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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】膝動作支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61H3/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021104968
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003720
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】前北 智江
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236741(JP,A)
【文献】特開2016-120273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脚に装着される膝動作支援装置であって、
前記ユーザの脚の上腿に固定される上腿リンクと、
前記上腿リンクの下端部に回転可能に接続され、前記ユーザの脚の下腿に固定される下腿リンクと、
前記上腿リンクに設けられ、前記脚の膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパと、
前記上腿リンクに設けられ、前記ダンパの抵抗力を変化させるために、前記ダンパに接続される駆動装置と、
前記ダンパの上端部から突出する抵抗力変更軸と前記駆動装置の出力軸とを接続し、前記ダンパの抵抗力を調整するために、人によって操作される操作部と、
予め設定された大きさより小さい複数の軽量孔が形成されたケースと、
を備え
前記ケースは、前記上腿リンクを収容する第1のケース本体と、前記第1のケース本体の外側部の開放部を覆う第1のカバーと、前記下腿リンクを収容する第2のケース本体と、前記第2のケース本体の外側部の開放部を覆う第2のカバーと、を有し、
前記第1のケース本体は、前記ケースの外側から前記操作部を操作するために当該操作部と等しい高さ位置に配置され、前記第1のケース本体の前側又は前記第1のケース本体の後側に形成された第1の開口部と、前記上腿リンクに対して前記下腿リンクが回転した際に当該下腿リンクが前記第1のケース本体に干渉しないように当該第1のケース本体の下端部に形成された切り欠き部と、前記切り欠き部を覆う舌部と、を有し、
前記舌部は、前記上腿リンクに対して前記下腿リンクが回転して当該下腿リンクが前記舌部に接触した際に、前記下腿リンクの回転に追従することができる弾性部材で形成され、
前記第1のカバーは、前記ケースの外側から前記操作部を操作するために当該操作部と等しい高さ位置に配置された第2の開口部を有する、膝動作支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膝動作支援装置に関し、例えば、ユーザの脚に装着される膝動作支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、片麻痺患者などのユーザが歩行訓練を実施する場合、ユーザの患脚の膝折れを防ぐために、当該患脚に膝動作支援装置が装着される。このような膝動作支援装置は、特許文献1に開示されているように、ユーザの患脚の大腿に固定される大腿リンクと、大腿リンクと膝関節部を介して連結され、患脚の下腿に固定される下腿リンクと、膝関節部を駆動するモータユニットと、を備えており、モータユニットの駆動力によってユーザの患脚の膝折れを防ぐための抵抗力を発生させる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-114175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、以下の課題を見出した。一般的な膝動作支援装置は、モータユニットによって抵抗力を発生させる構成であるため、外部から人によって抵抗力を簡単に調整することができる構成とされていない。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、外部から人によって抵抗力を簡単に調整可能な膝動作支援装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る膝動作支援装置は、ユーザの脚に装着される膝動作支援装置であって、
