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特許7567577映像コンテンツ評価システム及び映像コンテンツ評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】映像コンテンツ評価システム及び映像コンテンツ評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20241008BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06T7/00 130
G06T7/00 660A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021038970
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022138858
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 耕二
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-022353(JP,A)
【文献】特開2017-123015(JP,A)
【文献】特開2015-007861(JP,A)
【文献】特開2014-167673(JP,A)
【文献】特開2014-170396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0232561(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0104369(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0358594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、この表示手段に表示される映像コンテンツにおける視聴者の視線が向かう目視対象を検出する目視対象検出手段と、前記目視対象と映像コンテンツとに基づいて映像コンテンツの伝達効果を推定する伝達効果推定手段とを有する映像コンテンツ評価システムにおいて、
前記映像コンテンツに含まれる複数の誘目要素に係る誘目性を夫々数値化した誘目度を演算する誘目度演算手段と、
前記誘目要素について伝達効果に係る重要度を予め数値化した意義指標を設定する意義指標設定手段とを有し、
前記目視対象検出手段は、前記表示手段を含む前記表示手段の周囲の背景と前記視聴者を撮像し、この撮像した画像情報に基づいて前記視聴者が注目する前記映像コンテンツの特定部分を検出することにより、この特定部分に対応した誘目要素を前記目視対象として検出し、
前記伝達効果推定手段は、前記目視対象が前記映像コンテンツの特定部分であるとき、前記特定部分に対応した誘目要素の意義指標から、この意義指標と前記目視対象検出手段により撮像された前記背景に応じて設定される係数とを前記誘目度に乗算して補正した誘目度を減算することにより伝達効果を算出することを特徴とする映像コンテンツ評価システム。
【請求項2】
前記係数は、前記背景の照度が低いほど大きく設定される照度補正係数と、前記誘目度演算手段によって前記背景について演算される誘目度が低いほど大きく設定される要素補正係数であることを特徴とする請求項1に記載の映像コンテンツ評価システム。
【請求項3】
前記伝達効果推定手段は、前記表示手段に視線を向けた視聴者の属性に応じて設定される属性補正係数を前記誘目度に乗算することにより、前記誘目度を補正することを特徴とする請求項に記載の映像コンテンツ評価システム。
【請求項4】
前記目視対象検出手段は、前記表示手段側から前記視聴者を撮像する第1視線検出部と、前記視聴者に対して前記第1視線検出部と反対側から前記背景を撮像する第2視線検出部と、前記第1視線検出部と前記第2視線検出部が撮像した画像情報を処理する視線処理部を有し、
前記視線処理部は、前記画像情報に基づいて前記表示手段に視線を向けた視聴者の目とこの視聴者が注視している点とを結ぶ直線を検出して視線方向を演算することを特徴とする請求項1に記載の映像コンテンツ評価システム。
【請求項5】
表示手段を備えた映像コンテンツ評価システムによって、前記表示手段に表示される映像コンテンツにおける視聴者の視線が向かう目視対象と前記映像コンテンツとに基づいて前記映像コンテンツの伝達効果を推定する映像コンテンツ評価方法において、
前記映像コンテンツに含まれる複数の誘目要素に係る誘目性を夫々数値化した誘目度を演算する誘目度演算工程と、
前記誘目要素について伝達効果に係る重要度を予め数値化した意義指標を設定する意義指標設定工程と、
前記表示手段を含む前記表示手段の周囲の背景と前記視聴者を撮像し、この撮像した画像情報に基づいて、前記視聴者が注目する前記映像コンテンツの特定部分を検出することにより、この特定部分に対応した誘目要素を前記目視対象として検出する目視対象検出工程と、
