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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ワイパブレード
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B60S1/38 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021110781
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2023007741
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】濱本 純
(72)【発明者】
【氏名】能勢 博喜
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-049785(JP,A)
【文献】特開2020-045034(JP,A)
【文献】特開2014-083885(JP,A)
【文献】特開2008-126852(JP,A)
【文献】特開2011-025907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1係止部(46)及び第2係止部(48)を有し、ワイパアームと共に払拭方向の一方側及び他方側へ移動するブレード本体(15)と、
前記ブレード本体が一方側及び他方側へ移動することで払拭面を払拭するブレードラバー(12)と、
金属板で形成されていると共に前記ブレード本体と前記ブレードラバーとの間に設けられ、前記第1係止部が係止される第1ブレード本体係止部(68)を有し前記ブレードラバーの長手方向に沿って延在する第1延在部(62)と、前記第1延在部から延出する共に前記ブレードラバーが係止されるブレードラバー係止部(84)と、前記第1延在部において前記第1ブレード本体係止部とは反対側の端から前記ブレードラバーとは反対側へ向けて延出する第2延在部(64)と、前記第2係止部が係止される第2ブレード本体係止部(76)を有し前記第2延在部において前記第1延在部とは反対側の端から前記ブレードラバー側へ向けて延出する第3延在部(66)と、を有し、前記第2延在部と前記第3延在部との境目が折り返されていると共に前記第2延在部と前記第3延在部とが重なっているヨーク部材(20)と、
を備えたワイパブレード(10)。
【請求項2】
前記第1ブレード本体係止部は、前記第1延在部の厚み方向かつ前記ブレードラバーとは反対側へ突出する係止ビード(68)となっている請求項1に記載のワイパブレード。
【請求項3】
前記第2ブレード本体係止部は、前記第3延在部の厚み方向に貫通する係止孔(76)となっている請求項1又は請求項2に記載のワイパブレード。
【請求項4】
前記第3延在部には、複数の前記係止孔が長手方向に間隔をあけて形成され、
前記第3延在部の前記ブレードラバー側の端部において隣り合う一対の前記係止孔の間が凹状に窪んでいる請求項3に記載のワイパブレード。
【請求項5】
前記ヨーク部材は、前記ブレード本体との接触点を回転中心として所定の範囲で傾倒できるように前記ヨーク部材と前記ブレード本体との間のクリアランスが設定されており、
前記ブレード本体が一方側へ変位する際の前記接触点の位置と、前記ブレード本体が他方側へ変位する際の前記接触点の位置と、が幅方向において互いに異なる位置となっている請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のワイパブレード。
【請求項6】
前記ブレード本体と前記ブレードラバーとの間を通過した空気が当たる位置に前記第3延在部が配置されている請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のワイパブレード。
【請求項7】
前記第2ブレード本体係止部の少なくとも一部が、前記第1延在部に対して前記ブレードラバー側に配置されている請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のワイパブレード。
【請求項8】
前記ブレード本体は、前記ワイパアームに連結されるレバー(16)と、前記レバーと長手方向に隣り合って配置されたウイング(18)と、を含んで構成され、
