(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
B60W 20/40 20160101AFI20241008BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20241008BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20241008BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20241008BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20241008BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20241008BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20241008BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241008BHJP
B60L 58/14 20190101ALI20241008BHJP
【FI】
B60W20/40
B60K6/48 ZHV
B60W10/26 900
B60W10/06 900
B60W20/13
F02D29/06 D
B60W10/26
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/14
(21)【出願番号】P 2021155966
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】仲西 直器
(72)【発明者】
【氏名】吉川 雅人
(72)【発明者】
【氏名】荒武 宗伸
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-051707(JP,A)
【文献】特開2015-107711(JP,A)
【文献】特開2007-191034(JP,A)
【文献】特開2013-227953(JP,A)
【文献】特開2009-143315(JP,A)
【文献】特開2009-113695(JP,A)
【文献】特開2005-002866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/40
B60K 6/48
B60W 10/26
B60W 10/06
B60W 20/13
F02D 29/06
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、電動機と、前記内燃機関と前記電動機との間に設けられている摩擦係合装置と、前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられている変速機と、前記電動機へ電力を供給する蓄電装置と、制御装置と、を備え、前記摩擦係合装置を係合させて前記電動機からのトルクを前記内燃機関に伝達することで前記内燃機関を始動させるように構成されているハイブリッド車両であって、
前記制御装置は、前記蓄電装置から出力可能な電力が予め設定される閾値以下になった場合、前記内燃機関の停止を禁止するように構成され、
前記閾値は、前記内燃機関の始動時に必要な電力以上であって、且つ、前記内燃機関の始動時に必要な電力との乖離量が
、前記内燃機関の始動時に所定の加速性能を担保しつつ、前記閾値の増加に伴う燃費の低下が抑制されるように予め実験的又は設計的に求められた所定値以下に設定されている
ことを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
車速が所定車速以下の領域では、前記閾値に加速時に必要な電力が加算されている
ことを特徴とする請求項1のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記閾値は、車速の増加方向に対して同じ値または増加側に変化するように設定されている
ことを特徴とする請求項1または2のハイブリッド車両。
【請求項4】
車両が停止した状態では、前記閾値がブレーキ踏力に応じて変更され、
前記閾値は、ブレーキ踏力が大きいときには小さいときに比べて小さい値に設定される
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
シフト操作ポジションが車両停止ポジションに操作されている場合には、前記ブレーキ踏力に拘わらず、前記閾値が車両停止時に規定される最小値に設定される
ことを特徴とする請求項4のハイブリッド車両。
【請求項6】
前記内燃機関の始動時に必要な電力は、前記内燃機関の回転速度を前記電動機によって引き上げるのに必要な電力と、前記動力伝達経路に形成されるガタを詰めるのに必要な電力と、車両に備えられる補機によって消費される電力と、を加算して算出されることを特徴とする請求項1から5の何れか1に記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と電動機との間に摩擦係合装置を備えたハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関および電動機を走行用の駆動力源とするハイブリッド車両がよく知られている。特許文献1のハイブリッド車両がそれである。特許文献1には、バッテリの低温領域において、バッテリ温度が低くなるほどバッテリから出力可能な最大出力を制限することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関と電動機との間に摩擦係合装置を備えたハイブリッド車両が提案されている。このようなハイブリッド車両では、内燃機関を始動するとき、バッテリから供給された電力を用いて電動機を駆動させ、摩擦係合装置を介して電動機から伝達されるクランキングトルクによって内燃機関のクランキングが行われる。ここで、バッテリから出力可能な最大出力が低下するほど、内燃機関を始動させるために必要な出力を電動機で賄うことが難しくなる。これにより、電動機のみで走行していた状態から内燃機関を併用した走行へと切り替えるときに電動機の出力が不足し、この電動機の出力不足に起因するショックが発生する虞がある。これに対して、バッテリの最大出力が低下すると速やかに内燃機関の停止が禁止されるように構成されると、内燃機関の始動時に発生するショックが生じにくくなるものの、内燃機関の駆動時間が長くなって燃費が悪化する虞がある。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、内燃機関と電動機との間に摩擦係合装置を備えたハイブリッド車両において、燃費の悪化を抑制しつつ、内燃機関の始動時に発生するショックを抑制できるハイブリッド車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)内燃機関と、電動機と、前記内燃機関と前記電動機との間に設けられている摩擦係合装置と、前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられている変速機と、前記電動機へ電力を供給する蓄電装置と、制御装置と、を備え、前記摩擦係合装置を係合させて前記電動機からのトルクを前記内燃機関に伝達することで前記内燃機関を始動させるように構成されているハイブリッド車両であって、(b)前記制御装置は、前記蓄電装置から出力可能な電力が予め設定される閾値以下になった場合、前記内燃機関の停止を禁止するように構成され、(c)前記閾値は、前記内燃機関の始動時に必要な電力以上であって、且つ、前記内燃機関の始動時に必要な電力との乖離量が、前記内燃機関の始動時に所定の加速性能を担保しつつ、前記閾値の増加に伴う燃費の低下が抑制されるように予め実験的又は設計的に求められた所定値以下に設定されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、車速が所定車速以下の領域では、前記閾値に車両加速時に必要な電力が加算されていることを特徴とする。
