(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20241008BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H05K5/02 E
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2021110863
(22)【出願日】2021-07-02
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】李 虹辰
(72)【発明者】
【氏名】國府田 晶
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210534649(CN,U)
【文献】特開2001-267758(JP,A)
【文献】特開2006-220171(JP,A)
【文献】特開平06-165342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0319951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
B60R 16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラケットを介して組付箇所に組み付けられる筐体であって、
互いに形状が異なる3種類以上の前記ブラケットを選択的に取り付け可能なブラケット取付部を備えて
おり、
前記ブラケット取付部は、互いに形状が異なる複数の取付構造を有し、
前記ブラケット取付部の各取付構造は、複数の前記ブラケットが有する互いに異なる取付構造にそれぞれ対応している筐体。
【請求項2】
前記ブラケット取付部は、選択的に取り付けられる前記ブラケットを支持する箇所として、幅方向に並ぶように一対設けられた支持部を有する
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記一対の支持部の内側面には、少なくとも2種類以上の前記ブラケットを挿し込み可能な内溝が設けられている
請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
ブラケットを介して組付箇所に組み付けられる筐体であって、
互いに形状が異なる3種類以上の前記ブラケットを選択的に取り付け可能なブラケット取付部を備えて
おり、
前記ブラケット取付部は、選択的に取り付けられる前記ブラケットを支持する箇所として、幅方向に並ぶように一対設けられた支持部を有し、
前記一対の支持部の内側面には、少なくとも2種類以上の前記ブラケットを挿し込み可能な内溝が設けられており、
前記内溝は、
前記一対の支持部が並ぶ方向である第1方向に凹設された第1溝と、
前記第1溝と連通され、前記第1方向と交差する第2方向に凹設された第2溝とを有する筐体。
【請求項5】
前記一対の支持部の外側面には、少なくとも1種類以上の前記ブラケットを挿し込み可能な外溝が設けられている
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記支持部において前記外溝の溝周端位置には、前記支持部を補強する補強リブが設けられている
請求項5に記載の筐体。
【請求項7】
前記外溝には、前記支持部を覆う前記ブラケットが取り付けられる
請求項6に記載の筐体。
【請求項8】
前記ブラケット取付部に取り付けられる前記ブラケットのうち、前記ブラケット取付部から露出する部分を配置させるスペース部を備えている
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項9】
前記ブラケット取付部は、取付対象となる全種類の前記ブラケットと係合可能な係合部を有する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項10】
前記ブラケット取付部は、取付対象となる前記ブラケットの材料又は厚さが異なる場合における前記ブラケットのガタツキを吸収する調整部を有する
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項11】
前記調整部は、前記ブラケットの形状に応じて潰し変形される潰しリブである
請求項10に記載の筐体。
【請求項12】
開口を有する筐体本体と、前記筐体本体の前記開口を閉じる蓋体とを備え、
前記ブラケット取付部は、前記筐体本体の側面に配置されている
