(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/71 20230101AFI20241008BHJP
H04N 25/711 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
H04N25/71
H04N25/711
(21)【出願番号】P 2021085923
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮井 孝志
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-145574(JP,A)
【文献】特開2011-238773(JP,A)
【文献】特開2010-135700(JP,A)
【文献】特開2018-142839(JP,A)
【文献】特開平05-207378(JP,A)
【文献】特開2016-072295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を検知するTDI方式の第1のリニアイメージセンサと、
前記第1のリニアイメージセンサに対して前記入射光の進行方向に積層され、前記第1のリニアイメージセンサを透過した前記入射光を検知するTDI方式の第2のリニアイメージセンサと、
駆動パルス制御部とを備え、
前記第1及び第2のリニアイメージセンサは、垂直方向と水平方向に2次元アレイ状に配置され前記入射光を光電変換する画素と、前記画素が発生した電荷を時間遅延積分して垂直転送する垂直転送部と、時間遅延積分された電荷を水平転送する水平転送部と、前記水平転送部から電荷を読み出すアンプとを有し、
前記駆動パルス制御部は、前記第2のリニアイメージセンサの前記アンプの読み出し動作におけるリセットクロックパルスを前記水平転送部の転送クロックパルスに対して間欠的に制御し、
前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2以上の整数倍であ
り、
前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2倍であり、
前記第2のリニアイメージセンサの水平方向に隣接する2つの画素が前記第1のリニアイメージセンサの1つの画素と重なり、
前記第2のリニアイメージセンサの出力信号を前記第1のリニアイメージセンサの出力信号に対して1/2ピッチずらして読み出すことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
入射光を検知するTDI方式の第1のリニアイメージセンサと、
前記第1のリニアイメージセンサに対して前記入射光の進行方向に積層され、前記第1のリニアイメージセンサを透過した前記入射光を検知するTDI方式の第2のリニアイメージセンサと、
駆動パルス制御部とを備え、
前記第1及び第2のリニアイメージセンサは、垂直方向と水平方向に2次元アレイ状に配置され前記入射光を光電変換する画素と、前記画素が発生した電荷を時間遅延積分して垂直転送する垂直転送部と、時間遅延積分された電荷を水平転送する水平転送部と、前記水平転送部から電荷を読み出すアンプとを有し、
前記駆動パルス制御部は、前記第2のリニアイメージセンサの前記アンプの読み出し動作におけるリセットクロックパルスを前記水平転送部の転送クロックパルスに対して間欠的に制御し、
前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2以上の整数倍であり、
前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2倍であり、
前記第2のリニアイメージセンサの水平方向に隣接する2つの画素が前記第1のリニアイメージセンサの1つの画素と重なり、
前記第1及び第2のリニアイメージセンサの出力信号を同期させて読み出すことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
入射光を検知するTDI方式の第1のリニアイメージセンサと、
前記第1のリニアイメージセンサに対して前記入射光の進行方向に積層され、前記第1のリニアイメージセンサを透過した前記入射光を検知するTDI方式の第2のリニアイメージセンサと、
駆動パルス制御部とを備え、
前記第1及び第2のリニアイメージセンサは、垂直方向と水平方向に2次元アレイ状に配置され前記入射光を光電変換する画素と、前記画素が発生した電荷を時間遅延積分して垂直転送する垂直転送部と、時間遅延積分された電荷を水平転送する水平転送部と、前記水平転送部から電荷を読み出すアンプとを有し、
前記駆動パルス制御部は、前記第2のリニアイメージセンサの前記アンプの読み出し動作におけるリセットクロックパルスを前記水平転送部の転送クロックパルスに対して間欠的に制御し、
前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2以上の整数倍であり、
前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2倍であり、
前記第2のリニアイメージセンサの水平方向に隣接する2つの画素が前記第1のリニアイメージセンサの1つの画素と重なり、
前記第2のリニアイメージセンサの出力信号を前記第1のリニアイメージセンサの出力信号に対して1/2ピッチずらして読み出すか、又は、前記第1及び第2のリニアイメージセンサの出力信号を同期させて読み出すかを選択的に実施することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記第2のリニアイメージセンサの前記水平転送部の駆動周波数は前記第1のリニアイメージセンサの前記整数倍であることを特徴とする請求項1
~3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のリニアイメージセンサは、前記第1又は第2のリニアイメージセンサを貫通する貫通電極を介して電気的に接続され、
前記第1及び第2のリニアイメージセンサは、前記貫通電極を介して同一の駆動パルス信号により同期して駆動することを特徴とする請求項1
