(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021157684
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2020194360
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】田村 健二
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-076852(JP,A)
【文献】特開2006-213216(JP,A)
【文献】特開2006-192549(JP,A)
【文献】特開2017-095261(JP,A)
【文献】国際公開第2017/199593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車であって、
移動経路に沿って移動する本体部と、前記物品を保持する保持装置と、前記保持装置を前記本体部に対して昇降させる昇降装置と、を備え、
前記物品は、当該物品の底面と平行に配置される面であって、下方を向く被支持面が形成された被保持部を備え、
前記保持装置は、第1方向に並べて配置されて前記被支持面を下方から支持する一対の支持部と、一対の前記支持部のそれぞれを前記第1方向に移動可能に支持する装置本体部と、一対の前記支持部を前記第1方向に互いに接近及び離間させる保持駆動部と、を備え、
前記被保持部の前記第1方向の幅を第1幅として、
前記保持駆動部は、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも大きくするように離間させた第1姿勢と、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも小さくするように接近させた第2姿勢と、に一対の前記支持部を駆動し、
前記保持装置は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して前記装置本体部の水平面に対する傾斜角度を変化させる連動機構を備えている、搬送車。
【請求項2】
前記昇降装置は、回転駆動される複数の回転体と、複数の前記回転体のそれぞれに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されていると共に前記保持装置に連結された伝動部材と、を備え、前記保持装置を複数の前記伝動部材により吊り下げた状態で昇降させ、
複数の前記伝動部材の中に、一対の前記支持部の一方である第1支持部に連結された第1伝動部材と、前記装置本体部に連結された第2伝動部材とが含まれ、
前記第1伝動部材における前記回転体から繰り出された部分は、前記装置本体部に固定された案内体を経由して前記第1支持部に連結され、
前記連動機構は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して、前記第1伝動部材における前記案内体と前記第1支持部との間に配置される部分の長さを変化させるように構成されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記昇降装置は、回転駆動される複数の回転体と、複数の前記回転体のそれぞれに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されていると共に前記保持装置に連結された伝動部材と、を備え、前記保持装置を複数の前記伝動部材により吊り下げた状態で昇降させ、
前記保持駆動部は、駆動源により回転駆動される駆動軸を備え、前記駆動軸の回転に連動して一対の前記支持部を前記第1方向に互いに接近及び離間させるように構成され、
前記連動機構は、前記駆動軸の回転に連動して回転する連動回転体を備え、
複数の前記伝動部材の中に、第1伝動部材と、前記装置本体部に連結された第2伝動部材とが含まれ、
前記第1伝動部材における前記回転体から繰り出された延出部分が、前記連動回転体に巻回され、
前記連動機構は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更のための前記駆動軸の回転に連動して回転する前記連動回転体により、前記第1伝動部材を巻き取り及び繰り出して、前記第1伝動部材における前記回転体と前記連動回転体との間の長さを変化させるように構成されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項4】
前記保持装置は、前記昇降装置に連結された連結部を備え、
前記装置本体部は、前記連結部を介して前記昇降装置に連結され、
