(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20241008BHJP
H01R 31/08 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R31/08 P
H01R31/08 Q
(21)【出願番号】P 2021138567
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-212136(JP,A)
【文献】特開2003-157921(JP,A)
【文献】特開2013-109999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内側に配置される接続端子と、
前記接続端子に接続される装着端子と、を備え、
前記装着端子は、平板状のガイド部を有し、
前記ハウジングは、前記ガイド部を位置決めするスリットを有し
、
前記接続端子は、外面に露出する接点部を有し、
前記ガイド部は、前記接点部に接触して接続される、コネクタ。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記接点部に接続される接続部位と、前記スリットへの挿入方向の先端との間に、前記接点部が摺接可能な摺接面を有し、
前記ガイド部は、前記先端に、前記摺接面に向けて前記接続部位側に後退する傾斜面を有している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、弾性変形可能なロック部を有し、
前記ガイド部は、前記ロック部に係止されるロック受け部を有している、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとに分割可能に構成され、
前記第1ハウジングは、前記接続端子を係止する弾性変形可能なランスを有し、
前記第2ハウジングは、前記スリットと、前記ランスの弾性変形を規制するリテーナ部と、を有し、前記第1ハウジングよりも高剛性である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2ハウジングは、前記ガイド部を係止する弾性変形可能なロック部を有している、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスバー(以下、装着端子と称する)を保持するハウジングと、複数の接続端子を収容する他のコネクタと、が開示されている。ハウジングは、コネクタ嵌合室を有している。装着端子は、コネクタ嵌合室に突出する分岐端子部を有している。他のコネクタは、ハウジングのコネクタ嵌合室に嵌合される。各接続端子は、対応する分岐端子部に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、接続端子と装着端子との接続の精度を維持するために、接続端子と装着端子との間の嵌め合い公差に加え、他のコネクタとハウジングとの間の嵌め合い公差を積上げて考慮する必要があり、設計が煩雑化するきらいがあった。
【0005】
そこで本開示は、積上げ公差を減らし、接続端子と装着端子との接続の精度を向上させることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングの内側に配置される接続端子と、前記接続端子に接続される装着端子と、を備え、前記装着端子は、平板状のガイド部を有し、前記ハウジングは、前記ガイド部を位置決めするスリットを有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、積上げ公差を減らし、接続端子と装着端子との接続の精度を向上させることが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、装着端子にハウジングが嵌合された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、装着端子にハウジングが嵌合された状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、接続端子を底面視方向から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、第1ハウジングが第2ハウジングに対して仮係止位置に保持された状態を示す断面図である
【
図9】
図9は、第1ハウジングが第2ハウジングに対して本係止位置に保持された状態を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1ハウジングが第2ハウジングに対して本係止位置に保持された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)ハウジングと、前記ハウジングの内側に配置される接続端子と、前記接続端子に接続される装着端子と、を備え、前記装着端子は、平板状のガイド部を有し、前記ハウジングは、前記ガイド部を位置決めするスリットを有している。
