(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ハンドル及び産業車両
(51)【国際特許分類】
B62D 1/02 20060101AFI20241008BHJP
B66F 9/075 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B62D1/02
B66F9/075 E
(21)【出願番号】P 2021112915
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藥師 忠幸
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-019060(JP,U)
【文献】特開2014-164466(JP,A)
【文献】特開2003-073085(JP,A)
【文献】米国意匠特許発明第00666950(US,S)
【文献】独国特許出願公開第19956870(DE,A1)
【文献】実開昭60-043699(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00302193(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第2001-0048510(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0171947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-1/28
B66F 9/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵に用いられるハンドルであって、
前記ハンドルの回転軸を含む回転中心部と、前記回転中心部に接続される操舵部と、を備え、
前記回転中心部の回転軸が延びる方向を軸方向とし、前記軸方向に垂直な方向の1つを径方向とし、前記軸方向及び前記径方向に垂直な方向を幅方向とすると、
前記操舵部は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に、前記回転中心部から前記径方向に向かって突出し、
前記操舵部の前記幅方向の最大の幅は、前記回転中心部の前記幅方向の最大の幅以下であ
り、
前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に、前記操舵部は、前記回転中心部から前記径方向に延びるアーム部と、前記アーム部の端部であって前記回転中心部と反対に位置する端部に接続されるとともに少なくとも前記軸方向に延びる把持部と、からなり、
前記アーム部は、前記アーム部を前記軸方向に貫通する貫通部を備え、
前記アーム部の前記幅方向の幅及び前記貫通部の前記幅方向の幅はそれぞれ、前記回転中心部から前記把持部に向かうにつれて小さくなる、ハンドル。
【請求項2】
車両の操舵に用いられるハンドルであって、
前記ハンドルの回転軸を含む回転中心部と、前記回転中心部に接続される操舵部と、を備え、
前記回転中心部の回転軸が延びる方向を軸方向とし、前記軸方向に垂直な方向の1つを径方向とし、前記軸方向及び前記径方向に垂直な方向を幅方向とすると、
前記操舵部は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に、前記回転中心部から前記径方向に向かって突出し、
前記操舵部の前記幅方向の最大の幅は、前記回転中心部の前記幅方向の最大の幅以下であり、
前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に、前記操舵部は、前記回転中心部から前記径方向に延びるアーム部と、前記アーム部の端部であって前記回転中心部と反対に位置する端部に接続されるとともに少なくとも前記軸方向に延びる把持部と、からなり、
前記アーム部は、前記アーム部を前記軸方向に貫通する貫通部と、前記径方向において前記貫通部と前記把持部が接続される部分との間に設けられた非貫通部と、を備え、
前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合、前記非貫通部は、前記径方向において前記把持部よりも前記回転中心部側に位置する部分を含む、ハンドル。
【請求項3】
前記アーム部の前記幅方向の幅は、前記回転中心部から前記把持部に向かうにつれて小さくなる、請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記回転中心部は、表示部を備え、
前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合、前記回転中心部の回転軸が前記表示部の一部と重なる、請求項
1~3のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項5】
前記表示部は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に円形であり、
前記表示部の中心は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に前記回転中心部の回転軸と重なる、請求項
4に記載のハンドル。
【請求項6】
前記回転中心部は、前記車両に固定可能な固定部を備え、
前記表示部は、前記固定部に固定されている、請求項
4又は
5に記載のハンドル。
【請求項7】
前記表示部は、前記操舵部と一体回転可能に構成されている、請求項
4又は
5に記載のハンドル。
【請求項8】
