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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241008BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65G1/137 B
B65G1/00 501A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021143510
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036449
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩司
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-194413(JP,A)
【文献】特開平02-158501(JP,A)
【文献】特開2002-145424(JP,A)
【文献】特開昭63-180613(JP,A)
【文献】特開2009-196818(JP,A)
【文献】特開2017-213059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫物の下端部を保持可能な棚受け具を高さ方向に複数有する棚を備え、前記複数の棚受け具の間隔は入庫物の高さよりも小さい、自動倉庫であって、
前記自動倉庫に入庫される入庫物の高さを計測する第1センサと、
前記入庫物の高さを前記複数の棚受け具の間隔で除した商に1を加えた目標棚段数を算出する目標棚段数算出手段と、
前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が存在しない場合に、前記目標棚段数を1つ増やす目標棚段数更新手段と、
前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が存在する場合に、前記空き棚に前記入庫物を格納する格納手段と、
前記入庫物の質量を計測する第2センサと、
を備え
前記格納手段は、
前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が少なくとも1つ存在し、かつ、前記入庫物の質量が質量閾値以上である場合に、前記空き棚のうち最低位置の空き棚に前記入庫物を格納する第1格納手段と、
前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が少なくとも1つ存在し、かつ、前記入庫物の質量が前記質量閾値未満である場合に、前記空き棚のうち最高位置の空き棚に前記入庫物を格納する第2格納手段と、を備えること、
を特徴とする自動倉庫
【請求項2】
記第1格納手段は、前記最低位置の空き棚が同一高さに複数存在する場合に、前記最低位置の空き棚のうち前記自動倉庫の入庫口から最も近い空き棚に前記入庫物を格納し、
前記第2格納手段は、前記最高位置の空き棚が同一高さに複数存在する場合に、前記最高位置の空き棚のうち前記入庫口から最も遠い空き棚に前記入庫物を格納すること、
を特徴とする請求項に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記質量閾値は入庫物の高さが高いほど大きく設定されること、
を特徴とする請求項又はに記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に関し、特に立体自動倉庫の棚高さの自動調整に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫の各棚高さは基本的に同一であり、いずれの棚もフルパレット状態の入庫物を収納できる高さに設定されているのが一般的である。フルパレット(全数パレット)状態とは、パレット本体の上に規定数の荷物(製品)が積載された状態である。即ちパレット上に積載された荷物の合計の高さが規定の高さの状態である。
【0003】
しかし、自動倉庫には端数パレット状態の入庫物も収納される。端数パレット状態とは、フルパレット状態から一部の荷物が出庫されて荷高さが低くなった状態である。即ちパレット上に積載された荷物の合計の高さが規定の高さ未満の状態である。荷高さが低くなった端数パレット状態の入庫物をフルパレット状態の入庫物を収納できる棚に収納すれば、上方に無駄な空間が生じるため、収納効率は低下する(図8)。
【0004】
収納効率を高めるため、特許文献1には、大小異なる棚高さの棚を有する自動倉庫が開示されている。これによれば、大きい荷を大きい棚に、小さい荷を小さい棚に格納することができる。
尚、出願人は、本発明に関連するものとして、上記の文献を含めて、以下に記載する文献を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-144519号公報
