(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241008BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241008BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241008BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G03G21/00 388
G03G21/00 396
H04N1/00 127B
H04N1/00 C
G06F3/12 322
G06F3/12 338
(21)【出願番号】P 2021040425
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】芝田 幸大
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/117785(WO,A1)
【文献】特開2005-174046(JP,A)
【文献】特開2016-049669(JP,A)
【文献】特開2012-091332(JP,A)
【文献】特開2005-149094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
記録紙に画像を形成して印刷物を生成する画像形成部と、
端末装置とのデータ通信を可能にする通信部と、
前記端末装置から送信されてきた、印刷画像データを含む印刷要求を、前記通信部を介して受信したときに、当該受信した前記印刷要求に従って、前記画像形成部の動作を制御して、前記印刷画像データが示す画像を前記記録紙に形成して前記印刷物を生成させる制御部と、
前記印刷要求が、前記画像形成装置の設置場所から離れた予め定められた遠隔地から行われたと判断した場合に、前記画像形成部による前記印刷物の生成を開始させずに待機させ、前記印刷物の生成を開始するか否かの最終確認を、前記通信部を介して、前記端末装置に送信する処理を行う確認部と、
前記通信部を介して、前記最終確認に対する前記端末装置からの回答を受け付ける回答受付部と、を備え、
前記制御部は、更に、前記回答受付部により受け付けられた前記回答が、前記印刷物の生成の開始を示すと判断した場合に、前記画像形成部に前記印刷物の生成を開始させ
、
前記確認部は、更に、前記印刷要求が前記遠隔地から行われたと判断し、かつ、前記端末装置と前記画像形成装置との距離が予め定められた閾値以上であると判断した場合、前記最終確認を送信する前に、前記印刷要求に誤りがないかの問い合わせを、前記通信部を介して、前記端末装置に送信し、
前記回答受付部が、前記印刷要求に誤りがないことを示す前記問い合わせに対する回答を、前記通信部を介して前記端末装置から受信した場合に、前記端末装置に前記最終確認を送信し、前記印刷要求に誤りがないとの前記回答を前記端末装置から受信しない場合は、前記端末装置に前記最終確認を送信しない画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷画像データを保存する印刷画像保存部を更に備え、
前記制御部は、更に、
前記確認部により、(i)前記印刷要求が前記遠隔地から行われたと判断されたが、前記端末装置と前記画像形成装置との距離が前記閾値以上でないと判断された場合に、又は(ii)前記印刷要求に誤りがないとの前記回答を受信したと判断された場合に、
前記端末装置から送信されてきた前記印刷画像データを前記印刷画像保存部に保存する請求項
1記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザーによる操作に応じて指示を受け付ける操作部を更に備え、
前記制御部は、更に、前記操作部が、前記印刷画像保存部に保存されている前記印刷画像データが示す画像に対する印刷指示を受け付けると、前記画像形成部に前記印刷画像データが示す画像を前記記録紙に形成させて前記印刷物を生成させる請求項
2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記確認部は、
前記最終確認を前記端末装置に送信しない設定を受け付けている場合、
前記印刷要求が前記遠隔地から行われたと判断し、かつ、前記端末装置と前記画像形成装置との距離が前記閾値以上であると判断したとき、前記印刷物の生成を開始させずに待機させ、前記最終確認を前記端末装置に送信しない請求項
2又は請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、更に、
前記確認部により、前記印刷要求に誤りがあることを示す前記回答を、前記通信部を介して前記端末装置から受信した場合、
前記端末装置から送信されてきた前記印刷画像データを消去する請求項
1乃至請求項