前記目視対象検出工程で検出された目視対象が前記映像コンテンツの特定部分であるとき、前記意義指標設定工程で設定された前記特定部分に対応する誘目要素の意義指標から、この意義指標と前記背景に応じて設定される係数とを前記誘目度演算工程で演算された誘目度に乗算することにより補正した誘目度を減算することにより伝達効果を算出する伝達効果演算工程と、
を有することを特徴とする映像コンテンツ評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像コンテンツにおける視聴者の視線が向かう目視対象の意義指標と誘目度とに基づいて映像コンテンツの伝達効果を推定する映像コンテンツ評価システム及び映像コンテンツ評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、広告の制作者は、購入候補者である視聴者に映像コンテンツの制作意図を伝えるため、先ず、視聴者の注意(視線)を引き付けるように構図やカメラワーク等演出上の工夫を施した映像コンテンツを作成している。一方、映像コンテンツ自体は、視聴者の視線を引き付けるために、誘目性(視覚的顕著性、或いはサリエンシーともいう)が高い構成要素(商品形状、キャッチコピー付宣伝ポップ等)を用いて動画像を構成している。
【0003】
視聴者の視線を検出し、この検出された視線をパラメータとして映像コンテンツに対する視聴者の広告に対する関心度を評価する技術が提案されている。
特許文献1の嗜好調査システムは、広告用映像コンテンツを表示するコンテンツ表示手段と、映像コンテンツを視認する視聴者を撮影する撮影手段と、撮影した映像から映像コンテンツを視認する視聴者の視線を追尾する視線追尾手段と、視聴者が映像コンテンツを視認していた視認時間を測定する視認時間測定手段と、視聴者が映像コンテンツを視認していた視認時間に、映像コンテンツに表示されていた表示内容に関する情報を取得する表示内容情報取得手段と、視認時間に基づき表示内容に対する視聴者の関心度を定量化する関心度定量化手段と、表示内容情報と関心度とを関連付けて記録手段とを備えている。
【0004】
また、特許文献2の広告評価システム、広告評価方法は、ラベリングされた複数の広告を時系列的に表示するデジタルサイネージと、視聴者に相当する歩行者の視線が向かう先を検出する歩行者撮像カメラと、広告効果を評価する集計部とを備え、この集計部は、歩行者の視線と広告における視聴範囲とを照合することにより、歩行者の視聴時間を介して歩行者が視聴している広告の種別を特定し、歩行者の表情を介して視聴対象にしている広告に対する関心度を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-243058号公報
【文献】特開2016-071501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
視聴者の視線が向かっている先(目視対象)は、視聴者の興味や認識の有無、更にはその程度等を反映していることから、視聴者の意思指標として用いられることがある。
特許文献1,2の評価システムでは、目視対象に対する視聴者の注視(視線滞留)時間、或いは視聴時における視聴者の表情に基づいて広告に対する関心度を評価している。
しかし、特許文献1,2のような映像コンテンツの評価システムでは、視線の向き、所謂視聴者の身体的(表面的)な状態のみに基づいて広告に対する関心度を判定しているため、映像コンテンツの制作者が視聴者に訴えたい内容(訴求ポイント等商品情報)に関する真の伝達効果を精度良く評価できない虞がある。
【0007】
通常、人の視覚メカニズムは、目(網膜)から入力される信号の中から重要と思われる情報が判断され、この重要な情報を効率的且つ選択的に獲得するように構成されている。
この視覚メカニズムに対応した視聴者の処理動作は、時系列的に、低次処理(事前処理)として視覚的注視(外発的注意、又はボトムアップ)が行われ、この低次処理に続いて、高次処理として目視対象の物体認識(内発的注意、又はトップダウン)が行われる。
特に、低次処理に相当する視覚的注視は、外発的要因である色、輝度等に依存するものであり、サッカード眼球運動間に生じる視聴者の身体的な静止状態と言える。
【0008】
輝度、色合い、方向等が高い要素、所謂誘目性が高い要素が複数存在する映像コンテンツでは、人間工学上、視聴者の視線は各誘目要素に対して条件反射的に惹き付けられ、低次処理時間が多くなることが懸念される。それ故、注視時間を累積する視聴者関心度評価方法の場合、比較的多くの低次処理時間が累積されることから、視聴者の関心が低い映像コンテンツであるにも関わらず、伝達効果が高く評価される虞がある。
即ち、映像コンテンツに関して、伝達効果を正確に評価することは容易ではない。
【0009】