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラケットを介して組付箇所に組み付けられる筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスが内部に挿通されるプロテクタを、ブラケットを介して車体に取り付ける構造が周知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のプロテクタでは、組み付け先の形状に応じて、種々の形状のブラケットを用いる場合がある。使用するブラケットの形状が異なる場合、その形状に対応したプロテクタが必要となる。よって、使用するブラケットの形状に応じて、複数種類のプロテクタを用意する必要が生じてしまう。なお、この課題は、前述したプロテクタに限らず、例えば、ヒューズボックスや電気接続箱などの他の機器でも同様に言える。
【0005】
本開示の目的は、多種化を回避することができる筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する筐体は、ブラケットを介して組付箇所に組み付けられる構造であって、互いに形状が異なる3種類以上の前記ブラケットを選択的に取り付け可能なブラケット取付部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、筐体の多種化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、筐体本体を裏面から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、筐体のブラケット取付部の拡大斜視図である。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)は、第1ブラケットをブラケット取付部に取り付ける際の手順図である。
【
図8】
図8は、第1ブラケットが取り付けられた筐体本体の正面図である。
【
図10】
図10は、第2ブラケットが取り付けられた筐体本体の正面図である。
【
図12】
図12は、第3ブラケットが取り付けられた筐体本体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の筐体は、ブラケットを介して組付箇所に組み付けられる構成であって、互いに形状が異なる3種類以上の前記ブラケットを選択的に取り付け可能なブラケット取付部を備えている。
【0010】
本例の構成によれば、1つの筐体を複数種類のブラケットの間で共用することが可能となる。このため、筐体をブラケット種類に応じて複数用意する必要がないので、筐体の多種化を回避することが可能となる。
【0011】
[2]前記ブラケット取付部は、選択的に取り付けられる前記ブラケットを支持する箇所として、幅方向に並ぶように一対設けられた支持部を有する。この構成によれば、ブラケット取付部に取り付けられるブラケットを、一対の支持部によってしっかりと保持することが可能となる。
【0012】
[3]前記一対の支持部の内側面には、少なくとも2種類以上の前記ブラケットを挿し込み可能な内溝が設けられている。この構成によれば、支持部の内溝に挿し込み可能な形状のブラケットを選択的に筐体に取り付けることが可能となる。
【0013】
[4]前記内溝は、前記一対の支持部が並ぶ方向である第1方向に凹設された第1溝と、前記第1溝と連通され、前記第1方向と交差する第2方向に凹設された第2溝とを有する。この構成によれば、第1溝のみに挿し込まれる形状のブラケットと、第1溝及び第2溝の両方に挿し込まれる形状のブラケットとを、選択的に内溝に挿し込んで取り付けることが可能となる。
【0014】
[5]前記一対の支持部の外側面には、少なくとも1種類以上の前記ブラケットを挿し込み可能な外溝が設けられている。この構成によれば、支持部の外溝に挿し込み可能な形状のブラケットを選択的に筐体に取り付けることが可能となる。
【0015】
[6]前記支持部において前記外溝の溝周端位置には、前記支持部を補強する補強リブが設けられている。この構成によれば、支持部の強度を向上することが可能となる。
[7]前記外溝には、前記支持部を覆う前記ブラケットが取り付けられる。この構成によれば、支持部を覆う形状のブラケットであっても、筐体に取り付けることが可能となる。
【0016】
[8]前記筐体は、前記ブラケット取付部に取り付けられる前記ブラケットのうち、前記ブラケット取付部から露出する部分を配置させるスペース部を備えている。この構成によれば、サイズが大きめのブラケットをブラケット取付部に取り付ける場合であっても、ブラケットの大部分を、筐体の側面に収めて配置することが可能となる。