前記回転中心部は、前記車両に接続される接続端部を備え、
前記アーム部と前記接続端部との前記軸方向の距離は、前記回転中心部から前記把持部に向かうにつれて大きくなる、請求項
1~7のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載のハンドルを備える、産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル及び産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の操舵に用いられるハンドルとして、円環状のリブを有するものが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載のハンドルは、ハンドルの回転軸を含む回転中心部と、回転中心部に接続される操舵部と、リブと、を備える。リブは、回転中心部の回転軸が延びる方向からハンドルを平面視した場合に、回転中心部を内部に含む円環状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の操縦者が快適に運転できるように、運転席周辺で広い空間を確保することが求められている。運転席周辺で広い空間を確保する方法の1つとして、ハンドルの小型化が挙げられる。しかし、ハンドルの小型化には、円環状のリブの直径を小さくする必要がある。上記のような円環状のリブを有するハンドルはリブの直径を回転中心部より大きくする必要がある。そのため、ハンドルの小型化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するハンドルは、車両の操舵に用いられるハンドルであって、前記ハンドルの回転軸を含む回転中心部と、前記回転中心部に接続される操舵部と、を備え、前記回転中心部の回転軸が延びる方向を軸方向とし、前記軸方向に垂直な方向の1つを径方向とし、前記軸方向及び前記径方向に垂直な方向を幅方向とすると、前記操舵部は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に、前記回転中心部から前記径方向に向かって突出し、前記操舵部の前記幅方向の最大の幅は、前記回転中心部の前記幅方向の最大の幅以下である。
【0006】
これによれば、操舵部が円環状のリブを有する場合に比べて、ハンドル全体の幅が小さくなる。したがって、円環状のリブを有するハンドルに比べて、ハンドルを小型化することができる。
【0007】
上記ハンドルにおいて、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に、前記操舵部は、前記回転中心部から前記径方向に延びるアーム部と、前記アーム部の端部であって前記回転中心部と反対に位置する端部に接続されるとともに少なくとも前記軸方向に延びる把持部と、からなる、ものであってもよい。
【0008】
これによれば、把持部に幅方向の力を加えることで、操縦者は、回転中心部にトルクを加えることができる。このとき、把持部がアーム部の回転中心部と反対に位置する端部に接続されているため、把持部がアーム部の途中に設けられている場合に比べて、操縦者は小さい力でトルクを発生させることができる。したがって、ハンドルの操舵性を向上することができる。
【0009】
上記ハンドルにおいて、前記回転中心部は、表示部を備え、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合、前記回転中心部の回転軸が前記表示部の一部と重なる、ものであってもよい。
【0010】
これによれば、ハンドルの回転操作に対する表示部の軸方向に垂直な面内での移動量が小さくなる。したがって、ハンドルの操作の際に表示部の視認性が低下することを抑制することができる。
【0011】
上記ハンドルにおいて、前記表示部は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に円形であり、前記表示部の中心は、前記ハンドルを前記軸方向から平面視した場合に前記回転中心部の回転軸と重なる、ものであってもよい。
【0012】
これによれば、ハンドルを軸方向から平面視した場合に、表示部が操舵部の回転軌跡が描く円と同心円状となるため、表示部とハンドル操作との親和性が向上する。したがって、ハンドルの視認性及び操舵性を向上させることができる。
【0013】
上記ハンドルにおいて、前記回転中心部は、前記車両に固定可能な固定部を備え、前記表示部は、前記固定部に固定されている、ものであってもよい。
これによれば、表示部は、固定部に固定されているため、ハンドルの回転操作が行われても、表示部の位置が変化しない。したがって、表示部の視認性を向上させることができる。
【0014】
上記ハンドルにおいて、前記表示部は、前記操舵部と一体回転可能に構成されている、ものであってもよい。
これによれば、表示部が操舵部の回転とともに回転するため、表示部の外観からハンドルの回転角を認識しやすくなる。したがって、操縦者にとって操作しやすいハンドルを提供することができる。
【0015】
上記ハンドルにおいて、前記アーム部の前記幅方向の幅は、前記回転中心部から前記把持部に向かうにつれて小さくなる、ものであってもよい。
これによれば、アーム部の幅が把持部から回転中心部に向かって長くなる。これにより、回転中心部とアーム部との接続領域が大きくなるため、回転中心部とアーム部との結合がより強固なものになる。したがって、ハンドルの耐久性を向上させることができる。
【0016】
