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  • 特許-正負圧力切替回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】正負圧力切替回路
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20241008BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20241008BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F04B41/00 B
B25J15/06 Z
F04B41/02 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021150944
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043366
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-06-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大谷 篤志
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202176499(CN,U)
【文献】中国実用新案第2718262(CN,Y)
【文献】特開2004-009253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/00
B25J 15/06
F04B 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正圧および負圧を流体機器に選択的に出力する正負圧力切替回路であって、
圧縮機と、前記圧縮機の吐出口と正圧出力ポートとの間に配置される第1電磁弁と、前記圧縮機の吸入口と負圧出力ポートとの間に配置される第2電磁弁とを備え、前記第1電磁弁は、前記圧縮機の前記吐出口を大気に開放する第1位置と前記圧縮機の前記吐出口を前記正圧出力ポートに接続可能な第2位置とに切り換え可能であり、前記第2電磁弁は、前記圧縮機の前記吸入口を前記負圧出力ポートに接続する第1位置と前記圧縮機の前記吸入口を大気に開放する第2位置とに切り換え可能であり、
前記第1電磁弁と前記正圧出力ポートとの間に配置されるエアタンクを備え、前記エアタンクと前記正圧出力ポートとの間に配置される第3電磁弁を備え、前記第3電磁弁は、前記正圧出力ポートを前記エアタンクに接続する第1位置と前記正圧出力ポートを大気に開放する第2位置とに切り換え可能であり、
前記エアタンクのエア圧を検出する圧力センサを備え、前記圧力センサによって検出されるエア圧が設定値以上になったとき、前記第3電磁弁が前記第1位置に切り換えられ、
前記第1電磁弁が前記第1位置にあるとき、前記エアタンクが接続される前記第1電磁弁のポートが閉鎖され、前記第3電磁弁が前記第2位置にあるとき、前記エアタンクが接続される前記第3電磁弁のポートが閉鎖される正負圧力切替回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置等の流体機器に正圧および負圧を供給または出力するための流体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、真空吸着装置において、ワークを吸着する際には、負圧を供給する。そして、ワークを離脱する際には、真空を破壊する正圧を供給する場合がある。
【0003】
特許文献1には、負圧を利用して電子部品を吸着ノズルで吸着し、該電子部品を回路基板上に装着する電子部品装着機が記載されている。この電子部品装着機では、電子部品を吸着する際には、吸着ノズルに供給するエアが負圧に切り替えられる。また、吸着ノズルで吸着した電子部品を回路基板に装着する際には、吸着ノズルに供給するエアが正圧に切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/216859号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、流体機器に正圧および負圧の供給を行う場合、特許文献1の電子部品装着機にも見られるように、正圧を供給するための供給源および負圧を供給するための供給源の二つの供給源(動力源)を必要とする。