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特許7567616着脱構造、その構造を用いた装置、および着脱構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】着脱構造、その構造を用いた装置、および着脱構造体
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G15/08 346
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021053533
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150776
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】滝口 俊央
(72)【発明者】
【氏名】下元 陽介
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-025990(JP,A)
【文献】特開2007-206732(JP,A)
【文献】実開昭63-087148(JP,U)
【文献】米国特許第05583612(US,A)
【文献】中国実用新案第205721081(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01
2/165-2/20
2/21-2/215
2/35-2/38
3/01-3/54
3/62
29/00-29/70
G03G13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の一端部に移動可能に設けられる第1凸部と、前記本体の他端部に変位可能に設けられる第2凸部を有し、挿抜移動により着脱される着脱構造体と、
前記着脱構造体を装着時に少なくとも2方向から挟んだ状態で収容する収容部と、前記収容部に設けられ前記第1凸部を引っ掛けて止める第1止め部と、前記収容部に設けられ、前記第2凸部を引っ掛けて止める第2止め部を有する装着構造体と、
を備え、
前記着脱構造体は、前記装着構造体から取り外す際に前記第1凸部の前記第1止め部との引っ掛けが先に外れて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止するときに、前記収容部の一部に突き当たって前記第2凸部を前記第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が前記本体に設けられている着脱構造。
【請求項2】
前記突き当て部は、前記着脱構造体の装着時の挿入方向に沿う中間の位置よりも上流側の位置に設けられている請求項1に記載の着脱構造。
【請求項3】
前記第2凸部は、前記着脱構造体の装着時の挿入方向に沿う中間の位置よりも下流側の位置に設けられている請求項2に記載の着脱構造。
【請求項4】
前記第2凸部は、前記第2止め部に引っ掛かる部分が、前記着脱構造体の取り外し時の引き抜き方向の上流側に傾いた形状で形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の着脱構造。
【請求項5】
前記第2止め部は、前記第2凸部を引っ掛ける部分が、前記着脱構造体の取り外し時の引き抜き方向の下流側に傾いた形状で形成されている請求項4に記載の着脱構造。
【請求項6】
前記第2凸部は、前記本体の上端部に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の着脱構造。
【請求項7】
前記突き当て部は、前記着脱構造体を挿抜移動する方向に沿って案内する案内突起として又はその一部として設けられている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の着脱構造。
【請求項8】
前記第2凸部は、下方に撓んで変位した後に前記第2止め部に引っ掛けられるスナップフィットとして構成されている請求項6に記載の着脱構造。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の着脱構造を備えた装置。
【請求項10】
前記着脱構造体が複数あり、当該複数の着脱構造体が前記収容部に横並びでかつ接近した状態で装着される請求項9に記載の装置。
【請求項11】
本体と、前記本体の一端部に移動可能に設けられる第1凸部と、前記本体の他端部に変位可能に設けられる第2凸部を有し、挿抜移動により装着構造体に着脱される着脱構造体であって、
前記装着構造体が、前記着脱構造体を装着時に少なくとも2方向から挟んだ状態で収容する収容部と、前記収容部に設けられて前記第1凸部を引っ掛けて止める第1止め部と、前記収容部に設けられ前記第2凸部を引っ掛けて止める第2止め部を有しており、
前記装着構造体から取り外す際に前記第1凸部の前記第1止め部との引っ掛けが先に外れて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止するときに、前記収容部の一部に突き当たって前記第2凸部を前記第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が前記本体に設けられている着脱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着脱構造、その構造を用いた装置、および着脱構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーカートリッジ等の着脱構造体を装置本体における装着部等の装着構造体に着脱可能に装着する着脱構造としては、例えば、下記特許文献1に記載されている技術が知られている。
【0003】
すなわち、特許文献1には、開口を有するハウジングと、前記ハウジングに着脱可能であり、円筒形状のトナーカートリッジと、前記ハウジングにおいて前記開口を挟む位置に設けられる案内部材と、前記開口を覆う閉位置から当該開口を解放する開位置まで、前記案内部材に対して滑るシャッター本体と、前記シャッター本体から延びて設けられ、凸部を有し、当該凸部が前記トナーカートリッジの外周面により押されることによって前記閉位置でのロック状態が解除されるスナップフィット部とを有するカートリッジ支持ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-52106号公報(請求項1、図2-6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、本体とその本体の一端部に移動可能に設けられる第1凸部とその本体の他端部に変位可能に設けられる第2凸部を有する着脱構造体を装着構造体の収容部から取り外す際、第1凸部の前記収容部にある第1止め部との引っ掛けが先に外されて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止する場合であっても、その傾いて停止するときに前記収容部の一部に突き当たって第2凸部を前記収容部にある第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が設けられていない場合に比べて、着脱構造体を容易に取り外すことができる着脱構造、その構造を用いた装置、および着脱構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(1)は、本体と、前記本体の一端部に移動可能に設けられる第1凸部と、前記本体の他端部に変位可能に設けられる第2凸部を有し、挿抜移動により着脱される着脱構造体と、
前記着脱構造体を装着時に少なくとも2方向から挟んだ状態で収容する収容部と、前記収容部に設けられ前記第1凸部を引っ掛けて止める第1止め部と、前記収容部に設けられ、前記第2凸部を引っ掛けて止める第2止め部を有する装着構造体と、
を備え、
前記着脱構造体は、前記装着構造体から取り外す際に前記第1凸部の前記第1止め部との引っ掛けが先に外れて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止するときに、前記収容部の一部に突き当たって前記第2凸部を前記第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が前記本体に設けられている着脱構造である。
【0007】
この発明(2)は、上記発明(1)の着脱構造において、前記突き当て部は、前記着脱構造体の装着時の挿入方向に沿う中間の位置よりも上流側の位置に設けられている着脱構造である。
【0008】
この発明(3)は、上記発明(2)の着脱構造において、前記第2凸部は、前記着脱構造体の装着時の挿入方向に沿う中間の位置よりも下流側の位置に設けられている着脱構造である。
【0009】
この発明(4)は、上記発明(1)から(3)のいずれかの着脱構造において、前記第2凸部は、前記第2止め部に引っ掛かる部分が、前記着脱構造体の取り外し時の引き抜き方向の上流側に傾いた形状で形成されている着脱構造である。
【0010】
この発明(5)は、上記発明(4)の着脱構造において、前記第2止め部は、前記第2凸部を引っ掛ける部分が、前記着脱構造体の取り外し時の引き抜き方向の下流側に傾いた形状で形成されている着脱構造である。
【0011】
この発明(6)は、上記発明(1)から(5)のいずれかの着脱構造において、前記第2凸部は、前記本体の上端部に設けられている着脱構造である。
【0012】