前記脚の膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパと、
前記ダンパの抵抗力を調整するために、人によって操作される操作部と、
を備える。
【0007】
上述の膝動作支援装置において、前記操作部は、前記ダンパの上側に配置されていることが好ましい。
【0008】
上述の膝動作支援装置は、前記ダンパの抵抗力を変化させるために、前記ダンパに接続される駆動装置を備え、
前記操作部は、前記駆動装置の出力軸に設けられていることが好ましい。
【0009】
上述の膝動作支援装置は、前記ダンパを覆うケースを備え、
前記ケースには、当該ケースの外側から前記操作部を操作するための開口部が形成されていることが好ましい。
【0010】
上述の膝動作支援装置において、前記開口部は、前記ケースにおける前記ユーザの側に対して逆側の部分、又は前記ケースの前側、又は前記ケースの後側に形成されていることが好ましい。
【0011】
上述の膝動作支援装置において、前記ケースには、予め設定された大きさより小さい複数の軽量孔が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、外部から人によって抵抗力を簡単に調整可能な膝動作支援装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の膝動作支援装置をユーザの脚に装着した状態を示す図である。
図2】実施の形態の膝動作支援装置本体を後側から見た斜視図である。
図3】実施の形態の膝動作支援装置本体を前側から見た正面図である。
図4】実施の形態の膝動作支援装置本体を内側面の側から見た側面図である。
図5】実施の形態の膝動作支援装置本体を後側から見た斜視図である。
図6】実施の形態の膝動作支援装置の構成を示すブロック図である。
図7】ユーザの膝角度を説明するための図である。
図8】下腿角度及び上腿角度を説明するための図である。
図9】実施の形態の膝動作支援装置のケースで膝動作支援装置本体を覆った状態を当該ケースの外側面の側から見た図である。
図10】実施の形態の膝動作支援装置におけるケースのケース本体内に膝動作支援装置本体を収容した状態を当該ケース本体の外側面の側から見た図である。
図11】実施の形態の膝動作支援装置におけるケースのカバーを外側面の側から見た図である。
図12】実施の形態の膝動作支援装置におけるケース本体に形成された開口部周辺を示す斜視図である。
図13】実施の形態の膝動作支援装置におけるカバーに形成された開口部周辺を示す斜視図である。
図14】実施の形態の膝動作支援装置を内側面の側から見た斜視図である。
図15】実施の形態の膝動作支援装置の屈曲状態を内側面の側から見た側面図である。
図16】実施の形態の膝動作支援装置のダンパによる抵抗力の変化パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0015】
図1は、本実施の形態の膝動作支援装置をユーザの脚に装着した状態を示す図である。本実施の形態の膝動作支援装置1は、図1に示すように、膝動作支援装置本体2と、ケース3と、上腿固定部4と、下腿固定部5と、支持ベルト6と、を備えており、例えば、片麻痺患者などのユーザUが歩行訓練を実施する際に患脚Lの膝折れを抑制するために、ユーザUの患脚Lに装着される。
【0016】
ここで、以下の説明では、ユーザの患脚の側に配置される側を膝動作支援装置1の内側とし、当該内側に対して逆側を膝動作支援装置1の外側として説明する。図2は、本実施の形態の膝動作支援装置本体を後側から見た斜視図である。図3は、本実施の形態の膝動作支援装置本体を前側から見た正面図である。図4は、本実施の形態の膝動作支援装置本体を内側面の側から見た側面図である。図5は、本実施の形態の膝動作支援装置本体を後側から見た斜視図である。図6は、本実施の形態の膝動作支援装置の構成を示すブロック図である。図7は、ユーザの膝角度を説明するための図である。図8は、下腿角度及び上腿角度を説明するための図である。
