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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】作業機械のキャブ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
E02F9/16 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021054544
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022151968
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】藤川 幸治
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016102(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/060280(JP,A1)
【文献】特開2013-245509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信端末用のホルダーが設置されている作業機械のキャブであって、
前記キャブは、
運転室を区画している一対の側壁面のうち、一方の側壁面の前側部分に設けられた乗降口と、
前記運転室の後側に、前方に向かって設置された運転席と、
前記運転席に沿って前後方向に延びるように、前記乗降口の側に設置され、前端部に操作レバーが設けられているコンソールボックスと、
前記乗降口の後側に拡がる前記側壁面の内側に設けられて、前記コンソールボックスに隣接している内装カバーと、
を備え、
前記コンソールボックスは、前記操作レバーの操作が行われる通常姿勢と、当該通常姿勢からその前端部が後方に向かって跳ね上げられた跳ね上げ姿勢とに、変位可能とされ、
携帯通信端末を上方から差し込むことにより、当該携帯通信端末を前記通常姿勢と前記跳ね上げ姿勢との間を変位する前記コンソールボックスと接触しない状態で保持する携帯端末ホルダーが、前記内装カバーの上部に設けられていて、
前記一方の側壁面の中間部および後部の各々に沿って上下方向に延びる2つの支柱フレームを更に有し、
前記携帯端末ホルダーに前記携帯通信端末を保持した時に、前記通常姿勢と前記跳ね上げ姿勢との間を変位する前記コンソールボックスと接触しないように、当該携帯通信端末の上部が前記2つの支柱フレームの間の枠内に位置するように、前記携帯端末ホルダーが配置されている、作業機械のキャブ。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械のキャブにおいて、
前記内装カバーの側面に、前記コンソールボックスの側から離れる方向に窪む凹部が設けられ、
前記凹部に、ケーブルを介して、前記携帯通信端末と接続可能な接続口が設けられている、作業機械のキャブ。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械のキャブにおいて、
前記凹部の底に、下に向かうほど前記コンソールボックスの側から離れるように傾斜した下向きの傾斜面が設けられ、
前記通常姿勢と前記跳ね上げ姿勢との間を変位する前記コンソールボックスと接触しない状態で前記ケーブルが保持されるように、前記接続口が前記傾斜面に設けられている、作業機械のキャブ。
【請求項4】
請求項2または3に記載の作業機械のキャブにおいて、
前記携帯端末ホルダーが、
前記携帯通信端末の差込口から下方に延びるように前記内装カバーの側面に形成されていて、前記ケーブルが挿通可能なスリットを更に有し、
前記スリットの下部に、前記携帯端末ホルダーに保持した前記携帯通信端末に接続されることによって前記スリットから引き出された前記ケーブルを、斜め下向きに延びるように誘導するガイド面が設けられている、作業機械のキャブ。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械のキャブにおいて、
前記凹部と前記スリットとが隣接した位置に配置されている、作業機械のキャブ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の作業機械のキャブにおいて、
前記乗降口の後側に拡がる前記側壁面の上側部分に窓が設けられ、
前記内装カバーの上部が、前記窓の下縁部に沿って延びており、
前記携帯端末ホルダーに前記携帯通信端末を保持した時に、当該携帯通信端末の上部が前記窓と対向する位置に、前記携帯端末ホルダーが配置されている、作業機械のキャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、油圧ショベルなどの作業機械のキャブに関する。詳しくは、スマートフォンなどの携帯通信端末用のホルダーが設けられているキャブに関する。
【背景技術】
【0002】
キャブに、携帯通信端末の置き場所として、専用のホルダー(以下、携帯端末ホルダーともいう)を設けた油圧ショベルは、特許文献1に開示されている。
【0003】
その油圧ショベルでは、運転席の左右両側に設置されているコントロールボックス(コンソールボックスともいう、以下、コンソールボックスとする)のうち、右側のコンソールボックスに、携帯端末ホルダー(携帯通信端末保持部30)が設けられている。