前記レバーと前記ウイングとが、前記ヨーク部材を介して連結されている請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のワイパブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両のウインドシールドガラスに付着した水滴等を払拭するためのワイパブレードが開示されている。この文献に記載されたワイパブレードは、ブレードラバーと、ブレードラバーを支持するワイパレバーアセンブリと、を備えている。ワイパレバーアセンブリは、ワイパアームに連結されるメインレバーと、メインレバーの長手方向両側に設けられた一対の可動カバーと、メインレバー及び一対の可動カバーに対してそれぞれ可動可能に連結された一対のヨーク部材(ヨークレバー)とによって構成されている。このワイパレバーアッセンブリでは、一対の可動カバー及び一対のヨーク部材によってブレードラバーを支持する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-45034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されたワイパブレードでは、ヨーク部材が金属製の金属部と、金属部の外側に設けられた樹脂製のヨーク部材本体部とによって構成されており、金属部はインサート成形によってヨーク部材本体部に埋め込まれている。この構成では、ヨーク部材の構成が複雑となると共にインサート成形をする際の工程費用が嵩む。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、ヨーク部材の構成が複雑になることを抑制することができるワイパブレードを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するワイパブレード(10)は、第1係止部(46)及び第2係止部(48)を有し、ワイパアームと共に払拭方向の一方側及び他方側へ移動するブレード本体(15)と、前記ブレード本体が一方側及び他方側へ移動することで払拭面を払拭するブレードラバー(12)と、金属板で形成されていると共に前記ブレード本体と前記ブレードラバーとの間に設けられ、前記第1係止部が係止される第1ブレード本体係止部(68)を有し前記ブレードラバーの長手方向に沿って延在する第1延在部(62)と、前記第1延在部から延出する共に前記ブレードラバーが係止されるブレードラバー係止部(84)と、前記第1延在部において前記第1ブレード本体係止部とは反対側の端から前記ブレードラバーとは反対側へ向けて延出する第2延在部(64)と、前記第2係止部が係止される第2ブレード本体係止部(76)を有し前記第2延在部において前記第1延在部とは反対側の端から前記ブレードラバー側へ向けて延出する第3延在部(66)と、を有し、前記第2延在部と前記第3延在部との境目が折り返されていると共に前記第2延在部と前記第3延在部とが重なっているヨーク部材(20)と、を備えている。
【0007】
この様に構成することで、ヨーク部材の構成が複雑になることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のワイパブレードを示す斜視図である。
図2】本実施形態のワイパブレードを示す斜視図であり、左右一対のウイングの図示を省略して示している。
図3】本実施形態のワイパブレードを示す斜視図であり、レバー及び左右一対のウイングの図示を省略して示している。
図4】本実施形態のワイパブレードを分解して示す側面図である。
図5】本実施形態のワイパブレードを分解して示す斜視図である。
図6図1に示された6-6線に沿って切断したワイパブレードの断面を示す断面図である。
図7】ヨーク部材を示す側面図である。
図8】ヨーク部材を図6とは反対側から見た側面図である。
図9】ヨーク部材の係止ビードを拡大して示す拡大側面図である。
図10図3に示された矢印3の方向から見たワイパブレードを示す図である。
図11】中立姿勢から一方側へ傾動しているヨーク部材を模式的に示す図である。
図12】中立姿勢から他方側へ傾動しているヨーク部材を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図10を用いて、本開示の実施形態に係るワイパブレード10について説明する。
【0010】
図1図5に示されように、本実施形態のワイパブレード10は、車両のウインドシールドガラスの外表面である払拭面に付着した水滴等を払拭するためのものである。なお、本実施形態のワイパブレード10は、トーナメント構造と呼ばれる構造が適用されたワイパブレードとなっている。
【0011】
