(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20241008BHJP
H01R 12/73 20110101ALI20241008BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20241008BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R12/73
H01R31/06 R
H01R13/631
(21)【出願番号】P 2021094116
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓視
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216096(JP,A)
【文献】特開2017-126512(JP,A)
【文献】特開2020-047360(JP,A)
【文献】特開2020-184415(JP,A)
【文献】特開2013-093124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0203901(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102255193(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 31/06
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2つの基板間に配索される電線と、
一方の前記基板に設けられる基板側第1コネクタと、
他方の前記基板に設けられる基板側第2コネクタと、
前記電線の一端部に設けられ、前記基板側第1コネクタに嵌合可能な第1コネクタと、
前記電線の他端部に設けられ、前記基板側第2コネクタに嵌合可能な第2コネクタと、
前記電線を覆いつつ前記第1コネクタから前記基板側第2コネクタの位置する側に向けて延びるアダプタと、
前記アダプタと前記基板側第2コネクタとの間に設けられ、前記アダプタが前記基板側第2コネクタに対して前記基板と平行に相対移動するのを許容する移動許容部と、
を備え
、
前記アダプタと前記基板側第2コネクタのうち、一方には突部が形成され、他方には係合孔が形成され、前記突部は前記係合孔内に配置され、前記係合孔は、前記基板と平行な方向に延びる長孔形状をなし、前記突部との間に前記移動許容部を形成している、接続装置。
【請求項2】
前記基板側第1コネクタは、前記
アダプタに向けて拡開するガイド部を有している、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記電線が前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間に捻られた状態で配置されている、請求項1または請求項2に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、互いに嵌合可能な雌雄一対のコネクタを開示している。雄側のコネクタの外導体は、雌側のコネクタに向けて拡開するテーパ部を有している。雌側のコネクタの外導体は、径方向内側に弾性変形可能な複数のフィンガーを有している。各フィンガーは、径方向内側に弾性変形可能とされている。両コネクタの嵌合時に、各フィンガーがテーパ部を摺動し、両コネクタの内導体同士が接続可能な状態に至るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、両コネクタが嵌合方向と直交する横方向に大きく位置ずれしていると、各フィンガーとテーパ部の相対的な位置関係も大きくずれるので、内導体同士が接続可能な状態に至ることができない。これに対し、例えば、テーパ部の誘い込みを大きくしたとしても、構造上の制約から限界があり、両コネクタの横方向への位置ずれに十分に対応できないことがある。特に、対向する2つの基板間で接続を行う場合には、基板間の接続位置のずれに対応するのが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、基板間の位置ずれに対応することができる接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の接続装置は、互いに対向する2つの基板間に配索される電線と、一方の前記基板に設けられる基板側第1コネクタと、他方の前記基板に設けられる基板側第2コネクタと、前記電線の一端部に設けられ、前記基板側第1コネクタに嵌合可能な第1コネクタと、前記電線の他端部に設けられ、前記基板側第2コネクタに嵌合可能な第2コネクタと、前記電線を覆いつつ前記第1コネクタから前記基板側第2コネクタの位置する側に向けて延びるアダプタと、前記アダプタと前記基板側第2コネクタとの間に設けられ、前記アダプタが前記基板側第2コネクタに対して前記基板と平行に相対移動するのを許容する移動許容部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板間の位置ずれに対応することができる接続装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の接続装置の断面図である。