本発明の目的は、映像コンテンツに関する伝達効果を精度良く評価可能な映像コンテンツ評価システム及び映像コンテンツ評価方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、表示手段と、この表示手段に表示される映像コンテンツにおける視聴者の視線が向かう目視対象を検出する目視対象検出手段と、前記目視対象と映像コンテンツとに基づいて映像コンテンツの伝達効果を推定する伝達効果推定手段とを有する映像コンテンツ評価システムにおいて、前記映像コンテンツに含まれる複数の誘目要素に係る誘目性を夫々数値化した誘目度を演算する誘目度演算手段と、前記誘目要素について伝達効果に係る重要度を予め数値化した意義指標を設定する意義指標設定手段とを有し、前記目視対象検出手段は、前記表示手段を含む前記表示手段の周囲の背景と前記視聴者を撮像し、この撮像した画像情報に基づいて前記視聴者が注目する前記映像コンテンツの特定部分を検出することにより、この特定部分に対応した誘目要素を前記目視対象として検出し、 前記伝達効果推定手段は、前記目視対象が前記映像コンテンツの特定部分であるとき、前記特定部分に対応した誘目要素の意義指標から、この意義指標と前記目視対象検出手段により撮像された前記背景に応じて設定される係数とを前記誘目度に乗算して補正した誘目度を減算することにより伝達効果を算出することを特徴としている。
【0011】
この映像コンテンツ評価システムでは、前記映像コンテンツに含まれる複数の誘目要素に係る誘目性を夫々数値化した誘目度を演算する誘目度演算手段を有するため、目視対象である映像コンテンツに含まれる誘目要素毎に、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性を数値化することができる。
前記誘目要素について伝達効果に係る重要度を予め数値化した意義指標を設定する意義指標設定手段を有するため、目視対象である映像コンテンツに含まれる誘目要素毎に、商品の訴求ポイント等制作者側から視聴者に伝達したい重要度を数値化することができる。
前記伝達効果推定手段は、前記目視対象検出手段が撮像した画像情報に基づいて前記目視対象が前記映像コンテンツの特定部分であるとき、前記特定部分に対応した誘目要素の意義指標から、この意義指標と前記画像情報に含まれる前記背景とに基づいて前記誘目度演算手段によって演算された前記誘目度を補正した誘目度を減算して伝達効果を算出する。従って、視聴者の目視対象である誘目要素の重要度から誘目要素の誘目性を差し引くことにより、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性の影響を最小化することができ、事前処理である視覚的注視を除外して伝達効果を精度良く評価することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記係数は、前記背景の照度が低いほど大きく設定される照度補正係数と、前記誘目度演算手段によって前記背景について演算される誘目度が低いほど大きく設定される要素補正係数であることを特徴としている。この構成によれば、背景の照度が低いほど、また背景の誘目度が低いほど、表示手段の映像コンテンツが相対的に目立つようになるため、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性の影響が大きくなることを反映させることができる。従って、表示手段の周囲の状況に拘らず映像コンテンツに関する伝達効果を精度良く評価することができる。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記伝達効果推定手段は、前記表示手段に視線を向けた視聴者の属性に応じて設定される属性補正係数を前記誘目度に乗算することにより、前記誘目度を補正することを特徴としている。この構成によれば、視聴者の属性に応じて補正した誘目度を用いて映像コンテンツの伝達効果を精度良く評価することができ、視聴者側の属性に基づき精度の良い関心度評価を行うことができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記目視対象検出手段は、前記表示手段側から前記視聴者を撮像する第1視線検出部と、前記視聴者に対して前記第1視線検出部と反対側から前記背景を撮像する第2視線検出部と、前記第1視線検出部と前記第2視線検出部が撮像した画像情報を処理する視線処理部を有し、前記視線処理部は、前記画像情報に基づいて前記表示手段に視線を向けた視聴者の目とこの視聴者が注視している点とを結ぶ直線を検出して視線方向を演算することを特徴としている。この構成によれば、撮像位置が異なる画像情報を使用するので、視聴者の視線方向の演算が容易である。
【0014】
請求項の発明は、表示手段を備えた映像コンテンツ評価システムによって、前記表示手段に表示される映像コンテンツにおける視聴者の視線が向かう目視対象と前記映像コンテンツとに基づいて前記映像コンテンツの伝達効果を推定する映像コンテンツ評価方法において、前記映像コンテンツに含まれる複数の誘目要素に係る誘目性を夫々数値化した誘目度を演算する誘目度演算工程と、前記誘目要素について伝達効果に係る重要度を予め数値化した意義指標を設定する意義指標設定工程と、前記表示手段を含む前記表示手段の周囲の背景と前記視聴者を撮像し、この撮像した画像情報に基づいて、前記視聴者が注目する前記映像コンテンツの特定部分を検出することにより、この特定部分に対応した誘目要素を前記目視対象として検出する目視対象検出工程と、前記目視対象検出工程で検出された目視対象が前記映像コンテンツの特定部分であるとき、前記意義指標設定工程で設定された前記特定部分に対応する誘目要素の意義指標から、この意義指標と前記背景に応じて設定される係数とを前記誘目度演算工程で演算された誘目度に乗算することにより補正した誘目度を減算することにより伝達効果を算出する伝達効果演算工程と、を有することを特徴としている。
