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特許7567578アンダーコート剤、コーティング剤キット、硬化物及び積層物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】アンダーコート剤、コーティング剤キット、硬化物及び積層物
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20241008BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20241008BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20241008BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241008BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20241008BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C09D133/00
C09D5/00 D
C09D7/65
B32B27/30 A
B32B27/18 Z
B32B27/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021039918
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139500
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斧 拓冶
(72)【発明者】
【氏名】田中 諒
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁宣
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩壽
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074888(JP,A)
【文献】特開2016-104853(JP,A)
【文献】特開2021-024177(JP,A)
【文献】特開2020-041123(JP,A)
【文献】特開2013-108009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00 - 10/00
C09D 101/00 - 201/10
B32B 1/00 - 43/00
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーポリ(メタ)アクリレートを含み、
前記ポリマーポリ(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリル当量を質量比で加重平均した値が365~850g/eqである、アンダーコート剤。
【請求項2】
シリコーン添加剤及び/又はフッ素添加剤を含む、請求項1に記載のアンダーコート剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンダーコート剤及び
架橋剤を含むトップコート剤を含む、コーティング剤キット。
【請求項4】
請求項1若しくは2に記載のアンダーコート剤又は請求項3に記載のコーティング剤キットの硬化物。
【請求項5】
請求項4に記載の硬化物を含む、積層物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダーコート剤、コーティング剤キット、硬化物及び積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムの製造方法として、基材表面にアンダーコート剤を塗布し、アンダーコート層を設ける方法が公知である。そして、基材の種類に応じて、各種のアンダーコート剤が開発されている。
【0003】
特許文献1(特開2011-195835号公報)は、ポリアジリジン化合物を含むアンダーコート剤を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-195835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したアンダーコート剤は、無機薄膜と基材との間に設けるアンダーコート層を製造するためのものである。近年、活性エネルギー線硬化性樹脂と基材との間に設けるアンダーコート層を製造するためのアンダーコート剤が求められている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐溶剤性、加熱した後の伸度が良好である硬化物を製造でき、かつ、積層物を製造した際に、その積層物の外観が良好となるアンダーコート剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の成分により、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
ポリマーポリ(メタ)アクリレートを含み、
前記ポリマーポリ(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリル当量を質量比で加重平均した値が365~850g/eqである、アンダーコート剤。
(項目2)
シリコーン添加剤及び/又はフッ素添加剤を含む、上記項目に記載のアンダーコート剤。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のアンダーコート剤及び
架橋剤を含むトップコート剤を含む、コーティング剤キット。
(項目4)
上記項目のいずれか1項に記載のアンダーコート剤又は上記項目に記載のコーティング剤キットの硬化物。
(項目5)
上記項目に記載の硬化物を含む、積層物。
【0009】
本開示において、上述した1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るアンダーコート剤を用いることにより、耐溶剤性、加熱した後の伸度が良好である硬化物を製造できる。また、本開示に係るアンダーコート剤を用いることにより、外観が良好な積層物を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA4、A3、A2、A1(A4>A3>A2>A1とする)等が例示される場合、数値αの範囲は、A4以下、A3以下、A2以下、A1以上、A2以上、A3以上、A1~A2、A1~A3、A1~A4、A2~A3、A2~A4、A3~A4等が例示される。
【0012】
[アンダーコート剤]
本開示は、ポリマーポリ(メタ)アクリレートを含み、
前記ポリマーポリ(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル当量の加重平均が365~850g/eqである、アンダーコート剤を提供する。
【0013】
<ポリマーポリ(メタ)アクリレート>
ポリマーポリ(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0014】
本開示において、「ポリマーポリ(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリマーを意味する。
【0015】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0016】
ポリマーポリ(メタ)アクリレートは、公知の手法を用いて製造され得る。ポリマーポリ(メタ)アクリレートの製造方法は、エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーと(メタ)アクリル酸とを反応させる方法等が例示される。
【0017】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートは、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0018】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100モル%に占めるエポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、7モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、7~100モル%が好ましい。
【0019】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100質量%に占めるエポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、62、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、10~100質量%が好ましい。
【0020】