【0008】
第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明において、前記閾値は、車速の増加方向に対して同じ値または増加側に変化するように設定されていることを特徴とする。
【0009】
第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1において、車両が停止した状態では、前記閾値がブレーキ踏力に応じて変更され、前記閾値は、ブレーキ踏力が大きいときには小さいときに比べて小さい値に設定されることを特徴とする。
【0010】
第5発明の要旨とするところは、第4発明において、シフト操作ポジションが車両停止ポジションに操作されている場合には、前記ブレーキ踏力に拘わらず、前記閾値が車両停止時に規定される最小値に設定されることを特徴とする。
【0011】
第6発明の要旨とするところは、第1発明から第5発明の何れか1において、前記内燃機関の始動時に必要な電力は、前記内燃機関の回転速度を前記電動機によって引き上げるのに必要な電力と、前記動力伝達経路に形成されるガタを詰めるのに必要な電力と、車両に備えられる補機によって消費される電力と、を加算して算出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、蓄電装置から出力可能な電力が閾値以下になったとき、内燃機関の停止を禁止するように構成され、さらに、閾値が内燃機関の始動時に必要な電力以上にされているため、内燃機関の始動時に電力が不足することに起因するショックを抑制できる。また、閾値と内燃機関の始動時に必要な電力との乖離量が、内燃機関の始動時に所定の加速性能を担保しつつ、閾値の増加に伴う燃費の低下が抑制されるように予め実験的又は設計的に求められた所定値以下に設定されているため、内燃機関が駆動される時間を最小限にして燃費の悪化を抑制することができる。
【0013】
第2発明によれば、車速が所定車速以下の領域では、閾値に車両加速時に必要な電力分が加算されているため、加速性能が求められる低車速領域では、要求される加速性能を確保することができる。
【0014】
第3発明によれば、閾値は、車速の増加方向に対して同じ値または増加側に変化するように設定されているため、変速機のダウンシフトに伴って内燃機関の始動時に必要な電力が上下に変化した場合であっても、内燃機関の始動および停止が頻繁に繰り返されることを抑制することができる。
【0015】
第4発明によれば、車両が停止した状態では、閾値がブレーキ踏力に応じて変更され、ブレーキ踏力が大きいときには小さいときに比べて小さい値に設定されるため、閾値がブレーキ踏力に応じた適切な値とされ、燃費の悪化を一層抑制することができる。
【0016】
第5発明によれば、シフト操作ポジションが車両停止ポジションに操作されている場合には、閾値が車両停止時に規定される最小値に設定されるため、内燃機関が駆動しにくくなり、燃費の悪化を一層抑制することができる。
【0017】
第6発明によれば、内燃機関の始動時に必要な電力が、内燃機関の回転速度を電動機によって引き上げるのに必要な電力と、動力伝達経路に形成されるガタを詰めるのに必要な電力と、車両に備えられる補機によって消費される電力と、を加算して算出されるため、内燃機関の始動時にこれらの電力を加算して算出される電力が確保されることで、電動機へ供給される電力が不足されることによるショック、動力伝達経路に形成されるガタが詰まるときに発生するショック、および補機への電力不足による影響が、何れも抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明が適用された車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御のための制御機能および制御系統の要部を説明する図である。
【
図2】バッテリ温度と放電可能電力との関係を示す図である。
【
図3】車速と間欠運転禁止閾値との関係を示す関係マップである。
【
図4】ブレーキ踏力と間欠運転禁止閾値との関係を示す関係マップである。
【
図5】電子制御装置の制御作動の要部を説明するためのフローチャートであり、燃費の悪化を抑制しつつ、エンジンの始動時において電力の不足によるショックを防止できる間欠運転禁止閾値を設定する制御機能を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明が適用された車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御のための制御機能および制御系統の要部を説明する図である。
図1において、車両10は、走行用の駆動力源である、エンジン12および電動機MGを備えたハイブリッド車両である。また、車両10は、駆動輪14、および、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16を備えている。
【0021】
エンジン12は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
【0022】
電動機MGは、電力から機械的な動力を発生させる発動機としての機能および機械的な動力から電力を発生させる発電機としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。電動機MGは、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTmが制御される。MGトルクTmは、例えば電動機MGの回転方向がエンジン12の運転時と同じ回転方向である正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。具体的には、電動機MGは、エンジン12に替えて或いはエンジン12に加えて、インバータ52を介してバッテリ54から供給される電力により走行用の動力を発生する。また、電動機MGは、エンジン12の動力や駆動輪14側から入力される被駆動力により発電を行う。電動機MGの発電により発生させられた電力は、インバータ52を介してバッテリ54に蓄積される。バッテリ54は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。前記電力は、特に区別しない場合には電気エネルギも同意である。前記動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。なお、バッテリ54が、本発明の電動機に電力を供給する蓄電装置に対応している。
【0023】
動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内において、K0クラッチ20、トルクコンバータ22、自動変速機24等を備えている。K0クラッチ20は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路におけるエンジン12と電動機MGとの間に設けられた油圧式の摩擦係合装置である。トルクコンバータ22は、K0クラッチ20を介してエンジン12に連結されている。
【0024】
