IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-配線モジュール 図1
  • 特許-配線モジュール 図2
  • 特許-配線モジュール 図3
  • 特許-配線モジュール 図4
  • 特許-配線モジュール 図5
  • 特許-配線モジュール 図6
  • 特許-配線モジュール 図7
  • 特許-配線モジュール 図8
  • 特許-配線モジュール 図9
  • 特許-配線モジュール 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20241008BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B60R16/02 620Z
H02G3/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021041390
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141186
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】谷口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】武久 愛
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135555(JP,A)
【文献】国際公開第2020/203738(WO,A1)
【文献】特開2015-113095(JP,A)
【文献】特開2014-172489(JP,A)
【文献】特開2000-335327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-16/08
H02G 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における組付対象部分に対して面状に広がるシート状部材と、
前記シート状部材に保持された伝送部材と、
前記シート状部材に設けられた剛性部材と、
を備え、
前記剛性部材が複数の分割部材を含み、
前記複数の分割部材は、それぞれ別部品であり、
前記剛性部材に、前記組付対象部分に取付けられる取付部が複数設けられ、
前記複数の分割部材が、互いに変位可能に連結された第1分割部材と第2分割部材とを含み、
前記複数の取付部の間に、前記第1分割部材と前記第2分割部材との連結部分が設けられる、配線モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の配線モジュールであって、
前記第1分割部材と前記第2分割部材とは、互いに接近及び離隔移動可能、かつ、前記シート状部材の厚み方向に揺動可能、かつ、前記複数の分割部材の接近離隔方向と前記シート状部材の厚み方向とに交差する方向に揺動可能に連結されている、配線モジュール。
【請求項3】
車両における組付対象部分に対して面状に広がるシート状部材と、
前記シート状部材に保持された伝送部材と、
前記シート状部材に設けられた剛性部材と、
を備え、
前記剛性部材が複数の分割部材を含み、
前記剛性部材に、前記組付対象部分に取付けられる取付部が複数設けられ、
前記複数の分割部材が、互いに変位可能に連結された第1分割部材と第2分割部材とを含み、
前記複数の取付部の間に、前記第1分割部材と前記第2分割部材との連結部分が設けられ、
前記第1分割部材は、前記シート状部材の方向に沿って前記第2分割部材側に向けて延びる連結片を含み、
前記第2分割部材は、前記シート状部材の方向に沿う第1挟持片と第2挟持片とを含み、
前記第1挟持片と前記第2挟持片との間に、前記連結片の厚み寸法以上の隙間が形成され、
前記連結片が前記第1挟持片と前記第2挟持片の間に配置された状態で、前記第1分割部材と前記第2分割部材とが連結されている、配線モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の配線モジュールであって、
前記連結片が、前記第1分割部材と第2分割部材との境界に沿って延在すると共に前記連結片の一方面側に突出する凸部を含み、
前記第1挟持片が、前記第1分割部材と第2分割部材との境界に沿って延在し、
前記第1挟持片に、前記凸部を収容可能な凹溝部が形成され、
前記第1分割部材と第2分割部材との接近離隔方向において、前記凸部の寸法よりも前記凹溝部の寸法の方が大きく、
前記第2挟持片が、前記連結片に対して前記第1挟持片とは反対側で対向して、前記凸部を前記凹溝部に収容した状態に保つ、配線モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の配線モジュールであって、
前記第1分割部材が、フラットな第1本体部を含み、
前記連結片が前記第1本体部とは別体に形成されると共に、前記第1本体部の側部に外方に突出するように取付けられている、配線モジュール。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の配線モジュールであって、
前記第2分割部材が、フラットな第2本体部を含み、
前記第1挟持片が前記第2本体部と一体形成され、
前記第2挟持片が前記第2本体部とは別体に形成され、
前記第1挟持片が、前記凹溝部の両端外側で、前記第1挟持片を支持する一対の支持凸部を含み、
前記第2挟持片の両端部が前記一対の支持凸部に接した状態で、前記第1挟持片に対して一定位置に取付けられている、配線モジュール。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記第1分割部材と前記第2分割部材との一方に、ロック突部を有するロック片が一対設けられ、
前記第1分割部材と前記第2分割部材との他方に、前記ロック突部を配置可能な受凹部が一対設けられ、
前記受凹部は、前記シート状部材の厚み方向及び前記第1分割部材と前記第2分割部材との接近離隔方向において、前記ロック突部の移動を許容する大きさに設定される、配線モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の配線モジュールであって、
前記ロック片が前記第2分割部材において前記第1挟持片と前記第2挟持片との間に設けられる、配線モジュール。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の配線モジュールであって、
前記第1分割部材が、前記第1挟持片と前記第2挟持片とのうちの少なくとも一方の外面に接触可能な補助片を含む、配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート状の防音材と、前記防音材に重ねられたシート状の保護材と、前記防音材と前記保護材との間に配索された少なくとも一本の電線を有するワイヤハーネスと、を備えるワイヤハーネス組付体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-090229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなワイヤハーネス組付体を車両の天井に組付ける際、ワイヤハーネス組付体が部分的に垂下がってしまうと、組付作業が困難となる。そこで、ワイヤハーネス組付体に剛性部材を取付けて、ワイヤハーネス組付体の垂下がりを抑制することが提案される。
【0005】
しかしながら、ワイヤハーネス組付体の垂下がりを抑制するためには、ワイヤハーネス組付体に対して剛性部材も大きく広がることが望ましい。そうすると、剛性部材を複数箇所で天井に取付けることなる。この場合、天井における複数の取付位置の公差及び剛性部材における複数の取付位置の公差等に起因して、剛性部材を天井に組付困難となる場合が生じ得る。