1つの実施形態において、エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーは、水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む。
【0021】
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、
【化1】
(式中、Ra1は水素原子、又はメチル基であり、Ra2はアルキル基である。)
で表わされる。水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0022】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
【0023】
直鎖アルキル基は、-C2n+1(nは1以上の整数)の一般式で表される。直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が例示される。
【0024】
分岐アルキル基は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキル基は、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が例示される。
【0025】
シクロアルキル基は、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が例示される。
【0026】
本開示において、単環は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環は、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環は、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0027】
単環シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が例示される。
【0028】
架橋環シクロアルキル基は、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が例示される。
【0029】
縮合環シクロアルキル基は、ビシクロデシル基等が例示される。
【0030】
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、水酸基非含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基非含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基非含有シクロアルキル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0031】
水酸基非含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸n-イコシル、(メタ)アクリル酸n-ドコシル等が例示される。
【0032】
水酸基非含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が例示される。
【0033】
水酸基非含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が例示される。
【0034】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100モル%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、93、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~93モル%が好ましい。
【0035】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100質量%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、38、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~90質量%が好ましい。
【0036】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーは、公知のラジカル重合法を用いて製造され得る。
【0037】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位100モル%に対し反応させるα,β-不飽和カルボン酸の量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記量は、10~100モル%が好ましい。
【0038】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位100質量%に対し反応させるα,β-不飽和カルボン酸の量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記量は、5~50質量%が好ましい。
【0039】
<ポリマーポリ(メタ)アクリレートの物性等>
ポリマーポリ(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリル当量を質量比で加重平均した値(加重平均値ともいう)の上限及び下限は、850、840、831、830、825、810、802、800、775、764、750、725、700、690、687、656、650、649、643、640、629、625、620、615、600、591、575、562、550、533、525、500、475、450、425、400、375、365g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記値は、365~850g/eqが好ましく、530~840g/eqがより好ましい。
【0040】
本開示において、(メタ)アクリル当量は、(メタ)アクリロイル基1モルあたりの質量(g/eq)を意味する。例えば、モノマー組成が分かっている場合、下記式により算出される。
(メタ)アクリル当量=全モノマーの質量/ポリマーに含まれる(メタ)アクリロイル基の物質量
また、モノマー組成が分からない場合であっても、(メタ)アクリル当量は、赤外分光法やラマン分光法により、(メタ)アクリル当量が分かっている物質の検量線との比較から求められる。
【0041】
(加重平均値の算出方法)
下記のようにアンダーコート剤にポリマーポリ(メタ)アクリレートを2種含むとする。
(メタ)アクリル当量Ag/eqのポリマーポリ(メタ)アクリレート:α質量%
(メタ)アクリル当量Bg/eqのポリマーポリ(メタ)アクリレート:β質量%
この場合、ポリマーポリ(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリル当量を質量比で加重平均した値は、下記式により算出される。
加重平均値=A×(α/100)+B×(β/100)+・・・
【0042】
ポリマーポリ(メタ)アクリレートの水酸基価の上限及び下限は、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、上記水酸基価は、70~150mgKOH/gが好ましい。
【0043】
本開示において、水酸基価は、例えば、JIS K1557-1に準拠する方法により測定される。
【0044】
ポリマーポリ(メタ)アクリレートの水酸基当量の上限及び下限は、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、365g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記水酸基当量は365~850g/eqが好ましい。
【0045】
本開示において、水酸基当量とは、水酸基1モルあたりの質量の計算値(g/eq)を意味する。
【0046】
アンダーコート剤固形分中のポリマーポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、80~100質量%が好ましい。
【0047】
<シリコーン添加剤>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤はシリコーン添加剤を含み得る。シリコーン添加剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0048】
シリコーン添加剤は、有機変性シリコーン等が例示される。
【0049】
本開示において、「有機変性シリコーン」は、シリコーンに有機基を導入したものをいう。有機変性シリコーンは、側鎖型有機変性シリコーン、両末端型有機変性シリコーン、片末端型有機変性シリコーン、側鎖両末端型有機変性シリコーン等が例示される。
【0050】
有機変性シリコーンは、水酸基含有有機変性シリコーン、アミノ基含有有機変性シリコーン、エポキシ基含有有機変性シリコーン、メルカプト基含有有機変性シリコーン、カルボキシル基含有有機変性シリコーン等が例示される。