自動変速機24は、トルクコンバータ22に連結されており、トルクコンバータ22と駆動輪14との間の動力伝達経路に介在させられている。トルクコンバータ22および自動変速機24は、各々、電動機MGと駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられている。また、動力伝達装置16は、自動変速機24の出力回転部材である変速機出力軸26に連結されたプロペラシャフト28、プロペラシャフト28に連結されたデファレンシャルギヤ30、デファレンシャルギヤ30に連結された1対のドライブシャフト32等を備えている。また、動力伝達装置16は、エンジン12とK0クラッチ20とを連結するエンジン連結軸34、K0クラッチ20とトルクコンバータ22とを連結する電動機連結軸36等を備えている。なお、自動変速機24が、本発明の変速機に対応している。
【0025】
電動機MGは、ケース18内において、電動機連結軸36に動力伝達可能に連結されている。電動機MGは、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路、特にはK0クラッチ20とトルクコンバータ22との間の動力伝達経路に動力伝達可能に連結されている。つまり、電動機MGは、K0クラッチ20を介することなくトルクコンバータ22や自動変速機24と動力伝達可能に連結されている。見方を換えれば、トルクコンバータ22および自動変速機24は、各々、電動機MGと駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成している。トルクコンバータ22および自動変速機24は、各々、エンジン12および電動機MGの駆動力源の各々からの駆動力を駆動輪14へ伝達する。
【0026】
トルクコンバータ22は、電動機連結軸36と連結されたポンプ翼車22a、および、自動変速機24の入力回転部材である変速機入力軸38と連結されたタービン翼車22bを備えている。ポンプ翼車22aは、K0クラッチ20を介してエンジン12と連結されていると共に、直接的に電動機MGと連結されている。ポンプ翼車22aはトルクコンバータ22の入力部材であり、タービン翼車22bはトルクコンバータ22の出力部材である。電動機連結軸36は、トルクコンバータ22の入力回転部材でもある。変速機入力軸38は、タービン翼車22bによって回転駆動されるタービン軸と一体的に形成されたトルクコンバータ22の出力回転部材でもある。トルクコンバータ22は、駆動力源(エンジン12、電動機MG)の各々からの駆動力を流体を介して変速機入力軸38へ伝達する流体式伝動装置である。トルクコンバータ22は、ポンプ翼車22aとタービン翼車22bとを連結するLUクラッチ40を備えている。LUクラッチ40は、トルクコンバータ22の入出力回転部材を連結する直結クラッチ、すなわち公知のロックアップクラッチである。
【0027】
LUクラッチ40は、車両10に備えられた油圧制御回路56から供給される調圧されたLU油圧PRluによりLUクラッチ40のトルク容量であるLUクラッチトルクTluが変化させられることで、作動状態つまり制御状態が切り替えられる。LUクラッチ40の制御状態としては、LUクラッチ40が解放された状態である完全解放状態、LUクラッチ40が滑りを伴って係合された状態であるスリップ状態、およびLUクラッチ40が係合された状態である完全係合状態がある。
【0028】
自動変速機24は、例えば不図示の1組または複数組の遊星歯車装置と、複数個の係合装置CBと、を備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。係合装置CBは、例えば油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式の摩擦係合装置である。係合装置CBは、各々、油圧制御回路56から供給される調圧されたCB油圧PRcbによりそれぞれのトルク容量であるCBトルクTcbが変化させられることで、係合状態や解放状態などの制御状態が切り替えられる。複数個の係合装置CBとして、例えば4個のクラッチC1~C4および2個のブレーキB1、B2から構成されている。
【0029】
自動変速機24は、係合装置CBのうちの何れかの係合装置が係合されることによって、変速比(ギヤ比ともいう)γat(=AT入力回転速度Ni/AT出力回転速度No)が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちの何れかの変速段が形成される有段変速機である。すなわち、自動変速機24は、複数個の係合装置CB(クラッチC1~C4およびブレーキB1、B2)の係合および解放の組み合わせに応じて複数の変速段に変速される。自動変速機24は、ドライバ(=運転者)によるアクセルペダル42の操作量であるアクセル開度θaccや車速V等に応じて複数の変速段に変速される。なお、変速の判断に当たって、アクセル開度θaccだけでなく、スロットル弁開度θthなどアクセル開度θaccと相関のあるアクセル開度θaccの関連値に基づいて判断されても構わない。同様に、変速の判断に当たって、車速Vだけでなく、AT出力回転速度Noなど車速Vと相関のある車速Vの関連値に基づいて判断されても構わない。AT入力回転速度Niは、変速機入力軸38の回転速度であり、自動変速機24の入力回転速度である。また、AT入力回転速度Niは、トルクコンバータ22の出力回転部材の回転速度でもあり、トルクコンバータ22の出力回転速度であるタービン回転速度Ntと同値である。AT入力回転速度Niは、タービン回転速度Ntで表すことができる。AT出力回転速度Noは、変速機出力軸26の回転速度であり、自動変速機24の出力回転速度である。
【0030】
K0クラッチ20は、エンジン12と電動機MGとの間に設けられ、図示しない油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチにより構成される湿式または乾式の摩擦係合装置である。K0クラッチ20は、後述する電子制御装置90により油圧アクチュエータの作動状態が制御されることによって、係合状態や解放状態などの制御状態が切り替えられる。K0クラッチ20において、油圧制御回路56から調圧されたK0油圧PRk0が油圧アクチュエータに供給されると、K0クラッチ20のトルク容量であるK0トルクTk0が変化させられることで、K0クラッチ20の制御状態が切り替えられる。なお、K0クラッチ20が、本発明の摩擦係合装置に対応している。
【0031】
K0クラッチ20の係合状態では、エンジン連結軸34を介してポンプ翼車22aとエンジン12とが一体的に回転させられる。すなわち、K0クラッチ20は、係合されることによってエンジン12と駆動輪14とを動力伝達可能に連結する。一方で、K0クラッチ20の解放状態では、エンジン12とポンプ翼車22aとの間の動力伝達が遮断される。すなわち、K0クラッチ20は、解放されることによってエンジン12と駆動輪14との間の連結を切り離す。電動機MGはポンプ翼車22aに連結されているので、K0クラッチ20は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達経路に設けられて、その動力伝達経路を断接するクラッチ、すなわちエンジン12と電動機MGとを断接するクラッチとして機能する。つまり、K0クラッチ20は、係合されることによってエンジン12と電動機MGとを連結する一方で、解放されることによってエンジン12と電動機MGとの間の連結を切り離す断接用クラッチである。
【0032】
動力伝達装置16において、K0クラッチ20が係合された場合でのエンジン12から出力される動力は、エンジン連結軸34から、K0クラッチ20、電動機連結軸36、トルクコンバータ22、自動変速機24、プロペラシャフト28、デファレンシャルギヤ30、およびドライブシャフト32等を順次介して駆動輪14へ伝達される。また、電動機MGから出力される動力は、K0クラッチ20の制御状態に拘わらず、電動機連結軸36から、トルクコンバータ22、自動変速機24、プロペラシャフト28、デファレンシャルギヤ30、およびドライブシャフト32等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
