(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】車両の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241008BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G06T7/00 660
G08B21/24
(21)【出願番号】P 2021092582
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】鷹羽 正三
(72)【発明者】
【氏名】清水 綾子
(72)【発明者】
【氏名】鄭 好政
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】小畠 康宏
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111325129(CN,A)
【文献】Shay E. Snyder, Ghatih Husari,Thor: A Deep Learning Approach for Face Mask Detection to Prevent the COVID-19 Pandemic,SoutheastCon 2021,米国,2021年04月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-21/24
H04N 7/18
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
G06Q 50/00-99/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御システムであって、
前記車両に搭載されたカメラであって、前記車両の乗員を撮影するように構成されているカメラと、
前記車両に搭載された飛沫防止具提供装置であって、前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている飛沫防止具提供装置と、
前記カメラにより撮影された前記乗員の画像に基づいて、前記乗員が飛沫防止具を着用しているか否かを判別するように構成されている判別部と、
前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときに、前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている提供制御部と、
を備
え、
更に、
前記乗員の関連情報を取得するように構成されている情報取得デバイスと、
前記情報取得デバイスにより取得された前記乗員の関連情報に基づき、前記乗員に適した飛沫防止具を選択するように構成されている選択部と、
を備え、
前記提供制御部は更に、前記選択部により選択された飛沫防止具を前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に提供するように構成されている、
車両の制御システム。
【請求項2】
前記提供制御部は更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別した後、前記乗員が飛沫防止具を着用したと前記判別部が判別したときには、前記飛沫防止具提供装置による飛沫防止具の提供を停止するように構成されている、請求項1に記載の車両の制御システム。
【請求項3】
更に、前記車両内における飛沫感染リスクがあらかじめ定められた基準よりも高いか否かを推定するように構成されている推定部を備え、
前記提供制御部は更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときにおいて、
前記飛沫感染リスクが前記基準よりも高いと前記推定部が推定したときに、前記飛沫防止具提供装置による前記乗員への飛沫防止具の提供を実行し、
前記飛沫感染リスクが前記基準よりも低いと前記推定部が推定したときに、前記飛沫防止具提供装置による前記乗員への飛沫防止具の提供を停止する、
ように構成されている、請求項1
又は2に記載の車両の制御システム。
【請求項4】
更に、前記推定部は、前記車両内の環境又は前記車両の走行条件に基づいて、前記飛沫感染リスクが前記基準よりも高いか否かを判別するように構成されている、請求項
3に記載の車両の制御システム。
【請求項5】
更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別した後、前記乗員が飛沫防止具を着用したと前記判別部が判別するまで、前記車両の走行を禁止するように構成されている走行制御部を備える、
請求項1から
4までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
【請求項6】
更に、前記飛沫防止具提供装置により提供された飛沫防止具を前記乗員が受け取ったときに、前記飛沫防止具の代金を前記車両の乗車運賃とともに又は前記運賃と別個に精算するように構成されている精算部を更に備える、請求項1から
5までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
【請求項7】
前記車両が乗り合い車両である、請求項1から
6までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
【請求項8】
車両の制御システムであって、
前記車両に搭載されたカメラであって、前記車両の乗員を撮影するように構成されているカメラと、
