(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】移載システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B65G1/00 501F
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2021088540
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2023-08-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 令和3年3月11日 展示会名、開催場所 株式会社豊田自動織機 高浜工場 ショールーム
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】清水 重範
(72)【発明者】
【氏名】柘植 広志
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-031038(JP,A)
【文献】特開2019-119600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を載せて走行する移動体と、
前記対象物を搬送する搬送装置と、
前記移動体から前記搬送装置に前記対象物を移載する制御を行う移載制御部とを具備し、
前記移動体は、前記対象物が載置される第1載置面を有する第1載置部と、前記移動体を走行させる駆動部とを備え、
前記搬送装置は、前記対象物が載置される第2載置面を有する第2載置部と、前記第2載置部の下流側に配置された搬送部と、前記第1載置面に載置された前記対象物が前記第2載置面に移載される際に、前記第2載置部に対する前記搬送部の反対側への前記対象物の相対移動を規制する規制部とを備え、
前記第1載置部は、前記第1載置面に載置された前記対象物の底面と協働して、前記第2載置部を収容可能な収容空間を形成する凹状部を有し、
前記移載制御部は、前記第2載置部が前記収容空間に収容されることで前記第1載置面に載置された前記対象物が前記第2載置面の上側に配置される移載位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して前進させるように前記駆動部を制御し、その後前記第2載置部が前記収容空間から引き抜かれる位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して後退させるように前記駆動部を制御
し、
前記規制部は、前記第2載置部の前記移動体側の端部にバネによって前記第2載置面に対して突出・引込自在に設けられており、
前記移動体が前記搬送装置に対して前進する際に、前記第1載置面に載置された前記対象物が前記規制部に達すると、前記対象物により前記規制部が前記バネの付勢力に抗して前記第2載置面から引っ込んだ状態となり、前記移動体が前記搬送装置に対して更に前進することで、前記対象物が前記規制部を通過した後は、前記規制部が前記バネの付勢力により前記第2載置面から突き出た状態となる移載システム。
【請求項2】
対象物を載せて走行する移動体と、
前記対象物を搬送する搬送装置と、
前記移動体から前記搬送装置に前記対象物を移載する制御を行う移載制御部とを具備し、
前記移動体は、前記対象物が載置される第1載置面を有する第1載置部と、前記移動体を走行させる駆動部とを備え、
前記搬送装置は、前記対象物が載置される第2載置面を有する第2載置部と、前記第2載置部の下流側に配置された搬送部と、前記第1載置面に載置された前記対象物が前記第2載置面に移載される際に、前記第2載置部に対する前記搬送部の反対側への前記対象物の相対移動を規制する規制部とを備え、
前記第1載置部は、前記第1載置面に載置された前記対象物の底面と協働して、前記第2載置部を収容可能な収容空間を形成する凹状部を有し、
前記移載制御部は、前記第2載置部が前記収容空間に収容されることで前記第1載置面に載置された前記対象物が前記第2載置面の上側に配置される移載位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して前進させるように前記駆動部を制御し、その後前記第2載置部が前記収容空間から引き抜かれる位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して後退させるように前記駆動部を制御し、
前記移動体には、前記第2載置部が前記収容空間に収容されるように前記移動体が前記搬送装置に対して前進するときに、前記第2載置面に載置された前記対象物を前記搬送部に向けて押し込む押し部が設けられており、
前記移載制御部は、前記移動体を後退させるように前記駆動部を制御した後、前記第2載置部が前記収容空間に収容されることで前記移動体が前記第2載置面に載置された前記対象物を前記搬送部に向けて押し込む位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して前進させるように前記駆動部を制御す
る移載システム。
【請求項3】
前記押し部は、前記第1載置部の前記搬送装置側の端部に前記第1載置面に対して突出・引込自在に設けられている請求項
2記載の移載システム。
【請求項4】
対象物を載せて走行する移動体と、
前記対象物を搬送する搬送装置と、
前記移動体から前記搬送装置に前記対象物を移載する制御を行う移載制御部とを具備し、
前記移動体は、前記対象物が載置される第1載置面を有する第1載置部と、前記移動体を走行させる駆動部とを備え、
前記搬送装置は、前記対象物が載置される第2載置面を有する第2載置部と、前記第2載置部の下流側に配置された搬送部と、前記第1載置面に載置された前記対象物が前記第2載置面に移載される際に、前記第2載置部に対する前記搬送部の反対側への前記対象物の相対移動を規制する規制部とを備え、
前記第1載置部は、前記第1載置面に載置された前記対象物の底面と協働して、前記第2載置部を収容可能な収容空間を形成する凹状部を有し、
前記移載制御部は、前記第2載置部が前記収容空間に収容されることで前記第1載置面に載置された前記対象物が前記第2載置面の上側に配置される移載位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して前進させるように前記駆動部を制御し、その後前記第2載置部が前記収容空間から引き抜かれる位置まで前記移動体を前記搬送装置に対して後退させるように前記駆動部を制御し、
前記搬送装置は、前記第2載置部を前記搬送装置の左右方向に摺動可能に支持する支持部と、前記支持部と前記第2載置部との間に配置され、前記支持部に対する前記第2載置部の左右方向の基準位置に向かう側に付勢する第1弾性部材とを有す
る移載システム。
【請求項5】
前記第2載置部は、前記支持部に前記搬送装置の左右方向に摺動可能に支持された下部材と、前記下部材に上下方向に延びる軸部を介して回動可能に支持された上部材と、前記下部材と前記上部材との間に配置され、前記下部材に対する前記上部材の基準姿勢に向かう側に付勢する第2弾性部材とを有する請求項
4記載の移載システム。
【請求項6】
前記第1載置部の前記搬送装置側の端部には、前記搬送装置側に向かうにつれて前記収容空間の幅を広くするような第1テーパ部が設けられており、
前記第2載置部の前記移動体側の端部の左右両側には、前記移動体側に先細りとなるような第2テーパ部が設けられている請求項1~
