(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】カートン積重体
(51)【国際特許分類】
B65D 71/00 20060101AFI20241008BHJP
B65D 71/56 20060101ALI20241008BHJP
B65D 75/56 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65D71/00 100
B65D71/56 100
B65D75/56
(21)【出願番号】P 2021118443
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 遥絵
(72)【発明者】
【氏名】内田 広美
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036309(JP,A)
【文献】特開平07-315365(JP,A)
【文献】実公昭48-043551(JP,Y1)
【文献】特開2015-027881(JP,A)
【文献】特開2002-302152(JP,A)
【文献】特開2010-275011(JP,A)
【文献】特開2001-348055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0370718(US,A1)
【文献】特開2010-18317(JP,A)
【文献】特開2009-107681(JP,A)
【文献】特表2021-513942(JP,A)
【文献】登録実用新案第3141892(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用紙を収納したカートンを複数積重したカートン積重体であって、
前記複数のカートンには、それぞれの一の側面に第1の連結用帯紙が
接着剤層によって剥離可能に接着されているとともに、前記一の側面と平行なそれぞれの他の側面に、第2の連結用帯紙
が剥離可能に接着されており、前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙によって一体に連結されて
おり、
前記接着剤層は、固形分濃度35~45%の酢酸ビニル樹脂接着剤、またはエマルションタイプのアクリル樹脂系粘着剤によって形成されることを特徴とするカートン積重体。
【請求項2】
前記第1の連結用帯紙と前記第2の連結用帯紙とは、前記複数のカートンのうち、最下位のカートンの底面に巻き回されるようにして一体に連設されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン積重体。
【請求項3】
前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙には、前記複数のカートンのうちの最上位のカートンの上方に位置する紙製把手部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートン積重体。
【請求項4】
前記カートンは、直方体であり、
前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙は、前記複数のカートンのそれぞれの相対的に長い長側面にその長手方向に離間して一対設けられており、
前記紙製把手部は、帯状に一対設けられており、一方の紙製把手部は、その一端部が一方の前記第1の連結用帯紙に接着されているとともに、他端部が他方の第1の連結用帯紙に接着されており、他方の紙製把手部は、その一端部が一方の前記第2の連結用帯紙に接着されているとともに、他端部が他方の第2の連結用紙帯に接着されていることを特徴とする請求項3に記載のカートン積重体。
【請求項5】
前記カートンは、直方体であり、
前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙は、前記複数のカートンのそれぞれの相対的に短い短側面に設けられており、
前記紙製把手部は、帯状を呈しており、その一端部が前記第1の連結用帯紙に接着されているとともに、他端部が前記第2の連結用帯紙に接着されている
ことを特徴とする請求項3に記載のカートン積重体。
【請求項6】
前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙のうちの少なくとも一方には、前記複数のカートンのうちの最上位のカートンの上方に位置するとともに指掛け穴を有する紙製把手部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートン積重体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用紙を収納したカートンを複数積重したカートン積重体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシュペーパー、キッチンタオル、ハンドタオル等の衛生用紙を収納したカートンでは、複数セットとなって持ち運び可能となっている。例えば、特許文献1および2には、衛生用紙を収納したカートンを複数積重したカートン積重体がプラスチック製フィルムで包装されて持ち運び可能となっているものがそれぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-244829号公報
【文献】特開2002-347836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、世界的にプラスチックごみ問題が深刻化しており、地球環境の改善のため、カートン積重体の包装を紙化することが望まれている。
【0005】
ところが、カートン積重体の包装を紙化しただけでは、コスト高となるという問題がある。これは、包装の素材の高コスト化に依るため、特には、カートン積重体を包装するという構造上、コスト高な紙の使用量が多いためである。