前記車両に搭載された飛沫防止具提供装置であって、前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている飛沫防止具提供装置と、
前記カメラにより撮影された前記乗員の画像に基づいて、前記乗員が飛沫防止具を着用しているか否かを判別するように構成されている判別部と、
前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときに、前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている提供制御部と、
を備え、
更に、前記車両内における飛沫感染リスクがあらかじめ定められた基準よりも高いか否かを推定するように構成されている推定部を備え、
前記提供制御部は更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときにおいて、
前記飛沫感染リスクが前記基準よりも高いと前記推定部が推定したときに、前記飛沫防止具提供装置による前記乗員への飛沫防止具の提供を実行し、
前記飛沫感染リスクが前記基準よりも低いと前記推定部が推定したときに、前記飛沫防止具提供装置による前記乗員への飛沫防止具の提供を停止する、
ように構成されている、車両の制御システム。
【請求項9】
車両の制御方法であって、前記車両が、
前記車両に搭載されたカメラであって、前記車両の乗員を撮影するように構成されているカメラと、
前記車両に搭載された飛沫防止具提供装置であって、前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている飛沫防止具提供装置と、
前記乗員の関連情報を取得するように構成されている情報取得デバイスと、
を備えており、前記制御方法は、
前記カメラにより撮影された前記乗員の画像に基づいて、前記乗員が飛沫防止具を着用しているか否かを判別することと、
前記乗員が飛沫防止具を着用していない
と判別
されたときに、前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に飛沫防止具を提供することと、
を含
み、
更に、
前記情報取得デバイスにより取得された前記乗員の関連情報に基づき、前記乗員に適した飛沫防止具を選択することと、
選択された前記乗員に適した飛沫防止具を前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に提供することと、
を含む、車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両の制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライバの顔面画像を撮影し、顔面画像からドライバの顔の向きを検出する装置が公知である。ところが、ドライバがマスクを着用していると、ドライバの顔の向きを検出できない。そこで、ドライバがマスクを着用しているか否かを判別し、ドライバがマスクを着用していると判別されたときに、マスク着用警報を出力する装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ドライバの顔の向きを検出するという観点から、ドライバがマスクを着用していないことが好ましい。しかしながら、例えば感染症対策のことを考えると、車両の乗員(ドライバを含む)がマスクを着用しているのが好ましい。すなわち、例えば、乗り合い車両に乗り込もうとする乗客がマスクを着用していなければ、乗り合い車両の他の乗客は不快に感じるおそれがある。あるいは、乗り合い車両に乗り込もうとする乗客がマスクを持っていなければ、当該乗客が乗り合い車両に乗るのをためらうおそれがある。いずれにしても、マスクの不着用により不快感が生ずるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、以下が提供される。
[構成1]
車両の制御システムであって、
前記車両に搭載されたカメラであって、前記車両の乗員を撮影するように構成されているカメラと、
前記車両に搭載された飛沫防止具提供装置であって、前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている飛沫防止具提供装置と、
前記カメラにより撮影された前記乗員の画像に基づいて、前記乗員が飛沫防止具を着用しているか否かを判別するように構成されている判別部と、
前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときに、前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている提供制御部と、
を備える、車両の制御システム。
[構成2]
前記提供制御部は更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別した後、前記乗員が飛沫防止具を着用したと前記判別部が判別したときには、前記飛沫防止具提供装置による飛沫防止具の提供を停止するように構成されている、構成1に記載の車両の制御システム。
[構成3]
更に、
前記乗員の関連情報を取得するように構成されている情報取得デバイスと、
前記情報取得デバイスにより取得された前記乗員の関連情報に基づき、前記乗員に適した飛沫防止具を選択するように構成されている選択部と、
を備え、
