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特許7567718杭の施工方法及び該杭の施工方法に用いる潤滑剤の供給量の算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】杭の施工方法及び該杭の施工方法に用いる潤滑剤の供給量の算出方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/22 20060101AFI20241008BHJP
   E02D 5/28 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
E02D7/22
E02D5/28
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021137743
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023031945
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】粟津 進吾
(72)【発明者】
【氏名】恩田 邦彦
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-119032(JP,A)
【文献】特開2005-127095(JP,A)
【文献】特開2013-057061(JP,A)
【文献】特開2016-030925(JP,A)
【文献】特開2007-284866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/22
E02D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の杭を地盤に回転貫入する際に、静的には水より粘性が高く、せん断を受けることで粘性が低下するせん断減粘性を有する潤滑剤を、前記杭の内壁と前記杭の内にある土砂との間に供給する杭の施工方法であって、
前記潤滑剤の前記地盤における透水係数k(m/s)が下式(3)を満たし、前記潤滑剤のずり速度に応じた粘性係数(Pa・s)の比が下式(4)を満たすことを特徴とする杭の施工方法。
k<1×10-5 ・・・(3)
(μ´/μ)<1×10-1 ・・・(4)
μ:温度摂氏15度における、ずり速度0.01(1/s)以下における潤滑剤の粘性係数
μ´:温度摂氏15度における、ずり速度2.5(1/s)以下における潤滑剤の粘性係数
【請求項2】
前記潤滑剤の供給は、前記杭の内に溜められた前記潤滑剤から行われる請求項1に記載の杭の施工方法。
【請求項3】
前記杭が前記地盤における所定の深さに到達した後は、前記潤滑剤を供給しないで回転貫入して杭内での土砂閉塞を積極的に生じさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の杭の施工方法。
【請求項4】
前記潤滑剤の供給量V(L)は、下記式(1)を満たすように設定される請求項1又は2に記載の杭の施工方法。
19.4・π・Din・(H-10Dout)≦V≦19.4・π・Din・(H+5Dout) ・・・(1)
ここで、H:地表から所定の深さまでの距離(m)
Dout:杭の外径(m)
Din:杭の内径(m)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状の杭を地盤に回転貫入する杭の施工方法及び該杭の施工方法に用いる潤滑剤の供給量の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管杭のような下端に開口部を有する管状の杭を地盤に回転貫入する方法がこれまでに多く提案されている。
例えば特許文献1には、鋼管杭を回転貫入する鋼管杭圧入装置を用いて、先端にビットを備えた切削用鋼管杭をコンクリート護岸を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築する方法が開示されている。先端にビットを備えた切削用鋼管杭を用いることにより、切削能力が増し、コンクリートなどの既設構造物や障害物を破壊できるメリットがある。
【0003】
管状の杭の施工、特に既成杭を回転貫入する方法においては、杭としての支持力を得るため、コンクリートなどの既設構造物を打ち抜いたのち、地盤における所定の深さ(例えば支持層)まで杭の回転貫入を継続する。その過程において、掘削した地盤の土砂、掘削時に破壊した地盤の岩または掘削時に破壊した構造物の破片等(以下、これらをまとめて「土砂」と呼ぶ)は、空隙が生じてかさ密度が減少し、みかけの体積が膨張する。そのため、杭内の土砂と杭外周面の土砂が、それぞれ内側と外側から管状の杭を拘束して圧入時の抵抗となる。
