(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】皮膚用または毛髪用の外用剤、美容施術方法および微細水供給装置
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20241008BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241008BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q19/00
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021152888
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 明良
(72)【発明者】
【氏名】井上 慎介
(72)【発明者】
【氏名】重森 康司
(72)【発明者】
【氏名】田端 友紀
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/054100(WO,A1)
【文献】特開2019-18195(JP,A)
【文献】特開2020-116032(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0063020(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0175460(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61M 11/00
A45D 44/00
A61H 33/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の有効成分と、基剤とを有し、前記有効成分および前記基剤の少なくとも一方に無帯電かつ粒径が50ナノメートル以下の微細水を含有する
皮膚用または毛髪用の外用剤。
【請求項2】
所定の有効成分と、基剤とを有し、前記有効成分および前記基剤の少なくとも一方に無帯電かつ粒径が50ナノメートル以下の微細水を含有させた外用剤を、皮膚または毛髪に塗布する工程を含む美容施術方法。
【請求項3】
所定の有効成分を含有する基剤または該基剤を有する外用剤を対象剤として槽内に配置する工程と、
温度低下させた導電性高分子膜に前記槽外の空気を供給して空気中の水分を前記導電性高分子膜に吸着させる吸湿状態と、温度上昇させた前記導電性高分子膜に前記槽内の空気を循環させて前記導電性高分子膜に吸着させた水分を粒径が50ナノメートル以下の微細水として前記槽内に放出する放湿状態とを繰り返し、前記槽内の前記微細水の濃度を高める工程と、
前記微細水を前記対象剤に所定時間供給する工程と、
前記槽内から前記対象剤を取り出し、外用剤として皮膚または毛髪に塗布する工程と、
を含む美容施術方法。
【請求項4】
温度低下により空気中の水分を導電性高分子膜に吸着する吸湿状態と温度上昇により前記導電性高分子膜に吸着した水分を粒径が50ナノメートル以下の微細水として槽内に放出する放湿状態とに変化する微細水発生部と、
所定の有効成分を含有する基剤または該基剤を有する外用剤が対象剤として前記槽内に配置された状態で、前記微細水が前記対象剤に供給されるように前記微細水発生部を制御する制御部と、
を備える微細水供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の微細水供給装置であって、
前記槽内の前記対象剤を攪拌する攪拌部を備え、
前記制御部は、前記吸湿状態および前記放湿状態の少なくとも一方の状態で前記対象剤を攪拌するように前記攪拌部を制御する
微細水供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の微細水供給装置であって、
前記微細水発生部と前記槽の間の連通を遮断し、前記微細水発生部に前記槽外の空気を供給する密閉状態と、前記微細水発生部と前記槽の間を連通させ、前記微細水発生部に前記槽内の空気を供給する循環状態との何方か一方を選択する切替部を備え、
前記制御部は、前記槽内の前記微細水の濃度を高めるように、前記切替部の前記密閉状態において前記微細水発生部を前記吸湿状態とし、前記切替部の前記循環状態において前記微細水発生部を前記放湿状態とする
微細水供給装置。
【請求項7】
請求項2に記載の美容施術方法であって、
ナノチャンネルを有する導電性高分子膜に水分を吸着する工程と、
前記導電性高分子膜の温度を上昇させ、前記導電性高分子膜に吸着した水分を放出する工程と、
前記有効成分および前記基剤の少なくとも一方に前記微細水を含有させる工程と、