【0004】
詳細には、右側のコンソールボックスの前端部に、右前方に突出した部分(突出部分)が設けられている。その突出部分の上側に、携帯端末ホルダーが設けられている。その携帯端末ホルダーは、携帯通信端末の下側部分が抜き差し自在に差し込めるように構成されている。
【0005】
携帯通信端末は、その上側部分を運転席に向けて露出させた状態で、その携帯端末ホルダーに保持される。従って、運転者は、フリーハンドで、運転席から携帯通信端末の表示画面の一部を見ることができる。突出部分の内側面における携帯端末ホルダーよりも下方の部位には、USB端子が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-16102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の油圧ショベルは、中型に分類される機種である。その油圧ショベルでは、右側のコンソールボックスの前端部の操作レバーの横に有る突出部分を利用して、携帯端末ホルダーが設置されている。
【0008】
しかし、ミニショベルと言われるような、小型に分類される機種では、キャブの内部が狭い。そのため、小型の油圧ショベルでは、コンソールボックスに突出部分がない機種も多い。そのような機種では、特許文献1のような携帯端末ホルダーを設けることはできない。
【0009】
更に、右側のコンソールボックスの前端部の周辺には、モニターなどの操作に必要な装置が設置されている場合も多い。そのような機種では、携帯通信端末の画面を運転席から見える範囲で、携帯端末ホルダーを設置できるスペースは限られる。設置できたとしても装置の操作の邪魔になるので、右側のコンソールボックスの前端部の周辺に、携帯端末ホルダーを設けることは難しい。
【0010】
そうした場合、左側のコンソールボックスの前端部の周辺に、携帯端末ホルダーを設けることが考えられる。しかし、左側のコンソールボックスの前端部は、キャブの乗降口に隣接している。そのため、左側のコンソールボックスの前端部の周辺で携帯端末ホルダーを設けることができるスペースは、更に限られる。
【0011】
しかも、左側のコンソールボックスは、運転者が乗降する際に、コンソールボックスが邪魔にならないように、跳ね上げ式になっているのが一般的である。すなわち、左側のコンソールボックスは、その後端部が回動可能に支持されており、その前端部を後方に向けて跳ね上げることができるように構成されている。
【0012】
そのため、左側のコンソールボックスの前端部の周辺に携帯端末ホルダーを設ける場合、設置できるスペースが大幅に限られているうえに、可動するコンソールボックスとの接触も回避しなければならない。
【0013】
そこで、開示する技術では、携帯端末ホルダーを、作業機械のキャブの乗降口側に効率的かつ適切に設けられるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示する技術は、携帯通信端末用のホルダーが設置されている作業機械のキャブに関する。
【0015】
前記キャブは、運転室を区画している一対の側壁面のうち、一方の側壁面の前側部分に設けられた乗降口と、前記運転室の後側に、前方に向かって設置された運転席と、前記運転席に沿って前後方向に延びるように、前記乗降口の側に設置され、前端部に操作レバーが設けられているコンソールボックスと、前記乗降口の後側に拡がる前記側壁面の内側に設けられて、前記コンソールボックスに隣接している内装カバーと、を備える。
【0016】
前記コンソールボックスは、前記操作レバーの操作が行われる通常姿勢と、当該通常姿勢からその前端部が後方に向かって跳ね上げられた跳ね上げ姿勢とに、変位可能とされている。そして、携帯通信端末を上方から差し込むことにより、当該携帯通信端末を前記通常姿勢と前記跳ね上げ姿勢との間を変位する前記コンソールボックスと接触しない状態で保持する携帯端末ホルダーが、前記内装カバーの上部に設けられている。
【0017】
すなわち、このキャブによれば、運転室を区画している一対の側壁面のうち、乗降口の後側に拡がる側壁面の内面に、コンソールボックスに隣接して、内装カバーが設けられている。そのコンソールボックスは、操作レバーの操作が行われる通常姿勢からその前端部が後方に向かって跳ね上げられる、いわゆる跳ね上げ式のコンソールボックスである。
【0018】
そのため、コンソールボックスに隣接している内装カバーに携帯端末ホルダーを設ける場合、携帯端末ホルダーに保持した携帯通信端末が、通常姿勢のコンソールボックスからは離れていても、コンソールボックスを跳ね上げる操作をしたときに、その変位過程でコンソールボックスと携帯通信端末とが接触するおそれがある。
【0019】
それに対し、このキャブの携帯端末ホルダーは、内装カバーの上部に、携帯通信端末を上方から差し込むことによってその携帯通信端末を保持する。それにより、携帯端末ホルダーに保持した状態の携帯通信端末を内装カバーよりも内側に出ないようにして、跳ね上げ式のコンソールボックスとの接触を回避している。
【0020】