【
図2】
図2は、接続装置の上端部において、第1コネクタと基板側第1コネクタとが嵌合された状態を示す拡大断面図である。
【
図3】
図3は、接続装置の下端部において、第2コネクタと基板側第2コネクタとが嵌合された状態を示す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す状態から筒部がアダプタ内を移動許容部の範囲で相対移動した状態を示す拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第1コネクタおよび第2コネクタを構成するそれぞれの部材と電線とを示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、基板側第1コネクタを構成する部材を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、基板側第2コネクタを構成する部材を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、基板側第2ハウジングの平面図である。
【
図9】
図9は、基板側第2ハウジングの底面図である。
【
図12】
図12は、アダプタが第1コネクタから下側に延び、重合部が基板側
第2コネクタに係合した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、突部が係合孔内において移動許容部の範囲で横方向に変位した状態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の接続装置は、
(1)互いに対向する2つの基板間に配索される電線と、一方の前記基板に設けられる基板側第1コネクタと、他方の前記基板に設けられる基板側第2コネクタと、前記電線の一端部に設けられ、前記基板側第1コネクタに嵌合可能な第1コネクタと、前記電線の他端部に設けられ、前記基板側第2コネクタに嵌合可能な第2コネクタと、前記電線を覆いつつ前記第1コネクタから前記基板側第2コネクタの位置する側に向けて延びるアダプタと、前記アダプタと前記基板側第2コネクタとの間に設けられ、前記アダプタが前記基板側第2コネクタに対して前記基板と平行に相対移動するのを許容する移動許容部と、を備える。
上記構成の接続装置は、アダプタが電線の変形を伴いつつ基板側第2コネクタに対して基板と平行に相対移動することができるため、基板間の位置ずれを吸収することができる。
【0010】
(2)前記基板側第1コネクタは、前記アダプタに向けて拡開するガイド部を有していることが好ましい。
上記構成の接続装置は、アダプタが基板側第2コネクタに対して基板と平行に相対移動するとともに、第1コネクタがガイド部に誘導されて基板側第1コネクタと嵌合可能な位置に至ることができる。
【0011】
(3)前記電線が前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間に捻られた状態で配置されていると良い。
上記構成の接続装置は、捻られた電線の張力によって第1コネクタと第2コネクタとの間の位置変動を抑えることができるので、例えば、基板間の位置ずれによって第1コネクタと基板側第1コネクタとが干渉するのを容易に回避することができる。
【0012】
(4)前記アダプタと前記基板側第2コネクタのうち、一方には突部が形成され、他方には係合孔が形成され、前記突部は前記係合孔内に配置され、前記係合孔は、前記基板と平行な方向に延びる長孔形状をなし、前記突部との間に前記移動許容部を形成していると良い。
上記構成の接続装置は、係合孔の長孔形状によってアダプタが基板側第2コネクタに対して基板と平行に円滑に相対移動することができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
本実施形態の接続装置10は、
図1に示すように、2つの基板90A,90Bの板面間に配置されている。両基板90A,90Bは、プリント基板であって、互いの板面を平行に対向させ、上下方向に間隔を置いて配置されている。なお、以下の説明においては、上側に位置する基板を第1基板90Aと称し、下側に位置する基板を第2基板90Bと称し、上下を区別する必要がない場合は単に基板90A,90Bと称する。
【0015】
接続装置10は、電線11、第1コネクタ12、第2コネクタ13、基板側第1コネクタ14、基板側第2コネクタ15およびアダプタ16を備えている。
【0016】
<電線>
電線11は、両基板90A,90B間において上下方向に延びるように配置されている。電線11の上端部は、第1コネクタ12および基板側第1コネクタ14を介して第1基板90Aに電気的に接続される。電線11の下端部は、第2コネクタ13および基板側第2コネクタ15を介して第2基板90Bに電気的に接続される。
【0017】
本実施形態の電線11は、同軸電線であって、
図5に示すように、導電性の芯線部21と、芯線部21の周囲を覆うシールド部22と、芯線部21とシールド部22との間に配置される絶縁性の被覆部23と、シールド部22を包囲する絶縁性のシース24と、を有している。シールド部22は、例えば、素線を筒状に編み込んだ編組部材であって、芯線部21を電磁ノイズからシールドする。電線11は、上端部および下端部に、芯線部21、被覆部23、シールド部22およびシース24を露出させている。