上記ハンドルにおいて、前記回転中心部は、前記車両に接続される接続端部を備え、前記アーム部と前記接続端部との前記軸方向の距離は、前記回転中心部から前記把持部に向かうにつれて大きくなる、ものであってもよい。
【0017】
これによれば、ハンドルが車両に接続されている場合、把持部はアーム部よりも車両から遠い位置に配置される。そのため、把持部はアーム部よりも操縦者に近い位置に配置される。これにより、例えば、アーム部が把持部より操縦者に近い位置に配置される場合に比べて、ハンドルの操舵の際にアーム部が操縦者に触れにくくなる。したがって、より快適な操舵が可能なハンドルを提供できる。
【0018】
上記ハンドルにおいて、前記アーム部は、前記アーム部を前記軸方向に貫通する貫通部を備える、ものであってもよい。
これによれば、アーム部に備えられた貫通部により、軸方向の視線を遮る領域が小さくなるため、軸方向から平面視した場合により広い視野を確保することができる。
【0019】
上記課題を解決する産業車両は、上記ハンドルを備える。
これによれば、前方の視認性の高い産業車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ハンドルを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図5】運転室内におけるハンドルを軸方向から平面視した図。
【
図6】運転室内におけるハンドルを産業車両の左から平面視した図。
【
図7】運転室内におけるリングハンドルを軸方向から平面視した図。
【
図8】運転室内におけるリングハンドルを産業車両の左から平面視した図。
【
図9】変形例における産業車両のシステム構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、ハンドル及び産業車両の一実施形態について説明する。本実施形態のハンドルは産業車両に装着される。以下の説明では、前後左右は、産業車両の前後左右を示す。
<産業車両>
図1に示すように、車両としての産業車両100は、カウンタ式のフォークリフトである。産業車両100は、電力を動力源とする。産業車両100は、荷役装置10と、車体20と、2つの駆動輪21と、2つの操舵輪22と、ヘッドガード23と、4つのピラー24と、運転席25と、フットペダル26と、バッテリフード27と、制御回路28と、荷役操作部29と、ステアリングコラム30と、ハンドル40と、を備える。
【0023】
荷役装置10は、上下方向に延びるマスト11と、マスト11とともに昇降可能に設けられたフォーク12と、フォーク12を昇降動作させるリフトシリンダ13と、を備える。フォーク12には荷が積載される。リフトシリンダ13は油圧シリンダである。リフトシリンダ13の伸縮によってマスト11が昇降すると、これに伴いフォーク12が昇降する。
【0024】
車体20は、マスト11の後部に設けられている。
2つの駆動輪21は、それぞれ車体20の前下部に設けられている。2つの駆動輪21は、左右方向に離れて配置されている。
【0025】
2つの操舵輪22は、車体20の後下部に設けられている。2つの操舵輪22は、互いに隣接して配置されている。
ヘッドガード23は、車体20の上方に配置されている。
【0026】
4つのピラー24は、車体20とヘッドガード23とを接続している。ピラー24は、それぞれ車体20の隅からヘッドガード23に向かって延びている。
運転席25は、車体20の上方に設けられている。詳細には、運転席25は、車体20とヘッドガード23との間に設けられている。運転席25には、産業車両100の操縦者が搭乗可能である。運転席25は、運転室V内に設けられているともいえる。本実施形態における運転室Vは、車体20とヘッドガード23と4つのピラー24とで囲まれた空間である。以下、説明の便宜上、産業車両100の操縦者を単に「操縦者」という。
【0027】
フットペダル26は、運転席25の前方に設けられている。フットペダル26は、運転室Vの前下部に設けられているともいえる。フットペダル26は、アクセルペダルとブレーキペダルとを含む。フットペダル26の操作に応じて、産業車両100は走行動作を行う。
【0028】
バッテリフード27は、バッテリ収容部と運転室Vとを区画する開閉可能な壁部である。バッテリ収容部には、産業車両100の動力源であるバッテリが収容されている。バッテリは、例えば二次電池である。二次電池としては、例えばリチウムイオン蓄電池や鉛蓄電池である。バッテリフード27は、運転席25の下に設けられている。操縦者は、バッテリフード27は、例えば運転席25を後方に倒すことで開けることができる。操縦者は、バッテリフード27を開けることで、バッテリ収容部からバッテリを取り出すことができる。
【0029】
制御回路28は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御回路28は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御回路28は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0030】
制御回路28は、走行操作に関する情報及び荷役操作に関する情報を取得することができる。走行操作に関する情報とは、例えば産業車両100の走行速度、操舵輪22の方向、バッテリ残量などである。荷役操作に関する情報とは、例えば荷の重量、フォーク12の高さ位置、ティルト角などである。
【0031】