5の何れか一項記載の移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、荷台を有する自律走行式のロボット本体と、荷台に搬送物が搭載されたロボット本体を目的地まで走行させる制御装置とを備えた搬送ロボットシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、次工程に搬送物を送り出す際に、作業者が手動によりロボット本体の荷台に搭載された搬送物を搬送装置に移載する必要がある。従って、作業者にかなりの負担がかかるため、省人化が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、作業者の負担を軽減することができる移載システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る移載システムは、対象物を載せて走行する移動体と、対象物を搬送する搬送装置と、移動体から搬送装置に対象物を移載する制御を行う移載制御部とを具備し、移動体は、対象物が載置される第1載置面を有する第1載置部と、移動体を走行させる駆動部とを備え、搬送装置は、対象物が載置される第2載置面を有する第2載置部と、第2載置部の下流側に配置された搬送部と、第1載置面に載置された対象物が第2載置面に移載される際に、第2載置部に対する搬送部の反対側への対象物の相対移動を規制する規制部とを備え、第1載置部は、第1載置面に載置された対象物の底面と協働して、第2載置部を収容可能な収容空間を形成する凹状部を有し、移載制御部は、第2載置部が収容空間に収容されることで第1載置面に載置された対象物が第2載置面の上側に配置される移載位置まで移動体を搬送装置に対して前進させるように駆動部を制御し、その後第2載置部が収容空間から引き抜かれる位置まで移動体を搬送装置に対して後退させるように駆動部を制御する。
【0007】
このような移載システムにおいて、移動体の第1載置部の第1載置面に載置された対象物を搬送装置の第2載置部に移載するときは、まず移動体を搬送装置に対して移載位置まで前進させることで、第1載置面に載置された対象物の底面と第1載置部の凹状部との協働により形成された収容空間に第2載置部が収容されて、第1載置面に載置された対象物が第2載置部の第2載置面の上側に配置される。そして、移動体を搬送装置に対して後退させることで、第2載置部が収容空間から引き抜かれる。このとき、規制部によって、第2載置面の上側に配置された対象物が第2載置部に対して搬送部の反対側(移動体側)に相対移動することが規制されるため、対象物が移動体と共に後退することが防止される。従って、対象物が第2載置面に載置された状態となる。このように移動体から搬送装置への対象物の移載は、作業者ではなく、移動体が移動することによって行われる。これにより、作業者の負担が軽減される。
【0008】
規制部は、第2載置部の移動体側の端部に第2載置面に対して突出・引込自在に設けられていてもよい。このような構成では、規制部が第2載置面に対して引っ込んだ状態では、移動体を搬送装置に対して移載位置まで前進させることで、第2載置部が収容空間に収容されて、第1載置部の第1載置面に載置された対象物が第2載置部の第2載置面の上側に配置される。その後、規制部が第2載置面に対して突出した状態では、対象物が第2載置部に対して搬送部の反対側に移動することが防止される。
【0009】
移動体には、第2載置部が収容空間に収容されるように移動体が搬送装置に対して前進するときに、第2載置面に載置された対象物を搬送部に向けて押し込む押し部が設けられており、移載制御部は、移動体を後退させるように駆動部を制御した後、第2載置部が収容空間に収容されることで移動体が第2載置面に載置された対象物を搬送部に向けて押し込む位置まで移動体を搬送装置に対して前進させるように駆動部を制御してもよい。このような構成では、移動体を再び搬送装置に対して前進させることで、第2載置部が収容空間に収容されて、押し部が第2載置面に載置された対象物を搬送部に向けて押し込む。このように搬送部への対象物の押し込みも、作業者ではなく、移動体が移動することによって行われる。これにより、作業者の負担が更に軽減される。
【0010】
押し部は、第1載置部の搬送装置側の端部に第1載置面に対して突出・引込自在に設けられていてもよい。このような構成では、対象物が第1載置面に載置されていない状態では、押し部が第1載置面に対して突出するため、第2載置面に載置された対象物が押し部により搬送部に向けて押し込まれる。対象物が第1載置面に載置された状態で、押し部が第1載置面に対して引っ込む場合は、第2載置面に載置された対象物を第1載置面に載置された対象物により搬送部に向けて押し込むことができる。
【0011】
第1載置部の搬送装置側の端部には、搬送装置側に向かうにつれて収容空間の幅を広くするような第1テーパ部が設けられており、第2載置部の移動体側の端部の左右両側には、移動体側に先細りとなるような第2テーパ部が設けられていてもよい。このような構成では、移動体を搬送装置に対して前進させたときに、第2載置部が収容空間に収容されやすくなる。
【0012】
搬送装置は、第2載置部を搬送装置の左右方向に摺動可能に支持する支持部と、支持部と第2載置部との間に配置され、支持部に対する第2載置部の左右方向の基準位置に向かう側に付勢する第1弾性部材とを有してもよい。このような構成では、移動体が搬送装置に近づく際に、第1載置部が第2載置部に対して左右方向に多少ずれていても、その位置ずれが第1弾性部材の付勢力に抗して吸収される。また、移動体を搬送装置に対して後退させることで、第2載置部が収容空間から引き抜かれたときには、第1弾性部材の付勢力によって第2載置部が支持部に対する基準位置に戻るようになる。
【0013】
第2載置部は、支持部に搬送装置の左右方向に摺動可能に支持された下部材と、下部材に上下方向に延びる軸部を介して回動可能に支持された上部材と、下部材と上部材との間に配置され、下部材に対する上部材の基準姿勢に向かう側に付勢する第2弾性部材とを有してもよい。このような構成では、移動体が搬送装置に近づく際に、第1載置部が第2載置部に対して軸部の軸回りに多少傾いていても、その傾きが第2弾性部材の付勢力に抗して吸収される、また、移動体を搬送装置に対して後退させることで、第2載置部が収容空間から引き抜かれたときには、第2弾性部材の付勢力によって上部材が下部材に対する基準姿勢に戻るようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る移載システムを示す概略側面図である。
【
図2】
図1に示された自律走行ロボット及び搬送装置の平面図である。
【
図3】
図1に示された自律走行ロボット及び搬送装置の側面図である。
【
図4】
図1に示された自律走行ロボットの正面図である。
【
図5】
図2に示された自律走行ロボットが搬送装置に対して前進した状態の平面図である。
【
図6】
図2に示された搬送装置において上部材の一部を除いた状態の平面図である。
【
図7】
図2に示された押し具の断面図及び正面図である。
【
図8】
図2に示された規制具の断面図及び正面図である。
【
図9】
図1に示された移載システムの制御系構成図である。
【
図10】
図9に示された制御ユニットにより実行される制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】
図1に示された移載システムによって自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図12】