仮に、装着端子がフードに装着され、フード内にハウジングが嵌合されることで、装着端子と接続端子との接続がなされる場合には、フードを公差の積み上げ対象として考慮しなければならず、装着端子と接続端子との接続の精度を厳密に保つのが難しくなる。これに対し、上記構成の場合、装着端子のガイド部がハウジングのスリットに直接に位置決めされるので、公差にフードを考慮する必要がなく、その分、精度を向上させることができる。また、フードの省略によってコネクタの小型化を図ることができる。
【0010】
(2)前記接続端子は、外面に露出する接点部を有し、前記ガイド部は、前記接点部に接触して接続されるのが好ましい。
この構成によれば、装着端子に、接続端子に対する専用の接続部分、例えば、分岐端子部等のタブを設けなくても良いので、構成を簡素化できるとともに、積上げ公差をさらに減らすことができる。
【0011】
(3)前記ガイド部は、前記接点部に接続される接続部位と、前記スリットへの挿入方向の先端との間に、前記接点部が摺接可能な摺接面を有し、前記ガイド部は、前記先端に、前記摺接面に向けて前記接続部位側に後退する傾斜面を有していると良い。
この構成によれば、組み付け過程で接続端子の接点部がガイド部の摺接面を摺接し、接点部の表面に形成された酸化被膜をワイピングにより取り除くことができる。また、接点部がガイド部の傾斜面に誘い込まれて摺接面に円滑に至ることができる。
【0012】
(4)前記ハウジングは、弾性変形可能なロック部を有し、前記ガイド部は、前記ロック部に係止されるロック受け部を有していると良い。
この構成によれば、装着端子側にはロック部に対する専用の係止機能を設ける必要がないので、装着端子側の構成を簡素化することができる。
【0013】
(5)前記ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとに分割可能に構成され、前記第1ハウジングは、前記接続端子を係止する弾性変形可能なランスを有し、前記第2ハウジングは、前記スリットと、前記ランスの弾性変形を規制するリテーナ部と、を有し、前記第1ハウジングよりも高剛性であると良い。
この構成によれば、第2ハウジングがガイド部を位置決めして保持するに足る剛性を有することができる。また、第1ハウジングはランスの撓み動作を可能となす柔軟性を有することができる。
【0014】
(6)前記第2ハウジングは、前記ガイド部を係止する弾性変形可能なロック部を有していると良い。
第2ハウジングが第1ハウジングよりも高剛性であるため、第2ハウジングがガイド部を係止するに足る剛性を確保し易く、ロック部を良好に設けることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
本実施形態は、車両の導電路の分岐部分に設けれられるコネクタ10を例示している。コネクタ10は、
図1に示すように、ハウジング11と、ハウジング11に収容される複数の接続端子12と、ハウジング11に嵌合して装着される装着端子13と、を備えている。
【0017】
本実施形態の場合、装着端子13は、アース端子であって、ハウジング11の内側で各接続端子12に電気的に接続され、ハウジング11の外側で図示しない車両ボディに電気的に接続される。なお、以下の説明において、前後方向については、装着端子13がハウジング11に装着される側を前側とする。上下方向は、高さ方向と同義であって、
図7を除く各図の上下方向を基準とする。左右方向は、幅方向と同義であって、
図1および
図2の左右方向を基準とする。図中の符号F、B、U、D、L、Rは、それぞれ、前、後、上、下、左、右を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めたものに過ぎず、使用時の態様を限定するわけではない。
【0018】
<ハウジング>
ハウジング11は合成樹脂製であって、
図2に示すように、全体として平面視矩形の扁平な形状をなしている。ハウジング11は、互いに分割可能な第1ハウジング14と第2ハウジング15とを有している。第1ハウジング14は、第2ハウジング15に対して仮係止位置と本係止位置とに移動可能に配置される。
【0019】
第1ハウジング14と第2ハウジング15とは互いに異なる材料で形成されている。具体的には、第2ハウジング15は、第1ハウジング14よりも高剛性の材料で形成されている。例えば、第1ハウジング14は、PBT(Polybutylene terephthalate)樹脂で形成され、第2ハウジング15は、ガラス等の無機フィラー入りPBT樹脂で形成されている。
【0020】
第1ハウジング14は、
図1および
図4に示すように、左右方向に長く延びる基部16と、基部16の左右両側の端部から後方に突出するハウジング係止部17と、基部16におけるハウジング係止部17間の位置から後方に突出する複数のランス18と、を有している。
【0021】
基部16には、複数の通し孔19が貫通して形成されている。各通し孔19は、断面円形をなし、基部16において幅方向に一列に並んで配置されている。各通し孔19には、後方から装着端子13が挿通される。
【0022】
各ハウジング係止部17は、
図1および
図10に示すように、前後方向に長い矩形枠状をなしている。各ハウジング係止部17の内側には、係止孔21が貫通して形成されている。
【0023】
各ランス18は、