【文献】特開平4-298402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の自動倉庫は大小異なる棚高さの棚が予め用意されているため、端数パレット状態の入庫物の数が小さい棚の数よりも多い場合は、端数パレット状態の入庫物を大きい棚に収納せざるを得ない。また、端数パレット状態の入庫物の荷高さには様々な高さが存在するため、小さい棚に収納した場合であっても上方に無駄な空間が生じる場合がある。そのため、収納効率が十分に高いとはいえない。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、収納効率の高い自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点は、自動倉庫に関連する。
この自動倉庫は、入庫物の下端部を保持可能な棚受け具を高さ方向に複数有する棚を備える。ここで、前記複数の棚受け具の間隔は入庫物の高さよりも小さい。
自動倉庫は、第1センサ、目標棚段数算出手段、目標棚段数更新手段、格納手段を備える。
前記第1センサは、前記自動倉庫に入庫される入庫物の高さを計測する。
前記目標棚段数算出手段は、前記入庫物の高さを前記複数の棚受け具の間隔で除した商に1を加えた目標棚段数を算出する。
前記目標棚段数更新手段は、前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が存在しない場合に、前記目標棚段数を1つ増やす。
前記格納手段は、前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が存在する場合に、前記空き棚に前記入庫物を格納する。
【0009】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記自動倉庫は、前記入庫物の質量を計測する第2センサを備える。
前記格納手段は、第1格納手段と第2格納手段を備える。
前記第1格納手段は、前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が少なくとも1つ存在し、かつ、前記入庫物の質量が質量閾値以上である場合に、前記空き棚のうち最低位置の空き棚に前記入庫物を格納する。
前記第2格納手段は、前記目標棚段数に一致する段数の空き棚が少なくとも1つ存在し、かつ、前記入庫物の質量が前記質量閾値未満である場合に、前記空き棚のうち最高位置の空き棚に前記入庫物を格納する。
【0010】
第3の観点は、第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記第1格納手段は、前記最低位置の空き棚が同一高さに複数存在する場合に、前記最低位置の空き棚のうち前記自動倉庫の入庫口から最も近い空き棚に前記入庫物を格納する。
前記第2格納手段は、前記最高位置の空き棚が同一高さに複数存在する場合に、前記最高位置の空き棚のうち前記入庫口から最も遠い空き棚に前記入庫物を格納する。
【0011】
第4の観点は、第2又は3の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記質量閾値は入庫物の高さが高いほど大きく設定される。
【発明の効果】
【0012】
第1の観点によれば、入庫物の高さに可能な限り近い段数の空き棚に、入庫物を格納できる。そのため、自動倉庫の収納効率を高めることができる。
【0013】
第2の観点によれば、入庫物の質量に応じて、重い荷物は棚の下側に、軽い荷物は棚の上側に格納することができる。そのため、棚の重心を下げて安定性を高めることができる。
【0014】
第3の観点によれば、重い荷物は搬入口から遠くに、近い荷物は搬入口から近くに格納することができる。
【0015】
第4の観点によれば、入庫物の高さに応じて質量閾値を適切に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の構成例を説明するための図である。
図2】本発明の実施の形態に係る入庫物の構成について説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の棚受け具にパレットが保持された状態を例示する図である。
図4】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の入庫制御について説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の入庫制御について説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態に係る自動倉庫に入庫された入庫物の保管例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係る制御部のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図8】フルパレット状態の入庫物の高さに応じて棚間隔を定めた自動倉庫の格納例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