図1に示された移載システムによって自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図13】
図1に示された移載システムによって自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【
図14】
図1に示された移載システムによって自律走行ロボットから搬送装置に荷物コンテナを移載する動作を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る移載システムを示す概略側面図である。
図1において、本実施形態の移載システム1は、自律走行ロボット2と、搬送装置3とを具備している。移載システム1は、対象物である荷物コンテナ5を自律走行ロボット2から搬送装置3に移載するシステムである。
【0018】
図2は、自律走行ロボット2及び搬送装置3の平面図である。
図3は、自律走行ロボット2及び搬送装置3の側面図である。
図4は、自律走行ロボット2の正面図である。なお、
図1~
図3では、自律走行ロボット2は、移載開始位置にある。このとき、自律走行ロボット2は、搬送装置3と正面で向き合っている。このように自律走行ロボット2が移載開始位置にある状態において、自律走行ロボット2と搬送装置3との配列方向を自律走行ロボット2及び搬送装置3の前後方向とする。自律走行ロボット2の前方は、自律走行ロボット2に対して搬送装置3に向かう方向である。また、水平面内において自律走行ロボット2及び搬送装置3の前後方向に直交する方向を、自律走行ロボット2及び搬送装置3の左右方向とする。
【0019】
図1~
図4において、自律走行ロボット2は、荷物コンテナ5を載せて走行する移動体である。自律走行ロボット2は、例えば前後左右に走行可能であると共に旋回可能である。自律走行ロボット2は、荷物コンテナ5を複数段(ここでは2段)で載せることが可能である。
【0020】
自律走行ロボット2は、例えば4つの車輪(図示せず)を有するロボット本体10と、このロボット本体10に取り付けられた上段載置部11及び下段載置部12とを備えている。上段載置部11及び下段載置部12は、荷物コンテナ5が載置される第1載置面を有する第1載置部である。
【0021】
上段載置部11は、左右1対の取付壁部70に固定された上段ベース71と、この上段ベース71の左右両側に突設された1対の上段載置壁72とを有している。取付壁部70は、ロボット本体10に取り付けられ、自律走行ロボット2の上下方向に延在している。
【0022】
1対の上段載置壁72は、自律走行ロボット2の左右方向に所定の間隔をもって配置されている。各上段載置壁72は、自律走行ロボット2の前後方向に延在している。各上段載置壁72の上面72aには、荷物コンテナ5の両側縁部が載置される。つまり、上面72aは、荷物コンテナ5が載置される第1載置面である。上面72aには、荷物コンテナ5を自律走行ロボット2の左右方向に対して位置決めするための複数(ここでは3つ)の位置決め壁13が間隔をもって設けられている。
【0023】
上段載置壁72の前端部の内側面72bには、上段載置壁72の前側に先細りとなるようなテーパ部14(第1テーパ部)が設けられている。上段載置壁72の前端部は、上段載置壁72における搬送装置3側の端部である。上段載置壁72におけるテーパ部14の領域には、切欠部15が設けられている。切欠部15の底面15aには、荷物コンテナ5を搬送方向に押し込む押し具16が固定されている。押し具16の具体的な構造については、後で詳述する。
【0024】
上段載置部11は、上段ベース71の上面71aと各上段載置壁72の内側面72bとにより画成される凹状部73を有している。凹状部73は、各上段載置壁72の上面72aに載置された荷物コンテナ5の底面5aと協働して、断面矩形状の上部収容空間S1を形成している。上部収容空間S1は、自律走行ロボット2の前側及び後側に開口している。テーパ部14は、自律走行ロボット2の前端側に向かうにつれて上部収容空間S1の幅Wを徐々に広くするように形成されている。上部収容空間S1の幅Wは、上部収容空間S1の左右方向の長さである。
【0025】
下段載置部12は、上段載置部11の下方に配置されている。下段載置部12は、ロボット本体10に固定された下段ベース75と、この下段ベース75の左右両側に突設された1対の下段載置壁76とを有している。
【0026】
1対の下段載置壁76は、1対の上段載置壁72と同様の構造を有している。下段載置壁76の上面76aには、荷物コンテナ5の両側縁部が載置される。つまり、上面76aは、荷物コンテナ5が載置される第1載置面である。上面76aには、上段載置壁72と同様に、複数の位置決め壁17が間隔をもって設けられている。下段載置壁76の前端部の内側面76bには、上段載置壁72と同様に、テーパ部18(第1テーパ部)が設けられている。
【0027】
下段載置部12は、下段ベース75の上面75aと各下段載置壁76の内側面76bとにより画成される凹状部77を有している。凹状部77は、各下段載置壁76の上面76aに載置された荷物コンテナ5の底面5aと協働して、断面矩形状の下部収容空間S2を形成している。下部収容空間S2は、自律走行ロボット2の前側及び後側に開口している。テーパ部18は、自律走行ロボット2の前端側に向かうにつれて下部収容空間S2の幅Wを徐々に広くするように形成されている。
【0028】
搬送装置3は、昇降コンベア7と、この昇降コンベア7の下流側に配置された搬送コンベア8とを備えている。昇降コンベア7及び搬送コンベア8は、基台9に連結されている。
【0029】
昇降コンベア7は、載置部20と、この載置部20を搬送装置3の左右方向に摺動可能に支持する支持部21と、この支持部21を左右1対の柱部材22に対して昇降可能に案内する昇降ガイド23と、載置部20を支持部21を介して昇降ガイド23に沿って昇降させる昇降シリンダ24とを備えている。柱部材22は、基台9に立設されている。
【0030】
載置部20は、荷物コンテナ5が載置される第2載置面を有する第2載置部である。載置部20は、支持部21から自律走行ロボット2側に延在している。載置部20は、
図5に示されるように、自律走行ロボット2の上部収容空間S1及び下部収容空間S2に収容可能である。
【0031】
載置部20は、支持部21にリニアガイド25を介して支持された板状の下部材26と、この下部材26に軸部27(
図6参照)を介して回動可能に支持された上部材28とを有している。リニアガイド25は、下部材26を支持部21に対して搬送装置3の左右方向に摺動可能に案内する。つまり、下部材26は、支持部21に搬送装置3の左右方向に摺動可能に支持されている。下部材26の先端部の左右両側には、
図6に示されるように、下部材26の先端側に先細りとなるようなテーパ部29が設けられている。
【0032】
上部材28は、下部材26の上方に配置されている。軸部27は、
図6に示されるように、搬送装置3の上下方向に延びる軸であり、下部材26の先端部の近傍に突設されている。つまり、上部材28は、下部材26に軸部27を介して搬送装置3の上下方向の軸回りに回動可能に支持されている。上部材28の上面28aは、荷物コンテナ5が載置される第2載置面である。上面28aには、荷物コンテナ5の左右縁部を除く部分が載置される。
【0033】