また、杭内に取り込まれた土砂が管状の杭を拘束する力の増大は、杭内周面と杭内にある土砂との摩擦力の増大に繋がる。そのため、杭内に取り込まれる掘削土砂が増えると杭内に土砂が閉塞する現象が発生する。掘削土砂による杭内閉塞は、施工中の管状の杭に対する圧入抵抗をさらに増大させる。
【0004】
そこで、施工中の杭内閉塞を防止して圧入抵抗を低減させる補助工法が、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2では、鋼管杭の先端近傍において鋼管杭の内壁に沿って周方向に水などの流体を吐出する。これにより、鋼管杭の内壁と杭内にある土砂との間に流体が介在して杭内壁と杭内にある土砂の摩擦が低減され、掘削土砂による杭内閉塞が生じにくくなる。
また、その他の方法として、鋼管杭の内部に配設したスクリューオーガーにより、管内土を上方に持ち上げて除去し、杭内が土砂で閉塞するのを防止する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開第4105076号公報
【文献】特開第4242251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、管状の杭の施工においては、掘削過程に生じる杭内にある土砂の閉塞を防止する必要がある。
しかし、特許文献2の方法では、杭内に吐出した大量の水と混じって杭内にある土砂が泥土化し、泥土化した土砂が杭の下を回って杭外周面から地上に排出されるので、排出された土砂(排土)の処分によるコスト増や環境面での問題が生じる。
また、スクリューオーガーを併用する工法においても杭内から排土が発生するので同様の問題がある。
【0007】
さらに、これらの補助工法は適用範囲の制御が難しく、実際の施工においては、補助工法が適用されなかった範囲が発生することを防ぐため、必要範囲よりも余分に補助工法を適用することが多い。この場合、施工性は向上するものの、杭先端が到達した所定の深さにおける地盤を緩めたり乱したりしてしまうことになる。特に、杭先端を支持層に埋設して大きな支持力を得たい場合は、支持層を緩めることは杭の支持力の低下に繋がり、非常に大きな問題となる。したがって、杭先端部にセメントモルタル等で根固め部を築造するなど、確実に杭の支持力を発現させるための手段を別に講じることとなり、施工が煩雑化する。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、所定の深さにおける地盤を緩めて乱すことなく杭内の土砂による閉塞を防止し、排土の発生も抑制できる杭の施工方法及び該杭の施工方法に用いる潤滑剤の供給量の算出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る杭の施工方法は、管状の杭を地盤に回転貫入する杭の施工方法であって、前記回転貫入を行う際に、静的には水より粘性が高く、せん断を受けることで粘性が低下するせん断減粘性を有する潤滑剤を、前記杭の内壁と前記杭の内にある土砂との間に供給するものである。
【0010】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記潤滑剤の供給は、前記杭の内に溜められた前記潤滑剤から行われるものである。
【0011】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記杭が前記地盤における所定の深さに到達した後は、前記潤滑剤を供給しないものである。
【0012】
(4)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記潤滑剤の供給量V(L)は、下記式(1)を満たすように設定されるものである。
19.4・π・Din・(H-10Dout)≦V≦19.4・π・Din・(H+5Dout) ・・・(1)
ここで、H:地表から所定の深さまでの距離(m)
Dout:杭の外径(m)
Din:杭の内径(m)
【0013】
(5)また、本発明に係る潤滑剤の供給量の算出方法は、上記(1)~(3)のいずれかに記載の杭の施工方法に用いる、潤滑剤の供給量の算出方法であって、
施工対象と近い性状の地盤において試し施工を実施し、
該試し施工における施工深さと使用された潤滑剤の量との関係式を求める工程と、