【0006】
そこで、本開示は、配線モジュールを、車両に容易に組込めるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線モジュールは、車両における組付対象部分に対して面状に広がるシート状部材と、前記シート状部材に保持された伝送部材と、前記シート状部材に設けられた剛性部材と、を備え、前記剛性部材が複数の分割部材を含み、前記剛性部材に、前記組付対象部分に取付けられる取付部が複数設けられ、前記複数の分割部材が、互いに変位可能に連結された第1分割部材と第2分割部材とを含み、前記複数の取付部の間に、前記第1分割部材と前記第2分割部材との連結部分が設けられる、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線モジュールが車両に容易に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態1に係る配線モジュールが組込まれる車両の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は配線モジュールを示す斜視図である。
図3図3は剛性部材を示す斜視図である。
図4図4は剛性部材の部分拡大斜視図である。
図5図5は剛性部材の部分分解斜視図である。
図6図6図4のVI-VI線断面図である。
図7図7は剛性部材を示す斜視図である。
図8図8は剛性部材の部分拡大斜視図である。
図9図9は剛性部材の部分分解斜視図である。
図10図10図8のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の配線モジュールは、次の通りである。
【0012】
(1)車両における組付対象部分に対して面状に広がるシート状部材と、前記シート状部材に保持された伝送部材と、前記シート状部材に設けられた剛性部材と、を備え、前記剛性部材が複数の分割部材を含み、前記剛性部材に、前記組付対象部分に取付けられる取付部が複数設けられ、前記複数の分割部材が、互いに変位可能に連結された第1分割部材と第2分割部材とを含み、前記複数の取付部の間に、前記第1分割部材と前記第2分割部材との連結部分が設けられる、配線モジュールである。
【0013】
この配線モジュールによると、複数の取付部の間において、第1分割部材と第2分割部材とが変位可能に連結される。このため、配線モジュールが組付対象部分に組付けられる際、第1分割部材と第2分割部材とが互いに変位されることによって、複数の取付部が組付対象部分における取付対象部分の位置に合せられる。これにより、配線モジュールが、車両における組付対象部分に容易に組込まれ得る。
【0014】
(2)(1)の配線モジュールであって、前記第1分割部材と前記第2分割部材とは、互いに接近及び離隔移動可能、かつ、前記シート状部材の厚み方向に揺動可能、かつ、前記複数の分割部材の接近離隔方向と前記シート状部材の厚み方向とに交差する方向に揺動可能に連結されていてもよい。これにより、複数の取付部が3方向に相対移動されて互いの位置が調整される。これにより、配線モジュールが、車両における組付対象部分に容易に組込まれる。
【0015】
(3)(1)又は(2)の配線モジュールであって、前記第1分割部材は、前記シート状部材の方向に沿って前記第2分割部材側に向けて延びる連結片を含み、前記第2分割部材は、前記シート状部材の方向に沿う第1挟持片と第2挟持片とを含み、前記第1挟持片と前記第2挟持片との間に、前記連結片の厚み寸法以上の隙間が形成され、前記連結片が前記第1挟持片と前記第2挟持片の間に配置された状態で、前記第1分割部材と前記第2分割部材とが連結されていてもよい。これにより、連結片が第1挟持片と前記第2挟持片との間で動ける範囲内で、第1分割部材と第2分割部材とがシート状部材の厚み方向に揺動できる。
【0016】
(4)(3)の配線モジュールであって、前記連結片が、前記第1分割部材と第2分割部材との境界に沿って延在すると共に前記連結片の一方面側に突出する凸部を含み、前記第1挟持片が、前記第1分割部材と第2分割部材との境界に沿って延在し、前記第1挟持片に、前記凸部を収容可能な凹溝部が形成され、前記第1分割部材と第2分割部材との接近離隔方向において、前記凸部の寸法よりも前記凹溝部の寸法の方が大きく、前記第2挟持片が、前記連結片に対して前記第1挟持片とは反対側で対向して、前記凸部を前記凹溝部に収容した状態に保ってもよい。この場合、凸部が凹溝部内で動くことによって、前記第1分割部材と前記第2分割部材とが、互いに接近及び離隔移動可能、かつ、前記複数の分割部材の接近離隔方向と前記シート状部材の厚み方向とに交差する方向に揺動可能となる。
【0017】
(5)(4)の配線モジュールであって、前記第1分割部材が、フラットな第1本体部を含み、前記連結片が前記第1本体部とは別体に形成されると共に、前記第1本体部の側部に外方に突出するように取付けられていてもよい。これにより、第1本体部に取付けられる連結片の形状を調整することによって、第1分割部材と第2分割部材との距離を調整したり、第1分割部材と第2分割部材との変位可能な量を調整したりすることができる。
【0018】
(6)(4)又は(5)の配線モジュールであって、前記第2分割部材が、フラットな第2本体部を含み、前記第1挟持片が前記第2本体部と一体形成され、前記第2挟持片が前記第2本体部とは別体に形成され、前記第1挟持片が、前記凹溝部の両端外側で、前記第1挟持片を支持する一対の支持凸部を含み、前記第2挟持片の両端部が前記一対の支持凸部に接した状態で、前記第1挟持片に対して一定位置に取付けられていてもよい。この場合、前記第2挟持片の両端部が前記一対の支持凸部に接した状態で、前記第1挟持片に対して一定位置に取付けられているため、第1挟持片と前記第2挟持片との間で連結片が可変できる範囲を一定にし易い。
【0019】
(7)(3)から(6)のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記第1分割部材と前記第2分割部材との一方に、ロック突部を有するロック片が一対設けられ、前記第1分割部材と前記第2分割部材との他方に、前記ロック突部を配置可能な受凹部が一対設けられ、前記受凹部は、前記シート状部材の厚み方向及び前記第1分割部材と前記第2分割部材との接近離隔方向において、前記ロック突部の移動を許容する大きさに設定されてもよい。これにより、ロック突部が受凹部内を移動することによって、第1分割部材と前記第2分割部材とが連結された状態のまま、多方向に相対的に変位できる。
【0020】
(8)(7)の配線モジュールであって、前記ロック片が前記第2分割部材において前記第1挟持片と前記第2挟持片との間に設けられてもよい。これにより、ロック片が第1挟持片と前記第2挟持片との間で保護される。
【0021】
(9)(7)又は(8)の配線モジュールであって、前記第1分割部材が、前記第1挟持片と前記第2挟持片とのうちの少なくとも一方の外面に接触可能な補助片を含んでもよい。この場合、第1分割部材と前記第2分割部材とが変位した場合の荷重が、補助片によっても分散して受止められる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る配線モジュールについて説明する。
【0024】
<配線モジュールが組込まれる車両について>
