(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20241008BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20241008BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F04B53/00 J
F04C15/00 Z
H02K3/50 A
(21)【出願番号】P 2021054511
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
(72)【発明者】
【氏名】金物 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】関 雄策
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0014288(US,A1)
【文献】特開2020-058222(JP,A)
【文献】特開2015-052310(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168090(WO,A1)
【文献】特開2019-062583(JP,A)
【文献】特開2017-070174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
F04C 15/00
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータ部およびステータ部を有するモータと、
前記ロータ部に連結されたポンプ機構と、
前記モータの軸方向一方側に設けられる回路基板と、
前記モータ、前記ポンプ機構、および前記回路基板を収容するハウジングと、
前記ステータ部と前記回路基板との間に配置されたコイルガイドと、を備え、
前記コイルガイドは、
前記ステータ部に固定されるガイド本体と、
前記ガイド本体から径方向外側に突出して設けられ、前記ステータ部のコイルから導出されたコイル線が巻き回される凸部と、
前記ガイド本体に対して前記軸方向一方側に配置され、前記凸部から前記軸方向一方側に延びる前記コイル線を保持するコイル保持部材と、を有し、
前記コイル線は、前記コイル保持部材から前記軸方向一方側に延びて前記回路基板に電気的に接続される、電動ポンプ。
【請求項2】
前記コイルガイドは、
前記ガイド本体から軸方向他方側に延び、前記ステータ部に固定される複数の脚部を有する、請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記ガイド本体は、前記軸方向から見て円環状であり、
前記凸部は周方向に間隔をあけて複数設けられる、請求項1又は2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記ガイド本体は、径方向内側の内周面から径方向外側に向かって窪むスリットを有し、
前記コイルから導出された前記コイル線は、前記スリットを経由して径方向外側に引き出されて前記凸部に巻き回される、請求項3に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記スリットの前記径方向外側のスリット端の幅は、前記コイル線の外径よりも小さい、請求項4に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
周方向で互いに隣り合う二つの前記コイルから導出される前記コイル線がそれぞれ巻き付けられる一対の前記凸部は、前記コイル線がそれぞれ通される二つの前記スリットに対して周方向外側に配置されている、請求項4または5に記載の電動ポンプ。
【請求項7】
前記一対の凸部に対する前記コイル線の巻き回し方向はそれぞれ逆向きである、請求項6に記載の電動ポンプ。
【請求項8】
前記コイル保持部材は、前記軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔には、前記凸部から前記軸方向一方側に延びる前記コイル線が挿入される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項9】
前記コイル保持部材は、前記コイルから導出される前記コイル線を、前記ガイド本体に対して押圧する押圧部を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項10】
前記押圧部は、前記コイルと前記凸部との間において、前記コイル線を押圧する、請求項9に記載の電動ポンプ。
【請求項11】
前記コイル保持部材は、
前記ガイド本体の径方向内側に位置し、前記軸方向他方側に延びて前記ガイド本体に固定される内側固定部と、
前記ガイド本体の径方向外側に位置し、前記軸方向他方側に延びて前記ガイド本体に固定される外側固定部と、を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項12】
前記ガイド本体は、
前記径方向内側の内周縁部から前記軸方向一方側に立ち上がる内周リブと、
前記径方向外側の外周縁部から前記軸方向一方側に立ち上がる外周リブと、を有し、
前記コイル保持部材は、前記軸方向他方側に突出し、前記内周リブと前記外周リブとの間に挿入される位置決め部を有する、請求項11に記載の電動ポンプ。
【請求項13】
前記ガイド本体は、
前記内周リブと前記外周リブとの間で周方向に間隔をあけて設けられ、前記軸方向一方側に立ち上がる一対の位置決め用リブを有し、
