IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7567704情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241008BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241008BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021119887
(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公開番号】P2023015847
(43)【公開日】2023-02-01
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】米谷 望
(72)【発明者】
【氏名】上野 紀幸
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-155427(JP,A)
【文献】特開2011-175463(JP,A)
【文献】特開平10-003497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期日から第2期日までに生産する、第1種別の製品の数と、第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までの製品を生産する際の環境を示す情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された情報と、前記第1種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第1種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、前記第2種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第2種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、に基づき、
前記第1期日から前記第2期日までに含まれる第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる前記第1期間以外の第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数との複数の組み合わせのうち、二酸化炭素の排出量が最小と予想される組み合わせを決定する決定部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第1期間に前記第1種別の製品を生産する場合に排出される二酸化炭素の量、前記第1期間に前記第2種別の製品を生産する場合に排出される二酸化炭素の量、前記第2期間に前記第1種別の製品を生産する場合に排出される二酸化炭素の量、及び前記第2期間に前記第2種別の製品を生産する場合に排出される二酸化炭素の量を推定し、
推定した二酸化炭素の総量に基づいて、前記第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記決定部により推定された二酸化炭素の量を示す情報を出力する出力部を有する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1期日から前記第2期日までの製品の生産により排出される二酸化炭素の量の目標値を取得し、
前記決定部は、
生産により排出される二酸化炭素の量が前記目標値以下となる、前記第1期間に生産する前記第1種別の製品の数と前記第2種別の製品の数と、前記第2期間に生産する前記第1種別の製品の数と前記第2種別の製品の数と、を算出する、
請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記環境を示す情報には、生産ラインの気温、及び生産ラインの日射量の少なくとも一方が含まれる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記環境を示す情報には、湿度、外気温、雨量、及び月と日の少なくとも一つが含まれる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報は、製品が生産された際の消費電力量、及び製品が生産された際に消費された燃料の量の少なくとも一方に基づいて算出される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、製品を生産する各生産ラインでの、所定期間に生産可能な前記第1種別の製品の数の上限値、及び前記所定期間に生産可能な前記第2種別の製品の数の上限値を取得し、
前記決定部は、
前記各生産ラインでの、前記第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、を決定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
第1期日から第2期日までに生産する、第1種別の製品の数と、第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までの製品を生産する際の環境を示す情報とを取得し、
取得した情報と、前記第1種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第1種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、前記第2種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第2種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、に基づき、
前記第1期日から前記第2期日までに含まれる第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる前記第1期間以外の第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数との複数の組み合わせのうち、二酸化炭素の排出量が最小と予想される組み合わせを決定する、情報処理方法。
【請求項10】
第1期日から第2期日までに生産する、第1種別の製品の数と、第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までの製品を生産する際の環境を示す情報とを取得し、
取得した情報と、前記第1種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第1種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、前記第2種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第2種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、に基づき、
前記第1期日から前記第2期日までに含まれる第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる前記第1期間以外の第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数との複数の組み合わせのうち、二酸化炭素の排出量が最小と予想される組み合わせを決定する、処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品を生産(製造)するために消費されるエネルギーを低減するための技術が検討されている。この技術に関し、特許文献1には、工場などの生産現場において製品の生産時に消費されるエネルギーに関わる二酸化炭素排出量を算出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-108691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、製品の生産により排出される二酸化炭素の量を適切に低減できない場合がある。
【0005】