図1は配線モジュールが組込まれる車両の一例を示す概略斜視図である。車両10は、ボディ12を備える。ボディ12は、車両10の外形をなす部分である。ボディ12は、モノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ここでは、ボディ12は、車室を囲む側方パネル、ルーフパネル13、さらには、乗員が乗り降りするための乗降用ドアパネル、荷物を出し入れするためのリアドアパネル等を含む。ボディ12は、金属によって形成されてもよいし、樹脂によって形成されてもよい。ボディ12は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ボディ12のうち車室の上方を覆う板状の部分がルーフパネル13である。つまり、ルーフパネル13は、車両10の屋根部分を形成する。ルーフパネル13は、ボディ12の外観形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフパネル13は、金属で形成されてもよいし、樹脂で形成されてもよい.ルーフパネル13は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ここでは、ルーフパネル13には、アンテナ用孔13hが形成されている(図2参照)。
【0025】
配線モジュール20は、車両10に組込まれる。本実施形態では、配線モジュール20が、ルーフパネル13を含む屋根部分11に組込まれる例が説明される。配線モジュールは、ドアパネル等に組込まれてもよい。
【0026】
図2は配線モジュール20を示す斜視図である。図2においては、屋根部分11が図示されている。図2において示される伝送部材は、概略的な経路を示しており、1本の線として描かれていても、複数の電線等を含む場合がある。屋根部分11としては、上記ルーフパネル13と内装部材16とが図示されている。ルーフパネル13の内面(下向き面)には、ルーフ補強部材14が設けられる。ルーフ補強部材14は、ルーフリンホース又はルーフ用ステイ等と呼ばれる部材であってもよい。本実施形態では、ルーフ補強部材14は、細長い部材であり、ルーフパネル13の前後方向において間隔をあけて複数設けられる。ルーフ補強部材14は、ルーフパネル13の幅方向に沿って配設される。ルーフパネル13が金属である場合、金属で形成されたルーフ補強部材14がルーフパネル13の内面に溶接されていてもよい。ルーフ補強部材14には配線モジュール20、内装部材16等が取付けられてもよい。この点において、ルーフ補強部材14は、ブラケットの一種でもある。
【0027】
本実施形態では、ルーフ補強部材14は、配線モジュール20が取付けられる組付対象部分の一例である。本例では、組付対象部分に、配線モジュール20の剛性部材60が取付けられる。組付対象部分は、ドアのパネルであってもよい。
【0028】
内装部材16は、樹脂等で形成された板状部材である。内装部材16は、車室内の天井形状を形作る部分である。内装部材16は、一部又は全体的に湾曲していてもよい。内装部材16は、ルーフパネル13に対して下側に取付けられる。内装部材16は、車室内に露出する部分である。内装部材16は、ルーフライナ(roof liner)と呼ばれることもある。本実施形態では、配線モジュール20は、ルーフパネル13と内装部材16との間に設けられる。
【0029】
<配線モジュールの全体構造について>
配線モジュール20は、シート状部材30と、伝送部材40と、剛性部材60とを備える。本実施形態では、配線モジュール20は、さらに、ルーフ側機器50を備える。ルーフ側機器50は、省略されてもよい。
【0030】
シート状部材30は、車両における組付対象部分に対して面状に広がるシート状の部材である。本実施形態では、シート状部材30は、ルーフパネル13及び内装部材16に対して面状に広がるように、当該屋根部分11に組込まれる。例えば、シート状部材30は、屋根部分11に対して8割以上の面積に広がって配設されてもよい。また、例えば、シート状部材30は、車室内の複数の乗員席のヘッドレストの上方全体に広がるように配設されてもよい。シート状部材30が屋根部分11に対して広がって配設されることで、屋根部分11に対してなるべく広い領域で、伝送部材40の支持を行える。また、シート状部材30が持つ後述する機能を、屋根部分11に対してなるべく広い領域で、発揮することができる。
【0031】
シート状部材30は、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んでもよい。つまり、シート状部材30は、伝送部材40及び剛性部材60が固定される機能以外に、断熱機能、防音機能、電波遮蔽機能の少なくとも1つを奏するシートであってもよい。
【0032】
例えば、シート状部材30は、不織層を含んでもよい。不織層は、複数の繊維が織られずに絡み合った層であり、シート状部材30の一方主面側及び他方主面側の間で、熱が伝わり難いようにする断熱性を奏する層の一例である。断熱層は、熱放射エネルギーを反射する層であってもよい。断熱層は、他の層よりも熱伝導率が低い層であってもよい。例えば、断熱層は、不織シートの他、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。断熱層としては、断熱塗料、遮熱塗料が用いられてもよい。
【0033】
不織層は、シート状部材30の一方主面側及び他方主面側の間で、音が伝わり難いようにする防音性を奏する層の一例であるとも把握可能である。防音性を奏する層は、音を反射するものであってもよいし、音のエネルギーを熱エネルギーとして吸収するものであってもよい。例えば、防音層としては、不織シートの他、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。防音層としては、吸音塗料が用いられてもよい。
【0034】
断熱層と防音層とは物理的に別の層として設けられてもよい。
【0035】
また、例えば、シート状部材30は、電波遮蔽層を含んでいてもよい。電波遮蔽層は、シート状部材30の一方主面側及び他方主面側の間で、電波が伝わり難いようにする層である。電波遮蔽層は、全ての周波数に対して電波遮蔽性を有していてもよい。電波遮蔽層は、一部の周波数帯に対して選択的な電波遮蔽性を有していてもよい。この場合、一部の周波数帯の電波は、電波遮蔽層において反射又は吸収の少なくとも一方がなされればよい。電波遮蔽層は、アルミニウム、鉄等の金属箔で形成された層であってもよい。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽層としては、周知の周波数選択膜(FSS: Frequency Selective Surface)が用いられてもよい。周波数選択膜は、例えば、樹脂等で形成されたベースフィルム上に金属箔等によってユニットセル(素子)を形成したものであってもよい。かかる周波数選択膜は、ユニットセル(素子)の周波数特性に応じて1つ又は複数の周波数帯の電波を選択的に遮蔽し、他の周波数帯の電波を通過させる性質を有する。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽層は、断熱層又は防音層に直接導電性ペースト等を印刷することによって形成されていてもよい。
【0036】
シート状部材30が電波遮蔽層を含む場合、外部通信用アンテナユニットが、電波遮蔽層に対して車外側に設けられていることが好ましい。これにより、外部通信用アンテナから放射される電波が、電波遮蔽層によって遮蔽され、車室内側に伝播され難くなる。また、外部通信用アンテナから放射される電波は電波遮蔽層によって遮蔽されることなく外部に伝播される。
【0037】
また、シート状部材30が電波遮蔽層を含むことを前提とすると、室内側アンテナは、電波遮蔽層に対して車室内側に設けられていることが好ましい。これにより、室内側アンテナ及び車室内の室内機器から放射される電波が、電波遮蔽層によって遮蔽され、車外側に伝播され難くなる。一方、室内側アンテナが放射する電波は、室内側アンテナに対して電波遮蔽層とは反対側の車室内側には伝播される。このため、室内側アンテナを通じて、室内機器との間で良好に無線通信を行うことができる。また、室内側アンテナが室内機器に対して非接触給電を行う場合には、車外に電波(電力)が漏れていかないため、効率的に非接触給電が行われる。