4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地からの操作で動作する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
離れた場所からの操作で動作する画像形成装置が知られている。下記の特許文献1,2には、ユーザーが携帯する携帯端末の画像形成装置への接近状況によって、印刷処理を変更する仕組みが記載されている。また、下記の特許文献3には、印刷物からの情報漏洩を防ぐために、画像形成装置から印刷要求者(ユーザー)までの距離と、画像形成装置から第三者までの距離とに応じて、印刷処理を変更する仕組みが記載されている。そして、下記の特許文献4には、ユーザーが画像形成装置に近づけば、印刷処理を実行し、印刷ジョブに対するユーザーの待ち時間を短縮することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-064715号公報
【文献】特開2012-118922号公報
【文献】特開2014-037069号公報
【文献】特開2016-043652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、会社のオフィスではなく、自宅などを就業場所として働くリモートワークが注目され、実施されている。リモートワーク中のユーザーは、リモート環境を利用して、オフィスなどの離れた場所に設置されているプリンター等の画像形成装置に対して、印刷を要求することがある。しかしながら、オフィスからの要求、離れた場所からの要求に関係なく、ユーザーの操作ミスによって、本来印刷すべきでないものが、誤って印刷されてしまうことがある。ユーザーは、オフィスから印刷を要求した場合、誤って印刷された印刷物をすぐに回収することができるが、離れた場所から印刷を要求した場合、印刷物をすぐに回収することは難しく、印刷物はしばらく放置されることなる。
【0005】
放置される印刷物が機密性の高いものである場合、大きな問題に発展するおそれがある。そのため、画像形成装置の設置場所から離れた場所から印刷を要求する場合には、ユーザーは意図したものと違う印刷が実行されないように、細心の注意を払う必要がある。上記の特許文献1~4に示した技術では、ユーザーとの距離に応じて印刷を制限するには、ユーザーの位置を監視し続ける必要があり、装置の構成が複雑になるおそれがある。例えば、上記の特許文献1,2に記載された発明では、時々刻々と変化する、ユーザーが携帯する携帯端末の位置情報を、画像形成装置が常に把握する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、装置の構成の複雑化を招くことなく、遠隔地から要求された印刷について、ユーザーが意図したものと違う印刷の実行を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙に画像を形成して印刷物を生成する画像形成部と、端末装置とのデータ通信を可能にする通信部と、前記端末装置から送信されてきた、印刷画像データを含む印刷要求を、前記通信部を介して受信したときに、当該受信した前記印刷要求に従って、前記画像形成部の動作を制御して、前記印刷画像データが示す画像を前記記録紙に形成して前記印刷物を生成させる制御部と、前記印刷要求が、前記画像形成装置の設置場所から離れた予め定められた遠隔地から行われたと判断した場合に、前記画像形成部による前記印刷物の生成を開始させずに待機させ、前記印刷物の生成を開始するか否かの最終確認を、前記通信部を介して、前記端末装置に送信する処理を行う確認部と、前記通信部を介して、前記最終確認に対する前記端末装置からの回答を受け付ける回答受付部と、を備え、前記制御部は、更に、前記回答受付部により受け付けられた前記回答が、前記印刷物の生成の開始を示すと判断した場合に、前記画像形成部に前記印刷物の生成を開始させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予め定められた遠隔地(例えば、オフィス以外)から行われた場合、印刷物の生成はすぐには開始されず、開始して良いかどうかの最終確認がユーザーに対して行われる。ユーザーが許可すれば、印刷物の生成は開始されるが、ユーザーが許可しなければ、印刷物の生成は開始されない。すなわち、ユーザーには、実行される印刷が意図したとおりのものであるかを確認する機会が提供される。
【0009】
これにより、遠隔地から印刷が画像形成装置に要求された場合、上記確認の機会がユーザーに提供されるので、ユーザーが意図したものと違う印刷が実行されるのを回避することが可能になる。また、本発明では、従来のように、ユーザーの位置を画像形成装置等が監視し続ける必要はない。従って、装置の構成の複雑化を招くことなく、遠隔地から要求された印刷について、ユーザーが意図したものと違う印刷が実行されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を含んで構成される画像形成システムの全体を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像形成装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】端末装置で表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図5】端末装置で表示される操作画面の他の例を示す図である。