【0033】
車両10は、機械式のオイルポンプであるMOP58、電動式のオイルポンプであるEOP60、ポンプ用モータ62等を備えている。MOP58は、ポンプ翼車22aに連結されており、駆動力源(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて動力伝達装置16にて用いられる作動油を吐出する。ポンプ用モータ62は、EOP60を回転駆動するためのEOP60専用のモータである。EOP60は、ポンプ用モータ62により回転駆動させられて作動油を吐出する。MOP58やEOP60が吐出した作動油は、油圧制御回路56へ供給される。油圧制御回路56は、MOP58およびEOP60の少なくとも一方が吐出した作動油を元にして各々調圧した、CB油圧PRcb、K0油圧PRk0、LU油圧PRluなどを供給する。
【0034】
車両10は、更に、車両10の走行制御などに関連する制御装置を含む電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、例えば、エンジン12の出力を制御するエンジン制御用のECU、電動機MGを制御する電動機制御用のECUなど、複数個のECUから構成されている。
【0035】
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力回転速度センサ74、MG回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、ブレーキセンサ82、バッテリセンサ84、油温センサ86、シフトポジションセンサ88)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12のクランク角θcr、エンジン12(内燃機関)の回転速度であるエンジン回転速度Ne、AT入力回転速度Niと同値であるタービン回転速度Nt、車速Vに対応するAT出力回転速度No、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nm、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセルペダル42の操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させるためのブレーキペダル44がドライバによって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、バッテリ54のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、油圧制御回路56内の作動油の温度である作動油温THoil、シフト操作装置64によって切り替えられるシフト操作ポジションPshを表す信号)が、それぞれ供給される。
【0036】
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、ポンプ用モータ62など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御指令信号Se、電動機MGを制御するためのMG制御指令信号Sm、係合装置CBを制御するためのCB油圧制御指令信号Scb、K0クラッチ20を制御するためのK0油圧制御指令信号Sko、LUクラッチ40を制御するためのLU油圧制御指令信号Slu、EOP60を制御するためのEOP制御指令信号Seopなど)が、それぞれ出力される。
【0037】
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現するために、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部92、クラッチ制御手段すなわちクラッチ制御部94、および変速制御手段すなわち変速制御部96を備えている。
【0038】
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部92aとしての機能と、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御手段すなわち電動機制御部92bとしての機能と、を備えており、それらの制御機能によりエンジン12および電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。
【0039】
ハイブリッド制御部92は、例えば要求駆動量マップにアクセル開度θaccおよび車速Vを適用することで、ドライバによる車両10に対する要求駆動量を算出する。前記要求駆動量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である。前記要求駆動量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdem[Nm]は、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。前記要求駆動量として、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、変速機出力軸26における要求AT出力トルク等を用いることもできる。前記要求駆動量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。
【0040】
ハイブリッド制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機24の変速比γat、バッテリ54の充電可能電力Winや放電可能電力Wout等を考慮して、要求駆動トルクTrdemを実現する、エンジン12の目標エンジントルクTedemおよび電動機MGの目標MGトルクTmdemを算出する。ハイブリッド制御部92は、算出された目標エンジントルクTedemが出力されるエンジン12のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50に出力する。また、ハイブリッド制御部92は、算出された目標MGトルクTmdemが出力される電動機MGのMG制御指令信号Smをインバータ52に出力する。エンジン制御指令信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度Neにおいて目標エンジントルクTedemを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPeの指令値である。MG制御指令信号Smは、例えばそのときのMG回転速度Nmにおいて目標MGトルクTmdemを出力する電動機MGの消費電力Wmの指令値である。
【0041】
バッテリ54の充電可能電力Winは、バッテリ54への入力電力の制限を規定するものであり、バッテリ54に入力可能な最大電力を示している。バッテリ54の放電可能電力Woutは、バッテリ54の出力電力の制限を規定するものであり、バッテリ54から出力可能な最大電力を示している。バッテリ54の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbatおよびバッテリ54の充電状態値SOC[%]に基づいて電子制御装置90により算出される。バッテリ54の充電状態値SOCは、バッテリ54の充電状態(充電量、充電残量)を示す値であり、例えばバッテリ充放電電流Ibatおよびバッテリ電圧Vbatなどに基づいて電子制御装置90により算出される。