該求めた関係式、試し施工に用いた杭の内周長、実施工深さ及び実施工に用いる杭の内周長に基づいて、潤滑剤の供給量を設定する工程を含むものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、静的には水より粘性が高く、せん断を受けることで粘性が低下するせん断減粘性を有する潤滑剤を用いて杭を回転貫入することで、潤滑剤によって杭の内壁と杭の内部にある土砂との摩擦が低減し、土砂による閉塞を抑制できる。また、杭の回転によるせん断力が及ばない領域では、潤滑剤が杭内の土砂に浸透しないので、杭周辺の地盤を必要以上に緩めたり乱したりすることが抑制できる。
したがって、泥土化した土砂等が排土として発生することを抑制できる。また、根固め部の築造等の追加の施工を行うことなく、杭の支持力性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係る杭の施工方法の説明する図である(その1)。
図2】本発明の実施の形態1に係る杭の施工方法の説明する図である(その2)。
図3図1に示した杭の掘削部材の他の態様1を示す図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は底面図である。
図4図1に示した杭の掘削部材の他の態様2を示す図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は底面図である。
図5図1に示した杭の掘削部材の他の態様3を示す図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は底面図である。
図6図1に示した杭の掘削部材の他の態様4を示す立体図である。
図7図1に示した杭の掘削部材の他の態様5を示す立体図である。
図8】潤滑剤の材料の混合方法を説明する図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る杭の施工方法の他の態様を説明する図である。
図10】杭の地盤への貫入長と潤滑剤の使用量の関係を示すグラフである。
図11】実施例に係る実験結果を示したグラフであり、発明例(潤滑剤あり)と比較例(潤滑剤なし)を3つの観点で比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る杭の施工方法は、管状の杭を地盤の予め定められた所定の深さまで回転貫入するものであって、当該回転貫入の際に、静的には水より粘性が高く、せん断を受けることで粘性が低下するせん断減粘性を有する潤滑剤を、前記杭の内壁と前記杭の内部にある土砂との間に供給するものである。また、本実施の形態において、潤滑剤の供給は、杭内に溜めた潤滑剤から行われる。
ここで管状の杭とは、軸方向に長い、中空の円筒型の杭を指す。例えば「既成杭」が挙げられる。より具体的には、プレストレスト・コンクリート杭(PC杭)、プレテンション方式プレストレスト・コンクリート杭(PHC杭)、コンクリート外周部に鋼管を巻いたSC杭、高強度鉄筋を導入したコンクリートのPRC杭、または、鋼管杭が挙げられる。管径に対する管厚の比(径厚比)が小さく貫入抵抗が小さいことから、特に鋼管杭への適用が好ましい。
また、予め定められた所定の深さについては、特に制限はないが、例えば、設計上、杭先端を到達させたい深さとすることが可能である。より具体的には、貫入長、地盤の支持層の近傍、または支持層の上端とすることができる。後者の2つは、地盤の支持層まで杭の先端を到達させる場合に該当し、管状の杭の支持力をより高くすることが可能となる。
【0017】
上述したように、本実施の形態の潤滑剤はせん断減粘性を有するものであり、静止状態においては施工対象の地盤に浸透しない粘性を有している。なお、潤滑剤の性状に関する詳細な説明は後述する。
なお、本発明は、潤滑剤を管状の杭の内壁と管状の杭内の土砂との間に供給する方法について限定するものではないが、潤滑剤を簡単に供給できる方法として、杭内、特に地盤の土砂上に潤滑剤を溜めて施工する方法がある。この方法を例として、以下、具体的に説明する。
【0018】
まず、図2(a)に示すように、杭1の下端を地盤3に打設した状態で、杭1の上端側から潤滑剤5を杭内に投入し、所定量の潤滑剤5を杭1内に溜める。潤滑剤5は後述する特徴から、地盤3の土砂の上(この図においては地盤3の表面上)に自然に溜まる。
次に、図2(b)に示すように、杭打機7のリーダー9で杭1の上端を把持して地盤3に回転貫入する。
上記のようにすることで、杭1内に溜められた潤滑剤5を杭1内壁と杭1内土砂との間に供給しながら、杭1を回転貫入法で施工することができる。これについて図1を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、杭1の内部に潤滑剤5を溜めた状態で杭1を地盤3に回転貫入している状態を示したものであり、図1(a)は平面図、図1(b)は縦断面図である。本発明で使用する潤滑剤5は、静的には水より粘性が高い。その為、杭1内に投入された後、地盤3の表面に接触しても、水のように地盤3中に浸透せず地盤3の土砂の上に保持されたまま、杭1内に溜まる。