しかも、内装カバーの上部に上方から差し込むことによってその携帯通信端末を保持するので、携帯通信端末を保持し易い。内装カバーを利用しているので、別部材を設けたり新たなスペースを確保したりする必要も無い。狭い運転室でも支障無く、携帯端末ホルダーを設けることができる。従って、携帯端末ホルダーを、作業機械のキャブの乗降口側に効率的かつ適切に設けることができる。
【0021】
前記キャブはまた、前記内装カバーの側面に、前記コンソールボックスの側から離れる方向に窪む凹部が設けられ、前記凹部に、ケーブルを介して、前記携帯通信端末と接続可能な接続口が設けられている、としてもよい。
【0022】
このキャブの場合、内装カバーの内側の側面に、外側に向かって窪む凹部が設けられていて、その凹部に、ケーブルを介して、携帯通信端末と接続可能な接続口が設けられている。携帯通信端末は、ケーブルを介して接続口と接続できるので、例えば、充電や通信などの処理を、有線で行うことができる。従って、安定した処理が行える。
【0023】
しかも、その接続口を凹部に設けたことにより、接続口をコンソールボックスから遠ざけることができる。従って、接続口に接続したケーブルがコンソールボックスと接触し難くできる。
【0024】
前記キャブはまた、前記凹部の底に、下に向かうほど前記コンソールボックスの側から離れるように傾斜した下向きの傾斜面が設けられ、前記通常姿勢と前記跳ね上げ姿勢との間を変位する前記コンソールボックスと接触しない状態で前記ケーブルが保持されるように、前記接続口が前記傾斜面に設けられている、としてもよい。
【0025】
すなわち、このキャブでは、凹部の底に下向きの傾斜面が設けられていて、そこに接続口が設けられている。それにより、接続口に接続したケーブルもまた、下向きに傾斜した状態にできる。下向きに傾斜したケーブルは、柔軟でなくても、そのまま自然に垂れ下がる。
【0026】
それにより、コンソールボックスとの間が狭くても、跳ね上げ式のコンソールボックスと接触しない状態に、ケーブルを保持できる。従って、コンソールボックスを跳ね上げる操作を安心して行える。
【0027】
前記キャブはまた、前記携帯端末ホルダーが、前記携帯通信端末の差込口から下方に延びるように前記内装カバーの側面に形成されていて、前記ケーブルが挿通可能なスリットを更に有し、前記スリットの下部に、前記携帯端末ホルダーに保持した前記携帯通信端末に接続されることによって前記スリットから引き出された前記ケーブルを、斜め下向きに延びるように誘導するガイド面が設けられている、としてもよい。
【0028】
すなわち、携帯通信端末の下端部には、ケーブル接続用のコネクタが設けられているのが一般的である。従って、上述したようなスリットを設けることで、ケーブルを接続した状態のままで、携帯通信端末の下端部を、携帯端末ホルダーに保持させることができる。従って、携帯通信端末を携帯端末ホルダーに保持した状態で、充電や通信などの処理が行える。
【0029】
そして、スリットの下部には、スリットから引き出されたケーブルを、斜め下向きに延びるように誘導するガイド面が設けられている。従って、スリットから引き出されたケーブルは、柔軟でなくても、円滑に垂れ下がる。つまり、内装カバーの側面に沿って垂れ下がるので、内装カバーから内方に大きく入り込むことがない。従って、コンソールボックスとの間が狭くても、跳ね上げ式のコンソールボックスと接触しない状態に、ケーブルを保持できる。
【0030】
前記キャブはまた、前記凹部と前記スリットとが隣接した位置に配置されている、としてもよい。
【0031】
そうすれば、接続口と携帯端末ホルダーとが近接した状態になる。ケーブルが短くても接続できる。従って、汎用性に優れる。更に、ケーブルは、接続口から垂れ下がるとともに、スリットからも垂れ下がるので、接続口と携帯通信端末とに接続されたケーブルは、自然に曲がって垂れ下がった状態になる。従って、ケーブルが内側に張り出し難くなり、跳ね上げ式のコンソールボックスと接触を効果的に回避できる。
【0032】
前記キャブはまた、前記乗降口の後側に拡がる前記側壁面の上側部分に窓が設けられ、前記内装カバーの上部が、前記窓の下縁部に沿って延びており、前記携帯端末ホルダーに前記携帯通信端末を保持した時に、当該携帯通信端末の上部が前記窓と対向する位置に、前記携帯端末ホルダーが配置されている、としてもよい。
【0033】
そうすれば、運転席に座るオペレータから見た場合、携帯端末ホルダーに保持した携帯通信端末の後側には窓が位置することになるので、携帯通信端末を視認し易い。従って、携帯通信端末の置き忘れを効果的に防止できる。
【0034】
前記キャブはまた、前記側壁面の中間部および後部の各々に沿って上下方向に延びる2つの支柱フレームを更に有し、前記携帯端末ホルダーに前記携帯通信端末を保持した時に、当該携帯通信端末の上部が前記2つの支柱フレームの間に位置するように、前記携帯端末ホルダーが配置されている、としてもよい。
【0035】
そうすれば、携帯通信端末が運転室の側に出ないため、跳ね上げ式のコンソールボックスとの接触を確実に回避できる。窓枠内のデッドスペースを活用でき、運転室が狭くても、オペレータが圧迫感や不安感を感じるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0036】
開示する技術によれば、キャブの乗降口側であっても、携帯端末ホルダーを効率的かつ適切に設けることができる。従って、機種を選ばず、多くの作業機械に携帯端末ホルダーを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、開示する技術を適用した作業機械の一例を示す概略図である。