【
図6】端末装置で表示される操作画面の更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を含んで構成される画像形成システムの全体を示す図である。
【0012】
画像形成システム11は、インターネット等のネットワーク上に存在する、会社などのオフィスに設置される画像形成装置1及び端末装置2A,2Bと、自宅などのオフィス以外の場所で使用される端末装置2C,2Dと、を含んで構成されている。画像形成装置1及び端末装置2A,2Bの設置場所はオフィスであり、社内ネットワークで接続されている。端末装置2Cの設置場所は、オフィスの「近場」であり、端末装置2Dの設置場所は、オフィスの「遠方」となる、予め定められた遠隔地である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。端末装置2A,2B,2C,2D(以降、「端末装置2」とも称す)は、例えば、パソコンであり、端末装置2は、画像形成装置1に対して印刷を要求することができるようになっている。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、記憶装置8、定着部13、給紙部14、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を含んで構成されている。
【0015】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)であり、図略の原稿載置トレイを備え、原稿載置トレイに載置されている原稿を原稿読取部5へ供給する。
【0016】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0017】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0018】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は図略の排出トレイに排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0019】
記憶装置8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等であり、各種の制御プログラムを記憶する。また、記憶装置8は、各種の制御プログラム等を記憶すると共に、印刷画像保存部81を備える。印刷画像保存部81は、印刷画像データを保存する。
【0020】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0021】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0022】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の外部装置(例えば、端末装置2)と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスである。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における通信部の一例である。
【0023】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、確認部101と、回答受付部102と、を備えている。
【0024】
制御ユニット10は、記憶装置8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、確認部101、及び回答受付部102として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0025】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、記憶装置8、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、端末装置2(
図1)から送信されてきた印刷要求R(印刷画像データを含む)を、ネットワークインターフェイス部91を介して受信すると、当該受信した印刷要求Rに従って、画像形成部12等の動作を制御して、印刷画像データが示す画像を記録紙に形成して印刷物を生成する。
【0026】