前記連動機構は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して、前記連結部に対する前記装置本体部の傾斜角度を変化させるように構成されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項5】
前記物品は、側面に開口部を有する容器であり、
前記保持装置は、一対の前記支持部が前記第2姿勢に駆動された状態で、前記開口部が斜め上方を向く姿勢で前記物品を保持する、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送車の一例が、特開2012-64799号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1には、物品を搬送する搬送車として、収納容器(4)を搬送する天井搬送車(A)が開示されている。この天井搬送車(A)は、走行経路(3)に沿って走行する走行部(11)と、収納容器(4)を保持する保持部(10)と、保持部(10)を走行部(11)に対して昇降させる昇降装置と、を備えている。
【0003】
特許文献1では、収納容器(4)は、基板(5)を出し入れするための開口(6)が側面に形成されたオープンカセットである。保持部(10)に保持されている収納容器(4)の開口(6)から、基板(5)が飛び出すことを防止するために、特許文献1の天井搬送車(A)には、基板(5)の側面に接触する接触位置と基板(5)の側面から離間する離間位置とに移動可能な接触体(26)を備えた飛び出し防止機構(9)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送車の走行時には保持装置に保持されている物品に振動が伝わりやすいため、特許文献1の飛び出し防止機構のような機構の有無にかかわらず、振動に対する許容度を高く確保しやすい保持姿勢で、物品が保持装置に保持されることが望ましい。特許文献1では、物品が側面に開口部を有する容器であるため、例えば開口部が斜め上方を向く傾斜姿勢が、収容物(特許文献1では基板)が開口部から物品の外部に移動し難い保持姿勢、すなわち、振動に対する許容度を高く確保しやすい保持姿勢となる。
【0006】
上記のように、特定の保持姿勢(例えば、上記の傾斜姿勢)で物品が保持装置によって保持されることが望ましい場合があるが、所望の保持姿勢が、移載対象箇所(保持部との間で物品が移載される箇所)における物品の姿勢と一致しない場合がある。例えば、特許文献1では、当該文献の
図5に示されているように、物品は、傾斜姿勢ではなく、開口部が水平方向を向く水平姿勢で、移載対象箇所に配置される。このように所望の保持姿勢が移載対象箇所における物品の姿勢と異なる場合に、物品を所望の保持姿勢で保持するために物品の姿勢を変更する機構を移載対象箇所に設けて、保持装置と移載対象箇所との間での物品の移載動作とは別に移載対象箇所において物品の姿勢変更動作を行うと、物品の処理効率が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、所望の保持姿勢とは異なる姿勢で移載対象箇所に配置されている物品を、所望の保持姿勢で保持装置によって保持することが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る搬送車は、物品を搬送する搬送車であって、移動経路に沿って移動する本体部と、前記物品を保持する保持装置と、前記保持装置を前記本体部に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記物品は、当該物品の底面と平行に配置される面であって、下方を向く被支持面が形成された被保持部を備え、前記保持装置は、第1方向に並べて配置されて前記被支持面を下方から支持する一対の支持部と、一対の前記支持部のそれぞれを前記第1方向に移動可能に支持する装置本体部と、一対の前記支持部を前記第1方向に互いに接近及び離間させる保持駆動部と、を備え、前記被保持部の前記第1方向の幅を第1幅として、前記保持駆動部は、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも大きくするように離間させた第1姿勢と、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも小さくするように接近させた第2姿勢と、に一対の前記支持部を駆動し、前記保持装置は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して前記装置本体部の水平面に対する傾斜角度を変化させる連動機構を備えている。
【0009】