を含む美容施術方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用または毛髪用の外用剤、美容施術方法および微細水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚に塗った化粧液等の外用剤の皮膚への浸透性を促進させるものが提案されている。例えば、特許文献1には、大気中で放電によって帯電微粒子を生成し、皮膚に塗った外用剤に対して帯電微粒子を放出することで、外用剤の浸透量を増加させる方法や装置が記載されている。また、特許文献2には、美容成分を皮膚に塗った後、大気中での放電により水分子と結合した正イオンおよび負イオンを照射することで、美容成分の皮膚への浸透を促進する方法や装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-59703号公報
【文献】WO2015/156017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したように外用剤や水粒子を放電等により帯電させると、皮膚の角層表面に電気的に吸引されて却って角層内部への浸透性が低下する場合がある。また、美容成分を皮膚に塗った後にさらにイオンを照射するものでは、施術に時間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、外用剤を皮膚や毛髪に塗布した際の有効成分の浸透性をより適切に向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の外用剤は、
皮膚用または毛髪用の外用剤であって、
所定の有効成分を含有する基剤を有し、前記有効成分および前記基剤の少なくとも一方に粒径が50ナノメートル以下の微細水を含有する
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の外用剤は、粒径が50ナノメートル以下の微細水を有効成分および基剤の少なくとも一方に含有する。この外用剤が皮膚や毛髪に塗布されると、微細水が皮膚や毛髪に入り込んで保湿の維持に寄与しつつ有効成分が浸透するルートを形成して浸透を促すから、有効成分の浸透性をより適切に向上させることができる。
【0009】
本発明の第1の美容施術方法は、所定の有効成分を含有する基剤を有し、前記有効成分および前記基剤の少なくとも一方に粒径が50ナノメートル以下の微細水を含有する外用剤を、皮膚または毛髪に塗布する工程を含むことを要旨とする。したがって、外用剤を皮膚や毛髪に塗布した際の有効成分の浸透性をより適切に向上させることができる。この美容施術方法において、塗布する工程を開始するまで外用剤に微細水を供給する工程を含むものとしてもよい。こうすれば、外用剤が乾燥するのを防止して微細水を十分に含有した状態で塗布することができるから、浸透効果を確実に向上させることができる。
【0010】
本発明の第2の美容施術方法は、
所定の有効成分を含有する基剤または該基剤を有する外用剤を対象剤として槽内に配置する工程と、
温度低下させた導電性高分子膜に前記槽外の空気を供給して空気中の水分を前記導電性高分子膜に吸着させる吸湿状態と、温度上昇させた前記導電性高分子膜に前記槽内の空気を循環させて前記導電性高分子膜に吸着させた水分を粒径が50ナノメートル以下の微細水として前記槽内に放出する放湿状態とを繰り返し、前記槽内の前記微細水の濃度を高める工程と、
前記微細水を前記対象剤に所定時間供給する工程と、
前記槽内から前記対象剤を取り出し、外用剤として皮膚または毛髪に塗布する工程と、
を含むことを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の美容施術方法では、槽内の微細水の濃度を高めた状態で、微細水を対象剤に所定時間供給し、槽内から取り出して外用剤として皮膚または毛髪に塗布する。このため、微細水を対象剤に十分に含有させてから塗布することができるから、保湿効果を高めつつ有効成分の浸透性をより一層向上させることができる。
【0012】
本発明の微細水供給装置は、
温度低下により空気中の水分を導電性高分子膜に吸着する吸湿状態と温度上昇により前記導電性高分子膜に吸着した水分を粒径が50ナノメートル以下の微細水として槽内に放出する放湿状態とに変化する微細水発生部と、
所定の有効成分を含有する基剤または該基剤を有する外用剤が対象剤として前記槽内に配置された状態で、前記微細水が前記対象剤に供給されるように前記微細水発生部を制御する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の微細水供給装置では、基剤または外用剤が対象剤として槽内に配置された状態で、微細水が対象剤に供給されるように微細水発生部を制御するから、微細水を含有する外用剤を比較的簡易に製造することができる。この外用剤が皮膚や毛髪に塗布されると、有効成分の浸透性をより適切に向上させることができる。