この状態で杭1を回転貫入すると、杭1の内壁近くの潤滑剤5は、図1(a)の白抜き矢印のようなせん断力をうけて粘性が低下する(図1(a)の薄いグレー部分参照)。
潤滑剤5の粘性が低下することで、潤滑剤5は、図1(b)に示すように杭1内壁に沿って地盤3の土砂に水のように浸透し、杭1内壁と杭1内にある土砂との間に潤滑剤5が供給される。つまり、潤滑剤5の供給は、杭1内に溜めた潤滑剤5に対し杭1の回転に伴うせん断によりその粘性を低下させ、この結果、杭1内壁に沿って地盤3の土砂に浸透させる、ことで行われる。これにより杭1内壁と杭1内にある土砂との摩擦が低減され、施工性が向上するとともに杭1内の土砂閉塞を防止できる。
図1(a)、(b)何れの場合も、杭1の内壁から離れた領域(図1における濃いグレー部分参照)にある潤滑剤5は、静的なままであり水より粘性が高いままのため、地盤3の土砂には浸透せずに地盤3の土砂の上に保持され、杭1内に溜まったままとなる。そして、回転貫入が進んで新しく発生した杭1内壁と杭1内にある土砂との間には、この杭1内に溜まったままの潤滑剤5からその一部が、新たに供給される。
【0020】
なお、本実施の形態の杭1は、先端部に、杭1の内側に張り出すように設けられた掘削部材11を備えている。このような掘削部材11により、杭1を回転貫入する際に杭1内壁と杭1内にある土砂との間に一時的に隙間が形成されるので、潤滑剤5が浸透しやすくなり効果的な供給が可能となるので、好ましい。
【0021】
また、上記掘削部材11の他の態様として、例えば図3のように、杭1の板厚よりも板厚が厚い管状の部材を杭1の先端に設けたものでもよい(他の態様1)。また、図4のように、杭1の板厚よりも大きい幅を有するビットを杭1の先端に設けたものでもよい(他の態様2)。
【0022】
さらに、図5のように、ビットを杭1の内壁に設けたものでもよい(他の態様3)。杭1内の土砂閉塞は先端側からDin(Din:杭の内径)の1倍より上方で生じることが経験的に知られている。このため、他の態様3の場合は、ビットは杭の先端からDin以内の高さに備わっていることが好ましい。
また、図6図7のように、螺旋翼又は二重螺旋翼を杭1の内側に張り出すように設けたものでもよい(他の態様4、他の態様5)。
【0023】
上記のように、杭1の内周面に隙間を形成する掘削部材11は、周方向に連続的に配置されていても、離散的に配置されていてもよい。
また、杭1の内周面に形成する隙間は、杭1内壁と杭1内にある土砂との間に潤滑剤5を供給しやすくするためのものなので、微小な空間で構わない。そのため、これらの掘削部材11における杭1の内側への張り出し幅は、5mm以上あれば十分である。
なお、杭1の内周面に隙間を形成する掘削部材11は必須ではなく、これらの掘削部材11を備えていない通常の管を杭として用いても構わない。
【0024】
次に、本実施の形態の潤滑剤5について、以下詳細に説明する。
本実施の形態の潤滑剤5は、前述したように、静的には水より粘性が高く、せん断を受けることで粘性が低下するせん断減粘性を有するものである。潤滑剤5の例としては、例えば、ベントナイト液や水溶性ポリマーを配合した液体などが挙げられる。
【0025】
上述したように本実施の形態の潤滑剤5は、静的には水よりも粘性が高い。このような潤滑剤5は、杭1内にある土砂や杭1の先端が到達した所定の深さの地盤3等に、せん断力を与えない限り水よりも浸透しにくい。そのため、従来のように杭1内壁に水を吐出して施工する場合と比べて、地盤3を緩めたり乱したりすることが抑制できる。その結果、杭1の支持力性能を発揮させることができる。また、杭1内にある土砂を泥土化しないので、排土の発生も抑制できる。
【0026】
また、掘削対象の地盤3の透水性に応じて潤滑剤5の粘性を調整するとより好ましい。この点について以下説明する。
【0027】
一般的に、地盤3の透水性を示す透水係数は、「土の透水試験方法」(JIS A 1218、2009)によって求めることができる。「土の透水試験方法」は温度摂氏15度における水の透水性を基準としたものである。温度が同一であれば、透水性は液体の密度に比例し、粘性係数に反比例することが知られている。そのため、温度摂氏15度における潤滑剤5の密度と粘性を考慮して補正することにより、当該地盤3における潤滑剤5の透水係数を下記式(2)で定義する。
【数1】
k:潤滑剤の透水係数(m/s)、ρ:潤滑剤の密度(g/cm3)、μ:潤滑剤の粘性係数(Pa・s)
kw:水の透水係数(m/s)、ρw:水の密度(g/cm3)、μw:水の粘性係数(Pa・s)