図2図2は、図1において矢印A-A線で示す方向から見た概略断面図である。
図3図3は、運転室の構造を、右斜め上前方から見た概略図である。
図4図4は、運転室の前部右側の構造を示した概略斜視図である。
図5図5は、跳ね上げ式のコンソールボックスを説明するための図である。
図6図6は、携帯端末ホルダーを説明するための図である。上段の図は未使用時の状態、中段の図は装着時の状態、下段の図は使用時の状態、を示している。
図7図7は、図6において矢印B-B線で示す方向から見た概略断面図である。上段の図は図6の上段の図に、下段の図は図6の下段の図にそれぞれ対応している。
図8図8は、図6において矢印C-C線で示す方向から見た概略断面図である。上段の図は図6の上段の図に、下段の図は図6の下段の図にそれぞれ対応している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、開示する技術の実施形態の一つを例示する。説明で用いる前後、左右、および、上下の方向は、上部旋回体を基準とする。これら方向を各図に矢印で示す。
【0039】
<作業機械>
図1に、開示する技術を適用した油圧ショベル1(作業機械の一例)を示す。この油圧ショベル1は、機械質量が5t程度の小型機種である(いわゆるミニショベル)。油圧ショベル1は、大略、下部走行体2と、その上に旋回自在に搭載された上部旋回体3とで構成されている。
【0040】
上部旋回体3は、小さい半径で旋回できるように、その形状がコンパクトに設計されている(小旋回型)。下部走行体2は、その左右の両側に一対のクローラ2a,2aを有している。これらクローラ2a,2aにより、下部走行体2は自在に走行する。下部走行体2の前端部には、ドーザ2bが設けられている。ドーザ2bは、整地等の作業を行う。
【0041】
上部旋回体3の前部の左右方向における中央部位には、アタッチメント4が取り付けられている。アタッチメント4は、ブーム4a、アーム4b、バケット4c、油圧シリンダ4dなどで構成されている。この機種の場合、ブーム4aの基端部分は、スイングブラケット5を介して、上部旋回体3に設けられた軸受部3aに回動可能かつ揺動可能に軸支されている。アーム4bは、ブーム4aの先端部分に回動可能に軸支されている。バケット4cは、アーム4bの先端部分に回動可能に軸支されている。
【0042】
ブーム4a、アーム4b、および、バケット4cの各々には、油圧シリンダ4dが設けられている。これら油圧シリンダ4dの各々が油圧制御によって伸縮することで、ブーム4a、アーム4b、および、バケット4cは、水平方向に延びる回動軸を中心に回動する。ブーム4aは更に、左右に揺動する。それにより、アタッチメント4は、掘削等の作業を行う。
【0043】
図1図2に示すように、上部旋回体3の後部から右側部に至る部分には、カバーで覆われた機械室6が設けられている。機械室6の内部には、エンジン、油圧ポンプ、燃料タンクなど、駆動に要する各種機器が格納されている。そして、上部旋回体3の左側部に、運転室を構成するキャブ10が設けられている。
【0044】
<キャブ>
キャブ10は、運転室を外界から区画した状態で運転室を保護する構造物である。図2図3図4に、その運転室の構造を示す。図2は、図1において矢印A-Aで示す方向から見た概略断面図である。運転室の構造を上方から見た図に相当する。図3は、運転室の構造を、右斜め上前方から見た概略図である。便宜上、運転室の右側部および前部に設置されている構造物は図示を省略している。図4は、運転室の前部右側の構造を示した概略斜視図である。
【0045】
キャブ10は、図2図3に示すように、前壁面10a、後壁面10b、上壁面10c、左側壁面10d、および、右側壁面10eを有する箱形状に形成されている。上壁面10cは、パネルによって構成されているのに対し、前壁面10a、後壁面10b、左側壁面10d、および、右側壁面10eの各々は、良好な作業視野を確保するために、大部分が窓によって構成されている。
【0046】
すなわち、図3図4に示すように、前壁面10aの略全範囲は、前窓11aによって構成されている。後壁面10bおよび右側壁面10eの各々は、機械室6よりも上側の部分が窓(後窓11bおよび右窓11c)によって構成されている。左側壁面10dの後側部分もまた、機械室6よりも上側の部分(上側部分)が左窓11dによって構成されている。一方、左側壁面10dの前側部分には、乗降口12が設けられている。
【0047】
乗降口12には、ドア13が取り付けられている。ドア13の上側部分および下側部分にも、それぞれ窓が設けられている。ドア13は、乗降口12の後側の縁部に揺動可能な状態で軸支されている。ドア13の前側を左方に引っ張って後方に揺動させることで、乗降口12は開かれる。油圧ショベル1を運転するオペレータは、この乗降口12を通じて、キャブ10の内部、つまり運転室に出入りする。
【0048】
上述したように、この油圧ショベル1は、小型である。キャブ10も、中型や大型の機種に比べると小さい。そのため、図2に示すように、運転室には、オペレータが運転し易いように、そして、快適に運転できるように、様々な操作機器、付属機器などが、運転席22の周囲に密集した状態で、効率よく配置されている。なお、開示する技術では、携帯通信端末100(スマートフォンや携帯電話など)の置き場所に関して、油圧ショベル1に工夫が施されているが、これについては後述する。