【0017】
膝動作支援装置本体2は、図2乃至図5に示すように、上腿リンク11と、下腿リンク12と、を備えている。上腿リンク11の下端部と下腿リンク12の上端部とは、回転軸Y1回りに相互に回動可能に機械的に接続されている。下腿リンク12の上端部には、カム面12aを有する。
【0018】
上腿リンク11と下腿リンク12との回動角度は、例えば、0(零)度以上、180度以下である。膝動作支援装置1がユーザUの患脚Lに装着されると、上腿リンク11はユーザUの患脚Lの上腿ULに固定され、下腿リンク12はユーザUの患脚Lの下腿LLに固定される。
【0019】
上腿リンク11又は下腿リンク12は、図2乃至図6に示すように、検出部13を備えている。検出部13は、角度センサであり、上腿リンク11と下腿リンク12との角度を検出する。
【0020】
膝動作支援装置本体2がユーザUの患脚Lに装着されている場合、上腿リンク11と下腿リンク12との角度は、ユーザUの膝角度θに相当する。ここで、ユーザUの膝角度θとは、図7に示すユーザUの上腿ULの軸方向に延びる直線S1と、下腿LLの軸方向に延びる直線S2と、が交差して成す。
【0021】
検出部13は、上腿リンク11と下腿リンク12との角度を膝角度検出値として制御装置14へ出力する。膝角度検出値は、歩行サイクルに応じた波形を示す。つまり、膝角度検出値は歩行サイクルに応じて周期的に変化する。
【0022】
なお、検出部13は、角度センサに加えて、慣性計測装置などを備えていてもよい。これにより、慣性計測装置及び角度センサが検出した値に基づいて、下腿角度βや上腿角度γを求めることができる。
【0023】
下腿角度βは、図8に示すように、鉛直軸AX1と、下腿LLの軸方向に延びる直線S2と、が交差して成す。また、上腿角度γは、鉛直軸AX1と、上腿ULの軸方向に延びる直線S1と、が交差して成す。検出部13は、下腿角度βや上腿角度γを制御装置14へ出力する。
【0024】
上腿リンク11は、駆動部15と、操作部16と、ダンパ17と、ローラ18と、を備えている。駆動部15、操作部16、ダンパ17、及びローラ18は、上側から下側に向かってこの順に上腿リンク11に保持されている。
【0025】
下腿リンク12は、制御装置14を備えている。本実施の形態の制御装置14は、下腿リンク12における内側面に設けられている。制御装置14は、図6に示すように、受信部14aと、演算装置14bと、メモリ14cと、を備えるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。
【0026】
受信部14aは、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)など通信手段を介して検出部13及び通信端末7と接続されている。受信部14aは、検出部13から膝角度検出値を受信する。
【0027】
通信端末7は、例えば、スマートフォンある。通信端末7は、ユーザUや補助者などの人によって選択可能な抵抗力の変化パターンを示し、当該人が選択した抵抗力の変化パターンを示す入力を受け付け、受信部14aに送信する。
【0028】
これにより、受信部14aは、通信端末7から抵抗力の変化パターンを受信する。ここで、抵抗力の変化パターンは、多種多様のパターンを採用することができるが、ユーザが立脚状態で患脚Lの膝折れを抑制できればよい。
【0029】
演算装置14bは、例えば、演算処理、制御処理などを行うCPU(Central Processing Unit)などである。メモリ14cは、演算装置14bによって実行される演算プログラム、制御プログラムなどが記憶された、各種のデータなどを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などである。
【0030】
演算装置14bは、検出部13が検出した膝角度検出値などに基づいて、歩行タイミングを検出することができる。歩行タイミングは、具体的には、1歩行周期における立脚期、及び遊脚期である。
【0031】
また、演算装置14bは、抵抗力の変化パターン、及び膝角度検出値に基づいて、抵抗力制御信号を生成する。抵抗力制御信号は、時間に対する、ダンパ17の抵抗力の変化を示す。演算装置14bは、この生成した抵抗力制御信号を、有線通信又は無線通信を用いて駆動部15へ送信する。なお、制御装置14は、適宜、鉛直軸AX1と下腿リンク12との角度(下腿角度β)や、鉛直軸AX1と上腿リンク11との角度(上腿角度γ)を取得してもよい。