【0015】
この映像コンテンツ評価方法では、前記映像コンテンツに含まれる複数の誘目要素に係る誘目性を夫々数値化した誘目度を演算する誘目度演算工程を有するため、目視対象である映像コンテンツに含まれる誘目要素毎に、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性を数値化することができる。前記誘目要素について伝達効果に係る重要度を予め数値化した意義指標を設定する意義指標設定工程を有するため、目視対象である映像コンテンツに含まれる誘目要素毎に、商品の訴求ポイント等制作者側から視聴者に伝達したい重要度を数値化することができる。そして、表示手段を含む表示手段の周囲の背景と視聴者を撮像した画像情報に基づいてこの視聴者の目視対象を検出する目視対象検出工程と、この目視対象が前記映像コンテンツの特定部分であるとき、前記特定部分に対応した誘目要素の意義指標と撮像した背景に応じて設定される係数とによって前記誘目度演算工程で演算された誘目度を補正して減算することにより伝達効果を算出する伝達効果演算工程を有する。従って、視聴者の目視対象である誘目要素の重要度から誘目要素の誘目性を差し引くことにより、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性の影響を最小化することができ、事前処理である視覚的注視を除外して伝達効果を精度良く評価することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の映像コンテンツ評価システム及び映像コンテンツ評価方法によれば、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性の影響を受けることなく、映像コンテンツに関する伝達効果を精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1に係る映像コンテンツ評価システムの全体構成図である。
図2】実施例1に係るデジタルサイネージ付き自動販売機の正面図であって、(a)は、広告が表示されないときの自動販売機及びその周辺図、(b)は、広告序盤が表示された自動販売機及びその周辺図、(c)は、広告中盤が表示された自動販売機の図、(d)は、広告終盤が表示された自動販売機の図を示している。
図3】映像広告コンテンツの誘目要素対応表である。
図4図2の誘目度マップであって、(a)は、図2(a)の誘目度マップ、(b)は、図2(b)の誘目度マップ、(c)は、図2(c)の誘目度マップ、(d)は、図2(d)の誘目度マップを示している。
図5】映像コンテンツ評価処理のステップチャートである。
図6】伝達効果演算工程のフローチャートである。
図7】実施例2に係る政見放送放映中のディスプレイの例を示している。
図8】政見放送に係る映像コンテンツの誘目要素対応表である。
図9図7の誘目度マップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明をデジタルサイネージ装置のディスプレイに表示される映像コンテンツの評価システムに適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1について図1図6に基づいて説明する。
図1に示すように、評価システム1は、広告管理会社2と、自動販売機3と、目視対象検出部4(目視対象検出手段)と、演算部5とを主な構成要素として構成されている。
これらの構成要素2~5は、ネットワーク6によって各々が相互通信可能に接続されている。尚、以下の説明は、映像コンテンツ評価方法の説明を含むものである。
【0020】
広告管理会社2は、クライアントに相当する自動販売機3に対して動画像広告(映像コンテンツ)を所定の周期で定期的に配信している。
この広告管理会社2は、例えば、広告制作者が制作した複数の動画像広告を格納する記憶部21と、広告制御部22とを主な構成要素としたサーバである。
広告制御部22は、自動販売機3からの要求に応じて格納された動画像広告を記憶部21からリアルタイムに抽出し、抽出された動画像広告に所定の加工を施して送信している。
【0021】
記憶部21には、各動画像広告を構成する構成要素の意義指標が各々の動画像広告と一緒に格納されている。意義指標は、動画像広告が制作された時に予め設定されている。
尚、本実施形態において、記憶部21が意義指標設定手段に相当している。
意義指標は、広告制作者が視聴者に理解(意識的に認識)して欲しい商品の属性(訴求ポイント等)を、その重要度(広告制作者が訴求したいレベル)に応じて0から1の間に設定された数値で表される。
【0022】