~4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1のリニアイメージセンサの基板厚は前記第2のリニアイメージセンサの基板厚より薄いことを特徴とする請求項1~
5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のリニアイメージセンサの出力信号をデジタルデータに変換するA/D変換器を備えることを特徴とする請求項1~
6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記デジタルデータを保存する撮像データ格納メモリを備えることを特徴とする請求項
7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のリニアイメージセンサの少なくとも一方は裏面入射型センサであることを特徴とする請求項1~
8の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1のリニアイメージセンサの垂直方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2倍であり、
前記第2のリニアイメージセンサの前記垂直転送部の駆動周波数は前記第1のリニアイメージセンサの2倍であることを特徴とする請求項1~
9の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2のリニアイメージセンサは、平行に配置された2つの前記水平転送部を有することを特徴とする請求項1~
10の何れか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リモートセンシング等の分野で用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星に代表される飛翔体に搭載されて上空から地表面を観測することを目的としたリニアイメージセンサが開発されている。地表のリモートセンシングでは、リニアイメージセンサを人工衛星に搭載して、リニアイメージセンサの垂直走査方向(Along Track:AT方向)を人工衛星の進行方向に一致させて撮像する。垂直走査方向に直行する方向を水平転送方向(Cross Track:CT方向)と呼ぶ。
【0003】
高解像度の撮像データを得るには、リニアイメージセンサの画素ピッチを小さくすることが望ましい。しかし、画素の面積が縮小すると画素への入射光量が減少し、その結果、信号対雑音比(S/N: Signal to Noise ratio)が劣化するという課題がある。S/Nを改善する対策として、TDI(Time Delay Integration)方式のイメージセンサが開発されている。TDI方式のイメージセンサは、2次元イメージセンサであるFFT(Full Frame Transfer)型CCD(Charge Coupled Devise)を使用し、電荷の転送を被写体像の移動に同期させることでS/Nを改善する。リモートセンシングの場合、垂直方向の電荷転送を人工衛星の移動速度に合わせることでTDI動作を実現できる。垂直CCDでM段のTDI動作を行うと、蓄積時間が実効的にM倍となるので、感度がM倍に向上し、S/Nは√M倍に改善される。
【0004】
また、画素ピッチを縮小せずに画像解像度を向上させるため、画素ピッチの等しい2本のリニアイメージセンサを互いに1/2画素ピッチだけずらして配置してオーバーサンプリングを行う撮像装置が開発されている。2本のイメージセンサから得られた出力信号を画像処理することによって、解像度の高い画像が得られる。画素の面積が維持されるため、感度の低下が生じない。
【0005】
2本のTDI方式リニアイメージセンサを用いてオーバーサンプリングを行う画像読み取り装置を、水平方向に複数備えた従来の撮像装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、TDI方式リニアイメージセンサの観測幅を拡大させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の撮像装置では、水平方向に複数配置された2本のTDI方式リニアイメージセンサのうち、垂直方向上側のリニアイメージセンサの出力信号配線は、下側のリニアイメージセンサを迂回してパッドまで引き回す必要がある。配線長が長くなると配線容量が増大し、信号に混入するノイズも増大するという問題がある。また、撮像中の振動などにより人工衛星の進行方向とリニアイメージセンサの垂直方向にズレが生じると、各リニアイメージセンサの撮像データにズレが生じる。その結果、オーバーサンプリング処理が困難になるという問題もある。
【0008】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的はS/Nの劣化と撮像データのズレを防止できる撮像装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る撮像装置は、入射光を検知するTDI方式の第1のリニアイメージセンサと、前記第1のリニアイメージセンサに対して前記入射光の進行方向に積層され、前記第1のリニアイメージセンサを透過した前記入射光を検知するTDI方式の第2のリニアイメージセンサと、駆動パルス制御部とを備え、前記第1及び第2のリニアイメージセンサは、垂直方向と水平方向に2次元アレイ状に配置され前記入射光を光電変換する画素と、前記画素が発生した電荷を時間遅延積分して垂直転送する垂直転送部と、時間遅延積分された電荷を水平転送する水平転送部と、前記水平転送部から電荷を読み出すアンプとを有し、前記駆動パルス制御部は、前記第2のリニアイメージセンサの前記アンプの読み出し動作におけるリセットクロックパルスを前記水平転送部の転送クロックパルスに対して間欠的に制御し、前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2以上の整数倍であり、前記第1のリニアイメージセンサの前記水平方向の画素ピッチは前記第2のリニアイメージセンサの2倍であり、前記第2のリニアイメージセンサの水平方向に隣接する2つの画素が前記第1のリニアイメージセンサの1つの画素と重なり、前記第2のリニアイメージセンサの出力信号を前記第1のリニアイメージセンサの出力信号に対して1/2ピッチずらして読み出すことを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示では、TDI方式の2つのリニアイメージセンサを入射光の進行方向に積層している。