この発明(7)は、上記発明(1)から(6)のいずれかの着脱構造において、前記突き当て部は、前記着脱構造体を挿抜移動する方向に沿って案内する案内突起として又はその一部として設けられている着脱構造である。
【0013】
この発明(8)は、上記発明(6)の着脱構造において、前記第2凸部は、下方に撓んで変位した後に前記第2止め部に引っ掛けられるスナップフィットとして構成されている着脱構造である。
【0014】
また、この発明(9)は、上記発明(1)から(8)のいずれかの着脱構造を備えた装置である。
【0015】
この発明(10)は、上記発明(9)の装置において、前記着脱構造体が複数あり、当該複数の着脱構造体が前記収容部に横並びでかつ接近した状態で装着される装置である。
【0016】
さらに、この発明(11)は、本体と、前記本体の一端部に移動可能に設けられる第1凸部と、前記本体の他端部に変位可能に設けられる第2凸部を有し、挿抜移動により装着構造体に着脱される着脱構造体であって、
前記装着構造体が、前記着脱構造体を装着時に少なくとも2方向から挟んだ状態で収容する収容部と、前記収容部に設けられて前記第1凸部を引っ掛けて止める第1止め部と、前記収容部に設けられ前記第2凸部を引っ掛けて止める第2止め部を有しており、
前記装着構造体から取り外す際に前記第1凸部の前記第1止め部との引っ掛けが先に外れて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止するときに、前記収容部の一部に突き当たって前記第2凸部を前記第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が前記本体に設けられている着脱構造体である。
【発明の効果】
【0017】
上記発明(1)の着脱構造と上記発明(11)の着脱構造体によれば、その着脱構造体を装着構造体の収容部から取り外す際、第1凸部が前記収容部にある第1止め部との引っ掛けが先に外されて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止する場合であっても、その傾いて停止するときに前記収容部の一部に突き当たって第2凸部を前記収容部にある第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が設けられていない場合に比べて、着脱構造体を装着構造体から容易に取り外すことができる。
【0018】
上記発明(2)によれば、突き当て部が着脱構造体の中間の位置よりも上流側の位置に設けられていない場合に比べて、着脱構造体をより容易に取り外すことができる。
【0019】
上記発明(3)によれば、第2凸部が着脱構造体の中間の位置より下流側の位置に設けられていない場合に比べて、着脱構造体をより一層容易に取り外すことができる。
【0020】
上記発明(4)によれば、第2凸部の第2止め部に引っ掛かる部分が着脱構造体の引き抜き方向の上流側に傾いた形状で形成されていない場合に比べて、第2凸部を第2止め部との引っ掛けから外しやすくなる。
【0021】
上記発明(5)によれば、第2止め部の第2凸部を引っ掛ける部分が引き抜き方向の下流側に傾いた形状で形成されていない場合に比べて、第2凸部が第2止め部との引っ掛けから外しやすくなる。
【0022】
上記発明(6)によれば、第2凸部が着脱構造体の上端部に設けられていない場合に比べて、着脱構造体をより容易に取り外すことができる。
【0023】
上記発明(7)によれば、突き当て部が案内突起として又はその一部として設けられていない場合に比べて、着脱構造体が着脱時に突き当て部により案内される。
【0024】
上記発明(8)によれば、第2凸部がスナップフィットとして構成されていない場合に比べて、第2凸部が第2止め部との引っ掛けから容易に外されやすくなる。
【0025】
また、上記発明(9)の装置によれば、その着脱構造体を装着構造体の収容部から取り外す際、第1凸部が前記収容部にある第1止め部との引っ掛けが先に外されて当該着脱構造体が前記収容部内で傾いて停止する場合であっても、その傾いて停止するときに前記収容部の一部に突き当たって第2凸部を前記収容部にある第2止め部との引っ掛け量が減少する姿勢に保つ突き当て部が設けられていない場合に比べて、着脱構造体を装着構造体から容易に取り外すことができる。
【0026】
上記発明(10)によれば、装着構造体の収容部に横並びでかつ接近した状態で装着される複数の着脱構造体を装着構造体からそれぞれ取り外す際に着脱構造体が上記したように収容部内で傾いて停止する場合であっても、その各着脱構造体を装着構造体からそれぞれ容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(A)は実施の形態1に係る着脱構造を用いた画像形成装置の外観の状態を示す斜視図、(B)は(A)の画像形成装置のサイド扉を開けたときの状態を示す斜視図である。
図2図1の画像形成装置の内部の構成を示す概要図である。
図3図1の画像形成装置から現像剤容器が取り外されたときの状態を示す斜視図である。
図4】現像剤容器の概要を示す斜視図である。
図5】実施の形態1に係る着脱構造における現像剤容器および容器装着部の概要を示す縦断面図である。
図6図5の現像剤容器を容器装着部に装着した状態を示す要部縦断面図である。
図7】現像剤容器の要部を示す概略断面図および一部拡大図である。
図8】容器装着部の要部を示す概略断面図および一部である。
図9】(A)は装着時の現像剤容器および容器装着部の上部を示す概略断面図、(B)は(A)の下部を示す概略断面図である。
図10図5等の現像剤容器の取り外す際の一状態を示す要部縦断面図である。
図11】(A)は図10の状態における要部を拡大して示す概略図、(B)は第2凸部の引っ掛かり量の減少の状態を説明する図である。
図12】(A)は装着時における第2凸部の状態を説明する図、(B)は図10の状態のときの第2凸部の状態を説明する図である。
図13】(A)は比較例の現像剤容器が図10の状態になったときの上部の状態を示す概略断面図、(B)は比較例の現像剤容器における第2凸部の引っ掛かり量の減少の状態を説明する図である。
図14】実施の形態2に係る着脱構造における現像剤容器および容器装着部の概要を示す縦断面図である。
図15図14の現像剤容器を容器装着部に装着した状態を示す要部縦断面図である。
図16図14の現像剤容器の取り外す際の一状態を示す要部縦断面図である。
図17図16の状態における要部を拡大して示す概略図である。
図18】実施の形態3に係る着脱構造における現像剤容器および容器装着部の概要を示す縦断面図である。
図19図18の現像剤容器を容器装着部に装着した状態を示す要部縦断面図である。
図20図18の現像剤容器の取り外す際の一状態を示す要部縦断面図である。
図21図20の状態における要部を拡大して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明を実施するための形態(本明細書では単に「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。
【0029】
実施の形態1.
図1図2は、実施の形態1に係る着脱構造5を用いた装置1の一例である画像形成装置1Aを示す図面である。図1には画像形成装置1Aの外観の状態が示され、図2には画像形成装置1Aの内部の状態が示されている。
以下の説明では、図面に矢印Xで示す方向を画像形成装置1Aの正面における幅方向とし、矢印Yで示す方向を画像形成装置1Aの正面における高さ方向とし、矢印Zで示す方向を上記幅方向および高さ方向の双方に直交する画像形成装置1Aの正面から背面に至る奥行方向とする。
【0030】
<画像形成装置>
画像形成装置1Aは、入力される画像の情報に対応した画像をシート状の記録媒体19に形成するプリンタとして構成されている。
画像形成装置1Aは、図2に示されるように、電子写真方式等により現像剤からなる可視像を記録媒体19に形成する像形成装置2A等を備えており、その像形成装置2A等が筐体10の内部に配置されている。また、画像形成装置1Aは、図1(B)や図3に示されるように、筐体10に着脱可能に装着される着脱構造体6の一例である現像剤容器60を備えている。現像剤容器60は、像形成装置2Aに補給する現像剤が収容された着脱式の容器である。
【0031】
筐体10は、支持フレーム、外装パネル等の材料を組み合わせて箱等の外観形状になるよう製作される構造物である。筐体10は、その上面部に、画像が形成された後に外部に排出される記録媒体19を収容する排出収容部12が設けられている。また筐体10は、その一側面部に、開閉動するサイド扉14が設けられている。さらに筐体10は、サイド扉14を開けた部分に、現像剤容器60を着脱可能に装着する装着構造体7の一例である容器装着部70が設けられている。
実施の形態1に係る着脱構造5は、現像剤容器60と容器装着部70を備えたものであるが、その詳細については後述する。
【0032】
像形成装置2Aは、図2に示されるように、画像の情報に基づく潜像を現像剤で現像した可視像であるトナー像を作成する作像装置20と、作像装置20で作成されるトナー像を一時的に保持した後に記録媒体19に二次転写する中間転写装置30と、記録媒体19を収容してトナー像が転写される位置に供給する媒体供給装置40と、転写されたトナー像を記録媒体19に定着させる定着装置45等を備えている。現像剤としては、例えば、トナーとキャリアを有する二成分現像剤が使用される。
【0033】