【0051】
水酸基含有有機変性シリコーンは、水酸基含有アクリル樹脂変性シリコーン、水酸基含有ポリエステル樹脂変性シリコーン、水酸基含有ポリエーテル樹脂変性シリコーン、水酸基含有カルビノール樹脂変性シリコーン等が例示される。
【0052】
水酸基含有アクリル樹脂変性シリコーンの市販品は、ZX-028-G((株)T&K TOKA製)、BYK-3700(ビックケミー・ジャパン(株)製)、サイマックUS-270(東亞合成(株)製)等が例示される。
【0053】
水酸基含有ポリエステル樹脂変性シリコーン又は水酸基含有ポリエーテル樹脂変性シリコーンの市販品は、BYK-370、BYK-375、BYK-377、BYK-SILCLEAN3720(ビックケミー・ジャパン(株)製)、X-22-4952、KF-6123(信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0054】
水酸基含有カルビノール樹脂変性シリコーンの市販品は、X-22-4039、X-22-4015、X-22-4952、X-22-4272、X-22-170BX、X-22-170DX、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003、KF-6123、X-22-176F(信越化学工業(株)製)、サイラプレーンFM-4411、サイラプレーンFM-4421、サイラプレーンFM-4425、サイラプレーンFM-0411、サイラプレーンFM-0421、サイラプレーンFM-DA11、サイラプレーンFM-DA21、サイラプレーンFM-DA26(JNC(株)製)等が例示される。
【0055】
アミノ基含有有機変性シリコーンの市販品は、KF-868、KF-865、KF-864、KF-859、KF-393、KF-860、KF-880、KF-8004、KF-8002、KF-8005、KF-867、KF-8021、KF-869、KF-861、KF-877、KF-889、X-22-3939A(信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0056】
エポキシ基含有有機変性シリコーンの市販品は、X-22-343、KF-101、KF-1001、X-22-2000、X-22-2046、KF-102、X-22-4741、KF-1002、KF-1005(信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0057】
メルカプト基含有有機変性シリコーンの市販品は、KF-2001、KF-2004(信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0058】
カルボキシル基含有有機変性シリコーンの市販品は、X-22-3701E(信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0059】
有機変性シリコーンの水酸基価(固形分換算)の上限及び下限は、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、0mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、上記水酸基価は0~100mgKOH/gが好ましい。
【0060】
アンダーコート剤固形分中の有機変性シリコーンの含有量の上限及び下限は、1、0.9、0.7、0.5、0.3、0.2、0.1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~1質量%が好ましい。
【0061】
<フッ素添加剤>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤はフッ素添加剤を含み得る。フッ素添加剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0062】
フッ素添加剤は、フッ素系界面活性剤等が例示される。
【0063】
フッ素系界面活性剤は、アニオン性フッ素系界面活性剤、カチオン性フッ素系界面活性剤、両性フッ素系界面活性剤、ノニオン系フッ素系界面活性剤が例示される。
【0064】
アニオン性フッ素系界面活性剤は、スルホン酸Na塩含有フッ素系界面活性剤、スルホン酸Na塩及びカルボン酸Na塩含有フッ素系界面活性剤等が例示される。
【0065】
カチオン性フッ素系界面活性剤は、4級アンモニウム塩含有フッ素系界面活性剤等が例示される。
【0066】
両性フッ素系界面活性剤は、ベタイン含有フッ素系界面活性剤等が例示される。
【0067】
ノニオン系フッ素系界面活性剤は、ポリオキシエチレンエーテル含有フッ素系界面活性剤、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、含フッ素基・親水性基・親油性基UV反応性基含有オリゴマー等が例示される。
【0068】
フッ素系界面活性剤の市販品は、スルホン酸Na塩含有フッ素系界面活性剤(製品名「フタージェント100」「フタージェント100C」「フタージェント110」、(株)ネオス製)、スルホン酸Na塩及びカルボン酸Na塩含有フッ素系界面活性剤(製品名「フタージェント150」「フタージェント150CH」、(株)ネオス製)、4級アンモニウム塩含有フッ素系界面活性剤(製品名「フタージェント300」「フタージェント310」「フタージェント320」、(株)ネオス製)、ベタイン含有フッ素系界面活性剤(製品名「フタージェント400SW」、(株)ネオス製)、ポリオキシエチレンエーテル含有フッ素系界面活性剤(製品名「フタージェント251」「フタージェント208M」「フタージェント212M」「フタージェント215M」「フタージェント250」「フタージェント209F」「フタージェント222F」「フタージェント245F」「フタージェント208G」「フタージェント218GL」「フタージェント240G」「フタージェント212P」「フタージェント220P」「フタージェント228P」「フタージェントFTX-218」「フタージェントDFX-18」、(株)ネオス製)、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー(製品名「フタージェント710FL」「フタージェント710FM」「フタージェント710FS」「フタージェント730FL」「フタージェント730LM」「フタージェント610FM」「フタージェント683」、(株)ネオス製)、含フッ素基・親水性基・親油性基UV反応性基含有オリゴマー(製品名「フタージェント601AD」「フタージェント601ADH2」「フタージェント602A」「フタージェント650AC」「フタージェント681」、(株)ネオス製)、ポリアクリレート系レベリング剤(製品名「BYK-350」「BYK-352」、BYK社製)等が例示される。
【0069】
アンダーコート剤固形分中の水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、1、0.9、0.7、0.5、0.3、0.2、0.1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~1質量%が好ましい。
【0070】
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、有機変性シリコーン及び/又はフッ素系界面活性剤を含む。
【0071】
<水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートを含む。水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0072】
水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートは、水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有グリセリンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0073】
(水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート)
水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化2】
(式中、mは0以上の整数であり、Rb1~Rb6は、それぞれ独立に水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつRb1~Rb6の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基であり、Rb1~Rb6の少なくとも1つが水素原子である。なお、Rb3及びRb5は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0074】