荷役操作部29は、荷役装置10の操作に用いられる。本実施形態では、荷役操作部29は、複数(詳細には3つ)のレバーである。なお、荷役操作部29の具体的態様は、ボタン式、ハンドル式など任意である。荷役操作部29は、運転室Vの右前部に設けられている。本実施形態の産業車両100は、操縦者による操作によって走行動作及び荷役動作が行われるものである。
【0032】
ステアリングコラム30は、運転室Vの前部から運転席25に向かって延びている。言い換えれば、ステアリングコラム30は、運転席25の前方に(詳細には正面に)設けられている。このとき、荷役操作部29は、ステアリングコラム30の右側に設けられているともいえる。ステアリングコラム30の内部には、図示しない角度センサが設けられている。角度センサは、ハンドル40の回転角を検知する。操舵輪22の向きは、角度センサの検出結果に基づき変更される。
【0033】
ハンドル40は、円環状のリブを有しないリングレス形状である。ハンドル40は、ステアリングコラム30に接続されている。ハンドル40は、産業車両100の操舵に用いられる。
【0034】
<ハンドル>
以下、ハンドル40の詳細について説明する。
図2に示すように、操縦者は、ハンドル40の回転軸Axを中心としてハンドル40を回転させることで、操舵輪22の向きを変えることができる。これにより、操縦者は、産業車両100の進行方向を操作することができる。以下、説明の便宜上、ハンドル40の回転軸Axを単に「回転軸Ax」という。また、回転軸Axが延びる方向を「軸方向z」という。また、軸方向zからハンドル40を平面視することを単に「軸方向zからの平面視」ということがある。ハンドル40は、回転中心部50と、操舵部70と、を備える。
【0035】
図3に示すように、回転中心部50は、軸方向zからの平面視において、円形となる。回転中心部50は、固定部51と、回転部52と、表示部60と、を備える。
図3及び
図4に示すように、固定部51は、円柱状の部材である。固定部51は、軸方向zに延びている。固定部51は、ステアリングコラム30に固定可能である。固定部51の中心軸は、回転軸Axと一致している。
【0036】
回転部52は、回転軸Axを中心に、固定部51に対して相対回転可能に構成されている部材である。回転部52の回転軸は、回転軸Axと一致している。回転部52は、端壁53と、周壁54と、を備える。
【0037】
端壁53は、軸方向zに厚さ方向を有する円盤状である。端壁53の中心は、軸方向zからの平面視において回転軸Axと重なる。端壁53は、固定部51が挿入される挿入孔53aを備える。端壁53は、産業車両100に接続される接続端部である。端壁53の挿入孔53aを介して固定部51がステアリングコラム30に接続されることで、ハンドル40は産業車両100に接続される。
【0038】
周壁54は、端壁53の外周部から軸方向zに延びている。周壁54は、接続周壁55と、突出周壁56と、を備える。
接続周壁55は、端壁53に接続されている。接続周壁55は、端壁53の外周部から軸方向zに延びている。接続周壁55は、円筒状である。
【0039】
突出周壁56は、筒状である。突出周壁56は、接続周壁55の端部から軸方向zに延びている。なお、当該端部は、端壁53が接続されている端部と軸方向zにおいて反対に位置する。突出周壁56は、接続周壁55を介して端壁53に接続されている。一方、接続周壁55と軸方向zにおいて反対に位置する突出周壁56の端部56aは、開口している。以下、当該端部を、「開口端部56a」という。開口端部56aの形状は、軸方向zからの平面視において円形である。
【0040】
突出周壁56の外周面56bは、接続周壁55の外周面55aよりも回転軸Axから離れている。また、突出周壁56の外周面56bは、端壁53から軸方向zに離れるにつれて回転軸Axに近づくように傾斜している。
【0041】
端壁53と、周壁54の内周壁とが、収容凹部57を画定している。収容凹部57は、固定部51の少なくとも一部を収容している。
固定部51と回転部52との間には、回転機構RFが設けられている。回転機構RFは、回転部52を固定部51に対して相対回転可能にする機構である。回転機構RFは、例えば遊星歯車機構である。なお、回転機構RFはこれに限られず、ベアリング機構や、潤滑油を用いたすべり機構など、任意の態様を採用可能である。
【0042】
表示部60は、運転席25から視認可能なディスプレイ装置である。表示部60は、例えば産業車両100の走行状態や荷役状態に関する情報などの表示内容を表示する。表示部60は、例えば制御回路28からの指令に基づいて、表示内容を表示する。
【0043】
表示部60は、収容凹部57に収容されている。本実施形態では、表示部60は、固定部51に固定されている。表示部60の形状は、軸方向zからの平面視において円形である。詳細には、表示部60の形状は、回転軸Axに垂直な円盤状である。軸方向zからの平面視において、表示部60の中心は、回転中心部50の中心と一致する。言い換えれば、軸方向zからの平面視において、表示部60の中心は、回転軸Axと重なる。
【0044】
操舵部70は、回転中心部50の回転軸Axを中心に回動可能に構成されている。操舵部70は、回転中心部50に接続されている。操舵部70は、回転部52に固定されている。これにより、操縦者は、操舵部70を操作することにより回転部52を回転させることができる。軸方向zからの平面視において、操舵部70は、径方向yに回転中心部50から突出している。径方向yは、軸方向zに垂直な方向の1つである。また、以下の説明では、径方向y及び軸方向zの双方に垂直な方向を幅方向xという。
【0045】
操舵部70が突出している方向(すなわち径方向y)が産業車両100の左右方向と平行なとき、操舵部70はニュートラルポジションとなっている。なお、操舵部70がニュートラルポジションであるとは、ハンドル40の回転角が0度であることを意味する。