【0014】
本発明の微細水供給装置において、前記槽内の前記対象剤を攪拌する攪拌部を備え、前記制御部は、前記吸湿状態および前記放湿状態の少なくとも一方の状態で前記対象剤を攪拌するように前記攪拌部を制御するものとしてもよい。こうすれば、基剤に微細水を満遍なく含有させることができるから、保湿効果を高めつつ有効成分の浸透性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】微細水供給装置10の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】微細水発生カートリッジ30の構成の概略を示す構成図である。
【
図4】微細水供給処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】微細水浸透庫15の構成の概略を示す構成図である。
【
図7】微細水が皮膚に浸透するイメージを示す説明図である。
【
図8】第2実施形態の微細水供給装置100の構成の概略を示す構成図である。
【
図9】第2実施形態の微細水供給処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の微細水供給装置10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は、微細水発生カートリッジ30の構成の概略を示す構成図である。微細水供給装置10は、微細水を供給する微細水供給ユニット20と、微細水の供給対象を収容する供給槽50と、装置全体を制御する制御部60とを備える。
【0017】
ここで、微細水の供給対象は、皮膚や毛髪などに塗布される外用剤Pや、外用剤Pのベース成分となる基剤Bである。皮膚に塗布される外用剤Pとしては、例えばローションや美容液、乳液、クリームなどの化粧品や、軟膏やゲル、クリームなどの外用薬などが挙げられる。また、毛髪に塗布される外用剤Pとしては、例えばカラー剤やトリートメント剤、パーマ剤などのヘアケア剤などが挙げられる。また、基剤Bには、所定の有効成分として美容成分や薬用成分などが混合されている。基剤Bや有効成分としては、例えば、保湿成分、生薬エキス、チロシナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、リパーゼのような酵素、レチノール、アスコルビン酸、トコフェロール、ピリドキサール、リボフラビンのようなビタミンやその誘導体、β-カロテン、クロロフィルのような有機系色素、グリセリン、ソルビトール、尿素、乳酸、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび共重合体、グルコース誘導体等のようなモイスチャー成分、パラフィン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、スクワラン、シリコーンオイル、ステアリル等のようなエモリエント成分、トリートメント成分、フケ抑制成分、養毛、育毛成分などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
微細水供給ユニット20は、
図1に示すように、空気通路22が形成されたダクト21と、微細水発生カートリッジ30と、通電回路35と、ファン40とを備える。微細水供給ユニット20は、ダクト21が供給槽50の側壁を貫通するように供給槽50に取り付けられている。
【0019】
ダクト21は、両端が開口した筒状部材であり、供給槽50外で側方(水平方向)に開口した開口21aと供給槽50内で下方(鉛直方向)に開口した開口21bとを有する。ダクト21および空気通路22は、開口21aから供給槽50内まで水平方向に直線状に延在してから、開口21bに向けて下方に湾曲するように延在している。微細水発生カートリッジ30とファン40は、空気通路22の直線部分に、開口21a側からファン40、微細水発生カートリッジ30の順に配置されている。
【0020】
微細水発生カートリッジ30は、
図2に示すように、空気通路22に配置可能な外径の円筒状のケース32と、ケース32内に設けられた微細水発生素子34とを備える。微細水発生素子34は、基材34aと、基材34aの表面に形成された導電性高分子膜34bとを備える。
【0021】
基材34aは、ステンレス系金属や銅系金属などの金属材料、炭素材料、導電性セラミックス材料などの導電性を有する材料で形成されている。本実施形態では、アルミニウムが添加されたステンレス鋼の金属箔を用いる。なお、微細水発生素子34は、空気を流通可能であって基材34a(導電性高分子膜34b)の表面積ができるだけ大きくなるように、波板状やハニカム状、渦巻き状などに形成されている。基材34aには、電源とスイッチとを含む通電回路35が接続されている。通電回路35は、制御部60によりスイッチがオンされると、基材34aへ通電する通電状態となり、制御部60によりスイッチがオフされると、基材34aへの通電を遮断する非通電状態となる。