図3に示すように、例えば、広告制作者が商品の商品名13を最も視聴者に認識してもらいたい場合には、商品名13が記載された帯状の構成要素の意義指標に1.0が割り振られる。商品名13の次に商品形状12を認識してもらいたい場合、商品形状12を表示する構成要素の意義指標に、例えば、1よりも小さい0.8が設定され、最も重要度が低い構成要素である商品拡大図11に至るまで全構成要素について意義指標が予め設定されている。
【0023】
次に、自動販売機3について説明する。
図1図2に示すように、自動販売機3は、動画像広告を視聴者に表示するディスプレイ(表示手段)31と、動画像広告の種類及び表示周期を任意に設定可能な制御部32を備えている。ディスプレイ31は、液晶ディスプレイパネル或いはプラズマディスプレイパネル等である。この自動販売機3には、ディスプレイ31の右側上部近傍位置に第1視線検出部41が配設されている。
【0024】
図2(a)は、広告が表示されていないときの自動販売機3及びその背景周辺を示している。例として、清涼飲料水の動画像広告を説明する。この動画像広告は、主に5つの構成要素、所謂視聴者の視線を惹き付ける誘目要素11~15によって構成されている。
ディスプレイ31に動画像広告の上映が開始された際、図2(b)の広告序盤では、コップに注がれた商品をアップした商品拡大図11が表示され、図2(c)の広告中盤では、容器全体を表す商品形状12、商品名13、及びキャッチコピーを表す第1宣伝ポップ14が表示され、図2(d)の広告終盤では、商品の価格を表す第2宣伝ポップ15が表示される。
【0025】
次に、目視対象検出部4について説明する。
目視対象検出部4は、自動販売機3の周囲を往来する視聴者であって、特にディスプレイ31を視認可能な視聴者を継続的に抽出すると共にこのディスプレイ31を視認可能な視聴者を夫々撮像している。この目視対象検出部4は、ディスプレイ31側から視聴者各々を撮像可能な第1視線検出部41と、各視聴者をディスプレイ31側に向けて撮像可能な第2視線検出部42と、これら第1,第2視線検出部41,42にて撮像した画像情報を画像処理する視線処理部43等を備えている。
【0026】
第1視線検出部41は、ディスプレイ31に視線を向けた視聴者を撮像するため、ディスプレイ31の近傍に位置するように自動販売機3に一体的に設置され、常時、視聴者の目を含む顔領域を撮像している。第2視線検出部42は、ディスプレイ31を視認する視聴者から視た自動販売機3(ディスプレイ31)の周囲(周辺背景)を撮像するため、ディスプレイ31の前側に位置する街路に設置された路側機(図示略)等に装着され、常時、視聴者及び自動販売機3を撮像している。第1,第2視線検出部41,42は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0027】
視線処理部43は、第1,第2視線検出部41,42にて撮像した視聴者の画像を画像処理し、視聴者の顔や目の画像に基づいてディスプレイ31に視線を向けた視聴者と自動販売機3の背景を時系列に検出している。視聴者の視線方向は、視聴者の顔の向きと黒目(瞳孔)部分の方向との組み合わせを基に計算されている。具体的には、第1,第2視線検出部41,42による画像情報から視聴者の目と視聴者が注視している点とを結ぶ直線を検出して視線方向を演算する。この視線方向がディスプレイ31に一致した点(部分)が動画像広告の特定部分であり、この特定部分にその時刻に表示されている誘目要素が視聴者の目視対象である。また、特定部分が検出されたときの自動販売機3の背景についても特定部分と合わせて撮像されている。この自動販売機3の背景と特定部分とを合わせた領域が、評価対象である視聴者の視野領域に相当している。
【0028】
次に、演算部5について説明する。
演算部5は、視聴者の視線が向かう目視対象とディスプレイ31内に映された動画像広告とに基づいて、この動画像広告の伝達効果を推定するように構成されている。
図1に示すように、演算部5は、誘目度演算部51(誘目度演算手段)と、伝達効果演算部52(伝達効果推定手段)とを主な構成要素としている。
【0029】
誘目度演算部51は、動画像広告の誘目度マップを時系列的に作成している。
誘目度マップは、ディスプレイ31内に表示された動画像広告の映像コンテンツについて、表示された入力画像から基礎特徴画像を抽出し、これらの基礎特徴画像から特徴に依存しない視覚刺激の誘目度をスカラー量として計算し、二次元マップとして表現されたものである。図4に示すように、誘目度マップは、誘目度が高い程明るく(濃い網掛け)、誘目度が低い程暗く(淡い網掛け、或いは網掛け省略)表されている。誘目度マップの作成方法は、公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0030】
この誘目度演算部51は、作成された誘目度マップ(明度)に基づき動画像広告を構成する構成要素毎の誘目度(図3参照)を演算可能に構成されている。
誘目度は、動画像広告に設定された0から1までの意義指数に対応するように、0から1の間にノーマライズ(正規化)された数値である。例えば、誘目度が最も高い部位を1として、その他の部位の誘目度を夫々演算している。