実施の形態
1.自動倉庫
図1は、実施の形態に係る自動倉庫の構成例を説明するための図である。図1に示す自動倉庫1は、棚群2、スタッカークレーン3、制御装置4、高さセンサ5、質量センサ6を備える。
【0019】
一般的に、棚群2は並べて配置された複数の棚7を備える。棚7は、両側壁の内側に高さ方向に複数の棚受け具8を備える。各棚受け具8は、入庫物9の下端部を保持可能に配置されている。
【0020】
高さセンサ5は、自動倉庫1に入庫される入庫物9の高さを計測する。計測値は制御装置4へ出力される。質量センサ6は、入庫物9の質量を計測する。計測値は制御装置4へ出力される。
【0021】
入庫物9の入出庫は、スタッカークレーン3によりなされる。スタッカークレーン3は昇降台を有する。スタッカークレーン3は、棚群2の前面を走行し、昇降台を昇降させて、昇降台に備えられたスライドフォークにより棚7との間で入庫物9の受け渡しを行う。また、スタッカークレーン3は、棚群2の端近くに備えられた入庫口(ステーション)10と棚群2との間で入庫物9を運搬する。スタッカークレーン3の動作は制御装置4により制御される。制御装置4は、現在の倉庫保管状況データが記憶されたデータベースを含む。倉庫保管状況データは、棚群2に格納された入庫物9の保管位置、高さ、質量などを含む。
【0022】
図2は、入庫物9の構成について説明するための図である。入庫物9は、パレット9aとパレット9aに積載された荷物9bを含む。荷物9bは複数の製品を積み重ねたものである。一例として、図2に示すように製品が規定の段数(例えば4段)積まれた状態をフルパレット状態という。また、製品の一部が出庫されて規定の段数未満(例えば1~3段)となった状態を端数パレット状態という。本明細書では、荷物9bの高さとパレット9aの高さを加えた全体の高さを入庫物9の高さという。
【0023】
図3は、棚受け具8に入庫物9が保持された状態を例示する図である。各棚受け具8は、入庫物9の下端部(パレット9aの端部)を保持可能に配置されている。複数の棚受け具8の間隔は、等間隔であり、パレット9aの高さより大きく、かつ、端数パレット状態(例えば1段)の入庫物9の高さよりも小さい。入庫物9は、パレット9aの端部が左右の棚受け具8に置かれた状態で棚7に格納される。
【0024】
2.自動倉庫の入庫制御
図4および図5を参照して、実施の形態に係る自動倉庫1の入庫制御について説明する。図4および図5は、制御装置4が実行する制御ルーチンのフローチャートである。本制御ルーチンは、自動倉庫1の入庫口(ステーション)10に搬送された入庫物9に対して入庫指示がある度に実行される。
【0025】
まず、ステップS01において、高さセンサ5は、入庫口10に置かれた入庫物9の高さを計測し、計測値を制御装置4へ送信する。質量センサ6は、入庫口10に置かれた入庫物9の質量を計測し、計測値を制御装置4へ送信する。目標棚段数算出手段41は、入庫物9の高さ(計測値)を複数の棚受け具8の単位間隔(設定値)で除した商に1を加えた目標棚段数Hを算出する。なお、計測値に尤度を考慮した値を用いても良い。
【0026】
ステップS01Aにおいて、制御装置4は、データベースから現在の倉庫保管状況データを呼び出す。倉庫保管状況データは、棚群2に格納されている入庫物9の保管位置および高さ、質量閾値MH(MHX)、目標棚段数の上限値HXmaxが予め記憶されている。倉庫保管状況データから棚群2の空き棚が検出される。
【0027】
次にステップS02において、制御装置4は、目標棚段数Hに一致する段数の空き棚が存在するか否かを判定する。該当する空き棚が少なくとも1つ存在する場合は、ステップS02Aの処理が実行される。一方、該当する空き棚が存在しない場合は、後述する図5のステップS04の処理が実行される。
【0028】
ステップS02Aにおいて、制御装置4は、目標棚段数Hに一致する段数の空き棚が複数あるか否かを判定する。該当する空き棚が複数ある場合は、ステップS02Bの処理が実行される。一方、該当する空き棚が1つしかない場合は、ステップS03の処理が実行される。
【0029】
ステップS02Bにおいて、制御装置4は、ステップS01において計測された入庫物9の質量Mが質量閾値MH以上であるか否かを判定する。入庫物9の質量Mが質量閾値MH以上である場合はステップS03Aの処理を実施し、そうでない場合はステップ03Bの処理を実施する。なお、質量閾値MHは固定値であってもよいし、入庫物9の高さが高いほど大きく設定される変動値であってもよい。
【0030】
ステップS03において、格納手段43は、目標棚段数Hに唯一一致する段数の空き棚に入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。
【0031】