上部材28の先端部の左右両側には、上部材28の先端側に先細りとなるようなテーパ部30が設けられている。テーパ部30は、上段載置部11のテーパ部14、下段載置部12のテーパ部18及び下部材26のテーパ部29に対して平行である。ここでいう平行は、完全な平行だけでなく、略平行も含んでいる。テーパ部30は、載置部20の先端部の左右両側に載置部20の先端側に先細りとなるように設けられた第2テーパ部である。載置部20の先端側は、載置部20の自律走行ロボット2側である。
【0034】
上部材28の長さ寸法は、下部材26の長さ寸法よりも大きい。長さ寸法は、搬送装置3の前後方向の寸法である。このため、上部材28の先端は、下部材26の先端よりも自律走行ロボット2側に位置している。また、上部材28の幅寸法は、下部材26の幅寸法よりも大きい。幅寸法は、搬送装置3の左右方向の寸法である。このため、上部材28の両側縁は、下部材26の両側縁よりも搬送装置3の左右方向の外側に位置している。
【0035】
上部材28の左右方向の両側部には、複数の搬送ローラ31が搬送装置3の左右方向の軸回りに自由回転自在に取り付けられている。また、テーパ部30を含む上部材28の左右方向の両側部には、複数のガイドローラ32が搬送装置3の上下方向の軸回りに自由回転自在に取り付けられている。
【0036】
上部材28の基端部には、荷物コンテナ5を搬送装置3の左右方向に対して位置決めするための左右1対の位置決めアーム33がL字型の取付ブラケット34を介して取り付けられている。位置決めアーム33は、搬送装置3の前後方向に延在している。位置決めアーム33は、上部材28の両側縁よりも搬送装置3の左右方向の外側に位置している。
【0037】
載置部20の先端部には、規制具35が設けられている。規制具35は、自律走行ロボット2における上段載置部11の各上段載置壁72の上面72aまたは下段載置部12の各下段載置壁76の上面76aに載置された荷物コンテナ5が載置部20の上部材28の上面28aに移載される際に、載置部20に対する搬送コンベア8の反対側(自律走行ロボット2側)への荷物コンテナ5の相対移動を規制する規制部である。規制具35は、
図5に示されるように、載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1または下部収容空間S2に収容された状態において、荷物コンテナ5の後面5bよりも後側に位置する。なお、規制具35の具体的な構造については、後で詳述する。
【0038】
支持部21と下部材26との間には、搬送装置3の左右方向の中心側に付勢する左右1組のバネ36が配置されている。これらのバネ36は、支持部21に対する載置部20の左右方向の基準位置に向かう側に付勢する第1弾性部材である。支持部21に対する載置部20の左右方向の基準位置は、例えば自律走行ロボット2が正確な移載開始位置にあるときに、上段載置部11及び下段載置部12の左右方向の中心と載置部20の左右方向の中心とが一致する位置である。バネ36の一端は、支持部21に直接または補助部材(図示せず)を介して接続されている。バネ36の他端は、下部材26に直接または補助部材(図示せず)を介して接続されている。
【0039】
下部材26と上部材28との間には、搬送装置3の左右方向の中心側に付勢する左右1組のバネ37が配置されている。これらのバネ37は、下部材26に対する上部材28の基準姿勢に向かう側に付勢する第2弾性部材である。下部材26に対する上部材28の基準姿勢は、
図6に示されるように、下部材26に対する上部材28の傾き角度が0度となるような姿勢である。バネ37の一端は、下部材26の上面に固定された突起部26aに接続されている。バネ37の他端は、上部材28の内側面28bに接続されている。
【0040】
昇降ガイド23は、搬送装置3の上下方向に延在するリニアガイドである。昇降シリンダ24は、空気源68(
図9参照)から供給される空気により駆動される空気圧シリンダである。昇降シリンダ24は、下段位置と上段位置との間で載置部20を支持部21を介して昇降ガイド23に沿って昇降させる。下段位置は、自律走行ロボット2の下段載置部12に対応する高さ位置である。上段位置は、自律走行ロボット2の上段載置部11に対応する高さ位置である。ここでは、下段位置は下段載置部12の高さ位置と等しく、上段位置は上段載置部11の高さ位置と等しい。
【0041】
搬送コンベア8は、荷物コンテナ5を所定位置に向けて搬送する搬送部である。搬送コンベア8は、左右1対の柱部材22に連結されたコンベアフレーム40と、このコンベアフレーム40に搬送装置3の左右方向の軸回りに自由回転自在に支持された複数の搬送ローラ41とを有している。搬送コンベア8は、搬送装置3の下流側に向かって下がるように傾斜している。搬送コンベア8の下流側には、平坦な搬送コンベア42(
図1参照)が配置されている。
【0042】
このような移載システム1において、自律走行ロボット2から昇降コンベア7に荷物コンテナ5を移載するときは、自律走行ロボット2の上段載置部11及び下段載置部12に荷物コンテナ5が載置された状態で、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させる。このとき、
図5に示されるように、自律走行ロボット2の上部収容空間S1または下部収容空間S2に昇降コンベア7の載置部20を収容することにより、荷物コンテナ5が載置部20に載置される。
【0043】
そして、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して一旦後退させた後、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させる。このとき、上段載置部11に載置された荷物コンテナ5または上段載置部11に設けられた押し具16によって、荷物コンテナ5が昇降コンベア7から搬送コンベア8に送り込まれる。
【0044】
押し具16は、昇降コンベア7の載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容されたときに、載置部20に載置された荷物コンテナ5を搬送コンベア8に向けて押し込む押し部である。押し具16は、上述したように、自律走行ロボット2の各上段載置部11のテーパ部14にそれぞれ設けられている。
【0045】
押し具16は、上段載置部11の載置面である上面72aに対して突出・引込自在に設けられている。押し具16は、自律走行ロボット2に対する搬送装置3側への荷物コンテナ5の相対移動を許可し、自律走行ロボット2に対する搬送装置3の反対側への荷物コンテナ5の相対移動を許可しないアンチバック機構を有している。
【0046】
具体的には、押し具16は、
図7に示されるように、基部44と、この基部44に軸部45を介して回動可能に連結された爪部46と、基部44と爪部46との間の空間K1に配置され、爪部46側に付勢するバネ47とを有している。
【0047】
爪部46は、バネ47の付勢力により上段載置部11の上面72aよりも突き出る突出部48を有している。突出部48は、爪部46の前端側部分に設けられている。爪部46の前端側は、上段載置部11の前端側に相当する。突出部48には、爪部46の前端から後端側に向かって下がるように傾斜した傾斜面48aが設けられている。つまり、傾斜面48aは、上段載置部11の前端部近傍から後端側に向かって下がるように傾斜している。
【0048】
上段載置部11の上面72aに荷物コンテナ5が載置されていないときは、上述したように、バネ47の付勢力により爪部46の突出部48が上段載置部11の上面72aよりも突き出た状態となる。上段載置部11の上面72aに荷物コンテナ5が載置されると、荷物コンテナ5が突出部48を基部44側に押し込むことで、爪部46がバネ47の付勢力に抗して回動するため、突出部48が上段載置部11の上面72aから引っ込んだ状態となる。