なお、上記のμは、「液体の粘度測定方法(JIS Z 8803、2011)」で測定した、ずり速度0.01(1/s)以下における潤滑剤5の粘性係数とする。また、上記のkwは、「土の透水試験方法」で測定した、地盤3のうち最も粒度が粗い層における水の透水係数とする。ρw、μwは、「土の透水試験方法」に記載の水の密度、粘性係数とする。
【0028】
そして、本発明において「静的には水より粘性が高く」とは、上記(2)式で求められる温度摂氏15度における潤滑剤5の透水係数kが、温度摂氏15度における水の透水係数kwよりも小さいことを指す。ここで、粒度が粗く粒径が揃った地盤の場合、一般的に透水性が高く、「土の透水試験方法」による水の透水係数kwは1×10-3(m/s)以上になることがある。そこで、潤滑剤5の粘性係数μは、少なくとも水の粘性係数μwの100倍以上であることが好ましい。
具体的には、上述した潤滑剤5の透水係数kが下記式(3)を満たすように潤滑剤5の粘性を設定すれば、杭1を施工する地盤3において、潤滑剤5は静止状態のとき地盤3に浸透しないと確実に判断でき、好ましい。
k<1×10-5 ・・・(3)
潤滑剤5が静止状態において地盤3に浸透しない粘性を有していれば、杭1内壁と杭1内にある土砂の間以外には潤滑剤5が浸透しない。そのため、潤滑剤5の使用量を最小限にすることができる。さらに、杭1内、特に地盤3の土砂の上、に溜めることも可能となる。
【0029】
また、杭1内にある土砂に潤滑剤5が浸透しないことで、施工に必要な潤滑剤5の量を予め算出することもできる。算出方法の具体例は実施の形態2と実施の形態3で後述するが、施工に必要な潤滑剤5の量は、杭1の内径及び貫入長に基づいて算出できる。ここで、杭1の貫入長は、「予め定められた所定の深さ」に該当する。また、杭先端を地盤3の支持層まで到達させる場合には、「予め定められた所定の深さ」に代わり、「地盤3において地表から支持層の上端までの深さ」となる。
【0030】
また、上述したように本実施の形態の潤滑剤5は、せん断力によって粘性が低下するせん断減粘性を有している。このような特性をもつ流体は擬塑性流体と呼ばれ、ずり速度(=せん断速度)が大きいほど粘性が小さくなる。
潤滑剤5は、せん断による粘性の低下幅が大きい方が、杭1内にある土砂と杭1の内壁との間に潤滑剤5が入り込みやすいため好ましい。具体的には、下記式(4)を満たすことが好ましい。
(μ´/μ)<1×10-1 ・・・(4)
μ:温度摂氏15度における、ずり速度0.01(1/s)以下における潤滑剤の粘性係数(Pa・s)
μ´:温度摂氏15度における、ずり速度2.5(1/s)以下における潤滑剤の粘性係数(Pa・s)
なお、ずり速度に応じた液体の粘性係数は、「液体の粘度測定方法」に記載された回転粘度計を使用することで測定できる。
【0031】
上述したような性状を有する潤滑剤5としては、例えば水1m3に対してベントナイトを120kg以上混合したベントナイト液や、水1m3に対してアクリル酸系水溶性ポリマーを3kg以上混合した液体などが挙げられる。
【0032】
上記のような潤滑剤5の材料の混合方法としては、例えばダイナミックミキサー方式やスタティックミキサー方式を用いることができる。
ダイナミックミキサー方式は、図8(a)に示すように、水槽13に潤滑剤5の材料を投入し、ミキサー15によってそれらを混合して潤滑剤5を製造し、製造した潤滑剤5をポンプ17で送水する方法である。
スタティックミキサー方式は、図8(b)に示すように、潤滑剤5の材料を同時に配管19に送水し、配管19内に設けられた混合エレメント21で生じる乱流撹拌によって、送水しながら混合する方法である。
【0033】
ダイナミックミキサー方式は、潤滑剤5の元となる材料がどのようなものでも混合できるが、混合するための水槽13やミキサー15が別途必要となり施工設備が大型化する。
スタティックミキサー方式は、潤滑剤5の元となる材料が液体状である必要があるが、ミキサー15が必要ないため、設備を簡略化できる。
したがって潤滑剤5の材料に粉末を含む場合にはダイナミックミキサー方式、材料が全て液体の場合にはスタティックミキサー方式とするなど、材料に応じて混合方法を適宜選択するとよい。
【0034】
なお、図1図2では、杭1内に潤滑剤5を溜めた状態で杭1を回転貫入する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、杭1の外側に設けた貯槽(図示なし)に潤滑剤5を溜め、該貯槽から杭1の管内に潤滑剤5を供給するようにしてもよい。
また、図9に示すように、潤滑剤5を供給する潤滑剤供給管23を杭1の内壁に沿って軸方向に配設し、潤滑剤供給管23の先端に形成された吐出孔から潤滑剤5を吐出して、杭1の内壁と杭1の内にある土砂との間に潤滑剤5を供給するようにしてもよい。この場合、潤滑剤5を吐出する吐出孔は、潤滑剤供給管23の先端だけでなく側面に設けられていてもよい。