【0038】
なお、シート状部材30が複数層を含む場合、各層は、単に重ね合されただけであってもよい。各層は、両面テープ、接着剤、溶着等によって固定されていてもよい。また、各層の重ね合せ順は、任意である。例えば、不織層の下側に電波遮蔽層が設けられてもよい。シート状部材が複数の機能層を有する場合において、複数の機能層がシート状部材の厚み方向において重なって配置されていることは必須ではない。複数の機能層は、シート状部材が広がる領域内において、異なる領域に設けられていてもよい。例えば、複数の機能層が、シート状部材が広がる領域内において横並びで設けられていてもよい。1つの機能層に対して他の機能層が部分的に設けられてもよい。
【0039】
伝送部材40は、電気又は光等を伝送する部材であり、少なくとも1端がルーフ側機器50に接続される配線経路に沿って設けられる部材である。例えば、伝送部材40は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、電気ケーブル、エナメル線、ニクロム線、同軸線、光ファイバ等であってもよい。つまり、伝送部材40は、電気を伝送する線状の部材であってもよい。電気を伝送する線状の部材としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。また、電気を伝送する線状の伝送部材は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。伝送部材は、シート状部材に対する導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって形成されてもよい。ここで、伝送部材40が電線であることを想定した説明がなされる。
【0040】
伝送部材40はシート状部材30に設けられる。ここで、伝送部材40がシート状部材30に設けられるとは、電気又は光を伝送する媒体がシート状部材において電気又は光の経路をなすように形作られることをいう。このため、シート状部材に設けられた伝送部材40とは、当該シート状部材30に対して導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって直接形成される伝送部材の他、シート状部材30とは別に製造された線状の伝送部材40が、シート状部材のいずれか又は両方の主面等に沿って一定の経路をなすように形作った状態で取付けられた伝送部材を含む。伝送部材40の支持のための具体的構成は特に限定されない。
【0041】
例えば、伝送部材40は、シート状部材30の一主面に対して固定されていてもよい。例えば、伝送部材40は、シート状部材30の一主面に対して溶着されていてもよい。これにより形成された溶着部は、伝送部材40及びシート状部材30の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。伝送部材40とシート状部材30との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、伝送部材40とシート状部材30との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、伝送部材40とシート状部材30とが溶着されてもよい。また、例えば、伝送部材40は、シート状部材30に対して、接着剤、両面テープ等によって固定されていてもよい。また、例えば、伝送部材40は、縫糸等によって、シート状部材30に対して縫付けられていてもよい。また、例えば、伝送部材40がシート状部材30の一主面上に配設された状態で、シート状部材30の一主面の外側から伝送部材40を跨ぐように粘着テープが貼付けられることで、伝送部材40がシート状部材30の一主面に固定されていてもよい。伝送部材40は、シート状部材30の一主面のみに固定される必要は無い。伝送部材40は、シート状部材30の一方主面に固定される部分と、シート状部材30の他方主面に固定される部分とを併有していてもよい。この場合、伝送部材40は、シート状部材30の中間部又は端縁部において一方主面から他方主面に向けて通るように付設されてもよい。
【0042】
また、例えば、伝送部材40は、2つのシートの間に挟み込まれることで、シート状部材30に固定されていてもよい。例えば、シート状部材30が複数層を含む場合において、伝送部材40が各層を構成するシートの間に挟込まれていてもよい。この場合において、伝送部材40を挟込む2つのシート同士は、溶着によって固定されてもよいし、接着剤又は両面テープによって固定されてもよい。
【0043】
ここでは、伝送部材40は、シート状部材30に対して主に内装部材16側の面に設けられている。
【0044】
伝送部材40は、ルーフ側機器50に接続されている。ルーフ側機器50は、伝送部材40を介して電気信号又は光信号を送信し又は受信する。または、ルーフ側機器50は、伝送部材40を介して電力供給を受けたり、電力を分配したりする。伝送部材40とルーフ側機器50との接続は、コネクタを介して行われてもよい。伝送部材40がルーフ側機器50内に直接導入され、ルーフ側機器50内の電気要素に直接に接続されていてもよい。伝送部材40の一方の端部は、シート状部材30から引出されてもよい。伝送部材40のうち引出された端部は、ピラー等に引出され、車体において屋根部分11よりも下方の電子制御ユニット又は電源等に接続されてもよい。
【0045】
ルーフ側機器50は、屋根部分11に配設され、伝送部材40の接続先となる機器である。ルーフ側機器50としては、例えば、電子制御ユニット、ランプ(特にマップランプ、室内ランプ)、スピーカ、室内カメラ、モニタ、投影機器、外部通信用アンテナ、室内側アンテナ等が想定される。
【0046】
ルーフ側機器50は、シート状部材30に保持されてもよいし、ルーフパネル13によって保持されてもよいし、内装部材16によって保持されてもよい。本実施形態では、ルーフ側機器50がシート状部材30によって保持される例が示される。ルーフ側機器50がルーフパネル13又は内装部材16に設けられる場合、シート状部材30がルーフパネル13と内装部材16との間に配置された状態で、伝送部材40とルーフ側機器50とがコネクタ接続されてもよい。シート状部材30又は屋根部分11におけるルーフ側機器50の配置位置は任意である。好ましくは、ルーフ側機器50は、シート状部材30又は屋根部分11に対して、ルーフ側機器50が果す役割に適した位置に固定される。例えば、ルーフ側機器50がマップランプである場合を想定すると、当該ルーフ側機器50は、前席斜め上前方位置に配設されることになる部分に固定されてもよい。また、例えば、ルーフ側機器50が室内側アンテナである場合を想定すると、当該ルーフ側機器50は、前席又は後席の上方位置に配設されることになる部分に固定されてもよい。
【0047】
ルーフ側機器50がシート状部材30に保持される場合であっても、最終的にはルーフパネル13又は内装部材16等に固定されてもよい。このため、ルーフ側機器50は、シート状部材30において一定位置に保たれる程度の保持力でシート状部材30に保持されていればよい。例えば、ルーフ側機器50は、シート状部材30に対して接着剤、粘着剤、両面テープ等によって固定されてもよい。ルーフ側機器50は、ネジ止、ピン止等によってシート状部材30に固定されてもよい。ルーフ側機器50は、剛性部材60を介してシート状部材30に固定されてもよい。この場合において、ルーフ側機器50は、剛性部材60に対して、接着剤、粘着剤、両面テープ等によって固定されてもよいし、ネジ止、ピン止等によって固定されてもよい。
【0048】