ワイパブレード10は、図示しないワイパアームの先端部に連結され、当該ワイパアームからウインドシールドガラスの払拭面側への押圧力を受ける構成になっている。なお、ワイパアームは、ワイパブレード10やワイパモータと共に車両用ワイパ装置を構成している。そして、ワイパアームが一方側及び他方側へ傾動(変位)することで、ワイパブレード10がウインドシールドガラスの払拭面に沿って払拭方向の一方側及び他方側へ往復移動(変位)するようになっている。なお、図中に示す矢印UPは、ワイパブレード10の上下方向の上方側を示している。このワイパブレード10の上方側は、ウインドシールドガラスの払拭面に対して略直交する方向となっている。また、図中に示す矢印Lは、ワイパブレード10の長手方向一方側を示している。さらに、図中に示す矢印FRは、ワイパブレード10が往復移動する方向の一方側を示している。ワイパブレード10が往復移動する方向の一方側は、車両用ワイパ装置が停止している状態における車両の前方側かつ斜め下方側へ向けられている。以下の説明においては、ワイパブレード10の上下方向、ワイパブレード10の長手方向を単に上下方向、長手方向とそれぞれ呼ぶことにする。また、ワイパブレード10が往復移動する方向の一方側及び他方側を前側及び後側とそれぞれ呼ぶことにする。
【0012】
図4及び図5に示されるように、ワイパブレード10は、ウインドシールドガラスの払拭面を払拭するためのブレードラバー12と、ブレードラバー12を支持するワイパレバーアッセンブリ14とによって構成されている。
【0013】
ワイパレバーアッセンブリ14は、ワイパアームの先端部が長手方向中央部に連結されるレバー16と、レバー16の長手方向両側に設けられた一対のウイング18と、レバー16と一対のウイング18とを連結する一対のヨーク部材20とによって構成されている。このワイパレバーアッセンブリ14は、一対のウイング18及び一対のヨーク部材20によってブレードラバー12を支持する構成になっている。
【0014】
(ブレードラバー12の構成)
ブレードラバー12は、例えばゴムによって長尺状に形成されている。このブレードラバー12は、ワイパレバーアッセンブリ14によって支持される基部22と、当該基部22から下側へ延出され、下端部がウインドシールドガラスの払拭面に押し当てられる払拭部24とを有している。ブレードラバー12の基部22には、前後方向の両側に開口した一対のバッキング用溝26が長手方向に沿って形成されている。これらのバッキング用溝26には、それぞれ金属製の板ばね材からなるバッキング(図示省略)が嵌め込まれる構成になっている。これらのバッキングは、ワイパアームから受ける払拭面への押圧力をブレードラバー12の長手方向に分散させるものである。また、ブレードラバー12の基部22には、一対のバッキング用溝26よりも下側に、前後方向の両側に開口した一対の支持用溝28が長手方向に沿って形成されている。
【0015】
(ワイパレバーアッセンブリ14の構成)
ワイパレバーアッセンブリ14は、前述したようにレバー16と、一対のウイング18と、一対のヨーク部材20とによって構成されている。なお、このワイパレバーアッセンブリ14は、ワイパブレードに連結される部分を中心として長手方向に対称の形状に形成されている。
【0016】
(レバー16の構成)
レバー16は、一例として樹脂材料によって形成されたものであり、長手方向に長尺状に形成されている。このレバー16は、ワイパレバーアッセンブリ14の長手方向中間部を構成している。このレバー16は、長手方向中央部が連結部30とされており、この連結部30の長手方向両側が一対の腕部32とされている。
【0017】
図5に示されるように、連結部30は、上方側から見て矩形枠状に形成されている。この連結部の内部には、図示しない連結軸が設けられている。この連結軸には、連結クリップ34を介してワイパアームの先端部が連結されるようになっている。
【0018】
一対の腕部32は、連結部30から長手方向一方側及び他方側へそれぞれ延出されている。図5及び図6に示されるように、これらの腕部32は、レバー16の長手方向視で下側に開口した開断面形状になっている。
【0019】
図6に示されるように、腕部32は、上壁36と、上壁36の前端部から下側へ延出された前壁38と、上壁36の後端部から下側へ延出された後壁40と、を備えている。また、腕部32における前壁38と後壁40との間には、下方側が開放されたヨーク部材配置溝42が長手方向に沿って形成されている。ここで、ヨーク部材配置溝42における前側の部分42Fと後側の部分42Rとの間には、下方側へ突出する中間壁44が設けられている。また、本実施形態では、ヨーク部材配置溝42における後側の部分42Rの開放端からの深さが、前側の部分42Fの開放端からの深さと比べて深くなっている。
【0020】
また、腕部32は、前壁38からヨーク部材配置溝42の内側かつ後方側へ向けて突出する略円柱状の第1係止部46を備えている。また、腕部32は、後壁40からヨーク部材配置溝42の内側かつ前方側へ向けて突出する略円柱状の第2係止部48を備えている。第1係止部46と第2係止部48とは、前後方向に対向する位置に配置されている。ここで、本実施形態では、一方の腕部32には、2つの第1係止部46及び2つの第2係止部48が設けられている。一方の腕部32に設けられた2つの第1係止部46及び2つの第2係止部48は、長手方向に間隔をあけて配置されている。これと同様に、他方の腕部32には、2つの第1係止部46及び2つの第2係止部48が設けられている。他方の腕部32に設けられた2つの第1係止部46及び2つの第2係止部48は、長手方向に間隔をあけて配置されている。