前記コイル保持部材の前記位置決め部は、前記一対の位置決め用リブの間に配置される、請求項12に記載の電動ポンプ。
【請求項14】
前記コイルガイドは、樹脂材料で構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動ポンプのハウジング内に、ロータ部およびステータを備えたモータと、モータに供給する電力を制御してモータの動作を制御する制御部と、を備える構成が記載される。この構成において、制御部に設けられたスイッチング素子からステータのコイルにバスバーを介して三相交流電流が出力されることで、ロータ部が回転駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動ポンプにおいては、バスバーは、モータのステータと制御部との間に配置される。このため、モータのステータと制御部との間にバスバーを配置するスペースを確保する必要があり、電動ポンプの大型化を招く恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、小型化を図ることができる電動ポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動ポンプの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータ部およびステータ部を有するモータと、前記ロータ部に連結されたポンプ機構と、前記モータの軸方向一方側に設けられる回路基板と、前記モータ、前記ポンプ機構、および前記回路基板を収容するハウジングと、前記ステータ部と前記回路基板との間に配置されたコイルガイドと、を備え、前記コイルガイドは、前記ステータ部に固定されるガイド本体と、前記ガイド本体から径方向外側に突出して設けられ、前記ステータ部のコイルから導出されたコイル線が巻き回される凸部と、前記ガイド本体に対して前記軸方向一方側に配置され、前記凸部から前記軸方向一方側に延びる前記コイル線を保持するコイル保持部材と、を有し、前記コイル線は、前記コイル保持部材から前記軸方向一方側に延びて前記回路基板に電気的に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、小型化を図ることができる電動ポンプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のポンプを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のポンプの縦断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のポンプに設けられたモータ、コイルガイド、及び回路基板を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のモータを構成するステータ部の斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のステータ部、及びコイルガイドの斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のコイルガイドのガイド本体を軸方向他方側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のコイルガイドの要部を示す平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態のコイルガイドの要部を示す拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態のコイルガイドのコイル保持部材の斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態のコイル保持部材を
図9とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態のコイル保持部材の取付状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明においては、各図に示すZ軸が延びる方向を上下方向とし、Z軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。以下の図に示す中心軸J1は、Z軸と平行に延びる仮想軸である。特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向と平行な方向、すなわちZ軸方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸J1に近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸J1から離れる方向を径方向外側と呼ぶ。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。本実施形態において、上側は「軸方向一方側」に相当し、下側は「軸方向他方側」に相当する。
【0010】
なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1に示す本実施形態のポンプ10は、例えば、車両に搭載される電動ポンプである。ポンプ10は、車両の内部において流体を送る。ポンプ10によって送られる流体は、例えば、オイルである。オイルは、例えば、ATF(Automatic Transmission Fluid)である。