【0006】
本発明の目的は、地球環境に優しく、かつ低コストであり、しかも持ち運び時や保管時に崩れることが抑制されるカートン積重体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるカートン積重体は、衛生用紙を収納したカートンを複数積重したカートン積重体であって、前記複数のカートンには、それぞれの一の側面に第1の連結用帯紙が再剥離可能に接着されているとともに、前記一の側面と平行なそれぞれの他の側面に、第2の連結用帯紙が再剥離可能に接着されており、前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙によって一体に連結されていることを特徴とするものである。
【0008】
第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙によって、カートン積重体が一体化される構造上、地球環境に優しく、かつカートン積重体を紙包装する構成と比較して、高コストな紙の使用量が少なく、低コストである。また、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙が複数のカートンのそれぞれに再剥離可能に接着される構造上、カートン積重体の持ち運び時や保管時にカートン積重体が崩れることが抑制される。
【0009】
また、本発明によるカートン積重体は、前記第1の連結用帯紙と前記第2の連結用帯紙とは、前記複数のカートンのうち、最下位のカートンの底面に巻き回されるようにして一体に連設されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る連結用帯紙が最下位のカートンの底面に巻き回される当該構成によって、カートン積重体の持ち運び時に最下位のカートンの脱落を防止でき、カートン積重体を安定して持ち運ぶことができる。
【0011】
さらに、本発明によるカートン積重体は、前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙には、前記複数のカートンのうちの最上位のカートンの上方に位置する紙製把手部が一体に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る紙製把手部をカートン積重体に設けることにより、紙製把手部を把持してカートン積重体を簡単に持ち運ぶことができる。
【0013】
加えて、本発明によるカートン積重体は、前記カートンは、直方体であり、前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙は、前記複数のカートンのそれぞれの相対的に長い長側面にその長手方向に離間して一対設けられており、前記紙製把手部は、帯状に一対設けられており、一方の紙製把手部は、その一端部が一方の前記第1の連結用帯紙に接着されているとともに、他端部が他方の第1の連結用帯紙に接着されており、他方の紙製把手部は、その一端部が一方の前記第2の連結用帯紙に接着されているとともに、他端部が他方の第2の連結用紙帯に接着されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る二対の連結用帯紙および一対の紙製把手部の当該構成により、一対の第1の連結用帯紙の間隔および一対の第2の連結用帯紙の間隔を広く設定して、一方の紙製把手部と他方の紙製把手部を把持してカートン積重体を安定して持ち運ぶことができる。
【0015】
本発明によるカートン積重体は、前記カートンは、直方体であり、前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙は、前記複数のカートンのそれぞれの相対的に短い短側面に設けられており、前記紙製把手部は、帯状を呈しており、その一端部が前記第1の連結用帯紙に接着されているとともに、他端部が前記第2の連結用帯紙に接着されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る連結用帯紙をカートンの短側面に設ける当該構成により、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙によってカートンの長側面が隠蔽されることがなく、カートンの長側面に印刷されるデザインの視認性が損なわれることがなく、複数のカートンの安定した連結が維持できる。
【0017】
本発明によるカートン積重体は、前記第1の連結用帯紙および前記第2の連結用帯紙のうちの少なくとも一方には、前記複数のカートンのうちの最上位のカートンの上方に位置するとともに指掛け穴を有する紙製把手部が一体に設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る連結用帯紙に指掛け穴を有する紙製把手部を設ける当該構成により、部品点数の少ない構成で、カートン積重体を安定して持ち運ぶことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、地球環境に優しく、かつカートン積重体全体を紙包装する構成と比較して、高コストな紙の使用量が少なく、低コストであり、また、カートン積重体の持ち運び時や保管時にカートン積重体が崩れることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るカートン積重体の全体斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の変形例に係るカートン積重体の全体斜視図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るカートン積重体の全体斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の変形例に係るカートン積重体の全体斜視図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るカートン積重体の全体斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る、開口前の紙製把手部の拡大図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係るカートン積重体の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるカートン積重体の形態について、