【0021】
なお、腕部32の上面は、後方側へ向かうにつれて上側へ傾斜している傾斜面32Aとなっている。
【0022】
(ウイング18の構成)
図4及び図5に示されるように、一対のウイング18は、一例として樹脂材料によって長尺状に形成されている。これらのウイング18は、レバー16の長手方向一方側及び他方側にそれぞれ配置されている。各ウイング18は、下側に開口した開断面形状になっている。
【0023】
図5に示されるように、各ウイング18は、上壁50と、上壁50の前端部から下側へ延出された前壁52と、上壁50の後端部から下側へ延出された後壁54と、を備えている。また、各ウイング18における前壁52と後壁54との間には、下方側が開放されたヨーク部材配置溝56が長手方向に沿って形成されている。ここで、ヨーク部材配置溝56における前側の部分56Fと後側の部分56Rとの間には、下方側へ突出する中間壁58が設けられている。また、本実施形態では、ヨーク部材配置溝56における後側の部分56Rの開放端からの深さが、前側の部分56Fの開放端からの深さと比べて深くなっている。このように、各ウイング18におけるレバー16側の部分は、当該レバー16の腕部32と同様に構成されている。また、各ウイング18の長手方向の中間部には、レバー16の腕部32に設けられた第1係止部46及び第2係止部48(図6参照)にそれぞれ対応する第1係止部及び第2係止部がそれぞれ設けられている。本実施形態では、一方のウイング18には、1つの第1係止部及び1つの第2係止部が設けられている。また、他方のウイング18には、1つの第1係止部及び1つの第2係止部が設けられている。
【0024】
なお、各ウイング18の上面は、腕部32の上面と同様に後方側へ向かうにつれて上側へ傾斜している傾斜面18Aとなっている。そして、各ウイング18及び前述のレバー16は、ワイパブレード10の意匠面側を構成するブレード本体15となっている。
【0025】
また、各ウイング18におけるレバー16とは反対側の端部には、ブレードラバー12の長手方向端部が係止及び支持されるブレードラバー係止部60が形成されている。ブレードラバー係止部60は、前壁52及び後壁54から下側へ延出された前後一対の支持片60Aを有している。前後の支持片60Aの先端部(下端部)は、互いに接近する側へ屈曲されており、前述した一対の支持用溝28内に嵌合している。これにより、ブレードラバー12の長手方向端部がブレードラバー係止部60によって支持されるようになっている。
【0026】
(ヨーク部材20について)
図7及び図8に示されるように、一対のヨーク部材20は、長手方向に長尺状に形成されている。各ヨーク部材20は、所定の形状に裁断された金属板が折曲げられること等により形成されている。なお、一方のヨーク部材20と他方のヨーク部材20の構成は略同一の構成となっている。
【0027】
図4図6に示されるように、ヨーク部材20は、ブレード本体15を構成するレバー16及びウイング18とブレードラバー12との間に設けられている。図6及び図7に示されるように、ヨーク部材20は、ブレードラバー12の基部22の上面に沿って延在する第1延在部62と、第1延在部62の後端からブレードラバー12とは反対側である上方側へ向けて延出する第2延在部64と、を備えている。また、ヨーク部材20は、第2延在部64の上端から折り返されてブレードラバー12側である下方側へ向けて延出する第3延在部66を備えている。
【0028】
第1延在部62は、上下方向を厚み方向として前後方向及び長手方向に延在する矩形状に形成されている。図6図7及び図9に示されるように、この第1延在部62の前端部には、第1延在部62の厚み方向かつブレードラバー12とは反対側(上方側)へ向けて突出する第1ブレード本体係止部としての係止ビード68が形成されている。本実施形態では、3個の係止ビード68が第1延在部62の前端部に形成されており、3個の係止ビード68は長手方向に沿って間隔をあけて配置されている。また、係止ビード68の下方側の面は、前方側から見て下方側が開放された略U字状に湾曲した面となっている。
【0029】
図6及び図7に示されるように、第2延在部64は、前後方向を厚み方向として上下方向及び長手方向に延在する矩形状に形成されている。図7に示されるように、第2延在部64の上下方向への寸法は、長手方向の中央部分から長手方向の端部側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。
【0030】