本開示において「(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート」は、「ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0075】
また、「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」とは、例えば上記構造式において、mが2であるとき、
【化3】
b3AとRb3Bとは異なる基であってよく、Rb5AとRb5Bとは異なる基であってよいことを意味する(以下同様)。
【0076】
水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される
【0077】
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0078】
(水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート)
(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化4】
(式中、pは0以上の整数であり、Rb7~Rb10は水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつRb7~Rb10の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基であり、Rb7~Rb10の少なくとも1つが水素原子である。なお、Rb9は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0079】
本開示において「(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート」は、「トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、及びポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0080】
水酸基含有トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0081】
水酸基含有ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0082】
(水酸基含有グリセリンジ(メタ)アクリレート)
水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化5】
(式中、Rb11~Rb13の2つが、(メタ)アクリロイル基であり、Rb11~Rb13の1つが水素原子である。)
により示される化合物である。
【0083】
水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシ-2-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0084】
アンダーコート剤固形分中の水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~10質量%が好ましい。
【0085】
<光重合開始剤>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤成分は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0086】
光重合開始剤は、α-ヒドロキシアルキルフェノン、無置換又は置換アルキルフェノン、無置換又は置換ベンジル、無置換又は置換ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、置換チオキサントン等が例示される。
【0087】
α-ヒドロキシアルキルフェノンは、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-メチルプロパノン)、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン)等が例示される。
【0088】
無置換又は置換アルキルフェノンは、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-フェニル-2-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、ベンゾイン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-イソニトロソプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等が例示される。
【0089】
無置換又は置換ベンジルは、ベンジル、p-アニシル等の無置換又は置換ベンジル等が例示される。
【0090】
無置換又は置換ベンゾフェノンは、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、1,4-ジベンゾイルベンゼン、2-ベンゾイル安息香酸、4-ベンゾイル安息香酸、2-ベンゾイル安息香酸メチル等が例示される。
【0091】
アシルホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等が例示される。
【0092】
置換チオキサントンは、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が例示される。
【0093】
上記以外の光ラジカル重合開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-エチルアントラキノン、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が例示される。
【0094】
アンダーコート剤中の光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~10質量%が好ましい。
【0095】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0096】
有機溶媒は、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート及びセロソルブアセテート等のエステル溶媒;ソルベッソ#100及びソルベッソ#150(いずれも商品名。エクソン社製。)等の石油系溶媒;クロロホルム等のハロアルカン溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒等が例示される。これらの中でも本発明のアンダーコート剤のポットライフの観点よりケトン溶媒が好ましく、ケトン溶媒の中でもアセチルアセトンが好ましい。
【0097】
アンダーコート剤中の有機溶剤の含有量の上限及び下限は、95、90、80、70、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、50~95質量%が好ましい。なおアンダーコート剤に含まれる有機溶媒には、上述の成分を製造する際に使用される有機溶媒が含まれていてもよい。
【0098】
<添加剤>
上記アンダーコート剤は、ポリマーポリ(メタ)アクリレート、有機変性シリコーン、フッ素系界面活性剤、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、有機溶媒以外の剤を添加剤として含み得る。
【0099】
添加剤は、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂等が例示される。
【0100】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、アンダーコート剤の0.1~10質量%、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。また、ポリマーポリ(メタ)アクリレート、有機変性シリコーン、フッ素系界面活性剤、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、有機溶媒のいずれかの0.1~10質量%、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。
【0101】
上記アンダーコート剤は、ポリマーポリ(メタ)アクリレート、並びに必要に応じて、有機変性シリコーン、フッ素系界面活性剤、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、有機溶媒及び/又は添加剤等を各種公知の手段で混合することにより得られる。なお、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(乳化分散機、超音波分散装置等)を用いることができる。
【0102】
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂用アンダーコート剤等として使用される。
【0103】
[コーティング剤キット]
