(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】道路情報授受システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241008BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241008BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20241008BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/00 J
B60R1/00
(21)【出願番号】P 2021068643
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 祐介
(72)【発明者】
【氏名】松田 一明
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187432(JP,A)
【文献】特開2020-087309(JP,A)
【文献】特開2009-205368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両に搭載された撮像部によって撮像された撮像画像のうち第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2車両に搭載された加速度センサによって検出された加速度値のうち第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上
の同一の地点か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定が肯定された場合に、前記特定撮像画像を前記第1車両から道路管理サーバへ送信する送信部と、
を含
み、
前記第1車両と前記第2車両とが同一の車両であり、
前記判定部は、前記同一の車両に設けられ、前記撮像画像が前記第1特定条件を満たし、かつ、前記第1特定条件を満たしたタイミングから所定時間以内に前記加速度値が前記第2特定条件を満たした場合に、前記特定撮像画像の撮像位置と前記特定加速度値の検出位置とが道路上の同一の地点であると判定する道路情報授受システム。
【請求項2】
第1車両に搭載された撮像部によって撮像された撮像画像のうち第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2車両に搭載された加速度センサによって検出された加速度値のうち第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の同一の地点か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定が肯定された場合に、前記特定撮像画像を前記第1車両から道路管理サーバへ送信する送信部と、
を含み、
前記第1車両と前記第2車両とが異なる車両であり、
前記撮像画像が前記第1特定条件を満たしたときの前記第1車両の位置情報を前記道路管理サーバへ送信する第1位置送信部と、
前記加速度値が前記第2特定条件を満たしたときの前記第2車両の位置情報を前記道路管理サーバへ送信する第2位置送信部と、
を更に含み、
前記判定部は、前記道路管理サーバに設けられ、前記第1位置送信部から受信した位置情報と前記第2位置送信部から受信した位置情報が一致しており、かつ、前記撮像画像が前記第1特定条件を満たしたタイミングと、前記加速度値が前記第2特定条件を満たしたタイミングと、の差が所定時間以内の場合に、前記特定撮像画像の撮像位置と前記特定加速度値の検出位置とが道路上の同一の地点であると判定する道路情報授受システム。
【請求項3】
第1車両に搭載された撮像部によって撮像された撮像画像のうち第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2車両に搭載された加速度センサによって検出された加速度値のうち第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の同一の地点か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定が肯定された場合に、前記特定撮像画像を前記第1車両から道路管理サーバへ送信する送信部と、
を含み、
前記第1特定条件は、前記撮像画像に、落下物または路面補修必要箇所と認識できる画像領域が存在する、という条件である道路情報授受システム。
【請求項4】
前記第2特定条件は、前記加速度値が、車両の通常走行時における加減速度以上かつ車両の衝突時に発生する加減速度以下に設定した閾値以上である、という条件である請求項1~請求項3の何れか1項記載の道路情報授受システム。
【請求項5】