【0035】
上記のように、本実施の形態においては、せん断減粘性を有する潤滑剤5を杭1の内壁と杭1の内にある土砂との間に供給しながら杭1を回転貫入することで、潤滑剤5によって杭1内壁と杭1内にある土砂との摩擦が低減して施工性が向上し、土砂閉塞も抑制できる。
また、杭1の回転によるせん断力が及ばない領域では、潤滑剤5は水より高い粘性を有するので土砂に浸透しにくい。したがって、必要以上に杭1周辺の地盤3を緩めたり乱したりすることを抑制でき、泥土化した土砂が地上に排出されることも抑制できる。
特に、粒度が粗く粒径が揃った土砂(またはそれらを含む地盤)に管状の杭を施工する場合、杭内の土砂の透水性が高く、水は砂と混じらずに土砂内に浸透する。そのため、水を用いても、杭内壁と杭内土砂の摩擦が低減されずに杭内閉塞が発生しやすい。このような土砂の状態においても、本発明にかかる施工方法であれば、杭1内壁と杭1内にある土砂との摩擦が低減され施工性が向上すると共に土砂閉塞を抑制して施工することができる。言い換えれば、本発明に係る施工方法であれば、地盤の性状によらず、つまり透水性の高い地盤でも問題なく、上記効果を得ることができる。
【0036】
[実施の形態2]
実施の形態1は、杭の内壁と杭の内にある土砂との間に潤滑剤5を供給することで、施工時の抵抗を低減するとともに杭内の土砂閉塞を防止するものであった。
潤滑剤5は従来用いられていた水と比べて土砂に浸透しにくく地盤3を緩めにくいものではあるが、潤滑剤5の供給を制御し、所定の深さでは潤滑剤5を供給しないようにすることで、積極的に土砂閉塞を生じさせることができる。この場合は、杭1の支持力性能を更に向上させることができる。
【0037】
このような潤滑剤5の供給の制御の例の1つは、供給を停止するタイミングを制御することである。具体的には、地盤3において予め定められた所定の深さに杭先端が到達した後は、潤滑剤5を供給しないことである。
本実施の形態の杭の施工方法は、地盤3において予め定められた所定の深さの手前の層(中間層)においては実施の形態1に記載したように潤滑剤5を供給しながら杭1を回転貫入する。そして、杭1が予め定められた所定の深さに杭1の先端が到達した後は、潤滑剤5の供給を行わずに杭1を回転貫入する。特に、杭1の先端を支持層まで回転貫入する場合は、上記「予め定められた所定の深さ」に代えて「支持層の近傍」とすればよい。そうすれば、支持層を緩めたり乱したりすることなく、かつ土砂閉塞を生じさせながら、支持層に杭1先端を到達させることができる。
なお、図9のような潤滑剤供給管23を介して杭1の先端近傍に潤滑剤5を直接供給するような場合には、杭1の先端が所定の深さに到達したときに潤滑剤5の潤滑剤供給管23からの吐出を停止するようにしてもよい。さらに、杭1の先端を支持層にまで到達させる場合には、杭1の先端が支持層の近傍に到達したときに潤滑剤5の潤滑剤供給管23からの吐出を停止するようにしてもよい。
上記のように、本実施の形態によれば、杭1が所定の深さに到達した後は、潤滑剤5を供給しないことにより、地盤3における所定の深さで杭1内の土砂閉塞を積極的に生じさせ、杭1の支持力性能を向上させることができる。さらに、杭1の先端を支持層にまで到達させる場合には、杭1が支持層の近傍に到達した後は、潤滑剤5を供給しないことにより、支持層で杭内の土砂閉塞を積極的に生じさせ、杭1の支持力性能を向上させることができる。
【0038】
[実施の形態3]
潤滑剤5の供給の制御の別の一例は、供給量を制御して供給を停止させることである。具体的には、地盤3において予め定められた所定の深さに杭先端が到達する頃に、潤滑剤5(例えば杭1内や貯槽に溜められていたもの)が無くなるようにすることである。この方法について、図1図2で説明した方法で杭1を施工する場合を例にあげて詳細に説明する。
図1図2の杭の施工方法は、杭1内に潤滑剤5を溜めた状態で杭1を回転貫入し、杭1の回転に伴うせん断力によって潤滑剤5の一部を粘性低下させ、該粘性低下した潤滑剤5を地盤3の土砂に浸透させることにより、潤滑剤5を杭内壁と杭内にある土砂との間に供給する。
そこで、発明者らは、杭内に溜められた潤滑剤5のうち、どの程度の量が杭の内壁と杭の内にある土砂の間に供給されるかを調べるため、下記の実験を行った。
【0039】
本実験においては、杭1として直径318.5mm、板厚7.9mmの鋼管を使用し、鋼管先端を地盤3に打設したあと、上部から一定量の潤滑剤5を杭内に投入し、鋼管を回転貫入させた(図2参照)。このとき、適時回転を止めて杭内の土砂の上部に溜まった潤滑剤5の高さを調べた。この高さから、地盤3の表面上に残っている潤滑剤5の量を算出し、最初の投入量との差から供給された潤滑剤5の量を算出した。