作像装置20は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に作成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kにて構成されている。
【0034】
4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kはいずれも、図2に示されるように、矢印Aで示す方向に回転して潜像および可視像を保持する像保持体の一例であるドラム形態の感光体21を有している。
また、作像装置20Y,20M,20C,20Kは、その感光体21の周囲に、感光体21の外周面を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光体21の帯電された外周面に画像の情報に応じた露光により静電潜像を形成する露光装置23と、静電潜像を現像剤(実際にはトナー)により現像して可視像としてのトナー像にする現像装置24Y,24M,24C,24Kと、トナー像を中間転写装置30に転写させる一次転写装置25と、感光体21の外周面を清掃する第1清掃装置26等の機器が配置されている。図2では、21から26の符号をイエロー(Y)の作像装置20Yにのみ全部記載し、他の色の作像装置20M,20C,20Kにはその一部の符号のみを記載している。
【0035】
中間転写装置30は、図2に示されるように、トナー像を保持して搬送する中間転写ベルト31を有している。中間転写ベルト31は、トナー像を静電気力により保持できる外周面を有する無端状のベルトであり、その内側に配置される複数の支持ロール32(例えば2つの支持ロール32a,32b)により、作像装置20Y,20M,20C,20Kの各感光体21と接触する一次転写位置TP1を順次通過して矢印Bで示す方向に回転するよう支持されている。中間転写ベルト31は、一次転写装置25により各感光体21と接触させられている。
また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31の周囲に、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像を記録媒体19に二次転写させる二次転写装置35、中間転写ベルト31の外周面を清掃する第2清掃装置36等の機器が配置されている。
【0036】
媒体供給装置40は、記録媒体19を積載して収容するとともに筐体10の外側に引き出し可能に取り付けられる収容体41と、収容体41に収容されている記録媒体19を1枚ずつ送り出す送出装置42等を備えている。
また、媒体供給装置40は、送り出される記録媒体19を中間転写装置30の二次転写が行われる位置まで供給するよう搬送する、一対の搬送ロール44a,44b、図示しない案内部材等で構成された供給搬送路Tr1と接続されている。記録媒体19としては、筐体10内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な、普通紙、コート紙、厚紙、封筒等のシート状の媒体が使用される。
【0037】
定着装置45は、記録媒体19の導入口や排出口が設けられた図示しない筐体の内部空間に、図示しない加熱手段を有するロール形態、ベルト・ニップ形態等からなる加熱用回転体46、ロール形態等からなる加圧用回転体47等の機器が配置されている。定着装置45では、所要の温度に加熱される加熱用回転体46と加圧用回転体47が所要の圧力で圧接するニップ部が定着処理を行う部位になっている。
また、定着装置45は、定着後の記録媒体19を筐体10に設けられた排出口13から排出するよう搬送する、一対の排出ロール48、図示しない案内部材等で構成された排出搬送路Tr3と接続されている。
【0038】
<画像形成動作>
画像形成装置1Aは、図示しない制御装置から画像形成動作の指令を受けると、像形成装置2Aによる以下の画像形成動作が実行される。
【0039】
まず、作像装置20Y,20M,20C,20Kでは、矢印Aで示す方向に回転する各感光体21に対して帯電装置22による帯電の動作、露光装置23による露光の動作、現像装置24Y,24M,24C,24Kによる現像の動作がこの順番でそれぞれ実行される。これにより、その各感光体21の外周面には、4色(Y,M,C,K)のいずれか1色からなるトナー像が専用に作成される。例えば、作像装置20Yにおける感光体21の外周面にはイエロー(Y)色のトナー像が作成され、作像装置20Mにおける感光体21の外周面にはマゼンタ(M)色のトナー像が作成される。
【0040】
続いて、中間転写装置30では、矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31に対して中間転写ベルト31と作像装置20Y,20M,20C,20Kの各一次転写装置25とが対向する各一次転写位置TP1において、一次転写装置25による一次転写の動作がそれぞれ実行される。これにより、中間転写ベルト31には、その各感光体21に作成されたトナー像がそれぞれ所定のタイミングで一次転写される。一次転写後の各感光体21は、その外周面が各第1清掃装置26により残留するトナー等の不要物がそれぞれ除去されて清掃される。
【0041】
また、中間転写装置30では、中間転写ベルト31の二次転写装置35と対向する二次転写位置TP2において、二次転写装置35による二次転写の動作が実行される。これにより、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像が媒体供給装置40から供給される記録媒体19の片面に一括して二次転写される。二次転写後の中間転写ベルト31は、その外周面が第2清掃装置36により残留するトナー等の不要物が除去されて清掃される。
【0042】
一方、媒体供給装置40では、トナー像の二次転写の動作時期に合わせるように送出装置42が始動して収容体41から記録媒体19を1枚ずつ送り出すよう作動する。媒体供給装置40から送り出される記録媒体19は、供給搬送路Tr1を経由して中間転写装置30の二次転写位置TP2まで搬送される。
【0043】
定着装置45では、二次転写位置TP2から送り出されるトナー像が二次転写された記録媒体19が、加熱用回転体46と加圧用回転体47が圧接するニップ部に導入されて通過させられる定着の動作が実行される。これにより、記録媒体19上のトナー像は、ニップ部で加熱、加圧等の定着処理を受けて記録媒体19の片面に溶融・圧着されて定着される。
定着装置45による定着の動作が終了した記録媒体19は、排出搬送路Tr3を経由して排出口13まで搬送された後、排出口13から筐体10の外部に排出されて排出収容部12に収容される。
【0044】
以上により、基本的な画像形成動作が終了する。
この画像形成装置1Aでは、例えば、4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kの2以上を作動させることにより4色(Y,M,C,K)の2色以上のトナー像を組み合わせて構成される多色画像を形成する動作、4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kの1つを作動させることにより単色のトナー像からなる単色画像(例えば黒画像)を形成する動作等に代表される種類の異なる画像形成動作を任意に選択して行うことができる。
また、この画像形成装置1Aでは、画像形成動作等により現像装置24Y,24M,24C,24Kにおける現像剤(トナー)が消費されてその量が減少するので、現像剤容器60から現像剤を必要な時期に必要な量だけ補給するようになっている。
【0045】
<着脱構造の構成>
次に、この画像形成装置1Aが採用している、現像剤容器60の容器装着部70との着脱構造5について説明する。
【0046】
現像剤容器60は、図3等に示されるように、像形成装置2Aの現像装置24Y,24M,24C,24Kにそれぞれ補給すべき4色の各現像剤が個別に収容される4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kとして構成されている。現像剤容器60に収容される現像剤は、トナーのみの場合が多いが、キャリアを所要の量だけ含むトナーであってもよい。以下の説明では、この4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kを代表して、単に現像剤容器60と記載することもある。
【0047】
4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kは、筐体10の容器装着部70に対して矢印D1,D2で示す挿抜方向に沿うよう挿抜移動させることにより自在に着脱して使用される。また、4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kは、図1(B)に示されるように、容器装着部70に対して横並びの状態でかつ接近した状態で装着されるようになっている。
【0048】
着脱構造5における現像剤容器60Y,60M,60C,60Kは、そのいずれも、補給すべき現像剤が収容される容器状の本体61と、本体61の一端部に上下方向に移動可能に設けられる第1凸部63と、本体61の他端部に弾性により上下に変位可能に設けられる第2凸部67を有している。
【0049】
現像剤容器60における本体61は、図4から図6等に示されるように、その外観が縦長のほぼ直方体状の形状からなっており、内部に現像剤を収容する収容空間S1が形成されている。本体61は、その外観を見ると、上端部61a,下端部61b、正面部61c、背面部61d、左側面部61eおよび右側面部61fを有している。