【0046】
操舵部70は、アーム部71と、把持部80と、からなる。
軸方向zからの平面視において、アーム部71は、回転中心部50(詳細には突出周壁56)から径方向yに延びている。軸方向zからの平面視において、アーム部71はU字状である。軸方向zからの平面視において、アーム部71は、回転中心部50に向かって開口している。アーム部71は、回転軸Axに向かって径方向yに開口している。アーム部71は、2つの接続辺部72,73と、合流辺部74と、を備える。
【0047】
2つの接続辺部72,73は、曲線状に延びている部材である。接続辺部72,73の断面とは、各接続辺部72,73が延びている曲線を法線とする局所的な面における断面である。2つの接続辺部72,73は、それぞれ第1端72a,73aと、第2端72b,73bと、接続内面72c,73cと、接続外面72d,73dと、を備える。
【0048】
2つの接続辺部72,73の第1端72a,73aは、それぞれ回転部52に接続されている。詳細には、2つの接続辺部72,73の第1端72a,73aは、それぞれ突出周壁56に接続されている。軸方向zからの平面視において、第1端72a,73aは、それぞれ幅方向xに離れて配置されている。
【0049】
軸方向zからの平面視において、2つの接続辺部72,73は、それぞれ回転部52から径方向yに沿って延びている。詳細には、軸方向zからの平面視において、2つの接続辺部72,73は、第1端72a,73aが固定されている突出周壁56から径方向yに沿って延びている。
【0050】
接続内面72c,73cは、接続辺部72,73の面の1つである。接続辺部72の接続内面72cと接続辺部73の接続内面73cとは、互いに幅方向xで向かい合っている。このように、2つの接続辺部72,73は、幅方向xに離れている。また、接続内面72c,73cは、それぞれ突出周壁56の外周面56bに接続されている。
【0051】
ハンドル40を幅方向xから平面視した場合、2つの接続辺部72,73は重なっている。2つの接続辺部72,73は、それぞれ回転軸Axから径方向yに離れるにつれて、回転部52の端壁53から離れている。これにより、軸方向zにおけるアーム部71と端壁53との軸方向zの距離は、回転中心部50から径方向yに離れるにつれて大きくなる。第1の接続辺部72は、第1端72aと第2端72bとの間に変曲点を有する。第2の接続辺部73は、第1端73aと第2端73bとの間に変曲点を有する。変曲点とは、軸方向zへの曲率が0となる箇所である。
【0052】
接続辺部72の接続外面72dは、接続辺部72の接続内面72cと幅方向xで反対に位置する面である。接続辺部73の接続外面73dは、接続辺部73の接続内面73cと幅方向xで反対に位置する。軸方向zからの平面視において、2つの接続外面72d,73dは、アーム部71の外縁を画定する。2つの接続外面72d,73dとの幅方向xの距離は、回転中心部50(詳細には回転軸Ax)から径方向yに離れるにつれて短くなる。このように、アーム部71の幅は、回転中心部50から径方向yに離れるにつれて小さくなる。なお、「幅」とは、部材の幅方向xの長さを意味する。ある部材の幅が位置によって異なる場合、当該部材全体のなかの最大の幅を「最大幅」という。
【0053】
合流辺部74は、2つの接続辺部72,73の第2端72b,73bが接続されている部材である。合流辺部74は、径方向yに延びるアーム部71の端部であるともいえる。また、合流辺部74は、アーム部71の端部であって、回転中心部50とは反対に位置する端部であるともいえる。合流辺部74は、アーム部71の端部であって、回転中心部50から径方向yに離れている端部であるともいえる。合流辺部74は、合流内面74aと、合流外面74bと、を備える。
【0054】
合流内面74aは、合流辺部74の面の1つである。合流内面74aは、2つの接続内面72c,73cを接続している。合流内面74aは、突出周壁56の外周面56bと向かい合っている。軸方向zからの平面視では、接続内面72c,73cと合流内面74aとが、切り欠きを画定している。当該切り欠きと突出周壁56の外周面56bとが、貫通部75を画定している。貫通部75は、操舵部70(詳細にはアーム部71)を軸方向zに貫通している。したがって、操舵部70は、貫通部75を備えるといえる。また、アーム部71が貫通部75を備えるともいえる。
【0055】
合流外面74bは、合流内面74aと少なくとも径方向yで反対に位置する面である。合流外面74bは、2つの接続外面72d,73dを接続している。軸方向zからの平面視において、合流外面74bは、アーム部71の外縁を構成する。本実施形態では、接続外面72d,73dと合流外面74bとが、軸方向zからの平面視におけるアーム部71の外縁を画定する。
【0056】
合流辺部74の幅は、回転中心部50の最大幅W2以下である。合流辺部74の最大幅は、2つの第2端72b,73b間の幅方向xの距離と等しい。したがって、アーム部71の最大幅W1は、2つの接続外面72d,73dの間の幅方向xの距離と等しい。アーム部71の最大幅W1は、回転中心部50の最大幅W2より小さい。アーム部71の幅は、回転中心部50から合流辺部74に向かうにつれて小さくなっている。なお、アーム部71の最大幅W1は、回転中心部50の最大幅W2と等しくてもよい。すなわち、アーム部71の最大幅W1は、回転中心部50の最大幅W2以下であればよい。なお、本実施形態の回転中心部50の最大幅W2は、回転中心部50の突出周壁56の外周円の直径と等しい。