図1および
図2に示すように、本実施形態のポンプ10は、モータ20と、ポンプ機構30と、ハウジング40と、回路基板50と、カバー60と、コイルガイド90と、を備える。
【0012】
図2に示すように、本実施形態において、モータ20、ポンプ機構30および回路基板50は、ハウジング40内に収容される。ハウジング40は、ハウジング本体部41と、フランジ部42と、取付面48と、を有する。
【0013】
ハウジング本体部41は、モータハウジング15と、ポンプハウジング16と、基板ハウジング17と、ポンプカバー13と、を有する。本実施形態において、モータハウジング15とポンプハウジング16と基板ハウジング17とは、互いに同一の単一部材の一部である。
【0014】
本実施形態においてモータハウジング15は、軸方向に延びる円筒状である。モータハウジング15は、軸方向において、ポンプハウジング16と基板ハウジング17との間に配置されている。モータハウジング15は、上下に開口するモータ収容凹部41aを有する。モータ20は、モータ収容凹部41aの径方向内側に収容される。
【0015】
ポンプハウジング16は、モータハウジング15の下側に繋がっている。ポンプハウジング16は、下側に開口する凹部からなるポンプ収容凹部41eを有する。ポンプ収容凹部41eの下側の開口は、ポンプカバー13によって塞がれている。ポンプ機構30は、ポンプ収容凹部41eの径方向内側に収容される。
【0016】
ポンプカバー13は、軸方向に延びる筒状の突出部44を有する。突出部44は、ポンプカバー13の底部から下側に延びる。突出部44は、第2の中心軸J2を中心として、軸方向に延びる。突出部44の第2の中心軸J2は、中心軸J1から径方向にずれた位置に配置される。第2の中心軸J2と中心軸J1とは、互いに平行に延びる。
【0017】
突出部44は流入口44aを有する。流入口44aはポンプ収容凹部41eの内部空間と繋がる。流入口44aは、ポンプカバー13を軸方向に貫通する貫通孔により構成される。流入口44aは、ポンプ機構30にオイルを流入させる。すなわち、ポンプ機構30は、流入口44aを通して装置外部からオイルを吸入する。ポンプカバー13は、不図示の流出口を含む。ポンプ機構30は、流出口からオイルを流出させる。
【0018】
フランジ部42は、ハウジング本体部41の外周面から径方向外側に拡がる。フランジ部42は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。フランジ部42は、下側を向く端面42aと、取付孔42hと、を有する。端面42aは、中心軸J1と直交する方向に拡がる平面状である。端面42aは、ポンプ10の取付対象部位に接触する。取付孔42hは、フランジ部42を軸方向に貫通する。取付孔42hは、各フランジ部42に配置される。取付孔42hには、ポンプ10の取付対象部位に固定するための不図示のネジ部材が挿入される。
【0019】
図2に示すように、ハウジング本体部41は、モータ収容凹部41aの内部とポンプ収容凹部41eの内部とを軸方向に繋ぐ貫通孔41cを有する。貫通孔41c内には、貫通孔41cの内周面と後述するシャフト22の外周面との間をシールするオイルシール43が保持されている。
【0020】
モータ20は、モータ収容凹部41a内に収容されている。モータ20は、中心軸J1に沿って延びるシャフト22を有するロータ部21と、ステータ部26と、を有する。
【0021】
ロータ部21は、中心軸J1を中心として回転する。シャフト22は、中心軸J1回りに回転可能である。シャフト22の下側の端部は、貫通孔41cを介してポンプ収容凹部41e内に突出し、ポンプ機構30に連結されている。シャフト22は、貫通孔41cとポンプ収容凹部41eとの間に設けられた滑り軸受などの軸受(不図示)によって、回転可能に支持されている。なお、シャフト22を支持するベアリングをポンプハウジング16に設けてもよい。また、シャフト22の上端部は、不図示のベアリングによって保持されてもよい。
【0022】
ロータコア23は、シャフト22の外周面に固定される。ロータコア23は、中心軸J1を中心とする環状である。ロータコア23は、軸方向に延びる筒状である。ロータコア23は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることにより構成される。
【0023】
ステータ部26は、ロータ部21の径方向外側に配置され、ロータ部21と径方向に隙間をあけて対向する。つまりステータ部26は、ロータ部21と径方向に対向する。ステータ部26は、周方向の全周にわたって、ロータ部21を径方向外側から囲う。
図2、
図3、
図4に示すように、ステータ部26は、ステータコア27と、複数のコイル29と、を有する。
【0024】
ステータコア27は、中心軸J1を中心とする環状である。ステータコア27は、ロータ部21を径方向外側から囲う。ステータコア27は、ロータ部21の径方向外側に配置されて、ロータ部21と径方向に隙間をあけて対向する。ステータコア27は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることにより構成される。
【0025】
ステータコア27は、コアバック27aと、複数のティース27bと、を有する。コアバック27aは、中心軸を中心とする環状である。コアバック27aは、軸方向に延びる筒状である。コアバック27aの径方向外側面は、ハウジング40の内周面と固定される。コアバック27aは、ハウジング40内に嵌合する。ティース27bは、コアバック27aの径方向内側面から径方向内側に延びる。複数のティース27bは、コアバック27aの径方向内側面に、周方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0026】