【0050】
また、本体61は、図7に示されるように、その上端部に現像剤を充填する際に使用する充填口612が設けられているとともに、その充填口612を塞ぐ蓋613が設けられている。
さらに、本体61は、その下部に、収容空間S1に収容されている現像剤を補給時に送り出す図示しない搬送部材が配置された搬出部614が設けられている。搬出部614には、現像剤が排出される図示しない排出口を開閉する開閉蓋615が挿抜方向D1,D2に沿う方向に移動可能に設けられている。開閉蓋615は、外力を加えない限りは排出口を閉じる位置に移動して止まっているよう、図示しないコイルばね等の付勢部材により挿入方向D1にむけて付勢されている。
【0051】
現像剤容器60における第1凸部63は、本体61の一端部の一例である下端部61bに設けられており、しかも、その下端部61bのうち挿入方向D1の上流側の端部付近、換言すれば正面部61cに接近した位置に設けられている。
実施の形態1における第1凸部63は、本体61の下端部61bから下方に突出させる突出部64と、突出部64を上下方向に移動可能に移動させるよう支持する支持部65とを有する部材として構成されている。
【0052】
上記突出部64は、図7等に示されるように、挿抜方向D1,D2に沿う支持面64aと、支持面64aから重力方向に垂下して後述する第1受け部73に引っ掛けられるよう接触する垂下面64bと、垂下面66bの下端から挿入方向D1にむけて上昇するよう傾斜する導入斜面64cとを有する形状からなる部分である。
【0053】
上記支持部65は、突出部64の上方にほぼ直線的に延びて、その途中に本体61の収容空間S1の内側に窪むように曲げられた曲げ操作部65aが設けられた部分である。
また、支持部65は、保持部材66により本体61の正面部61cの内面との間に形成される保持空間内に格納された状態で上下方向E1,E2に所要の距離だけ移動可能に保持されている。所要の距離は、第1凸部63の後述する第1受け部73との引っ掛かりを移動して解除するために必要な距離である。
【0054】
保持部材66は、支持部65の曲げ操作部65aと対応する部位に、曲げ操作部65aを上下移動可能に保持するよう本体61の収容空間S1の内側に窪んで突出する形状の突出部66aが設けられている。また、本体61の正面部61cのうち保持部材66の突出部66aと対応する部位には、突出部66a内に存在させる支持部65の曲げ操作部65aを現像剤容器60の取り外し時に上方に移動させる操作を行うために使用者の指を入れることが可能な操作開口部61gが設けられている。
【0055】
この第1凸部63は、現像剤容器60の装着時に突出部64が上下移動の可能範囲の最下点に存在する一方で、現像剤容器60の取り外し操作時に突出部64が上下移動の可能範囲の上方向E1に移動させられて後述する第1受け部73との引っ掛かりから外されるようになっている。第1凸部63は、その自重で上下移動の可能範囲の最下点に移動するよう構成されるか、又は上下移動の可能範囲の最下点に移動するようばね等の付勢手段により下方向E2に付勢されるよう構成される。
【0056】
現像剤容器60における第2凸部67は、図5図7等に示されるように、本体61の他端部の一例である上端部61aに設けられている。つまり、この第2凸部67は、本体61を挟んで第1凸部63とは反対側の部位に配置されている。
実施の形態1における第2凸部67は、本体61の上端部61aから上方に突出する形状の突出部68と、突出部68を上下方向に変位可能に支持する弾性支持部69とを有する部材として構成されている。
【0057】
突出部68は、図5図7等に示されるように、その頂部が上端部61aから所要の量だけ突出する山形に曲げられた形状からなる部分である。この突出部68は、上方に立ち上がって後述する第2受け部77に引っ掛けられるよう接触する立上げ面68aと、立上げ面68aの上端から斜め下方にむけて延びる先端斜面68bとを有する形状になっている。
弾性支持部69は、突出部68の立上げ面68aの下端から先端斜面68bとは反対側に延びる板状の部分である。弾性支持部69は、特に突出部68が下方に変位するよう撓んで支持することができる程度の弾性を有する合成樹脂等の材料で作成されている。
【0058】
また、第2凸部67は、図4図5図7等に示されるように、突出部68が、本体61の上端部61aのうち現像剤容器60の装着時の挿入方向D1に沿う寸法Ldの中間の位置(Ld/2の位置)よりも下流側の位置に切り欠いて設けられる切欠き凹部61hの中に存在するよう配置される。上記寸法Ldは、本体61の正面部61cと背面部61dの最大の離間距離にほぼ相当するものである。
本実施の形態1における第2凸部67は、突出部68と弾性支持部69が同じ材料(合成樹脂など)により一体に成形して製作される。また、この第2凸部67は、本体61の上端部61aの上カバーに取り付けられる部品として構成するか、又はその上カバーの一部として一体的に製作してもよい。
【0059】
この第2凸部67は、現像剤容器60の装着時に突出部68が通常の位置である最上の位置に存在して後述する第2受け部77に引っ掛かる状態になる一方で、現像剤容器60の装着時および取り外し操作時の途中の段階で突出部68が後述する第2受け部77に接触して弾性支持部69の弾性変形により下方に変位させられて後述する第2受け部77を乗り越えて通過するようになっている。
つまり、この第2凸部67は、突出部68が下方に撓んで変位した後に第2受け部77に引っ掛かる部品、いわゆるスナップフィットとして構成されている。
【0060】
一方、着脱構造5における容器装着部70は、4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kをその装着時に上下および左右の方向から挟んだ状態で収容する収容部71と、収容部61に設けられて第1凸部63を引っ掛けて止める第1止め部73と、収容部71に設けられて第2凸部67を引っ掛けて止める第2止め部77を有する構造体として構成されている。
【0061】
容器装着部70における収容部71は、画像形成装置1の筐体10の一側面部にその内側に窪んだ凹部空間を有するよう形成された部分である。
収容部71は、天井面部71a、底面部71b、左側壁部71e、右側壁部71fおよび奥壁面部71gを有するほぼ直方体状の凹部空間が形成されている。
このうち天井面部71aと底面部71bは、その離間距離である高さ寸法が容器装着部70の本体71の高さ寸法よりも少し長い寸法になるよう設定されている。これにより、収容部71は、天井面部71aと底面部71bが、本体61における上端部61aと下端部61bと数ミリ程度の隙間をあけて現像剤容器60をその上下から接近して挟んだ状態で収容する。
【0062】
また、収容部71は、図3図5等に示されるように、その凹部空間に、4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kを横並びの状態で収容する際の専用の4個の収容空間を区切って形成するよう3つの上仕切り板712と3つの下仕切り714が設けられている。
これにより、収容部71は、左側壁部71eと左側の上仕切り板712および下仕切り714とで区切られる現像剤容器60Y専用の収容空間、左側の上仕切り板712および下仕切り714と中央の上仕切り板712および下仕切り714とで区切られる現像剤容器60M専用の収容空間、中央の上仕切り板712および下仕切り714と右側の上仕切り板712および下仕切り714とで区切られる現像剤容器60C専用の収容空間、右側の上仕切り板712および下仕切り714と右側壁部71fとで区切られる現像剤容器60K専用の収容空間という4つの収容空間が形成されている。
またこれにより、収容部71は、左側壁部71eと3つの上仕切り板712および下仕切り714と右側壁部71fが、装着したときの4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの各本体61をその各左右からそれぞれ1,2mm程度の隙間をあけて挟んだ状態で収容する。
【0063】
さらに、収容部71は、図3図5等に示されるように、その奥壁面部71gに、現像剤容器60から補給される現像剤を受け入れて所定の現像装置24Y,24M,24C,24Kに個別に搬送する4つの補給搬送部28Y,28M,28C,28Kが突出した状態で設けられている。
この補給搬送部28Y,28M,28C,28Kは、現像剤容器60の装着の際、現像剤容器60側にある搬出部614と接続される。またその装着の際、補給搬送部28Y,28M,28C,28Kは、搬出部614にある開閉蓋615を現像剤容器60の引き抜き方向D2に押して排出口を開ける位置に移動させる機能を有している。
【0064】
容器装着部70における第1止め部73は、図5図8等に示されるように、収容部71の底面部71bに設けられている。より詳しくは、第1止め部73は、収容部71の底面部71bのうち入口側の端部に設けられており、装着されたときの現像剤容器60における第1凸部63(その突出部65)とほぼ対峙して引っ掛かりを可能にする位置に配置されている。
また、第1止め部73は、図3図8等に示されるように、収容部71の底面部71bの入口側端部に正面と上面から開口する箱状に切り欠いた状態で設けられる凹部74と、凹部74の底面に設けられる突起部75とを有する構造部分として構成されている。
【0065】