従って、各リニアイメージセンサから引き出す信号配線を短くできるため、S/Nの劣化を防ぐことができる。また、2つのリニアイメージセンサを積層することで撮像データのズレを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る撮像装置を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る焦点面検出器を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る第1及び第2のリニアイメージセンサのTDI動作を示す概略図である。
【
図6】実施の形態1に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの水平転送部に蓄積された電荷が撮像データ格納メモリに保存されるまでを示す概略図である。
【
図7】実施の形態1に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの各動作のクロックを示す概略図である。
【
図8】実施の形態1に係る第1のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。
【
図9】実施の形態1に係る第2のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。
【
図10】実施の形態2に係る第1及び第2のリニアイメージセンサのTDI動作を示す概略図である。
【
図11】実施の形態2に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの水平転送部に蓄積された電荷が撮像データ格納メモリに保存されるまでを示す概略図である。
【
図12】実施の形態2に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの各動作のクロックを示す概略図である。
【
図13】実施の形態2に係る第2のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。
【
図14】実施の形態3に係る焦点面検出器を示す斜視図である。
【
図17】実施の形態3に係る第1及び第2のリニアイメージセンサのTDI動作を示す概略図である。
【
図18】実施の形態4に係る焦点面検出器を示す斜視図である。
【
図20】実施の形態4に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの水平転送部に蓄積された電荷が撮像データ格納メモリに保存されるまでを示す概略図である。
【
図21】実施の形態4に係る第2のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態に係る撮像装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る撮像装置を示すブロック図である。撮像装置100は、人工衛星に代表される飛翔体に搭載される。撮像装置100は、光学系110と、焦点面検出器120と、姿勢検知部130と、姿勢制御部140と、駆動パルス制御部150とを備えている。
【0014】
光学系110は、入射された光を焦点面に結像するものであり、例えばレンズ、ミラー等の光学要素からなる望遠鏡である。焦点面検出器120は、光学系110によって焦点面に結像された画像を検出するTDI方式CCD、CMOS等のイメージセンサである。ここでは、焦点面検出器120はTDI方式リニアイメージセンサを有する。
【0015】
姿勢検知部130は、飛翔体に搭載された撮像装置100の姿勢を検知する。姿勢検知部130にて検知した姿勢情報は姿勢制御部140に伝達される。姿勢制御部140は、姿勢検知部130にて検知した姿勢情報を駆動パルス制御部150に伝達する。地上局200より送信された姿勢情報に従って撮像装置100の姿勢を変動させる。
【0016】
駆動パルス制御部150は、姿勢制御部140より伝達された撮像装置100の姿勢情報に応じて、焦点面検出器120のTDI方式リニアイメージセンサのTDI積分段数を制御する。送受信処理部160は、地上局200より送信された姿勢制御信号を受信し、姿勢制御部140に伝達するとともに、撮像装置100の姿勢状態を地上局200へ送信する。地上局200は、撮像装置100との間で各種の制御信号、及び撮像装置100の状態信号を送受信する地上の局である。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る焦点面検出器を示す斜視図である。焦点面検出器120は、TDI方式の第1のリニアイメージセンサ1と、第1のリニアイメージセンサ1に対して入射光の進行方向に積層されたTDI方式の第2のリニアイメージセンサ2とを有する。
【0018】
第1のリニアイメージセンサ1の基板厚は第2のリニアイメージセンサ2の基板厚より薄い。これにより、第1のリニアイメージセンサ1では薄い基板で受光できる短波長帯の画像を得ることができ、第2のリニアイメージセンサ2では薄い基板を透過する長波長帯の画像を得ることができる。例えば、可視光のうち赤色光から近赤外光を透過するように第1のリニアイメージセンサ1の基板厚を50umより薄くする。一方、第2のリニアイメージセンサ2の基板厚は、赤色光から近赤外光を検知できる厚さとする。
【0019】
光学系110によって導かれた入射光は、焦点面検出器120の第1のリニアイメージセンサ1に入射する。第1のリニアイメージセンサ1は赤色光より短い波長の入射光を検知する。第2のリニアイメージセンサ2は第1のリニアイメージセンサ1を透過した赤色光より波長の長い入射光を検知する。