本開示の目的は、製品の生産により排出される二酸化炭素の量を適切に低減できる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第1の態様では、情報処理装置が、第1期日から第2期日までに生産する、第1種別の製品の数と、第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までの製品を生産する際の環境を示す情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された情報と、前記第1種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第1種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、前記第2種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第2種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、に基づき、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる前記第1期間以外の第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、を決定する決定部と、を有する。
【0007】
また、本開示に係る第2の態様では、第1期日から第2期日までに生産する、第1種別の製品の数と、第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までの製品を生産する際の環境を示す情報とを取得し、取得した情報と、前記第1種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第1種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、前記第2種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第2種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、に基づき、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる前記第1期間以外の第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、を決定する、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示に係る第3の態様では、第1期日から第2期日までに生産する、第1種別の製品の数と、第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までの製品を生産する際の環境を示す情報とを取得し、取得した情報と、前記第1種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第1種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、前記第2種別の製品が生産された際の前記環境を示す情報と前記第2種別の製品が生産された際に排出された二酸化炭素の量を示す情報との組み合わせを含むデータセットと、に基づき、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる第1期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、前記第1期日から前記第2期日までに含まれる前記第1期間以外の第2期間に生産する前記第1種別の製品の数及び前記第2種別の製品の数と、を決定する、処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、製品を生産するために消費されるエネルギーを適切に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置の学習処理の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る排出量履歴DBの一例を示す図である。
図5】実施形態に係る情報処理装置の生産計画を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る生産計画の情報の入力画面の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る生産ラインDBの一例を示す図である。
図8】実施形態に係る予想排出量DBの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
【0012】
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0013】
<構成>
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の構成について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。図1の例では、情報処理装置10は、取得部11、生成部12、取得部13、決定部14、出力部15、及び記憶部16を有する。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムと、情報処理装置10のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0014】
取得部11は、機械学習用のデータセットを、情報処理装置10内部の記憶装置または外部装置から取得する。生成部12は、取得部11により取得された機械学習用のデータセットに基づいて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する。
【0015】
取得部13は、製品の生産計画の情報と、生産に関する環境を示す情報とを取得する。決定部14は、二酸化炭素の排出量が低減されるように、各期間における各種別の製品の生産数を決定する。出力部15は、決定部14により決定された情報等を画面に表示させる。記憶部16は、排出量履歴DB(Data Base)401、生産ラインDB701、予想排出量DB801等のデータを記録する。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2は、実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2の例では、情報処理装置10(コンピュータ100)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0017】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0018】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0019】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0020】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0021】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0022】
<処理>
<<学習フェーズ>>
次に、図3から図4を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の学習処理(学習済みモデルを生成する処理)の一例について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置10の学習処理の一例を示すフローチャートである。図4は、実施形態に係る排出量履歴DB(Data Base)401の一例を示す図である。
【0023】
ステップS101において、情報処理装置10の取得部11は、排出量履歴DB401から機械学習用のデータセットを取得する。排出量履歴DB401には、過去の生産時に測定されたデータに基づいて算出されたデータが予め記録されている。
【0024】
図4の例では、排出量履歴DB401には、生産ラインIDと日時との組に対応付けて、種別ID、環境情報、及び二酸化炭素の排出量が記録されている。生産ラインIDは、製品を生産する工場の生産ラインの識別情報である。種別IDは、製品の種別の識別情報である。環境情報は、製品が生産された際の環境を示す情報である。環境情報には、例えば、生産ラインの気温、生産ラインの日射量、湿度、外気温、雨量、及び月と日の少なくとも一つが含まれてもよい。