【0032】
駆動部15は、制御装置14からの抵抗力制御信号に基づいて回転動力を操作部16に与える駆動装置である。駆動部15は、例えば、モータ及びドライバを備えている。なお、駆動部15は、上腿リンク11の上端部の内側面に設けられていてもよく、ギアやプーリを介して回転動力を操作部16に与える。
【0033】
操作部16は、例えば、図5に示すように、円柱形状を基本形態としており、駆動部15の出力軸とダンパ17の上端部から突出する抵抗力変更軸17aとの間に配置されている。つまり、操作部16の上端部が駆動部15の出力軸に接続され、操作部16の下端部がダンパ17の抵抗力変更軸17aに接続されている。このとき、操作部16は、膝動作支援装置1の上部に配置されていることになる。
【0034】
操作部16は、駆動部15からの回転動力、及び後述するように人の操作に基づいて、ダンパ17による抵抗力Fを調整する。具体的には、操作部16は、駆動部15の回転動力、及び人の操作を受けて、ダンパ17内におけるダンパ液の流路の断面積が変化するように、ダンパ17の抵抗力変更軸17aを回転させる。
【0035】
ここで、ダンパ17の抵抗力Fと、ダンパ係数kと、ダンパ液が当該流路を通過する速度vとの関係を示す式1を以下に示す。
F=kv …(式1)
【0036】
そのため、駆動部15の回転動力又は人の操作によって、操作部16を介してダンパ17の抵抗力変更軸17aが一方に回転して当該ダンパ17内におけるダンパ液の流路の断面積が減少すると、ダンパ係数kが増加し、その結果、ダンパ17による抵抗力Fが増加する。
【0037】
一方、駆動部15の回転動力又は人の操作によって、操作部16を介してダンパ17の抵抗力変更軸17aが他方に回転して当該ダンパ17内におけるダンパ液の流路の断面積が増加すると、ダンパ係数kが減少し、その結果、ダンパ17による抵抗力Fが減少する。
【0038】
ダンパ17は、ローラ18を介して、抵抗力Fを下腿リンク12へ伝える。ダンパ17は、図5に示すように、一般的なダンパと略等しい構成とされており、ロッド17b及びスプリング17cを備えている。
【0039】
ロッド17b及びスプリング17cは、上腿リンク11のダンパ保持部11aとローラ18との間に伸縮可能に配置されている。ローラ18は、ダンパ17と下腿リンク12の上端部との間において、回転可能、かつ、上腿リンク11の上下方向に移動可能に設けられている。
【0040】
ケース3は、図1に示すように、膝動作支援装置本体2を覆う。図9は、本実施の形態の膝動作支援装置のケースで膝動作支援装置本体を覆った状態を当該ケースの外側面の側から見た図である。図10は、本実施の形態の膝動作支援装置におけるケースのケース本体内に膝動作支援装置本体を収容した状態を当該ケース本体の外側面の側から見た図である。図11は、本実施の形態の膝動作支援装置におけるケースのカバーを外側面の側から見た図である。図12は、本実施の形態の膝動作支援装置におけるケース本体に形成された開口部周辺を示す斜視図である。図13は、本実施の形態の膝動作支援装置におけるカバーに形成された開口部周辺を示す斜視図である。なお、図9などでは、ケース3で覆われた膝動作支援装置本体2が当該ケース3から透けて現れるが、図を簡素化にするために省略している。
【0041】
ケース3は、図9乃至図11に示すように、ケース本体31及びカバー32を備えており、上腿リンク11に対する下腿リンク12の回転を許容可能な構成とされている。ケース本体31は、図10に示すように、第1のケース本体31aと、第2のケース本体31bと、を備えている。
【0042】
第1のケース本体31aは、上腿リンク11の少なくとも一部を収容しており、第1のケース本体31aの外側部が開放されている。このとき、第1のケース本体31aの下端部も開放しており、第1のケース本体31aの下端部から上腿リンク11が突出している。
【0043】
ここで、第1のケース本体31aにおける下端部の後側には、上腿リンク11に対して下腿リンク12が回転した際に当該下腿リンク12が干渉しないように、切り欠き部31cが形成されているとよい。