剛性部材60は、シート状部材30に設けられる部材である。剛性部材60は、シート状部材30に対して変形し難さを付与する部材である。剛性部材60は、シート状部材30よりも高剛性であることが好ましい。ここでの剛性の高低は、例えば、剛性部材60の長手方向に対して直交する面を基準面とし、剛性部材60の当該基準面における曲げ剛性と、シート状部材30のうち当該剛性部材60が設けられた部分的な領域における当該基準面における曲げ剛性とによって評価されてもよい。例えば、シート状部材30は、アルミニウム箔と不織布との積層体であり、剛性部材60は、中身が埋った中実な樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)等)製の板材又は棒材であってもよい。剛性部材60は、ハニカム構造部材のように、強度を持たせつつ軽量化が図られた部材であってもよい。剛性部材60は、鉄、アルミニウム等の金属によって形成されていてもよい。剛性部材60のより具体的な例が後で説明される。
【0049】
剛性部材60は、シート状部材30に対して接着剤、粘着剤、両面テープ、溶着(超音波溶着、熱溶着等)等によって固定される。剛性部材60は、ネジ止、ピン止等によってシート状部材30に固定されてもよい。ここで、剛性部材60は、細長い長方形板状に形成されている。剛性部材60の長さ寸法は、シート状部材30の幅寸法と同じに設定される。剛性部材60の長さ寸法は、シート状部材30の縁が真下に垂下がらない程度で、シート状部材30の幅寸法より小さくてもよい(例えば、20cm以下の範囲で小さい)。剛性部材60がシート状部材30のうちルーフパネル13側の面に配設される。
【0050】
本実施形態では、シート状部材30に複数(ここでは4つ)の剛性部材60が固定される。各剛性部材60の長手方向は、シート状部材30の幅方向に沿っている。このため、シート状部材30のうち剛性部材60が設けられた部分は、幅方向において垂下がり難いように保たれる。
【0051】
複数の剛性部材60は、シート状部材30に対して前後方向において間隔をあけて設けられている。このため、シート状部材30は、複数の剛性部材60の間で折り曲げられ得る。本配線モジュール20を保管、運搬等する場合には、複数の剛性部材60の間でシート状部材30を折畳むことで、配線モジュール20の保管スペース、運搬スペースを小さくすることができる。
【0052】
シート状部材30に対する剛性部材60の配設領域は、例えば、剛性部材60が取付けられる組付対象部分が設けられる領域である。本実施形態では、剛性部材60は、ルーフ補強部材14の下側に設けられる。ルーフ補強部材14に対する剛性部材60の取付は、任意である。例えば、ルーフ補強部材14に、抜け止係止する樹脂製のクリップ部材14P(図2に1つのみ例示)が下向きに突設されており、当該クリップ部材14Pが剛性部材60に形成された孔である取付部62a、72a、82aに抜け止状態で係止する構成であってもよい。剛性部材に設けられたクリップ部材がルーフ補強部材に形成されたロック孔に係止してもよい。その他、ネジ止、リベット止等によって、剛性部材60がルーフ補強部材14に取付けられてもよい。
【0053】
シート状部材30のうち剛性部材60が設けられる部分では、平面的な形態が保たれ易くなる。このため、配線モジュール20を、ルーフパネル13に組付ける作業が容易となる。
【0054】
<剛性部材>
剛性部材60についてより具体的に説明する。図3は剛性部材60を示す斜視図である。図4は剛性部材60の部分拡大斜視図である。図5は剛性部材60の部分分解斜視図である。図6図4のVI-VI線断面図である。
【0055】
剛性部材60は、複数の分割部材62、72、82を備える。本実施形態では、剛性部材60を全体的に観察すると、ルーフパネル13に沿って平たく、かつ、車幅方向に沿って細長い長方形板状に形成される。剛性部材60は、その長手方向(つまり、車幅方向)において、複数(ここでは3つ)の分割部材62、72、82に分割される。分割部材72は、その長手方向(つまり、車幅方向)において中央に設けられ、分割部材62、82が、その長手方向(つまり、車幅方向)において、中央の分割部材72の両端に設けられる。
【0056】
各分割部材62、72、82は平たい形状、より具体的には、長方形板状に形成される。分割部材62、72、82は、平たい底板部の一方主面(ここでは上面)に、縦横にリブ部が突設された構成とされている。これにより、軽量化と高剛性化の両立が図られている。分割部材には、ハニカム状のリブが突設された形状であってもよい。分割部材は、両面が平たい部材であってもよい。分割部材は、内部に中空構造を有する板状の部材であってもよい。
【0057】
複数の分割部材62、72、82に、組付対象部分に取付けられる取付部62a、72a、82aが複数設けられる。取付部62a、72a、82aは、クリップ部材が係止する孔であってもよいし、ネジ止又はリベット止のための孔であってもよい。取付部62a、72a、82aは、ルーフ補強部材14に形成された孔に係止するクリップ部材であってもよいし、ルーフ補強部材14にネジ止されるネジであってもよい。本実施形態では、取付部62a、72a、82aは、ルーフ補強部材14に突設されたクリップ部材14Pが抜け止係止する貫通孔である。
【0058】
取付部62a、72a、82aは、複数の分割部材62、72、82のそれぞれに設けられてもよいし、複数の分割部材62、72、82のうちの2つ以上に設けられてもよい。本実施形態では、複数の分割部材62、72、82のそれぞれに取付部62a、72a、82aが設けられる。より具体的には、複数の分割部材62、72、82の4隅に、取付部62a、72a、82aが設けられる。分割部材62、72、82に設けられる取付部の数は任意である。
【0059】
なお、分割部材62、72、82には、ルーフ側機器50等を固定するための孔62h、72h、82hが形成されてもよい。
【0060】
複数の分割部材62、72、82のうちの少なくとも1箇所の連結箇所において、分割部材62、72、82が互いに変位可能に連結される。変位可能な連結箇所は、複数の取付部62a、72a、82aの間に設けられる。
【0061】
複数の分割部材62、72、82のうちの2つ以上に取付部62a、72a、82aが設けられる場合、取付部62a、72a、82aの位置関係と、当該取付部62a、72a、82aが取付けられるルーフ補強部材14における複数の取付対象部分(例えば、クリップ部材14P)の位置関係との間にずれが生じ得る。この場合に、複数の取付部62a、72a、82aの間に設けられる連結箇所において、複数の分割部材62、72、82が相対的に変位することによって、上記位置ずれが解消され得る。
【0062】
本実施形態では、複数の分割部材62、72、82の全てに取付部62a、72a、82aが設けられる。また、分割部材62、72が相対的に変位可能に連結され、分割部材72、82が相対的に変位可能に連結されている。このため、剛性部材60をルーフ補強部材14に取付ける際、ルーフ補強部材14における複数の取付対象部分に対して、取付部62a、72aの位置がずれている場合、分割部材62、72が相対的に変位することができる。これにより、ルーフ補強部材14における複数の取付対象部分に対する取付部62a、72aの取付が容易に行われ得る。同様に、ルーフ補強部材14における複数の取付対象部分に対して、取付部72a、82aの位置がずれている場合、分割部材72、82が相対的に変位することで、ルーフ補強部材14における複数の取付対象部分に対する取付部72a、82aの取付が容易に行われ得る。
【0063】
なお、分割部材62、72、82の全てが相対的に変位可能に連結されていることは必須ではない。一部の連結箇所が相対的に変位可能に連結された場合であっても、その連結箇所の両側において、上記と同様に位置ずれが解消され得る。