【0017】
[9]前記ブラケット取付部は、取付対象となる全種類の前記ブラケットと係合可能な係合部を有する。この構成によれば、どの種類のブラケットを取り付ける場合であっても、ブラケット取付部の係合部を介して、ブラケットを強固にブラケット取付部に組み付けることが可能となる。
【0018】
[10]前記ブラケット取付部は、取付対象となる前記ブラケットの材料又は厚さが異なる場合における前記ブラケットのガタツキを吸収する調整部を有する。この構成によれば、ブラケットに寸法公差が生じる場合であっても、調整部によって組付状態が調整されるので、寸法公差があるブラケットの各々を、ブラケット取付部にしっかりと組み付けることが可能となる。よって、ブラケット組み付け時のガタツキを生じ難くすることが可能となる。
【0019】
[11]前記調整部は、前記ブラケットの形状に応じて潰し変形される潰しリブである。この構成によれば、調整部の形状をリブという簡易な形状とすることが可能となる。
[12]前記筐体は、開口を有する筐体本体と、前記筐体本体の前記開口を閉じる蓋体とを備えている。前記ブラケット取付部は、前記筐体本体の側面に配置されている。この構成によれば、筐体の側面を組付面として組付箇所に組み付けることが可能となる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の筐体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0021】
図1及び
図2に示すように、筐体1は、ブラケット2を介して、所定の組付箇所(図示略)に組み付けられる。筐体1は、例えば、車両用の物品の場合、車体に組み付けられる。組付箇所は、例えば、車体の運転席の壁面内部、車内の床面の裏面などが挙げられる。筐体1は、例えば、ヒューズボックス、電気接続箱、プロテクタ、コネクタなどが挙げられる。
【0022】
筐体1は、筐体本体4と、筐体本体4の開口5を閉じる蓋体6とを備えている。筐体本体4は、例えば、上面に開口5を有する四角箱状となっている。蓋体6は、例えば、両側の爪部7(片側のみ図示)を筐体本体4の被係合部8(片側のみ図示)に係合するスナップフィット構造によって、筐体本体4に組み付け固定されている。
【0023】
筐体1は、互いに形状が異なる3種類以上のブラケット2を選択的に取り付け可能なブラケット取付部10を備えている。ブラケット取付部10は、筐体本体4の側面11に配置されている。
【0024】
図1に示す通り、ブラケット取付部10には、複数種のブラケット2が選択的に取り付け可能となっている。なお、本例の場合、
図1の紙面左に示すブラケット2を「第1ブラケット2a」とし、
図1の紙面右の上側に示すブラケット2を「第2ブラケット2b」とし、
図1の紙面右の下側に示すブラケット2を「第3ブラケット2c」とする。筐体1は、組付箇所に応じたブラケット2が使用されて、組付箇所に組み付け固定される。
【0025】
第1ブラケット2aは、ブラケット本体部13と、ブラケット本体部13の両端に形成された一対の挿込片14と、ブラケット本体部13に貫設された孔15とを備えている。一対の挿込片14は、内方向に折り返された形状をなし、内側の係合溝16がブラケット取付部10に挿し込まれる。具体的には、挿込片14は、例えば、断面英文字L字状となっている。孔15は、例えば、四角孔形状に設けられている。ブラケット本体部13の裏面には、ブラケット取付部10に係合される爪状の突起17が突設されている。ブラケット本体部13には、裏面方向に厚みを持った膨出部18が形成されている。第1ブラケット2aは、例えば、樹脂製であることが好ましい。
【0026】
第2ブラケット2bは、ブラケット本体部20と、ブラケット本体部20に貫設された孔21とを備えている。孔21は、例えば、四角孔形状に設けられている。ブラケット本体部20には、幅方向に延設された幅広部22が設けられている。第2ブラケット2bは、例えば、金属製であることが好ましい。
【0027】
第3ブラケット2cは、ブラケット本体部24と、ブラケット本体部24の両端に形成された一対の挿込片25と、ブラケット本体部24に貫設された孔26とを備えている。孔26は、例えば、四角孔形状に設けられている。一対の挿込片25は、裏面方向に突出した形状をなしている。第3ブラケット2cは、例えば、樹脂製であることが好ましい。
【0028】
ブラケット取付部10は、選択的に取り付けられるブラケット2を支持する箇所として、幅方向(