図1-
図7を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本形態の態様に限定されるものではない。
【0022】
本発明に係るカートン積重体は、ティシュペーパー、キッチンタオル、ハンドタオル等の衛生用紙を収納したカートンを複数積重し、カートンの側面に再剥離可能に接着される帯紙によって、その複数のカートンを一体に連結したものである。
【0023】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「天面」および「底面」とは、カートンによって画成された衛生用紙の収容空間の面自体を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではないことは勿論である。また、「上」、「下」などの用語についても同様である。
【0024】
さらに、本明細書、特許請求の範囲、および図面の記載において、「高さ方向」、「幅方向」、および「長さ方向」はそれぞれ直交するものとする。
【0025】
また、
図1-
図5および
図7の全体斜視図については、説明の便宜のため、一部透視された状態を示す。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るカートン積重体1の全体斜視図である。
【0027】
本実施形態では、
図1に示すように、複数のカートン10には、それぞれの一の長側面10L1に第1の連結用帯紙11が再剥離可能に接着されているとともに、一の長側面10L1と平行なそれぞれの他の長側面10L2に、第2の連結用帯紙12が再剥離可能に接着されており、カートン積重体1は、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12によって一体に連結されている。
【0028】
また、本実施形態では、
図1に示すように、第1の連結用帯紙11と第2の連結用帯紙12とは、複数のカートン10のうち、最下位のカートン10の底面10Bに巻き回されるようにして一体に連設されている。この構成により、カートン積重体1の持ち運び時に最下位のカートン10の脱落を防止でき、カートン積重体1を安定して持ち運ぶことができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、
図1に示すように、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12には、複数のカートン10のうちの最上位のカートン10の上方に位置する紙製把手部14が一体に設けられている。この構成よれば、紙製把手部14を把持してカートン積重体1を簡単に持ち運ぶことができる。
【0030】
より具体的には、本実施形態では、
図1に示すように、カートン10は、直方体であり、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12は、複数のカートン10のそれぞれの相対的に長い長側面10L1、10L2にその長手方向に離間して一対設けられており、紙製把手部14は、帯状に一対設けられており、一方の紙製把手部14は、その一端部が一方の第1の連結用帯紙11に接着されているとともに、他端部が他方の第1の連結用帯紙11に接着されており、他方の紙製把手部14は、その一端部が一方の第2の連結用帯紙12に接着されているとともに、他端部が他方の第2の連結用紙帯12に接着されている。この構成によれば、一対の第1の連結用帯紙11の間隔および一対の第2の連結用帯紙12の間隔を広く設定して、一方の紙製把手部14と他方の紙製把手部14を把持してカートン積重体1を安定して持ち運ぶことができる。
【0031】
本実施形態(または後述する実施形態や変形例)では、第1の連結用帯紙11、第2の連結用帯紙12、底面側連結用帯紙13、紙製把手部14を構成する紙は、本発明の効果を奏する上で好ましくは、包装用紙、クラフト紙、ラミネート紙等が採用され得る。
【0032】
本実施形態(または後述する実施形態や変形例)では、連結用帯紙11および12とカートン10の間に、再剥離可能な接着剤層があり、この接着剤層は、連結用帯紙11および12側につけてもいいし、カートン10側につけてもよい。本実施形態(または後述する実施形態や変形例)では、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12は、最上位のカートン10の天面10Tに接着されていないが、最上位のカートン10の天面10Tに接着されていてもよい。複数のカートン10の長側面10L1および長側面10L2に、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12を接着する際に用いられる再剥離性接着剤としては、従来公知の再剥離性接着剤の中からその接着力等を考慮して適宜選択することができる。例えば、固形分濃度35~45%の酢酸ビニル樹脂接着剤の他、エマルションタイプのアクリル樹脂系粘着剤等を挙げることができる。
【0033】
本実施形態では、
図1に示すように、一対の第1の連結用帯紙11および一対の第2の連結用帯紙12は、複数のカートン10の高さ方向に沿ってそれぞれ延在しており、一対の第1の連結用帯紙11および一対の第2の連結用帯紙12の上端は、最上位のカートン10の上端に合うように構成されている。また、一対の第1の連結用帯紙11および一対の第2の連結用帯紙12は、