【0049】
図3に示すように、キャブ10の下部は、上部旋回体3の上に組み付けられるベースフレーム14によって構成されている。ベースフレーム14は、運転室の前側に拡がるフロアパネル14aと、フロアパネル14aの後側に台状に設けられたシートスタンド14bと、を有している。シートスタンド14bにより、機械室6と運転室との間が区画されている。
【0050】
図2に示すように、フロアパネル14aの前端部における左右方向の中央部位には、一対の走行ペダル20,20と一対の走行レバー21,21とが設置されている。そして、シートスタンド14bにおける左右方向の中央部位には、運転席22、つまりオペレータが着座するシートが、前方に向いた状態で設置されている。
【0051】
すなわち、シートスタンド14bの上にクッション部22aが載置され、その後側から立ち上がるように背もたれ部22bが連結されている。そして、シートスタンド14bにおけるその運転席22の左右両側の部位に、運転席22に沿って前後方向に延びるように、コンソールボックス23が設置されている(右側コンソールボックス23Rおよび左側コンソールボックス23L)。
【0052】
(コンソールボックス)
図2図3に示すように、各コンソールボックス23の前端部は、シートスタンド14bおよび運転席22よりも前方に突出している。そして、それらの前端部に、操作レバー24が設けられている。これら操作レバー24は、前方かつ内側に僅かに傾斜した状態で上方に向かって延びている(図5参照)。
【0053】
各コンソールボックス23における操作レバー24の後側には、リストレスト25が設置されている。各リストレスト25は、各コンソールボックス23の上部から上方に突出している。各リストレスト25は、その上部に、前後方向に長く幅が広い載置台を有している。オペレータは、この載置台の上に前腕部分を載せ置いた状態で、操作レバー24の操作ができる。
【0054】
右側コンソールボックス23Rは、シートスタンド14bに固定されているのに対し、左側コンソールボックス23Lは、跳ね上げ可能に構成されている(跳ね上げ式のコンソールボックス)。
【0055】
上述したように、左側壁面10dの前側部分には乗降口12が設けられている。コンソールボックス23の前端部は、シートスタンド14bよりも前方、つまりはフロアパネル14aの上方に突出している。そのため、図3図5の左図に示すように、左右方向から見たとき、乗降口12とコンソールボックス23の前端部とが重なる状態となっている。
【0056】
そのため、このままの状態では、左側コンソールボックス23Lの前端部は、乗降口12と運転席22との間に位置することになるので、オペレータが運転室に乗り降りする際に邪魔になる。そこで、左側コンソールボックス23Lは、操作レバー24の操作が行われる状態(通常姿勢、図3図5の左図に示す状態)と、通常姿勢からその前端部が後方に向かって跳ね上げられた状態(跳ね上げ姿勢、図5の右図に示す状態)とに、変位可能に構成されている。
【0057】
具体的には、左側コンソールボックス23Lの後端部がシートスタンド14bに回動可能に軸支されている。そして、左側コンソールボックス23Lの前端部に設けられた跳ね上げレバー26を操作することで、ロックが外れて、通常姿勢および跳ね上げ姿勢の各々に変位できるように構成されている。
【0058】
図5の右図に示すように、左側コンソールボックス23Lが跳ね上げ姿勢になると、左右方向から見たとき、乗降口12と左側コンソールボックス23Lの前端部とは、ほとんど重ならない。従って、オペレータが運転室から乗り降りする際にも、左側コンソールボックス23Lの前端部は邪魔にならないので、乗り降りが容易にできる。
【0059】
<内装カバー>
左側壁面10d、後壁面10b、および、右側壁面10eの各々の内側には、これら壁面を覆うように、内装カバーが設けられている。
【0060】
詳細には、図2に示すように、左側壁面10dの内側のうち、乗降口12の後側かつ左窓11dの下側に拡がる領域に、左側カバー30が取り付けられている。後壁面10bの内側のうち、後窓11bの下側に拡がる領域に、後側カバー40が取り付けられている。右側壁面10eの内側のうち、右窓11cの下側に拡がる領域に、右側カバー50が取り付けられている。
【0061】
左側カバー30は、左側コンソールボックス23Lおよび背もたれ部22bの左側に隣接しており、右カバーは、フロアパネル14a、右側コンソールボックス23R、および、背もたれ部22bの右側に隣接している。後側カバー40は、背もたれ部22bの後側に隣接している。
【0062】
(右側カバー、後側カバー)
右側カバー50は、右側コンソールボックス23R、フロントサイドボックス52、および、リアサイドボックス53と一体化されている。すなわち、図2図4に示すように、右側コンソールボックス23Rの前側かつ右側カバー50の左側に連なるようにして、フロアパネル14aの右端部分にフロントサイドボックス52が設けられている。フロントサイドボックス52の内部には、空調機器(エアコン)などが格納されている。
【0063】