【0057】
把持部80は、操縦者がハンドル40を操作する際に把持する部材である。軸方向zからの平面視では、把持部80は、円形である。把持部80の最大幅は、回転中心部50の最大幅W2以下である。また、把持部80の幅は、アーム部71の最大幅W1より小さい。本実施形態の把持部80は、略楕円球形状のノブである。このとき、把持部80の最大幅は、軸方向zからの平面視における把持部80の直径と等しい。
【0058】
把持部80は、アーム部71に接続されている。詳細には、把持部80は、合流辺部74に接続されている。そのため、アーム部71の幅は、回転中心部50から把持部80に向かうにつれて小さくなっている。
【0059】
把持部80は、端壁53から離れるように、アーム部71から延びている。詳細には、把持部80は、合流辺部74から軸方向zに延びている。このとき、把持部80は、端壁53から離れるように、少なくとも軸方向zに延びている。把持部80は、アーム部71に対して把持部80の回転軸を中心に回転自在に構成されている。把持部80の回転軸は、軸方向zに平行である。具体的には、把持部80は、アーム部71と回転機構を介して接続されている。当該回転機構は、遊星歯車機構、ベアリング機構、すべり機構など、任意の態様で実現可能である。把持部80は、軸方向zからの平面視において合流辺部74から径方向yに突出している。把持部80の直径は、アーム部71の最大幅W1より短い。そのため、操舵部70の最大幅は、アーム部71の最大幅W1となる。以下、説明の便宜上、本実施形態の操舵部70の最大幅を最大幅W1と表記することがある。
【0060】
ハンドル40全体の最大幅W3は、操舵部70の最大幅W1及び回転中心部50の最大幅W2のうちの大きいものとなる。操舵部70の最大幅W1は、回転中心部50の最大幅W2より小さいため、ハンドル40全体の最大幅W3は、回転中心部50の最大幅W2となる。
【0061】
<ハンドル40と産業車両100との関係>
次に、運転室V内でのハンドル40周辺について説明する。なお、回転軸Axから把持部80までの距離を突出長Rという。突出長Rは、ハンドル40の操舵部70の径方向yの突出度合を示す指標の1つである。
【0062】
図5に示すように、ハンドル40全体の最大幅W3は、ハンドル40の突出長Rより短い。そのため、特にハンドル40がニュートラルポジションとなっている場合、ハンドル40が運転席25の前方を覆わないため、前方の視認性が良好となる。また、回転中心部50が軸方向zからの平面視において円形となるため、ハンドル40が回転操作されても、回転中心部50の形状の変化が小さい。したがって、ハンドル40そのものの視認性が向上する。また、荷役操作部29がハンドル40の右手前に配置されているため、操縦者は、ハンドル40を左手で操作しつつ、荷役操作部29を右手で操作することができる。
【0063】
図6に示すように、産業車両100では、バッテリフード27を開けるためには、ハンドル40と運転席25との間の距離D1が一定以上長くなければならない。当該距離D1は、運転室Vの広さを示す指標でもある。本実施形態では、ハンドル40がニュートラルポジションとなっている場合、ハンドル40と運転席25との距離D1が最大となる。そのため、操舵部70の位置を調整することでハンドル40と運転席25との距離D1を確保することができる。
【0064】
<比較例の説明>
次に、
図7及び
図8を用いて、産業車両100が本実施形態のハンドル40に代えてリングハンドル200を備えている場合について説明する。なお、リングハンドル200の部材のうち、ハンドル40が備える部材に相当する箇所については同一の部材番号を付し、説明を省略する。また、リングハンドル200の突出長は、本実施形態のハンドル40の突出長Rと等しいものとし、説明の便宜上、両者とも突出長Rと表記する。
【0065】
リングハンドル200の操舵部70は、アーム部71及び把持部80を備える。リングハンドル200のアーム部71は、円環状のリブ201を含む。リブ201は、アーム部71のうちの回転中心部50から延びる部分の先端に設けられている。
【0066】
軸方向zからの平面視において、リブ201の中心は、回転軸Axに重なる。軸方向zからの平面視において、リブ201の内部には、回転中心部50が含まれる。すなわち、リブ201の直径は、回転中心部50の直径より大きい。そのため、軸方向zからの平面視において、リブ201がリングハンドル200の外縁を画定する。したがって、リングハンドル200の幅は、リブ201の太さを無視すると、リブ201の直径と一致する。そのため、リングハンドル200の幅は、操舵部70の最大幅W1に相当する。
【0067】
ハンドル40,200の操舵性は、操縦者が把持部80に加える力に対する回転中心部50のトルクによって決まる。このような力とトルクの関係は、回転中心部50から把持部80までの径方向yの距離(比較例のリングハンドル200では、リブ201の半径)によって決まる。
【0068】
一方、ハンドル40,200と運転席25との距離D1は、ハンドル40,200全体の最大幅W3によって決まる。そのため、ハンドル40,200全体の最大幅W3を小さくすることで、運転席25周辺の空間が広くなる。
【0069】
しかし、リングハンドル200では、リブ201の直径を小さくすると、回転中心部50から把持部80としてのリブ201の距離(すなわち、リングハンドル200の突出長R)も小さくなる。そのため、リブ201の直径の変更(具体的には小径化)が、産業車両100の操舵性に影響を与えることとなる。したがって、リングハンドル200では、小型化と操舵性の確保との両立が困難となる。