本開示は、上記アンダーコート剤及び
架橋剤を含むトップコート剤を含む、コーティング剤キットを提供する。
【0104】
<架橋剤>
架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0105】
架橋剤は、ポリイソシアネート、金属錯体、メラミン樹脂等が例示される。
【0106】
トップコート剤固形分中の架橋剤の含有量の上限及び下限は、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、1~40質量%が好ましい。
【0107】
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0108】
本開示において、「ポリイソシアネート」とは、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物である。
【0109】
ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体(ヌレート体)、アロファネート体、アダクト体等が例示される。
【0110】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0111】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0112】
脂環族ポリイソシアネートは、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
【0113】
単環脂環族ポリイソシアネートは、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示される。
【0114】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。
【0115】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、ビシクロデシレンジイソシアネート等が例示される。
【0116】
芳香族基は、単環芳香族基、縮合環芳香族基等が例示される。また芳香族基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0117】
単環芳香族基は、フェニル基(フェニレン基)、トリル基(トリレン基)、メシチル基(メシチレン基)等が例示される。また縮合環芳香族基は、ナフチル基(ナフチレン基)等が例示される。
【0118】
芳香族ポリイソシアネートは、単環芳香族ポリイソシアネート、縮合環芳香族ポリイソシアネート等が例示される。
【0119】
単環芳香族ポリイソシアネートは、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が例示される。
【0120】
縮合環芳香族ポリイソシアネートは、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が例示される。
【0121】
ポリイソシアネートのビウレット体は、
下記構造式:
【化6】
[式中、nは、0以上の整数であり、RbA~RbEはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、Rbα~Rbβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化7】
(nb1は、0以上の整数であり、Rb1~Rb5はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R''はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRbα~Rbβ自身の基である。Rb4~Rb5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RbD~RbE、Rbβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0122】
ポリイソシアネートのビウレット体は、デュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E(以上旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上住化コベストロウレタン製)等が例示される。
【0123】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、
下記構造式:
【化8】
[式中、nは、0以上の整数であり、RiA~RiEはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、Riα~Riβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化9】
(ni1は、0以上の整数であり、Ri1~Ri5はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRiα~Riβ自身の基である。Ri5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RiD~RiE、Riβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0124】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体の市販品は、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B(以上旭化成(株)製)、コロネートHXR、コロネートHX、コロネートHK(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、コロネート2037(以上東ソー(株)製)、タケネートD-127N(水添キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、タケネートD-131N(キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、タケネートD-204EA-1(トリレンジイソイアネートのイソシアヌレート体)(以上三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上エボニック・ジャパン(株)製)等が例示される。
【0125】
ポリイソシアネートのアロファネート体は、
下記構造式:
【化10】
[式中、nは、0以上の整数であり、Rは、アルキル基又はアリール基であり、R~Rはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、Rα~Rγはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化11】
(n1は、0以上の整数であり、R~Rはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R’’’はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRα~Rγ自身の基である。R~R、R’~R’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R~R、Rα~Rβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0126】
ポリイソシアネートのアロファネート体の市販品は、コロネート2793(東ソー(株)製)、タケネートD-178N(三井化学(株)製)等が例示される。
【0127】
ポリイソシアネートのアダクト体は、
下記構造式:
【化12】
[式中、nadは0以上の整数であり、RadA~RadEは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、Rad1~Rad2は、それぞれ独立に
【化13】
(式中、nad’は0以上の整数であり、
ad’~Rad’’は、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
ad’’’は、Rad1~Rad2自身の基であり、
ad’~Rad’’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、RadD~RadE、Rad2は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるトリメチロールプロパンとポリイソシアネートのアダクト体、
下記構造式
【化14】
[式中、nad1は0以上の整数であり、
adα~Radεは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
adA~RadBは、それぞれ独立に
【化15】
(式中、nad1’は0以上の整数であり、
adδ’~Radε’は、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