前記提供制御部は更に、前記選択部により選択された飛沫防止具を前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に提供するように構成されている、
構成1又は2に記載の車両の制御システム。
[構成4]
更に、前記車両内における飛沫感染リスクがあらかじめ定められた基準よりも高いか否かを推定するように構成されている推定部を備え、
前記提供制御部は更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときにおいて、
前記飛沫感染リスクが前記基準よりも高いと前記推定部が推定したときに、前記飛沫防止具提供装置による前記乗員への飛沫防止具の提供を実行し、
前記飛沫感染リスクが前記基準よりも低いと前記推定部が推定したときに、前記飛沫防止具提供装置による前記乗員への飛沫防止具の提供を停止する、
ように構成されている、構成1から3までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
[構成5]
更に、前記推定部は、前記車両内の環境又は前記車両の走行条件に基づいて、前記飛沫感染リスクが前記基準よりも高いか否かを判別するように構成されている、構成4に記載の車両の制御システム。
[構成6]
更に、前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別した後、前記乗員が飛沫防止具を着用したと前記判別部が判別するまで、前記車両の走行を禁止するように構成されている走行制御部を備える、
構成1から5までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
[構成7]
更に、前記飛沫防止具提供装置により提供された飛沫防止具を前記乗員が受け取ったときに、前記飛沫防止具の代金を前記車両の乗車運賃とともに又は前記運賃と別個に精算するように構成されている精算部を更に備える、構成1から6までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
[構成8]
前記車両が乗り合い車両である、構成1から7までのいずれか1項に記載の車両の制御システム。
[構成9]
車両の制御方法であって、前記車両が、
前記車両に搭載されたカメラであって、前記車両の乗員を撮影するように構成されているカメラと、
前記車両に搭載された飛沫防止具提供装置であって、前記乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている飛沫防止具提供装置と、
を備えており、前記制御方法は、
前記カメラにより撮影された前記乗員の画像に基づいて、前記乗員が飛沫防止具を着用しているか否かを判別することと、
前記乗員が飛沫防止具を着用していないと前記判別部が判別したときに、前記飛沫防止具提供装置により前記乗員に飛沫防止具を提供することと、
を含む、車両の制御方法。
【発明の効果】
【0006】
車両の乗員が飛沫防止具を着用してないことにより不快感が生ずるのを制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示による第1実施例の車両の概略全体図である。
【
図2】本開示による実施例の飛沫防止具提供装置の概略図である。
【
図3】本開示による第1実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図4】本開示による第2実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図5】本開示による第1及び第2実施例における電子制御ユニットの機能ブロック図である。
【
図6】本開示による第3実施例の車両の概略全体図である。
【
図7】本開示による第3実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図8】本開示による第3実施例における電子制御ユニットの機能ブロック図である。
【
図9】本開示による第4実施例の車両の概略全体図である。
【
図10】本開示による第4実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図11】本開示による第4実施例における電子制御ユニットの機能ブロック図である。
【
図12】本開示による第5実施例の車両の概略全体図である。
【
図13】本開示による第5実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図14】本開示による第5実施例における電子制御ユニットの機能ブロック図である。
【
図15】本開示による第6実施例の車両の概略全体図である。
【
図16】本開示による第7実施例の車両制御ルーチンを実行するためのフローチャートである。
【
図17】本開示による第8実施例における電子制御ユニットの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示による第1実施例の車両10を模式的に示している。一例では、車両1は、例えば路線バスのような乗り合い車両である。別の実施例では車両1は自家用車である。
図1に示されるように、本開示による第1実施例の車両10は、カメラ11、飛沫防止具提供装置12、及び電子制御ユニット20を備える。
【0009】
本開示による第1実施例のカメラ11は、車両10に搭載され、車両10の乗員を撮影する。一例では、カメラ11は車両10の乗降口に設けられ、車両10の乗員、特に車両10に乗り込もうとする又は乗り込んだ直後の乗員を撮影する。
【0010】