【0022】
導電性高分子膜34bは、チオフェン系の導電性高分子などの導電性を有する高分子化合物で形成されている。本実施形態では、チオフェン系の導電性高分子のうち、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸) )により形成されている。PEDOT/PSSは、水素結合可能な酸性官能基であるスルホン酸基を持つPSSの中にPEDOTが分散している構造をもつ。また、PEDOTとPSSの境界部分に2ナノメートル(nm)程度のナノメートルサイズの流路であるナノチャンネルを形成する。このナノチャンネル内には、スルホン酸基が多く存在するため、導電性高分子膜34bの表面に存在する水分は、表面の水分量が多く内部の水分量が少ない場合に、表面と内部の濃度差によってナノチャンネル内のスルホン酸基を伝って内部に移動する。これにより、導電性高分子膜34bが水分を吸着する。また、内部に水分が吸着された状態で、表面の水分量が少なく内部の水分量が多い場合に、水分は表面と内部の濃度差によってナノチャンネル内のスルホン酸基を伝って表面に移動する。これにより、導電性高分子膜34bから水分が微細水として放出される。また、導電性高分子膜34bの温度が上昇した状態では、濃度差のみで移動する場合に比して水分(微細水)の速やかな放出が促され、導電性高分子膜34bの温度が低下した状態では、濃度差のみで移動する場合に比して水分の速やかな吸着が促される。このように、微細水発生カートリッジ30(微細水発生素子34)は、温度低下により導電性高分子膜34bに空気中の水分を吸着する吸湿状態に変化し、吸着した水分を温度上昇により導電性高分子膜34bから放出する放湿状態に変化する。なお、導電性高分子膜34bの厚みは、必要な微細水の吸着量(放出量)に応じて適宜定めることができる。例えば、導電性高分子膜34bの厚みが1~30マイクロメートルなどとなるように形成される場合、数秒から数十秒程度の時間で、微細水を放出するのに十分な水分を吸着することができるものとなる。
【0023】
また、微細水発生カートリッジ30は、微細水発生素子34の導電性高分子膜34bから、水粒子の粒径が50ナノメートル以下、例えば粒径が1から2ナノメートル程度の、無帯電の微細水を放出する。このような粒径となる理由は、ナノチャンネルのサイズが2ナノメートルまたはそれ以下のサイズであるため、導電性高分子膜の温度上昇によるナノチャンネル内の水の運動性向上、圧力上昇により、ナノチャンネルから水分が飛び出す現象のためと考えられる。また、飛び出した後に水粒子同士が凝集しても、その粒径は50ナノメートル以下の範囲に分布するものとなっている。このような微細水発生カートリッジ30(導電性高分子膜34b)の微細水発生の詳細な説明は、本願出願人のWO2020/054100および特開2019-018195号公報などに記載されているため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0024】
ファン40は、第1回転方向の回転駆動により、供給槽50外の開口21aから供給槽50内の開口21bに向けて送風する。このため、空気通路22内に吸入した空気を微細水発生カートリッジ30を通して供給槽50内に送ることができる。また、ファン40は、第1回転方向とは逆の第2回転方向の回転駆動により、供給槽50内の開口21bから供給槽50外の開口21aに向けて送風する。ファン40は、図示しないモータにより回転駆動し、制御部60によりPWM(Pulse Width Modulation)制御または電圧制御などによって制御される。なお、ファン40は、プロペラファンでもよいし、シロッコファンなどでもよい。
【0025】
供給槽50は、直方体状または筒状のケースであり、上述したように側壁に微細水供給ユニット20が取り付けられ、供給対象の基剤Bなどを出し入れするための開口50aと、供給槽50内の空気を外部に排気するための排気口50bとが側壁に形成されている。開口50aは、開閉板51により手動で開閉可能となっている。また、供給槽50には、供給対象の基剤Bなどを攪拌するための攪拌装置55が設けられている。
【0026】
攪拌装置55は、供給槽50の上壁に固定されたモータ56と、モータ56の回転軸に連結され下方に延在するシャフト57と、シャフト57の下端から水平方向に放射状に延在する複数の攪拌羽根58とを備える。攪拌装置55は、モータ56の回転駆動力をシャフト57を介して攪拌羽根58に伝達して、攪拌羽根58を回転させることにより基剤Bなどを攪拌する。
【0027】