adB’は、RadA~RadB自身の基であり、
adδ’~Radε’、RadB’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、Radδ~Radεは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるグリセリンとポリイソシアネートのアダクト体等が例示される。
【0128】
ポリイソシアネートのアダクト体は、デュラネートP301-75E(以上旭化成(株)製)、タケネートD110N、タケネートD160N(以上三井化学(株)製)、コロネートL、コロネートHL(以上東ソー(株)製)等が例示される。
【0129】
ポリイソシアネートのNCO含有率(NCO%)の上限及び下限は、30、25、20、15、10%等が例示される。1つの実施形態において、上記NCO含有率(NCO%)は、10~30%が好ましい。
【0130】
ポリイソシアネートのイソシアネート基当量の上限及び下限は、420、400、350、300、250、200、150、140g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記イソシアネート基当量は140~420g/eqが好ましい。
【0131】
本開示において、イソシアネート基当量とは、イソシアネート基1モルあたりの質量の計算値(g/eq)を意味する。
【0132】
ポリイソシアネートのイソシアネート基当量とポリマーポリ(メタ)アクリレートの水酸基当量の合計との比(NCO/OH)の上限及び下限は、1、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、上記比(NCO/OH)は、0~1が好ましい。
【0133】
消費OH基量の上限及び下限は、150、125、100、75、50、25、10mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、上記消費OH基量は10~150mgKOH/gが好ましい。
【0134】
本開示において、消費OH基量は、OH基をどれだけ消費するNCOを加えたかを示す指標である。消費OH基量は下記式
消費OH基量=添加したポリイソシアネート量/イソシアネート基当量×56.1
により算出される。
【0135】
トップコート剤固形分中のポリイソシアネートの含有量の上限及び下限は、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~40質量%が好ましい。
【0136】
<金属錯体>
金属錯体は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0137】
金属錯体は、金属キレート、金属アルコキシド、金属アシレート、金属含有環状オリゴマー等が例示される。
【0138】
金属錯体の金属は、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、クロム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、バナジウム、亜鉛、インジウム、カルシウム、マンガン、スズ等が例示される。
【0139】
金属キレートは、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、チタンキレート等が例示される。
【0140】
アルミニウムキレートは、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート等が例示される。
【0141】
ジルコニウムキレートは、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が例示される。
【0142】
チタンキレートは、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ-2-エチルヘキソキシビス(2-エチル-3-ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタン-1,3-プロパンジオキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンアミノエチルアミノエタノレート、チタンオクチレングリコレート等が例示される。
【0143】
金属アルコキシドは、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等が例示される。
【0144】
アルミニウムアルコキシドは、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムジイソプロピレートモノブチレート等が例示される。
【0145】
ジルコニウムアルコキシドは、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等が例示される。
【0146】
チタンアルコキシドは、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド、チタンテトライソプロポキシド、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等が例示される。
【0147】
金属アシレートは、アルミニウムアシレート、ジルコニウムアシレート、チタンアシレート等が例示される。
【0148】
ジルコニウムアシレートは、ジルコニウムモノプロピルトリステアレート、ジルコニウムジプロピルジステアレート、ジルコニウムトリプロピルモノステアレート、ジルコニウムモノブトキシトリステアレート、ジルコニウムジブトキシジステアレート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等が例示される。
【0149】
チタンアシレートは、チタンイソステアレート等が例示される。
【0150】
金属含有環状オリゴマーは、アルミニウム環状オリゴマー、ジルコニウム環状オリゴマー、チタン環状オリゴマー等が例示される。
【0151】
アルミニウム環状オリゴマーは、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドステアレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート等が例示される。
【0152】
金属錯体の市販品は、アルミニウムキレート(製品名「ALCH」「ALCH-TR」「アルミキレートM」「アルミキレートD」「アルミキレートA」、川研ファインケミカル(株)製)、ジルコニウムキレート(製品名「オルガチックスZC-150」「オルガチックスZC-162」「オルガチックスZC-540」「オルガチックスZC-580」「オルガチックスZC-700」、マツモトファインケミカル(株)製)、チタンキレート(製品名「オルガチックスTC-100」「オルガチックスTC-300」「オルガチックスTC-310」「オルガチックスTC-400」「オルガチックスTC-401」「オルガチックスTC-710」「オルガチックスTC-810」「オルガチックスTC-1040」「オルガチックスTC-245」「オルガチックスTC-750」、マツモトファインケミカル(株)製)、アルミニウムアルコキシド(製品名「AMD」「ASBD」「AIPD」「PADM」「アルミニウムエトキサイド」、川研ファインケミカル(株)製)等が例示される。
【0153】
金属錯体は、耐擦傷性、鉛筆硬度等に優れることから、好ましくはアルミニウムキレート、ジルコニウムキレート及びチタンキレートからなる群から選択される1つ以上であり、より好ましくはジルコニウムキレート及びチタンキレートからなる群から選択される1つ以上である。
【0154】
金属錯体の分子量の上限及び下限は、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50等が例示される。1つの実施形態において、金属錯体の分子量は50~3,000が好ましい。
【0155】
トップコート剤固形分中の金属錯体の含有量の上限及び下限は、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~15質量%が好ましい。
【0156】
<メラミン樹脂>
メラミン樹脂は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0157】
メラミン樹脂は、下記メラミン化合物
【化16】
(式中、Rm1~Rm6は、それぞれ独立に、水素原子、メチロール基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基及びイソブトキシメチル基から選択される。)
に由来する構成単位を含むメラミン樹脂等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分の平均重合度は1.1~10である。
【0158】