本開示による第1実施例の飛沫防止具提供装置12は、車両10に搭載され、乗員に飛沫防止具を提供する。一例では、飛沫防止具提供装置12は車両10の乗降口に設けられる。本開示による第1実施例の飛沫防止具には、(サージカル)マスク、フェイスシールド、などが含まれる。
【0011】
本開示による第1実施例の電子制御ユニット20は、双方向性バスによって互いに通信可能に接続された1又は複数のプロセッサ21、1又は複数のメモリ22、及び、入出力(I/O)ポート23を備える。メモリ22は例えばROM、RAMなどを備える。メモリ22には種々のプログラムが記憶されており、これらプログラムがプロセッサ21で実行されることにより種々の機能が実現される。本開示による第1実施例の入出力ポート23には、上述のカメラ11及び飛沫防止具提供装置12が通信可能に接続される。
【0012】
図2には、飛沫防止具提供装置12の一例が示される。
図2に示される例の飛沫防止具提供装置12は、飛沫防止具を収容する収容室12aと、飛沫防止具の取り出し口12bと、取り出し口12bを開放又は閉鎖する蓋体12cと、を備える。飛沫防止具を提供すべきときには、飛沫防止具が収容室12aから取り出し口12bまで搬送され、蓋体12cが開放位置に移動される。その結果、乗員は取り出し口12bから飛沫防止具を取り出すことが可能になる。これに対し、飛沫防止具の提供を終了すべきときには、蓋体12cが閉鎖位置に保持される。その結果、乗員は飛沫防止具を飛沫防止具提供装置12から取り出せなくなる。なお、
図2に示される例では、飛沫防止具提供装置12にカメラ11が取り付けられる。
【0013】
さて、本開示による第1実施例では、車両1の乗員が飛沫防止具を着用しているか否かが、カメラ11の画像に基づいて判別される。乗員が飛沫防止具を着用していないときには、乗員に飛沫防止具を提供するように飛沫防止具提供装置12が制御される。その結果、乗員が飛沫防止具を着用するのが促進される。したがって、飛沫防止具の不着用により不快感が生ずるのが制限される。
【0014】
図3は本開示による第1実施例の車両制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは例えばあらかじめ定められた設定時間ごとに繰り返される。
図3を参照すると、ステップ100では、車両1の乗員が飛沫防止具を着用しているか否かが判別される。乗員が飛沫防止具を着用していると判別されたときには処理サイクルを終了する。これに対し、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されると次いでステップ101に進み、飛沫防止具提供装置12により乗員に飛沫防止具が提供される。
【0015】
次に、本開示による第2実施例を説明する。本開示による第1実施例との相違点について説明すると、本開示による第2実施例では、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別された後、当該乗員が飛沫防止具を着用したと判別されたときには、飛沫防止具提供装置12による飛沫防止具の提供が停止される。乗員が飛沫防止具提供装置12により提供された飛沫防止具を受け取って着用した後、又は、乗員が自ら用意した飛沫防止具を着用した後は、飛沫防止具提供装置12により飛沫防止具を提供する必要はない。したがって、飛沫防止具が不必要に提供されるのが制限される。
【0016】
図4は本開示による第2実施例の車両制御を実行するためのルーチンを示している。
図3に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図4に示されるルーチンでは、ステップ101に続いて、乗員が飛沫防止具を着用しているか否かが判別される。乗員が飛沫防止具を着用していると判別されないときには、ステップ101に戻る。これに対し、乗員が飛沫防止具を着用していると判別されたときには、次いでステップ121に進み、飛沫防止具提供装置12による飛沫防止具の提供が停止される。
【0017】
図5は本開示による第1及び第2実施例の電子制御ユニット20の機能ブロック図を示している。
図5を参照すると、本開示による第1及び第2実施例の電子制御ユニット20は、カメラ11により撮影された乗員の画像に基づいて、乗員が飛沫防止具を着用しているか否かを判別するように構成されている判別部20aと、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別部20aが判別したときに、飛沫防止具提供装置12により乗員に飛沫防止具を提供するように構成されている提供制御部20bと、を備える。
【0018】
本開示による第2実施例の提供制御部20bは更に、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別部20aが判別した後、乗員が飛沫防止具を着用したと判別部が判別したときには、飛沫防止具提供装置12による飛沫防止具の提供を停止するように構成されている。
【0019】
次に、本開示による第3実施例を説明する。本開示による第1実施例との相違点について説明すると、本開示による第3実施例では、