図1に示すように、一対の底面側連結用帯紙13を介して連続している。
【0034】
本実施形態では、一対の紙製把手部14は、
図1に示すように、直線状の帯を逆U字状を成すように折り返す(または折り目を付けずに付勢する)ことによりそれぞれ形成され、一対の逆U字の2本の下脚部の端部は、一対の第1の連結用帯紙11および一対の第2の連結用帯紙12の上端部に、それぞれ接着されている。第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12と紙製把手部14との接着力は、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12とカートン10との接着力よりも大きく設定されている。
【0035】
以上のような構成から、ユーザーは一対の紙製把手部14を一緒に持つことで、複数のカートン10を崩れることなく容易に持ち運ぶことが可能となる。また、衛生用紙を使用するため個々のカートン10を取り出す際には、ユーザーは一対の紙製把手部14を複数のカートン10から離れる方向に互いに(少しずつ)引っ張ることによって、カートン10と連結用帯紙11、12との接着が簡単に外れ、カートン10を最上位のカートン10から順次に取り出すことができ、これによってカートン10に収容された衛生用紙を速やかに使用することが可能となる。また、カートン10の取り出し後、残りのカートン10を保管するときには、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12によって、残りのカートン10を連結したままとすれば、残りのカートン10を崩れることなく整然と保管することができる。
【0036】
従来、衛生用紙を収納したカートンでは、複数セットとなって持ち運び可能となっているところ、例えば、特許文献1および2には、衛生用紙を収納したカートンを複数積重したカートン積重体がプラスチック製フィルムで包装されて持ち運び可能となっているものがそれぞれ記載されている。ところで、近年、世界的にプラスチックごみ問題が深刻化しており、地球環境の改善のため、カートン積重体の包装を紙化することが望まれているが、カートン積重体の包装を紙化しただけでは、コスト高となるという問題がある。これは、包装の素材の高コスト化に依るため、特には、カートン積重体を包装するという構造上、コスト高な紙の使用量が多いためである。
【0037】
そこで、カートン積重体を帯紙で結束してコスト高な紙の使用量を削減することが考えられるが、この場合には、カートン積重体を帯紙で結束するという構造上、カートン積重体の持ち運び時にカートン積重体が崩れたり、カートン積重体のうち、一のカートンの取出し後の残りのカートンの保管時に残りのカートンが崩れるという問題がある。
【0038】
本実施形態によれば、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12によって、カートン積重体1が一体化される構造上、地球環境に優しく、かつカートン積重体を紙包装する構成と比較して、高コストな紙の使用量が少なく、低コストである。また、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12が複数のカートン10のそれぞれに再剥離可能に接着される構造上、カートン積重体の持ち運び時や保管時にカートン積重体が崩れることが抑制される。
【0039】
また、本実施形態では、第1の連結用帯紙11および第2の連結用帯紙12がそれぞれ2本である構成なので、後述する第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙がそれぞれ1本である構成よりも、紙製把手部14を取り付ける際の幅の調整がしやすくなっている。
【0040】
本実施形態において、本発明の効果を奏する上で、一対の第1の連結用帯紙11または一対の第2の連結用帯紙12による複数のカートン10の結束幅Wの好適な範囲は、カートン10の長側面10L1(または10L2)の長さ方向における寸法Lに対して、25%以上70%以下であり、より好ましくは、30%以上60%以下である。
【0041】
なお、本実施形態では、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙の幅と、紙製把手部の幅とは略同じ構成になっているが、本発明ではこの限りではない。
【0042】
図2は、本実施形態の変形例に係るカートン積重体1’の全体斜視図である。本実施形態に係るカートン積重体を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
第1の連結用帯紙11’および第2の連結用帯紙12’の幅を、
図2に示すように、紙製把手部14の幅と比較して幅広にすることにより、より安定して複数のカートン10の連結状態を維持することが可能となる。
【0044】
本変形例において、本発明の効果を奏する上で、第1の連結用帯紙11’または第2の連結用帯紙12’の幅W1の好適な範囲は、カートン10の長側面10L1(または10L2)の長さ方向における寸法Lに対して、12%以上35%以下であり、より好ましくは15%以上30%以下である。
【0045】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態では、第1実施形態と異なり、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙をそれぞれ、2枚の帯ではなく、1枚の帯として、カートンの長側面の中央部分を幅広く覆うように構成することで、持ち運ぶ際により安定した連結状態を実現可能にしている。
【0046】
図3は、本実施形態に係るカートン積重体2の全体斜視図である。本実施形態に係るカートン積重体を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、