前記道路管理サーバが受信した前記特定撮像画像を、複数の車両に各々搭載された車載機へ各々配信する配信部をさらに含む請求項1~請求項4の何れか1項記載の道路情報授受システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は道路情報授受システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の技術は、道路情報配信サーバにおいて、車両側機器から送信された情報を受信した際に、受信情報に含まれている映像情報と、データベース中の位置情報が対応する基準映像情報とを比較することにより、両画像間において差異のある領域が存在しているか否かを判別する。そして、両画像間において差異のある領域が存在していると判別した場合に、当該受信情報に含まれている位置情報および映像情報を、配信道路情報として車両側機器に配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラによって撮像される画像は、影や光の反射、天候などの影響を受けて変化する。このため、特許文献1に記載の技術は、影や光の反射、天候などの影響を受けた撮像画像を、落下物や路面補修必要箇所が映り込んだ撮像画像と誤認識する虞がある。また、特許文献1に記載の技術は、撮像画像の全量をサーバへ送信するので、車載機からサーバへの送信データ量が大きくなると共に、サーバに多大な負荷が加わる、という課題もある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮して成されたもので、落下物や路面補修必要箇所などが映り込んでいない撮像画像を道路管理サーバへ送信することを抑制できる道路情報授受システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る道路情報授受システムは、第1車両に搭載された撮像部によって撮像された撮像画像のうち第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2車両に搭載された加速度センサによって検出された加速度値のうち第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の略同一の地点か否かを判定する判定部と、前記判定部の判定が肯定された場合に、前記特定撮像画像を前記第1車両から道路管理サーバへ送信する送信部と、を含んでいる。
【0007】
道路上に落下物または路面補修必要箇所が存在していた場合、撮像画像に落下物または路面補修必要箇所が映り込むと共に、落下物または路面補修必要箇所が存在している箇所を通行する車両に加わる加速度が、車両の通常走行時における加速度を超えて変化する。第1の態様は、これに基づき、第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の略同一の地点か否かを判定する。そして、判定部の判定が肯定された場合に、特定撮像画像を第1車両から道路管理サーバへ送信する。
【0008】
これにより、影や光の反射、天候などの影響を受けた撮像画像(落下物や路面補修必要箇所などが映り込んでいない撮像画像)が、第1特定条件を満たす特定撮像画像として誤検出された場合にも、この特定撮像画像に対して判定部の判定が肯定されることが抑制される。従って、落下物や路面補修必要箇所などが映り込んでいない撮像画像を道路管理サーバへ送信することを抑制できる。また、道路管理サーバへ送信するデータ量を削減することができ、道路管理サーバへ加わる負荷も削減することができる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記第1車両と前記第2車両とが同一の車両であり、前記判定部は、前記同一の車両に設けられ、前記撮像画像が前記第1特定条件を満たし、かつ、前記第1特定条件を満たしたタイミングから所定時間以内に前記加速度値が前記第2特定条件を満たした場合に、前記特定撮像画像の撮像位置と前記特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定する。
【0010】
第2の態様のように、第1車両と第2車両とが同一の車両の場合、第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の略同一の地点か否かは、それぞれの条件を満たしたタイミングの差から判定できる。これにより、第2の態様は、判定部による判定に位置情報を用いる必要がなくなり、判定を簡単にすることができる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様において、前記第1車両と前記第2車両とが異なる車両であり、前記撮像画像が前記第1特定条件を満たしたときの前記第1車両の位置情報を前記道路管理サーバへ送信する第1位置送信部と、前記加速度値が前記第2特定条件を満たしたときの前記第2車両の位置情報を前記道路管理サーバへ送信する第2位置送信部と、を更に含み、前記判定部は、前記道路管理サーバに設けられ、前記第1位置送信部から受信した位置情報と前記第2位置送信部から受信した位置情報が略一致しており、かつ、前記撮像画像が前記第1特定条件を満たしたタイミングと、前記加速度値が前記第2特定条件を満たしたタイミングと、の差が所定時間以内の場合に、前記特定撮像画像の撮像位置と前記特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定する。
【0012】