制御部60は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他にROMやRAM,入出力ポートを備える。制御部60には、微細水供給装置10(微細水供給ユニット20)の運転を開始するためのスタートスイッチ62からの操作信号や、ファン40の風量を調節するための風量調節スイッチ64からの操作信号、攪拌装置55による攪拌動作の有無を設定するための攪拌スイッチ66からの操作信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御部60からは、ファン40を回転駆動するモータへの駆動信号や通電回路35のスイッチへの駆動信号、攪拌装置55のモータ56への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0028】
次に、こうして構成された微細水供給装置10を用いた外用剤Pの製造方法や、製造された外用剤Pを皮膚や毛髪に塗布する塗布方法について説明する。
図3は外用剤製造方法の一例を示す工程図である。外用剤Pの製造者などの作業者は、まず上述した有効成分を含有する基剤Bを供給槽50内に配置する(工程S100)。次に、作業者は、スタートスイッチ62を操作して、微細水供給ユニット20による微細水供給処理を行う(工程S110)。なお、ここでは攪拌スイッチ66がオンとされて「攪拌動作あり」に設定されているものとする。
【0029】
図4は、微細水供給処理の一例を示すフローチャートである。微細水供給処理では、制御部60は、微細水発生カートリッジ30への通電をオフで、ファン40を駆動させて導電性高分子膜34bに水分を吸着させる吸湿制御を行って(S200)、所定の吸湿時間Taが経過するのを待つ(S210)。吸湿制御では、制御部60は、ファン40を第2回転方向に回転駆動させる。このため、供給槽50内の開口21bから空気通路22内に吸入した空気が開口21aから放出される(
図1の実線矢印参照)。また、制御部60は、通電回路35をオフとするため、基材34aへの通電を遮断する非通電状態となり、導電性高分子膜34bの温度が低下して水分の吸着が促される。
【0030】
制御部60は、S210で吸湿時間Taが経過したと判定すると、攪拌装置55を作動させて基剤Bの攪拌動作を開始すると共に(S220)、微細水発生カートリッジ30への通電をオンで、ファン40を第1回転方向に駆動させて放湿制御を行う(S230)。放湿制御では、制御部60は、ファン40を第1回転方向に回転駆動させる。このため、供給槽50外の開口21aから空気通路22内に吸入した空気が開口21bから供給槽50内に放出される(
図1の点線矢印参照)。また、制御部60は、通電回路35をオンとするため、基材34aへ通電する通電状態となり、導電性高分子膜34bの温度が上昇して微細水の放出が促される。放出された微細水は、空気と共に供給槽50内に供給され、基剤Bに照射される。このように、基剤Bを攪拌しながら微細水が照射されるため、基剤Bに満遍なく微細水を供給して混ぜ込むことができる。
【0031】
S230の放湿制御を行うと、制御部60は、所定の放湿時間Tbが経過するのを待ち(S240)、放湿時間Tbが経過したと判定すると、攪拌装置55の作動を停止させて基剤Bの攪拌動作を終了し(S250)、微細水の供給が完了したか否かを判定する(S260)。制御部60は、微細水の供給が完了していないと判定すると、S200に戻り吸湿制御を行う。このように、制御部60は、吸湿制御と放湿制御とを交互に繰り返し行う。吸湿時間Taや放湿時間Tbは、微細水発生カートリッジ30の吸湿能力(放湿能力)や供給槽50のサイズ、基剤Bの種類や量、含有する有効成分などに応じて適宜設定することができる。特に限定するものではないが、例えば吸湿時間Taは、放湿時間Tbの2倍程度の時間に定められており、放湿時間Tbを30秒や1分とした場合に、吸湿時間Taが1分や2分などに定められている。
【0032】
また、S260では、例えば微細水供給処理を開始してからの処理時間が数十分などの所定時間に到達した場合に供給完了と判定したり、吸湿制御と放湿制御との繰り返し回数が所定回数に到達した場合に供給完了と判定したりすればよい。制御部60は、S260で微細水の供給が完了したと判定すると、微細水供給処理を終了する。
【0033】
図3の外用剤製造方法では、S110の微細水供給処理を行うと、作業者は、基剤Bに微細水が供給されることで製造された外用剤Pを供給槽50から取り出し(S120)、外用剤P用の所定の容器Cに収容して(S130)。外用剤製造方法を終了する。なお、微細水は主に基剤Bに含有されるが、基剤B内の有効成分に含有されてもよく、基剤Bと有効成分の両方に含有されてもよい。こうして製造された外用剤Pは、使用者により容器Cから所定量が取り出されて、皮膚や毛髪に塗布される。また、次のように、使用(塗布)の直前まで外用剤Pに微細水を供給してから、塗布してもよい。