また、制御部100は、操作部47が受け付けたユーザーからの指示に従って、印刷画像保存部81に保存されている印刷画像データのリストを表示部473に表示させ、当該リストから印刷画像データが選択され、操作部47が印刷指示を受け付けると、画像形成部12等を制御して、ユーザーにより選択された印刷画像データが示す画像を記録紙に形成して印刷物を生成する。
【0027】
確認部101は、ネットワークインターフェイス部91を介して受信した印刷要求Rが、予め定められた遠隔地から行われたと判断した場合、印刷物の生成を開始させずに待機させ、印刷物の生成を開始して良いかどうかの開始直前の最終確認を、ネットワークインターフェイス部91を介して、印刷要求Rを送信してきた、ユーザー所有の端末装置2に対して行う。上記予め定められた遠隔地は、例えば、画像形成装置1の設置場所Lとなる部屋の外であって、当該設置場所Lから離れた場所(例えば、画像形成装置1が接続されたLANの領域外となる場所等)である。確認部101は、印刷要求Rが当該遠隔地からされたことの判断を、例えば、印刷要求Rを画像形成装置1に出力した端末装置2のIPアドレスに基づいて行う。
【0028】
確認部101は、更に、印刷要求Rが上記遠隔地にある端末装置2から送信されてきたと判断し、かつ、印刷要求Rを送信してきた端末装置2と画像形成装置1との距離が予め定められた閾値(例えば、100m)以上であると判断した場合(すなわち、印刷要求Rが近場ではなく遠方からであると判断した場合)、上記最終確認を行う前に、印刷要求Rに誤りがないかどうかを問い合わせるメッセージを、ネットワークインターフェイス部91を介して、当該ユーザー所有の端末装置2に送信する。以下、当該問い合わせを端末装置2に送信することを「端末装置2に問い合わせる」と記す。
【0029】
回答受付部102は、ネットワークインターフェイス部91を介して、ユーザー所有の端末装置2からの回答を受け付ける。例えば、回答受付部102は、上記最終確認に対するユーザー所有の端末装置2からの回答を受け付ける。
【0030】
制御部100は、更に、回答受付部102がユーザーから上記回答を受け付け、当該回答が、印刷物の生成の開始をユーザーが許可することを示すと判断した場合、印刷物の生成を開始する。
【0031】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置1における制御ユニット10で行われる処理の一例を
図3に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理は、制御部100が、端末装置2から送信されてきた印刷要求R(印刷画像データ及び当該端末装置2の位置情報を含む)を受信したと判断したタイミングで実行される処理である。
【0032】
確認部101は、印刷要求Rが画像形成装置1の設置場所Lから離れた場所、すなわち上記遠隔地から行われたか否かを判断する(S1)。ここでは、当該判断を行う方法として、上述した、端末装置2に割り当てられているIPアドレスを用いる。
【0033】
確認部101は、印刷要求Rを送信する端末装置2に割り当てられているIPアドレスに基づいて、印刷要求Rが上記遠隔地から行われたか否かを判断する。社内ネットワークに接続される端末装置2A,2BのIPアドレスはプライベートアドレスで、社外ネットワークと接続される端末装置2C,2DのIPアドレスはグローバルアドレスとなる。確認部101は、印刷要求Rを送信してきた端末装置2のIPアドレスがプライベートアドレスでない場合、印刷要求Rは上記遠隔地から行われたと判断する。
【0034】
確認部101は、印刷要求Rが上記遠隔地から行われたと判断した場合(S1でYES)、印刷要求Rに含まれる端末装置2の位置情報と、予め登録されている画像形成装置1の位置情報(設置場所情報)とに基づいて、両者間の距離Dを算出し(S2)、算出した距離Dが予め定められた閾値D1以上であるか否かを判断する(S3)。
【0035】
確認部101は、距離Dが閾値(ここでは100mとする)D1以上であると判断した場合(S3でYES)、印刷要求Rに誤りがないかどうか(操作ミスがないかどうか)を、ネットワークインターフェイス部91を介して、印刷要求Rを送信してきたユーザー所有の端末装置2に問い合わせる(S4)。具体例としては、確認部101は、上記問い合わせに必要となる情報を端末装置2に送信する。
【0036】
端末装置2は、上記情報を受信すると、当該受信した情報に基づいて、例えば、ダイアログボックスの表示により、上記問い合わせをユーザーに対して行い、ユーザーから得た回答を示す情報を、画像形成装置1に対して送信する。
【0037】
図4は、端末装置2に表示される操作画面の一例を示す図である。
図4に示す操作画面G1には、遠方からの印刷要求であること、操作ミス(印刷要求の誤り)の確認を促すメッセージM1、「OK」と記された操作ボタンB1、及び「NG」と記された操作ボタンB2が表示されている。端末装置2の制御部は、タッチパネルを介して、ユーザーによる操作ボタンB1の操作に応じて、操作ミスがない(正しい印刷要求Rである)ことを示す回答をユーザーから受け付け、操作ボタンB2の操作に応じて、操作ミスがある(誤った印刷要求Rである)ことを示す回答をユーザーから受け付ける。端末装置2の制御部は、画像形成装置1と例えばインターネットにより通信する通信部を介して、受け付けた回答を示す情報(以下、単に回答という)を画像形成装置1に送信する。