図6及び図8に示されるように、第3延在部66は、前後方向を厚み方向として上下方向及び長手方向に延在する矩形状に形成されている。ここで、図6に示されるように、第2延在部64と前記第3延在部66との境目は、下方側へ向けてU字状に折り返された折返部70となっている。これにより、第2延在部64と第3延在部66の上方側の部分とが、互いの厚み方向に重なっている。ここで、第3延在部66において第2延在部64と重なっている部分を重合部72と呼ぶことにする。また、第3延在部66の下方側の部分は、第1延在部62の下面に対して下方側へ延出している。ここで、第3延在部66において第1延在部62の下面に対して下方側へ延出している部分を延出端部74と呼ぶことにする。この延出端部74の下端部は、ブレードラバー12の基部22の上端部と前後方向に対向して配置されている。これにより、ブレード本体15を構成するレバー16及びウイング18とブレードラバー12との間を通過した空気が、第3延在部66の延出端部74に当たるようになっている。
【0031】
また、第3延在部66の上下方向の中間部には、第3延在部66の厚み方向に貫通する第2ブレード本体係止部としての係止孔76が形成されている。本実施形態では、3個の係止孔76が第3延在部66に形成されており、3個の係止孔76は長手方向に沿って間隔をあけて配置されている。なお、3個の係止孔76の長手方向及び上下方向の位置は、前述の3個の係止ビード68の位置とそれぞれほぼ同じ位置となっている。また、図8に示されるように、係止孔76の縁の形状は、後方側から見て矩形状に形成されている。また、係止孔76の上縁は、下方側が開放された略U字状に湾曲している。ここで、本実施形態では、図6に示されるように、係止孔76が、第3延在部66の重合部72の下方側の部分から延出端部74の上方側の部分の範囲にかけて形成されている。これにより、係止孔76の下方側の部分が、第1延在部62に対してブレードラバー12側(下方側)に配置されている。また、本実施形態では、図8に示されるように、第3延在部66の延出端部74の下端部において長手方向に隣り合う一対の係止孔76の間が、凹状に窪んでいる窪み部78となっている。本実施形態では、窪み部78が延出端部74の下端部の2箇所に形成されている。
【0032】
図2図5及び図6に示されるように、レバー16の長手方向一方側の腕部32に形成された2つの第1係止部46が、一方のヨーク部材20の長手方向中央部及び他方側に形成された2つの係止ビード68にそれぞれ係止される。また、レバー16の長手方向一方側の腕部32に形成された2つの第2係止部48が、一方のヨーク部材20の長手方向中央部及び他方側に形成された2つの係止孔76にそれぞれ係止される。図示は省略するが、レバー16に対して長手方向一方側に配置された一方のウイング18に形成された第1係止部が、一方のヨーク部材20の長手方向一方側に形成された係止ビード68に係止される。また、レバー16に対して長手方向一方側に配置された一方のウイング18に形成された第2係止部が、一方のヨーク部材20の長手方向一方側に形成された係止孔76に係止される。これにより、レバー16及び当該レバー16に対して長手方向一方側に配置された一方のウイング18が、一方のヨーク部材20に取り付けられる。その結果、レバー16と当該レバー16に対して長手方向一方側に配置された一方のウイング18とが、一方のヨーク部材20を介して長手方向に連結される。
【0033】
これと同様に、レバー16の長手方向他方側の腕部32に形成された2つの第1係止部46が、他方のヨーク部材20の長手方向中央部及び一方側に形成された2つの係止ビード68にそれぞれ係止される。また、レバー16の長手方向他方側の腕部32に形成された2つの第2係止部48が、他方のヨーク部材20の長手方向中央部及び一方側に形成された2つの係止孔76にそれぞれ係止される。図示は省略するが、レバー16に対して長手方向他方側に配置された他方のウイング18に形成された第1係止部が、他方のヨーク部材20の長手方向他方側に形成された係止ビード68に係止される。また、レバー16に対して長手方向他方側に配置された他方のウイング18に形成された第2係止部が、他方のヨーク部材20の長手方向他方側に形成された係止孔76に係止される。これにより、レバー16及び当該レバー16に対して長手方向他方側に配置された他方のウイング18が、他方のヨーク部材20に取り付けられる。その結果、レバー16と当該レバー16に対して長手方向他方側に配置された他方のウイング18とが、他方のヨーク部材20を介して長手方向に連結される。
【0034】