【0034】
図5は、微細水浸透庫15の構成の概略を示す構成図である。微細水浸透庫15は、微細水供給装置10と同様に、微細水供給ユニット20と、供給槽50Bと、制御部60とを備え、外用剤Pの販売店(売り場)やエステサロンなどに配置される。供給槽50Bは、攪拌装置55を備えず、蓋が取り外された状態の容器Cが配置される。なお、供給槽50Bは、例えば上下に分割可能に構成され、上側(蓋)を取り外した状態で容器Cが出し入れされる。勿論、供給槽50のように側壁の開口50aを介して出し入れしてもよい。
【0035】
図6は、外用剤塗布方法の一例を示す工程図である。販売店やエステサロンなどの施術者(店員)は、蓋を開けた容器C(外用剤P)を供給槽50B内に配置する(工程S300)。次に、施術者は、微細水浸透庫15のスタートスイッチ62を操作して、微細水供給ユニット20による微細水供給処理を行う(工程S310)。工程S310は、攪拌動作がない点を除いて
図4の微細水供給処理と同様に行われるため、説明を省略する。
【0036】
そして、例えば十数分や数十分などの所定時間にわたって微細水供給処理を行うと、施術者は、微細水が外用剤Pに供給(補充)された容器Cを取り出し(工程S320)、外用剤Pを被施術者の皮膚または毛髪に塗布し、微細水による浸透ルートの形成および微細水による浸透力により外用剤Pを皮膚または毛髪に浸透させて(工程S330)、外用剤塗布処理を終了する。なお、微細水浸透庫15が外用剤Pの購入者の自宅などに配置され、外用剤Pの購入者(使用者)が
図6の外用剤塗布方法を行ってもよい。
【0037】
ここで、
図7は、微細水が皮膚に浸透するイメージを示す説明図である。図示するように、皮膚の表皮は、皮脂膜で覆われた角質層と、顆粒層と、有棘層と、図示しない基底層などからなる。外用剤Pを皮膚に塗布すると、微細水が角質層に入り角質細胞の間の細胞間脂質に入っていく(
図7の矢印参照)。角質表面には20~50ナノメートル程度以下の隙間がある。微細水は、粒径が50ナノメートル以下であって、1~2ナノメートル程度であるから、角質層内に入り易い。また、一般的に皮膚はプラスに帯電しているため、水粒子がマイナスに帯電していると皮膚表面に電気的に吸引されて角質層内に入り難くなり、また、水粒子がプラスに帯電していると反発して皮膚表面まで届き難い。微細水は無帯電であるためそのようなことがない。こうして角質層内に入り込んだ微細水は、角質細胞の周囲の細胞間脂質に沿って水のルートを形成する。その際、細胞間脂質の水分量が向上すると共に角質細胞内の天然保湿成分内にも水分が入るため、角質層全体の水分量を適正値に近付けて保湿性を向上させることができる。また、微細水により細胞間脂質に形成された水のルートを外用剤Pの有効成分が通って皮膚内部に拡散するから、有効成分の浸透を促すことができる。なお、上記で述べた、微細水により水のルートが形成され、そこを薬剤が通り拡散していく他に、微細水の浸透と同時に、薬剤が微細水の浸透力により微細水と共に押し込まれていく薬剤浸透のパターンも考えられる。このように、微細水は、水分の供給による保湿性の向上効果をもたらすと共に、微細水による水のルートの形成に伴う有効成分の浸透性の向上効果
および、微細水の浸透力による有効成分の浸透性の向上効果とを相乗的にもたらすものとなる。なお上記は、微細水が皮膚に浸透する内容を説明したが、毛髪も同様に毛髪表面のキューティクルの微細な隙間(約50nm以下)に微細水が浸透し留まることで毛髪の保湿を行い、また微細水により水のルートが形成され、そこを薬剤が通り拡散していく他に、微細水の浸透と同時に、薬剤が微細水の浸透力により微細水と共に押し込まれていく薬剤浸透のパターンも考えられる。
【0038】
以上説明した外用剤Pは、基剤B(または有効成分)に粒径が50ナノメートル以下の微細水を含有する。このため、外用剤Pが皮膚や毛髪に塗布されると、微細水が浸透することにより、有効成分が浸透する水のルートを形成したり十分に保湿することができる。したがって、保湿効果や浸透効果を高めることができる。なお、基剤Bは脂溶性でも水溶性でもよいが、脂溶性であれば水溶性よりも皮膚などに浸透し易いから、微細水を含有することによる有効成分の浸透性をより一層向上させることができる。
【0039】
また、微細水供給装置10は、基剤Bが供給槽50内に配置された状態で微細水を供給するから、微細水を基剤Bに含有させた外用剤Pを適切に製造することができる。また、微細水供給装置10は、微細水発生カートリッジ30の放湿状態で基剤Bを攪拌装置55により攪拌するから、基剤Bに微細水を満遍なく含有させることができる。
【0040】