複数のコイル29は、インシュレータ28を介してステータコア27に取り付けられる。つまり複数のコイル29は、インシュレータ28を介してステータコア27に取り付けられる。インシュレータ28は、ティース27bを覆う部分を有する。インシュレータ28の材料は、例えば樹脂などの絶縁材料である。複数のコイル29は、各ティース27bに、インシュレータ28を介してコイル線29cが巻き回されることによりそれぞれ構成される。
【0027】
本実施形態のモータ20は3相モータである。そのため、複数のコイル29は、U相、V相、W相のコイルを含む。各コイル29は、回路基板50のU相、V相およびW相のいずれかに対応する部位に接続される。各コイル29は、巻き線部29aと、渡り線部29bと、コイル線29cと、をそれぞれ有する。巻き線部29aは、ステータコア27の一部にワイヤ線を巻き回して構成される部位である。渡り線部29bは、同相のコイル29間において複数の巻き線部29a間を繋ぐ部位である。コイル線29cは、巻き線部29aから上側へ引き出され、後述のコイルガイド90を介して回路基板50と接続される。
【0028】
図2に示すように、ポンプ機構30は、モータ20によって駆動される。ポンプ機構30は、ステータ部26よりも下側に配置される。ポンプ機構30は、ロータ部21に接続される。本実施形態ではポンプ機構30が、トロコイドポンプ構造を有する。ポンプ機構30は、インナーロータ30aと、インナーロータ30aの径方向外側に位置するアウターロータ30bと、を有する。インナーロータ30aおよびアウターロータ30bは、ポンプギアであり、互いに噛み合う。インナーロータ30aおよびアウターロータ30bは、それぞれトロコイド歯形を有する。インナーロータ30aは、シャフト22の軸方向他方側の端部に固定される。このようにして、ポンプ機構30は、シャフト22とともにインナーロータ30aが回転されることで駆動する。
【0029】
基板ハウジング17は、ハウジング本体部41の上側の端部に位置する。基板ハウジング17は、中心軸J1を中心とする円筒状である。基板ハウジング17は、少なくとも上側に開口する凹部からなる収容凹部41kを有する。収容凹部41kの内周面には、基板支持面41gが設けられる。基板支持面41gは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。基板支持面41gは、軸方向に直交し、下側を向く。回路基板50は、基板支持面41gに支持されることで、基板ハウジング17の収容凹部41kに収容される。
【0030】
ハウジング40の上側には、コネクタ部80が設けられる。コネクタ部80は、基板ハウジング17の径方向外側面に設けられる。コネクタ部80は、基板ハウジング17から、径方向外側に突出する。コネクタ部80は回路基板50に接続され、例えば、外部電源が接続される。これにより、回路基板50は、コネクタ部80から供給された電力をステータ部26に電力を供給することができる。
【0031】
図2、
図3に示すように、回路基板50は、基材55と、インバータ部52と、不図示のプロセッサと、コンデンサー57と、インダクタ58と、を有する。
回路基板50は、板面が軸方向を向く板状である。回路基板50は、モータ20の軸方向一方側に位置する。回路基板50は、複数の基板支持面41gによって軸方向他方側から支持され、ネジによって複数の基板支持面41gにそれぞれ固定される。これにより回路基板50は、ハウジング40に支持される。
【0032】
回路基板50には、ステータ部26を構成するコイル29から引き出されたコイル線29cの先端が電気的に接続される。本実施形態において、回路基板50には、コイル線29cが、回路基板50の外周部において、周方向に間隔をあけた3箇所に接続される。回路基板50の各箇所において、2本のコイル線29cが配置されている。なお、各コイル線29cはU相、V相、W相のいずれかのコイル29の一部である。
【0033】
図2に示すように、インバータ部52は、モータ20と電気的に接続される。インバータ部52は、回路基板50の基材55に取り付けられる。本実施形態においてインバータ部52は、基材55の下側の下面55bに取り付けられる。インバータ部52は、複数のFET52aを含む。FET52aは、例えば、電界効果トランジスタである。インバータ部52は、回路基板50に接続されたコイル29から引き出されたコイル線29cを介して、ステータ部26と電気的に接続される。
【0034】
不図示のプロセッサは、インバータ部52と電気的に接続される。プロセッサは、基材55の下面55bにおいて、インバータ部52と異なる位置に取り付けられる。プロセッサは、インバータ部52への通電を制御する。
【0035】
図2、
図3に示すように、コンデンサー57およびインダクタ58は、中心軸J1に対して、Y方向の他方側(+Y側)に配置されている。コンデンサー57は、基材55の上側の上面55aに取り付けられる電子部品である。コンデンサー57は、回路基板50から上側に突出する円柱状である。コンデンサー57は、回路基板50を介してインバータ部52と電気的に接続される。
【0036】