上記突起部75は、図8等に示されるように、凹部74の底面からほぼ直角に立ち上がって第1凸部63の垂下面64bが引っ掛けられるように接触する垂直面75aと、垂直面75aの上端から収容部71の外側に向けて下降するよう傾斜する誘導斜面75bとを有する形状からなる部分である。凹部74は、突起部75の垂直面75aよりも奥側に、第1凸部63の突出部64を受け入れることができる隙間空間76が確保されている。
【0066】
容器装着部70における第2止め部77は、図5図8等に示されるように、収容部71の天井面部71aに設けられている。より詳しくは、第2止め部77は、収容部71の天井面部71aのうち奥側の位置、換言すれば装着されたときの現像剤容器60における第2凸部67(の突出部68と弾性支持部69の間)とほぼ対峙して引っ掛かりを可能にする位置に設けられている。
第2止め部77は、収容部71の天井面部71aから下方に垂下する垂下面77aと、垂下面77aの下端から収容部71の入口側にむけて斜めに上昇する誘導斜面77bとを有する形状からなる部分である。
【0067】
<現像剤容器の装着および取り外し>
この着脱構造5では、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの容器装着部70への装着が以下のように行われる。
【0068】
すなわち、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kはいずれも、図3図5に示される装着前の状態から、容器装着部70の所定の収容空間に対して矢印D1で示す挿入方向に移動させるように押し込むという取り付け作業が例えば画像形成装置1の使用者によって順番に行われることにより、図1(B)や図6に示されるように装着される。
【0069】
この際、現像剤容器60は、容器装着部70の収容部71において、その天井面部71aと底面部71bにより上下を挟まれた状態になるとともに、その左側面部71eと3つの上仕切り板712および下仕切り714と右側壁部71fとのいずれかの組み合わせにより左右を挟まれた状態になって収容される。また、装着されるとき現像剤容器60は、主に、その本体61の下端部61bが収容部71における底面部71b上を摺擦するように移動させられる。
【0070】
そして、この装着においては、図6等に示されるように、最終的に現像剤容器60における第1凸部63が容器装着部70における第1受け部73に引っ掛かって止められる一方で、第2凸部67が容器装着部70における第2受け部77に引っ掛かって止められる状態になることで装着が完了する。
【0071】
このときの第1凸部63は、図7図9(B)に示されるように、その突出部64が支持部65に移動可能に支持されて、導入斜面64cを介して第1受け部73の突起部75の誘導斜面75bを乗り上げるように上方向E1へ一時的に移動(図7に二点鎖線で示す状態)した後、その誘導斜面75bを通過した時点で下方向E2に移動して戻る。これにより、第1凸部63は、その突出部64の垂下面64bが第1受け部73の突起部75の垂直面75aと接触するよう向き合うことで引っ掛かって止められた状態になる。
【0072】
また、このときのスナップフィット形式の第2凸部67は、図9(A)に示されるように、その突出部68が、先端斜面68bを介して第2受け部77の誘導斜面77bに徐々に押し下げられるよう弾性支持部69の撓みにより下方向E2へ一時的に変位(図7に二点鎖線で示す状態)した後、その誘導斜面77bを通過した時点で弾性支持部69の弾性復元力により上方向E1に変位して戻る。これにより、第2凸部67は、その突出部68の立ち上げ面68aが第2受け部77の垂下面77aと接触するよう向き合って引っ掛かって止められた状態になる。
【0073】
以上の取り付け作業により、4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kは、図1(B)に示されるように、容器装着部70の収容部71に横並びの状態でかつ互いに接近した状態で装着される。
なお、この装着時における第1凸部63の第1受け部73への引っ掛かりと第2凸部67の第2受け部77への引っ掛かりは、ほぼ同じタイミングで行われるよう構成されている。
【0074】
ちなみに、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kは、容器装着部70の収容部71に装着されるとき、収容部71にある補給搬送部28が現像剤容器60における搬出部614の開閉蓋615に接触して、開閉蓋615を図示しない付勢手段の付勢力に抗して挿入方向D1の上流側にむけて押し、搬出部614の排出口を開ける位置に移動させる。これにより、現像剤容器60は、その搬出部614が補給搬送部28と接続された状態になり、現像装置24への現像剤の補給が可能な状態になる。
【0075】
また、この装着されたときの現像剤容器60は、上記付勢手段の付勢力に抗した反力を受けるので引き抜き方向D2に押された状態に保たれる。この結果、現像剤容器60は、その装着完了時に、第1凸部63の垂下面64bが第1受け部73の突起部75の立ち上げ面75aに対してその反力で押し付けられた状態になり、そのため第1凸部63の第1受け部73の引っ掛かりが安定して維持される。
【0076】
また、この着脱構造5では、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの容器装着部70からの取り外しが以下のように行われる。
【0077】
すなわち、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kはいずれも、図1(B)や図6に示される装着の状態から、容器装着部70の所定の収容空間に対して矢印D2で示す引き抜き方向に移動させるように引き抜くという取り外し作業が画像形成装置1の使用者によって順番に行われることにより、図3図5に示されるように取り外される。
【0078】
この際、現像剤容器60は、その本体61の操作開口部61gから使用者が指を入れて第1凸部63の支持部65における曲げ操作部65aを上方向E1に持ち上げるように移動させた状態にしたうえで、容器装着部70の収容部71から引き抜き方向D2に沿うように引き出される。
このとき現像剤容器60は、第1凸部63の突出部64が上方向E1に移動させられて第1受け部73との引っ掛かりが外されて引き抜くことが可能になる。また現像剤容器60は、その引き抜き方向D2への移動が開始される過程で、第2凸部67の突出部68が弾性支持部69の下方向E2への撓みにより下方に変位して第2受け部77との引っ掛かりが外された状態になる。
【0079】
以上の取り外し作業により、4つの現像剤容器60Y,60M,60C,60Kは、図3図5に示されるように、容器装着部70の収容部71からそれぞれ引き抜かれて取り外される。
【0080】
そして、この着脱構造5では、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの容器装着部70から取り外す際、以下に説明するような状態になることがある。
【0081】
すなわち、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの取り外しの際に、図10に一部(後述する突き当て部8を除いた構成で)示されるように、いずれかの現像剤容器60における第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその現像剤容器60が容器装着部70の収容部71内で傾いて停止した状態になることがある。この状態になった場合は、その現像剤容器60における第2凸部67の第1止め部73との引っ掛けが外れにくい状態になり、その現像剤容器60を収容部71から容易に引き抜けなくなる。
【0082】
このときの現像剤容器60は、その本体61の下端部61bの奥側の部分、換言すれば引き抜き方向D2の上流側の角部61beが収容部71の底面部71bに接触した状態になることと、第2凸部67の第2受け部77との引っ掛かりが解除しにくい状態に保たれることで、収容部71内で傾いて停止した状態になる。
このときの現像剤容器60の傾きは、本体61の上端部61aがほぼ装着時の位置にあって、その本体61の下端部61bが上端部61aよりも引き抜き方向D2の下流側に位置するような状態の傾きになる。
【0083】
<着脱構造の詳細な構成>
そこで、この着脱構造5では、図10に示されるように、第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れて現像剤容器60が容器装着部70の収容部71内で傾いて停止した状態になるときに、図7図10図11等に示されるように、収容部71の一部に突き当たって第2凸部67を第2止め部77との引っ掛け量Jが減少する姿勢に保つことが可能な突き当て部8を現像剤容器60の本体61に設けている。
【0084】
実施の形態1における突き当て部8は、図4図5図7等に示されるように、現像剤容器60の本体61における上端部61aの表面に、現像剤容器60を挿抜移動させるときの挿抜方向D1,D2に沿って案内する機能を兼ねた案内突起81として設けられている。
【0085】
また、この突き当て部8の一例である案内突起81は、図4に示されるように、第2凸部67を挟んで挿抜方向D1,D2と直交する方向に離れて並存する、左右の案内突起81A,81Bとして設けられている。