図4に示すように、基部16の後面における各通し孔19と対応する位置に、幅方向に一列に並んで配置されている。各ランス18の先端部には、
図3に示すように、係止突起22が上方に突出して形成され、係止突起22の後方に、規制片23が形成されている。また、各ランス18の上面には、
図1に示すように、前後方向に延びる誘導溝24が凹み形成されている。誘導溝24は、前後方向に延びて第1ハウジング14の前方に開放され、後端が係止突起22で閉塞されている。接続端子12は、誘導溝24に沿って移動可能とされ、かつランス18に係止可能とされている。
【0024】
また、第1ハウジング14は、
図4に示すように、幅方向で隣接するランス18間の位置に、複数の区画部25を有している。各区画部25は、
図1に示すように、基部16の後面から各ランス18の半分程度の長さをもって突出している。
【0025】
第2ハウジング15は、
図1および
図5に示すように、平板状の上壁26と、上壁26の幅方向両側縁から下方に突出する一対の側壁27と、上壁26の後端部から下方に突出する端壁28と、を有している。端壁28の幅方向両側縁は、側壁27の前端部と一体に連結されている。
【0026】
上壁26は、
図1に示すように、前部に、各側壁27の上端間に架け渡された形態の架設部29を有し、幅方向中央部に、後端から架設部29にかけて凹む形態の凹部31を有している。上壁26には、架設部29から凹部31内に突出する弾性変形可能なロック部32が形成されている。ロック部32は、先端部に、下方に突出する爪状のロック突起33を有している。ロック部32のロック突起33は、装着端子13の後述するロック受け部72に嵌合して係止可能とされている。
【0027】
また、第2ハウジング15は、
図1および
図3に示すように、上壁26の下方に、仕切り壁34を有し、上壁26と仕切り壁34との間で且つ各側壁27間に、幅方向に長いスリット35を有している。スリット35は、第2ハウジング15の後方に開放されている。スリット35には、装着端子13の後述するガイド部71が位置決めして嵌合可能とされている。
【0028】
仕切り壁34には、
図1に示すように、複数の開口部36が貫通して形成されている。各開口部36は、第1ハウジング14と第2ハウジング15との組み付け状態において、各ランス18と対応する位置に、幅方向に並んで配置されている。また、仕切り壁34には、幅方向で隣接する開口部36間の位置に、
図5に示すように、複数の隔壁37が下方に突出して形成されている。各隔壁37は、仕切り壁34の後部に配置され、第1ハウジング14と第2ハウジング15との組み付け状態において、第1ハウジング14の各区画部25と前後方向に連続するように配置される。
【0029】
端壁28には、
図1に示すように、左右方向において各開口部36と重なる位置に、複数の検査孔39が貫通して形成されている。各検査孔39は、断面円形をなし、各通し孔19の開口径よりも小さい開口径を有している。各検査孔39には、ハウジング11内の接続端子12の導通状態をチェックする図示しないプローブピンが挿入可能とされている。
【0030】
端壁28の前面には、
図5に示すように、各検査孔39よりも下方で、且つ幅方向で隣接する隔壁37間の位置に、複数のリテーナ部41が突出して形成されている。各リテーナ部41の前面には、
図8および
図9に示すように、規制凹部42が凹み形成されている。各リテーナ部41の規制凹部42には、第1ハウジング14の各ランス18の規制片23が挿入可能とされている。
【0031】
各側壁27の外面、つまり左側の側壁27の左面および右側の側壁27の右面には、
図1および
図10に示すように、一対ずつの仮係止部43および本係止部44が前後方向に間隔を置いて形成されている。各仮係止部43および各本係止部44は、それぞれ突起状をなし、ハウジング係止部17に係止可能とされている。
【0032】
<接続端子>
接続端子12は導電性の金属板から曲げ加工等して形成されている。接続端子12は、
図7に示すように、前後方向に長く延びる形状とされ、後面が閉塞された角筒状の箱部45と、箱部45の前方に連なるオープンバレル状のワイヤバレル部46と、ワイヤバレル部46の前方に連なるオープンバレル状のインシュレーションバレル部47と、を有している。ワイヤバレル部46は、電線48の芯線部49に圧着して電気的に接続されている。インシュレーションバレル部47は、電線48の被服部51に圧着して機械的に接続されている。なお、各接続端子12に接続された電線48は、
図3に示すように、基部16の各通し孔19を通してハウジング11の前方に引き出される。
【0033】
箱部45の上壁部分は、外壁部分と内壁部分の二重壁構造を有している。箱部45の内壁部分には、弾性変形可能な弾性接触片52が形成されている。弾性接触片52は、内壁部分から外壁部分の切り目間を通して上方に露出する接点部53を有している。
【0034】
箱部45の下壁部分には、
図7に示すように、ランス受け部54が形成されている。ランス受け部54は、箱部45の下壁部分における前後壁間に形成され、箱部45の内側との間を仕切る閉止壁55を有している。箱部45の下壁の後壁には、ランス受け部54の後端を区画する膨出部56が下方にU字状に屈曲して形成されている。ランス受け部54には、