フロントサイドボックス52の上部には、タッチ操作が可能な操作用のモニター27や各種スイッチが設置されている。そして、右側コンソールボックス23Rの後側かつ右側カバー50の左側に連なるようにして、シートスタンド14bの上側部分にリアサイドボックス53が設けられている。リアサイドボックス53には、レバーや各種スイッチが設置されている。
【0064】
右側カバー50の後側部分には、右パネルカバー51が内側に張り出すように設けられている。右パネルカバー51は、リアサイドボックス53の上方に位置しており、そこにも各種スイッチが設置されている。
【0065】
右側カバー50の上部のうち、右窓11cの下縁に沿って延びる部分には、エアコンの吹出口54が設けられている。詳細には、右窓11cの前側部および後側部の各々に沿って上下方向に延びる一対の支柱フレームの間に、エアコンの吹出口54が設置されている。
【0066】
具体的には、図2に示すように、キャブ10の4箇所の隅部には、支柱フレームが設けられている(右前支柱フレーム15a、右後支柱フレーム15b、左前支柱フレーム15c、および、左後支柱フレーム15d)。これら支柱フレームは、ベースフレーム14と上壁面10cとの間を上下方向に延びており、キャブ10の骨格を構成している。
【0067】
右窓11cは、右前支柱フレーム15aと右後支柱フレーム15bの間に取り付けられている。図4に示すように、右窓11cは、これら右前支柱フレーム15aおよび右後支柱フレーム15bの各々の外縁部(外側に位置する縁部)に取り付けられている。
【0068】
そして、右側カバー50の上部における、これら右前支柱フレーム15aおよび右後支柱フレーム15bの間の部位に、2つの吹出口54が前後に離れて設置されている。エアコンの吹出口54は、後側カバー40にも設置されている。
【0069】
このように、小型の油圧ショベル1では、運転室が狭いので、右側コンソールボックス23Rの周辺には、モニター27などの操作に必要な装置が、密集した状態で設置されている。従って、携帯通信端末100の画面を運転席22から見ることができる範囲では、運転室の右側に、携帯通信端末用のホルダーを設置できるようなスペースは見当たらない。設置できたとしても操作の邪魔になるので、運転室の右側に携帯通信端末用のホルダーを設けることは難しい。
【0070】
(左側カバー)
乗降口12の存在により、左側カバー30は、右側カバー50よりも前後方向に短い(約半分)。
【0071】
すなわち、左側壁面10dには、図2図3に示すように、左前支柱フレーム15cと左後支柱フレーム15dとの間に、更に、左中支柱フレーム15eが設けられている。左中支柱フレーム15eは、フロアパネル14aとシートスタンド14bとの境界部分に配置されており、乗降口12の後側の縁部は、この左中支柱フレーム15eによって構成されている。そして、左側壁面10dのうち、その中間部に位置する左中支柱フレーム15eと、その後部に位置する左後支柱フレーム15dとの間の領域に、左側カバー30が設けられている。
【0072】
左側コンソールボックス23Lが跳ね上げ式であるため、左側カバー30の内側のスペースは、右側カバー50よりも限られている。
【0073】
すなわち、左側コンソールボックス23Lは、通常姿勢と跳ね上げ姿勢との間で変位するので、左側コンソールボックス23Lが変位時に通過するスペースを確保する必要がある。そのため、左側コンソールボックス23Lの後側には、リアサイドボックス53は設けられていない。
【0074】
図3に示すように、左側カバー30の後側部分にも、右側カバー50と同様に、左パネルカバー31が内側に張り出すように設けられている。そして、左側カバー30の前側部分には、右側カバー50とは異なり、左パネルカバー31よりも張り出し量の小さい幅狭部32が設けられている。幅狭部32は、略垂直な内側面を有している。このような幅狭部32を設けることにより、左側コンソールボックス23Lの可動スペースを確保している。
【0075】
左パネルカバー31は、図6に示すように、内側に向かって下り傾斜した上面部31aと、上面部31aの下端縁に連なって下方に拡がる側面部31bと、上面部31aおよび側面部31bの前縁に連なって前方に臨む前端面部31cと、を有している。
【0076】
前端面部31cは、幅狭部32の後側の縁部に連なっている。側面部31bは、上側よりも下側の方が運転室の外側に位置する、下向きの傾斜面となっている。それにより、前端面部31cは、狭い方の鋭角が下側に位置する直角三角形状となっている。
【0077】
左パネルカバー31の内部には、無線による受信機能および/または通信機能を備えた音響機器28(例えばAM/FMラジオ)が設置されている。上面部31aには、その操作面28aが設けられている。この操作面28aは、防水加工が施されている。
【0078】
すなわち、図5に示すように、左側壁面10dの上側には、雨具が掛け止め可能なフック29が設けられている。それにより、カッパなどの濡れた雨具がフック29に掛け止められた場合、上面部31aの上に雨水が落下する場合がある。それに対し、操作面28aが防水性を有しているので、雨水で濡れても問題は無い。しかも、上面部31aは、運転室の内側に向かって下り傾斜しているので、雨水が溜まることがない。排水性に優れる。
【0079】