【0044】
また、第1のケース本体31aの前面には、図12に示すように、開口部31dが形成されているとよい。上述のように第1のケース本体31aに上腿リンク11の少なくとも一部が収容された状態で、開口部31dは、操作部16と略等しい高さ位置に配置されるとよい。そのため、開口部31dは、ケース3の前面上部に配置される。なお、開口部31dは、ケース3の後面上部に配置されてもよい。
【0045】
第2のケース本体31bは、下腿リンク12の少なくとも一部を収容しており、第2のケース本体31bの外側部が開放されている。このとき、第2のケース本体31bの上端部も開放しており、第2のケース本体31bの上端部から下腿リンク12の上端部が突出している。
【0046】
カバー32は、図11に示すように、第1のカバー32aと、第2のカバー32bと、を備えている。第1のカバー32aは、第1のケース本体31aの外側部を覆う。第1のカバー32aには、図13に示すように、開口部32cが形成されており、第1のカバー32aが第1のケース本体31aの外側部を覆った状態で、開口部32cは、操作部16と略等しい高さ位置に配置されるとよい。そのため、開口部32cは、ケース3の外側上部に配置される。
【0047】
第2のカバー32bは、第2のケース本体31bの外側部を覆う。このようにケース3は、上腿リンク11を覆う第1のケース本体31aと第1のカバー32aと、下腿リンク12を覆う第2のケース本体31bと第2のカバー32bと、の分割構造とされているため、上腿リンク11に対する下腿リンク12の回転を許容することができる。
【0048】
ここで、ケース3は、図9などに示すように、予め設定された大きさより小さい複数の軽量孔33を備えているとよい。このとき、予め設定された大きさは、例えば、人の指が挿入できない大きさに設定されるとよい。なお、軽量孔33は、ケース3の一部の領域に形成されてもよく、又は、全域に形成されてもよい。
【0049】
これにより、ケース3を軽量化することができ、結果として、膝動作支援装置1を軽量化することができる。また、膝動作支援装置本体2に人が接触することを抑制できるので、安全性を向上させることができる。なお、図9などでは、軽量孔33を全て示すと煩雑になるため、軽量孔33の一部を示している。
【0050】
また、ケース3は、第1のケース本体31aの切り欠き部31cを覆う舌部34を備えているとよい。舌部34は、上腿リンク11に対して下腿リンク12が回転して当該下腿リンク12が舌部34に接触した際に、下腿リンク12の回転に追従できるように弾性部材であるとよい。
【0051】
これにより、膝動作支援装置本体2に人が接触することをより抑制できるので、さらに安全性を向上させることができる。但し、ケース3の構成は、上述の限りではなく、膝動作支援装置本体2を覆うことができ、且つ、上腿リンク11に対する下腿リンク12の回転を許容可能な構成であればよい。
【0052】
図14は、本実施の形態の膝動作支援装置を内側面の側から見た斜視図である。なお、図14では、ケース3で覆われた膝動作支援装置本体2が当該ケース3から透けて現れるが、図を簡素化にするために省略している。また、図14では、軽量孔33を全て示すと煩雑になるため、軽量孔33の一部を示している。
【0053】
上腿固定部4は、図1に示すように、膝動作支援装置本体2の上腿リンク11をユーザUの上腿ULに固定する。上腿固定部4は、例えば、図14に示すように、カップ41と、カフ42と、を備えている。カップ41は、略半割円筒形状であり、カップ41の前側が開放されている。つまり、カップ41は、カップ41を上下方向から見て、略U字形状である。
【0054】
カップ41における上腿リンク11の側の部分には、カップ41を貫通する貫通孔41aが上下方向に間隔を開けて形成されており、当該貫通孔41aに通されたボルト43を上腿リンク11に形成されたボルト穴にねじ込むことで、カップ41が上腿リンク11に固定されている。
【0055】
このとき、上腿リンク11のボルト穴周辺は、ケース3の第1のケース本体31aに形成された開口部31eから露出しているとよい。また、カップ41の貫通孔41aの周辺には、ボルト43のボルト頭を収容するためのザグリ部が形成されているとよい。