【0018】
<第1コネクタ>
第1コネクタ12は、
図5に示すように、第1端子25と、第1ハウジング26と、第1外導体27と、を備えている。第1端子25は導電金属製であって、ピン状またはタブ状をなし、芯線部21に接続される。第1ハウジング26は合成樹脂製であって円筒状をなし、第1端子25と第1外導体27との間に配置されている。第1端子25は、第1ハウジング26内に収容される。第1ハウジング26の上端部には、鍔部28が全周にわたって張り出し形成されている。第1外導体27は、導電金属製であって、第1シースバレル部29と、第1シースバレル部29よりも上方に位置する第1シールド部バレル部31と、第1シールド部バレル部31よりも上方に位置する第1外導体本体部32と、を有している。
図2に示すように、第1シースバレル部29は、シース24を包囲し、シース24に圧着される。第1シールド部バレル部31は、シールド部22を包囲し、シールド部22に圧着される。第1外導体本体部32は、円筒状をなし、第1ハウジング26を包囲する。第1ハウジング26の鍔部28は、第1外導体本体部32の上端部に掛けられて支持される。
【0019】
<第2コネクタ>
第2コネクタ13は、
図5に示すように、第2端子33と、第2ハウジング34と、第2外導体35と、を備えている。第2端子33および第2ハウジング34は、それぞれ、上下の向きが逆になる点を除いて、第1端子25および第1ハウジング26と同様の構造である。第2外導体35は、導電金属製であって、第2シースバレル部36と、第2シールド部バレル部37と、第2外導体本体部38と、を有している。第2シースバレル部36および第2シールド部バレル部37も、それぞれ、上下の向きが逆になる点を除いて、第1シースバレル部29および第1シールド部バレル部31と同様の構造である。
【0020】
第2外導体本体部38は、円筒状をなし、第2ハウジング34を包囲するシェル本体部41と、シェル本体部41の外周面から外側に突出するスタビライザ42と、を有している。スタビライザ42は、二重の板片状をなし、シェル本体部41の突き合わせの縁部から延びる部分を重ねて立ち上げることで形成される。
【0021】
<基板側第1コネクタ>
基板側第1コネクタ14は、第1基板90Aに実装して設けられている。基板側第1コネクタ14は、
図6に示すように、基板側第1端子43と、第1誘電体44と、第1シェル45と、基板側第1ハウジング46と、を有している。基板側第1端子43は導電金属製であって、筒状の接続部分を有している。
図2に示すように、基板側第1端子43の接続部分には、下方から第1端子25が挿入されて接続される。また、基板側第1端子43は、第1基板90Aの導電部分に接続される。
【0022】
第1誘電体44は合成樹脂製であって筒状をなし、基板側第1端子43と第1シェル45との間に配置されている。第1誘電体44の外周面は、多角形状、詳細には8角形状をなしている。基板側第1端子43は、第1シェル45内に収容される。
【0023】
第1シェル45は導電金属製であって筒状に形成されている。第1シェル45の外周面は、多角形状、詳細には8角形状をなしている。第1シェル45は、第1誘電体44を包囲する。
【0024】
基板側第1ハウジング46は合成樹脂製であって、筒状の装着部47と、装着部47から下方に向けて拡開するテーパ状のガイド部48と、を有している。装着部47の内周面は、断面多角形状、詳細には8角形状をなしている。第1シェル45は、装着部47内に回転を規制された状態で装着される。ガイド部48は、角に丸みを付けた断面四角形状をなし、装着部47よりも長い前後長をもって形成されている。
【0025】
<基板側第2コネクタ>
基板側第2コネクタ15は、第2基板90Bに実装して設けられている。基板側第2コネクタ15は、
図7に示すように、基板側第2端子51と、第2誘電体52と、第2シェル53と、基板側第2ハウジング54と、を有している。基板側第2端子51、第2誘電体52および第2シェル53は、それぞれ、上下の向きが逆になる点を除いて、基板側第1端子43、第1誘電体44および第1シェル45と同様の構造である。基板側第2端子51は、第2基板90Bの導電部に接続される。
【0026】
基板側第2ハウジング54は合成樹脂製であって、基台部55と、筒部56と、を有している。基台部55は、
図9に示すように、内周面が断面8角形状をなし、外周面が断面4角形状をなしている。第2シェル53は、基台部55内に回転を規制された状態で装着される。
図3に示すように、基台部55の上端部には、段部57が径方向内側に張り出している。段部57の内周面には、位置決め溝58が切り欠くように形成されている。位置決め溝58は、段部57の上面に開口している。スタビライザ42は、位置決め溝58に挿入されて位置決めされる。
【0027】
筒部56は、円筒状をなし、基台部55の上端から上方に突出している。筒部56は、内外周面とも断面円形状をなし、基台部55よりも薄肉に形成されている。筒部56の基端は段部57と直交して連なっている。筒部56は、上端部の外周面から径方向外側に突出する円柱状の一対の突部59を有している。