図8に示すように、ランス18の係止突起22が係止可能とされている。
【0035】
<装着端子>
装着端子13は導電性の金属板から曲げ加工等して形成されている。装着端子13は、
図1および
図6に示すように、本体部57と、分岐部58と、連結部59と、を有している。連結部59は、前後方向および左右方向に沿った平板状をなし、後端から屈曲して突出する取付片61を有している。取付片61は、車両ボディに固定される。
【0036】
分岐部58と本体部57とは左右に並んで配置されている。分岐部58は、
図6に示すように、付け根部62と、下板部63と、上板部64と、横板部65と、複数の接続片66と、を有している。付け根部62は、連結部59の前縁における
図1の右側から立ち上がる立板状をなしている。下板部63は平板状をなし、付け根部62の上部から前方に突出し、かつ左右両側に張り出す部分を有している。上板部64も平板状をなし、下板部63の上方において下板部63と平行に対向している。横板部65は、上板部64と下板部63のそれぞれの右側縁に連結されている。
【0037】
複数の接続片66は、タブ状をなし、上板部64と下板部63のそれぞれの前縁から前方に突出する形状になっている。各接続片66は、上板部64と下板部63のそれぞれの前縁において左右に並んで配置されている。
【0038】
分岐部58には、
図1および
図2に示すように、前方からジョイントハウジング67が嵌合される。ジョイントハウジング67は合成樹脂製であって、平面視矩形の扁平な形状をなし、ハウジング11よりも一回り大きくされている。
【0039】
ジョイントハウジング67の後面には、上下一対の装着溝68が開口している。上下一対の装着溝68には、それぞれ上板部64および下板部63が後方から挿入される。また、ジョイントハウジング67には、前方から複数の図示しない雌端子金具が挿入される。各雌端子金具は、上下一対の装着溝68に臨み、内側に各接続片66を挿入させ、分岐部58に電気的に接続される。また、各雌端子金具はそれぞれ電線48Aの端末部に電気的に接続されている。各電線48Aは、
図2に示すように、ジョイントハウジング67の前面から前方に引き出される。
【0040】
本体部57は、
図6に示すように、分岐部58と比べて簡単な構造であって、根元部69と、ガイド部71と、を有して構成されている。根元部69は、連結部59の前縁における
図1の左側から立ち上がる立板状をなしている。本体部57は、全体として弾性変形不能な剛性を有している。
ガイド部71は、全体として平坦な平面視矩形の平板状をなし、根元部69の上部から連続して前後方向に同幅で延びる形状になっている。ガイド部71は、根元部69を介して連結部59よりも一段高く配置されている。ガイド部71は、
図2に示すように、スリット35内に、高さ方向および幅方向に遊動を規制された状態で嵌合可能とされている。ガイド部71の板厚は、
図3に示すように、スリット35の上下方向の隙間に対応する大きさを有している。ガイド部71の幅寸法は、スリット35の開口幅に対応する大きさを有している。ガイド部71の中央部には、
図1に示すように、ロック受け部72が貫通して形成されている。ロック受け部72は、平面視矩形状をなし、ロック部32のロック突起33が嵌合可能な開口寸法を有している。
ガイド部71の下面は、根元部69寄りの後部において、接続端子12の弾性接触片52の接点部53と接触する。ガイド部71の下面には、
図3に示すように、前端から後部にかけて前後方向に長い範囲に摺接面73が形成されている。ガイド部71の摺接面73には、弾性接触片52の接点部53が摺接可能とされている。ガイド部71には、前面から摺接面73にかけて後傾斜する傾斜面74が形成されている。また、連結部59の一側(
図1の左側)からガイド部71の後部に亘る部分と、連結部59の他側(
図1の右側)から下板部63の後部に亘る部分と、には、複数の突条部75が左右に並んで設けられている。
【0041】
<嵌合構造および作用>
装着端子13の分岐部58には、ジョイントハウジング67が嵌合される。分岐部58の各接続片66は、図示しない各雌端子金具に電気的に接続される。
【0042】
一方、第1ハウジング14は第2ハウジング15に対して仮係止位置に保持される。仮係止位置では、ハウジング係止部17の係止孔21に第2ハウジング15の仮係止部43が嵌まり込んで係止される。また、仮係止位置では、
図8に示すように、ランス18の規制片23がリテーナ部41から前方に離れて配置される。よって、ランス18は、弾性変形可能な状態になっている。
【0043】
第1ハウジング14が仮係止位置にあるときに、接続端子12が前方からハウジング11内に挿入される。挿入過程では、接続端子12の膨出部56が基部16の通し孔19からランス18の誘導溝24に嵌合され、接続端子12の挿入動作が案内される。挿入完了時には、
図8に示すように、ランス18の係止突起22がランス受け部54に嵌まり込んで閉止壁55と接触し、接続端子12の挿入動作が停止される。
【0044】
続いて、第1ハウジング14が第2ハウジング15に対して前方へ押し込まれ、本係止位置に至らしめられる。本係止位置では、
図10に示すように、ハウジング係止部17の係止孔21に第2ハウジング15の本係止部44が嵌まり込んで係止される。また、本係止位置では、