図3に示すように、第1の連結用帯紙21および第2の連結用帯紙22は、複数のカートン10の高さ方向に沿ってそれぞれ延在しており、第1の連結用帯紙21および第2の連結用帯紙22の上端は、最上位のカートン10の上端に合うように構成されている。また、第1の連結用帯紙21および第2の連結用帯紙22は、
図3に示すように、底面側連結用帯紙23を介して連続している。
【0048】
第1の連結用帯紙21、第2の連結用帯紙22、および底面側連結用帯紙23とカートン10とを接着する再剥離可能な接着剤層については、第1の連結用帯紙21、第2の連結用帯紙22、および底面側連結用帯紙23のうち、カートン10の底面や側面と接する部分に部分的に存在していればよいが、カートン10の底面や側面と接する部分に全面的に設けてもよい。
【0049】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第1の連結用帯紙21および第2の連結用帯紙22によって、カートン積重体2が一体化される構造上、地球環境に優しく、かつカートン積重体を紙包装する構成と比較して、高コストな紙の使用量が少なく、低コストである。また、第1実施形態と同様に、第1の連結用帯紙21および第2の連結用帯紙22が複数のカートン10のそれぞれに再剥離可能に接着される構造上、カートン積層体の持ち運び時や保管時にカートン積層体が崩れることが抑制される。
【0050】
本実施形態において、本発明の効果を奏する上で、第1の連結用帯紙21または第2の連結用帯紙22の幅W2の好適な範囲は、カートン10の長側面10L1(または10L2)の長さ方向における寸法Lに対して、25%以上70%以下であり、より好ましくは、30%以上60%以下である。
【0051】
なお、本実施形態では、第1の連結用帯紙21および第2の連結用帯紙22には、複数のカートン10のうちの最上位のカートン10の上端付近で帯状の紙製把手部14が取り付けられているが、本発明ではこの限りではない。
【0052】
図4は、本実施形態の変形例に係るカートン積重体2’の全体斜視図である。本実施形態に係るカートン積重体を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
本変形例では、
図4に示すように、第1の連結用帯紙21’および第2の連結用帯紙22’が複数のカートン10のうちの最上位のカートン10の上端を越えて上方にそれぞれ延在しており、その延在した天面側連結用帯紙25の両端部に重なるように矩形状の補強片26が(例えば強接着で)接着され、補強片26の山折り部分に一対の穴が開けられ、その穴に通して(例えば結び目を設けることでその穴から抜けないように)紐状の紙製把手部24が取り付けられている。
【0054】
本変形例によれば、第2実施形態と同様に、地球環境に優しく、高コストな紙の使用量が少なく、低コストであり、また、カートン積重体の持ち運び時や保管時にカートン積重体が崩れることが抑制される。さらに、紙製把手部24が連結用帯紙21’、 22’、23、25から取れにくくなっているので、カートン積重体の安定した持ち運びが可能となっている。
【0055】
本実施形態において、本発明の効果を奏する上で、第1の連結用帯紙21’または第2の連結用帯紙22’の幅W3の好適な範囲は、カートン10の長側面10L1(または10L2)の長さ方向における寸法Lに対して、25%以上70%以下であり、より好ましくは、30%以上60%以下である。
【0056】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態では、第1実施形態と異なり、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙をそれぞれ、2枚の帯ではなく、1枚の帯として、カートンの長側面の中央部分を幅広く覆うように構成し、且つ、最上位のカートンの天面および最下位のカートンの底面に巻き回し、その天面に巻き回した部分に一体的に紙製把手部を設けることによって、カートン積重体を持ち運ぶ際に、より安定したカートン10の連結状態を実現可能にしている。
【0057】
図5は本実施形態に係るカートン積重体3の全体斜視図であり、
図6は本実施形態に係る、開口前の紙製把手部34の拡大図である。本実施形態に係るカートン積重体を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、第1の連結用帯紙31および第2の連結用帯紙32のうちの少なくとも一方には、複数のカートン10のうちの最上位のカートン10の上方に位置するとともに指掛け穴34hを有する紙製把手部34が一体に設けられている。
【0059】
より具体的には、
図5に示すように、複数のカートン10の最上位の天面と最下位の底面を巻き回すように、第1の連結用帯紙31、第2の連結用帯紙32、底面側連結用帯紙33、および天面側連結用帯紙35が連続して配設され、第1の連結用帯紙31および第2の連結用帯紙32の延出した部分である天面側連結用帯紙35に、指掛け穴34hを有する紙製把手部34が連続している。つまり、一対の紙製把手部34は、一対の天面側連結用帯紙35の延出部分ともいえる。
【0060】
その延出部分である一対の紙製把手部34は、互いに対向しており、その対向する面のうち紙製把手部34の外側縁付近において(例えば強接着で)接着されている。この接着部分の位置や面積については、本発明の効果を奏する限りにおいて、適宜設定されうる。
【0061】
本実施形態では、指掛け穴34hは、
図6に示すように、一対の紙製把手部34に形成された折り曲げ線FLおよび3本の切り離し線CLにおいて、角張ったU字状に切り離し線CLをそれぞれ切り取り、折り曲げ線FLにおいて折り返すことによって形成される(
図5の符号34hの辺りを参照)。このとき、紙製把手部34の持ち手部分は4枚重ねとなっており、指にあたる穴下部は持ち易い形状になっている。
【0062】