この左右の案内突起81A,81Bは、挿抜方向D1,D2に沿って延びるリブ状の突起であり、また上端部61aの表面のうち第2凸部67よりも挿入方向D1の上流側の位置に配置されている。
【0086】
また、左右の案内突起81A,81Bは、図7図9(A)に示されるように、その突起の高さh1が、現像剤容器60を容器装着部70の収容部71に挿入したときに収容部71の天井面部71aに接触し得る程度の寸法に設定されている。さらに、左右の案内突起81A,81Bは、挿入方向D1の下流側の端部がその下流側にむけて下降するよう傾斜する傾斜面(代表して右の案内突起81Bの傾斜面81Ba)で形成されている。
この左右の案内突起81A,81Bは、現像剤容器60の収容部71に対する挿抜移動の過程の一部の時期(後半又は前半の時期)において、収容部71の天井面部71aに接近又は接触することにより、現像剤容器60の挿抜移動時における高さ方向の位置を規制して案内する。
【0087】
そして、この左右の案内突起81A,81Bは、その一部である挿入方向D1の上流側の端部(代表して右の案内突起81Bの当該端部81Beを示す)が、突き当て部8として実際に機能するよう構成されている。
【0088】
この突き当て部8として機能する案内突起81A,81Bの挿入方向D1の上流側の端部(81Be)は、図7に示されるように、現像剤容器60の装着時の挿入方向D1に沿う寸法Ldの中間の位置(Ld/2)よりも上流側の位置に設けられる。より好ましくは、本実施の形態1における端部(81Be)のように、現像剤容器60の挿入方向D1に沿う上流側の端部61aeに近い位置に設けられる。
突き当て部8(案内突起の上記端部80Be)を現像剤容器60の上記中間の位置(Ld/2)よりも下流側の位置に設けた場合は、上記した現像剤容器60が収容部71内で斜めになって停止したときにその現像剤容器60を収容部71から容器に取り外すことが困難になる。
【0089】
また、突き当て部8としての案内突起81A,81Bの上流側の端部(81Be)は、例えば、現像剤容器60の取り外し時に、第2凸部67が第2受け部77を乗り越えて第2受け部77との引っ掛かりが外れるまでの間、収容部71の一部に接触し続けるような挿抜方向D1,D2に沿う長さを有することが好ましい。
【0090】
この着脱構造5では、上記突き当て部8を設ける位置に関連させて、図7に示されるように、第2凸部67を、その突出部68が前述したように現像剤容器60の装着時の挿入方向D1に沿う寸法Ldの中間の位置(Ld/2)よりも下流側の位置に存在するように設けている。
【0091】
また、この着脱構造5では、図7に拡大して示されるように、現像剤容器60における第2凸部67の突出部68における立上げ面68aを、現像剤容器60の引き抜き方向D2の上流側に所要の傾き角度αで傾いた傾斜面としている。図7中の二点鎖線Lvは、現像剤容器60の挿抜方向D1,D2に対する垂線を示す。
【0092】
さらに、この着脱構造5では、第2凸部67の立上げ面68aの傾斜面に合わせて、図8に拡大して示されるように、容器装着部70における第2受け部77の立下がり面77aを、その少なくとも下部が現像剤容器60の引き抜き方向D2の下流側に所要の傾き角度βで傾いた傾斜面としている。この傾き角度βは、現像剤容器61における第2凸部77の立上げ面68aの上記傾き角度αとほぼ同じ値に設定される。図8中の二点鎖線Lvは、水平状の天井面部71aに対する垂線を示す。
【0093】
そして、この突き当て部8を設けた着脱構造5においては、図10に示されるように、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの取り外しの際に、いずれかの現像剤容器60における第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその現像剤容器60が容器装着部70の収容部71内で傾いて停止した状態になった場合でも、図10図11に示されるように、その現像剤容器60における突き当て部8(案内突起81の端部81Be)が収容部71の一部の一例である天井面部71aに突き当たる。
これにより、その現像剤容器60は、第2凸部67が、第2止め部77との引っ掛け量Jが減少する姿勢に保たれる。
【0094】
このときの現像剤容器60は、図11に示されるように、突き当て部8(案内突起81の端部81Be)が収容部71の天井面部71aに突き当たった分、第2凸部67を含む現像剤容器60全体がその装着時の位置(図11(B)の上部に示す状態)から下方向E2に例えば距離d1だけ下げられた状態になる。
この点、突き当て部8を設けない現像剤容器60では、図13(A)に示されるように、突き当て部8がない分(ほぼ突き当て部8の高さh1)だけ、第2凸部67を含む現像剤容器60全体がその装着時の位置(図13(B)の上部に示す状態)から下方向E2に下げられる距離d2が少なくなる(d2<d1)。
【0095】
この結果、実施の形態1に係る現像剤容器60では、その第2凸部67が、図11(B)に示されるように、下方向E2にほぼ同じ距離d1だけ下げられるので、第2凸部67の第2受け部77(の垂下面75a)との引っ掛かる量J2が、現像剤容器60の装着時(の位置)における第2凸部67の第2受け部77との引っ掛かる量J1よりも減少する(J2<J1)。これは、第2受け部77の垂下面77aの下端部が第2凸部67の立ち上げ面68aと接触して対峙する部分が、図11(B)に示されるように、第2凸部67の立ち上げ面68aの根本部分(弾性支持部69との境界部)から上方にずれた位置に変位していると換言することもできる。
【0096】
ちなみに、この第2受け部77の第2受け部77との引っ掛かる量J2が減少するのは、現像剤容器60(の上端部61a)が突き当て部8の天井面部71aとの突き当たる部分を中心点として図11(A)において反時計回りの方向に回動することによっても得られると考えられる。
このときの回動は、突き当て部8(案内突起の端部81Be)が現像剤容器60の本体61の上端部61aにおける挿入方向D1の上流側の位置に設けられていることや、第2凸部67が現像剤容器60の本体61の上端部61aにおける挿入方向D1の下流側の位置に設けられていることによっても得られやすくなっている。
【0097】
なおここでも、突き当て部8を設けない現像剤容器60では、その第2凸部67が、図13(B)に示されるように、下方向E2にほぼ同じ距離d2だけ下げられものの、第2凸部67の第2受け部77(の垂下面75a)との引っ掛かる量J3が、現像剤容器60の装着時(の位置)における第2凸部67の第2受け部77との引っ掛かる量J1よりもわずかに減少する程度であって、これは実施の形態1に係る現像剤容器60の第2凸部67の第2受け部77との引っ掛かる量J2よりも少なくなる(J1>J3>J2)。
【0098】
したがって、この着脱構造5では、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kを容器装着部70の収容部71から取り外す際に、いずれかの現像剤容器60における第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその現像剤容器60が収容部71内で傾いて停止した状態になった場合でも、突き当て部8(案内突起81)が設けられていない場合に比べて、その現像剤容器60が容器装着部70の収容部71から容易に引き抜いて取り外される。
【0099】
つまり、この着脱構造5では、現像剤容器60が容器装着部70の収容部71内で上記要因により傾いて停止した状態になった場合でも、図12に示されるように、その現像剤容器60を引き抜き方向D2に引き抜き力Fhで引き出したとき、その引き抜き力Fhに起因して第2凸部67が第2受け部77から受ける力(反力)Fp2の向きが、現像剤容器60の装着時(図12(A))のときや突き当て部8がない場合における力(反力)Fp1に比べて少し下向きの状態になり、その反力Fp2の水平分力f1が小さくなる一方でその垂直分力f2が大きくなる。このとき垂直分力f2は、下方に向く力であって、第2凸部67が下方に変位して第2受け部77から外れる方向に向く力にも相当する。
このため、この着脱構造5における現像剤容器60は、容器装着部70の収容部71内で上記要因により傾いて停止した状態になった場合でも、突き当て部8がない現像剤容器60に場合に比べて、第2凸部67が弾性支持部69を介して下方に撓んで変位しやすくなって第2受け部77から外されやすくなる。
【0100】
しかも、この着脱構造5では、現像剤容器60における第2凸部67の第2受け部77の引っ掛かる部分である立上げ面68aが引き抜き方向D2の上流側に傾いた形状で構成されている。このため、容器装着部70の収容部71内で上記要因により傾いて停止した状態になったときに、その立上げ面68aが上記のように傾いた形状で形成されていない場合に比べて第2凸部67の第2止め部77との接触抵抗が小さくなって、第2凸部67が第2止め部77との引っ掛けから外しやすくなる。
【0101】
この他にも、着脱構造5では、4つの容器60Y,60M,60C,60Kの1つ以上が容器装着部70の収容部71内で上記要因により傾いて停止した状態になった場合でも、その傾いて停止した現像剤容器60を収容部71内で例えば左右に移動又は回転させるように動かす必要がなく容器装着部70の収容部71から容易に引き抜いて取り外すことが可能になる。このため、その傾いて停止した現像剤容器60の隣に接近して装着された他の現像剤容器60があっても収容部71から容易に引き抜いて取り外ことができる。
【0102】
実施の形態2.