インダクタ58は、基材55の上面55aに取り付けられる。インダクタ58は、ポンプ10に外部から供給される電源の昇圧用に用いられる。インダクタ58は、回路基板50を介してインバータ部52と電気的に接続される。これによりコンデンサー57およびインダクタ58は、回路基板50、インバータ部52およびコイル線29cを介して、ステータ部26と電気的に接続される。
【0037】
インダクタ58に比べ、コンデンサー57は、回路基板50から上側(軸方向一方側)への突出寸法が大きい。つまり、コンデンサー57は、インダクタ58よりも背の高い部品である。コンデンサー57の上側の先端面57tは、軸方向において、取付面48の近傍に配置される。
【0038】
本実施形態において、回路基板50の上側には、放熱材70が設けられる。放熱材70は、軸方向に直交するXY平面に沿うシート状で、回路基板50の少なくとも一部を覆う。本実施形態において、放熱材70は、例えば、アルミニウム系材料、銅系材料等の高い熱伝導率を有した材料を含む。放熱材70は、回路基板50の基材55の上面55aに設けられる。
【0039】
本実施形態において、インバータ部52およびプロセッサ(不図示)は、ポンプ駆動時に発熱する発熱部材である。放熱材70と、インバータ部52およびプロセッサ(不図示)とは、回路基板50を挟んで軸方向の反対側に配置される。放熱材70は、回路基板50に実装された発熱部品であるインバータ部52およびプロセッサ(不図示)と軸方向から見て重なる位置に設けられる。
図2に示すように、放熱材70は、回路基板50の基材55の上面55aに密着している。放熱材70は、例えばグリスや接着剤等によって基材55に固定される。
【0040】
図1、
図2に示すように、カバー60は、ハウジング40の上側に配置される。カバー60は、基板ハウジング17の収容凹部41kを上側から塞ぐ。本実施形態において、カバー60は、ハウジング40の上側の端部に位置する取付面48に固定される。本実施形態において、取付面48は、基板ハウジング17の上側の端部に設けられる。取付面48は、軸方向から見て、収容凹部41kの径方向外側で周方向に連続する環状である。
【0041】
カバー60は、金属板をプレス加工によって以下に示すような所定形状に折り曲げ加工することで構成される。カバー60は、固定部61と、カバー凹部62と、カバー凸部63と、第1リブ64と、第2リブ65と、を有する。カバー60は、軸方向から見て、ハウジング本体部41(基板ハウジング17)の上側の端部に合わせた外形形状を有する。
【0042】
固定部61は、カバー60の外周縁部に周方向に連続して設けられる。固定部61は、ハウジング40の取付面48に、複数本のボルト68によって固定される。このようにして、カバー60は、基板ハウジング17の取付面48に固定され、収容凹部41kを上側から塞ぐ。
【0043】
カバー凹部62は、固定部61の径方向内側に位置する。カバー凹部62は、固定部61に対して下側(軸方向他方側)に窪む。本実施形態において、カバー凹部62は、カバー60を取付面48に取り付けた状態で、中心軸J1に対してY方向の一方側(-Y側)に位置する。
【0044】
カバー凹部62は、底面62bと、傾斜面62sと、接続傾斜面62jと、を有する。底面62bは、軸方向に直交する面である。底面62bは、下側の表面が放熱材70に接触する。傾斜面62sは、底面62bの径方向外側に設けられる。傾斜面62sは、底面62bから径方向外側に向かって上側に傾斜し、固定部61に接続される。接続傾斜面62jは、カバー凸部63と隣接する部分に設けられる面である。接続傾斜面62jは、底面62bからカバー凸部63に向かって上側に傾斜する面である。
【0045】
カバー凸部63は、固定部61の径方向内側で、カバー凹部62とは異なる位置に設けられる。本実施形態において、カバー凸部63は、カバー60を取付面48に取り付けた状態で、中心軸J1に対してY方向の他方側(+Y側)に位置する。カバー凸部63は、固定部61に対して上側に突出する。カバー凸部63は、先端面63tと、傾斜面63sと、を有する。
【0046】
先端面63tは、軸方向に直交する面である。傾斜面63sは、先端面63tの径方向外側に設けられる。傾斜面63sは、先端面63tから径方向外側に向かって下側に傾斜し、固定部61に接続される。
【0047】
カバー凸部63は、回路基板50のコンデンサー57を覆うように設けられる。すなわち、コンデンサー57は、軸方向に見て、カバー凸部63に重なるように設けられる。本実施形態において、カバー凸部63の先端面63tは、コンデンサー57との間に、軸方向に間隔をあけて配置される。
【0048】
第1リブ64は、カバー凹部62の底面62bに沿って設けられる。本実施形態において、第1リブ64の先端面は、固定部61よりも下側に位置する。すなわち、カバー60は、カバー凹部62内から第1リブ64を突出させない形状を有している。第1リブ64は、底面62bから上側に突出する。第1リブ64は、所定の曲率半径を有した湾曲面状に設けられる。第1リブ64は、底面62bに沿った方向に延びる。本実施形態の場合、第1リブ64は、複数設けられる。本実施形態において、第1リブ64は、内周側リブ64Aと、外周側リブ64Bと、を含む。本実施形態において、内周側リブ64Aは、底面62bにおいて接続傾斜面62j側に設けられる。内周側リブ64Aは、底面62bに沿って-Y側に延び、接続傾斜面62jに接続される。
【0049】
外周側リブ64Bは、底面62bに沿って延び、傾斜面62sに連続する。外周側リブ64Bは、基材55から上側に突出する配線や電子部品に対応する位置に設けられる。カバー60は、外周側リブ64Bを備えることで、基材55から上側に突出する配線や電子部品との接触を抑制できる。