このため、装置が大型化するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る正負圧力切替回路は、正圧および負圧を流体機器に選択的に出力する。この正負圧力切替回路は、圧縮機と、圧縮機の吐出口と正圧出力ポートとの間に配置される第1電磁弁と、圧縮機の吸入口と負圧出力ポートとの間に配置される第2電磁弁とを備える。第1電磁弁は、圧縮機の吐出口を大気に開放する第1位置と圧縮機の吐出口を正圧出力ポートに接続可能な第2位置とに切り換え可能である。第2電磁弁は、圧縮機の吸入口を負圧出力ポートに接続する第1位置と圧縮機の吸入口を大気に開放する第2位置とに切り換え可能である。
【0008】
上記正負圧力切替回路によれば、一つの圧縮機を備えるだけで、正圧および負圧を流体機器に出力することができ、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る正負圧力切替回路によれば、第1電磁弁および第2電磁弁をいずれも第2位置に切り換えることで、正圧を出力することが可能な状態になる。また、第1電磁弁および第2電磁弁をいずれも第1位置に切り換えることで、負圧を出力することができる。このため、一つの圧縮機で正圧および負圧を流体機器に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る正負圧力切替回路を流体回路図を用いて表した図である。
図2図2は、正圧を出力するときの図1の流体回路図である。
図3図3は、負圧を出力するときの図1の流体回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る正負圧力切替回路10は、正圧出力ポート30および負圧出力ポート32を備え、図示しない流体機器に正圧および負圧を選択的に出力することができる。正負圧力切替回路10は、例えば、ロボットアームの先端に取り付けた二つのグリッパ(正圧で動作するグリッパと負圧で動作するグリッパ)を選択的に動作させるために用いられる。
【0012】
図1に示されるように、正負圧力切替回路10は、圧縮機12、第1電磁弁14、第2電磁弁16、第3電磁弁18およびエアタンク26を有する。圧縮機12は、エアを吸入する吸入口121およびエアを吐出する吐出口122を備える。圧縮機12が稼働すると、圧縮機12のポンプ作用によって、エアの吸入と吐出が周期的に繰り返される。
【0013】
第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18は、いずれも2位置3ポート切換弁として構成され、図示しないコントローラによって切り換え制御される。本実施形態では、第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18は外部パイロット式電磁弁であるが、これらの電磁弁を直動型電磁弁としてもよい。
【0014】
第1電磁弁14の第1ポート141は、吐出配管34により圧縮機12の吐出口122に接続されている。第1電磁弁14の第2ポート142は、第1サイレンサ20を介して大気に開放されている。第1電磁弁14の第3ポート143は、正圧蓄積配管42の一端に接続されている。第1電磁弁14は、以下に述べる第1位置と第2位置との間で切り換え可能である。第1位置では、第1ポート141が第2ポート142に接続されるとともに第3ポート143が閉鎖される。第2位置では、第1ポート141が第3ポート143に接続されるとともに第2ポート142が閉鎖される。第1電磁弁14は、電力が供給されると(オンになると)第1位置に切り換わり、電力供給が停止すると(オフになると)第2位置に切り換わる。
【0015】
第2電磁弁16の第1ポート161は、吸入配管36により圧縮機12の吸入口121に接続されている。第2電磁弁16の第2ポート162は、負圧出力配管40により負圧出力ポート32に接続されている。第2電磁弁16の第3ポート163は、第2サイレンサ22を介して大気に開放されている。第2電磁弁16は、以下に述べる第1位置と第2位置との間で切り換え可能である。第1位置では、第1ポート161が第2ポート162に接続されるとともに第3ポート163が閉鎖される。第2位置では、第1ポート161が第3ポート163に接続されるとともに第2ポート162が閉鎖される。第2電磁弁16は、電力が供給されると(オンになると)第1位置に切り換わり、電力供給が停止すると(オフになると)第2位置に切り換わる。