【0020】
第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2において、入射光を光電変換する画素3が垂直方向と水平方向に2次元アレイ状に配置されている。垂直転送部4が、画素3が発生した電荷を時間遅延積分して垂直転送する。垂直転送部4は、垂直転送ゲート電極4a,4bと蓄積ゲート電極4cを有するCCD(Charge Coupled Devise)である。水平転送部5が、時間遅延積分された電荷を水平転送する。FDA6(フローティング・ディフュージョン・アンプ)が、水平転送された信号を水平転送部5から読み出す。駆動パルス発生部7は、駆動パルス制御部150から入力した駆動パルス信号に同期して各動作のクロックを発生させる。
【0021】
第1のリニアイメージセンサ1の水平方向画素ピッチは第2のリニアイメージセンサ2の水平方向画素ピッチの2倍に設計する。第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5のピッチも第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5のピッチの2倍に設計する。第2のリニアイメージセンサ2の水平方向に隣接する2つの画素が第1のリニアイメージセンサ1の1つの画素と正確に重なるように、第1のリニアイメージセンサ1と第2のリニアイメージセンサ2を積層する。
【0022】
第1のリニアイメージセンサ1が受光して発生させた電荷は、駆動パルス発生部7が発生させた垂直転送クロックで垂直方向に転送され、水平転送部5に送られる。水平転送部5は水平転送クロックで水平方向に電荷を転送する。水平転送部5の最終段まで転送された電荷はFDA6により出力信号として読み出される。出力信号はA/D変換器8によりデジタルデータに変換される。デジタルデータは撮像データ格納メモリ9に保存される。第2のリニアイメージセンサ2も第1のリニアイメージセンサ1と同様の手段により転送動作、読み出し動作を行う。第2のリニアイメージセンサ2の出力信号もA/D変換を経て撮像データ格納メモリ9に保存される。
【0023】
なお、第1のリニアイメージセンサ1の水平方向画素ピッチは第2のリニアイメージセンサ2の水平方向画素ピッチの2倍に限らず、2以上の整数倍としてもよい。第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5のピッチも第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5のピッチの2倍に限らず、2以上の整数倍としてもよい。ただし、第1のリニアイメージセンサ1と第2のリニアイメージセンサ2の水平方向画素ピッチ及び水平転送部5のピッチの倍数比は同数とする。即ち、水平方向画素ピッチの倍数が3倍であれば、水平転送部5のピッチの倍数も3倍とする。
【0024】
図3は
図2のI-IIに沿った断面図である。この断面は第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の水平転送部5に相当する。水平転送部5は、水平転送ゲート電極5a,5bを有するCCDである。センサを駆動する駆動パルス信号は、第2のリニアイメージセンサ2の下面から与えられ、貫通電極10を介して第1のリニアイメージセンサ1に伝達される。画素3から垂直転送された電荷は、埋込チャネル11内において図面の右から左へと転送され、FDA6により貫通電極12を介してセンサ外部に出力される。第1のリニアイメージセンサ1の1個のCCDの真下に第2のリニアイメージセンサ2の2個のCCDが配置されている。これにより、第2のリニアイメージセンサ2の画像は第1のリニアイメージセンサ1の2倍の解像度を持つことができる。
【0025】
図4は
図2のIII-IVに沿った断面図である。この断面は第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の画素部に相当する。各画素3にフォトダイード13が設けられている。フォトダイード13が入射光により発生した電荷は、埋込チャネル11内において図面の右から左へと転送され、水平転送部5に送られる。第1のリニアイメージセンサ1の1個の画素3の真下に第2のリニアイメージセンサ2の1個の画素3が配置されている。
【0026】
図5は、実施の形態1に係る第1及び第2のリニアイメージセンサのTDI動作を示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の着目画素に対し、第2のリニアイメージセンサ2の着目画素は第1のリニアイメージセンサ1の真下右側の画素と、その右側に隣接する画素が相当する。第1のリニアイメージセンサ1の着目画素と第2のリニアイメージセンサ2の着目画素は半ピッチだけずれた位置関係にある。
【0027】
図6は、実施の形態1に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの水平転送部に蓄積された電荷が撮像データ格納メモリに保存されるまでを示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5には<1>~<5>の電荷が蓄積されている。これが水平転送されてFDA6で読み出され、A/D変換された後に撮像データ格納メモリ9の指定された番地に保存される。一方、第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5には(1)~(10)の電荷が蓄積されている。これが水平転送されてFDA6で読み出され、A/D変換された後に撮像データ格納メモリ9の指定された番地に保存される。
【0028】
第2のリニアイメージセンサ2では、隣接する2つの水平転送部5の電荷をFDにて積分して読み出し動作を行う。この積分動作については後述する。読み出された第2のリニアイメージセンサ2の出力信号は、積分動作によって第1のリニアイメージセンサ1の出力信号と比較して半ピッチだけずれている。なお、第2のリニアイメージセンサ2の出力信号を撮像データ格納メモリ9に保存する番地指定方法として、図面では半ピッチずれたデータであることを判別しやすくするために番地をずらしているが、番地指定方法はこれに限らない。