【0050】
第2リブ65は、カバー凸部63の先端面63tに設けられる。第2リブ65は、先端面63tから下側に窪み、先端面63tに沿って溝状に延びる。本実施形態において、第2リブ65は、例えば3箇所に設けられる。複数の第2リブ65は、軸方向から見て、X方向に並ぶとともに、コンデンサー57と干渉しない位置に配置される。
【0051】
図2に示すように、回路基板50の上側には、コイルガイド90が設けられる。コイルガイド90は、ステータ部26と回路基板50との間に配置される。コイルガイド90は、コイル29の巻き線部29aから上側に延びるコイル線29cを保持する。
図5に示すように、コイルガイド90は、ガイド本体91と、凸部92と、コイル保持部材95と、を有する。コイルガイド90のガイド本体91、およびコイル保持部材95は、それぞれ絶縁性を有した樹脂材料からなる。
【0052】
ガイド本体91は、軸方向から見て、中心軸J1を中心とする円環状である。ガイド本体91は、板状部91aと、内周リブ91pと、外周リブ91qと、位置決め用リブ91sと、径方向リブ91tと、を一体に備える。板状部91aは、板面が軸方向を向く板状である。
【0053】
内周リブ91p、外周リブ91q、位置決め用リブ91sおよび径方向リブ91tは、板状部91aの上側を向く面に設けられる。内周リブ91pは、板状部91aの径方向内側の内周縁部から上側に立ち上がる。内周リブ91pは、周方向に連続して設けられる。外周リブ91qは、板状部91aの径方向外側の外周縁部から上側に立ち上がる。外周リブ91qは、周方向に連続して設けられる。径方向リブ91tは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。径方向リブ91tは板状部91aから上側に立ち上がるとともに、径方向に連続して延びて内周リブ91pおよび外周リブ91q間を接続する。これら内周リブ91p、外周リブ91qおよび径方向リブ91tにより板状部91aが補強され、ガイド本体91の強度が高められる。
【0054】
複数の位置決め用リブ91sは、U相、V相、あるいはW相の各コイル29から導出された一対のコイル線29cに対して二個ずつ配置される。本実施形態において、一対の位置決め用リブ91sは、コイル保持部材95が配置される3箇所に、それぞれ設けられる。各位置決め用リブ91sは、板状部91aから上側に立ち上がる。各位置決め用リブ91sは、内周リブ91pから径方向外側に向かって延び、外周リブ91qには接続されない。
【0055】
図6、
図7、
図8に示すように、ガイド本体91には、複数の脚部94と、凸部92と、スリット93と、が設けられる。
複数の脚部94は、板状部91aの下側に設けられる。複数の脚部94は、それぞれ、ステータ部26に固定される。複数の脚部94により、ガイド本体91がステータ部26に固定される。複数の脚部94は、板状部91aの周方向に間隔をあけて設けられる。各脚部94は、板状部91aの外周縁部から下側に延びる。各脚部94の先端94sは、ステータコア27のコアバック27aの上側を向く上面27sに突き当たる。これにより、ガイド本体91の下側への移動が規制される。各脚部94の先端94sが、上面27sに突き当たった状態で、ガイド本体91とステータ部26とは、軸方向に隙間が設けられる。
【0056】
また、各脚部94の下側の端部には、固定用爪94tが設けられる。各固定用爪94tは、径方向内側に突出する。
図8に示すように、脚部94の固定用爪94tは、ステータ部26のインシュレータ28の径方向外側の面に設けられた凹部28bに固定される。複数の脚部94の固定用爪94tがそれぞれ凹部28bに引っ掛かることで、ガイド本体91の上側への移動が規制される。また、組立時には脚部94をステータ部26に固定させることで、ガイド本体91をステータ部26に容易に装着することができる。
【0057】
図6に示すように、スリット93は、ガイド本体91の板状部91aに設けられる。スリット93は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、スリット93は、周方向に間隔をあけた計3箇所に、それぞれ二個ずつ設けられる。各スリット93は、ガイド本体91の板状部91aの径方向内側の内周面から径方向外側に向かって、V字状、またはU字状に窪む。本実施形態において、スリット93の径方向外側のスリット端93eの幅は、コイル線29cの外径よりも小さい。
【0058】
凸部92は、板状部91aの径方向外側の面に設けられている。凸部92は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、凸部92は、周方向に間隔をあけた計3箇所に、それぞれ二個ずつ設けられる。各凸部92は、ガイド本体91から径方向外側に突出する。各ガイド本体91は、径方向外側から見て、矩形断面の角柱状に設けられる。各ガイド本体91には、コイル29から導出されたコイル線29cが巻き回される。
【0059】
周方向に間隔をあけた計3箇所のそれぞれにおいて、一対の凸部92は、対応する一対のスリット93に対して周方向外側に配置されている。すなわち、一対の凸部92には、周方向で互いに隣り合う二つのコイル29から導出されるコイル線29cがそれぞれ巻き付けられる。
【0060】
また、外周リブ91qは、一対のスリット93の径方向外側の部分で切り欠かれている。コイル29から導出されたコイル線29cは、スリット93を経由して径方向外側に引き出される。これにより、各コイル29から導出されるコイル線29cの周方向の位置がスリット93によって規定される。