本実施形態によれば、第2実施形態で得られる効果のほか、1本の帯で全てを構成できるので、部品点数の少ない構成で、カートン積重体3を安定して持ち運ぶことができる。
【0063】
本実施形態において、本発明の効果を奏する上で、第1の連結用帯紙31または第2の連結用帯紙32の幅W4の好適な範囲は、カートン10の長側面10L1(または10L2)の長さ方向における寸法Lに対して、25%以上70%以下であり、より好ましくは、30%以上60%以下である。
【0064】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態では、第1実施形態と異なり、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙をそれぞれ、2枚の帯ではなく、1枚の帯として、カートンの短側面の一部分を覆うように構成することによって、長側面に描かれるデザインを隠すことなくカートン積層体を持ち運ぶ際に、安定したカートンの連結状態を実現可能にしている。
【0065】
図7は、本実施形態に係るカートン積重体4の全体斜視図である。本実施形態に係るカートン積重体を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42は、複数のカートン10のそれぞれの相対的に短い短側面10S1、10S2に設けられており、紙製把手部44は、帯状を呈しており、その一端部が第1の連結用帯紙41に接着されているとともに、他端部が第2の連結用帯紙42に接着されている。
【0067】
本実施形態では、
図7に示すように、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42は、複数のカートン10の高さ方向に沿ってそれぞれ延在しており、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42の上端は、最上位のカートン10の上端に合うように構成されている。また、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42は、
図7に示すように、底面側連結用帯紙43を介して連続している。
【0068】
本実施形態では、紙製把手部44は、
図7に示すように、直線状の帯で形成され、その両端部は、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42の上端部に、それぞれ接着されている。第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42と紙製把手部44との接着力は、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42とカートン10との接着力よりも大きく設定されている。
【0069】
本実施形態によれば、第1の連結用帯紙41および第2の連結用帯紙42によってカートン10の長側面10L1、10L2が隠蔽されることがなく、カートン10の長側面10L1、10L2に印刷されるデザインの視認性が損なわれることがなく、複数のカートン10の安定した連結が維持できる。
【0070】
本実施形態において、本発明の効果を奏する上で、第1の連結用帯紙41または第2の連結用帯紙42の幅W5の好適な範囲は、カートン10の短側面10S1(または10S2)の幅方向における寸法Bに対して、30%以上80%以下である。
【0071】
<その他>
本発明は、上述した各実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0072】
例えば、上記各実施形態およびそれらの変形例では、第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙の上端は、最上位のカートンの上端に合うように構成されているが、この限りではなく、本発明の効果を奏する限りにおいて、最上位のカートンの上端より高くてもよく、低くてもよい。
【0073】
加えて、上記各実施形態およびそれらの変形例では、カートン10の形状は、直方体であるが、本発明では、略直方体、立方体、円柱型、六角柱型等であってもよい。
【0074】
また、上記各実施形態およびそれらの変形例では、底面側連結用帯紙が第1の連結用帯紙および第2の連結用帯紙に連続しているが、本発明ではこの限りではなく、本発明の効果を奏する限りにおいて、底面側連結用帯紙を設けない態様も許容され得る。
【0075】
さらに、上記各実施形態およびそれらの変形例では、第1の連結用帯紙、第2の連結用帯紙、底面側連結用帯紙、天面側連結用帯紙、および/または紙製把手部に、デザインやマーク等を印刷加工等によって付してもよい。
【0076】
さらに、上記各実施形態およびそれらの変形例では、第1の連結用帯紙、第2の連結用帯紙、底面側連結用帯紙または紙製把手部のいずれかの表面に、カートン積層体の製品情報をコード化したバーコードを印刷するようにしてもよい。この場合、個々のカートンの底面に印刷されたバーコード(単一のカートンの製品情報をコード化したバーコード)を読み取り不可とするように、最下位のカートンの底面に印刷されたバーコードの少なくとも一部を底面側連結用帯紙によって覆う構成とすれば、第1の連結用帯紙、第2の連結用帯紙、底面側連結用帯紙または紙製把手部のいずれかの表面に印刷した、カートン積層体の製品情報をコード化したバーコードを、単一のカートンの製品情報をコード化したバーコードと誤読なく、読み取ることができる。
【符号の説明】
【0077】
1、1’、2、2’、3、4 カートン積重体
10 カートン
10L1、10L2 長側面
10S1、10S2 短側面
10B 底面
10T 天面
11、11’、21、21’、31、41 第1の連結用帯紙
12、12’、22、22’、32、42 第2の連結用帯紙
13、13’、23、23’、33、43 底面側連結用帯紙
14、24、34、44 紙製把手部
34h 指掛け穴