ステップS03Aにおいて、第1格納手段43aは、目標棚段数Hに一致する段数の空き棚が複数存在し、かつ、入庫物9の質量Mが質量閾値MH以上である場合に、空き棚のうち最低位置の空き棚に入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。好ましくは、第1格納手段43aは、最低位置の空き棚が棚群2の同一高さに複数存在する場合に、最低位置の空き棚のうち自動倉庫1の入庫口(ステーション)10から最も近い空き棚に入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。
【0032】
ステップS03Bにおいて、第2格納手段43bは、目標棚段数Hに一致する段数の空き棚が複数存在し、かつ、入庫物9の質量Mが質量閾値MH未満である場合に、空き棚のうち最高位置の空き棚に入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。好ましくは、第2格納手段43bは、最高位置の空き棚が棚群2の同一高さに複数存在する場合に、最高位置の空き棚のうち入庫口(ステーション)10から最も遠い空き棚に入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。
【0033】
ステップS11において、ステップS03、S03A、S03Bのいずれかにおいて空き棚に保管された入庫物9に関して、データベースの倉庫保管状況データを更新する。
【0034】
図5は、図4のステップS02において目標棚段数Hと一致する段数の空き棚が無いと判定された場合に実行される処理について説明するためのフローチャートである。上述した図4のステップS01で算出された目標棚段数Hが当該入庫物9の入庫に最適な棚高さであるが、目標棚段数Hと一致する段数の空き棚がない場合もある。この場合に、図5の処理によれば、より大きい棚高さの空き棚を選択され、入庫物9が格納される。
【0035】
ステップS04において、目標棚段数更新手段42は、棚群2に目標棚段数Hに一致する段数の空き棚が存在しない場合に、目標棚段数Hを1つ増やす。更新された目標棚段数をHXとする。
【0036】
次に、ステップS05において、制御装置4は、目標棚段数HXに一致する段数の空き棚が存在するか否かを判定する。該当する空き棚が少なくとも1つ存在する場合は、ステップS05Aの処理が実行される。一方、該当する空き棚が存在しない場合は、ステップS07の処理が実行される。
【0037】
ステップS05Aにおいて、制御装置4は、目標棚段数HXに一致する段数の空き棚が複数あるか否かを判定する。該当する空き棚が複数ある場合は、ステップS05Bの処理が実行される。一方、該当する空き棚が1つしかない場合は、ステップS06の処理が実行される。
【0038】
ステップS05Bにおいて、制御装置4は、ステップS01において計測された入庫物9の質量Mが質量閾値MHX以上であるか否かを判定する。入庫物9の質量Mが質量閾値MHX以上である場合はステップ06Aの処理を実行し、そうでない場合はステップS06Bの処理を実行する。なお、質量閾値MHXは固定値であってもよいし、入庫物9の高さが高いほど大きく設定される変動値であってもよい。
【0039】
ステップS06において、格納手段43は、目標棚段数HXに唯一一致する段数の空き棚に入庫物9を下詰めで格納するようにスタッカークレーン3を制御する。
【0040】
ステップS06Aにおいて、第1格納手段43aは、目標棚段数HXに一致する段数の空き棚が複数存在し、かつ、入庫物9の質量Mが質量閾値MHX以上である場合に、空き棚のうち最低位置の空き棚に下詰めで入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。好ましくは、第1格納手段43aは、最低位置の空き棚が棚群2の同一高さに複数存在する場合に、最低位置の空き棚のうち自動倉庫1の入庫口(ステーション)10から最も近い空き棚に下詰めで入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。
【0041】
ステップS06Bにおいて、第2格納手段43bは、目標棚段数HXに一致する段数の空き棚が複数存在し、かつ、入庫物9の質量Mが質量閾値MHX未満である場合に、空き棚のうち最高位置の空き棚に下詰めで入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。好ましくは、第2格納手段43bは、最高位置の空き棚が棚群2の同一高さに複数存在する場合に、最高位置の空き棚のうち入庫口(ステーション)10から最も遠い空き棚に下詰めで入庫物9を格納するようにスタッカークレーン3を制御する。
【0042】
ステップS11において、ステップS06、S06A、S06Bのいずれかにおいて空き棚に保管された入庫物9に関して、データベースの倉庫保管状況データを更新する。
【0043】
次に、ステップS05の判定条件が成立しない場合について説明する。