例えば、高速道路のように車線が複数設けられた道路では、落下物などを撮像した第1車両が、落下物などが存在する車線とは異なる車線を走行している場合があり、この場合、第1車両では加速度値が第2特定条件を満たす変化を示さない。これに対して第3の態様では、第1車両と第2車両とが異なる車両である場合にも、特定撮像画像の撮像位置と特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定することができ、落下物や路面補修必要箇所などの検出精度を向上させることができる。
【0013】
第4の態様は、第1の態様~第3の態様の何れかにおいて、前記第1特定条件は、前記撮像画像に、落下物または路面補修必要箇所と認識できる画像領域が存在する、という条件である。
【0014】
第4の態様によれば、落下物または路面補修必要箇所が存在している箇所を車両が通行した際に撮像された撮像画像を、第1特定条件を満たす特定撮像画像として確実に抽出することができる。
【0015】
第5の態様は、第1の態様~第4の態様の何れかにおいて、前記第2特定条件は、前記加速度値が、車両の通常走行時における加減速度以上かつ車両の衝突時に発生する加減速度以下に設定した閾値以上である、という条件である。
【0016】
第5の態様によれば、落下物または路面補修必要箇所が存在している箇所を車両が通行した際に検出された加速度値を、第2特定条件を満たす特定加速度値として確実に抽出することができる。
【0017】
第6の態様は、第1の態様~第5の態様の何れかにおいて、前記道路管理サーバが受信した前記特定撮像画像を、複数の車両に各々搭載された車載機へ各々配信する配信部をさらに含んでいる。
【0018】
第6の態様によれば、車載機が各々搭載された複数の車両において、道路管理サーバから配信された特定撮像画像を再生・視認することが可能となり、各車両の運転者に、落下物または路面補修必要箇所の存在を認識させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本開示は、落下物や路面補修必要箇所などが映り込んでいない撮像画像を道路管理サーバへ送信することを抑制できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る道路情報授受システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係るECUおよび道路管理サーバの機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る送信処理および管理処理を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係るECUおよび道路管理サーバの機能ブロック図である。
【
図5】第2実施形態に係る送信処理および管理処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本実施形態に係る道路情報授受システム10は、車両に搭載された車載システム12と道路管理サーバ40とを含んでいる。車載システム12および道路管理サーバ40はネットワーク60を介して通信可能とされている。なお、
図1では車載システム12を1つのみ示しているが、車載システム12は複数の車両に各々搭載されている。車載システム12は車載機の一例である。
【0023】
車載システム12は、車載ECU(Electronic Control Unit)14を備えている。車載ECU14は、CPU(Central Processing Unit)16と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ18と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部20と、通信部22と、を含んでいる。CPU16、メモリ18、記憶部20および通信部22は内部バス24を介して互いに通信可能に接続されている。通信部22は車載システム12と道路管理サーバ40などとの通信を司る。
【0024】
車載ECU14には、車両の少なくとも前方を撮像するカメラ30、車両の前後、左右、上下の各方向の加速度を検出する加速度センサ32、GPS(Global Positioning System)衛星から測位信号を受信してGPS情報を取得するGPSセンサ34、および、任意の情報を表示可能な表示部36が接続されている。
【0025】
車載ECU14の記憶部20には、送信プログラム26が記憶されており、撮像画像の記憶領域28が設けられている。第1実施形態において、車載ECU14は、送信プログラム26が記憶部20から読み出されてメモリ18に展開され、メモリ18に展開された送信プログラム26がCPU16によって実行されることで、
図2に示す判定部62および送信部64として機能し、後述する送信処理を行う。
【0026】
判定部62は、第1車両に搭載されたカメラ30によって撮像された撮像画像のうち第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2車両に搭載された加速度センサ32によって検出された加速度値のうち第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の略同一の地点か否かを判定する。
【0027】