また、この誘目度演算部51は、視聴者の視野に相当するディスプレイ31を含む自動販売機3の背景についても誘目度マップを作成し、上記と同様に背景構造物毎の誘目度を演算している。更に、誘目度演算部51は自動販売機3の周辺の照度を検出している。
【0031】
伝達効果演算部52は、視聴者の目視対象がディスプレイ31に表示された動画像広告の特定部分であるとき、この特定部分に対応した誘目要素の意義指標と誘目度とに基づいて伝達効果を演算している。この伝達効果演算部52は、演算された誘目要素の誘目度を自動販売機3(ディスプレイ31)の周辺背景(照度、背景要素)に基づき補正する。
そして、特定部分に対応した誘目要素の意義指標と補正された誘目要素の誘目度に基づいて動画像広告の伝達効果を演算する。
【0032】
ディスプレイ31に動画像広告が表示されたときの伝達効果をE、各構成要素の意義指標をR(0<R≦1)、各構成要素の誘目度をF(0<F≦1)、照度補正係数k1(0<k1≦1)、要素補正係数k2(0<k2<1)としたとき、伝達効果Eは、次式によって表すことができる。
E=R×(1-k1×k2×F) …(1)
【0033】
伝達効果Eは、意義指標Rから誘目度Fを差分することにより、事前処理である視覚的注視を除外する。意義指標Rは0から1までの値であり、誘目度Fも0から1までの値であるため、単に差分を行った場合、演算式が成立しない状況が生じる。例えば、補正係数k1,k2を1としたとき、視聴者が、商品拡大図11に視線を向けた場合、誘目度F(0.3)が商品拡大図11の意義指標R(0.1)よりも大きい。
そこで、式(1)では、誘目度Fを意義指標Rのスケールに合わせるように、意義指標Rを正規化補正係数として誘目度Fに乗算することにより誘目度Fを正規化している。
【0034】
また、視聴者は、周囲の照度が低い程、目視対象である誘目要素11~15に惹き付けられる。例えば、昼間、第1宣伝ポップ14に惹き付けられなかった視聴者であっても、晩、照度が低下して第1宣伝ポップ14が相対的に目立つ状況では、第1宣伝ポップ14に視聴者の視線が惹き付けられる。従って、照度が低い程、相対的に目視対象の誘目性が増加するため、大きい照度補正係数k1が設定されている。この照度補正係数k1は、例えば、深夜が1、晴天の正午が0.1、夕方が0.5等である。
【0035】
視聴者は、ディスプレイ31(自動販売機3)の背景要素(建物、構造物等)の誘目度が低い程、目視対象である誘目要素11~15に惹き付けられる。例えば、背景の構造物がライトアップされている状況において第1宣伝ポップ14に惹き付けられなかった視聴者であっても、背景の構造物がライトアップされていない状況では、第1宣伝ポップ14に視聴者の視線が惹き付けられる。従って、背景要素の誘目度が低い程、相対的に目視対象の誘目性が増加するため、大きい要素補正係数k2が設定されている。
【0036】
所定の動画像広告を評価する際、動画像広告の上映時間の間、時系列に従って伝達効果Eを積分することで動画像広告の視聴者に対する伝達効果を算出している。
これにより、時間経過と共に映像が変化する動画像広告において、目視対象の誘目性の影響、換言すれば低次処理時間の影響を排除することができ、条件反射的に生じる視線の誘導を除外して正確な伝達効果を推定している。しかも、目視対象の誘目性が一定であっても、照度などの外部要因によって相対的に影響度合いが変化するが、補正係数k1,k2により外部要因に拘らず精度の良い伝達効果を演算している。
【0037】
図5のステップチャートに基づき、映像コンテンツ評価処理手順の一例について説明する。尚、図中、Si(i=1,2,…)は、各ステップを示す。
【0038】
先ず、S1の意義指標設定工程にて、誘目要素11~15について、伝達効果Eに係る重要度を予め数値化した意義指標Rを設定する。前述したように、意義指標Rは、動画像広告の制作時、広告制作者が視聴者に認識して欲しい商品属性の重要度に応じて各誘目要素に0から1の間の数値を予め設定する(図3参照)。
【0039】
S2の目視対象検出工程では、第1,第2視線検出部41,42による画像情報に基づき、所定の視聴者が注視する動画像広告の特定部分を検出し、この特定部分に表示された(特定部分に対応した)誘目要素を目視対象として検出する。
S3の誘目度演算工程では、図4に示す動画像広告の誘目度マップに基づき動画像広告を構成する誘目要素毎の誘目度F(図3参照)を演算する。
S4の伝達効果演算工程では、特定部分に対応した誘目要素の意義指標Rと誘目度Fに基づき伝達効果Eを演算し、動画像広告の視聴者に対する伝達効果を算出して終了する。
【0040】
図6のフローチャートに基づき、伝達効果演算工程(S4)の一例について説明する。尚、図中、Si(i=41,42,…)は、各ステップを示す。
【0041】
S4の伝達効果演算工程において、まず、各種情報を読み込む(S41)。
次に、S42では、視聴者の視線がディスプレイ31上において上映されている動画像広告に向いているか否か判定する。
【0042】