【0049】
昇降コンベア7の載置部20に設けられた規制具35は、押し具16と同じ構造を有している。つまり、規制具35は、載置部20の載置面である上面28aに対して突出・引込自在である。規制具35は、昇降コンベア7に対する搬送コンベア8側への荷物コンテナ5の相対移動を許可し、昇降コンベア7に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5の相対移動を許可しないアンチバック機構を有している。
【0050】
具体的には、規制具35は、
図8に示されるように、基部54と、この基部54に軸部55を介して回動可能に連結された爪部56と、基部54と爪部56との間の空間K2に配置され、爪部56側に付勢するバネ57とを有している。
【0051】
爪部56は、バネ57の付勢力により載置部20の上面28aよりも突き出る突出部58を有している。突出部58は、爪部56の前端側部分に設けられている。爪部56の前端側は、載置部20の基端側に相当する。突出部58には、爪部56の前端から後端側に向かって下がるように傾斜した傾斜面58aが設けられている。つまり、傾斜面58aは、載置部20の先端部近傍から先端側に向かって下がるように傾斜している。
【0052】
図9は、
図1に示された移載システム1の制御系構成図である。
図9において、移載システム1は、自律走行ロボット2に加え、昇降操作ボタン50と、空気圧バルブ67とを備えている。
【0053】
昇降操作ボタン50は、昇降シリンダ24の駆動を指示する操作部である。昇降操作ボタン50は、柱51に高さ位置を調整可能に取り付けられている(
図1参照)。昇降操作ボタン50は、基本的には自律走行ロボット2により押し操作が行われる。ただし、必要に応じて作業者が昇降操作ボタン50の押し操作を行う。昇降操作ボタン50が押されると、昇降シリンダ24が駆動される。なお、昇降操作ボタン50には、自律走行ロボット2の後退時に生じる移動量の誤差を吸収するためのバネ(図示せず)が内蔵されている。
【0054】
空気圧バルブ67は、空気を供給する空気源68と昇降シリンダ24との間に配置されている。また、空気圧バルブ67は、昇降操作ボタン50と直接接続されている。空気圧バルブ67は、昇降操作ボタン50の操作信号に応じて、昇降シリンダ24を伸長させる方向と昇降シリンダ24を収縮させる方向とを直接切り換える電磁式のON/OFF弁である。空気圧バルブ67がONであるときは、昇降シリンダ24が伸長し、空気圧バルブ67がOFFであるときは、昇降シリンダ24が収縮する。
【0055】
自律走行ロボット2は、レーザセンサ60と、制御ユニット62と、走行モータ63とを有している。
【0056】
レーザセンサ60は、昇降コンベア7に向けてレーザを照射し、レーザの反射光を受光することで、昇降コンベア7の載置部20が下段位置にあるかどうかを検知する。レーザセンサ60としては、例えば2Dまたは3Dのレーザレンジファインダが用いられる。
【0057】
制御ユニット62は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット62は、レーザセンサ60の検出信号に基づいて、予め決められた走行パターンに従って自律走行ロボット2を走行させるように走行モータ63を制御する。走行モータ63は、ロボット本体10の各車輪(図示せず)を回転駆動させる駆動部である。走行モータ63は、車輪毎にそれぞれ配置されている。
【0058】
ここで、制御ユニット62は、自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載する制御を行う移載制御部を構成している。
【0059】
図10は、制御ユニット62により実行される制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、自律走行ロボット2の上段載置部11及び下段載置部12にそれぞれ荷物コンテナ5が載置された状態で、自律走行ロボット2が移載開始位置に達すると、実行される。
【0060】
図10において、制御ユニット62は、まずレーザセンサ60の検出信号を取得する(手順S101)。そして、制御ユニット62は、レーザセンサ60の検出信号に基づいて、昇降コンベア7の載置部20が下段位置にあるかどうかを判断する(手順S102)。
【0061】
制御ユニット62は、載置部20が下段位置にあると判断したときは、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S103)。このとき、制御ユニット62は、載置部20が自律走行ロボット2の下部収容空間S2に収容されることで下段載置部12の上面76aに載置された荷物コンテナ5が載置部20に移載可能となる移載位置まで自律走行ロボット2を前進させるための制御信号を出力する。
【0062】
この時の移載位置は、下段載置部12の上面76aに載置された荷物コンテナ5が搬送装置3の前後方向に全体的に載置部20の上面28aの上側に配置される位置である。荷物コンテナ5が移載位置にある状態では、
図5に示されるように、規制具35が荷物コンテナ5の後面5bよりも後側にある。
【0063】
続いて、制御ユニット62は、自律走行ロボット2のロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して後退させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S104)。
【0064】
続いて、制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを判断する(手順S105)。このとき、制御ユニット62は、レーザセンサ60の検出信号に基づいて、昇降操作ボタン50が押されたかどうかを判断してもよいし、自律走行ロボット2の後進開始からの経過時間に基づいて、昇降操作ボタン50が押されたかどうかを判断してもよい。
【0065】
制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたと判断したときは、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S106)。
【0066】
このとき、制御ユニット62は、載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容されることで上段載置部11の上面72aに載置された荷物コンテナ5が載置部20に移載可能となる移載位置まで自律走行ロボット2を前進させるための制御信号を出力する。この時の移載位置は、上段載置部11の上面72aに載置された荷物コンテナ5が搬送装置3の前後方向に全体的に載置部20の上面28aの上側に配置される位置である。
【0067】
続いて、制御ユニット62は、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して一旦後退させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S107)。このとき、制御ユニット62は、載置部20が上部収容空間S1から引き抜かれる一旦停止位置まで自律走行ロボット2を後退させるための制御信号を出力する。一旦停止位置は、搬送装置3と昇降操作ボタン50との間の位置である。