【0016】
第3電磁弁18の第1ポート181は、正圧蓄積配管42の他端に接続されている。第3電磁弁18の第2ポート182は、第3サイレンサ24を介して大気に開放されている。第3電磁弁18の第3ポート183は、正圧出力配管38により正圧出力ポート30に接続されている。第3電磁弁18は、以下に述べる第1位置と第2位置との間で切り換え可能である。第1位置では、第3ポート183が第1ポート181に接続されるとともに第2ポート182が閉鎖される。第2位置では、第3ポート183が第2ポート182に接続されるとともに第1ポート181が閉鎖される。第3電磁弁18は、電力が供給されると(オンになると)第1位置に切り換わり、電力供給が停止すると(オフになると)第2位置に切り換わる。
【0017】
正圧蓄積配管42の途中には、所定の容積を有するエアタンク26が配置されている。正圧蓄積配管42は、エアタンク26の上流側に位置する第1正圧蓄積配管421とエアタンク26の下流側に位置する第2正圧蓄積配管422とに分かれる。エアタンク26の入口における第1正圧蓄積配管421には、エアタンク26のエア圧を検出するための圧力センサ28が取り付けられている。圧力センサ28によって検出されるエアタンク26のエア圧が設定値未満であるときは、第3電磁弁18は第2位置に保持される。圧力センサ28によって検出されるエアタンク26のエア圧が設定値以上であるときは、第3電磁弁18は第1位置に保持される。なお、第2正圧蓄積配管422には、第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18にパイロット圧を供給するパイロット圧供給配管46が接続されている。
【0018】
本実施形態では、圧力センサ28は、エアタンク26の入口における第1正圧蓄積配管421に取り付けられている。しかしながら、圧力センサ28は、エアタンク26のエア圧を実質的に検出できる箇所であれば、様々な箇所に取り付けられ得る。例えば、エアタンク26の出口における第2正圧蓄積配管422に取り付けられてもよいし、エアタンク26自体に取り付けられてもよい。なお、吐出配管34の途中にはチェック弁44が配置されている。チェック弁44は、圧縮機12の吐出口122から第1電磁弁14に向かうエアの流れを許容し、第1電磁弁14から圧縮機12の吐出口122に向かうエアの流れを阻止する。
【0019】
正負圧力切替回路10は、図1に示される正圧蓄積モード、図2に示される正圧出力モードおよび図3に示される負圧出力モードの3つのモードを採ることができる。以下、これら各モードについて説明する。
【0020】
(正圧蓄積モード)
正圧蓄積モードは、圧縮機12から吐出されるエアを所定圧力まで高めながらエアタンク26に蓄積するモードである。図1に示されるように、正圧蓄積モードでは、第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18は、いずれも第2位置に切り換えられている。正圧蓄積モードにおけるエアの流れは、図1において点線矢印で示されている。
【0021】
正圧蓄積モードでは、圧縮機12の稼働に伴い、大気中のエアは、第2サイレンサ22と第2電磁弁16と吸入配管36とを通って、圧縮機12の吸入口121に吸い込まれる。吸入口121に吸い込まれたエアは、圧縮機12のポンプ作用により、吐出口122から吐出配管34と第1電磁弁14と第1正圧蓄積配管421とを通ってエアタンク26に蓄積される。第3電磁弁18は第2位置にあるので、エアタンク26のエアが正圧出力ポート30に向けて供給されることはない。圧力センサ28によって検出されるエアタンク26のエア圧は次第に上昇し、エアタンク26のエア圧が設定値に到達するまで正圧蓄積モードが継続される。
【0022】
(正圧出力モード)
正圧出力モードは、正圧出力ポート30から正圧を流体機器に出力するモードである。図2に示されるように、正圧出力モードでは、第1電磁弁14および第2電磁弁16は、第2位置に切り換えられており、第3電磁弁18は、第1位置に切り換えられている。正圧出力モードにおけるエアの流れは、図2において点線矢印で示されている。
【0023】