【0038】
確認部101は、回答受付部102が、端末装置2からの回答を受け付けたか否かを判断し(S5)、回答受付部102が、端末装置2からの回答を受け付けたと判断した場合(S5でYES)、当該回答が、印刷要求Rに誤りがないことを示すか否かを判断する(S6)。
【0039】
確認部101が、正しい印刷要求Rであることを示す回答が得られたと判断した場合(S6でYES)、制御部100は、印刷要求Rに含まれていた印刷画像データを印刷画像保存部81に保存する(S7)。
【0040】
一方、確認部101が、誤った印刷要求Rであることを示す回答が得られたと判断した場合(S6でNO)、制御部100は、印刷要求Rに含まれていた印刷画像データを一時的に記憶させていたメモリーから消去する(S8)。この後、処理は終了する。
【0041】
なお、確認部101は、回答受付部102が、端末装置2からの回答をまだ受け付けていないと判断した場合は(S5でNO)、上記問い合わせを送信してからの経過時間T1が予め定められた閾値(例えば、60秒)TH1以上であるか否かを判断する(S9)。
【0042】
確認部101が、経過時間T1が閾値TH1以上であると判断した場合(S9でYES)、タイムオーバーとして、制御部100は、印刷要求Rに含まれていた印刷画像データを一時的に記憶させていたメモリーから消去する(S8)。この後、処理は終了する。一方、確認部101が、経過時間T1が閾値TH1以上でないと判断した場合(S9でNO)、処理はS5に戻る。
【0043】
S3において、確認部101は、距離Dが閾値D1以上でない(すなわち、印刷要求Rは近場から行われている)と判断した場合(S3でNO)、印刷要求Rに誤りがあるかどうかの確認作業を行わず、制御部100は、印刷要求Rに含まれていた印刷画像データを印刷画像保存部81に保存する(S7)。
【0044】
続いて、確認部101は、制御部100に記憶されているユーザー設定を参照して、上記最終確認を前記端末装置に送信することをユーザーが希望しているか否かを判断する(S10)。確認部101は、ユーザー設定が最終確認の送信を希望することを示すと判断した場合(S10でYES)、上記最終確認を、ネットワークインターフェイス部91を介して、印刷要求Rを送信してきたユーザー所有の端末装置2に対して送信する(S11)。具体例としては、確認部101は、上記問い合わせに必要となる情報を端末装置2に送信する。
【0045】
端末装置2は、上記情報を受信すると、当該受信した情報に基づいて、例えば、ダイアログボックスを用いて、上記問い合わせをユーザーに対して行い、ユーザーからの回答(「OK」又は「NG」)を待ち、ユーザーからの回答を示す情報を画像形成装置1に対して送信する。
【0046】
図5は、端末装置2に表示される操作画面の一例を示す図である。
図5に示す操作画面G2には、離れた場所からの印刷要求であることや、印刷を開始してよいかどうかの最終の確認を行っていることを示すメッセージM2と、「OK」と記された操作ボタンB3と、「NG」と記された操作ボタンB4と、が表示されている。端末装置2の制御部は、タッチパネルを介して、ユーザーによる操作ボタンB3の操作に応じて、印刷開始を許可することを示す回答をユーザーから受け付け、操作ボタンB4の操作に応じて、印刷を許可しないことを示す回答をユーザーから受け付ける。端末装置2の制御部は、画像形成装置1と例えばインターネットにより通信する通信部を介して、受け付けた回答を示す情報(以下、単に回答という)を画像形成装置1に送信する。
【0047】
制御部100は、回答受付部102が、端末装置2からの回答を受け付けたか否かを判断し(S12)、回答受付部102が、端末装置2からの回答を受け付けたと判断した場合(S12でYES)、当該回答が、印刷物の生成の開始を許可することを示すか否かを判断する(S13)。
【0048】
制御部100は、上記回答が印刷物の生成の開始を許可することを示すと判断した場合(S13でYES)、画像形成部12等の動作を制御して、印刷物の生成を開始させる(S14)。この後、処理は終了する。一方、制御部100は、上記回答が印刷物の生成の開始を許可しないことを示すと判断した場合は(S13でNO)、処理は終了する。
【0049】
また、制御部100は、回答受付部102が、端末装置2からの回答をまだ受け付けていないと判断した場合(S12でNO)、確認部101が上記問い合わせを行ってからの経過時間T2が予め定められた閾値(例えば、60秒)TH2以上であるか否かを判断する(S15)。
【0050】