【0025】
生産ラインの気温は、例えば、アルミ等の原料を溶かす炉等の、生産時に比較的高温(気温よりも高い温度)で動作させる生産設備の外部、及び溶接を行う場所の気温でもよい。これにより、例えば、生産ラインが工場の壁際等に設置されていることにより、特定の種別の製品を生産すると冬場に省エネ効率が他の生産ラインよりも低下すること等を学習できる。
【0026】
生産ラインの日射量は、例えば、アルミ等の原料を溶かす炉等の、生産時に比較的高温(気温よりも高い温度)で動作させる生産設備の外部、及び溶接を行う場所に設置された日射量センサ(日射計)により測定された日射量でもよい。これにより、例えば、生産ラインが窓際等に設置されていることにより、特定の種別の製品を生産すると冬場に省エネ効率が他の生産ラインよりも向上すること等を学習できる。
【0027】
二酸化炭素の排出量は、製品の生産により排出される二酸化炭素(温暖化ガスの一例)の量である。二酸化炭素の排出量は、例えば、製品の生産による消費エネルギー量(例えば、消費電力量、ガス及び重油等の燃料の量)に基づいて、算出されてもよい。この場合、二酸化炭素の排出量は、消費エネルギー量に、所定の係数を乗算することにより算出されてもよい。
【0028】
続いて、情報処理装置10の生成部12は、機械学習用のデータセットに基づいて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する(ステップS102)。ここで、情報処理装置10は、排出量履歴DB401に記録されている生産ラインID、種別ID、及び環境情報を説明変数(入力変数、独立変数)とし、二酸化炭素の排出量を目的変数(正解ラベル、応答変数、従属変数)とした回帰問題の教師あり学習を行う。この場合、情報処理装置10は、例えば、最小二乗法等の線形回帰(linear regression)を用いた機械学習を行ってもよい。
【0029】
また、情報処理装置10は、例えば、再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent neural network, RNN)、一般回帰ニューラルネットワーク(General Regression Neural Network)、またはランダムフォレスト(Random Forest)等を用いた機械学習を行ってもよい。
【0030】
<<推論フェーズ>>
次に、図5から図8を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の生産計画を決定する処理の一例について説明する。図5は、実施形態に係る情報処理装置10の生産計画を決定する処理の一例を示すフローチャートである。図6は、実施形態に係る生産計画の情報の入力画面の一例を示す図である。図7は、実施形態に係る生産ラインDB701の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る予想排出量DB801の一例を示す図である。
【0031】
ステップS201において、情報処理装置10の取得部13は、生産計画の情報を取得する。ここで、生産計画の情報には、開始期日、終了期日、製品の種別毎の生産予定数、及び使用する各生産ラインの識別情報(生産ラインID)の情報が含まれてもよい。
【0032】
生産計画の情報は、例えば、ユーザの操作により情報処理装置10に入力されてもよい。図6の例では、情報処理装置10は、生産計画の情報の入力画面601において、開始期日の入力欄611、終了期日の入力欄612、使用する各生産ラインの識別情報の入力欄613、製品の種別毎の生産予定数の入力欄614、及び「実行」ボタン615を表示させている。図6の例では、2021年7月1日から2021年9月30日までの期間に、生産ラインA~Dを用いて、種別Aの製品を500個、種別Bの製品を200個、種別Cの製品を300個生産することが入力されている。「実行」ボタン615が押下されると、情報処理装置10は、以下の処理を実行する。
【0033】
続いて、情報処理装置10の取得部13は、生産計画で指定された期間において予想された環境情報を取得する(ステップS202)。ここで、情報処理装置10は、例えば、生産計画で指定された開始期日から終了期日までの予想気温(外気温)、予想湿度、及び予想雨量等の情報を、外部のサーバから取得してもよい。また、情報処理装置10は、例えば、取得した予想気温等に基づいて、ディープラーニング等のAI(Artificial Intelligence)により、各生産ラインの気温、及び各生産ラインの日射量を予想(推定、推論)してもよい。
【0034】
続いて、情報処理装置10の決定部14は、図7の生産ラインDB701を参照し、生産計画で指定された各生産ラインで生産可能な種別毎の製品の数の上限値と、生産計画で指定された各製品の生産数と、に基づき、生産計画で指定された期間に含まれる各期間に生産する各種別の製品の数の組み合わせを複数生成する(ステップS203)。図7の例では、生産ラインDB701には、生産ラインIDと種別IDとの組に対応付けて、単位期間(例えば、1カ月)当たりに生産可能な製品の数の上限値が予め設定されている。図7の例では、生産ラインAでは、種別Aの製品を生産する場合は単位期間内に200個生産できることが記録されている。また、生産ラインAでは、種別Bの製品を生産する場合は単位期間内に180個生産できることが記録されている。なお、情報処理装置10は、例えば、生産計画で指定された期間に含まれる各期間に生産可能な各製品の生産数の全ての組み合わせを総当たりで算出してもよい。
【0035】
続いて、情報処理装置10の決定部14は、生成した各組み合わせのそれぞれでの生産による二酸化炭素の予想排出量を、ステップS102で生成した学習済みモデルを用いて推論(推定、予想、予測)する(ステップS204)。ここで、情報処理装置10は、ステップS203で作成した、各期間に生産する各種別の製品の数の組み合わせ毎に、ステップS204で推論した予想排出量を図8の予想排出量DB801に記録してもよい。図8の例では、予想排出量DB801には、組み合わせIDに対応付けて、各期間内に生産する各種別の製品の数、及び二酸化炭素の予想排出量が記録される。
【0036】
続いて、情報処理装置10の決定部14は、生成した各組み合わせのうち、二酸化炭素の排出量が最小の組み合わせを選択する(ステップS205)。
【0037】
続いて、情報処理装置10の出力部15は、決定部14により選択された組み合わせの情報を出力する(ステップS206)。ここで、情報処理装置10は、例えば、予想排出量DB801を参照し、選択された組み合わせIDに対応付けられている、各期間内に生産する各種別の製品の数、及び二酸化炭素の予想排出量を出力してもよい。これにより、ユーザは、例えば、指定した期間に含まれる各期間において生産するべき各種別の製品の数と、その場合の二酸化炭素の予想排出量を把握することができる。
【0038】
(排出される二酸化炭素の目標値を遵守できる数量を算出する例)
情報処理装置10は、排出される二酸化炭素の目標値を遵守できる生産計画を生成してもよい。この場合、情報処理装置10の取得部13は、生産計画の開始期日から終了期日までの製品の生産により排出される二酸化炭素の量の目標値を取得する。ここで、当該目標値は、例えば、ユーザから指定されてもよい。そして、情報処理装置10の決定部14は、生産により排出される二酸化炭素の量が当該目標値以下となる、生産計画で指定された期間に含まれる各期間における各種別の製品の数の組み合わせを算出してもよい。
【0039】
<変形例>
情報処理装置10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示の情報処理装置10はこれに限定されない。情報処理装置10の各部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。これらのような情報処理装置についても、本開示の「情報処理装置」の一例に含まれる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 情報処理装置
11 取得部
12 生成部
13 取得部
14 決定部
15 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8