メラミン樹脂は、硬化性に優れる点から、上記Rm1~Rm6の全てがメトキシメチル基であるフルエーテル型メチル化メラミンに由来する構成単位を含む樹脂(フルエーテル型メチル化メラミン樹脂)が好ましい。
【0159】
メラミン樹脂の市販品は、サイメル300、サイメル301、サイメル303LF、サイメル350、サイメル370N、サイメル771、サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル712、サイメル701、サイメル266、サイメル267、サイメル285、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル272、サイメル212、サイメル253、サイメル254、サイメル202、サイメル207、マイコート506(以上、オルネクスジャパン(株)製)、ニカラックMW-30M、ニカラックMW-30、ニカラックMW-30HM、ニカラックMW-390、ニカラックMW-100LM、ニカラックMX-750LM、ニカラックMW-22、ニカラックMS-21、ニカラックMS-11、ニカラックMW-24X、ニカラックMS-001、ニカラックMX-002、ニカラックMX-730、ニカラックMX-750、ニカラックMX-708、ニカラックMX-706、ニカラックMX-042、ニカラックMX-035、ニカラックMX-45、ニカラックMX-43、ニカラックMX-417、ニカラックMX-410(以上、(株)三和ケミカル製)、ユーバン20SB、ユーバン20SE60、ユーバン21R、ユーバン22R、ユーバン122、ユーバン125、ユーバン220、ユーバン225、ユーバン228、ユーバン2020(以上、三井化学(株)製)、アミディアJ-820-60、アミディアL-109-65、アミディアL-117-60、アミディアL-127-60、アミディア13-548、アミディアG-821-60、アミディアL-110-60、アミディアL-125-60、アミディアL-166-60B(以上、DIC(株)製)等が例示される。
【0160】
トップコート剤固形分中のメラミン樹脂の含有量の上限及び下限は、25、20、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~15質量%が好ましい。
【0161】
メラミン樹脂を用いる場合、酸触媒が使用されうる。酸触媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0162】
酸触媒は、無機酸、有機酸、熱酸発生剤等が例示される。
【0163】
無機酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が例示される。
【0164】
有機酸は、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機リン酸等が例示される。
【0165】
有機カルボン酸は、シュウ酸、酢酸、ギ酸等が例示される。
【0166】
有機スルホン酸は、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、カンファースルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ヘキサデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸等が例示される。
【0167】
有機リン酸は、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が例示される。
【0168】
熱酸発生剤は、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が例示される。
【0169】
トップコート剤固形分中の酸触媒の含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~10質量%が好ましい。
【0170】
1つの実施形態において、トップコート剤は、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートを含み得る。水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートは上述したもの等が例示される。
【0171】
トップコート剤中の水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~99質量%が好ましい。
【0172】
1つの実施形態において、トップコート剤は、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。光重合開始剤は上述したもの等が例示される。
【0173】
トップコート剤中の光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~10質量%が好ましい。
【0174】
1つの実施形態において、トップコート剤は、無機微粒子を含み得る。無機微粒子は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0175】
無機微粒子は、酸化亜鉛ナノ粒子、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、酸化セリウムナノ粒子、酸化鉄ナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化ジルコニウムナノ粒子、亜酸化銅ナノ粒子等が例示される。1つの実施形態において、硬化物の耐擦傷性が優れることから、アルミナナノ粒子が好ましい。
【0176】
無機微粒子の市販品は、酸化亜鉛ナノ粒子(製品名「NANOBYK-3840」、BYK社製)、シリカナノ粒子(製品名「NANOBYK-3650」、「NANOBYK-3652」、BYK社製)、アルミナナノ粒子(製品名「NANOBYK-3603」、「NANOBYK-3610」、BYK社製)、酸化セリウムナノ粒子(製品名「酸化セリウム(IV)ナノ粒子(10nm)」、富士フィルムワコーケミカル(株)製)、酸化鉄ナノ粒子(製品名「酸化鉄(II,III)、磁性ナノ粒子溶液」、SIGMA-ALDRICH社製)、酸化チタンナノ粒子(製品名「TTO-51(A)」、「TTO-55(C)」、石原産業(株)製)、酸化ジルコニウムナノ粒子(製品名「Zirconeo-Cp」、「Zirconeo-Rp」、「Zirconeo-Cw」、「Zirconeo-Ck」、(株)アイテック製)、亜酸化銅ナノ粒子(製品名「FRC-N10」、古河ケミカルズ(株)製)等が例示される。
【0177】
トップコート剤中の無機微粒子の含有量の上限及び下限は、10、9、7、6、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~10質量%が好ましい。
【0178】
1つの実施形態において、トップコート剤は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。有機溶媒は上述したもの等が例示される。
【0179】
トップコート剤中の有機溶媒の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~90質量%が好ましい。
【0180】
<添加剤>
上記トップコート剤は、ポリイソシアネート、金属錯体、メラミン樹脂、酸触媒、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、無機微粒子、有機溶媒以外の剤を添加剤として含み得る。
【0181】
添加剤は、上述のもの等が例示される。
【0182】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、トップコート剤の0.1~10質量%、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。また、ポリマーポリ(メタ)アクリレート、有機変性シリコーン、フッ素系界面活性剤、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、無機微粒子、有機溶媒のいずれかの0.1~10質量%、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。
【0183】
[硬化物]
本開示は、上記アンダーコート剤又は上記コーティング剤キットの硬化物を提供する。
【0184】
1つの実施形態において、上記硬化物は上記アンダーコート剤に活性エネルギー線を照射し得られる硬化物であるか、又は上記アンダーコート剤を熱硬化し、次いで活性エネルギー線を照射し得られる硬化物である。硬化条件は後述のもの等が例示される。
【0185】
[積層物]
本開示は、上記硬化物を含む、積層物を提供する。
【0186】
1つの実施形態において、基材にアンダーコート剤硬化物層が積層し、上記アンダーコート剤硬化物層にトップコート剤硬化物層が積層している。
【0187】