【0068】
そして、制御ユニット62は、自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して前進させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S108)。このとき、制御ユニット62は、載置部20が上部収容空間S1に再び収容されることで押し具16が載置部20に載置された荷物コンテナ5を搬送コンベア8に向けて押し込む位置まで自律走行ロボット2を前進させるための制御信号を出力する。
【0069】
続いて、制御ユニット62は、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して後退させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S109)。
【0070】
続いて、制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを判断する(手順S110)。制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたと判断したときは、自律走行ロボット2を移載開始位置まで前進させるための制御信号を走行モータ63に出力し(手順S111)、本処理を終了する。
【0071】
制御ユニット62は、手順S102において載置部20が下段位置にない、つまり載置部20が上段位置にあると判断したときは、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで自律走行ロボット2を昇降コンベア7に対して後進させるための制御信号を走行モータ63に出力する(手順S112)。
【0072】
続いて、制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを判断する(手順S113)。制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたと判断したときは、上記の手順S103を実行する。
【0073】
次に、
図11~
図14を用いて、移載システム1によって自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載する動作について説明する。なお、昇降コンベア7の載置部20は、下段位置にある。
【0074】
自律走行ロボット2の上段載置部11及び下段載置部12にそれぞれ荷物コンテナ5A,5Bが載置されると、自律走行ロボット2は、
図11(a)に示されるように、搬送装置3に向かって走行し、搬送装置3の昇降コンベア7と向き合った移載開始位置に到達する。
【0075】
そして、自律走行ロボット2は、
図11(b)に示されるように、昇降コンベア7に対して前進することで、昇降コンベア7の載置部20が自律走行ロボット2の下部収容空間S2に収容される。
【0076】
このとき、下段載置部12の各下段載置壁76の前端部の内側面76bにはテーパ部18が設けられ、載置部20の先端部の左右両側にはテーパ部30が設けられているため、下段載置部12が載置部20に対して左右方向に多少ずれていたり、下段載置部12が載置部20に対して多少傾いていても、載置部20が下部収容空間S2に収容されやすくなっている。
【0077】
また、載置部20は支持部21に搬送装置3の左右方向に摺動可能に支持されているため、載置部20に対する下段載置部12の左右方向の位置ずれが吸収される。上部材28は下部材26に軸部27を介して回動可能に支持されているため、載置部20に対する下段載置部12の傾きが吸収される。
【0078】
また、載置部20に設けられたガイドローラ32に下段載置部12が案内されながら、載置部20が下部収容空間S2に収容されるため、下段載置部12と載置部20とが擦れることが防止される。
【0079】
また、下段載置部12に載置された荷物コンテナ5Bが規制具35に達すると、荷物コンテナ5Bが規制具35の爪部56の突出部58を踏み込むことで、爪部56がバネ57の付勢力に抗して回動し、突出部58が載置部20の上面28aから引っ込んだ状態となるため、荷物コンテナ5Bが規制具35を通過する。
【0080】
そして、自律走行ロボット2は、
図11(c)に示されるように、昇降コンベア7に対して更に前進することで、載置部20に荷物コンテナ5Bが載置される。このとき、荷物コンテナ5Bが規制具35を通過した後は、規制具35の爪部56の突出部58がバネ57の付勢力により載置部20の上面28aから突き出る。このため、荷物コンテナ5Bは、規制具35により上流側(自律走行ロボット2側)に対して拘束されることとなる。
【0081】
次いで、自律走行ロボット2は、
図12(a)に示されるように、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで昇降コンベア7に対して後退する。このとき、規制具35によって載置部20に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5Bの相対移動が規制されているため、荷物コンテナ5Bが自律走行ロボット2と共に後退することはなく、荷物コンテナ5Bは載置部20に載置された状態に維持される。
【0082】
ロボット本体10により昇降操作ボタン50が押されると、
図12(b)に示されるように、昇降シリンダ24が伸長することにより、荷物コンテナ5Bが載置された載置部20が下段位置から上段位置まで上昇する。
【0083】
次いで、自律走行ロボット2は、
図12(c)に示されるように、昇降コンベア7に対して前進することで、昇降コンベア7の載置部20が自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容される。
【0084】
このとき、各上段載置部11の前端部の内側面11bにはテーパ部14が設けられ、載置部20の先端部の左右両側にはテーパ部30が設けられているため、上段載置部11が載置部20に対して左右方向に多少ずれていたり、上段載置部11が載置部20に対して多少傾いていても、載置部20が上部収容空間S1に収容されやすくなっている。また、上述したように、載置部20に対する上段載置部11の左右方向の位置ずれが吸収されると共に、載置部20に対する上段載置部11の傾きが吸収される。
【0085】
また、載置部20に設けられたガイドローラ32に上段載置部11が案内されながら、載置部20が上部収容空間S1に収容されるため、上段載置部11と載置部20とが擦れることが防止される。
【0086】
また、上段載置部11に載置された荷物コンテナ5Aが規制具35に達すると、荷物コンテナ5Aが規制具35の爪部56の突出部58を踏み込むことで、爪部56がバネ57の付勢力に抗して回動し、突出部58が載置部20の上面20aから引っ込んだ状態となるため、荷物コンテナ5Aが規制具35を通過する。
【0087】
そして、上段載置部11に載置された荷物コンテナ5Aが載置部20に載置された荷物コンテナ5Bを搬送コンベア8側に押し込む。これにより、荷物コンテナ5Bが搬送コンベア8に送られる(
図13(a)参照)。このとき、載置部20には複数の搬送ローラ31が設けられているため、荷物コンテナ5Bが搬送コンベア8までスムーズに供給される。
【0088】
次いで、自律走行ロボット2は、