図6に示されるように、情報取得デバイス13が電子制御ユニット20と通信可能に設けられる。本開示による第3実施例の情報取得デバイス13は、車両1に搭載され、乗員の関連情報を取得する。一例では、情報取得デバイス13は車両10の乗降口に設けられる。乗員の関連情報の例には、例えば、乗員の性別、年齢、体格、飛沫防止具についての好み(サイズ、色、柄、品質、構造、ブランド、など)、などが含まれる。情報取得デバイス13の例には、乗員を撮影するカメラ11、乗員の記憶媒体から関連情報を読み取るリーダ、などが含まれる。記憶媒体の例には、ICカード、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、などが含まれる。したがって、一例では、乗員が車両10に乗り込むときにICカードをカードリーダにかざすと、ICカードに記憶されている乗員の関連情報が読み取られ、電子制御ユニット20に送られる。
【0020】
また、本開示による第3実施例の飛沫防止具提供装置12の収容室12a内には、複数種類(サイズ、色、柄、品質、構造、ブランド、など)の飛沫防止具が収容されている。
【0021】
さて、本開示による第3実施例では、情報取得デバイス13により取得された乗員の関連情報に基づき、乗員に適した飛沫防止具が選択される。次いで、選択された飛沫防止具が飛沫防止具提供装置12により乗員に提供される。一例では、乗員が好む飛沫防止具のサイズが取得されると、複数サイズの飛沫防止具のなかから当該サイズの飛沫防止具が選択され、選択された飛沫防止具が飛沫防止具提供装置12により乗員に提供される。その結果、乗員に適した飛沫防止具が提供され、乗員が飛沫防止具を着用するのが更に促進される。
【0022】
図7は本開示による第3実施例の車両制御を実行するためのルーチンを示している。
図3に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図4に示されるルーチンでは、ステップ100において乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されると、次いでステップ130に進み、情報取得デバイス13により乗員の関連情報が取得される。続くステップ131では、取得された関連情報に基づいて、乗員に適した飛沫防止具が選択される。続くステップ101では、選択された飛沫防止具が乗員に提供される。
【0023】
図8は本開示による第3実施例の電子制御ユニット20の機能ブロック図を示している。
図5の機能ブロック図との相違点について説明すると、本開示による第3実施例の電子制御ユニット20は更に、情報取得デバイス13により取得された乗員の関連情報に基づき乗員に適した飛沫防止具を選択するように構成されている選択部20cを備える。この例では、提供制御部20bは更に、選択部20cにより選択された飛沫防止具を乗員に提供するように構成されている。
【0024】
次に、本開示による第4実施例を説明する。本開示による第1実施例との相違点について説明すると、本開示による第4実施例では、
図9に示されるように、感染リスクセンサ14が電子制御ユニット20と通信可能に設けられる。本開示による第4実施例の感染リスクセンサ14は、車両1に搭載され、車両1内における飛沫感染リスクを表す状態量を検出する。飛沫感染リスクを表す状態量の例には、車両1内における乗員の数、乗員の体温、二酸化炭素濃度、温度、などの少なくとも1つが含まれる。例えば、車両1内の乗員の数が多いときには、乗員の数が少ないときに比べて、飛沫感染リスクが高いと考えられる。
【0025】
本開示による第4実施例では、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されたときに、飛沫感染リスクセンサ14により検出された状態量に基づき、車両1内における飛沫感染リスクがあらかじめ定められた基準よりも高いか否かが推定される。飛沫感染リスクが基準よりも高いと推定されたときには、飛沫防止具提供装置12による乗員への飛沫防止具の提供が実行される。これに対し、飛沫感染リスクが基準よりも高いと推定されないときには、飛沫防止具提供装置12による乗員への飛沫防止具の提供が停止され、又は実行されない。その結果、飛沫防止具の着用の必要性が低いときに飛沫防止具の提供が停止され、飛沫防止具が有効利用される。また、飛沫防止具の着用又は提供に起因して乗員が不快になるのが制限される。
【0026】
図10は本開示による第2実施例の車両制御を実行するためのルーチンを示している。
図3に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図10に示されるルーチンでは、ステップ100において乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されると、次いでステップ140に進み、飛沫感染リスクが基準よりも高いか否か判別される。飛沫感染リスクが基準よりも高いと判別されたときにはついでステップ101に進み、飛沫防止具の提供が実行される。これに対し、飛沫感染リスクが基準よりも高いと判別されないときには処理サイクルを終了する。その結果、飛沫防止具の提供が停止され、又は実行されない。
【0027】
図11は本開示による第4実施例の電子制御ユニット20の機能ブロック図を示している。
図5の機能ブロック図との相違点について説明すると、本開示による第4実施例の電子制御ユニット20は更に、車両1内における飛沫感染リスクがあらかじめ定められた基準よりも高いか否かを推定するように構成されている推定部20dを備え、提供制御部20bは更に、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別部20aが判別したときにおいて、飛沫感染リスクが基準よりも高いと推定部20dが推定したときに、飛沫防止具提供装置12による乗員への飛沫防止具の提供を実行し、飛沫感染リスクが基準よりも低いと推定部20dが推定したときに、飛沫防止具提供装置12による乗員への飛沫防止具の提供を停止する、ように構成されている。