【0042】
ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、走行モードをモータ走行(=BEV走行)モードとする。ハイブリッド制御部92は、BEV走行モードでは、K0クラッチ20の解放状態で電動機MGのみを駆動力源として走行するBEV走行を行う。一方で、ハイブリッド制御部92は、少なくともエンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、走行モードをエンジン走行モードすなわちハイブリッド走行(以下、HEV走行)モードとする。
【0043】
ハイブリッド制御部92は、ハイブリッド走行モード(以下、HEV走行モード)では、K0クラッチ20の係合状態でエンジン12および電動機MGを駆動力源として走行するエンジン走行すなわちHEV走行を行う。他方で、ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ54の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、HEV走行モードを成立させる。前記エンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ54を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判断するための予め定められた閾値である。このように、ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクTrdem等に基づいて、HEV走行中にエンジン12を自動停止したり、そのエンジン停止後にエンジン12を再始動したり、BEV走行中にエンジン12を始動したりして、BEV走行モードとHEV走行モードとを適宜切り替える。
【0044】
クラッチ制御部94は、走行中の走行モードに応じてK0クラッチ20を制御する。クラッチ制御部94は、例えばBEV走行中にHEV走行モードへの切替が判断されると、エンジン12の始動制御を実行するようにK0クラッチ20の係合制御を行う。例えば、クラッチ制御部94は、走行状態に基づいてエンジン12の始動要求があると判定された場合には、エンジン回転速度Neを引き上げるトルクであるエンジン12のクランキングに必要なトルク(すなわちクランキングトルクTcrn)をエンジン12側へ伝達するためのK0トルクTk0が得られるように、解放状態のK0クラッチ20を係合状態に向けて制御するためのK0油圧制御指令信号Skoを油圧制御回路56へ出力する。
【0045】
変速制御部96は、例えば予め定められた関係である変速マップを用いて自動変速機24の変速判断を行い、必要に応じて自動変速機24の変速制御を実行するためのCB油圧制御指令信号Scbを油圧制御回路56へ出力する。前記変速マップは、例えば車速Vおよびアクセル開度θaccを変数とする二次元座標上に、自動変速機24の変速が判断されるための変速線を有する所定の関係である。前記変速マップでは、車速Vに替えて、AT出力回転速度Noなどを用いても良いし、また、アクセル開度θaccに替えて、要求駆動トルクTrdemや要求駆動力Frdemやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
【0046】
また、ハイブリッド制御部92は、エンジン12を始動させる始動制御手段すなわち始動制御部92cとしての機能をさらに備えている。始動制御部92cは、エンジン12の始動制御を実行するようにエンジン12および電動機MGを制御する。例えば、始動制御部92cは、エンジン12の始動要求が有ると判定された場合には、クラッチ制御部94によるK0クラッチ20の係合状態への切替えに合わせて、電動機MGがクランキングトルクTcrnを出力する為のMG制御指令信号Smをインバータ52へ出力する。つまり、始動制御部92cは、エンジン12の始動過渡期において、クランキングトルクTcrnを電動機MGが出力するように電動機MGを制御する為のMG制御指令信号Smをインバータ52へ出力する。これより、K0クラッチ20の係合に伴い、電動機MGから出力されるクランキングトルクTcrnがK0クラッチ20を介してエンジン12に伝達されることで、エンジン回転速度Neが引き上げられる。また、始動制御部92cは、エンジン回転速度Neが所定値に到達すると、エンジン12の燃焼室内に燃料を噴射した後に点火させることでエンジン12を始動させる。
【0047】
ところで、エンジン12の始動期において、バッテリ54から出力可能な放電可能電力Woutは、バッテリ54の充電量(残量)に相当する充電状態値SOCやバッテリ54のバッテリ温度THbatによって変化する。
図2は、バッテリ温度THbatと放電可能電力Woutとの関係を示す図である。
図2に示すように、バッテリ温度THbatが予め規定されている低温閾値TH1以下になると、バッテリ温度THbatが低くなるほど放電可能電力Woutが減少している。また、バッテリ温度THbatが予め規定されている高温閾値TH2以上になると、バッテリ温度THbatが高くなるほど放電可能電力Woutが減少している。また、図示しないが、バッテリ54の充電状態値SOCが低下するほど放電可能電力Woutが減少する。
【0048】
放電可能電力Woutが減少した状態でエンジン12が始動されると、エンジン12を始動させるために必要な電力が不足するため、電動機MGのMGトルクTm(すなわちクランキングトルクTcrn)が不足し、エンジン始動過渡期にクランキングトルクTcrnの不足に起因するショック(引き込みショック)が生じる虞がある。これに対して、エンジン始動過渡期に発生するショックを防止するため、放電可能電力Woutが低下した場合に、エンジン12の間欠運転を禁止することで上記ショックを回避することができる。ここでいう、エンジン12の間欠運転とは、車両運転中にエンジン12の停止および始動が許可される運転である。
【0049】
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の間欠運転を禁止するか否かを判断する間欠運転禁止判定手段として機能する間欠運転禁止判定部92dを機能的に備えている。間欠運転禁止判定部92dは、エンジン12の間欠運転を禁止するか否かを判定するための判定閾値である、バッテリ54の間欠運転禁止閾値αを設定する。また、間欠運転禁止判定部92dは、現時点の放電可能電力Woutが設定したバッテリ54の間欠運転禁止閾値αよりも小さいか否かを判定する。間欠運転禁止判定部92dは、放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値αよりも大きい場合、エンジン12の間欠運転を禁止しない。すなわち、エンジン12の間欠運転が許可され、エンジン12の間欠運転が可能になる。なお、間欠運転禁止閾値αが、本発明の閾値に対応している。
【0050】
一方、間欠運転禁止判定部92dは、放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値α以下である場合、エンジン12の間欠運転を禁止する。例えば、エンジン12の間欠運転が禁止されたとき、エンジン12が駆動状態にあった場合には、エンジン12の停止が禁止されてエンジン12の駆動状態が維持される。また、エンジン12の間欠運転が禁止されたとき、エンジン12が停止状態にあった場合には、エンジン12が駆動させられる。このように、放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値α以下になり、間欠運転が禁止された場合には、実質的にエンジン12の停止が禁止されることとなる。