また、外用剤塗布方法では、微細水浸透庫15の供給槽50B内に配置された外用剤Pに、塗布(使用)の直前まで微細水を供給するから、微細水を十分に含有した状態で外用剤Pを塗布することができる。このため、例えば外用剤Pが製造されてから使用されるまでの間に、含有している微細水の一部が蒸発しても、塗布前に微細水を補充することができる。このため、微細水による保湿効果や浸透効果を適切に発揮させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図8は、第2実施形態の微細水供給装置100の構成の概略を示す構成図である。微細水供給装置100は、微細水供給ユニット120と、供給槽150と、制御部160とを備える。微細水供給ユニット120は、空気通路121と、微細水発生カートリッジ130と、通電回路135と、ファン140とを備え、空気通路121以外は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0042】
空気通路121は、主通路122と、第1連通路124と、第2連通路127とにより構成され、第1切替部125と、第2切替部128とが設けられている。主通路122は、両端が開口した筒状の通路である。主通路122には、一方側の第1開口122aから他方側の第2開口122bに向かって、ファン140、微細水発生カートリッジ130の順に設けられている。第1連通路124と第2連通路127は、主通路122と供給槽150とを連通する。第1連通路124は、ファン140よりも第1開口122a側で主通路122に接続されると共に供給槽150内まで延在している。第2連通路127は、微細水発生カートリッジ130よりも第2開口122b側で主通路122に接続されると共に供給槽150内まで延在している。
【0043】
第1切替部125は、図示しないモータの駆動により作動する切替板126を有し、第2切替部128は、図示しないモータの駆動により作動する切替板129を有する。
図8に実線で示すように、第1切替部125は、切替板126が通常位置(初期位置)にある場合、第1連通路124を閉鎖(遮断)すると共に第1開口122aを介した空気の流通を許容するように第1開口122a側を開放する。また、第2切替部128は、切替板129が通常位置にある場合、第2連通路127を閉鎖(遮断)すると共に第2開口122bを介した空気の流通を許容するように第2開口122b側を開放する。この状態は、混合槽112が主通路122と遮断されて密閉されるから密閉状態(遮断状態)という。
【0044】
一方、
図8に点線で示すように、第1切替部125は、モータの駆動により切替板126が90度回転した作動位置に作動した場合、第1連通路124を開放すると共に第1開口122aを介した空気の流通を阻止するように第1開口122a側を閉鎖する。また、第2切替部128は、モータの駆動により切替板129が90度回転した作動位置に作動した場合、第2連通路127を開放すると共に第2開口122bを介した空気の流通を阻止するように第2開口122b側を閉鎖する。この状態は、混合槽112と主通路122とが、第1連通路124と第2連通路127とを介して連通して、混合槽112と主通路122とを空気が循環可能となるから、循環状態(連通状態)という。
【0045】
なお、ファン140は、第1回転方向の回転駆動により第1開口122a側から第2開口122b側に向けて送風する。また、ファン140は、第1回転方向とは逆の第2回転方向の回転駆動により第2開口122b側から第1開口122a側に向けて送風する。
【0046】
こうして構成された微細水供給装置100の動作を説明する。ここでは、
図3の外用剤製造方法のS110の微細水供給処理を行う場合の動作を説明する。
図9は、第2実施形態の微細水供給処理の一例を示すフローチャートである。この微細水供給処理では、第1実施形態(
図4)と同じ処理には同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
この微細水供給処理では、制御部160は、上述した密閉状態とし、微細水発生カートリッジ130への通電をオフで、ファン140を第2回転方向に回転駆動させて導電性高分子膜34bに水分を吸着させる吸湿制御を行う(S200b)。このため、第2開口122bから主通路122内に吸入した空気が第1開口122aに向けて流通し(
図8の実線矢印参照)、通電回路35をオフとしているため、導電性高分子膜34bの温度が低下して水分の吸着が促される。なお、ファン140の回転方向は、第1回転方向でもよい。
【0048】
また、制御部160は、S220で攪拌装置155の攪拌動作を開始すると、上述した循環状態とし、微細水発生カートリッジ130への通電をオンで、ファン140を第1回転方向に回転駆動させて導電性高分子膜34bから放出させた微細水を供給槽150内に供給させる放湿制御を行う(S230b)。このため、ファン140から送風された空気が微細水発生カートリッジ130を通って第2連通路127から供給槽150内に流れ、第1連通路124を通って主通路122に戻るように循環する(