【0028】
図11に示される例では、推定部20dは、飛沫感染リスクセンサ14の出力に基づいて推定を行う。別の例では、推定部20dは、車両1の走行条件に基づいて推定を行う。車両1の走行条件の例には、走行ルート(都市部であるか住宅街であるか、など)、走行時期(時間帯、曜日、など)、が含まれる。車両1の走行条件は例えば、電子制御ユニット20のメモリ22又は車両1内部もしくは外部の他の記憶装置にあらかじめ記憶されている。
【0029】
次に、本開示による第5実施例を説明する。本開示による第1実施例との相違点について説明すると、本開示による第5実施例では、
図12に示されるように、走行制御装置15が電子制御ユニット20と通信可能に設けられる。本開示による第5実施例の走行制御装置15は、車両1の走行、例えば駆動及び制動の一方又は両方を制御する。一例では、走行制御装置15は例えば、乗員又はドライバの操作にかかわらず、車両1の走行を禁止する。言い換えると、車両1を停止状態に保持する。
【0030】
本開示による第5実施例でも、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されると、飛沫防止具提供装置12により飛沫防止具が提供される。次いで、当該乗員が飛沫防止具を着用したか否かが判別され、乗員が飛沫防止具を着用したと判別されるまで、走行制御装置15により車両1の走行が禁止される。これに対し、乗員が飛沫防止具を着用したと判別されると、車両1の走行が許容される。その結果、乗員が飛沫防止具を着用していないことに起因した他の乗員の不快感が低減される。
【0031】
図13は本開示による第5実施例の車両制御を実行するためのルーチンを示している。
図3に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図13に示されるルーチンでは、ステップ101に続いてステップ150に進み、乗員が飛沫防止具を着用しているか否かが判別される。乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されたときには、次いでステップ151に進み、車両1の走行が禁止される。次いでステップ101に戻る。これに対し、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別されると次いでステップ152に進み、車両1の走行が許容される。
【0032】
図14は本開示による第5実施例の電子制御ユニット20の機能ブロック図を示している。
図5の機能ブロック図との相違点について説明すると、本開示による第5実施例の電子制御ユニット20は更に、乗員が飛沫防止具を着用していないと判別部20aが判別した後、乗員が飛沫防止具を着用したと判別部20aが判別するまで、車両1の走行を禁止するように構成されている走行制御部20eを備える。
図14に示される例では、走行制御部20eは走行制御装置15により車両1の走行を禁止する。
【0033】
次に、本開示による第6実施例を説明する。本開示による第1実施例との相違点について説明すると、本開示による第6実施例では、
図15に示されるように、精算デバイス16が電子制御ユニット20と通信可能に設けられる。本開示による第6実施例の精算デバイス16は、車両1に搭載され、乗員に対し精算処理を行う。精算デバイス16の例には、乗員の記憶媒体の電子マネー情報を読み書きするリーダライタが含まれる。
【0034】
本開示による第6実施例では、飛沫防止具提供装置12により提供された飛沫防止具を乗員が受け取ったか否かが判別され、飛沫防止具提供装置12により提供された飛沫防止具を乗員が受け取ったときに、当該飛沫防止具の代金が精算される。一例では、飛沫防止具の代金が車両1の乗車運賃とともに精算される。別の例では、飛沫防止具の代金が車両1の乗車運賃とは別個に精算される。このようにすると、飛沫防止具の代金精算が容易に行われる。なお、一例では、飛沫防止具提供装置12から飛沫防止具が提供された後、当該飛沫防止具が飛沫防止具提供装置12から取り出されたと判別されたときに、乗員が飛沫防止具提供装置12から飛沫防止具を受け取ったと判別される。
【0035】
図16は本開示による第6実施例の車両制御を実行するためのルーチンを示している。
図3に示されるルーチンとの相違点について説明すると、
図16に示されるルーチンでは、ステップ101に続いて、乗員が飛沫防止具を飛沫防止具提供装置12から受け取ったか否かが判別される。乗員が飛沫防止具を飛沫防止具提供装置12から受け取ったと判別されたときには次いでステップ161に進み、飛沫防止具の代金が精算される。これに対し、乗員が飛沫防止具を飛沫防止具提供装置12から受け取ったと判別されないときには、処理サイクルを終了する。
【0036】
図17は本開示による第6実施例の電子制御ユニット20の機能ブロック図を示している。
図5の機能ブロック図との相違点について説明すると、本開示による第6実施例の電子制御ユニット20は更に、飛沫防止具提供装置12により提供された飛沫防止具を乗員が受け取ったときに、飛沫防止具の代金を車両1の乗車運賃とともに又は運賃と別個に精算するように構成されている精算部20fを更に備える。
図17に示される例では、精算部20fは、精算デバイス16により精算を行う。
【符号の説明】
【0037】
1 車両
11 カメラ
12 飛沫防止具提供装置
20 電子制御ユニット