より詳しくは、第1実施形態では第1車両と第2車両とが同一の車両である。そして判定部62は、前記同一の車両に設けられ、撮像画像が第1特定条件を満たし、かつ、第1特定条件を満たしたタイミングから所定時間以内に加速度値が第2特定条件を満たした場合に、特定撮像画像の撮像位置と特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定する。送信部64は、判定部62の判定が肯定された場合に、特定撮像画像を第1車両から道路管理サーバ40へ送信する
【0028】
道路管理サーバ40は、CPU42、メモリ44、不揮発性の記憶部46、および、道路管理サーバ40と車載システム12などとの通信を司る通信部48を含んでいる。CPU42、メモリ44、記憶部46および通信部48は内部バス50を介して互いに通信可能に接続されている。記憶部46には、管理プログラム52が記憶されており、特定撮像画像の記憶領域54が設けられている。
【0029】
第1実施形態において、道路管理サーバ40は、管理プログラム52が記憶部46から読み出されてメモリ44に展開され、メモリ44に展開された管理プログラム52がCPU42によって実行されることで、
図2に示す配信部66として機能し、後述する管理処理を行う。配信部66は、道路管理サーバ40が受信した特定撮像画像を、複数の車両に各々搭載された車載システム12へ各々配信する。
【0030】
次に第1実施形態の作用を説明する。車載ECU14は、車両のイグニッションスイッチがオンの間、
図3に示す送信処理を行う。すなわち、送信処理のステップ100において、車載ECU14の判定部62は、車両が走行中か否か判定する。車両が走行していない場合は、ステップ100の判定が否定されて送信処理を終了する。また、車両が走行している場合は、ステップ100の判定が肯定されてステップ102へ移行する。
【0031】
ステップ102において、判定部62は、カメラ30によって撮像された所定時間分の映像を撮像画像の記憶領域28に記憶させると共に、当該映像に対し、落下物または路面補修必要箇所に相当する画像領域が存在するか否かを探索する画像処理を行う。そして判定部62は、前記画像処理によって落下物または路面補修必要箇所に相当する画像領域が認識されたか否かを判定する。なお、ステップ102の判定は第1特定条件の一例である。ステップ102の判定が否定された場合はステップ100に戻る。また、ステップ102の判定が肯定された場合はステップ104へ移行する。
【0032】
ステップ104において、判定部62は、加速度センサ32によって一定期間内に検出された車両の前後方向、左右方向、上下方向の加速度に、閾値以上の部分が存在しているか否かを判定する。なお、上記の閾値は、車両の通常走行時における加減速度以上かつ車両の衝突時に発生する加減速度以下に設定されており、ステップ104の判定は第2特定条件の一例である。また、一定期間としては、車両に搭載されたカメラ30によって撮像された映像より落下物または路面補修必要箇所を検知してから、同車両が落下物または路面補修必要箇所を通過するのに要する時間を適用することができる。ステップ104の判定が否定された場合はステップ100に戻る。
【0033】
また、ステップ104の判定が肯定された場合はステップ106へ移行する。ステップ106において、送信部64は、落下物または路面補修必要箇所に相当する画像領域が認識された特定映像、および、特定映像が撮像されたときの車両の位置情報の一例であるGPS情報を道路管理サーバ40へ送信し、送信処理を終了する。
【0034】
上述した送信処理において、例えばステップ102の判定を省略し、ステップ104の判定のみ行うようにした場合、路面の凹凸に起因する加速度の発生は検知できるものの、加速度発生の原因が落下物か路面補修必要箇所かは判別できない。また、ステップ104の判定を省略し、ステップ102の判定のみ行うようにした場合、横断歩道などの路面のペイント標識を、落下物や路面補修必要箇所と判別できず、更に、凹凸のない落下物(例えばビニール袋など)にも反応してしまうことになる。
【0035】
これに対し、第1実施形態に係る送信処理では、撮像画像に落下物または路面補修必要箇所と認識できる画像領域が存在する、という第1特定条件を満たし、かつ、第1特定条件を満たしたタイミングから所定時間以内に、加速度値が閾値以上、という第2特定条件を満たした場合に、特定映像およびGPS情報の送信を行っている。これにより、落下物または路面補修必要箇所を精度良く判別できる。
【0036】
一方、道路管理サーバ40は、車載ECU14から特定映像およびGPS情報を受信すると、
図3に示す管理処理を行う。管理処理のステップ110において、道路管理サーバ40は、特定映像およびGPS情報を表示部48に表示させることで、特定映像およびGPS情報を道路管理者に呈示する。これにより、例えば、落下物の除去作業、或いは路面補修必要箇所の補修作業が道路管理者によって行われることになる。
【0037】
また、ステップ112において、道路管理サーバ40の配信部66は、落下物または路面補修必要箇所の周辺を走行している車両の車載ECU14に対して特定映像を配信し、管理処理を終了する。これにより、特定映像が配信された車両の表示部36に特定映像が再生・表示され、各車両の運転者に、落下物や路面補修必要箇所の存在を認識させることができる。
【0038】