【0070】
図7に示すように、例えばリングハンドル200を備える産業車両は、本実施形態のハンドル40を備える産業車両100に比べて、運転席25からの前方の視認性が低くなる。
【0071】
また、
図8に示すように、リングハンドル200を備える産業車両100は、本実施形態のハンドル40を備える産業車両100に比べて、リングハンドル200と運転席25との距離D1が短くなる。そのため、例えばバッテリフード27を開ける際に、操縦者は、ステアリングコラム30を上方に傾ける等により、リングハンドル200と運転席25との距離D1を広げる必要がある。
【0072】
<作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
図5及び
図6に示すように、本実施形態のハンドル40は、軸方向zからの平面視において、操舵部70のアーム部71が径方向yに突出している。アーム部71の端部に把持部80が設けられている。操舵部70の最大幅W1は、回転中心部50の最大幅W2より小さい(
図3参照)。ハンドル40全体の最大幅W3は、回転中心部50の幅W2となる。
【0073】
図7及び
図8に示すように、比較例としてのリングハンドル200全体の最大幅W3は、回転中心部50の最大幅W2より大きい操舵部70(詳細にはリブ201)の最大幅W1となる。そのため、本実施形態のハンドル40全体の最大幅W3は、比較例としてのリングハンドル200全体の最大幅W3より小さくなる。
【0074】
<効果>
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)ハンドル40は、ハンドル40の回転軸Axを含む回転中心部50と、回転中心部50に接続される操舵部70と、を備える。操舵部70は、ハンドル40を軸方向zから平面視した場合に、回転中心部50から径方向yに向かって突出する。操舵部70の幅方向xの最大の幅W1は、回転中心部50の幅方向xの最大の幅W2以下である。
【0075】
これによれば、操舵部70の幅方向xの最大の幅W1が回転中心部50の幅方向xの最大の幅W2以下である。そのため、操舵部70が円環状のリブ201を有するリングハンドル200の場合に比べてハンドル40の全体の最大幅W3が小さくなる。したがって、リングハンドル200に比べて、ハンドル40を小型化することができる。
【0076】
(2)ハンドル40を軸方向zから平面視した場合に、操舵部70は、回転中心部50から径方向yに延びるアーム部71と、アーム部71の端部である合流辺部73に接続されるとともに少なくとも軸方向zに延びる把持部80と、からなる。
【0077】
これによれば、把持部80に幅方向xの力を加えることで、操縦者は、回転中心部50にトルクを加えることができる。このとき、把持部80がアーム部71の端部であって回転中心部50と反対に位置する端部(詳細には合流辺部74)に接続されているため、把持部80がアーム部71の途中に設けられている場合に比べて、操縦者は小さい力でトルクを発生させることができる。
【0078】
(3)回転中心部50は、表示部60を備える。ハンドル40は、ハンドル40を軸方向zから平面視した場合、回転中心部50の回転軸Axが表示部60の一部と重なる。
これによれば、ハンドル40の回転操作に対して表示部60の軸方向zに垂直な面内での移動量が小さくなる。したがって、ハンドル40の操作の際に表示部60の視認性が低下することを抑制することができる。
【0079】
(4)表示部60は、ハンドル40を軸方向zから平面視した場合に、円形である。表示部60の中心は、ハンドル40を軸方向zから平面視した場合に、回転中心部50の回転軸Axに重なる。
【0080】
これによれば、ハンドル40を軸方向zから平面視した場合に、表示部60が操舵部70の回転軌跡が描く円と同心円状となるため、表示部60とハンドル40の操作との親和性が向上する。したがって、ハンドル40の視認性及び操舵性を向上させることができる。
【0081】
(5)回転中心部50は、産業車両100に固定可能な固定部51を備える。表示部60は、固定部51に固定されている。
これによれば、表示部60は固定部51に固定されているため、ハンドル40の回転操作が行われても、表示部60の位置が変化しない。したがって、表示部60の視認性を向上することができる。
【0082】
(6)アーム部71の幅方向xの幅は、回転中心部50から把持部80に向かうにつれて小さくなる。
これによれば、アーム部71の幅が把持部80から回転中心部50に向かって長くなる。これにより、回転中心部50とアーム部71との接続領域が大きくなるため、回転中心部50とアーム部71との結合がより強固なものになる。したがって、ハンドル40の耐久性を向上させることができる。
【0083】
(7)回転中心部50は、産業車両100に接続される接続端部としての端壁53を備える。アーム部71は端壁53との軸方向zの距離は、回転中心部50から把持部80に向かうにつれて大きくなる。
【0084】
これによれば、ハンドル40が産業車両100に接続されている場合、把持部80はアーム部71よりも産業車両100から遠い位置に配置される。そのため、把持部80は、アーム部71よりも操縦者に近い位置に配置される。これにより、例えば、アーム部71が把持部80より操縦者に近い位置に配置される場合に比べて、ハンドル40の操舵の際にアーム部71が操縦者に触れにくくなる。したがって、より快適な操舵が可能なハンドル40を提供できる。
【0085】
(8)アーム部71は、アーム部71を軸方向zに貫通する貫通部75を備える。