基材は各種公知のものが採用される。基材はポリカーボネート基材、アクリル基材(ポリメチルメタクリレート基材等)、ポリスチレン基材、ポリエステル基材、ポリオレフィン基材、エポキシ樹脂基材、メラミン樹脂基材、トリアセチルセルロース基材、ABS基材、AS基材、ノルボルネン系樹脂基材、環状オレフィン基材、ポリビニルアルコール基材等が例示される。更にその表面に金属酸化物等の蒸着層や易接着層、ハードコート層などが設けられていてもよい。基材の厚みも特に限定されないが、50~2000μm程度が好ましい。また、アンダーコート層の厚みは特に限定されないが、0.1~5μm程度が好ましい。
【0188】
上記積層物は各種公知の方法で製造される。1つの実施形態において、積層物の製造方法は、アンダーコート剤を基材の少なくとも片面に塗工する工程(アンダーコート剤塗工工程)、及び塗工したアンダーコート剤の上にトップコート剤を塗工する工程(トップコート剤塗工工程)、必要に応じて熱硬化してトップコート剤部分硬化物層を形成する工程(熱硬化工程)、活性エネルギー線によりアンダーコート剤硬化物層及びトップコート剤硬化物層を形成する工程(活性エネルギー線硬化工程)を含む。なお、アンダーコート剤塗工工程及びトップコート剤塗工工程をまとめて塗工工程ともいう。
【0189】
(塗工工程)
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、フローコート塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0190】
塗工量は特に限定されない。塗工量は、乾燥後の質量が0.1~30g/m程度が好ましく、1~20g/m程度がより好ましい。
【0191】
(熱硬化工程)
乾燥方法は、循風乾燥機等による乾燥等が例示される。乾燥条件は80~120℃で30秒~10分静置等が例示される。
【0192】
フィルムを製造する際、必要に応じて乾燥の後にエージング処理が行われる。一例として、40℃で72時間のエージング処理等が例示される。
【0193】
(活性エネルギー線硬化工程)
活性エネルギー線硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線等が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整できる。高圧水銀灯を使用する場合には、80~160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度2~50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10~300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置により、搬送速度5~50m/分程度の条件で硬化させるのが好ましい。
【実施例
【0194】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0195】
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素流入口を取り付けた四つ口フラスコに、酢酸ブチル125部、グリシジルメタクリレート(以下、GMA)25部、メタクリル酸メチル(MMA)75部、アゾビスイソブチロニトリル1部を仕込んで攪拌し、窒素気流下で100℃まで昇温したのち10時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却して、アクリル酸12.5部、トリフェニルホスフィン 0.1部、メトキノン 0.05部を仕込み、窒素流入口をエアーバブリング装置に取り換えて空気を反応液中にバブリングしながら攪拌して、110℃まで昇温させ9時間保温反応させることで、樹脂固形分50%の樹脂1を得た。なお、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算値)は9,000であった。重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC-8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel SuperHM-L」を3本直列に連結)を用いて測定した値を示す。撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素流入口を取り付けた四つ口フラスコに、酢酸ブチル48.6部、グリシジルメタクリレート(以下、GMA)32.6部、アゾビスイソブチロ

ニトリル(以下、AIBN)1.6部を仕込んで攪拌し、窒素気流化で100℃まで昇温したのち10時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却して、アクリル酸16.6部、トリフェニルフォスフィン 0.1部、メトキノン 0.5部を仕込み、窒素流入口をエアーバブリング装置に取り換えて空気を反応液中にバブリングしながら攪拌して、110℃まで昇温させ9時間保温反応させることで、樹脂固形分50%の樹脂1を得た(表1)。なお、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算値)は12,000であり、アクリル基一つあたりの分子量は214と算出された。重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC-8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZ2000」を3本直列に連結して測定した値を示す。
【0196】
製造例1以外のポリマーポリ(メタ)アクリレートは、モノマーの使用量を下記表のように変更したことを除き、製造例1と同様にして製造した。なお、表中、GMAとMMAの値はアクリル酸(AA)付加前のポリマー中における含有量を示し、アクリル酸の値は、GMA100質量%に対する値を示している。
【0197】
【表1】
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
AA:アクリル酸
アクリル当量の単位は、g/eqである。
【0198】
実施例1
製造例1のポリマーポリ(メタ)アクリレートを100部、シリコーン添加剤としてBYK-3550(ビックケミー・ジャパン(株)製)を0.5部、Omnirad184を5部仕込み、15分攪拌することにより、アンダーコート剤を製造した。
【0199】
実施例1以外のアンダーコート剤は、成分組成を下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして製造した。
【0200】
【表2】
シリコーン添加剤:BYK-3550、ビックケミー・ジャパン(株)製
フッ素添加剤:フタージェント602A、(株)ネオス製
水酸基含有(メタ)アクリルポリマー:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル=80質量%/3質量%/17質量%のポリマー
【0201】
積層物の製造
(1)アンダーコート剤硬化物層の形成
PC/PMMA二層シート(テクノロイC001:住友化学(株)製)に実施例及び比較例のアンダーコート剤を乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗工し、100℃×60秒乾燥の後、300mJ/cmにてUV硬化を実施した。
(2)トップコート剤硬化物層の形成
アンダーコート剤硬化物層上に、トップコート剤を乾燥後の膜厚が5~6μmとなるように塗工し、100℃×300秒乾燥の後、300mJ/cmにてUV硬化を実施した。トップコート剤は、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(アロニックスM-403:東亞合成(株)製)100質量部に対し、硬化剤としてコロネートHXR(東ソー(株)製)を5質量部、光重合開始剤としてOmnirad184を5質量部含む。
【0202】
耐溶剤性
PETフィルム(コスモシャインA4100:東洋紡(株)製)に上記と同様にしてアンダーコート剤硬化物を作製し、酢酸エチルを浸透させた綿棒で10往復して硬化物を擦り、硬化物表面の状態変化を目視で確認した。評価基準は以下に示すとおりである。
〇…変化なし
△…わずかに白化した
×…白化した
【0203】
加熱伸度
PETフィルム(コスモシャインA4100:東洋紡(株)製)に上記と同様にしてアンダーコート剤硬化物を作製し、1.5cm×13cmに切り出したフィルムを150℃の循風乾燥機中でテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて塗膜にクラックが生じるまで引張、加熱伸度を下式より算出した。
加熱伸度(%)=[(引張後のフィルム長さ)-(引張前のフィルム長さ)]/(引張前のフィルム長さ)×100
【0204】
外観
上記積層物(アンダーコート剤硬化物層及び活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層)の外観を下記基準により評価した。
○…無色透明である
×…白化している