ステップS07において、目標棚段数更新手段42は、棚群2に目標棚段数HXに一致する段数の空き棚が存在しない場合に、目標棚段数HXを1つ増やす。
【0044】
次にステップS08において、目標棚段数HXが上限値HXmaxに達していない間は、ステップS05に戻り処理を継続する。一方、目標棚段数HXが上限値HXmaxに達しても目標棚段数HXに一致する段数の空き棚が存在しない場合は、制御装置4は現場及び監視室に警報を出力する(ステップS09、S10)。
【0045】
ステップS11において、ステップS10で出力された警報に関して、データベースの倉庫保管状況データを更新する。
【0046】
3.効果
以上説明したように、図4および図5に示すルーチンによれば、入庫物の高さに可能な限り近い段数の空き棚に、入庫物を格納できる。そのため、自動倉庫の収納効率を高めることができる。また、入庫物の質量に応じて、重い荷物は棚の下側に、軽い荷物は棚の上側に格納することができる。そのため、棚の重心を下げて安定性を高めることができる。また、高さに余裕のある棚には下詰めで保管することにより消費エネルギーも小さく、さらに棚の重心を下げて安定性にも貢献する。また、重い荷物は搬入口から遠くに、近い荷物は搬入口から近くに格納することができる。よって消費エネルギーも小さくできる。また、入庫物の高さに応じて質量閾値を適切に変更することができる。実施の形態に係る自動倉庫1によれば、図6に示すように、フルパレット状態の入庫物9および端数パレット状態の入庫物9が混在する場合に、収納効率の高い入庫制御が実現可能である。
【0047】
4.変形例
ところで、上述した実施の形態において、図4のステップS02A、S02B、S03A、S03Bの処理をなくし、ステップS02Aの判定条件が成立する場合にステップS03以降の処理を実行することとしてもよい。すなわち、目標棚段数Hに一致する段数の任意の空き棚に入庫物9を保管することとしてもよい。
同様に、図5のステップS05A、S05B、S06A、S06Bの処理をなくし、ステップS05の判定条件が成立する場合にステップS06以降の処理を実行することとしてもよい。すなわち、目標棚段数HXに一致する段数の任意の空き棚に入庫物9を保管することとしてもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態において、図4のステップS03Aにおいて入庫物9を入庫口10から最近方の空き棚に保管する処理、および、ステップS03Bにおいて入庫物9を入庫口10から最遠方の空き棚に保管する処理をなくしてもよい。すなわち、入庫物9の質量は、棚7の高さ方向の格納位置にのみ関係することとしてもよい。
同様に、図5のステップS06Aにおいて入庫物9を入庫口10から最近方の空き棚に保管する処理、および、ステップS06Bにおいて入庫物9を入庫口10から最遠方の空き棚に保管する処理をなくしてもよい。すなわち、入庫物9の質量は、棚7の高さ方向の格納位置にのみ関係することとしてもよい。
【0049】
5.ハードウェア構成例
図7は、上述した制御装置4が有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。図1の制御装置4内の各手段は機能の一部を示し、各機能は処理回路により実現される。一態様として、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。他の態様として、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
【0050】
処理回路がプロセッサ91とメモリ92とを備える場合、各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
【0051】
処理回路が専用のハードウェア93を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、又はこれらを組み合わせたものである。各機能は処理回路で実現される。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、上述した実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 自動倉庫
2 棚群
3 スタッカークレーン
4 制御装置
5 高さセンサ(第1センサ)
6 質量センサ(第2センサ)
7 棚
8 棚受け具
9 入庫物
9a パレット
9b 荷物
10 入庫口
41 目標棚段数算出手段
42 目標棚段数更新手段
43 格納手段
43a 第1格納手段
43b 第2格納手段
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ハードウェア
H、HX 目標棚段数
HXmax 目標棚段数の上限値
M 質量
MH、MHX 質量閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8