図6に示されるように、レバー16がヨーク部材20に取付けられた状態では、ヨーク部材20の第1延在部62が、レバー16の腕部32に形成されたヨーク部材配置溝42における前側の部分42Fに配置される。また、ヨーク部材20の第2延在部64及び第3延在部66の重合部72が、レバー16の腕部32に形成されたヨーク部材配置溝42における後側の部分42Rに配置される。図示は省略するが、ウイング18がヨーク部材20に取付けられた状態では、ヨーク部材20の第1延在部62が、ウイング18に形成されたヨーク部材配置溝56における前側の部分56Fに配置される。また、ヨーク部材20の第2延在部64及び第3延在部66の重合部72が、ウイング18に形成されたヨーク部材配置溝56における後側の部分56Rに配置される。
【0035】
ここで、ヨーク部材20とヨーク部材配置溝42の内周面との間には、所定のクリアランスが設けられている。これにより、ヨーク部材20は、長手方向を軸方向として所定の範囲で傾動できるようになっている。なお、図6に示された状態は、ワイパブレード10が停止している状態であり、この状態のヨーク部材20のレバー16に対する姿勢を中立姿勢と呼ぶ。
【0036】
詳述すると、ワイパブレード10が後方側へ移動することで、ブレードラバー12の払拭部24がウインドシールドガラスの払拭面を払拭している状態では、ヨーク部材20の係止ビード68の上端部における前端側80とヨーク部材配置溝42の内周面との接触点を回転中心として、ヨーク部材20が中立姿勢から一方側へ傾動するようになっている。
【0037】
また、ワイパブレード10が前方側へ移動することで、ブレードラバー12の払拭部24がウインドシールドガラスの払拭面を払拭している状態では、ヨーク部材20の係止ビード68の上端部における後端側82とヨーク部材配置溝42の内周面との接触点を回転中心として、ヨーク部材20が中立姿勢から他方側へ傾動するようになっている。
【0038】
なお、ヨーク部材20とウイング18のヨーク部材配置溝56との間のクリアランスについても、ヨーク部材20とレバー16のヨーク部材配置溝42の内周面との間のクリアランスと同様になっている。
【0039】
図3図5及び図10に示されるように、ヨーク部材20の長手方向両端部には、ブレードラバー12の長手方向中間部を支持するブレードラバー係止部84が形成されている。各ブレードラバー係止部84は、ヨーク部材20の前端部及び後端部から下側へ延出された前後一対の支持片84Aを有している。前後の支持片84Aの先端部(下端部)は、互いに接近する側へ屈曲されており、前述した一対の支持用溝28内に嵌合している。これにより、ブレードラバー12の長手方向中間部が各ブレードラバー係止部84によって支持されるようになっている。
【0040】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0041】
図5及び図6に示されるように、本実施形態のワイパブレード10では、ブレード本体15を構成するレバー16及びウイング18が取り付けられると共にブレードラバー12を支持するヨーク部材20が、金属板を用いて形成されている。このヨーク部材20は、第1延在部62、第2延在部64及び第3延在部66を有していることに加えて、第2延在部64と第3延在部66との境目が折り返されていると共に第2延在部64と第3延在部66とが重なっている構成となっている。これにより、ヨーク部材20の剛性を確保しつつ、当該ヨーク部材20の構成が複雑になることを抑制することができる。また、折返部70の位置を調節することにより、ヨーク部材20の形状及び寸法を様々な形状及び寸法のレバー16及びウイング18に対応させることができる。
【0042】
また、図6図7及び図9に示されるように、本実施形態のワイパブレード10では、ヨーク部材20においてレバー16等の第1係止部46が係止される部分が、第1延在部62に形成された係止ビード68となっている。これにより、第1延在部62の上下方向への曲げ剛性が低下することを抑制することができ、その結果、ヨーク部材20の上下方向への曲げ剛性が低下することを抑制することができる。
【0043】
また、図6及び図8に示されるように、本実施形態のワイパブレード10では、ヨーク部材20においてレバー16等の第2係止部48が係止される部分が、第3延在部66に形成された係止孔76となっている。これにより、例えば、ヨーク部材20を形成する金属板を裁断する工程で係止孔76を容易に形成することができる。なお、係止孔76は第3延在部66をその厚み方向に貫通する構成となっているが、第3延在部66の厚み方向は前後方向となっている。そのため、係止孔76が第3延在部66に形成されていたとしても、第3延在部66の上下方向への曲げ剛性への影響を小さくすることができる。すなわち、本実施形態では、第3延在部66の上下方向への曲げ剛性の低下を抑制しつつ、係止孔76を容易に形成することができる。
【0044】