【0064】
分割部材62、72の連結箇所に着目した説明を行う。なお、分割部材72、82の連結箇所についても同様の構成が適用され得る。
【0065】
分割部材62、72とは、相対的に変位可能に連結される。分割部材62、72とは、少なくとも1方向において相対的に変位可能であればよい。分割部材62、72は、互いに接近及び離隔移動可能(図6の矢符A参照)、かつ、シート状部材30の厚み方向(図6の矢符B参照)、かつ、複数の分割部材62、72の接近離隔方向とシート状部材30の厚み方向とに交差する方向(車両10の前後方向でもある、図4の矢符C参照)に揺動可能に連結されていてもよく、本実施形態では、そのための構成が説明される。
【0066】
分割部材72は、板状に広がる本体部73と、連結片76とを含む。本体部73のうち分割部材62側の縁部に連結片76が取付けられている。連結片76は、シート状部材30の延在方向に沿って分割部材62側に向けて延びている。
【0067】
分割部材62は、板状に広がる本体部63と、第1挟持片66と、第2挟持片68とを含む。本体部63のうち分割部材72側の縁部に第1挟持片66と第2挟持片68とが設けられている。第1挟持片66と第2挟持片68とは、シート状部材30の方向に沿って延在している。第1挟持片66と第2挟持片68とは、分割部材62の平面視において重なり合うように、本体部63の厚み方向において対向し合っている。第1挟持片66と第2挟持片68との間に、連結片76の厚み寸法T1以上の隙間T2が形成されている。そして、連結片76が第1挟持片66と第2挟持片68との間に配置された状態で、分割部材62、72が連結されている。このため、連結片76が第1挟持片66と第2挟持片68との間で動ける範囲内で、組付の支障となるような過剰な垂下がりを抑制しつつ、分割部材62、72がシート状部材30の厚み方向に揺動できる。
【0068】
より具体的には、上記分割部材72において、本体部73と連結片76とは別体に形成されている。例えば、本体部73が樹脂によって形成され、連結片76が金属板によって形成されていてもよい。連結片76は樹脂によって形成されてもよい。連結片76は、本体部73の側部に外方に突出するように取付けられる。本実施形態では、本体部73の一方面(上面)のうち分割部材62側の側部に沿って、細長い凹溝部73gが形成される。連結片76のうち本体部73に取付けられる側の取付側部76aが、連結片76の幅方向中央に対して段部を介して突出する形状に形成されている。そして、その取付側部76aが、凹溝部73gの底面に接するように当該凹溝部73g内に配置された状態で、取付側部76aが凹溝部73gの底部分にネジSによって固定される。
【0069】
本体部73に対する連結片76の取付構成は上記例に限定されず、他のリベット固定構造、溶着固定構造であってもよい。また、上記連結片76が本体部73と別体であることは必須ではなく、連結片76と本体部73と樹脂によって金型一体成形されてもよい。
【0070】
連結片76のうち分割部材62側の側部は、連結片76の幅方向中央に対して段部を介して当該連結片76の一方面側(下面側)に突出する側方凸部76cに形成される。側方凸部76cは、分割部材62、72の境界に沿って延在している。
【0071】
分割部材62側の第1挟持片66は、本体部63のうち分割部材72側の側部に沿って延在する細長い部分である。ここでは、本体部63と第1挟持片66とは、樹脂によって、金型一体形成される。
【0072】
第1挟持片66には、分割部材62、72の境界に沿って延在する凹溝部66gが形成されている。凹溝部66gは、前記境界に沿って延びる細長い溝である。凹溝部66gの平面的な大きさは、上記側方凸部76cよりも大きく設定される。例えば、分割部材62、72の接近離隔方向(分割部材62、72が並ぶ方向)において、凹溝部66gの幅W2は、上記側方凸部76cの幅W1よりも大きい。また、例えば、分割部材62、72の境界の方向において、凹溝部66gの長さは、上記側方凸部76cの長さよりも大きい。この凹溝部66gに、側方凸部76cが収容され得る。側方凸部76cが凹溝部66gに収容された状態で、上記大きさに余裕がある分、側方凸部76cが凹溝部66g内で移動することができる。
【0073】
凹溝部66gの長手方向両端外側には、凹溝部66gの底面よりも突出する一対の支持凸部66bが形成されている。凹溝部66gの周囲4方は壁面によって囲まれている。凹溝部66gの底面に対する支持凸部66bの突出長は、連結片76の厚み寸法T1よりも大きい。ここでは、支持凸部66bに、連結片76の端部を嵌込可能な凹部が形成されており、溝部66gの底面に対する凹部の底面の高さが支持凸部66bの突出長に対応する。この突出長によって上記隙間の寸法T2が設定され得る。
【0074】
第2挟持片68は、本体部63とは別体に形成されている。第2挟持片68は、例えば、金属板であってもよい。第2挟持片68は、上記凹溝部66gよりも長い長方形板状に形成される。第2挟持片68の両端部が支持凸部66bに接した状態で、第2挟持片68が第1挟持片66に対して一定位置に取付けられる。例えば、第2挟持片68の両端部が一対の支持凸部66bに重ね合わされた状態で、ネジSによって第2挟持片68の端部が支持凸部66bにネジ止される。この部分の固定は、他のリベット止等によってなされてもよい。
【0075】
上記凹溝部66g内に側方凸部76cを収容した状態で、第2挟持片68を第1挟持片66に取付けることで、第1挟持片66と第2挟持片68との間に連結片76の側方凸部76cが挟込まれた状態となる。この状態で、第2挟持片68は、連結片76に対して第1挟持片66とは反対側で対向し、側方凸部76cを凹溝部66g内に収容された状態に保つ。
【0076】
第2挟持片68は、上記支持凸部66bに接した状態とされているため、凹溝部73gの底と第2挟持片68との間に、支持凸部66bの突出長に応じて上記寸法T2の隙間が確保される。このため、連結片76が第1挟持片66と第2挟持片68との間で動ける範囲内で、分割部材62、72がそれらの厚み方向Bにおいて揺動することができる。また、側方凸部76cは、凹溝部66gの4方を囲む壁面の内側で移動することができる。特に、分割部材62、72が並ぶ方向において、凹溝部66gの幅W2は、側方凸部76cの幅W1よりも大きい。この大きい分、側方凸部76cが凹溝部66g内を移動することができ、これにより、分割部材62、72は、それらの接近離隔方向Aにおいて相対移動することができる。また、側方凸部76cの部分は、凹溝部66gの長手方向長端において別々移動することができる。例えば、側方凸部76cの一端部が凹溝部66g内において本体部63側に偏り、側方凸部76cの他端部は凹溝部66g内において本体部63から遠ざかる方向に偏るような移動及びその逆の移動が可能である。これにより、分割部材62、72は、車両の前後方向Cに揺動するような相対移動も可能となる。
【0077】
このように構成された配線モジュール20によると、複数の取付部62a、72a、82aの間において、分割部材62、72、82が変位可能に連結される。このため、配線モジュール20が組付対象部分である屋根部分11に組付けられる際、分割部材62、72、82が互いに変位することによって、複数の取付部62a、72a、82aが屋根部分11の組付対象部分であるルーフ補強部材14の取付対象部分の位置に合せられる。これにより、剛性部材60がルーフ補強部材14に対して容易に取付けられ、配線モジュール20が組付対象部分である屋根等に容易に組込まれ得る。
【0078】
例えば、剛性部材60が取付けられるルーフ補強部材14は、ルーフパネル13に対して溶接されるため、位置誤差が大きい可能性がある。このような場合でも、その位置誤差に応じて、分割部材62、72、82を相対変位させることによって、剛性部材60がルーフ補強部材14に対して容易に取付けられる。