図14には、実施の形態2に係る着脱構造5Bが示されている。
この着脱構造5Bは、現像剤容器60の本体61に設ける突き当て部8を突起部83に変更した以外は実施の形態1に係る着脱構造5と同じ構成からなるものである。
このため、以下の説明では、実施の形態1に係る着脱構造5と共通する構成部分については同じ符号を付し、その説明を必要な場合を除いて省略している。この点は、後述する実施の形態3以後における説明でも同様とする。
【0103】
実施の形態2における突き当て部8は、図4図14等に示されるように、現像剤容器60の本体61における左側面部61eおよび右側面部61fの各上部(上端部61aに近い位置)にそれぞれ対称的に設けた左右の突起部83A,83Bで構成されている。
【0104】
左右の突起部83A,83Bは、左側面部61eおよび右側面部61fから外側にほぼ水平に突出した部分であり、その上面が円弧状の曲面となる形状で形成されている。また、突起部83A,83Bは、現像剤容器60の装着時の挿入方向D1に沿う寸法Ldの中間の位置(Ld/2)よりも上流側の位置に設けられる。
【0105】
また、この着脱構造5Bでは、容器装着部70の収容部71に、容器装着部70の取り外しの際に前述した要因により収容部71内で傾いて停止したとき(図16)に突き当て部8としての突起部83A,83Bがそれぞれ突き当てられる被突き当て部78を設けている。
【0106】
被突き当て部78は、現像剤容器60の挿抜方向D1,D2に沿って所要の長さだけ延びる突条(リブ)の形状からなる部分として形成されている。また、被突き当て部78は、収容部71で区切った4つの収容空間内で左右一対の状態でそれぞれ存在するように、収容部71における左側壁部71e,3つの上仕切り板712および右側壁部71fに、同じ高さ位置で互いに向き合う状態で設けられている。さらに、被突き当て部78は、突起部83A,83Bがそれぞれ突き当たる下面部78aが、現像剤容器60が挿入方向D1に押し込まれて装着されるときの突起部83A,83Bが下方から接近又は接触し得る高さ位置になるよう設定されている。
【0107】
そして、この着脱構造5Bでは、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの容器装着部70への装着が、実施の形態1に係る着脱構造5の場合と同様の取り付け作業により行われる。
【0108】
すなわち、この着脱構造5Bにおいても、図15に示されるように、最終的に現像剤容器60における第1凸部63が容器装着部70における第1受け部73に引っ掛かって止められる一方で、第2凸部67が容器装着部70における第2受け部77に引っ掛かって止められる状態になることで装着が完了する。
また、この装着の後半の過程では、現像剤容器60における突き当て部8としての突起部83A,83Bが、収容部71における被突き当て部78の下面部78aに接近又は接触した状態になる。
【0109】
また、この着脱構造5Bでは、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの容器装着部70からの取り外しが、実施の形態1に係る着脱構造5の場合と同様の取り外し作業により行われる。
【0110】
すなわち、この着脱構造5Bにおいても、第1凸部63の支持部65における曲げ操作部65aを上方向E1に持ち上げるように移動させた状態にしたうえで、現像剤容器60が容器装着部70の収容部71から引き抜き方向D2に沿うよう引き抜かれることにより
取り外される。
この際、現像剤容器60は、第1凸部63の突出部64が第1受け部73との引っ掛かりが外されて引き抜くことが可能にされた後に、引き抜き方向D2への移動が開始される過程で第2凸部67の突出部68が下方に変位して第2受け部77との引っ掛かりが外された状態になって引き抜かれる。
また、この取り外しの前半の過程では、現像剤容器60における突き当て部8としての突起部83A,83Bが、収容部71における被突き当て部78の下面部78aに接近又は接触した状態になる。
【0111】
そして、この突起部83A,83Bからなる突き当て部8を設けた着脱構造5Bにおいても、図16に示されるように、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kの取り外しの際に、いずれかの現像剤容器60における第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその現像剤容器60が容器装着部70の収容部71内で傾いて停止した状態になった場合でも、図16図17に示されるように、その現像剤容器60における突き当て部8(図面では代表して左の突起部83B)が収容部71の一部の一例である被突き当て部78の下面部78aに突き当たる。
これにより、その現像剤容器60は、図17に示されるように、第2凸部67が、実施の形態1に係る着脱構造5の場合(図11(B)参照)と同様に第2止め部77との引っ掛け量Jが減少する(例えば装着時のJ1からJ2に減少する)姿勢に保たれる。
【0112】
したがって、この着脱構造5Bにおいても、現像剤容器60Y,60M,60C,60Kを容器装着部70の収容部71から取り外す際に、いずれかの現像剤容器60における第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその現像剤容器60が収容部71内で傾いて停止した状態になった場合でも、突き当て部8(突起部83)が設けられていない場合に比べて、その現像剤容器60が容器装着部70の収容部71から容易に引き抜いて取り外される。
【0113】
実施の形態3.
図18には、実施の形態3に係る着脱構造5Cが示されている。
この着脱構造5Cは、現像剤容器60の本体61に設ける第1凸部63および第2凸部67を上下逆に配置し、これに合わせて容器装着部70の収容部71に設ける第1受け部73および第2受け部77も上下逆に配置して変更したことと、現像剤容器60を回収容器60Bに変更したこと以外は実施の形態1に係る着脱構造5と同じ構成からなるものである。
【0114】
着脱構造5Cにおける回収容器60Bは、像形成装置2Aの例えば第2清掃装置36で除去された現像剤等の不要物を回収物として回収する1つの容器である。
この回収容器60Bは、回収すべき現像剤等の回収物を収容する容器状の本体61と、本体61の一端部に上下方向に移動可能に設けられる第1凸部63と、本体61の他端部に弾性により上下に変位可能に設けられる第2凸部67を有している。
【0115】
本体61は、実施の形態1における現像剤容器60の本体61(図4)とほぼ同じ構成になっている。
なお、この本体61は、その上部に、後述する搬出部39の送り出し口を開閉する開閉蓋392が回収容器60Bの装着時に接触する接触部616が設けられている。この接触部616は、回収容器60Bの装着時に接触して開閉蓋392を、排出口を開ける位置に移動させる機能を有している。
【0116】
第1凸部63は、本体61の一端部の別例である上端部61aに上下方向E1,E2に移動可能に設けられており、その構成については実施の形態1における現像剤容器60の第1凸部63とほぼ同じ構成である。
第2凸部67は、本体61の他端部の別例である上端部61aに上下方向E1,E2に変位可能に設けられており、その構成については実施の形態1における現像剤容器60の第2凸部67とほぼ同じ構成である。
この場合、第1凸部63および第2凸部67を構成する各部分における上下やその方向は、実施の形態1における第1凸部63および第2凸部67を構成する各部分について説明したときの上下やその方向とは逆転した関係になっている。
【0117】
着脱構造5Cにおける容器装着部70は、1つの回収容器60Bを挿抜移動により着脱可能に装着する収容部71と、収容部71に設けられて第1凸部63を引っ掛けて止める第1止め部73と、収容部71に設けられて第2凸部67を引っ掛けて止める第2止め部77を有する構造体として構成されている。
【0118】
この収容部71は、実施の形態1における3つの上仕切り板712および下仕切り板714を設けていない以外は、実施の形態1における収容部71とほぼ同じ構成になっている。
一方、この収容部71は、その奥壁面部71gに、図3図18等に示されるように、第2清掃装置36から現像剤等の回収物が搬出される搬出部39が突出した状態で設けられている。また搬出部39には、回収物が送り出される図示しない送り出し口を開閉する開閉蓋392が、回収容器60Bの挿抜移動する挿抜方向D1,D2に沿う方向に移動可能に設けられている。さらに開閉蓋392は、外力を加えない限りは送り出し口を閉じる位置に移動して止まっているよう、図示しないコイルばね等の付勢部材により引き抜き方向D2にむけて付勢されている。
【0119】
第1止め部73は、収容部71の天井面部71aに設けられており、その構成については実施の形態1における容器装着部70の第1受け部73とほぼ同じ構成である。
第2受け部77は、収容部71の底面部71bに設けられており、その構成については実施の形態1における容器装着部70の第2受け部77とほぼ同じ構成である。
この場合も、第1止め部73および第2受け部77を構成する各部分における上下や傾きの方向は、実施の形態1における第1止め部73および第2受け部77を構成する各部分について説明したときに用いた上下や傾きの方向とは逆の関係になっている。
【0120】