本構成では、一対の支持部のそれぞれの少なくとも一部が被保持部よりも下方に位置し、且つ、一対の支持部の間に移載対象箇所に配置されている物品の被保持部が位置するように一対の支持部を配置した状態から、一対の支持部の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更する姿勢変更動作を少なくとも実行することで、移載対象箇所に配置されている物品を保持装置によって保持することができる。そして、本構成では、一対の支持部の姿勢が第1姿勢である状態での装置本体部の傾斜角度(水平面に対する傾斜角度、以下同様)が、以下に述べる第1角度となり、一対の支持部の姿勢が第2姿勢である状態での装置本体部の傾斜角度が、以下に述べる第2角度となるように、連動機構を構成することで、所望の保持姿勢とは異なる姿勢で移載対象箇所に配置されている物品を、所望の保持姿勢で保持装置によって保持することができる。
【0010】
ここで、第1角度は、移載対象箇所における物品の姿勢(例えば、底面が水平面に沿う水平姿勢)に応じた角度であり、例えば、一対の支持部のそれぞれの支持面が、移載対象箇所に配置されている物品の被支持面と同じ向きで配置される角度とされる。このように第1角度を移載対象箇所における物品の姿勢に応じた角度とすることで、姿勢変更動作の開始後に、移載対象箇所に配置されている物品の被支持面の下方における当該被支持面と接触或いは対向する位置(以下、「支持用位置」という)に、一対の支持部のそれぞれの支持面を適切に移動させることができる。
【0011】
また、第2角度は、所望の保持姿勢(例えば、底面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢)に応じた角度であり、例えば、一対の支持部のそれぞれの支持面が、所望の保持姿勢での物品の被支持面と同じ向きで配置される角度とされる。このように第2角度を所望の保持姿勢に応じた角度とすることで、姿勢変更動作の終了時に、一対の支持部のそれぞれの支持面が、上記の支持用位置において所望の保持姿勢での物品の被支持面と同じ向きで配置された状態を実現することができ、物品を所望の保持姿勢で保持装置によって保持することができる。
【0012】
以上のように、本構成によれば、所望の保持姿勢が移載対象箇所における物品の姿勢と異なる場合に、物品を所望の保持姿勢で保持装置によって保持することが可能となっている。
【0013】
搬送車の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】保持装置と移載対象箇所との間で物品が移載される状況を示す図
【
図6】第1の実施形態に係る保持装置及び保持装置に保持された物品を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施形態〕
搬送車の第1の実施形態について、図面(
図1~
図7)を参照して説明する。
【0016】
搬送車1は、
図3に例示するような物品搬送設備100において、移動経路2に沿って走行して物品90を搬送する。
図1~
図3に示すように、搬送車1は、移動経路2に沿って移動する本体部10と、物品90を保持する保持装置20と、保持装置20を本体部10に対して昇降させる昇降装置50と、を備えている。ここで、移動経路2の長手方向(移動経路2が延びる方向)を経路長手方向Lとし、移動経路2の幅方向を経路幅方向Wとする。経路幅方向Wは、経路長手方向L及び鉛直方向Vの双方に直交する方向である。また、搬送車1を基準として定義される方向(すなわち、搬送車1の姿勢に応じて変化する方向)であって、移動経路2に配置された状態で経路長手方向Lに沿う方向を車体前後方向Xとし、搬送車1を基準として定義される方向であって、移動経路2に配置された状態で経路幅方向Wに沿う方向を車体左右方向Yとする。
【0017】
移動経路2は、物理的に形成されても仮想的に設定されてもよい。本実施形態では、移動経路2は、レール3を用いて物理的に形成されている。具体的には、物品搬送設備100は、移動経路2に沿って配置されたレール3(ここでは、経路幅方向Wに間隔を空けて配置された一対のレール3)を備えており、本体部10は、レール3に沿って移動する。
また、本実施形態では、レール3は、天井4から吊り下げ支持されており、移動経路2は、天井4に沿って形成されている。すなわち、本実施形態では、搬送車1は、天井4に沿って形成された移動経路2に沿って走行する天井搬送車である。なお、搬送車1は、天井搬送車以外の搬送車であってもよい。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本体部10は、レール3(ここでは、一対のレール3)の走行面を転動する車輪12を備えた走行部11と、走行部11に連結されたカバー部14と、を備えている。レール3の走行面は、鉛直方向Vの上方V1を向く面であり、車輪12は、鉛直方向Vに直交する軸心周りに回転する。走行部11は、車輪12を回転させる走行駆動部70(例えば、サーボモータ等の電動モータ、