また、本実施形態では、第3延在部66の延出端部74の下端部において長手方向に隣り合う一対の係止孔76の間が、凹状に窪んでいる窪み部78となっている。これにより、第3延在部66の延出端部74の下端部における余剰部分が除去された構成となり、ヨーク部材20の重量が増加することを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、車両の走行に伴い、ブレード本体15を構成するレバー16及びウイング18とブレードラバー12との間を通過した空気が、ヨーク部材20の第3延在部66の延出端部74に当たるようになっている。本実施形態の例では、延出端部74の前方側の空気の流速が、レバー16及びウイング18の上方側を流れる空気の流速よりも遅くなる。これにより、車両の走行に伴う空気の流れによって生じるブレード本体15への上下方向の力(揚力)を所望の力に調節することができる。なお、延出端部74の上下方向の寸法等は、ブレード本体15へ生じる揚力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0046】
また、本実施形態では、図6及び図11に示されるように、ワイパブレード10が後方側へ移動することで、ブレードラバー12の払拭部24がウインドシールドガラスの払拭面を払拭している状態では、ヨーク部材20の係止ビード68の上端部における前端側80とヨーク部材配置溝42の内周面との接触点を回転中心として、ヨーク部材20が符号P1で示された中立姿勢から符号P2で示された一方側へ傾動するようになっている。
【0047】
また、図6及び図12に示されるように、ワイパブレード10が前方側へ移動することで、ブレードラバー12の払拭部24がウインドシールドガラスの払拭面を払拭している状態では、ヨーク部材20の係止ビード68の上端部における後端側82とヨーク部材配置溝42の内周面との接触点を回転中心として、ヨーク部材20が符号P1で示された中立姿勢から符号P3で示された他方側へ傾動するようになっている。
このように、一方側へ傾動する際の接触点と他方側へ傾動する際の接触点とはワイパブレード10の幅方向において異なる位置となっている。
【0048】
そして、図11及び図12に示されるように、本実施形態では、ヨーク部材20の中立姿勢から一方側へ傾動角度が、ヨーク部材20の中立姿勢から他方側へ傾動角度よりも大きくなっている。このようにして、ワイパブレード10が後方側へ移動している状態におけるブレードラバー12の払拭部24とウインドシールドガラスの払拭面との接触角度と、ワイパブレード10が前方側へ移動している状態におけるブレードラバー12の払拭部24とウインドシールドガラスの払拭面との接触角度と、を微調整することができる。
【0049】
なお、以上説明した例では、ヨーク部材20の中立姿勢から一方側へ傾動角度が、ヨーク部材20の中立姿勢から他方側へ傾動角度よりも大きくなっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ヨーク部材20の中立姿勢から一方側へ傾動角度及びヨーク部材20の中立姿勢から他方側へ傾動角度は、車両のウインドシールドガラスの構成を考慮して適宜設定すればよい。
【0050】
また、本実施形態では、第3延在部66の延出端部74の下端部において長手方向に隣り合う一対の係止孔76の間が、凹状に窪んでいる窪み部78となっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第3延在部66に窪み部78を設けるか否かは、要求されるヨーク部材20の重量等を考慮して適宜設定すれば良い。
【0051】
また、本実施形態では、ヨーク部材20においてレバー16等の第1係止部46が係止される部分が、第1延在部62に形成された係止ビード68となっていると共に、ヨーク部材20においてレバー16等の第2係止部48が係止される部分が、第3延在部66に形成された係止孔76となっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1延在部62に係止孔76が形成されていると共に、第3延在部66に係止ビード68が形成されている構成としてもよい。また、第1延在部62及び第3延在部66の両方に係止ビード68が形成されている構成としてもよいし、第1延在部62及び第3延在部66の両方に係止孔76が形成されている構成としてもよい。
【0052】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 ワイパブレード、12 ブレードラバー、15 ブレード本体、16 レバー、18 ウイング、20 ヨーク部材、46 第1係止部、48 第2係止部、62 第1延在部、64 第2延在部、66 第3延在部、68 係止ビード、68 第1ブレード本体係止部、76 第2ブレード本体係止部、76 係止孔、84 ブレードラバー係止部
図1
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図12