【0029】
図7は、実施の形態1に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの各動作のクロックを示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5に蓄積された電荷は、転送クロックCLK1に応じて、FDに向けて転送される。FDに転送された電荷はFDA6により電圧に変換されて読出される。この読出し動作は、サンプルホールドクロックCLK2をトリガにして行う。読出し動作の後、次の電荷が転送されてくる前にFDの電位をリセットする。この動作はリセットクロックCLK3をトリガにして行われる。なお、第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5の読出しからリセットの動作は一般的なCCDの動作である。
【0030】
第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5に蓄積された電荷は、転送クロックCLK4に応じて、FDに向けて転送される。FDに転送された電荷はFDA6により電圧に変換されて読出される。この読出し動作は、サンプルホールドクロックCLK5をトリガにして行う。読出し動作の後、次の電荷が転送されてくる前にFDの電位をリセットする。この動作はリセットクロックCLK6をトリガにして行われる。
【0031】
第2のリニアイメージセンサ2の読出し及びリセット動作において、サンプルホールドクロックCLK5及びリセットクロックCLK6は転送クロックCLK4の2クロック毎にパルスが発生する駆動を行う。この動作によれば、転送クロックCLK4にて転送された電荷(2)及び(3)がFDにて合算される。
【0032】
図8は、実施の形態1に係る第1のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。時刻t1ではリセットクロックφRによりFDの電位がリセット電位VRと等電位になる。次に、時刻t2では転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。次に、時刻t3の転送クロック動作により、蓄積電荷は更に右隣の電荷ポケットへと転送され、FDへと電荷が運ばれる。FDA6が電荷の読出しを実施する。
【0033】
次に、時刻t4ではリセット動作によってFDの電位がリセット電位VRと等電位にリセットされる。次に、時刻t5では時刻t2と同様、転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。時刻t6以降は時刻t3以降の電荷転送と読み出し動作へと続いていく。以上のように第1のリニアイメージセンサ1は水平転送部5の蓄積電荷の転送・読出しを順番に行う。
【0034】
図9は、実施の形態1に係る第2のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。時刻t1ではリセットクロックφRによりFDの電位をリセット電位VRと等電位にする。次に、時刻t2では転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。次に、時刻t3の転送クロック動作により、蓄積電荷は更に右隣の電荷ポケットへと転送され、FDへと電荷が運ばれる。FDA6が電荷の読出しを実施する。
【0035】
次に、時刻t4ではリセット動作によってFDの電位がリセット電位VRと等電位にリセットされる。次に、時刻t5では時刻t2と同様、転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。次に、時刻t6では時刻t3と同様に電荷転送が行われるが、FDにおいて電荷の読出しは行わない。次に、時刻t7では、リセットクロックφRのパルスを発生させることなく、転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。従って、FDの電位はリセット電位VRにリセットされない。次に、時刻t8での転送動作により蓄積電荷がFDに運ばれ、FDが電荷の読出しを実施する。この動作により、時刻t8では隣接する2つの蓄積電荷の合算値を読み出すことができる。次に、時刻t9ではFDの電位がリセットされる。時刻t10以降は時刻t2以降と同様の動作が繰り返される。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態では、TDI方式の第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2を入射光の進行方向に積層している。従って、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2から引き出す信号配線を短くできるため、S/Nの劣化を防ぐことができる。また、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2を積層することで撮像データのズレを防止することもできる。
【0037】
また、第1のリニアイメージセンサ1の水平方向の画素ピッチは第2のリニアイメージセンサ2の2以上の整数倍である。そして、第2のリニアイメージセンサ2のFDA6の読み出し動作におけるリセットクロックパルスを水平転送部5の転送クロックパルスに対して間欠的に制御する。これにより、1つの被写体画像に対し、基準となる撮像データと、その1/整数倍の画素ピッチの撮像データとを得ることができる。
【0038】
また、第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5の駆動周波数は第1のリニアイメージセンサ1の2倍である。これにより、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の出力信号を同期させて取得することができる。
【0039】