【0079】
また、ルーフパネル13は、車両の前後位置に応じて、曲り度合が異なったり、幅寸法が変化したりする。このような場合でも、複数の分割部材62、72,82を、ルーフパネル13の位置に応じた曲り度合又は幅寸法に合せて変位させることができる。これにより、同じ形状の剛性部材60を、ルーフパネル13における異なる場所にも容易に取付けることができる。さらに、ルーフパネル13は、車種等に応じて形状、寸法が異なる。この場合でも、複数の分割部材62、72,82を、ルーフパネル13の曲り度合又は幅寸法に合せて変位させることができる。これにより、同じ形状の剛性部材60を、異なる車種にも容易に取付けることができる。これにより、剛性部材60を多様な箇所に組付けたり、多様な車種に組付けたりすることができ、剛性部材60に汎用性を持たせることができる。
【0080】
また、複数の分割部材62、72、82が、互いに接近及び離隔移動可能、かつ、シート状部材30の厚み方向に揺動可能、かつ、複数の分割部材62、72、82の接近離隔方向とシート状部材30の厚み方向とに交差する方向(車両前後方向)に揺動可能に連結されていると、複数の取付部62a、72a、82aを3方向に相対移動させて、互いの位置を調整することができる。これにより、配線モジュール20が、車両10における組付対象部分により容易に組込まれる。
【0081】
また、連結片76が第1挟持片66と第2挟持片68の間に配置された状態で、分割部材62、72、82が連結されている。このため、連結片76が第1挟持片66と第2挟持片68との間で動ける範囲内で、分割部材62、72、82がシート状部材30の厚み方向に揺動できる。これにより、シート状部材30の過剰な垂下がりを抑制しつつ、取付部62a、72a、82aの位置調整を行え、配線モジュール20の組付性向上に貢献する。
【0082】
また、連結片76の側方凸部76cが凹溝部66g内に収容された状態で、第2挟持片68が連結片76に対して第1挟持片66とは反対側で対向して、側方凸部76cを凹溝部66gに収容された状態に保つ。このため、側方凸部76cが凹溝部66g内で動ける範囲で、分割部材62、72、82を、互いに接近離隔方向に移動可能、かつ、車両10の前後方向Cに揺動可能に連結することができる。
【0083】
また、連結片76が本体部73とは別体とされているため、連結片76の形状を調整することによって、分割部材62、72、82の距離を調整したり、変位可能な量を調整したりすることができる。例えば、連結片76の中央部の幅を大きくすることで、分割部材62、72、82間の距離を大きくして、剛性部材60の全体長を大きくすることができる。また、例えば、側方凸部76cの幅を調整したり、厚みを調整したりすることによって、側方凸部76cが凹溝部66g内で変位できる量を調整することができる。これにより、本体部63、73については、同一形状のものを用いつつ、剛性部材60の適用可能な形状を広げることができる。
【0084】
また、第2挟持片68の両端部が、一対の支持凸部66bに接した状態で、第2挟持片68が第1挟持片66に対して一定位置に取付けられる。これにより、第1挟持片66と第2挟持片68との隙間の寸法T2が一定に保たれ易くなり、第1挟持片66と第2挟持片68との間で連結片76が可変できる量、即ち、分割部材62、72、82の相対的な可変量(特に方向Bにおける可変量)を一定にし易い。
【0085】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線モジュールに適用され得る剛性部材160について説明する。図7は剛性部材160を示す斜視図である。図8は剛性部材160の部分拡大斜視図である。図9は剛性部材160の部分分解斜視図である。図10図8のX-X線断面図である。なお、本実施形態の説明において、実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0086】
剛性部材160は、第1実施形態で説明した剛性部材60に代えて、シート状部材30に取付けられるものである。剛性部材160は、上記分割部材62、72、82に対応する分割部材162、172、182を備える。
【0087】
剛性部材160には、上記取付部62a、72a、82aと同様に、取付部162a、182aが設けられる。図7では、分割部材162に取付部162aが設けられ、分割部材182に取付部182aが設けられる例が示される。上記したように、剛性部材160における取付部162a、182aの位置は任意である。複数の取付部162a、182aが2以上の分割部材162、182に分けて設けられ、かつ、複数の取付部162a、182aの間に、分割部材162、172、182を変位可能に連結する部分が存在すればよい。
【0088】
分割部材162、172の連結箇所に着目した説明を行う。なお、分割部材172、182の連結箇所についても同様の構成が適用され得る。
【0089】
分割部材162、172とは、相対的に変位可能に連結される。分割部材162、172とは、少なくとも1方向において相対的に変位可能であればよい。分割部材162、172は、互いに接近及び離隔移動可能(図10の矢符A参照)、かつ、シート状部材30の厚み方向(剛性部材160の厚み方向でもある、図10の矢符B参照)に揺動可能、かつ、複数の分割部材162、172の接近離隔方向とシート状部材30の厚み方向とに交差する方向に揺動可能(図8の矢符C参照)に連結されていてもよく、本実施形態では、そのための構成が説明される。
【0090】
分割部材172は、板状に広がる本体部173と、連結片176とを含む。本体部173のうち分割部材162側の縁部に連結片176が設けられる。連結片176は、シート状部材30の延在方向に沿って分割部材162側に向けて延びている。
【0091】
より具体的には、本体部173と連結片176とは、樹脂によって金型一体形成されている。本体部173のうち分割部材162側の側面の厚み方向中間部に連結片176が突出している。
【0092】
分割部材162は、板状に広がる本体部163と、第1挟持片166と、第2挟持片168とを含む。本体部163のうち分割部材172側の縁部に第1挟持片166と第2挟持片168とが設けられている。第1挟持片166と第2挟持片168とは、シート状部材30の方向に沿って延在している。
【0093】
ここでは、本体部163と、第1挟持片166と、第2挟持片168とは、樹脂によって金型一体形成されている。第1挟持片166は、本体部163のうち本体部163の下面寄りの位置から分割部材172側に突出している。第2挟持片168は、本体部163のうち本体部163の上面寄りの位置から分割部材172側に突出している。
【0094】
第1挟持片166と第2挟持片168とは、分割部材162の平面視において重なり合うように、本体部163の厚み方向において対向し合っている。第1挟持片166と第2挟持片168との間に、連結片176の厚み寸法T1以上の隙間T2が形成されている。そして、連結片176が第1挟持片166と第2挟持片168との間に配置された状態で、分割部材162、172が連結されている。このため、連結片176が第1挟持片166と第2挟持片168との間で動ける範囲内で、組付の支障となるような過剰な垂下がりを抑制しつつ、分割部材162、172がシート状部材30の厚み方向に揺動できる。
【0095】
分割部材162、172の一方にロック片164が設けられ、他方に受凹部174が設けられる。本実施形態では、分割部材162にロック片164が設けられ、分割部材172に受凹部174が設けられる例が示される。これとは逆に、一対の挟持片を有する分割部材に受凹部が設けられ、連結片を有する分割部材にロック片が設けられてもよい。