図10に、鋼管の地盤への貫入長と算出された潤滑剤5の供給量との関係を示す。
【0040】
図10に示すように、鋼管の貫入長と潤滑剤5の供給量は比例関係にあることが分かる。
また、前述したように静的には水より粘性が高く、せん断を受けることで粘性が低下するせん断減粘性を有する潤滑剤5は、杭内の土砂に浸透しにくく、杭内壁と杭内の土砂との間にのみ入り込むので、貫入長あたりの潤滑剤5の供給量は、鋼管の内径の円周長さに比例すると考えられる。
上記より、1mの貫入に必要な潤滑剤5の量(L)は、下記式(5)で表すことができる。ここで、Dinは杭の内径(m)、18.433は図10の比例係数、0.95096は直径318.5mm、板厚7.9mmの鋼管内径の円周長(m)である。
【数2】
【0041】
上記式(5)は1mの貫入に必要な潤滑剤5の量であるので、これに潤滑剤5を供給しながら回転貫入したい貫入長(m)を乗ずることで、全体として必要な潤滑剤5の量、即ち、施工前に杭管内に溜めるべき潤滑剤5の量を算出できる。
【0042】
また、溜められた潤滑剤5の量が貫入長X(m)分の量であれば、貫入長がX(m)に到達したとき溜められた潤滑剤5がなくなるので、それ以降の深さに杭1を回転貫入しても潤滑剤5が供給されないことになる。
したがって、予め定められた所定の深さに杭1が到達したときに潤滑剤5を使い切るように潤滑剤5の量を設定しておくことで、予め定められた所定の深さに到達した後は、潤滑剤5を供給しないようにすることができる。
潤滑剤5が供給されなければ、補助工法を使用しない場合の施工と同様に、杭1の回転貫入に伴って杭1内で土砂閉塞が生じるので、杭1の支持力性能を向上させることができる。
さらに、上記「予め定められた所定の深さ」は、杭先端を地盤3の支持層まで到達させる場合は「支持層の上端」となる。
【0043】
地盤3の支持層にまで杭1先端を到達させる場合について、さらに検討する。
支持層の上端からどの程度の深さまで根入れして打ち止めるかは、一般的に杭1の外径に基づいて設定される。例えば支持杭の場合、一般に支持層の上端から最大で杭の外径の5倍程度の深さまで根入れされる。したがって、貫入長の全長に亘って潤滑剤5を供給する場合は、潤滑剤5の供給量は最大で式(5)で示される量の(H+5Dout)倍程度あればよい。ここで、Hは地表から支持層の上端までの深さ(m)、Doutは杭の外径(m)、5Doutは杭の外径の5倍、を示す。
【0044】
一方、支持層では潤滑剤5を供給しないようにして杭1の支持力性能を向上させたい場合には、前述したように杭1が支持層に到達する前に潤滑剤5を使いきるように供給量を設定するのがよい。どの程度上方で潤滑剤5を使い切るようにすると効果的であるかは、地盤条件や杭1の外径によって異なるが、例えば、杭1の外径の10倍程度上方であるとよい。したがって、潤滑剤5の供給量は最小で式(5)で示される量の(H-10Dout)倍となる。ここで、10Doutは杭の外径の10倍、を示す。
したがって、杭先端を地盤3の支持層または支持層中にまで到達させる場合は、潤滑剤5の供給量V(L)は下記式(1)を満たすように設定するのが好ましい。
19.4・π・Din・(H-10Dout)≦V≦19.4・π・Din・(H+5Dout) ・・・(1)
なお、これは支持層に杭1先端を到達させる場合であるが、そうでない場合でも同じ理由から効果を得ることができる。支持層に杭1先端を到達させない場合は、Hは、「地盤3において地表から予め定められた所定の深さまでの距離」とすればよい。ここで、「予め定められた所定の深さ」を「支持層の上端まで」と考えれば、支持層まで杭1の先端を到達させる場合も含めて、潤滑剤5の供給量を制御できる。
【0045】
なお、上記の式(1)は、前述した実験から得られた、杭1の貫入長と潤滑剤供給量の比例係数(図10参照)に基づいて定義したものであるが、潤滑剤5や地盤3の性状に応じて、同様の実験を行い、その結果得られる比例係数に基づいて潤滑剤5の供給量を設定するようにしてもよい。
その場合の潤滑剤の供給量の算出方法は、施工対象と近い性状の地盤において試し施工を実施し、該試し施工における施工深さと使用された潤滑剤の量との関係式を求める工程と、該求めた関係式、試し施工に用いた杭の内周長、実施工深さ及び実施工に用いる杭の内周長に基づいて、潤滑剤の供給量を設定する工程を含むものである。
この潤滑剤の供給量の算出方法の具体例を以下に説明する。
【0046】
まず、試し施工用の鋼管A(内周長b(m))と潤滑剤Bを用意する。
次に実施工予定の地盤に近い性状の地盤に対し、前述した実験と同様の方法で試し施工を実施する。