また、第2のリニアイメージセンサ2の出力信号を第1のリニアイメージセンサ1の出力信号に対して1/2ピッチずらして読み出す。読み出した第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の出力信号をオーバーサンプリング処理することにより、画素ピッチを小さくしてS/Nを低下させることなく、高解像度の画像を得ることができる。
【0040】
また、積層した第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2を正確に同期して駆動させるために、同一の駆動信号を入力することが求められる。このためには、積層した第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2を短い配線で電気的に接合する必要がある。そこで、第1のリニアイメージセンサ1又は第2のリニアイメージセンサ2を貫通する貫通電極10,12を介して第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2を電気的に接続している。第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2は、貫通電極10を介して同一の駆動パルス信号により同期して駆動する。また、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の駆動パルス信号の入力端子を共通化できるため、端子数を減らすことができる。また、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の駆動クロックパルス信号を供給する駆動パルス制御部150の簡素化が可能となる。
【0041】
また、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2は、基板の裏面から光を入射する裏面入射型センサであることが好ましい。基板裏面には光を妨げる電極などが無いため、裏面入射型センサは受光面に入射する光を漏れなく受光することができる。ただし、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の一方のみが裏面入射型センサでもよい。また、裏面入射型センサは、例えば可視光の短波長帯のようにシリコン基板のごく浅い部分で光電変換する光を受光する場合に最も効果が高い。一方、近赤外光などはシリコン基板の深くまで浸透して光電変換する。このため、第1のリニアイメージセンサ1を裏面入射型で薄くし、第2のリニアイメージセンサ2を表面入射型にすることが好ましい。これにより、第1のリニアイメージセンサ1で短波長帯の光を漏れなく受光しつつ、第1のリニアイメージセンサ1を透過した光を第2のリニアイメージセンサ2を受光することで、幅広い波長帯の光を漏れなく受光できる。
【0042】
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係る第1及び第2のリニアイメージセンサのTDI動作を示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の着目画素に対し、第2のリニアイメージセンサ2の着目画素は第1のリニアイメージセンサ1の真下左側と真下右側に隣接する2画素が相当する。そのため、第2のリニアイメージセンサ2の着目画素と第1のリニアイメージセンサ1の着目画素は上下に重なる位置関係にある。
【0043】
図11は、実施の形態2に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの水平転送部に蓄積された電荷が撮像データ格納メモリに保存されるまでを示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5には<1>~<5>の電荷が蓄積されている。これが水平転送されてFDA6で読み出され、A/D変換された後に撮像データ格納メモリ9の指定された番地に保存される。一方、第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5には(1)~(10)の電荷が蓄積されている。これが水平転送されてFDA6で読み出され、A/D変換された後に撮像データ格納メモリ9の指定された番地に保存される。
【0044】
第2のリニアイメージセンサ2では、隣接する2つの水平転送部5の電荷をFDにて積分して読み出し動作を行う。読み出された第2のリニアイメージセンサ2の出力信号は、積分動作によって第1のリニアイメージセンサ1の出力信号とのズレが生じない。なお、第2のリニアイメージセンサ2の出力信号を撮像データ格納メモリ9に保存する番地指定方法として、図面では第1のリニアイメージセンサ1のデータとズレがないことを判別しやすくするために番地が一致しているが、番地指定方法はこれに限らない。
【0045】
図12は、実施の形態2に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの各動作のクロックを示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の転送クロックCLK1、サンプルホールドクロックCLK2、及びリセットクロックCLK3は
図7と同一であるため説明を割愛する。
【0046】
第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5に蓄積された電荷は、転送クロックCLK4に応じて、FDに向けて転送される。FDに転送された電荷はFDA6により電圧に変換されて読出される。この読出し動作は、サンプルホールドクロックCLK5をトリガにして行う。読出し動作の後、次の電荷が転送されてくる前にFDの電位をリセットする。この動作はリセットクロックCLK6をトリガにして行われる。
【0047】
第2のリニアイメージセンサ2の読出し及びリセット動作において、サンプルホールドクロックCLK5及びリセットクロックCLK6は転送クロックCLK4の2クロック毎にパルスが発生する駆動を行う。この動作によれば、転送クロックCLK4にて転送された電荷(1)及び(2)が、FDにて合算される。