また、この着脱構造5Cにおいては、図20に示されるように、第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れて回収容器60Bが容器装着部70の収容部71内で傾いて停止した状態になるときに、図20図21等に示されるように、収容部71の一部となる底面部71bに突き当たって第2凸部67を第2止め部77との引っ掛け量Jが減少する姿勢に保つことが可能な突き当て部8を回収容器60Bの本体61の下端部61bに設けている。
この回収容器60Bの停止するときの傾きは、本体61の下端部61bがほぼ装着時の位置にあって、その本体61の上端部61aが下端部61bよりも引き抜き方向D2の下流側に位置するような状態の傾きになる。また、この傾いて停止するときの回収容器60Bは、その本体61の上端部61aの奥側の部分、換言すれば引き抜き方向D2の上流側の角部61acが収容部71の天井面部71aに接触した状態になる。
【0121】
実施の形態3における突き当て部8は、実施の形態1における突き当て部8としての左右の案内突起81A,81B(図4等を参照)と同様に、本体61の下端部61bのうち第2凸部67を挟んで挿抜方向D1,D2と直交する方向に離れて並存する左右の案内突起84A,84Bとして設けられている(図面では、代表して右の案内突起84Bのみを図示している)。以下の説明では、この左右の案内突起84A,84Bについて単に左右の案内突起84として記載する。
この場合も、左右の案内突起84を構成する各部分における上下は、実施の形態1における左右の案内突起81A,81Bを構成する各部分について説明したときに用いた上下とは逆の関係になっている。
【0122】
また、左右の案内突起84は、その突起の高さが、現像剤容器60を容器装着部70の収容部71に挿入したときに収容部71の底面部71bに接触する寸法に設定されている。また、この左右の案内突起84は、その一部である挿入方向D1の上流側の端部(代表して右の案内突起84Bの当該端部84Beを示す)が、突き当て部8として実際に機能するよう構成されている。
左右の案内突起84に関する他の構成については、実施の形態1における左右の案内突起81A,81Bの構成と同じになっている。ちなみに、この左右の案内突起84は、現像剤容器60の収容部71に対する挿抜移動の過程の一部の時期において、収容部71の底面部71bに接触することにより、現像剤容器60の挿抜移動時における高さ方向の位置を一時的に規制して案内する。
【0123】
そして、この着脱構造5Cでは、回収容器60Bの容器装着部70への装着が、実施の形態1に係る着脱構造5の場合と(一部の構成部分が上下逆転した位置で機能する相違点を除いて)ほぼ同様の取り付け作業により行われる。
【0124】
すなわち、この着脱構造5Cにおいても、図19に示されるように、最終的に回収容器60Bにおける第1凸部63が容器装着部70における第1受け部73に引っ掛かって止められる一方で、第2凸部67が容器装着部70における第2受け部77に引っ掛かって止められる状態になることで装着が完了する。
また、この装着の後半の過程では、回収容器60Bにおける突き当て部8としての左右の案内突起84が収容部71の底面部71bに接触して摺擦する状態になる。
なお、この装着時における第1凸部63の第1受け部73への引っ掛かりと第2凸部67の第2受け部77への引っ掛かりは、ほぼ同じタイミングで行われるよう構成されている。
【0125】
ちなみに、回収容器60Bは、容器装着部70の収容部71に装着されるとき、収容部71にある搬出部39の開閉蓋392が回収容器60Bにおける接触部616に接触して、開閉蓋615が図示しない付勢手段の付勢力に抗して挿入方向D1の上流側にむけて押され、搬出部39の送り出し口を開ける位置に移動させられる。これにより、回収容器60Bは、収容部71における搬出部39と接続された状態になり、第2清掃装置36から送られる現像剤等の回収物を回収することが可能な状態になる。
【0126】
また、この装着されたときの回収容器60Bは、上記付勢手段の付勢力に抗した反力を受けるので引き抜き方向D2に押された状態に保たれる。この結果、回収容器60Bは、その装着完了時に、第1凸部63の垂下面64bが第1受け部73の突起部75の立ち上げ面75aに対してその反力で押し付けられた状態になり、そのため第1凸部63の第1受け部73の引っ掛かりが安定して維持される。
【0127】
また、この着脱構造5Cでは、回収容器60Bの容器装着部70からの取り外しが、実施の形態1に係る着脱構造5の場合と(一部の構成部分が上下逆転した位置で機能する相違点を除いて)ほぼ同様の取り外し作業により行われる。
【0128】
すなわち、この着脱構造5Cにおいては、第1凸部63の支持部65における曲げ操作部65aを下方向E2に押し下げるように移動させた状態にしたうえで、現像剤容器60が容器装着部70の収容部71から引き抜き方向D2に沿うよう引き抜かれることにより
取り外される。
この際、現像剤容器60は、第1凸部63の突出部64が第1受け部73との引っ掛かりが外されて引き抜くことが可能にされた後に、引き抜き方向D2への移動が開始される過程で第2凸部67の突出部68が下方に変位して第2受け部77との引っ掛かりが外された状態になって引き抜かれる。
また、この装着の前半の過程では、回収容器60Bにおける突き当て部8としての左右の案内突起84が収容部71の底面部71bに接触して摺擦する。
【0129】
そして、この左右の案内突起84からなる突き当て部8を設けた着脱構造5Cにおいては、図20に示されるように、回収容器60Bの取り外しの際に、第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその回収容器60Bが容器装着部70の収容部71内で傾いて停止した状態になった場合でも、図20図21に示されるように、その回収容器60Bにおける突き当て部8(図面では代表して左の案内突起84Bの端部84Be)が収容部71の一部の一例である底面部71bに突き当たる。
これにより、回収容器60Bは、図21に示されるように、第2凸部67が、実施の形態1に係る着脱構造5の場合(図11(B)参照)と同様に第2止め部77との引っ掛け量Jが減少する(例えば装着時のJ1からJ2に減少する)姿勢に保たれる。
【0130】
したがって、この着脱構造5Cにおいても、回収容器60Bを容器装着部70の収容部71から取り外す際に、第1凸部63の第1止め部73との引っ掛けが先に外れてその回収容器60Bが収容部71内で傾いて停止した状態になった場合でも、突き当て部8(左右の案内突起84)が設けられていない場合に比べて、その回収容器60Bが容器装着部70の収容部71から容易に引き抜いて取り外される。
【0131】
変形例.
この発明は、実施の形態1から3に係る着脱構造5,5B,5Cとその各着脱構造5,5B,5Cを用いた装置1の一例である画像形成装置1Aに限定されるものでなく、例えば、以下に例示する変形例の構成も含まれるものである。
【0132】
例えば、着脱構造における着脱構造体6としては、現像剤のような粉体ではなく液体、気体等の内容物を収納する着脱式の収納容器や、電気部品、機械部品、電子部品等の交換が可能な部品又は交換が必要な部品が格納された着脱式の交換パッケージ等であってもよい。
一方、装着構造体7としては、着脱構造体6の種類に応じた構成からなるものであれば特に限定されず適用できる。
【0133】
また、この発明の着脱構造を用いる装置1としては、着脱構造体6の種類に応じた装置であればよい。
ちなみに、実施の形態1等で例示した画像形成装置1Aについても、前述した構成に限定されず、他の構成を採用した画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置としては、例えば着脱構造体6がインクを収納する着脱式のインク容器であれば、インクを用いた画像形成方式の画像形成装置であってもよく、その画像形成方式についても特に限定されるものではない。
【0134】
また、この発明の着脱構造は、着脱構造体6が上下方向や斜め上下方向に挿抜移動させて着脱される形式の着脱構造体と、その形式の着脱構造体を収容する収容部を有する装着構造体7とを備えたものであってもよい。この着脱構造の場合、その装着構造体7における収容部は、装着される着脱構造体6を少なくとも2方向から挟んだ状態で収容する構造のものであればよい。なお、この着脱構造の場合でも、その形式の着脱構造体が第1凸部および第2受け部を有し、その装着構造体7が第1受け部および第2受け部を有することは言うまでもない。
【0135】
第2凸部67については、スナップフィット形式のものに限らず、例えば、第2受け部77に引っ掛かる突出体をばね等の付勢手段で付勢し、着脱構造体6の挿抜移動時に第2受け部77を通過する際に付勢力に抗して一時的に退避するよう変位するラッチ形式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 …着脱構造を用いた装置
1A…画像形成装置(着脱構造を用いた装置の一例)
5,5B,5C…着脱構造
6…着脱構造体
60…現像剤容器
60B…回収容器
61…本体
63…第1凸部
67…第2凸部
7 …装着構造体
70…容器装着部
71…収容部
73…第1受け部
77…第2受け部
8 …突き当て部
81,84…案内突起(突き当て部の一例)
81Be,84Be…案内突起81Bの端部(突き当て部として機能する部分)
83…突起部(突き当て部の一例)
D1…挿抜方向における挿入方向
D2…挿抜方向における引き抜き方向
E1…上方向
E2…下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
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