正圧出力モードでは、エアタンク26に蓄積されたエアは、第2正圧蓄積配管422と第3電磁弁18と正圧出力配管38と正圧出力ポート30とを通って流体機器に向けて供給される。これと同時に、圧縮機12の吐出口122から吐出されるエアは、吐出配管34と第1電磁弁14と第1正圧蓄積配管421とを通ってエアタンク26に供給される。すなわち、エアタンク26のエアは、圧縮機12からのエアによって補充されつつ、流体機器に向けて供給される。
【0024】
(負圧出力モード)
負圧出力モードは、負圧出力ポート32から負圧を流体機器に出力するモードである。図3に示されるように、負圧出力モードでは、第1電磁弁14および第2電磁弁16は、第1位置に切り換えられており、第3電磁弁18は、第2位置に切り換えられている。負圧出力モードにおけるエアの流れは、図3において点線矢印で示されている。
【0025】
負圧出力モードでは、圧縮機12の稼働に伴い、負圧出力ポート32から流体機器にわたって存在するエアは、負圧出力配管40と第2電磁弁16と吸入配管36とを通って圧縮機12の吸入口121に吸い込まれる。吸入口121に吸い込まれたエアは、圧縮機12の吐出口122から吐出配管34と第1電磁弁14と第1サイレンサ20とを通って大気に排出される。負圧出力ポート32から流体機器にわたって存在するエアが圧縮機12の吸入口121に吸い込まれることで、負圧出力ポート32において負圧(真空圧)が生じる。すなわち、負圧出力ポート32から負圧が流体機器に出力される。
【0026】
負圧出力モードでは、エアタンク26が第1正圧蓄積配管421を介して接続される第1電磁弁14の第3ポート143が閉鎖されている。また、エアタンク26が第2正圧蓄積配管422を介して接続される第3電磁弁18の第1ポート181が閉鎖されている。これにより、エアタンク26のエアは封じ込められる。したがって、エアタンク26に蓄積されたエアは、大気中に排出されることもなければ流体機器に向かって流れることもなく、エア消費量が可及的に削減される。
【0027】
次に、正負圧力切替回路10を立ち上げてから各モード間で移行を行う際に第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18をどのような手順で切り換えるかについて説明する。正負圧力切替回路10の立ち上げは、第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18がいずれもオフの状態で圧縮機12を起動することにより行われる。すなわち、正負圧力切替回路10の立ち上げは、正圧蓄積モードで圧縮機12を起動することにより行われる。
【0028】
正負圧力切替回路10を立ち上げた直後、流体機器において正圧を使用する要求がある場合、まず、エアタンク26のエア圧が設定値に到達するまで正圧蓄積モードを継続する。そして、エアタンク26のエア圧が上昇して設定値に到達すると、第3電磁弁18をオフからオンにし、正圧蓄積モードから正圧出力モードに移行させる。これにより、エアタンク26のエアが正圧出力ポート30から流体機器に向けて供給され、流体機器において正圧を使用することが可能となる。
【0029】
(正圧出力モードから負圧出力モードへの移行)
流体機器において正圧を使用している状態から負圧を使用する状態に変更したいとの要求がある場合、まず、第3電磁弁18をオンからオフにし、正圧出力ポート30を大気に開放する。これにより、正圧出力ポート30から流体機器に向かうエアの供給が止まる。
【0030】
次いで、第1電磁弁14をオフからオンにし、エアタンク26に蓄積されたエアを封じ込めるとともに、圧縮機12の吐出口122を大気に開放する。エアタンク26のエアを封じ込めることで、再び正圧出力モードに移行する際の準備をしておくことができ、エア消費量を削減できる。圧縮機12の吐出口122が大気に開放されることで、圧縮機12の内部に残った高圧エアが排出され、圧縮機12の負荷が軽減される。
【0031】
次いで、第2電磁弁16をオフからオンにし、負圧出力ポート32を負圧出力配管40と第2電磁弁16と吸入配管36とを介して圧縮機12の吸入口121に連通せしめる。圧縮機12は、負圧出力ポート32から流体機器にわたって存在するエアを負圧出力配管40と第2電磁弁16と吸入配管36とを介して吸い込む。そして、圧縮機12は、吸い込んだエアを吐出配管34と第1電磁弁14と第1サイレンサ20とを介して大気に排出する。これにより、負圧出力ポート32において負圧が生じ、流体機器において負圧を使用することが可能となる。