図8の点線矢印参照)。このため、新たに空気を流入させることなく循環する空気を利用して、微細水発生カートリッジ130から混合槽112内に微細水を供給するため、混合槽112内の微細水の粒子数が増えて微細水の高濃度環境とすることができる。これにより、微細水を基剤Bに十分に吸収させることができる。
【0049】
微細水供給装置100を用いた外用剤塗布方法は、次のように行われる。まず、施術者は、基剤Bを対象剤として供給槽150内に配置する(工程S100)。次に、上述した吸湿制御と(S200b)、放湿制御(S230b)とを繰り返し、微細水の高濃度環境で基剤Bに微細水を供給する。そして、微細水を基剤Bに所定時間供給してから(S260)、施術者は、供給槽150内から対象剤を取り出し、外用剤Pとして被施術者の皮膚または毛髪に塗布する。このように、第2実施形態の外用剤塗布方法(第2の美容施術方法)では、供給槽150内の微細水の濃度を高めて微細水を対象剤に十分に含有させることができるから、外用剤Pを皮膚や毛髪に塗布した際の保湿効果や浸透効果をより一層向上させることができる。
【0050】
上述した各実施形態では、微細水供給処理で微細水の放湿制御中に攪拌動作を行ったが、これに限られず、吸湿制御中に攪拌動作を行ってもよいし、放湿制御中と吸湿制御中の両方で攪拌動作を行ってもよい。あるいは、攪拌装置55,155を備えるものに限られず、攪拌装置55,155を備えなくてもよい。また、外用剤Pの製造工程において、基剤Bを容器Cに収容してから、その容器Cの蓋を開けた状態で微細水供給装置10,100により微細水を供給して外用剤Pを製造してもよい。
【0051】
各実施形態では、微細水供給処理で吸湿制御と放湿制御とを交互に行って微細水を連続的に供給(常時供給)したが、これに限られない。例えば、作動時間と休止時間とを設定可能としておき、休止時間中は吸湿制御と放湿制御と行わずに休止させることで、微細水を間欠的に供給してもよい。
【0052】
各実施形態の微細水供給ユニット20,120において、微細水発生カートリッジ30,130とファン40,140に加えて、温調カートリッジ(熱交換器)を備えてもよい。温調カートリッジは、大きな熱容量を有すると共に高い熱交換効率を有するように、金属材料により例えば波板状やハニカム状、渦巻き状などにより形成されている。そして、放湿制御中に微細水発生カートリッジ30,130から放出される微細水を含む空気が温調カートリッジを通過して供給槽50(50B),150内へ供給されるようにすればよい。こうすれば、微細水発生カートリッジ30,130で温度上昇した空気が、温調カートリッジを通過する際に室温近くまで冷却されるから、基剤Bなどの対象剤を温度上昇させることなく適切に微細水を供給することができる。
【0053】
各実施形態において、供給槽50(50B),150内に湿度センサを設けておき、湿度センサにより検出される湿度を微細水粒子数の代用特性として用い、吸湿時間Taや放湿時間Tb、吸湿制御と放湿制御の間の休止時間を調整したり、吸湿制御や放湿制御の風量を変更したり、微細水の供給完了を判定したりしてもよい。
【0054】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、外用剤塗布方法(S330)が第1の美容施術方法に相当する。また、微細水供給装置10(100)が「微細水供給装置」に相当し、微細水発生カートリッジ30(130)が「微細水発生部」に相当し、制御部60(160)が「制御部」に相当する。攪拌装置55(155)が「攪拌部」に相当する。
【0055】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、皮膚用または毛髪用の外用剤を塗布する美容施術などに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10,100 微細水供給装置、15 微細水浸透庫、20,120 微細水供給ユニット、21 ダクト、21a,21b 開口、22 空気通路、30,130 微細水発生カートリッジ(微細水発生部)、32 ケース、34 微細水発生素子、34a 基材、34b 導電性高分子膜、35,135 通電回路(通電部)、40,140 ファン(送風部)、50,50B,150 供給槽、50a,150a 開口、50b 排気口、51,151 開閉板、55,155 攪拌装置、56 モータ、57 シャフト、58 攪拌羽根、60,160 制御部、62 スタートスイッチ、64 風量調節スイッチ、66 攪拌スイッチ、121 空気通路、122 主通路、122a 第1開口、122b 第2開口、124 第1連通路、125 第1切替部、126,129 切替板、127 第2連通路、128 第2切替部、B 基剤、C 容器、P 外用剤。