図1のY軸方向)に並ぶように一対設けられた支持部28を備えている。支持部28は、例えば、ブロック状に形成されている。支持部28は、例えば、第1ブラケット2aが取り付けられる場合、この第1ブラケット2aを平面支持する。
【0029】
図3及び
図4に示すように、ブラケット取付部10は、取付対象となる全種類のブラケット2と係合可能な係合部29を有する。係合部29は、一対の支持部28の間に配置されている。
図4に示すように、係合部29は、根元を支点に撓むことが可能に形成された係合レバーである。係合部29は、高さ方向の中間位置に爪部30が形成されている。係合部29は、爪部30が支持部28よりも外に飛び出さない高さに形成されている。爪部30は、第1ブラケット2aの孔15、第2ブラケット2bの孔21、及び、第3ブラケット2cの孔26に対し、各々係合する。
【0030】
図5に示すように、一対の支持部28の内側面には、少なくとも2種類以上のブラケット2を挿し込み可能な内溝31が設けられている。内溝31は、係合部29を挟んで対向するように一対(計2つ)配置されている。内溝31は、筐体1の高さ方向(同図のZ軸方向)に延びるように形成されている。内溝31は、一対の支持部28が並ぶ方向(同図のY軸方向)である第1方向A1に凹設された第1溝32と、第1溝32と連通された第2溝33とを備えている。第2溝33は、第1方向A1と交差する第2方向A2に凹設されている。本例の場合、内溝31は、第2ブラケット2b及び第3ブラケット2cを筐体1に取り付ける際に使用される。内溝31は、例えば、断面が略英文字L字状に形成されている。
【0031】
一対の支持部28の外側面には、少なくとも1種類以上のブラケット2を挿込可能な外溝34が設けられている。本例の場合、外溝34は、第1ブラケット2aを筐体1に取り付ける際に使用される。外溝34は、筐体1の幅方向(同図のY軸方向)の両側に計2つ設けられている。外溝34は、筐体1の高さ方向(同図のZ軸方向)に延びるように形成されている。
【0032】
外溝34には、支持部28を覆うブラケット2(本例は、第1ブラケット2a)が取り付けられる。具体的には、支持部28の高さHは、外溝34に係合されるブラケット2(本例は、第1ブラケット2a)をブラケット取付部10に取り付け可能とする高さに設定されている。支持部28の表面は、平面状に形成されている。
【0033】
図5及び
図6に示すように、ブラケット取付部10は、取付対象となるブラケット2に寸法誤差におけるブラケット2のガタツキを吸収する調整部37を備えている。寸法誤差は、例えば、ブラケット2の材質によって影響を受けることが多い。具体的には、樹脂製の場合、寸法誤差が生じ易い。調整部37は、例えば、ブラケット2の形状に応じて潰し変形される潰しリブであることが好ましい。潰しリブは、所定量突出した突片である。
【0034】
本例の場合、調整部37は、内溝31に取り付けられるブラケット2の寸法誤差を吸収する第1調整部37aと、外溝34に取り付けられるブラケット2の寸法誤差を吸収する第2調整部37bとを備えている。第1調整部37aは、係合部29を挟んで対向するように一対(計2つ)配置されている。第2調整部37bは、各々の外溝34の内部に設けられることにより、計2つ配置されている。第1調整部37a及び第2調整部37bは、筐体1の高さ方向(
図5及び
図6のZ軸方向)に延びるように直線状に配置されている。
【0035】
図1に示す通り、支持部28において外溝34の溝周端位置には、支持部28を補強する補強リブ39が設けられている。補強リブ39は、例えば、筐体1の高さ方向(同図のZ軸方向)に延びる突片である。筐体1は、ブラケット取付部10に取り付けられるブラケット2のうち、ブラケット取付部10から露出する部分を配置させるスペース部40を備えている。本例の場合、スペース部40は、筐体本体4の側面11において、支持部28の下側の位置、具体的には、支持部28が設けられていない箇所をいう。
【0036】
次に、本実施形態の筐体1の作用について説明する。
図7(a)に示すように、第1ブラケット2aをブラケット取付部10に取り付ける場合、まず第1ブラケット2aの挿込片14をブラケット取付部10の外溝34に位置合わせして、第1ブラケット2aを外溝34に沿って挿し込む。
図7(b)に示すように、挿し込みの途中、第1ブラケット2aの突起17が係合部29の爪部30と接触する。更に挿し込まれると、突起17によって爪部30が押されて撓むことにより、押し込みが継続される。
【0037】
図8及び