そして、側面部31bの前端部分には、図6に示すように、凹部33が設けられている。この凹部33は、左側コンソールボックス23Lの側から離れる方向、つまり運転室の外側に向かって窪むように形成されている。そして、この凹部33の底にもまた、下向きの傾斜面33aが設けられている。
【0080】
その傾斜面33aに、電気ケーブル101の接続口34(例えばUSBポート)が設けられている。詳細には、接続口34は、音響機器28と電気配線34aで接続されていて、所定の通信規格に対応した信号の電送が可能に構成されている。なお、凹部33は、下向きに傾斜した側面部31bに設けられているので、接続口34は濡れ難い。従って、接続口34は防水仕様でなくてもよい。
【0081】
接続口34は、凹部33に設けられているので、接続口34を左側コンソールボックス23Lから遠ざけることができる。従って、左側コンソールボックス23Lに近接している側面部31bに接続口34を設けても、接続口34に接続した電気ケーブル101を左側コンソールボックス23Lと接触し難くできる。
【0082】
その接続口34はまた、傾斜面33aに対応して、電気ケーブル101の差込方向が、斜め上向き(傾斜面33aに対する法線の方向)となるように構成されている。接続口34に差し込んだ電気ケーブル101は、柔軟でなくても、内側にほとんど張り出すことなく、自然に、垂れ下がった状態になる。それにより、接続口34に差し込んだ電気ケーブル101と、跳ね上げ式の左側コンソールボックス23Lとが接触するのを回避できる。
【0083】
油圧ショベル1が大きく揺れ動いた場合には、電気ケーブル101も揺れ動いて左側コンソールボックス23Lに接触する可能性はある。その場合でも、電気ケーブル101は、自然に垂れ下がっているので、揺れが無くなれば元の状態に戻る。
【0084】
(携帯通信端末用のホルダー)
スマートフォンや携帯電話などの携帯通信端末100の置き場所として、図3図6に示すように、携帯通信端末用のホルダー(携帯端末ホルダー60)が、前端面部31cと幅狭部32との境界部分に設けられている。すなわち、携帯端末ホルダー60は、左側カバー30に設けられた差込口61を有し、その差込口61に携帯通信端末100の下部を上方から差し込むことで、携帯通信端末100を着脱自在に保持できるように構成されている。
【0085】
差込口61は、前後方向に長い孔からなり、携帯通信端末100の表示面を、右方、つまり運転席22の側に向けた状態で差し込めるように形成されている。差込口61は、左側カバー30の上部のうち、左窓11dの下縁に沿って延びる部分に設けられている。
【0086】
詳細には、左窓11dは、右窓11cと同様に、左窓11dの前側部に沿って延びる左中支柱フレーム15eの外縁部と、左窓11dの後側部に沿って延びる左後支柱フレーム15dの外縁部に取り付けられている。そして、これら支柱フレーム15の間における左側カバー30の上部の前端部に、差込口61が配置されている。
【0087】
それにより、携帯端末ホルダー60に携帯通信端末100を保持した時には、携帯通信端末100の上部は、左窓11dと内外に対向した状態になる。それにより、オペレータから見た場合、携帯通信端末100の後側には左窓11dが位置することになるので、携帯通信端末100を視認し易い。しかも、携帯端末ホルダー60は、乗降口12に隣接しているので、降りる際に目立つ。従って、携帯通信端末100の置き忘れを効果的に防止できる。
【0088】
携帯端末ホルダー60に携帯通信端末100を保持した時にはまた、前後方向から見て、携帯通信端末100の上部は、左中支柱フレーム15eと左後支柱フレーム15dとの間に位置した状態になる。携帯通信端末100が運転室の側に出ないため、跳ね上げ式の左側コンソールボックス23Lとの接触を確実に回避できる。窓枠内のデッドスペースを活用でき、狭い運転室でも、オペレータが圧迫感や不安感を感じるのを抑制できる。
【0089】
携帯端末ホルダー60はまた、差込口61の内部に、位置決め用の支持プレート62、保持用の樹脂バネ63などを有している。携帯端末ホルダー60は、更に、差込口61から下方に延びるスリット64を有している。
【0090】
図7図8に示すように、支持プレート62は、所定形状の金具からなる。支持プレート62は、差込口61に携帯通信端末100を差し込んだときに、携帯端末ホルダー60の下端部を受け止めて、所定位置に誘導する。そして、携帯通信端末100を僅かに後傾させた状態で、所定の差し込み量で携帯通信端末100を位置決めする。支持プレート62により、携帯通信端末100の表示面に表示される着信などの主な表示が視認でき、その表示がオペレータから視認し易い角度に保持される。
【0091】
図8に示すように、樹脂バネ63は、所定形状の弾性を有する樹脂部材からなり、支持プレート62と内外に対向した状態で、スリット64の両側に2つ設置されている。差込口61に携帯通信端末100を差し込んだときに、携帯通信端末100は、これら樹脂バネ63によって弾性的に支持される。油圧ショベル1が揺れ動いても、携帯通信端末100が抜け出さないように構成されている。
【0092】
図6に示すように、スリット64は、左側カバー30の側面に形成されていて、電気ケーブル101が挿通可能に構成されている。前端面部31cと幅狭部32との境界部位を跨ぐ位置に差込口61を配置することにより、スリット64が、その境界部位に沿って差込口61から下方に延びるようにしている。
