS78)。
【0048】
本実施例の室内機21は、BLE通信部31をセントラル又はペリフェラルのいずれかで動作するように設定変更可能にし、BLE通信部31の動作をセントラルからペリフェラルに変更し、セントラルとして動作している機器を検出する。その結果、空気調和システム1内に新たなセントラルとしてスマートフォン端末4を追加できる。
【0049】
室内機21は、人検知部34にて人の存在を検知した場合に、BLE通信部31の動作をセントラルからペリフェラルに変更する。その結果、室内機21の空調空間内にスマートフォン端末4を携帯する利用者が進入した場合に自動的に新たなセントラルとしてスマートフォン端末4を空気調和システム1内に追加させることができる。
【0050】
室内機21は、検出したセントラルとして動作している機器とBLE通信を確立した後、BLE通信部31がセントラルとして動作していたときにBLE通信を確立していた他の機器に対して、当該BLE通信の切断信号を送信する。その結果、室内機21がペリフェラルに変更された場合でも、室内機21をセントラルとして動作していた他の機器に新たなセントラルの機器へのBLE通信確立のネゴシエーションを促すことができる。
【0051】
室内機21は、BLE通信部31が他の機器に対して、BLE通信の切断信号を送信した後、セントラルとして動作している機器を経由して他の機器と通信する。その結果、セントラルとして動作している機器を経由してペリフェラルの機器同士のデータ通信を確保できる。
【0052】
尚、説明の便宜上、近距離無線通信としてBLE通信を例示したが、バージョン3.0以前のブルートゥース(登録商標)にも適用可能である。
【0053】
セントラルの用語はマスタや親機、ペリフェラルの用語はスレーブ又は子機に置き換えても良い。例えば、ペリフェラル及びセントラルをシステム内の機器に割り当てる無線通信や、スレーブ(子機)及びマスタ(親機)をシステム内の機器に割り当てる無線通信にも適用可能である。
【0054】
BLE通信の所定ネゴシエーションとして、セントラルの機器がアドバタイズを受信した場合にスキャン要求をペリフェラルの機器に送信する場合を例示した。しかしながら、セントラルの機器がアドバタイズを受信した場合にスキャン要求及びスキャン応答なしに、接続要求をペリフェラルの機器に送信しても良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 空気調和システム
2 空気調和機
3 空調補助機器
4 スマートフォン端末
21 室内機
23 リモコン
31 BLE通信部
37 制御部
37A 設定変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11