図8に示すように、両突部59は、筒部56の外周面における径方向両端部にそれぞれ配置され、互いに反対側に突出している。両突部59のうちの一方は、周方向に関して位置決め溝58と重なり合う位置に配置されている。
【0028】
<アダプタ>
アダプタ16は合成樹脂製であって、
図12に示すように、上下方向に延びる円筒状のアダプタ本体部61と、アダプタ本体部61の上端部に連なる縮径形状のアダプタ先端部62と、を有している。電線11は、アダプタ本体部61内に配置されている。
【0029】
アダプタ本体部61の下端部は、上下方向において筒部56と重なり合う位置に、重合部63を有している。
図4に示すように、筒部56は、重合部63内に配置されている。
図4および
図10に示すように、重合部63の内周面には、上下方向に延びてアダプタ本体部61の下端に開口する一対の挿通溝64が形成されている。両挿通溝64は、重合部63の内周面における径方向両端部にそれぞれ配置されている。また、重合部63には、両挿通溝64の上端部にそれぞれ連通し、重合部63を径方向に貫通する一対の係合孔65が形成されている。係合孔65は、上下方向よりも重合部63の周方向に長く延びる長孔形状をなしている。重合部63の周方向は、基板90A,90Bの板面と平行な方向であり、以下、横方向Xと称する。
【0030】
係合孔65は、挿通溝64の上端部から横方向X両側に拡張する部分を有している。突部59は、基板側第2ハウジング54に対するアダプタ16の組み付け過程で挿通溝64に挿通され、組み付け完了時に係合孔65内に配置される。
図13に示すように、係合孔65の横方向X両端と突部59との間には、突部59の横方向Xへの変位を許容する移動許容部66Aが形成されている。突部59は、係合孔65内において上下方向にも変位可能であるが、移動許容部66Aを介して横方向Xに大きく変位することができる。また、
図3および
図4に示すように、重合部63の内周面と筒部56の外周面との間にも、筒部56の横方向X(筒部56の径方向)への変位を許容する移動許容部66Bが形成されている。
【0031】
図2に示すように、アダプタ先端部62は、径方向中心部に、上下方向に貫通する貫通孔67を有している。貫通孔67は、上下方向に一定の孔径を有している。第1外導体本体部32は、貫通孔67内に圧入された状態で配置される。
【0032】
アダプタ先端部62の外周面は、上方に向けて縮径するテーパ状の斜面部68になっている。斜面部68は、ガイド部48の内周面に対応する傾斜角を有している。アダプタ先端部62の上端面は、径方向に平坦に形成されている。
【0033】
<接続装置10の組み付け方法および作用効果>
組み付けに際し、まず電線11の上端部に第1コネクタ12が連結され、電線11の下端部に第2コネクタ13が連結される。具体的には、電線11の上端部で露出する芯線部21に第1端子25が圧着され、第1端子25が第1ハウジング26内に挿入され、かつ、電線11の上端部で露出するシース24およびシールド部22にそれぞれ第1シースバレル部29および第1シールド部バレル部31が圧着される。これにより、第1コネクタ12が電線11の上端部に電気的および機械的に接続される。同様に、電線11の下端部で露出する芯線部21に第2端子33が圧着され、第2端子33が第2ハウジング34内に挿入され、かつ、電線11の下端部で露出するシース24およびシールド部22にそれぞれ第2シースバレル部36および第2シールド部バレル部37が圧着される。これにより、第2コネクタ13が電線11の下端部に電気的および機械的に接続される。
【0034】
続いて、アダプタ16内に電線11が挿通され、第1コネクタ12が貫通孔67に圧入されてアダプタ先端部62に固定される。
図12に示すように、第1コネクタ12の上部は、アダプタ先端部62の上端面から上方に突出して配置される。
【0035】
また、第2コネクタ13が基板側第2コネクタ15に嵌合される。具体的には、第2コネクタ13の下端部が段部57内を介して基台部55内に挿入され、第2外導体本体部38が第2シェル53内に挿入されて電気的に接続され、かつ第2端子33が基板側第2端子51の接続部分に挿入されて電気的に接続される。
【0036】
第2コネクタ13の下端部が基台部55内に挿入される際に、電線11が
図1に示すように半回転以上の捻り量で捻られ、その状態で、スタビライザ42が位置決め溝58に挿入される。これにより、第2コネクタ13が基板側第2コネクタ15に対して回転を規制された状態に保持される。電線11は、捻られることで自身に張力を付与し、アダプタ16内で上下方向に延びる状態を保持する。
また、突部59が挿通溝64を通して係合孔65内に挿入される。ここで、アダプタ16は、基板側第2コネクタ15に対し、移動許容部66A,66Bによって規定される範囲で、横方向Xに相対移動することが可能な状態で連結される。
【0037】
続いて、第1基板90Aが第2基板90Bに近づけられ、第1コネクタ12が基板側第1コネクタ14に嵌合される。具体的には、第1外導体本体部32が第1シェル45内に挿入されて互いに接触し、かつ第1端子25が基板側第1端子43の接続部分に挿入されて互いに接触する。
【0038】