以上説明したように、第1実施形態において、判定部62は、第1車両に搭載されたカメラ30によって撮像された撮像画像のうち第1特定条件を満たす特定撮像画像の撮像位置と、第2車両に搭載された加速度センサ32によって検出された加速度値のうち第2特定条件を満たす特定加速度値の検出位置と、が道路上の略同一の地点か否かを判定する。そして、送信部64は、判定部62の判定が肯定された場合に、特定撮像画像を第1車両から道路管理サーバ40へ送信する。これにより、落下物や路面補修必要箇所などが映り込んでいない撮像画像を道路管理サーバ40へ送信することを抑制できる。また、道路管理サーバ40へ送信するデータ量を削減でき、道路管理サーバ40へ加わる負荷も削減できる。
【0039】
また、第1実施形態において、第1車両と第2車両とが同一の車両であり、判定部62は、前記同一の車両に設けられ、撮像画像が第1特定条件を満たし、かつ、第1特定条件を満たしたタイミングから所定時間以内に加速度値が第2特定条件を満たした場合に、前記特定撮像画像の撮像位置と前記特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定する。これにより、第2の態様は、判定部62による判定に位置情報を用いる必要がなくなり、判定部62による判定を簡単にすることができる。
【0040】
また、第1実施形態において、第1特定条件は、撮像画像に、落下物または路面補修必要箇所と認識できる画像領域が存在する、という条件である。これにより、落下物または路面補修必要箇所が存在している箇所を車両が通行した際に撮像された撮像画像を、第1特定条件を満たす特定撮像画像として確実に抽出することができる。
【0041】
さらに、第1実施形態において、第2特定条件は、加速度値が、車両の通常走行時における加減速度以上かつ車両の衝突時に発生する加減速度以下に設定した閾値以上である、という条件である。これにより、落下物または路面補修必要箇所が存在している箇所を車両が通行した際に検出された加速度値を、第2特定条件を満たす特定加速度値として確実に抽出することができる。
【0042】
また、第1実施形態において、配信部66は、道路管理サーバ40が受信した特定撮像画像を、複数の車両に各々搭載された車載システム12へ各々配信する。これにより、車載システム12が各々搭載された複数の車両において、道路管理サーバ40から配信された特定撮像画像を再生・視認することが可能となり、各車両の運転者に、落下物や路面補修必要箇所の存在を認識させることが可能となる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に本開示の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0044】
第2実施形態において、車載ECU14は、送信プログラム26が記憶部20から読み出されてメモリ18に展開され、メモリ18に展開された送信プログラム26がCPU16によって実行されることで、
図4に示す第1位置送信部70、第2位置送信部72および送信部64として機能し、後述する送信処理を行う。
【0045】
第1位置送信部70は、撮像画像が第1特定条件を満たしたときの第1車両の位置情報を道路管理サーバ40へ送信する。また、第2位置送信部72は、加速度値が第2特定条件を満たしたときの第2車両の位置情報を道路管理サーバ40へ送信する。なお、第2実施形態において、第1車両と第2車両とは異なる車両である。
【0046】
また第2実施形態において、道路管理サーバ40は、管理プログラム52が記憶部46から読み出されてメモリ44に展開され、メモリ44に展開された管理プログラム52がCPU42によって実行されることで、
図4に示す判定部74および配信部66として機能し、後述する管理処理を行う。
【0047】
判定部74は、道路管理サーバ40に設けられ、第1位置送信部70から受信した位置情報と第2位置送信部72から受信した位置情報が略一致しており、かつ、撮像画像が第1特定条件を満たしたタイミングと、加速度値が第2特定条件を満たしたタイミングと、の差が所定時間以内の場合に、特定撮像画像の撮像位置と特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定する。
【0048】
次に第2実施形態の作用を説明する。第2実施形態において、車両Aに搭載された車載ECU14は、車両のイグニッションスイッチがオンの間、
図3に示す送信処理Aを行う。すなわち、送信処理Aのステップ120において、車載ECU14の第1位置送信部70は、車両が走行中か否か判定する。車両が走行していない場合は、ステップ120の判定が否定されて送信処理Aを終了する。また、車両が走行している場合は、ステップ120の判定が肯定されてステップ122へ移行する。
【0049】
ステップ122において、第1位置送信部70は、カメラ30によって撮像された所定時間分の映像を撮像画像の記憶領域28に記憶させると共に、当該映像に対し、落下物または路面補修必要箇所に相当する画像領域が存在するか否かを探索する画像処理を行う。そして第1位置送信部70は、前記画像処理によって落下物または路面補修必要箇所に相当する画像領域が認識されたか否かを判定する。なお、ステップ122の判定は第1特定条件の一例である。
【0050】