S42の判定の結果、視聴者の視線がディスプレイ31上において上映されている動画像広告に向いている場合、同時刻における伝達効果Eを式(1)を用いて演算し(S43)、S45に移行する。誘目度Fは、ディスプレイ31の周辺背景(照度、背景要素の誘目性)によって、視聴者の認識が変化するため、式(1)において、照度補正係数k1及び要素補正係数k2を誘目度Fに乗算して補正している。そして、補正された誘目度Fを意義指標Rと乗算して正規化し、この正規化した誘目度Fを意義指標Rから差分する。
【0043】
S42の判定の結果、視聴者の視線がディスプレイ31上において上映されている動画像広告に向いていない場合、伝達効果Eを零に設定し(S44)、S45に移行する。
S45では、動画像広告の上映時間(表示開始から終了)に亙って、各時刻の伝達効果Eを積分して動画像広告の視聴者に対する伝達効果を求めている。
【0044】
S46では、動画像広告が終了したか否か判定する。
S46の判定の結果、動画像広告が終了した場合、動画像広告の視聴者に対する伝達効果を所定の記憶部に蓄積して(S47)、終了する。
S46の判定の結果、動画像広告が終了していない場合、S42へリターンする。
尚、この動画像広告の伝達効果は、特定の視聴者に対する伝達効果であるため、複数の視聴者について伝達効果を求めることで、属性の異なる視聴者に対する伝達効果を夫々演算することが可能である。
【0045】
次に、上記映像コンテンツ評価システム1の作用、効果について説明する。
この映像コンテンツ評価システム1では、動画像広告(映像コンテンツ)に含まれる複数の誘目要素11~15に係る誘目性を夫々数値化した誘目度Fを演算する誘目度演算部51を有するため、目視対象である動画像広告に含まれる誘目要素11~15毎に、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性を数値化することができる。
誘目要素11~15について伝達効果Eに係る重要度を予め数値化した意義指標Rを設定する記憶部21を有するため、目視対象である動画像広告に含まれる誘目要素11~15毎に、商品の訴求ポイント等制作者側から視聴者に伝達したい重要度を数値化することができる。
伝達効果演算部52は、目視対象検出部4が撮像した画像情報に基づき目視対象が動画像広告の特定部分であるとき、特定部分に対応した誘目要素11~15の意義指標Rから、この意義指標Rと撮像した画像情報に含まれるディスプレイ31の周囲の背景に応じて設定される係数とを誘目度演算部51によって演算された誘目度Fに乗算して補正した誘目度を減算して、伝達効果Eを算出する。従って、視聴者の目視対象である誘目要素11~15の重要度から誘目要素11~15の誘目性を差し引くことにより、視聴者の視線を条件反射的に惹き付ける誘目性の影響を最小化することができ、事前処理である視覚的注視を除外して伝達効果Eを精度良く評価することができる。
【0046】
背景に応じて設定される係数は、背景の照度が低いほど大きく設定される照度補正係数k1と、誘目度演算部51によって背景について演算される誘目度が低いほど大きく設定される要素補正係数k2であるため、動画像広告を表示するディスプレイ31の周囲の背景(照度、背景要素の誘目性)の状況に拘らず視聴者に対する伝達効果Eを精度良く評価することができる。また、伝達効果演算部52は、ディスプレイ31に視線を向けた視聴者の属性に応じて設定される属性補正係数k3を誘目度Fに乗算することにより、この誘目度Fを補正するので、ディスプレイ31に表示する動画像広告について視聴者側の属性に基づき伝達効果Eを精度良く評価することができる。
映像コンテンツが商品に関する広告映像であり、誘目要素11~15は、少なくとも、商品形状、商品名称、及びキャッチコピーを含むため、映像広告コンテンツに関する伝達効果Eを精度良く評価することができる。
【0047】
目視対象検出部4は、ディスプレイ31側から視聴者を撮像する第1視線検出部41と、視聴者に対して第1視線検出部41と反対側からディスプレイ31の周囲の背景を撮像する第2視線検出部42と、第1視線検出部41と第2視線検出部42が撮像した画像情報を処理する視線処理部43を有する。この視線処理部43は、撮像された画像情報に基づいてディスプレイ31に視線を向けた視聴者の目とこの視聴者が注視している点とを結ぶ直線を検出して視線方向を演算する。撮像位置が異なる第1視線検出部41と第2視線検出部42の画像情報を使用するので、視聴者の視線方向の演算が容易である。
【実施例2】
【0048】
次に、実施例2に係る映像コンテンツ評価システム1Aについて図7図9に基づいて説明する。実施例1では、自動販売機3のディスプレイ31に上映された映像広告コンテンツの伝達効果を評価する評価システム1であったのに対し、実施例2では、街頭ビジョンのディスプレイ33に上映された政見放送に係る映像コンテンツの伝達効果を評価する評価システム1Aである。尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
【0049】