図9に示すように、第1ブラケット2aを外溝34の奥まで押し込むと、ブラケット取付部10の係合部29の爪部30が第1ブラケット2aの孔15に引っ掛かり、第1ブラケット2aの取り付けが完了する。第1ブラケット2aは、取り付け完了状態のとき、膨出部18が筐体1のスペース部40に位置する状態をとる。
【0038】
図10及び
図11に、第2ブラケット2bをブラケット取付部10に取り付けた状態を図示する。
図10に示すように、第2ブラケット2bをブラケット取付部10に取り付け完了状態としたとき、第2ブラケット2bの孔21にブラケット取付部10の係合部29の爪部30が引っ掛かった状態となる。また、第2ブラケット2bは、取り付け完了状態のとき、幅広部22が筐体1のスペース部40に位置する状態をとる。
【0039】
図11に示すように、第2ブラケット2bは、ブラケット取付部10の内溝31に挿し込まれて取り付けられる。本例の場合、第2ブラケット2bは、内溝31のうち、第1溝32のみに挿し込まれた状態をとる。
【0040】
図12及び
図13に、第3ブラケット2cをブラケット取付部10に取り付けた状態を図示する。
図12に示すように、第3ブラケット2cをブラケット取付部10に取り付け完了状態としたとき、第3ブラケット2cの孔26にブラケット取付部10の係合部29の爪部30が引っ掛かった状態となる。また、第3ブラケット2cは、第1ブラケット2aや第2ブラケット2bに比べてサイズが小さいため、支持部28に収まるように配置される。すなわち、筐体1のスペース部40には、部材が何も配置されない状態となる。
【0041】
図13に示すように、第3ブラケット2cは、ブラケット取付部10の内溝31に挿し込まれて取り付けられる。本例の場合、第3ブラケット2cは、内溝31において、第1溝32及び第2溝33の両方に挿し込まれた状態となる。
【0042】
図14(a)、(b)に示すように、ブラケット2には、厚みWの寸法誤差が生じる現状がある。特に、樹脂製のブラケット2は、金属製のブラケット2よりも寸法誤差が大きくなってしまう現状がある。このため、樹脂製である第1ブラケット2aや第3ブラケット2cをブラケット取付部10に取り付けたとき、寸法誤差の程度によっては、発生した隙間がガタツキの原因となる。
【0043】
この対策として、本例の場合、ブラケット2の寸法誤差を吸収可能な調整部37が設けられている。このため、
図14(a)に示すように、寸法が調度よい大きさのブラケット2がブラケット取付部10に取り付けられた場合、調整部37であるリブの先端がブラケット2と接触することにより、ガタツキなくブラケット2が組み付く。
【0044】
一方、
図14(b)に示すように、寸法が大きめとなってしまったブラケット2がブラケット取付部10に取り付けられた場合、調整部37であるリブがブラケット2に食い込むことにより、ガタツキなくブラケット2が組み付く。以上のように、ブラケット2に寸法誤差が生じていても、これらブラケット2をガタツキの少ない状態でブラケット取付部10に組み付けることが可能となる。
【0045】
上記実施形態の筐体1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)筐体1は、ブラケット2を介して組付箇所に組み付けられる。筐体1は、互いに形状が異なる3種類以上のブラケット2を選択的に取り付け可能なブラケット取付部10を備えている。
【0046】
本例の構成によれば、1つの筐体1を複数種類のブラケット2の間で共用することが可能となる。このため、筐体1をブラケット種類に応じて複数用意する必要がないので、筐体1の多種化を回避することができる。
【0047】
(2)ブラケット取付部10は、選択的に取り付けられるブラケット2を支持する箇所として、幅方向に並ぶように一対設けられた支持部28を有する。この構成によれば、ブラケット取付部10に取り付けられるブラケット2を、一対の支持部28によってしっかりと保持することができる。
【0048】
(3)一対の支持部28の内側面には、少なくとも2種類以上のブラケット2を挿し込み可能な内溝31が設けられている。この構成によれば、支持部28の内溝31に挿し込み可能な形状のブラケット2を選択的に筐体1に取り付けることができる。
【0049】
(4)内溝31は、一対の支持部28が並ぶ方向である第1方向A1に凹設された第1溝32と、第1溝32と連通された第2溝33とを有する。第2溝33は、第1方向A1と交差する第2方向A2に凹設されている。この構成によれば、第1溝32のみに挿し込まれる形状のブラケット2(本例は、第2ブラケット2b)と、第1溝32及び第2溝33の両方に挿し込まれる形状のブラケット2(本例は、第3ブラケット2c)とを、選択的に内溝31に挿し込んで取り付けることができる。