ステップ122の判定が否定された場合はステップ120に戻る。また、ステップ122の判定が肯定された場合はステップ124へ移行する。ステップ124において、第1位置送信部70は、落下物または路面補修必要箇所に相当する画像領域が認識された特定映像が撮像されたときの車両AのGPS情報を道路管理サーバ40へ送信する。
【0051】
また、第2実施形態において、車両Bに搭載された車載ECU14は、車両のイグニッションスイッチがオンの間、
図3に示す送信処理Bを行う。すなわち、送信処理Bのステップ130において、車載ECU14の第2位置送信部72は、車両が走行中か否か判定する。車両が走行していない場合は、ステップ130の判定が否定されて送信処理Bを終了する。また、車両が走行している場合は、ステップ130の判定が肯定されてステップ132へ移行する。
【0052】
ステップ132において、第2位置送信部72は、加速度センサ32によって一定期間内に検出された車両の前後方向、左右方向、上下方向の加速度に、閾値以上の部分が存在しているか否かを判定する。なお、上記の閾値は、車両の通常走行時における加減速度以上かつ車両の衝突時に発生する加減速度以下に設定されており、ステップ132の判定は第2特定条件の一例である。
【0053】
ステップ132の判定が否定された場合はステップ130に戻る。また、ステップ132の判定が肯定された場合はステップ134へ移行する。ステップ134において、第2位置送信部72は、車両の前後方向、左右方向、上下方向の加速度が閾値以上となったときの車両BのGPS情報を道路管理サーバ40へ送信し、送信処理を終了する。
【0054】
また、第2実施形態において、道路管理サーバ40は、
図3に示す管理処理を行う。すなわち、道路管理サーバ40の判定部74は、特定映像が撮像されたときのGPS情報と、加速度が閾値以上となったときのGPS情報と、を異なる車両から受信すると、ステップ140の判定を行う。ステップ140において、判定部74は、異なる車両から受信したGPS情報が略一致し、かつ、落下物または路面補修必要箇所の認識と閾値以上の加速度検出とが一定時間以内に発生したか否か判定する。
【0055】
ステップ140の判定が否定された場合はステップ142へ移行し、ステップ142において、判定部74は、受信したGPS情報を破棄する。また、ステップ140の判定が肯定された場合はステップ144へ移行し、ステップ144において、判定部74は、特定映像が撮像されたときのGPS情報の送信元である車両Aに対し、特定映像およびGPS情報の送信を指示する。
【0056】
特定映像およびGPS情報の送信が道路管理サーバ40から指示されると、車両Aの送信部64は、ステップ126において、特定映像およびGPS情報を道路管理サーバ40へ送信する。そして、道路管理サーバ40で受信された特定映像およびGPS情報は、第1実施形態でも説明したように、道路管理者に呈示される(ステップ110)と共に、周辺を走行している車両に特定映像を配信される(ステップ112)。
【0057】
このように、第2実施形態では、第1車両と第2車両とが異なる車両である。第1位置送信部70は、撮像画像が第1特定条件を満たしたときの第1車両のGPS情報を道路管理サーバ40へ送信する。また、第2位置送信部72は、加速度値が第2特定条件を満たしたときの第2車両のGPS情報を道路管理サーバ40へ送信する。そして判定部74は、道路管理サーバ40に設けられ、第1位置送信部70から受信したGPS情報と第2位置送信部72から受信したGPS情報が略一致しており、かつ、撮像画像が第1特定条件を満たしたタイミングと、加速度値が第2特定条件を満たしたタイミングと、の差が所定時間以内の場合に、特定撮像画像の撮像位置と特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定する。これにより、第1車両と第2車両とが異なる車両である場合にも、特定撮像画像の撮像位置と特定加速度値の検出位置とが道路上の略同一の地点であると判定することができ、落下物や路面補修必要箇所などの検出精度を向上させることができる。
【0058】
なお、上記では、特定映像およびGPS情報を呈示された道路管理者が、落下物の除去作業、或いは路面補修必要箇所の補修作業を行う例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、道路管理者が、路側に設置された電光掲示板に運転者の注意を喚起するメッセージを表示させたり、危険ポイントを含む区間の道路の制限速度を変更するなどの安全対策を講じたりしてもよい。
【0059】
また、上記では
図3のステップ104、
図5のステップ132において、車両の前後方向、左右方向、上下方向の加速度に、閾値以上の部分が存在しているか否かを判定する態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば車両の前後方向の加速度、左右方向の加速度、および、上下方向の加速度の少なくとも1つに、閾値以上の部分が存在しているか否かを判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 道路情報授受システム
12 車載システム
14 車載ECU
30 カメラ
32 加速度センサ
34 GPSセンサ
40 道路管理サーバ
62 判定部
64 送信部
66 配信部
70 第1位置送信部
72 第2位置送信部
74 判定部