【0056】
カフ42は、ベルトであり、例えば、カフ42の一部がカップ41の内周面に固定されている。そして、例えば、カフ42の一方の端部周辺には、面ファスナーのフック又はループの一方が設けられ、カフ42の他方の端部周辺には、面ファスナーのフック又はループの他方が設けられている。
【0057】
下腿固定部5は、図1に示すように、膝動作支援装置本体2の下腿リンク12をユーザUの下腿LLに固定する。下腿固定部5は、例えば、図14に示すように、カップ51と、カフ52と、を備えている。カップ51は、略半割円筒形状であり、カップ51の前側が開放されている。つまり、カップ51も、カップ51を上下方向から見て、略U字形状である。
【0058】
カップ51における下腿リンク12の側の部分には、カップ51を貫通する貫通孔51aが上下方向に間隔を開けて形成されており、当該貫通孔51aに通されたボルト53を下腿リンク12に形成されたボルト穴にねじ込むことで、カップ51が下腿リンク12に固定されている。
【0059】
このとき、下腿リンク12のボルト穴周辺は、ケース3の第2のケース本体31bに形成された開口部31fから露出しているとよい。また、カップ51の貫通孔51aの周辺には、ボルト53のボルト頭を収容するためのザグリ部が形成されているとよい。
【0060】
カフ52は、ベルトであり、例えば、カフ52の一部がカップ51の内周面に固定されている。そして、例えば、カフ52の一方の端部周辺には、面ファスナーのフック又はループの一方が設けられ、カフ52の他方の端部周辺には、面ファスナーのフック又はループの他方が設けられている。
【0061】
支持ベルト6は、図1に示すように、ユーザUの患脚Lの膝の上側及び下側を支持する。支持ベルト6は、図14に示すように、第1のベルト61と、第2のベルト62と、を備えている。第1のベルト61は、例えば、弾性部材で構成されているとよい。
【0062】
第1のベルト61の一方の端部は、上腿固定部4のカップ41における上腿リンク11の側に対して逆側の部分の外周面に固定されている。そして、第1のベルト61の他方の端部周辺には、面ファスナーのフック又はループの一方が設けられている。
【0063】
第1のベルト61は、例えば、図1及び図14に示すように、上腿リンク11の内側面における下腿リンク12との接続部近傍に固定された第1のリング8に通された状態で折り返されて、第1のベルト61の他方の端部周辺に設けられた面ファスナーのフック又はループの一方が当該第1のベルト61の一方の端部周辺に設けられた面ファスナーのフック又はループの他方に接合されることで、上腿固定部4のカップ41の前側で斜めに配置される。
【0064】
第2のベルト62も、例えば、弾性部材で構成されているとよい。第2のベルト62の一方の端部は、下腿固定部5のカップ51における下腿リンク12の側に対して逆側の部分の外周面に固定されている。そして、第2のベルト62の他方の端部周辺には、面ファスナーのフック又はループの一方が設けられている。
【0065】
第2のベルト62は、例えば、図1及び図14に示すように、上腿リンク11の内側面における下腿リンク12との接続部近傍に固定された第2のリング9に通された状態で折り返されて、第2のベルト62の他方の端部周辺に設けられた面ファスナーのフック又はループの一方が当該第2のベルト62の一方の端部周辺に設けられた面ファスナーのフック又はループの他方に接合されることで、下腿固定部5のカップ51の前側で斜めに配置される。
【0066】
但し、上腿固定部4、下腿固定部5及び支持ベルト6の構成は、上述の限りではなく、ユーザUの歩行動作を阻害しないように、膝動作支援装置本体2をユーザUの上腿UL及び下腿LLに固定できる構成であればよい。
【0067】
次に、本実施の形態の膝動作支援装置1をユーザUの患脚Lに装着する流れを説明する。先ず、上腿固定部4のカップ41にユーザUの上腿ULを通すと共に、下腿固定部5のカップ51にユーザUの下腿LLを通す。
【0068】
そして、上腿固定部4のカフ42を上腿ULに巻き付けて面ファスナーを接合すると共に、下腿固定部5のカフ52を下腿LLに巻き付けて面ファスナーを接合する。これにより、上腿固定部4を上腿ULに固定することができると共に、下腿固定部5を下腿LLに固定することができる。