これによれば、アーム部71に備えられた貫通部75により、軸方向zの視線を遮る領域が小さくなるため、軸方向zから平面視した場合により広い視野を確保することができる。
【0086】
(9)産業車両100は、上記ハンドル40を備える。
これによれば、前方の視認性が高く、かつ、産業車両100を提供することができる。
特にフォークリフトのような産業車両100では、フォーク12に荷を積載するために、操縦者は、産業車両100の前方の荷を視認する必要がある。そのため、車両が産業車両100である場合、操縦者の前方視野を確保することが特に重要となる。上記ハンドル40はリングハンドル200に比べて体格が小さい。そのため、上記ハンドル40は、リングハンドル200に比べて操縦者の前方視野を遮らないため、操縦者の前方視野を広げることができる。
【0087】
また、本実施形態のフォークリフトのように、産業車両100は、運転席25の下にバッテリフード27が設けられている場合がある。リングハンドル200では、リングハンドル200と運転席25との距離D1を確保するために、ステアリングコラム30を移動させるなど手間が生じる。産業車両100が本実施形態のハンドル40を備える場合、ハンドル40と運転席25との距離D1が広くなるため、バッテリフード27を開ける際の上記手間を省くことができる。
【0088】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0089】
○把持部80は、アーム部71に対して回転自在に構成されていなくてもよい。例えば、把持部80は、アーム部71に固定されていてもよい。また、把持部80の形状はノブ形状に限られず任意である。例えば、把持部80の形状は、柱状や球状であってもよい。
【0090】
○アーム部71の形状は任意である。例えば、アーム部71の形状は、U字状に限られず、V字状やO字状であってもよい。また、アーム部71は、回転部52から径方向yに水平に延びていてもよいし、回転中心部50から径方向yに離れるにつれて幅が一定であっても、広くなっていてもよい。要は、操舵部70の最大幅W1が回転中心部50の最大幅W2以下であれば、操舵部70の形状は任意である。
【0091】
○貫通部75の数は1つに限られず、複数であってもよい。また、貫通部75は設けられていなくてもよい。また、貫通部75の形状も任意であり、例えば円形孔や四角孔であってもよい。また、貫通部75は、アーム部71及び把持部80をともに軸方向zに貫通していてもよい。
【0092】
○軸方向zからの平面視において、表示部60の形状は円形に限られない。例えば、軸方向zからの平面視において、表示部60は、多角形状であってもよいし、複数の幾何学的形状の組み合わせで構成されていてもよい。
【0093】
○表示部60の数は1つに限られず、複数であってもよい。また、表示部60の表示内容は、産業車両100に関する情報に限られず、任意である。
○表示部60は、固定部51に固定されていなくてもよい。例えば、回転部52に固定されていてもよい。このとき、表示部60は、回転部52と一体回転可能に構成されている。したがって、表示部60は、操舵部70と一体回転可能に構成されている。これによれば、表示部60が操舵部70とともに回転するため、表示部60の外観からハンドル40の回転角を視認しやすくなる。したがって、操縦者にとって操作しやすいハンドル40を提供することができる。
【0094】
このとき、制御回路28は、表示部60の表示内容が表示部60の回転とともに回転することを抑制してもよい。
図9に示すように、例えば、産業車両100は、ジャイロセンサ301を備える。ジャイロセンサ301は、ハンドル40の角速度を測定する。
【0095】
制御回路28は、ジャイロセンサ301からハンドル40の角速度を取得する。このとき、制御回路28は、当該取得結果に基づき、ハンドル40の回転角を導出する。なお、ハンドル40の回転角とは、ハンドル40のニュートラルポジションからの変位を表す。
【0096】
次に、制御回路28は、当該取得結果に基づき、表示部60の回転態様(すなわちハンドル40の回転態様)を導出する。回転態様とは、表示部60の回転角、角速度などである。
【0097】
次に、制御回路28は、導出された回転態様を打ち消すように、表示部60の表示内容を回転させる。例えば、制御回路28は、表示部60の回転方向と反対の方向に表示部60の回転角だけ表示内容を回転させる。
【0098】
これにより、表示部60が操舵部70と一体回転する場合でも、操縦者の視点では表示内容の回転が抑制されるため、表示内容の確認が容易となる。
○回転中心部50の形状は任意であり、例えば突出周壁56を備えていない円筒形状であってもよいし、四角筒状であってもよい。
【0099】
○回転中心部50は、固定部51を備えていなくてもよい。言い換えれば、ハンドル40は、ハンドル40全体が回転軸Axを中心に回転可能に構成されていてもよい。
○産業車両100は、電力で駆動するものに限られず、例えば内燃機関で駆動するものでも、水素と酸素とで駆動するものであってもよい。また、産業車両100は、フォークリフトに限られず、トーイングトラクターや牽引車などであってもよい。
【0100】
○ハンドル40が設けられる車両は、産業車両に限られず、乗用車などの車両であってもよい。
【符号の説明】
【0101】
40…ハンドル、50…回転中心部、51…固定部、52…回転部、53…端壁、60…表示部、70…操舵部、71…アーム部、75…貫通部、80…把持部、100…産業車両、Ax…回転軸、W1…操舵部の最大の幅、W2…回転中心部の最大の幅、x…幅方向、y…径方向、z…軸方向。