【0093】
それにより、スリット64の後側の縁部は、前端面部31cと、段差がほとんど無い状態で連なるようになっている。その結果、スリット64と凹部33とは、前後方向にはほとんど接した状態で隣接し、左右方向には、幅狭部32と左パネルカバー31との幅の差程度に離れた状態で隣接している。
【0094】
携帯通信端末100の下端部には、充電や通信を行うために、電気ケーブル101を接続するコネクタが設けられているのが一般的である。図6の中段および下段の図に示すように、スリット64に電気ケーブル101を挿通することにより、そのコネクタに電気ケーブル101を接続した状態で、携帯通信端末100を携帯端末ホルダー60に保持することができる。
【0095】
図7に示すように、スリット64の下端部には、電気ケーブル101を斜め下向きに延びるように誘導するガイド面64aが設けられている。すなわち、電気ケーブル101が接続されている携帯通信端末100を携帯端末ホルダー60に差込口61に所定位置まで差し込んだときには、電気ケーブル101を、斜め下向きに延びた状態でスリット64から円滑に引き出せるように、ガイド面64aは、電気ケーブル101を誘導する。
【0096】
それにより、スリット64から運転室の中に引き出された電気ケーブル101は、下方に垂れた状態、つまり左側カバー30(前端面部31c)に沿った状態になる。電気ケーブル101の接続口34が設置されている凹部33にスリット64が隣接し、しかも、接続口34に接続した電気ケーブル101が垂れ下がるように構成されている。
【0097】
従って、電気ケーブル101の長短に関係無く、跳ね上げ式の左側コンソールボックス23Lと電気ケーブル101との接触を回避できる。特に、跳ね上げ姿勢の時に、リストレスト25に電気ケーブル101が引っ掛かるおそれがあるが(図5の右図参照)、そのような不具合も防止できる。左側コンソールボックス23Lとの接触可能性がある境界を、図7に二点鎖線Lで例示する。
【0098】
従って、携帯通信端末100を携帯端末ホルダー60に保持した状態で、作業中に、充電や通信などの処理が行える。有線による接続なので、安定した処理が行える。着座した状態で、携帯通信端末100の表示面の上側部分を視認できるので、着信の確認などができ、扱い易い。左側コンソールボックス23Lとの接触を回避できるので、安心して跳ね上げ操作できる。
【0099】
このように、油圧ショベル1によれば、携帯端末ホルダー60を、キャブ10の乗降口12の側に効率的かつ適切に設けることができる。従って、開示する技術の適用により、機種を選ばず、多くの作業機械に携帯端末ホルダーを設けることが可能になる。
【0100】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、上述した実施形態では、作業機械として油圧ショベルを例示したが、クレーンであってもよい。作業機械の用途も建設に限らず、リサイクルや林業なども含む。キャブの乗降口等の構成は、左右逆であってもよい。
【0101】
凹部が設けられている内装カバーの側面(側面部31b)は、下向きの傾斜面でなくてもよい。樹脂バネ63等、携帯端末ホルダーの細部の構造も一例である。仕様に応じて適宜変更できる。
【0102】
また、上述した実施形態では、接続口が左パネルカバー31の側面部31bに設けられている油圧ショベルについて説明した。しかし、接続口34の配置も仕様に応じて適宜変更できる。
【0103】
例えば、左パネルカバー31の上面部31a、つまり音響機器28の操作面28aに隣接した位置に設けてもよい。この場合、接続口34を視認し易いので、電気ケーブル101の接続が容易に行える利点がある。
【0104】
左パネルカバー31の前端面部31cに、接続口34を設けてもよい。この場合も、接続口34を視認し易いので、電気ケーブル101の接続が容易に行える。更に、スリット64と接続口34とが近接し、接続口34がよりいっそう携帯端末ホルダー60に近づくので、短寸の電気ケーブル101でも接続できる。跳ね上げ式の左側コンソールボックス23Lから電気ケーブル101がより離れるので、接触回避も容易である。
【符号の説明】
【0105】
1 油圧ショベル(作業機械の一例)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 アタッチメント
5 スイングブラケット
6 機械室
10 キャブ
10a 前壁面
10b 後壁面
10c 上壁面
10d 左側壁面
10e 右側壁面
12 乗降口
13 ドア
14 ベースフレーム
14a フロアパネル
14b シートスタンド
22 運転席
23R 右側コンソールボックス
23L 左側コンソールボックス
24 操作レバー
25 リストレスト
27 モニター
28 音響機器
30 左側カバー(内装カバー)
31 左パネルカバー
31a 上面部
31b 側面部
31c 前端面部
32 幅狭部
33 凹部
33a 傾斜面
34 接続口
40 後側カバー
50 右側カバー
60 携帯端末ホルダー
61 差込口
64 スリット
64a ガイド面
100 携帯通信端末
101 電気ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8