【0051】
ここで、エンジン12の間欠運転を禁止するか否かを判定する、判定閾値である間欠運転禁止閾値αの値が大きいと、エンジン12の間欠運転が禁止されやすくなる。その結果、エンジン12が停止しないことでエンジン12の始動時に発生するショックを回避できるものの、エンジン12の駆動時間が長くなって燃費が悪化する虞がある。これに対して、間欠運転禁止閾値αが後述するようにして決定されることで、燃費の悪化を抑制しつつ、エンジン12の始動時に発生するショックを回避することができる。以下、間欠運転禁止閾値αの決定方法について説明する。
【0052】
間欠運転禁止閾値αを決定するに当たって、エンジン12の始動時に必要な電力(以下、必要電力Wneed)が予め求められる。エンジン12の始動時に必要な必要電力Wneedは、コースト走行中にエンジン回転速度Neを電動機MGによってMG回転速度Nmまで引き上げるのに必要なクランキング用電力Wneすなわち電動機MGからクランキングトルクTcrnを発生させるために必要なクランキング用電力Wneと、車両10を被駆動状態から駆動状態に切り替えるときにエンジン12および電動機MGと駆動輪14との間の動力伝達経路を構成する各種ギヤ間に形成されるガタを詰めるのに必要なガタ詰め用電力Wgapと、エアコンなど車両10に備えられる補機によって消費される補機用電力Wastと、を加算(=Wne+Wgap+Wast)して算出される。なお、コースト走行とは、アクセルペダル42の踏込が解除された状態で車両10の慣性によって走行する走行態様である。
【0053】
エンジン12の始動時に算出された必要電力Wneedが確保されている場合には、エンジン回転速度NeをMG回転速度Nmまで引き上げるときに電動機MGから出力されるクランキングトルクTcrnが不足することに起因するショックを防止できる。また、動力伝達装置16を構成する各種ギヤ間に形成されるガタが詰められるときに発生するショックを抑制できる。また、エアコンなどの各種補機に供給される電力が不足することによる不具合(エアコン機能の低下など)を抑制できる。従って、エンジン12の始動時に必要電力Wneedが確保されるように、間欠運転禁止閾値αが、必要電力Wneed以上とされることが望ましい。
【0054】
一方で、間欠運転禁止閾値αが必要電力Wneedに対して十分に大きくなると、エンジン12の始動時に必要電力Wneedが確保されるものの、エンジン12の間欠運転が制限されやすくなるため、実質的にBEV走行を実行可能な領域が狭められて燃費の悪化に繋がる。従って、間欠運転禁止閾値αは、エンジン12の始動時に必要な必要電力Wneed以上であって、且つ、必要電力Wneedとの乖離量δ(=|α-Wneed|)が所定値M以下に設定されている。所定値Mは、予め実験的または設計的に求められ、エンジン12の始動時に所定の加速性能を担保しつつ、間欠運転禁止閾値αの増加に伴う燃費の低下が抑制される値に設定されている。
【0055】
図3は、車速Vと決定された間欠運転禁止閾値αとの関係を示す関係マップである。
図3に示す関係マップは、予め実験的または設計的に求められて電子制御装置90に記憶されている。
図3において横軸が車速V[km/h]を示し、縦軸が間欠運転禁止閾値α[kW]を示している。
図3に示す実線が、コースト走行中においてエンジン12の始動時に必要な必要電力Wneedを示している。また、
図3に示す破線が、コースト走行中に適用される間欠運転禁止閾値αを示している。なお、
図3に示す二点鎖線は、間欠運転が禁止された状態から間欠運転が許可されるための判定閾値である間欠運転許可閾値βを示している。
図3に示すように、間欠運転禁止閾値αと間欠運転許可閾値βとが別個に設けられ、間欠運転禁止閾値αと間欠運転許可閾値βとの間で所定のズレが設定されている。すなわち間欠運転禁止閾値αと間欠運転許可閾値βとの間でヒステリシスが設定されている。間欠運転禁止閾値αと間欠運転許可閾値βとの間でヒステリシスが設定されることで、エンジン12の間欠禁止と間欠許可とが頻繁に切り替わり、エンジン12の始動と停止とが頻繁に繰り返される、所謂ハンチングが防止される。
【0056】
図3の実線で示す必要電力Wneedは、上述したクランキング用電力Wneと、ガタ詰め用電力Wgapと、補機用電力Wastと、を加算(Wne+Wgap+Wast)することで求められる。
図3に示すように、必要電力Wneedは、全体的には車速Vに比例して増加している。また、コースト走行中において必要電力Wneedが上下に変化しているのは、コースト走行中に自動変速機24がダウンシフトされることで、自動変速機24のAT入力回転速度Niが過渡的に上昇するためである。自動変速機24がダウンシフトされるとAT入力回転速度Niが過渡的に上昇し、これに連動してエンジン回転速度NeをMG回転速度Nmまで引き上げるのに必要なクランキング用電力Wneが増加する。その結果、コースト走行中のダウンシフトに伴って、必要電力Wneedが上下に変化している。
【0057】
図3の破線は、実線で示す必要電力Wneedに基づいて設定された間欠運転禁止閾値αを示している。間欠運転禁止閾値αが大きい値に設定されるほど、間欠運転が禁止されやすくなる。従って、間欠運転禁止閾値αが大きい値に設定されるほど電力が確保されやすくなり、エンジン12の始動時に発生するショックが回避されるものの、エンジン12が停止されにくくなることで燃費が悪化する。一方で、間欠運転禁止閾値αが小さくされると間欠運転が許可されやすくなり、エンジンの停止時間が長くなることで燃費が向上するものの、エンジン12の始動時に電力が不足してショックが発生しやすくなる。例えば、間欠運転禁止閾値αが、
図3の実線で示す必要電力Wneedよりも小さい値に設定されると、エンジン12の始動時に電力が不足することによるショックが発生する虞がある。従って、間欠運転禁止閾値αは、必要電力Wneedと同じ値、または、必要電力Wneedよりも大きい値に設定されることが好ましい。これより、間欠運転禁止閾値αは、
図3の破線で示すように、全ての車速領域において必要電力Wneedと同じ値か必要電力Wneedよりも大きい値に設定されている。なお、間欠運転禁止閾値αが必要電力Wneedよりも大きい場合であっても、間欠運転禁止閾値αと必要電力Wneedとの乖離量δ(=|α-Wneed|)が所定値M以下とされている。
【0058】
間欠運転禁止閾値αが必要電力Wneedと同じに設定される場合、少なくともエンジン12の始動時に必要な電力が確保される範囲で間欠運転が許可されることとなり、エンジン12の始動時に発生するショックが防止される。しかしながら、
図3において、必要電力Wneedが自動変速機24のダウンシフトに伴って上下に変化する領域では、コースト走行中に放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値αを頻繁に跨ぐこととなり、間欠運転の禁止と間欠運転の許可とが繰り返されることで、エンジン12の始動および停止が頻繁に繰り替えられる、所謂ハンチングが発生する虞がある。このようなハンチングを回避するため、間欠運転禁止閾値αは、
図3の破線で示すように、車速Vの増加方向に対して減少することがなく、車速Vの増加方向に対して同じ値または増加側に変化するように設定されている。言い換えれば、間欠運転禁止閾値αは、車両領域全体として右肩上がりに上昇している。これより、自動変速機24のダウンシフトに伴い必要電力Wneedが上昇する領域においても、放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値αを頻繁に跨ぐ虞がなくなり、上記ハンチングの発生が抑制される。
【0059】