【0061】
また、コイル線29cは、スリット93において、コイル線29cの外径よりも幅が小さい部分に食い込むことで、スリット93に良好に保持される。スリット93から径方向外側に延びるコイル線29cは、外周リブ91qの切欠き部分の両側のリブ端部91eに当たることで、周方向に折り曲げられ、凸部92に巻き回される。すなわち、コイル線29cは、スリット93を経由して径方向外側に引き出されて凸部92に巻き回されている。
【0062】
凸部92において、コイル線29cは、一対のスリット93から周方向の両側に離れるように延び、凸部92の上側を向く第1面92a、周方向においてスリット93が設けられている側と反対側の第2面92b、下側を向く第3面92c(
図6参照)、周方向においてスリット93が設けられている側の第4面92dに順次沿うように巻き回される。
【0063】
コイル線29cは、例えば、凸部92に2周巻き回された後、周方向においてスリット93が設けられている側の第4面92dに沿った部分から上側に折り曲げられている。これにより、周方向の3箇所では、それぞれ、二本のコイル線29cが、一対の凸部92を経由して上側に延びている。
【0064】
本実施形態では、
図7に示すように、一対の凸部92の一方に対するコイル線29cの巻き回し方向と、一対の凸部92の他方に対するコイル線29cの巻き回し方向とは、それぞれ逆向きである。このように、一対の凸部92に対するコイル線29cの巻き回し方向を逆向きとすることで、周方向において一対の凸部92の間からコイル線29cが上側に引き出される。
【0065】
図5に示すように、コイル保持部材95は、ガイド本体91に対して上側(軸方向一方側)に配置される。コイル保持部材95は、周方向に間隔をあけた計3箇所に、それぞれ設けられる。コイル保持部材95は、ガイド本体91の一対の凸部92から上側に延びる二本のコイル線29cを保持する。
図5、
図9、
図10、
図11に示すように、コイル保持部材95は、プレート部96と、内側固定部97Aと、外側固定部97Bと、コイル線挿通部98と、押圧部99と、を一体に備える。
【0066】
プレート部96は、板面が軸方向を向く板状である。プレート部96は、コイル保持部材95の外周リブ91qと内周リブ91pとに下側から支持される。プレート部96には、周方向両側に位置決め部96sがそれぞれ設けられる。位置決め部96sは、プレート部96から下側に突出する。位置決め部96sは、径方向に連続するリブ状である。位置決め部96sは、内周リブ91pと外周リブ91qとの間に挿入される。プレート部96の周方向両側に設けられた位置決め部96sは、一対の位置決め用リブ91sの間に配置される。これにより、ガイド本体91の周方向の位置が定められ、周方向への移動が規制される。
【0067】
内側固定部97Aは、ガイド本体91のプレート部96の径方向内側の端部に設けられる。内側固定部97Aは、プレート部96から下側に延びる。内側固定部97Aは、プレート部96の内周部から下側に延びる。内側固定部97Aの下側の端部には、固定用爪97sが設けられる。固定用爪97sは、径方向外側に突出する。このような内側固定部97Aの固定用爪97sは、ガイド本体91の内周縁部の下側の端面に固定される。
【0068】
外側固定部97Bは、ガイド本体91のプレート部96の径方向外側の端部に設けられる。外側固定部97Bは、プレート部96から下側に延びる。外側固定部97Bは、プレート部96の外周部から下側に延びる。外側固定部97Bの下側の端部には、固定用爪97tが設けられる。各固定用爪97tは、径方向内側に突出する。このような外側固定部97Bの固定用爪97tは、ガイド本体91の外周部の下側の端面に固定される。
【0069】
これら内側固定部97A、および外側固定部97Bがガイド本体91に固定されることで、コイル保持部材95がガイド本体91に保持される。内側固定部97A、および外側固定部97Bがガイド本体91を径方向両側から挟み込むことで、コイル保持部材95の径方向への移動が規制される。また、組立時には内側固定部97A、および外側固定部97Bがガイド本体91に固定されることで、コイル保持部材95をガイド本体91に容易に装着することができる。
【0070】
コイル線挿通部98は、プレート部96の径方向外側の端部に設けられる。コイル線挿通部98は、プレート部96から上側に突出して設けられる。コイル線挿通部98には、周方向に間隔をあけて一対の貫通孔98hが設けられる。各貫通孔98hには、凸部92から上側に延びるコイル線29cが挿入される。
【0071】
図11に示すように、押圧部99は、プレート部96の下側に設けられる。押圧部99は、プレート部96から下側に突出する。押圧部99は、コイル29から導出されるコイル線29cを、ガイド本体91に対して押圧する。押圧部99は、コイル29と凸部92との間において、コイル線29cを押圧する。押圧部99は、スリット93を通してコイル29から導出されたコイル線29cを、スリット93と凸部92との間で上側から下側に向かって押圧する。
【0072】
以上のように本実施形態のポンプ10によれば、コイル線29cを凸部92に巻き回すことで、コイル29から導出されるコイル線29cの周方向の位置が定められる。そして、凸部92から上側に引き出されるコイル線29cを、コイル保持部材95で保持することで回路基板50に接続されるコイル線29cの周方向および径方向における位置を、より安定して定めることができる。このようにして、バスバーを用いることなく、ステータ部26のコイル29から引き出したコイル線29cと回路基板50とを電気的に接続することが可能となる。その結果、ポンプ10の小型化を図ることができる。