【0048】
図13は、実施の形態2に係る第2のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。時刻t1ではリセットクロックφRによりFDの電位をリセット電位VRと等電位にする。次に、時刻t2では転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。次に、時刻t3の転送クロック動作により、蓄積電荷は更に右隣の電荷ポケットへと転送され、FDへと電荷が運ばれる。ここでFDにおいて電荷の読出しを実施しない。
【0049】
次に、時刻t4ではリセットクロックφRのパルスを発生させることなく、転送クロックφH1,クロックφH2動作により、蓄積電荷が右隣の電荷ポケットへ転送される。時刻t5では時刻t3と同様、転送クロックφH1,クロックφH2動作により蓄積電荷がFDへと運ばれる。ここでFDA6が読出し動作を実行する。この動作により、時刻t5では隣接する2つの蓄積電荷の合算値を読み出すことができる。次に、時刻t6ではFDの電位がリセットされる。時刻t7以降は時刻t2以降と同様の動作が繰り返される。
【0050】
本実施の形態では、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の読み出し回路のリセットクロックパルスを同期するようクロック発生を制御して、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の出力信号をずらさずに同期させて読み出す。読み出した信号を合算することにより、ダイナミックレンジを拡大して高感度の画像を得ることができる。
【0051】
また、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の読み出し回路であるFDA6のリセットクロックパルスを切り替えることで、第2のリニアイメージセンサ2の出力信号を第1のリニアイメージセンサ1の出力信号に対して1/2ピッチずらして読み出すか、又は、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の出力信号を同期させて読み出すかを選択的に実施してもよい。これにより、実施の形態1のオーバーサンプリングによる高精細画像と、実施の形態2の出力信号合算によるダイナミックレンジの広い画像を1つの撮像装置で選択的に取得することができる。
【0052】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係る焦点面検出器を示す斜視図である。本実施の形態では、第1のリニアイメージセンサ1の水平方向画素ピッチだけでなく垂直方向画素ピッチも第2のリニアイメージセンサ2の2倍に設計する。第2のリニアイメージセンサ2の水平方向2画素×垂直方向2画素が、第1のリニアイメージセンサ1の1画素と正確に重なるように第1のリニアイメージセンサ1と第2のリニアイメージセンサ2を積層する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0053】
なお、第1のリニアイメージセンサ1の水平方向画素ピッチは第2のリニアイメージセンサ2の水平方向画素ピッチの2倍に限らず、2以上の整数倍としてもよい。また、第1のリニアイメージセンサ1の垂直方向画素ピッチは第2のリニアイメージセンサ2の垂直方向画素ピッチの2倍に限らず、2以上の整数倍としてもよい。第1のリニアイメージセンサ1の水平転送部5のピッチも第2のリニアイメージセンサ2の水平転送部5のピッチの2倍に限らず、2以上の整数倍としてもよい。ただし、第1のリニアイメージセンサ1と第2のリニアイメージセンサ2の水平方向画素ピッチ、第1のリニアイメージセンサ1と第2のリニアイメージセンサ2の垂直方向画素ピッチ、及び水平転送部5のピッチの倍数比は同数とする。即ち、水平方向画素ピッチの倍数が3倍であれば、垂直方向画素ピッチ及び水平転送部5のピッチの倍数も3倍とする。
【0054】
図15は
図14のI-IIに沿った断面図である。この断面は第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の水平転送部5に相当する。第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の間に光導波路14と光反射層15が横並びに交互に形成されている。第1のリニアイメージセンサ1の1個のCCDの真下に第2のリニアイメージセンサ2の2個のCCDが配置されている。これにより、第2のリニアイメージセンサ2の画像は第1のリニアイメージセンサ1の2倍の解像度を持つことができる。
【0055】
図16は
図14のIII-IVに沿った断面図である。この断面は第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の画素部に相当する。第1のリニアイメージセンサ1の1個の画素3の真下に第2のリニアイメージセンサ2の2個の画素3が配置されている。
【0056】
図17は、実施の形態3に係る第1及び第2のリニアイメージセンサのTDI動作を示す概略図である。第1のリニアイメージセンサ1の着目画素に対し、第2のリニアイメージセンサ2の着目画素は第1のリニアイメージセンサ1の真下に位置する4画素が相当する。そのため、第2のリニアイメージセンサ2の着目画素と第1のリニアイメージセンサ1の着目画素は上下に重なる位置関係にある。
【0057】
垂直転送部4はTDI動作によって電荷を積分する。しかし、非常に明るい被写体を撮像した場合、TDI動作による蓄積電荷量が多くなり過ぎてブルーミング又はスミアといった過剰電荷の溢れ出しが生じる可能性もある。そこで、本実施の形態では、第1のリニアイメージセンサ1の垂直方向の画素ピッチを第2のリニアイメージセンサ2の2倍にすることで画素単体の蓄積電荷量を小さくしている。そして、第2のリニアイメージセンサ2の垂直転送部4の駆動周波数は第1のリニアイメージセンサ1の2倍である。これにより、過剰な電荷の蓄積を防止することができる。
【0058】
実施の形態4.