また、車速Vが停車間際の低車速領域にある状態から車両10を再加速させる際には速やかな加速が望まれるため、十分な加速性能が確保されることが望ましい。そこで、低車速領域からの加速時に車両10の加速性能が確保されるように、車速Vが所定車速Vlow以下の低車速領域では、
図3の一点鎖線で示すように、間欠運転禁止閾値αに加速時に必要な加速用電力Waccが加算されている。すなわち、車速Vが所定車速Vlow以下の低車速領域では、間欠運転禁止閾値αが、必要電力Wneedに対して加速時に必要な加速用電力Wacc分が加算された間欠運転禁止閾値αvlowに設定されている。これより、車速Vが低車速領域においてBEV走行中やエンジン始動時であっても加速性能を担保できるだけの電力が確保され、車両10の加速性能が確保される。なお、加速時に必要な加速用電力Waccは、予め実験的または設計的に求められ、低車速領域からの加速時に運転者が所望する速やかな加速性能が得られる値に設定されている。例えば、
図3に示すように、車速Vがゼロでの必要電力Wneedに対して、加速用電力Waccが加算された値が、間欠運転禁止閾値αvlowに設定されている。また、加速用電力Waccが加算される車速Vの閾値である所定車速Vlowについても、予め実験的または設計的に求められ、速やかな加速が要求される車速Vの閾値に設定されている。
【0060】
さらに、車速Vがゼロすなわち車両10が停止した状態では、ブレーキペダル44のブレーキ踏力Fbrkに応じて間欠運転禁止閾値αが変更される。車速Vがゼロの状態では、ブレーキペダル44のブレーキ踏力Fbrkが大きいほど、運転者が車両10を発進させる意図が小さいものと判断される。これを考慮して、ブレーキペダル44のブレーキ踏力Fbrkが大きいほど間欠運転禁止閾値αが小さい値に設定される。
【0061】
図4は、ブレーキ踏力Fbrkと間欠運転禁止閾値αとの関係を示す関係マップである。
図4の関係マップは、予め実験的または設計的に求められて電子制御装置90に記憶されている。
図4において、横軸がブレーキペダル44のブレーキ踏力Fbrkを示し、縦軸が車速Vがゼロでの間欠運転禁止閾値αを示している。
図4に示すように、ブレーキ踏力Fbrkが所定値K以上になると、ブレーキ踏力Fbrkが大きくなるほど間欠運転禁止閾値αが小さくなっている。また、ブレーキ踏力Fbrkが所定値Kでは、間欠運転禁止閾値αが、例えば低車速域で設定される間欠運転禁止閾値αvlowに設定される。前記所定値Kは、予め実験的または設計的に求められ、例えば運転者に停車の意図があると推測される閾値に設定されている。
【0062】
車速Vがゼロでは、エンジン12の始動時に必要な必要電力Wneedは、エンジン始動時のクランキングトルクTcrnを発生させるために必要なクランキング用電力Wneと、エアコン等の補機に必要な補機用電力Wastと、を合算した値(=Wne+Wast)となる。従って、間欠運転禁止閾値αの最小値αminとして、例えば上記合算した値(=Wne+Wast)が適用される。これより、車速Vがゼロでは、間欠運転禁止閾値αが、最小値αminから低車速領域での間欠運転禁止閾値αvlowの間で変更される。具体的には、間欠運転禁止閾値αは、最小値αminと間欠運転禁止閾値αvlowとの間で、ブレーキペダル44のブレーキ踏力Fbrkが大きくなるほど間欠運転禁止閾値αが小さくなるように設定されている。また、車両10の停止状態からブレーキペダル44の踏込が解除された後、速やかにアクセルペダル42が踏み込まれる場合を考慮し、その場合の加速用の電力分が間欠運転禁止閾値αに加算されても構わない。
【0063】
また、シフト操作ポジションPshが車両停止ポジションであるPポジション(パーキングポジション)に操作されている場合には、ブレーキペダル44のブレーキ踏力Fbrkに拘わらず、間欠運転禁止閾値αが車両停止時に規定される最小値に設定されることで、エンジン12が停止されやすくすることもできる。シフト操作ポジションPshがPポジションに操作された状態では、車両10が発進する可能性が低いため、間欠運転禁止閾値αを小さくしてエンジン12が停止されやすくすることで燃費の悪化を抑制することができる。シフトポジションがPポジションである場合の車両停止時に規定される間欠運転禁止閾値αの最小値として、例えば、ブレーキ踏力Fbrkが十分に大きい場合に設定される最小値αminが適用される。
【0064】
間欠運転禁止判定部92dは、車両10がコースト走行中であるか否かを判定し、車両10がコースト走行中である場合には、
図3に示す間欠運転禁止閾値αを適用する。一方、間欠運転禁止判定部92dは、コースト走行中でない場合、車両10が停止しているか否かを判定する。間欠運転禁止判定部92dは、車両10が停止していない場合、通常時の間欠運転禁止閾値αを適用する。ここで、通常時の間欠運転禁止閾値αは、例えばエンジン12の駆動による燃費の悪化よりもエンジン12の始動時に発生するショックの防止が優先された値であり、
図3に示された間欠運転禁止閾値αよりも十分に大きい値に設定されている。
【0065】
一方、間欠運転禁止判定部92dは、車両10が停止している場合には、シフト操作ポジションPshおよびブレーキ踏力Fbrkに基づいて間欠運転禁止閾値αを設定する。間欠運転禁止判定部92dは、シフト操作ポジションPshがPポジションであるか否かを判定し、シフト操作ポジションPshがPポジションである場合には、シフト操作ポジションPshがPポジションである場合の間欠運転禁止閾値αが適用される。シフト操作ポジションPshがPポジションである場合の間欠運転禁止閾値αとして、例えば、ブレーキペダル44が大きく踏み込まれた場合と同じ最小値αminが適用される。
【0066】
また、間欠運転禁止判定部92dは、シフト操作ポジションPshがPポジション以外であった場合、アクセルペダル42の操作量に相当するアクセル開度θaccがゼロか否かに基づいて、運転者の加速意図がないか否かを判定する。間欠運転禁止判定部92dは、アクセル開度θaccがゼロよりも大きい場合には、運転者に加速意図があるものと判断し、通常時の間欠運転禁止閾値αを適用する。一方、間欠運転禁止判定部92dは、アクセル開度θaccがゼロである場合には、運転者の加速意図がないものと判断し、ブレーキ踏力Fbrkに応じて間欠運転禁止閾値αを設定する。間欠運転禁止判定部92dは、ブレーキ踏力Fbrkが所定値K以上であるか否かを判定し、ブレーキ踏力Fbrkが所定値K以上であった場合には、
図4に示した関係マップに基づいて間欠運転禁止閾値αを設定する。一方、間欠運転禁止判定部92dは、ブレーキ踏力Fbrkが所定値K未満であった場合には、通常時の間欠運転禁止閾値αを適用する。
【0067】
間欠運転禁止判定部92dは、間欠運転禁止閾値αを設定すると、現在の放電可能電力Woutが設定された間欠運転禁止閾値αよりも小さいか否かを判定する。間欠運転禁止判定部92dは、放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値αよりも小さい場合、エンジン12の間欠運転を禁止する。また、間欠運転禁止判定部92dは、放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値α以上である場合、エンジン12の間欠運転を禁止しない。
【0068】
図5は、電子制御装置90の制御作動の要部を説明するためのフローチャートであり、燃費の悪化を抑制しつつ、エンジン12の始動時において電力の不足によるショックを防止できる間欠運転禁止閾値αを設定する制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、車両10の運転中において繰り返し実行される。
【0069】