仮に、第1コネクタ12と基板側第1コネクタ14が正対する位置関係になく、基板90A,90B間に横方向Xの位置ずれが生じていると、斜面部68がガイド部48を摺動することで、第1コネクタ12と基板側第1コネクタ14が正対して適切な嵌合位置に誘導される。また、電線11が変形しつつ、アダプタ16が移動許容部66A,66Bの範囲内で基板側第2コネクタ15に対して横方向Xに相対移動することにより、基板90A,90B間の位置ずれを吸収(フローティング)することができる。具体的には、
図13に示すように、突部59は、基板90A,90B間の位置ずれに応じ、係合孔65に挿入された状態で、移動許容部66Aを横方向Xに移動することができる。また、
図3から
図4にかけて示すように、筒部56は、基板90A,90B間の位置ずれに応じ、重合部63内に挿入された状態で、移動許容部66Bを横方向Xに移動することができる。なお、使用時においても、上記同様、アダプタ16が移動許容部66A,66Bの範囲内で基板側第2コネクタ15に対して横方向Xに移動し、基板90A,90B間の位置ずれに対応することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、アダプタ16が電線11の変形を伴いつつ基板側第2コネクタ15に対して横方向Xに相対移動することができるため、基板90A,90B間の位置ずれを吸収することができる。ここで、電線11は基板90A,90B間の位置ずれに追従して変形することができ、さらに移動許容部66A,66Bの形状の自由度は高いので、基板90A,90B間の大きな位置ずれにも対応することができる。
【0040】
また、基板側第1コネクタ14がアダプタ16に向けて拡開するガイド部48を有しているため、第1コネクタ12がガイド部48に誘導されて基板側第1コネクタ14と嵌合可能な位置に至ることができる。
【0041】
また、電線11が第1コネクタ12と第2コネクタ13との間に捻られた状態で配置されているため、電線11に張力が付与され、第1コネクタ12の高さ位置の変動を抑えることができる。その結果、例えば、基板90A,90B間の位置ずれによって第1コネクタ12と基板側第1コネクタ14とが干渉するのを容易に回避することができる。
【0042】
さらに、アダプタ16には係合孔65が形成され、基板側第2コネクタ15には突部59が形成され、係合孔65が横方向Xに延びる長孔形状をなし、係合孔65の横方向Xの端面と突部59との間に移動許容部66Aが形成されている。このため、アダプタ16が基板側第2コネクタ15に対して横方向Xに円滑に相対移動することができる。また、突部59が係合孔65の上下の端面に接触することで、アダプタ16が基板側第2コネクタ15に対して上下方向に相対移動するのを抑えることができる。
【0043】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、電線はシールド部を有する同軸電線であった。しかし、他の実施形態として、電線はシールド部を有しない通常の被覆電線であっても良い。電線がシールド部を有しない場合、第1コネクタおよび第2コネクタはそれぞれ第1外導体および第2外導体を有していなくても良く、また、基板側第1コネクタおよび基板側第2コネクタはそれぞれ第1シェルおよび第2シェルを有していなくても良い。
上記実施形態の場合、第1コネクタとアダプタとは互いに別体であった。しかし、他の実施形態として、第1コネクタとアダプタとは互いに一体化されていても良い。
上記実施形態の場合、突部が基板側第2コネクタに形成され、係合孔がアダプタに形成されていた。しかし、他の実施形態として、突部がアダプタに形成され、係合孔が基板側第2コネクタに形成されていても良い。
上記実施形態の場合、係合孔内で突部が変位する範囲に移動許容部が形成されていた。しかし、他の実施形態として、アダプタおよび基板側第2コネクタに係合孔および突部が形成されておらず、アダプタ内で筒部が変位する範囲に移動許容部が形成されているだけでも良い。
上記実施形態の場合、筒部がアダプタの重合部内に挿入される構成であった。しかし、他の実施形態として、アダプタが筒部内に挿入される構成であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
10…接続装置
11…電線
12…第1コネクタ
13…第2コネクタ
14…基板側第1コネクタ
15…基板側第2コネクタ
16…アダプタ
21…芯線部
22…シールド部
23…被覆部
24…シース
25…第1端子
26…第1ハウジング
27…第1外導体
28…鍔部
29…第1シースバレル部
31…第1シールド部バレル部
32…第1外導体本体部
33…第2端子
34…第2ハウジング
35…第2外導体
36…第2シースバレル部
37…第2シールド部バレル部
38…第2外導体本体部
41…シェル本体部
42…スタビライザ
43…基板側第1端子
44…第1誘電体
45…第1シェル
46…基板側第1ハウジング
47…装着部
48…ガイド部
51…基板側第2端子
52…第2誘電体
53…第2シェル
54…基板側第2ハウジング
55…基台部
56…筒部
57…段部
58…位置決め溝
59…突部
61…アダプタ本体部
62…アダプタ先端部
63…重合部
64…挿通溝
65…係合孔
66A,66B…移動許容部
67…貫通孔
68…斜面部
90A…第1基板(基板)
90B…第2基板(基板)
X…横方向(基板と平行な方向)