【0032】
(負圧出力モードから正圧出力モードへの移行)
流体機器において負圧を使用している状態から正圧を使用する状態に変更したいとの要求がある場合、まず、第2電磁弁16をオンからオフにし、圧縮機12の吸入口121を負圧出力ポート32から切り離して大気に開放する。圧縮機12の吸入口121が負圧出力ポート32から切り離されることで、負圧出力ポート32からの負圧の出力が停止する。圧縮機12の吸入口121が大気に開放されることで、圧縮機12の負荷が軽減される。
【0033】
次いで、第1電磁弁14をオンからオフにし、圧縮機12の吐出口122を吐出配管34と第1電磁弁14と第1正圧蓄積配管421とを介してエアタンク26に連通せしめる。このとき、エアタンク26のエア圧が設定値以上であれば、第3電磁弁18をオフからオンにする。第3電磁弁18がオンになると、正圧出力ポート30が正圧出力配管38と第3電磁弁18と第2正圧蓄積配管422とを介してエアタンク26に連通する。これにより、エアタンク26のエアは、圧縮機12からのエアによって補充されつつ、流体機器に向けて供給され、流体機器において正圧を使用することが可能となる。
【0034】
なお、第1電磁弁14をオフにする前からエアタンク26のエア圧が設定値以上になっていれば、第1電磁弁14がオンからオフになるのとほぼ同時に第3電磁弁18がオフからオンになる。前述したように、正圧出力モードから負圧出力モードに移行した際に、エアタンク26のエアが封じ込められているので、第1電磁弁14をオフにする前からエアタンク26のエア圧が設定値以上になっている蓋然性が高い。
【0035】
正負圧力切替回路10を立ち上げた直後、流体機器において負圧を使用する要求がある場合も、エアタンク26のエア圧が設定値に到達するまで正圧蓄積モードを継続した後に負圧出力モードに移行する。負圧出力モードへの移行に際しては、まず、第1電磁弁14をオフからオンにし、エアタンク26に蓄積されたエアを封じ込めるとともに、圧縮機12の吐出口122を大気に開放する。次いで、第2電磁弁16をオフからオンにし、負圧出力ポート32を負圧出力配管40と第2電磁弁16と吸入配管36とを介して圧縮機12の吸入口121に連通せしめる。これにより、負圧出力ポート32において負圧が生じ、流体機器において負圧を使用することが可能となる。なお、第1電磁弁14、第2電磁弁16および第3電磁弁18が直動型電磁弁である場合は、エアタンク26のエア圧が設定値に到達するのを待つことなく、正圧蓄積モードからただちに負圧出力モードに移行してもよい。
【0036】
本実施形態に係る正負圧力切替回路10によれば、第1電磁弁14および第2電磁弁16をいずれも第2位置に切り換え、第3電磁弁18を第1位置に切り換えることで、エアタンク26を使って流体機器に正圧を出力することができる。また、第1電磁弁14および第2電磁弁16をいずれも第1位置に切り換え、第3電磁弁18を第2位置に切り換えることで、流体機器に負圧を出力することができる。したがって、一つの圧縮機12で正圧および負圧を流体機器に出力することができる。
【0037】
本実施形態に係る正負圧力切替回路10によれば、第1電磁弁14が第1位置にあるとき、エアタンク26が第1正圧蓄積配管421を介して接続される第1電磁弁14の第3ポート143が閉鎖される。また、第3電磁弁18が第2位置にあるとき、エアタンク26が第2正圧蓄積配管422を介して接続される第3電磁弁18の第1ポート181が閉鎖される。したがって、負圧を出力するときにエアタンク26のエアが封じ込められるので、エア消費量を削減できる。
【0038】
本実施形態では、エアタンク26を用いて正圧を出力する構成としたが、必ずしもエアタンク26および第3電磁弁18を備える必要はない。エアタンク26および第3電磁弁18を備えていなくても、第1電磁弁14および第2電磁弁16を備えていれば、それらを切り換えることによって、一つの圧縮機で正圧および負圧を出力することが可能である。
【0039】
本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0040】
10…正負圧力切替回路 12…圧縮機
121…吸入口 122…吐出口
14…第1電磁弁 16…第2電磁弁
18…第3電磁弁 26…エアタンク
28…圧力センサ 30…正圧出力ポート
32…負圧出力ポート
図1
図2
図3