管理会社(図示略)は、街頭ビジョン7にて、往来する不特定多数の歩行者である視聴者に政見放送に係る映像コンテンツを提供している。街頭ビジョン7は、人通りの多い公共の場(駅周辺や繁華街等)に配設された建築物であり、管理会社から動画像が継続的に配信される。図7に示すように、街頭ビジョン7は、映像コンテンツを表示可能なディスプレイ33を備え、このディスプレイ33上に政見放送に係る映像コンテンツが所定のプログラムに従って上映されている。
【0050】
本実施形態の政見放送に係る映像コンテンツにおいて、ディスプレイ33の誘目要素は、政党名16、モニタに表示された公約17、この公約17と横並びに表示された候補者の姿(顔)18、この候補者の姿18の下に表示された候補者名19等が主な構成である。
図8に示すように、例えば、番組(映像コンテンツ)制作者は視聴者に候補者の姿18を最も認識してもらいたいため、姿18の意義指標Rに1.0が割り振られる。意義指標Rは、姿18から、例えば、候補者名19、公約17、政党名16の順に小さくなるように設定されている。政見放送の観点から、意義指標Rは、選挙に対する重要性に基づき0から1の間に設定される。
【0051】
図9に示すように、政見放送の誘目度マップは、誘目度が高い程明るく、誘目度が低い程暗く表されている。誘目度演算部51は、作成された誘目度マップに基づき映像コンテンツを構成する構成要素毎の誘目度Fを演算している(図8参照)。
誘目度Fは、映像コンテンツに設定された0から1までの意義指数Rに対応するように、0から1の間にノーマライズされた数値である。
【0052】
視聴者の視線がディスプレイ33上において上映されている政見放送に係る映像コンテンツに向いている場合、各時刻における伝達効果Eを式(1)を用いて演算する。ディスプレイ33の周辺背景(照度、背景要素の誘目性)によって、視聴者の認識が変化するため、式(1)において、補正係数k1,k2を誘目度Fに乗算して補正し、意義指標Rを誘目度Fに乗算して正規化している。最終的に、政見放送の上映時間に亙って、各時刻の伝達効果Eを積分して視聴者に対する伝達効果を求める。尚、意義指標R、誘目度Fは、実施例1と同様の方法で求めている。
【実施例3】
【0053】
次に、実施例3に係る映像コンテンツ評価システムについて説明する。実施例1,2では、動画像広告側要因(照度、背景要素の誘目度)に基づき関心度を補正していたのに対し、実施例3では、視聴者側の属性に基づき関心度を補正している。この視聴者の属性を考慮して関心度評価を行う場合、式(2)によって演算する。
E=R×(1-k1×k2×k3×F) …(2)
尚、k3は、属性補正係数である。
【0054】
化粧品の動画像広告の関心度評価の場合、基本的に、女性の関心が高く、男性の関心が低いため、興味のある女性には誘目性の影響が出難い一方、興味のない男性には誘目性の影響が出易い。それ故、視聴者が女性の場合の属性補正係数k3は、視聴者が男性の場合の属性補正係数k3よりも小さい値に設定している。
以上のように、広告対象商品のターゲット層に基づき視聴者の属性を老若男女により分類し、ターゲット層とそれ以外に分けて補正係数k3を設定しても良い。
これにより、視聴者側の属性に基づき精度の良い関心度評価を行うことができる。
【0055】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、商品の動画像広告や政見放送の例を説明したが、制作サイドが視聴者に理解して欲しい重要度が異なる複数の構成要素で構成された映像コンテンツであれば何れの映像コンテンツでも良く、バラエティや討論会等幅広い映像コンテンツの伝達効果評価に対して適用することができる。
【0056】
2〕前記実施形態においては、意義指標、誘目度、周辺背景補正係数からなる式(1)を用いて伝達効果Eを演算する例を説明したが、演算の簡略化を狙いとして、意義指標R、誘目度Fからなる式(3)によって伝達効果Eを演算しても良い。
E=R-F …(3)
このとき、伝達効果Eは、0よりも大きいという条件を設定する。
また、ディスプレイ31に動画像広告が表示されたときの伝達効果をE(0<E)、各構成要素の意義指標をR(0<R≦1)、各構成要素の誘目度をF(0<F≦1)、照度補正係数k1(0<k1≦1)、要素補正係数k2(0<k2<1)としたとき、伝達効果Eは、次式を用いて演算しても良い。
E=R-k1×k2×F …(4)
【0057】
3〕前記実施形態においては、自動販売機或いは街頭ビジョンのディスプレイに表示された映像コンテンツの例を説明したが、駅ビルの柱に装備されたデジタルサイネージのディスプレイ、電車の扉上部のディスプレイ、或いは家庭用テレビに表示された映像コンテンツの伝達効果を評価することができる。
【0058】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0059】
1,1A 映像コンテンツ評価システム
4 目視対象検出部
11~19 誘目要素
21 記憶部(意義指標設定手段)
31,33 ディスプレイ
51 誘目度演算部
52 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9