【0096】
ロック片164は、細長い部分の先端部にロック突部164aが突設された形状とされる。ロック突部164aは、例えば、ロック片164の先端部に向うに従って徐々に突出寸法が小さくなる部分を有する形状に形成される。ロック突部164aのうちロック片164の基端側を向く面は、ロック片164の延在方向に対して直交する面であってもよい。
【0097】
ロック片164は、第1挟持片166と第2挟持片168との間に設けられる。ここでは、第1挟持片166と第2挟持片168との延在方向両端に一対のロック片164が設けられる。ロック片164は、本体部163のうち第2分割部材172を向く側面において、第1挟持片166と第2挟持片168との間に突出している。ロック突部164aは、第1挟持片166と第2挟持片168との間において、それらの長手方向外側を向くように突出している。
【0098】
受凹部174は、分割部材172における連結片176に形成される。より具体的には、連結片176の長手方向両端部に、受凹部174が形成される。ここでは、連結片176のうち分割部材172側の端部から本体部173に向うように形成された方形状の有底穴部分174aが形成される。この有底穴部分174aの奥に受凹部174が形成される。有底穴部分174aは、ロック片164を挿入可能な大きさ及び深さに形成される。受凹部174は、有底穴部分の奥の側面に対して凹む(ここでは外側に開口する)形状に形成されている。受凹部174は、ロック突部164aを配置可能な大きさに形成される。受凹部174は、シート状部材30(分割部材162、172)の厚み方向及び分割部材162、172の接近離隔方向において、ロック突部164aの移動を許容する大きさに設定される。より具体的には、分割部材162、172の接近離隔方向A(分割部材162、172が並ぶ方向)において、受凹部174の寸法L2は、ロック突部164aの寸法L1よりも大きい。このため、ロック突部164aは、方向Aにおいて、受凹部174内を移動することができる。また、分割部材162、172の厚み方向において、受凹部174の寸法M2は、ロック突部164aの寸法M1よりも大きい。このため、ロック突部164aは、分割部材162、172の厚み方向においても、受凹部174内を移動することができる。
【0099】
なお、本実施形態では、連結片176に受凹部174が形成されているが、必ずしもその必要は無い。連結片176とは別に突片が形成され、その突片に受凹部が形成されてもよい。
【0100】
また、分割部材172に、第1挟持片166と第2挟持片168とのうちの少なくとも一方の外面に接触可能な補助片179が設けられる。ここでは、本体部173のうち分割部材162側を向く面であって、連結片176に対して第1挟持片166を介して対向する部分に補助片179が設けられる。補助片179は、本体部173に対して樹脂によって金型一体形成されている。
【0101】
連結片176と補助片179との間には、第1挟持片166の厚み寸法よりも大きい隙間が形成されている。このため、第1挟持片166は、連結片176と補助片179との間を、分割部材162、172の厚み方向に移動することができる。しかしながら、分割部材172に対して分割部材162が支持され、結果、ロック突部164aが受凹部174内において下縁に接する状態で、補助片179が第1挟持片166の外向き面(下向き面)に接触するようになっている。これにより、分割部材162、172が相対変位した場合において、分割部材162の荷重が、ロック突部164aと受凹部174との間だけではなく、補助片179によっても分散して受止められる。これにより、分割部材162、172が分離し難くなっている。
【0102】
本体部173の側面からの補助片179の突出長は、連結片176の突出長よりも小さく設定されていることが好ましい。これにより、分割部材162、172の相対的な変位を、補助片179が妨げないようにすることができる。
【0103】
この剛性部材160によると、連結片176を、第1挟持片166と第2挟持片168との間に配置しつつ、一対のロック片164を有底穴部分174aに挿入する。すると、ロック突部164aが有底穴部分174a内の外側側面に接触して、ロック片164が弾性変形する。ロック突部164aが受凹部174に達すると、ロック片164が元の形状に復帰し、ロック突部164aが受凹部174に嵌り込んだ状態となる。
【0104】
この状態では、ロック突部164aが受凹部174内を移動することができ、かつ、連結片176が第1挟持片166と第2挟持片168との間で移動できる範囲で、シート状部材30の厚み方向B(分割部材162、172の厚み方向)、及び、分割部材162、172の接近離隔方向Aに、分割部材162、172が相対的に変位することができる。また、連結片176の両端で、ロック突部164aが受凹部174内を方向Aに沿って移動できることから、連結片176の一端側でロック突部164aが本体部173に近く、連結片176の他端側でロック突部164aが本体部173から遠くに位置したり、また、その逆に位置したりすることが可能となり、結果、分割部材162、172は、車両10の前後方向Cにおいても相対的に揺動変位することができる。
【0105】
このように構成された剛性部材160を備える配線モジュールによっても、上記実施形態1と同様に、組付対象部分に対する取付作業を容易にすることができる。
【0106】
また、連結片176が第1挟持片166と第2挟持片168との間で動ける範囲で、分割部材162、172がシート状部材30の厚み方向に揺動変位できる。
【0107】
また、ロック突部164aが受凹部174内を移動する構成によって、比較的簡易な構成で、分割部材162、172が連結された状態のまま、多方向に相対的に変位できる。
【0108】
また、ロック片164が第1挟持片166と第2挟持片168との間に設けられるため、当該ロック片164が第1挟持片166と第2挟持片168との間で保護される。
【0109】
さらに、分割部材162、172が変位した場合の荷重が、補助片179によって分散して受止められるため、ロック突部164aに過剰な荷重が作用することが抑制される。
【0110】
[変形例]
本実施形態1、2では、分割部材72、172が、連結片を有する第1分割部材の一例であり、分割部材62、162が第1挟持片と第2挟持片とを有する第2分割部材の一例である。これらの例とは逆に、中央の分割部材が第1挟持片と第2挟持片を有する第2分割部材であり、端の分割部材が連結片を有する第1分割部材であってもよい。
【0111】
また、剛性部材の分割数、分割方向は任意である。剛性部材は、2つ又は4つ以上に分割されていてもよい。剛性部材は、車幅方向に沿ったラインで分割されていてもよい。
【0112】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0113】
10 車両
11 屋根部分
12 ボディ
13 ルーフパネル
13h アンテナ用孔
14 ルーフ補強部材
14P クリップ部材
16 内装部材
20 配線モジュール
30 シート状部材
40 伝送部材
50 ルーフ側機器
60、160 剛性部材
62、72、82、162、172、182 分割部材
62a、72a、82a、162a、182a 取付部
62h、72h、82h 孔
63、73、163、173 本体部
66、166 第1挟持片
66b 支持凸部
66g 凹溝部
68、168 第2挟持片
73g 凹溝部
76、176 連結片
76a 取付側部
76c 側方凸部
164 ロック片
164a ロック突部
174 受凹部
174a 有底穴部分
S ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10