図18は、実施の形態4に係る焦点面検出器を示す斜視図である。
図19は
図18のI-IIに沿った断面図である。第2のリニアイメージセンサ2において、2つの水平転送部5-1,5-2が平行に配置されている。蓄積ゲート電極4cから転送された電荷は、水平転送部5-1に転送された後、水平CCD間転送電極5-3を介して水平転送部5-2に転送される。第1のリニアイメージセンサ1の端部は遮光膜16で覆われている。その他の構成は実施の形態3と同様である。
【0059】
図20は、実施の形態4に係る第1及び第2のリニアイメージセンサの水平転送部に蓄積された電荷が撮像データ格納メモリに保存されるまでを示す概略図である。第2のリニアイメージセンサ2の2つの水平転送部5-1,5-2には(1)~(10)の電荷が蓄積されている。これが水平転送されてFDA6で読み出され、A/D変換された後に撮像データ格納メモリ9の指定された番地に保存される。読み出された第2のリニアイメージセンサ2の出力信号は、積分動作によって第1のリニアイメージセンサ1の出力信号と半ピッチだけずれている。なお、第2のリニアイメージセンサ2の出力信号を撮像データ格納メモリ9に保存する番地指定方法として、図面では半ピッチずれたデータであることを判別しやすくするために番地をずらしているが、番地指定方法はこれに限らない。
【0060】
図21は、実施の形態4に係る第2のリニアイメージセンサの転送クロックの駆動と、それに伴う電荷の転送を時系列で示した説明図である。時刻t1~t4の動作によって画素3に蓄積された電荷を蓄積ゲート電極4c下まで転送する。時刻t5では転送クロックφH1をHにし、蓄積電荷を水平転送部5-1へと転送する。時刻t6ではクロックφSCをLにし、水平転送部5-1への電荷転送が完了する。時刻t7では画素3に蓄積された電荷を蓄積ゲート電極4c直前まで転送する。このとき、水平転送部5-1に蓄積した電荷を水平方向へ順次転送し、水平転送部5-1の電荷を全て払い出す。時刻t8ではクロックφSCをHにし、蓄積ゲート電極4c下まで電荷を転送する。時刻t9ではクロックφV2をLにし、蓄積ゲート電極4c下への電荷転送が完了する。時刻t10では転送クロックφH1をHにし、蓄積電荷を水平転送部5-1へと転送する。時刻t11ではクロックφSCをLにし、水平転送部5-1への電荷転送が完了する。時刻t12では水平CCD間転送電極5-3の電位φTrをHにし、水平CCD間転送電極5-3下へ電荷を転送する。時刻t13では水平CCD間転送電極5-3の電位φTrをLにし、水平CCD間転送電極5-3下への電荷転送が完了する。時刻t14ではクロックφH2をHにし、蓄積電荷を水平転送部5-2へと転送する。時刻t14ではクロックφH2をLにし、水平転送部5-2への電荷転送が完了する。
【0061】
なお、実施の形態1~3において、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の2次元アレイ状に配置され画素3のうち左端に位置する画素3の蓄積電荷量をA/D変換してメモリに格納し、両者を後段の処理にて比較判定してもよい。これにより、第1及び第2のリニアイメージセンサ1,2の撮像データのズレの有無を検出することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 第1のリニアイメージセンサ、2 第2のリニアイメージセンサ、3 画素、4 垂直転送部、5 水平転送部、6 FDA、8 A/D変換器、9 撮像データ格納メモリ、10,12 貫通電極、150 駆動パルス制御部