【0050】
(5)一対の支持部28の外側面には、少なくとも1種類以上のブラケット2を挿し込み可能な外溝34が設けられている。この構成によれば、支持部28の外溝34に挿し込み可能な形状のブラケット2(本例は、第1ブラケット2a)を選択的に筐体1に取り付けることができる。
【0051】
(6)支持部28において外溝34の溝周端位置には、支持部28を補強する補強リブ39が設けられている。この構成によれば、支持部28の強度を向上することができる。
(7)外溝34には、支持部28を覆う形状のブラケット2(本例は、第1ブラケット2a)が取り付けられる。この構成によれば、支持部28を覆うような形状のブラケット2であっても、筐体1に取り付けることができる。
【0052】
(8)筐体1は、ブラケット取付部10に取り付けられるブラケット2のうち、ブラケット取付部10から露出する部分を配置させるスペース部40を備えている。この構成によれば、サイズが大きめのブラケット2(本例は、第1ブラケット2a、第2ブラケット2b)をブラケット取付部10に取り付ける場合であっても、ブラケット2の大部分を、筐体1の側面11に収めて配置することができる。
【0053】
(9)ブラケット取付部10は、取付対象となる全種類のブラケット2と係合可能な係合部29を有する。この構成によれば、ブラケット取付部10の係合部29を介して、ブラケット2を強固にブラケット取付部10に組み付けることができる。
【0054】
(10)ブラケット取付部10は、取付対象となるブラケット2の材料又は厚さが異なる場合におけるブラケット2のガタツキを吸収する調整部37を有する。この構成によれば、ブラケット2に寸法公差が生じる場合であっても、調整部37によって組付状態が調整されるので、寸法公差があるブラケット2の各々を、ブラケット取付部10にしっかりと組み付けることが可能となる。よって、ブラケット組み付け時のガタツキを生じ難くすることができる。
【0055】
(11)調整部37は、ブラケット2の形状に応じて潰し変形される潰しリブである。この構成によれば、調整部37の形状をリブという簡易な形状とすることができる。
(12)筐体1は、開口5を有する筐体本体4と、筐体本体4の開口5を閉じる蓋体6とを備えている。ブラケット取付部10は、筐体本体4の側面11に配置されている。この構成によれば、筐体1の側面11を組付面として組付箇所に組み付けることができる。
【0056】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ブラケット取付部10は、係合部29が省略された構造としてもよい。
【0057】
・係合部29を省略し、その省略部分も支持部28の一部として、支持部28を1つの部材としてもよい。
・ブラケット取付部10の形状や構造は、実施例に限定されず、3種類以上のブラケット2を取り付け可能であればよい。
【0058】
・ブラケット取付部10は、内溝31及び外溝34を両方有する構造に限らず、片方のみとしてもよい。
・内溝31は、奥行き方向の途中で経路が曲がったL字状に限らず、単なるスリット状の溝としてもよい。具体的には、内溝31は、第1溝32及び第2溝33を有する形状に限定されず、例えば、第1溝32のみ有する形状としてもよい。
【0059】
・係合部29は、レバー状の部材に限定されず、単なる突起としてもよい。
・筐体1は、蓋体6が省略されてもよい。
・調整部37は、所定量突出したリブに限らず、他の形状に変更してもよい。また、調整部37の配置場所は、内溝31や外溝34以外の場所としてもよい。
【0060】
・筐体1は、ヒューズボックス、電気接続箱、プロテクタ、コネクタなどに限定されず、ブラケット2を介して組付箇所に組み付けられる部材であればよい。
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0061】
1 筐体
2 ブラケット
2a 第1ブラケット
2b 第2ブラケット
2c 第3ブラケット
3 ブラケット
4 筐体本体
5 開口
6 蓋体
7 爪部
8 被係合部
10 ブラケット取付部
11 側面
13 ブラケット本体部
14 挿込片
15 孔
16 係合溝
17 突起
18 膨出部
20 ブラケット本体部
21 孔
22 幅広部
24 ブラケット本体部
25 挿込片
26 孔
28 支持部
29 係合部
30 爪部
31 内溝
32 第1溝
33 第2溝
34 外溝
37 調整部
37a 第1調整部
37b 第2調整部
39 補強リブ
40 スペース部
A1 第1方向
A2 第2方向
H 高さ
W 厚み