制御部100は、経過時間T2が閾値TH2以上であると判断した場合(S15でYES)、タイムオーバーとして、処理は終了する。一方、制御部100は、経過時間T2が閾値TH2以上でないと判断した場合(S15でNO)、処理はS12に戻る。
【0051】
なお、S1において、確認部101が、印刷要求Rが上記遠隔地から行われていない(印刷要求Rが設置場所L付近から行われている)と判断した場合(S1でNO)、制御部100は、従来通りに、印刷要求Rに従って、画像形成部12等の動作を制御して、印刷物を生成する(S14)。この後、処理は終了する。
【0052】
上記第1実施形態によれば、上記遠隔地から行われた場合、印刷物の生成はすぐには開始されず、開始してよいかどうかの最終確認がユーザーに対して行われる。ユーザーが許可すれば、印刷物の生成は開始されるが、ユーザーが許可しなければ、印刷物の生成は開始されない。すなわち、ユーザーが意図したものと違う印刷が実行されないかどうかを確認する機会がユーザーに提供される。
【0053】
これにより、遠隔地から印刷が要求された場合に、上記確認の機会がユーザーに提供されるので、ユーザーが意図したものと違う印刷が実行されるのを回避することが可能になる。また、従来のようにユーザーの位置を画像形成装置等が監視し続ける必要はない。従って、装置の構成を複雑化することなく、離れた場所から要求された印刷について、ユーザーが意図したものと違う印刷が実行されることを防止できる。
【0054】
上記実施形態では、印刷要求が近場ではなく、遠方から要求された場合には、最終確認の前に、印刷要求に誤りがないかどうかの問い合わせがユーザーに対して行われることになり、遠方からの印刷要求に対してより慎重な対応を求めることができる。
【0055】
また、近場から印刷が要求された印刷画像データについては、印刷画像保存部81に保存されるので、最終確認において、ユーザーから印刷開始の許可が得られなかったとしても、画像形成装置1の操作部47を直接操作することで、当該印刷画像データが示す画像を記録紙に形成して印刷物を生成させることができる。
【0056】
また、S10において、ユーザー設定が「最終確認を希望しない」に設定されている場合には(S10でNO)、処理は終了する。すなわち、確認部101は、印刷物の生成を開始させずに待機させ、上記最終確認を端末装置2に送信しない。このとき、ユーザーは、リモートで画像形成装置1に印刷開始を指示することができない。この場合、画像形成装置1は、ユーザーによる操作部47の直接の操作で印刷開始指示を受け付けたときに印刷を実行する。すなわち、ユーザーに対して最終確認に対する回答を求めない場合には、ユーザーによる直接の操作に基づく印刷開始指示を受け付けない限り、印刷が実行されないため、この点でも、ユーザーが意図しない印刷が実行されることを防止できる。
【0057】
また、上記遠隔地から印刷が要求された印刷画像データは、印刷要求Rに誤りがないとのユーザーからの回答が得られると(S6でYES)、印刷画像保存部81に保存されることから(S7)、ユーザーは、上記最終確認に対する回答を端末装置2から画像形成装置1に送信しなかったとしても、上記と同様に、画像形成装置1の操作部47を直接操作することで、当該印刷画像データが示す画像を記録紙に形成して印刷物を生成させることができる。
【0058】
上記第1実施形態では、
図4又は
図5に示したようなメッセージM1,M2を端末装置2において表示してユーザーに提示しているが、他の実施形態として、画像形成装置1の確認部101は、端末装置2と画像形成装置1との距離Dを示す情報を端末装置2に送信して、当該端末装置2において、両者間の距離を具体的に表示可能となるようにしてもよい。これにより、ユーザーが離れた場所から画像形成装置1に印刷を要求していることを、当該ユーザーにより明確に伝えることができる。例えば、端末装置2では,「オフィスから50km離れた場所から印刷を要求しています」というメッセージ及び/又は図示が表示される。
【0059】
また、更なる他の実施形態として、画像形成装置1の確認部101は、画像形成装置1と端末装置2との位置関係を示す地図などのイメージ図を作成し、当該作成した地図データを端末装置2に送信し、
図6に例を示す操作画面G3のように、当該端末装置2で両者の位置関係を示すイメージ図を表示可能にしてもよい。これにより、ユーザー所有の端末装置2は、オフィスから離れた場所から印刷を要求していることがイメージし易くなる。
【0060】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、例えば、プリンター機能を有した他の画像形成装置でもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、
図1乃至
図6を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
2 端末装置
12 画像形成部
47 操作部
91 ネットワークインターフェイス部
100 制御部
101 確認部
102 回答受付部