先ず、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するステップ(以下、ステップを省略)S10において、コースト走行中であるか否かが判定される。コースト走行中であるか否かは、例えば車速Vおよびアクセル開度θacc等に基づいて判定される。S10の判定が肯定される場合、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するS20において、コースト走行中に適用される
図3に示す関係マップに基づいて間欠運転禁止閾値αが設定される。一方、S10の判定が否定される場合、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するS30において、車両10が停止しているか否かが判定される。S30の判定が否定される場合、S80において通常時の間欠運転禁止閾値αが設定される。
【0070】
S30の判定が肯定された場合、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するS40において、シフト操作ポジションPshがPポジションであるか否かが判定される。S40の判定が肯定される場合、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するS70において、シフト操作ポジションPshがPポジションとされた場合の間欠運転禁止閾値αが設定される。シフト操作ポジションPshがPポジションの場合には、間欠運転禁止閾値αとして、例えば、エンジン12のクランキングに使用されるクランキング用電力Wneと補機に必要な補機用電力Wastとを合算した値(=Wne+Wast)が設定される。
【0071】
S40の判定が否定された場合、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するS50において、運転者に加速意思がないか否かが判定される。例えば、アクセル開度θaccがゼロ(またはゼロ近傍の値)であるか否かに基づいて、運転者の加速意思がないかが判定される。S50の判定が否定される場合、S80において通常時の間欠運転禁止閾値αが適用される。
【0072】
S50の判定が肯定された場合、間欠運転禁止判定部92dの制御機能に対応するS60において、ブレーキ踏力Fbrkが所定値K以上であるか否かが判定される。S60の判定が否定される場合、S80において通常時の間欠運転禁止閾値αが設定される。S60の判定が否定される場合、S70において、ブレーキ踏力Fbrkに応じた間欠運転禁止閾値αが設定される。
【0073】
上述のように、本実施例によれば、バッテリ54から出力可能な放電可能電力Woutが間欠運転禁止閾値α以下になったとき、エンジン12の間欠運転を禁止するように構成され、さらに、間欠運転禁止閾値αがエンジン12の始動時に必要な必要電力Wneed以上にされているため、エンジン12の始動時に電力が不足することに起因するショックを抑制できる。また、間欠運転禁止閾値αとエンジン12の始動時に必要な必要電力Wneedとの乖離量δが所定値M以下に設定されているため、エンジン12が駆動される時間を最小限にして燃費の悪化を抑制することができる。
【0074】
また、本実施例によれば、車速Vが所定車速Vlow以下の領域では、間欠運転禁止閾値αに車両加速時に必要な加速用電力Wacc分が加算されているため、加速性能が求められる低車速領域では、要求される加速性能を確保することができる。また、間欠運転禁止閾値αは、車速Vの増加方向に対して同じ値または増加側に変化するように設定されているため、コースト走行中の自動変速機24のダウンシフトに伴ってエンジン12の始動に必要な必要電力Wneedが上下に変化した場合であっても、エンジン12の始動および停止が頻繁に繰り返されることを抑制することができる。また、車両10が停止した状態では、間欠運転禁止閾値αがブレーキ踏力Fbrkに応じて変更され、ブレーキ踏力Fbrkが大きくなるほど間欠運転禁止閾値αが小さい値に設定されるため、間欠運転禁止閾値αがブレーキ踏力Fbrkに応じた適切な値とされ、燃費の悪化を一層抑制することができる。また、シフト操作ポジションPshがPポジションに操作されている場合には、間欠運転禁止閾値αが車両停止時に規定される最小値αminに設定されるため、エンジン12が駆動しにくくなり、燃費の悪化を一層抑制することができる。
【0075】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0076】
例えば、前述の実施例では、コースト走行中に設定される間欠運転禁止閾値αが、低車速域を除いて、エンジン12の始動に必要な必要電力Wneedと同じ値、またはハンチングが発生しない範囲で必要電力Wneedに近いに設定されていたが、コースト走行からの再加速を考慮して、再加速時の電力分だけ間欠運転禁止閾値αが加算されるものであっても構わない。すなわち、低車速領域に限定されず、間欠運転禁止閾値αが加速を考慮した電力分だけ加算されるものであっても構わない。
【0077】
また、前述の実施例では、車速が所定車速Vlow以下の低車速領域では、間欠運転禁止閾値αが加速時に必要な加速用電力Waccが加算された間欠運転禁止閾値αvlowに設定されているが、必ずしも加速用電力Waccを加算する必要はなく、
図3の車速Vが所定車速Vlow以下での破線で示すように、間欠運転禁止閾値αが必要電力Wneedに沿うようにして低下していても構わない。
【0078】
また、前述の実施例では、車両10が停止した状態において、ブレーキ踏力Fbrkが所定値K以上になると、ブレーキ踏力Fbrkが大きくなるほど間欠運転禁止閾値αが小さくなっているが、必ずしもこの態様に限定されない。例えば、車両10が停止した状態において、ブレーキ踏力Fbrkが所定値以上になったら間欠運転禁止閾値αが予め規定されている最小値αminに設定され、ブレーキ踏力Fbrkが所定値未満になったら間欠運転禁止閾値αが例えば上述した間欠運転禁止閾値αvlowに切り替えられるものであっても構わない。このように、ブレーキ踏力Fbrkに応じて間欠運転禁止閾値αが段階的に変更されても構わない。この場合であっても、間欠運転禁止閾値αは、ブレーキ踏力Fbrkが大きいときには小さいときに比べて小さい値に設定されることとなる。
【0079】
また、前述の実施例では、シフト操作ポジションPshがPポジションに操作されている場合には、間欠運転禁止閾値αがクランキング用電力Wneと補機用電力Wastとを合算した値とされているが、必ずしもこの態様に限定されず、これとは別個に設定された間欠運転禁止閾値αが適用されても構わない。
【0080】
また、前述の実施例では、自動変速機24は、1組または複数組の遊星歯車装置と、複数個の係合装置CBを備えている構成される有段式の自動変速機であったが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、公知のベルト式の無段変速機、公知のDCT(Dual Clutch Transmission)を含む同期噛合型平行二軸式自動変速機などであっても構わない。
【0081】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
10:車両(ハイブリッド車両)
12:エンジン(内燃機関)
14:駆動輪
20:K0クラッチ(摩擦係合装置)
24:自動変速機(変速機)
54:バッテリ(蓄電装置)
90:電子制御装置(制御装置)
MG:電動機
M:所定値
Vlow:所定車速
Wout:放電可能電力(蓄電装置から出力可能な電力)
Wneed:必要電力(内燃機関の始動時に必要な電力)
Wacc:加速用電力(加速時に必要な電力)
α:間欠運転禁止閾値(閾値)
δ:乖離量