図9に示すように、ランス18の規制片23がリテーナ部41の規制凹部42に嵌合され、ランス18の弾性変形が規制される。そして、接続端子12の弾性接触片52の接点部53は第2ハウジング15の開口部36から上方に露出して配置される。
【0045】
続いて、ハウジング11が装着端子13の本体部57に嵌合される。ここで、本体部57のガイド部71は、第2ハウジング15のスリット35に位置決め状態で嵌合される。嵌合過程では、接続端子12の接点部53がガイド部71の傾斜面74と摺接し、弾性接触片52が下方に弾性変形させられる。嵌合が進むと、接続端子12の接点部53がガイド部71の摺接面73と摺接し、接点部53に形成された酸化被膜等の異物がガイド部71によってワイピングされて除去される。
【0046】
ハウジング11が装着端子13の本体部57に正規に嵌合されると、
図3に示すように、接続端子12の弾性接触片52が弾性変形した状態で、接点部53がガイド部71の後部に正規状態で接触し、接続端子12と装着端子13とが電気的に接続される。
【0047】
また、嵌合過程では、ガイド部71が第2ハウジング15のスリット35に位置決めされることにより、装着端子13とハウジング11との嵌合動作が案内される。そして、ロック部32はガイド部71の上面と摺接して弾性変形させられる。嵌合完了時には、ロック部32が弾性復帰し、ロック突起33がロック受け部72に嵌まり込み、ハウジング11と装着端子13とが嵌合状態に保持される。
【0048】
本実施形態の場合、装着端子13とハウジング11との嵌合過程において、装着端子13のガイド部71がハウジング11のスリット35に直接に位置決めされるので、装着端子13側からハウジング11を嵌合するフードを省略することができ、コネクタ10の小型化に寄与することができる。また、フードを公差の積み上げ対象として考慮する必要がないので、装着端子13と接続端子12との接続の精度を向上させることができる。
【0049】
しかも、装着端子13が接続端子12の外面に露出する接点部53に接触して電気的に接続され、接続端子12の箱部45内に進入するタブ等を有していないため、装着端子13の構成を簡素化できるとともに、積上げ公差をより減らすことができる。
【0050】
さらに、ガイド部71がハウジング11のロック部32に係止可能なロック受け部72を有しているため、ロック受け部72がガイド部71とは別に設けられる場合に比べ、装着端子13側の構成を簡素化することができる。
【0051】
さらに、第2ハウジング15が第1ハウジング14よりも高剛性であるため、スリット35にガイド部71を位置決めして保持し、かつロック部32にガイド部71を係止させる構造を実現することが容易になる。これに対し、第1ハウジング14はランス18の撓み動作を可能となす柔軟性を有することが容易になる。
【0052】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、装着端子のガイド部は、接続端子の接点部に電気的に接続される構成であった。しかし、他の実施形態として、装着端子は、ガイド部以外の部位に、接続端子の接点部に電気的に接続される接続部分を有していても良い。
上記実施形態の場合、第2ハウジングは、ロック部とリテーナ部とを有する構成であった。しかし、他の実施形態として、第2ハウジングは、ロック部とリテーナ部のいずれか一方のみを有する構成であっても良い。
上記実施形態の場合、ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとに分割可能に構成されていた。しかし、他の実施形態として、ハウジングは、接続端子を収容するキャビティと装着端子を係止するロック部分とを有するハウジング部材と、接続端子を抜け止めする専用のリテーナ部材と、に分割可能に構成されていても良い。この場合、ハウジング部材に、ガイド部を位置決めするスリットが設けられていると良い。あるいは、ハウジングは全体として単一の部材からなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0053】
10…コネクタ
11…ハウジング
12…接続端子
13…装着端子
14…第1ハウジング
15…第2ハウジング
16…基部
17…ハウジング係止部
18…ランス
19…通し孔
21…係止孔
22…係止突起
23…規制片
24…誘導溝
25…区画部
26…上壁
27…側壁
28…端壁
29…架設部
31…凹部
32…ロック部
33…ロック突起
34…仕切り壁
35…スリット
36…開口部
37…隔壁
39…検査孔
41…リテーナ部
42…規制凹部
43…仮係止部
44…本係止部
45…箱部
46…ワイヤバレル部
47…インシュレーションバレル部
48,48A…電線
49…芯線部
51…被服部
52…弾性接触片
53…接点部
54…ランス受け部
55…閉止壁
56…膨出部
57…本体部
58…分岐部
59…連結部
61…取付片
62…付け根部
63…下板部
64…上板部
65…横板部
66…接続片
67…ジョイントハウジング
68…装着溝
69…根元部
71…ガイド部
72…ロック受け部
73…摺接面
74…傾斜面
75…突条部