【0069】
次に、第1のベルト61を第1のリング8に通して折り返し、面ファフナーを接合する。これにより、第1のベルト61が患脚Lの膝上を斜めに横断するように配置され、第1のベルト61によって患脚Lの膝上を後側に押し込むことができる。
【0070】
また、第2のベルト62を第2のリング9に通して折り返し、面ファスナーを接合する。これにより、第2のベルト62が患脚Lの膝下を斜めに横断するように配置され、第2のベルト62によって患脚Lの膝下を後側に押し込むことができる。
【0071】
上述のように膝動作支援装置1を患脚Lに装着すると、膝動作支援装置1は、上腿固定部4によって上腿ULと、下腿固定部5によって下腿LLと、支持ベルト6によって膝と、を3点支持することができる。これにより、膝動作支援装置1を患脚Lに確実に装着することができる。
【0072】
次に、本実施の形態の膝動作支援装置1の一動作例について説明する。図15は、本実施の形態の膝動作支援装置の屈曲状態を内側面の側から見た側面図である。膝動作支援装置1において、上腿リンク11と下腿リンク12との間の角度が、略180度である場合、上腿リンク11とローラ18とは、図5に示すように、所定の距離L1を保つ。よって、ダンパ17は、上腿リンク11とローラ18とから、所定の力を受けるため、所定の長さを保つ。スプリング17cは、距離L1と同じ長さを保つ。
【0073】
膝動作支援装置1において、図15に示すように、下腿リンク12を上腿リンク11に対して角度α分だけ屈曲させる。すると、下腿リンク12のZ軸+側の端部のカム面12aが、ローラ18を押し上げる。これによって、ローラ18が上腿リンク11に接近し、ローラ18と上腿リンク11との距離が、距離L1から距離L2にまで縮まる。
【0074】
そして、ローラ18がダンパ17のロッド17b及びスプリング17cを押し上げて、ダンパ17が上腿リンク11とローラ18とから力を受けて圧縮される。そのため、スプリング17cは、距離L2と同じ長さになるまで縮まる。
【0075】
一方、下腿リンク12は、ローラ18を介して、ダンパ17から反力を受ける。これによって、下腿リンク12は、ダンパ17によって、下腿リンク12の屈曲に抵抗する抵抗力を受けることになる。
【0076】
次に、本実施の形態の膝動作支援装置1のダンパ17による抵抗力の変化パターンの例を説明する。図16は、本実施の形態の膝動作支援装置のダンパによる抵抗力の変化パターンを示す図である。図16に示すように、抵抗力の変化パターンP1、P2がある。
【0077】
ユーザUが歩行動作の立脚期において高い抵抗力Fを求める場合、当該ユーザUや補助者などの人は抵抗力の変化パターンP1を選択するとよい。また、ユーザUが歩行動作の立脚期において低い抵抗力Fを求める場合、当該ユーザUや補助者などの人は抵抗力の変化パターンP2を選択するとよい。
【0078】
抵抗力の変化パターンP1では、遊脚期の開始時点t1から立脚期の開始時点t2の直前までにおいて抵抗力値F11を維持する。続いて、立脚期の開始時点t2の直前から立脚期の開始時点t2まで抵抗力値F21にまで増加させる。続いて、立脚期の開始時点t2以降、抵抗力値F21を維持する。これによって、遊脚期及び立脚期に応じて抵抗力を変化させる。
【0079】
抵抗力の変化パターンP2では、遊脚期の開始時点t1から立脚期の開始時点t2の直前までにおいて抵抗力値F12を維持する。続いて、立脚期の開始時点t2の直前から立脚期の開始時点t2まで抵抗力値F22にまで増加させる。続いて、立脚期の開始時点t2以降、抵抗力値F22を維持する。これによって、遊脚期及び立脚期に応じて抵抗力を変化させる。
【0080】
抵抗力の変化パターンP1の抵抗力値F21は、抵抗力の変化パターンP2の抵抗力値F22と比較して大きい。よって、抵抗力の変化パターンP1は、抵抗力の変化パターンP2と比較して、立脚期の開始時点t2以降において高い抵抗力Fを求めるユーザに好適である。
【0081】
一方、抵抗力の変化パターンP2は、抵抗力の変化パターンP1と比較して、立脚期の開始時点t2以降において低い抵抗力Fを求めるユーザUに好適である。抵抗力の変化パターンP1、又はP2を選択することによって、ダンパ17による抵抗力をユーザU毎に変更することができる。
【0082】