図13(a)に示されるように、昇降コンベア7に対して更に前進することで、載置部20に荷物コンテナ5Aが載置される。このとき、荷物コンテナ5Aが規制具35を通過した後は、上述したように、規制具35によって荷物コンテナ5Aが上流側に対して拘束される。また、自律走行ロボット2の上段載置部11に設けられた押し具16の爪部46の突出部48は、上段載置部11の上面72aから突出する(
図13(b)参照)。
【0089】
次いで、自律走行ロボット2は、
図13(b)に示されるように、載置部20が上部収容空間S1から引き抜かれる一旦停止位置まで昇降コンベア7に対して一旦後退する。このとき、規制具35によって載置部20に対する自律走行ロボット2側への荷物コンテナ5Aの相対移動が規制されているため、荷物コンテナ5Aが自律走行ロボット2と共に後退することはなく、荷物コンテナ5Aは載置部20に載置された状態に維持される。
【0090】
そして、自律走行ロボット2は、
図13(c)に示されるように、昇降コンベア7に対して前進することで、昇降コンベア7の載置部20が再び自律走行ロボット2の上部収容空間S1に収容される。その状態で、自律走行ロボット2が更に前進すると、上段載置部11に設けられた押し具16の爪部46の突出部48が載置部20に載置された荷物コンテナ5Aを搬送コンベア8側に押し込む。これにより、荷物コンテナ5Aが搬送コンベア8に送られる。
【0091】
次いで、自律走行ロボット2は、
図14(a)に示されるように、ロボット本体10が昇降操作ボタン50を押す位置まで昇降コンベア7に対して後退する。
【0092】
ロボット本体10により昇降操作ボタン50が押されると、
図14(b)に示されるように、昇降シリンダ24が収縮することにより、載置部20が上段位置から下段位置まで下降する。
【0093】
その後、自律走行ロボット2は、次の荷物コンテナ5を取りに行くために積荷位置まで戻る。積荷位置は、自律走行ロボット2に荷物コンテナ5を載せる位置である。そして、上段載置部11及び下段載置部12にそれぞれ荷物コンテナ5A,5Bが載置された後、上述した移載動作が再度実施される。
【0094】
以上のように本実施形態にあっては、自律走行ロボット2の上段載置部11の上面72aまたは下段載置部12の上面76aに載置された荷物コンテナ5を搬送装置3の載置部20に移載するときは、以下の動作が行われる。即ち、まず自律走行ロボット2を搬送装置3に対して移載位置まで前進させることで、上面72aまたは上面76aに載置された荷物コンテナ5の底面5aと上段載置部11の凹状部73または下段載置部12の凹状部77との協働により形成された上部収容空間S1または下部収容空間S2に載置部20が収容されて、上面72aまたは上面76aに載置された荷物コンテナ5が載置部20の上面28aの上側に配置される。そして、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して後退させることで、載置部20が上部収容空間S1または下部収容空間S2から引き抜かれる。このとき、規制具35によって、上面28aの上側に配置された荷物コンテナ5が載置部20に対して搬送コンベア8の反対側(自律走行ロボット2側)に相対移動することが規制されるため、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2と共に後退することが防止される。従って、荷物コンテナ5が上面28aに載置された状態となる。このように自律走行ロボット2から搬送装置3への荷物コンテナ5の移載は、作業者ではなく、自律走行ロボット2が移動することによって行われる。これにより、作業者の負担が軽減される。その結果、省人化を図ることができる。また、搬送用の設備を簡単化し、設備費用を抑えることができる。
【0095】
また、本実施形態では、規制具35は、載置部20の先端部に載置部20の上面28aに対して突出・引込自在に設けられている。このような規制具35が上面28aに対して引っ込んだ状態では、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して移載位置まで前進させることで、載置部20が上部収容空間S1または下部収容空間S2に収容されて、上段載置部11の上面72aまたは下段載置部12の上面76aに載置された荷物コンテナ5が載置部20の上面28aの上側に配置される。その後、規制具35が上面28aに対して突出した状態では、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2側に移動することが防止される。
【0096】
また、本実施形態では、自律走行ロボット2を再び搬送装置3に対して前進させることで、載置部20が上部収容空間S1に収容されて、押し具16が載置部20の上面28aに載置された荷物コンテナ5を搬送コンベア8に向けて押し込む。このように搬送コンベア8への荷物コンテナ5の押し込みも、作業者ではなく、自律走行ロボット2が移動することによって行われる。これにより、作業者の負担が更に軽減される。
【0097】
また、本実施形態では、押し具16は、上段載置部11の前端部に上段載置部11の上面72aに対して突出・引込自在に設けられている。この場合、荷物コンテナ5が上面72aに載置されていない状態では、押し具16が上面72aに対して突出するため、載置部20の上面28aに載置された荷物コンテナ5が押し具16により搬送コンベア8に向けて押し込まれる。荷物コンテナ5が上面72aに載置された状態では、押し具16が上面72aに対して引っ込むため、上面28aに載置された荷物コンテナ5が上面72aに載置された荷物コンテナ5により搬送コンベア8に向けて押し込まれる。
【0098】
また、本実施形態では、上段載置部11の前端部には、搬送装置3側に向かうにつれて上部収容空間S1の幅Wを広くするようなテーパ部14が設けられており、下段載置部12の前端部には、搬送装置3側に向かうにつれて下部収容空間S21の幅Wを広くするようなテーパ部18が設けられており、載置部20の先端部の左右両側には、自律走行ロボット2側に先細りとなるようなテーパ部30が設けられている。このため、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して前進させたときに、載置部20が上部収容空間S1または下部収容空間S2に収容されやすくなる。
【0099】
また、本実施形態では、載置部20は、支持部21に搬送装置3の左右方向に摺動可能に支持されており、支持部21と載置部20との間には、支持部21に対する載置部20の左右方向の基準位置に向かう側に付勢する左右1組のバネ36が配置されている。このため、自律走行ロボット2が搬送装置3に近づく際に、上段載置部11または下段載置部12が載置部20に対して左右方向に多少ずれていても、その位置ずれがバネ36の付勢力に抗して吸収される。また、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して後退させることで、載置部20が上部収容空間S1または下部収容空間S2から引き抜かれたときには、バネ36の付勢力によって載置部20が支持部21に対する基準位置に戻るようになる。
【0100】
また、本実施形態では、載置部20において、上部材28が下部材26に対して軸部27を介して回動可能に支持されており、下部材26と上部材28との間には、下部材26に対する上部材28の基準姿勢に向かう側に付勢する左右1組のバネ37が配置されている。このため、自律走行ロボット2が搬送装置3に近づく際に、上段載置部11または下段載置部12が載置部20に対して多少傾いていても、その傾きがバネ37の付勢力に抗して吸収される。また、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して後退させることで、載置部20が上部収容空間S1または下部収容空間S2から引き抜かれたときには、バネ37の付勢力によって上部材28が下部材26に対する基準姿勢に戻るようになる。