【0073】
本実施形態のポンプ10によれば、コイルガイド90は複数の脚部94を有しているので、ガイド本体91をステータ部26に確実に固定することができる。これにより、ステータ部26に対するガイド本体91の位置を定めることができ、回路基板50に接続されるコイル線29cの周方向の位置を、安定して定めることが可能となる。
【0074】
本実施形態のポンプ10によれば、円環状のガイド本体91に対し、周方向に間隔をあけて複数の凸部92が設けられることで、周方向に沿って複数のコイル線29cを上側に引き出すことでできる。これにより、回路基板50に接続されるコイル線29cの周方向の位置を安定して定めることができる。
【0075】
本実施形態のポンプ10によれば、コイル29から導出されたコイル線29cを、スリット93を経由して凸部92に向けて延ばすことで、凸部92に対するコイル線29cの導入位置を安定させることができる。
【0076】
本実施形態のポンプ10によれば、スリット端93eの幅寸法がコイル線29cの外径よりも小さいので、スリット93内に配置されたコイル線29cが、スリット93によって挟み込まれる。これにより、凸部92に対するコイル線29cの導入位置を、より確実に安定させることができる。また、凸部92に巻き回すコイル線29cの緩みを抑えることもできる。
【0077】
本実施形態のポンプ10によれば、周方向で隣り合う二つのスリット93を通して一対の凸部92に向かう延びる二本のコイル線29cが、周方向外側に離れる方向に延びている。これにより、周方向で隣り合う二つの凸部92の間で、二本のコイル線29c同士が干渉するのを抑えることができる。
【0078】
本実施形態のポンプ10によれば、一対の凸部92に対するコイル線29cの巻き回し方向を逆向きとしたので、二本のコイル線29cの引き出し位置を周方向において近づけることができる。これにより、回路基板50におけるコイル線29cとの接続部分の面積が小さくなるので、ポンプ10の小型化を図ることができる。
【0079】
本実施形態のポンプ10によれば、コイル保持部材95のコイル線挿通部98にコイル線29cを挿通させることで、回路基板50に接続されるコイル線29cの周方向における位置を、容易に定めることができる。
【0080】
本実施形態のポンプ10によれば、コイル29から導出されるコイル線29cを、コイル保持部材95の押圧部99で押さえることで、振動等によってコイル線29cが位置ずれすることを抑えることができる。これにより、コイル線29cと回路基板50との接続部にかかる負荷を低減できる。
【0081】
本実施形態のポンプ10によれば、コイル保持部材95の内側固定部97Aと外側固定部97Bとを、ガイド本体91の径方向内側と外側とに固定させることで、コイル保持部材95をガイド本体91に容易に取り付けるとともに、コイル保持部材95の径方向における位置を固定することができる。
【0082】
本実施形態のポンプ10によれば、ガイド本体91の内周リブ91pと外周リブ91qとの間に、コイル保持部材95の位置決め部96sを挿入することで、コイル保持部材95の径方向における位置を、より確実に定めることができる。
【0083】
本実施形態のポンプ10によれば、ガイド本体91の一対の位置決め用リブ91sの間に、コイル保持部材95の位置決め部96sを配置することで、コイル保持部材95の周方向における位置を固定することができる。
【0084】
本実施形態のポンプ10によれば、コイルガイド90を樹脂材料で構成することで、コイルガイド90を容易かつ低コストで製造できる。また、絶縁性を有する樹脂材料を用いることでコイル線29cの短絡を抑制できる。
【0085】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0086】
例えば、上記実施形態では、コイル線挿通部98をコイル保持部材95に設けるようにしたが、コイル線挿通部98をガイド本体91に設けるようにしてもよい。
【0087】
本発明が適用される電動ポンプの用途は、特に限定されない。電動ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水などであってもよい。電動ポンプが取り付けられる所定対象は、どのような対象であってもよい。電動ポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。電動ポンプは、鉛直方向に対して、どのように配置されていてもよい。電動ポンプのモータにおける中心軸は、鉛直方向と直交せずに鉛直方向に対して傾いた方向に延びてもよいし、鉛直方向と平行に延びてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0088】
10…ポンプ(電動ポンプ)、20…モータ、21…ロータ部、26…ステータ部、29…コイル、30…ポンプ機構、40…ハウジング、50…回路基板、61…固定部、92…凸部、90…コイルガイド、91…ガイド本体、91p…内周リブ、91q…外周リブ、91s…位置決め用リブ、93…スリット、93e…スリット端、94…脚部、95…コイル保持部材、96s…位置決め部、97A…内側固定部、97B…外側固定部、98h…貫通孔、99…押圧部、J1…中心軸、W…コイル線。