次に、本実施の形態の膝動作支援装置1のダンパ17の抵抗力を調整する流れを説明する。ダンパ17の抵抗力を増加させる場合、ユーザUや補助者などの人がケース3の開口部31d又は開口部32cを介して操作部16を一方に回転させる。
【0083】
これにより、ダンパ17内におけるダンパ液の流路の断面積が減少して、ダンパ係数kが増加し、その結果、ダンパ17による抵抗力Fが増加する。例えば、上述の抵抗力の変化パターンP1又はP2が図16において上側に平行移動する。
【0084】
一方、ダンパ17の抵抗力を減少させる場合、ユーザUや補助者などの人がケース3の開口部31d又は開口部32cを介して操作部16を他方に回転させる。これにより、ダンパ17内におけるダンパ液の流路の断面積が増加して、ダンパ係数kが減少し、その結果、ダンパ17による抵抗力Fが減少する。例えば、上述の抵抗力の変化パターンP1又はP2が図16において下側に平行移動する。
【0085】
このように本実施の形態の膝動作支援装置1は、ユーザや補助者の人が操作部16を回転させると、ダンパ17の抵抗力を簡単に調整することができる。
【0086】
本実施の形態の膝動作支援装置1は、ダンパ17の抵抗力を調整するための操作部16を備えているので、ユーザUが歩行訓練を実施する際に、ユーザUや補助者などの人がダンパ17の抵抗力を簡単に調整することができる。
【0087】
しかも、ダンパ17は、電源の供給を受けて抵抗力を発現する構成ではないため、ダンパ17の抵抗力を調整する際に当該ダンパ17に電源を供給する必要がなく、ダンパ17の抵抗力をより簡単に調整することができる。
【0088】
また、操作部16は、膝動作支援装置1の上部に配置されているので、ユーザUが歩行訓練中に大きく姿勢を変えることなく、ダンパ17の抵抗力を調整することができる。
【0089】
さらに、本実施の形態の膝動作支援装置1において、膝動作支援装置本体2がケース3に覆われているため、人が膝動作支援装置本体2に接触することを抑制することができ、その結果、安全性を向上させることができる。
【0090】
このとき、ケース3に複数の軽量孔33が形成されている場合、膝動作支援装置1の軽量化と、安全性の向上と、を実現することができる。また、ケース3に開口部31d、32cが形成されている場合、ケース3の外側から人が操作部16を簡単に操作することができる。ここで、開口部31d、32cが操作部16と略等しい高さ位置に配置されている場合、操作部16の操作性を向上させることができる。
【0091】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、上腿リンク11が駆動部15と、操作部16と、ダンパ17と、ローラ18と、を備えると共に下腿リンク12が制御装置14を備えているが、上腿リンク11が、駆動部15、操作部16、ダンパ17、ローラ18、及び制御装置14の少なくとも1つを備え、下腿リンク12が、その残りを備えてもよい。
【0093】
例えば、上記実施の形態での膝動作支援装置本体2の構成は、一例であり、外部から人がダンパ17の抵抗力を調整可能な構成であればよい。
【符号の説明】
【0094】
1 膝動作支援装置
2 膝動作支援装置本体
3 ケース
31 ケース本体
31a 第1のケース本体、31c 切り欠き部、31d 開口部、31e 開口部
31b 第2のケース本体、31f 開口部
32 カバー
32a 第1のカバー、32c 開口部
32b 第2のカバー、32d 開口部
33 軽量孔
34 舌部
4 上腿固定部
41 カップ、41a 貫通孔
42 カフ
43 ボルト
5 下腿固定部
51 カップ、51a 貫通孔
52 カフ
53 ボルト
6 支持ベルト
61 第1のベルト
62 第2のベルト
7 通信端末
8 第1のリング
9 第2のリング
11 上腿リンク、11a ダンパ保持部
12 下腿リンク、12a カム面
13 検出部
14 制御装置、14a 受信部、14b 演算装置、14c メモリ
15 駆動部
16 操作部
17 ダンパ、17a 抵抗力変更軸、17b ロッド、17c スプリング
18 ローラ
L 患脚、UL 上腿、LL 下腿
U ユーザ
Y1 回転軸
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