そして、試し施工における鋼管Aの施工深さと使用された潤滑剤Bの量の比例関係に基づき、比例係数aを求める。
【0047】
上記のように求めた比例係数aと鋼管Aの内周長b(m)より、実施工における潤滑剤5の供給量V(L)を下記式(6)を満たすように設定する。
【数3】
【0048】
なお、図9のような潤滑剤供給管23を介して杭1の先端近傍に潤滑剤5を直接供給するような場合には、ポンプによる潤滑剤5の供給速度、杭1の地盤への回転貫入速度、および地盤3の地表から杭1を貫入する所定の深さを用いて潤滑剤5の供給量を設定し、その設定された供給量がなくなったときに潤滑剤5の潤滑剤供給管23からの吐出を停止するようにしてもよい。さらに、杭1の先端を支持層にまで到達させる場合には、地盤3における地表から支持層の上端までの深さを用いて潤滑剤5の供給量を設定し、その設定された供給量がなくなったときに潤滑剤5の潤滑剤供給管23からの吐出を停止するようにしてもよい。
【0049】
上記のように、本実施の形態によれば、杭1が所定の深さに到達した後は、潤滑剤5を供給しないことにより、地盤3における所定の深さで杭1内の土砂閉塞を積極的に生じさせ、杭1の支持力性能を向上させることができる。さらに、杭1の先端を支持層まで到達させる場合には、潤滑剤5の供給量を支持層の上端までの深さを用いて設定し、支持層の近傍では潤滑剤5を供給が行われないことにより、支持層で杭内の土砂閉塞を積極的に生じさせ、杭1の支持力性能を向上させることができる。
【実施例
【0050】
本発明の杭の施工方法による効果を確認する実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
本実施例の発明例として、杭1に直径318.5mm、板厚7.9mmの鋼管を用いて、図1図2で説明した方法により施工した。また、比較例として、潤滑剤5を供給せずに同鋼管を回転貫入により施工した。また、杭1を把持したリーダー9に鉛直下向きにレーザー距離計を取り付けた。このレーザー距離計で、杭1内に取り込んだ土砂の天端高さを連続計測した。一方、杭1の貫入長は杭打機7に備え付けられた機能で連続測定した。そして、杭1内の土砂の天端高さと杭先端深さとの差をとって「杭内土砂の長さ」とした。
発明例(潤滑剤あり)と比較例(潤滑剤なし)について、鋼管の貫入長に対する杭内土砂の長さ、鋼管を貫入するために必要な押し込み力及び鋼管を回転するために必要な回転トルクを比較したグラフを図11に示す。
なお、図11(a)~図11(c)の破線は、発明例において杭内に予め溜められた潤滑剤5が使い切られたときの貫入長を示すものである。つまり、貫入長が4mを少し超えたところまでは杭内壁と杭内の土砂の間に潤滑剤5が供給されており、それよりも深い範囲では潤滑剤5が供給されていないと判断できる。なお、潤滑剤5の杭1内での残量が0になった時点を、潤滑剤5が使い切られたときと判断している。
【0051】
図11(a)に示すように、比較例(潤滑剤なし)は、貫入長1.5m付近から杭内土砂の伸びが小さくなっている。これは、貫入長1.5m付近から杭内に土砂閉塞が生じ始めていることを示している。また、図11(b)、図11(c)に示すように、杭内土砂の伸びが小さくなるのに伴って押し込み力や回転トルクが大きくなっており、杭内に生じた土砂閉塞によって施工抵抗が増大していることがわかる。
【0052】
一方、発明例(潤滑剤あり)は、貫入長が破線の位置に到達するまで、即ち潤滑剤5が供給されている間は、安定して杭内土砂は伸び続けており、杭内の土砂閉塞を防止できていることがわかる。押し込み力や回転トルクに関しても低い値で安定しており、施工抵抗も小さい。
また、発明例は、貫入長が破線の位置を超えてから、即ち潤滑剤5の供給が行われなくなってからは、杭内土砂の伸びが小さくなり、押し込み力や回転トルクも増大している。これは、潤滑剤5が供給されないことで杭内に土砂閉塞が生じ始めたことを示している。
【0053】
上記のように、本実施例によれば、潤滑剤5を杭1内壁と杭1内の土砂との間に供給しながら杭1を回転貫入することにより、杭1内の土砂閉塞を防止して施工抵抗を低減できることが実証された。また、所定の深度より後は潤滑剤5を供給しないことで、施工の最後(杭1の先端が所定の深さに到達した後)に積極的に土砂閉塞を生じさせて杭1の支持力性能を向上できることが実証された。
【符号の説明】
【0054】
1 杭
3 地盤
5 潤滑剤
7 杭打機
9 リーダー
11 掘削部材
13 水槽
15 ミキサー
17 ポンプ
19 配管
21 混合エレメント
23 潤滑剤供給管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11