【0101】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2の上段載置部11に載置された状態では、押し具16が上段載置部11の上面72aに対して引っ込む構成となっているが、荷物コンテナ5の寸法が小さい場合には、荷物コンテナ5を上段載置部11に載置しても、押し具16の爪部46の突出部48が上段載置部11の上面72aに対して突出した状態となり得る。従って、載置部20に載置された荷物コンテナ5が押し具16により搬送コンベア8に向けて押し込まれる。
【0102】
この場合でも、押し具16は、自律走行ロボット2に対する搬送装置3側への荷物コンテナ5の相対移動を許可し、自律走行ロボット2に対する搬送装置3の反対側への荷物コンテナ5の相対移動を許可しないアンチバック機構を有している。このため、荷物コンテナ5が搬送装置3の載置部20に載置された後、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して後退させることができる。
【0103】
また、上記実施形態では、押し具16は、上段載置部11の前端部に上段載置部11の上面72aに対して突出・引込自在に設けられているが、特にそのような形態には限られない。例えばロボット本体10の側面等に、搬送装置3の載置部20に載置された荷物コンテナ5を搬送コンベア8に向けて押し込む押し部が設けられていてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2の上段載置部11から搬送装置3の載置部20に荷物コンテナ5が移載されるときに、上段載置部11の高さ位置と載置部20の高さ位置とが一致しているが、特にその形態には限られず、上段載置部11が載置部20よりも僅かに上方に配置されていてもよい。この場合には、自律走行ロボット2を搬送装置3に対して後退させることで、載置部20が上部収容空間S1から引き抜かれると、荷物コンテナ5が載置部20の上面28aに落ちて載置されるようになる。同様に、下段載置部12と載置部20との高さ関係についても、下段載置部12が載置部20よりも僅かに上方に配置されていてもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、上段載置部11及び下段載置部12の前端部にはテーパ部14,18がそれぞれ設けられ、載置部20の先端部にはテーパ部30が設けられているが、特にそのような形態には限られない。載置部20に対する上段載置部11及び下段載置部12の左右方向の位置ずれ具合及び傾き具合によっては、テーパ部14,18のみが設けられていてもよいし、テーパ部30のみが設けられていてもよいし、或いはテーパ部14,18及びテーパ部30が何れも設けられていなくてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、載置部20に対する上段載置部11または下段載置部12の左右方向の位置ずれ及び傾きを吸収する構造は、昇降コンベア7に備えられているが、特にその形態には限られず、自律走行ロボット2に備えられていてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、上段載置部11は、荷物コンテナ5の両側縁部が載置される左右1対の上段載置壁72を有しているが、特にそのような形態には限られない。例えば、上段載置部11は、荷物コンテナ5の中央部分が載置される1つの載置壁を有していてもよい。この場合には、搬送装置3は、荷物コンテナ5の左右縁部が載置される左右1対の載置部を備えることとなる。従って、上段載置部11の左右両側に、搬送装置3の各載置部が収容可能な上部収容空間を形成する凹状部が設けられる。下段載置部12の構造についても、同様である。
【0108】
また、上記実施形態では、空気圧バルブ67は、昇降操作ボタン50と直結されており、昇降操作ボタン50の操作信号に応じて昇降シリンダ24を直接駆動しているが、特にその形態には限られず、例えば昇降操作ボタン50の操作信号を入力し、その操作信号に応じた制御信号を空気圧バルブ67に出力することで、空気圧バルブ67を制御する制御器を備えてもよい。
【0109】
この場合には、制御器及び自律走行ロボット2に無線通信機を搭載し、制御器から自律走行ロボット2に昇降操作ボタン50の操作信号を送信してもよい。これにより、制御ユニット62は、昇降操作ボタン50がロボット本体10により押されたかどうかを容易に判断することができる。
【0110】
また、制御ユニット62により自律走行ロボット2から搬送装置3に荷物コンテナ5を移載する制御を行う際に、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法や反射板を使った自己位置推定法等を利用して、自律走行ロボット2の自己位置を推定し、その推定結果を用いて自律走行ロボット2の走行制御を行ってもよい。この場合には、自律走行ロボット2が移載位置に到達したかどうか、自律走行ロボット2が昇降操作ボタン50を操作したかどうか、及び自律走行ロボット2が一旦停止位置に到達したかどうかは、自律走行ロボット2の自己位置推定値により判断される。
【0111】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2は、荷物コンテナ5が載置される上段載置部11及び下段載置部12を有する2段構造のロボットであるが、特にその形態には限られず、荷物コンテナ5が載置される載置部の段数は1段のみであってもよい。この場合には、搬送装置3は、特に昇降コンベア7を備えていなくてもよく、荷物コンテナ5が載置される載置部があればよい。
【0112】
また、上記実施形態では、荷物コンテナ5が自律走行ロボット2から搬送装置3に移載されているが、自律走行ロボット2から搬送装置3に移載される対象物としては、特に荷物コンテナ5には限られず、コンテナ以外の荷物でもよいし、或いは製品の製造時にアセンブリ工程等に搬送される構成部品であってもよい。
【0113】
また、搬送装置3に荷物コンテナ等の対象物を供給する移動体としては、特に自律走行ロボット2には限られず、例えば無人搬送台車等であってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…移載システム、2…自律走行ロボット(移動体)、3…搬送装置、5,5A,5B…荷物コンテナ(対象物)、5a…底面、8…搬送コンベア(搬送部)、11…上段載置部(第1載置部)、12…下段載置部(第1載置部)、14…テーパ部(第1テーパ部)、16…押し具(押し部)、18…テーパ部(第1テーパ部)、20…載置部(第2載置部)、21…支持部、26…下部材、27…軸部、28…上部材、28a…上面(第2載置面)、30…テーパ部(第2テーパ部)、35…規制具(規制部)、36…バネ(第1弾性部材)、37…バネ(第2弾性部材)、62…制御ユニット(移載制御部)、63…走行モータ(駆動部)、72a…上面(第1載置面)、73…凹状部、76a…上面(第1載置面)、77…凹状部、S1…上部収容空間(収容空間)、S2…下部収容空間(収容空間)、W…幅。