図7参照)を備えており、車輪12が走行駆動部70により回転駆動されることで、走行部11がレール3に沿って走行する。
図2に示すように、本実施形態では、走行部11は、レール3の案内面を転動する案内輪13を備えており、走行部11は、案内輪13がレール3の案内面に接触案内された状態で、レール3に沿って走行する。レール3の案内面は、経路幅方向Wの内側(一対のレール3の間の経路幅方向Wの中心位置に向かう側)を向く面であり、案内輪13は、鉛直方向Vに沿う軸心周りに回転する(本例では、遊転する)。
図1に示す例では、本体部10は、走行部11を、車体前後方向Xに並ぶように一対備えている。
【0019】
図1に示すように、本実施形態では、カバー部14は、走行部11に対して鉛直方向Vの下方V2に配置された状態で、走行部11に支持されている。搬送車1の走行時には、保持装置20に保持された状態の物品90は、カバー部14の内部空間に配置される。
図1に示すように、本実施形態では、カバー部14の内部空間は、車体前後方向Xの両側が閉じられていると共に、車体左右方向Yの少なくとも一方側が開放されている。よって、カバー部14の内部空間に配置された物品90は、カバー部14の壁部によって少なくとも車体前後方向Xの両側から覆われる。
【0020】
物品90の種類はこれに限定されないが、
図2に示すように、本実施形態では、物品90は、側面90bに開口部92を有する容器である。開口部92は、物品90に対して収容物を出し入れするために設けられており、開口部92を介して物品90に対する収容物の出し入れが行われる。開口部92とは別の開口(例えば、軽量化や洗浄のための開口、或いは物品90の構造上形成される開口)が、物品90の側面90bに形成されていてもよいが、物品90に収容されている収容物は、開口部92を通らなければ物品90の外部に移動できないように、物品90が構成されている。本実施形態では、ガラス基板や半導体ウェハ等の基板93(収容物の一例)が、物品90に収容される。また、本実施形態では、物品90は、複数枚の基板93を上下方向(底面90cが水平に配置された状態で鉛直方向Vに沿う方向)に並べて収容可能に構成されている。
【0021】
本実施形態では、物品90は、開口部92を閉じる蓋を備えていない。例えば、オープンカセットを物品90として用いることができる。物品90が、開口部92を閉じする蓋を備える構成とすることもできる。この場合、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)を物品90として用いることができる。
【0022】
昇降装置50は、保持装置20を昇降させる昇降駆動部71(例えば、サーボモータ等の電動モータ、
図7参照)を備えている。昇降装置50は、第1位置P1(
図2及び
図3参照)と、第1位置P1よりも下方V2の第2位置P2(
図3参照)との間で、保持装置20を昇降させる。第1位置P1は、昇降方向(鉛直方向V)の上端の位置である。第1位置P1は、本体部10が移動する場合の保持装置20の鉛直方向Vの位置である。すなわち、第1位置P1は、搬送車1の走行時における保持装置20の位置である。本実施形態では、第1位置P1は、保持装置20に保持された状態の物品90がカバー部14の内部空間に配置されるような保持装置20の位置である。また、第2位置P2は、保持装置20による物品90の保持及び保持解除を行う場合の保持装置20の鉛直方向Vの位置である。すなわち、第2位置P2は、保持装置20による物品90の保持及び保持解除を行う位置であり、言い換えれば、保持装置20と移載対象箇所6との間での物品90の移載時における保持装置20の位置である。第2位置P2は、各移載対象箇所6の高さ(鉛直方向Vの位置)に応じて設定される。
【0023】
図3では、移載対象箇所6の一例として、処理装置5に隣接して配置されるロードポートを示している。処理装置5は、物品90を処理対象とする装置であり、本実施形態では、物品90から取り出された基板93に対して処理を行う。
図3に示すように、物品90は、開口部92が処理装置5側を向くように移載対象箇所6に配置される。本実施形態では、物品90は、底面90cが水平面Hに沿う水平姿勢S2で移載対象箇所6に配置される。水平姿勢S2は、開口部92が水平方向を向く姿勢であるため、物品90を水平姿勢S2で移載対象箇所6に配置することで、移載対象箇所6において、開口部92を介した基板93の物品90に対する出し入れが行いやすくなっている。
【0024】
図2に簡略化して模式的に示すように、昇降装置50は、回転駆動される回転体51と、回転体51に巻き取り及び繰り出し自在に巻回されていると共に保持装置20に連結された伝動部材60と、を備えている。昇降装置50は、更に、回転体51を回転駆動する上述した昇降駆動部71(
図7参照)を備えている。回転体51及び昇降駆動部71は、本体部10に支持されており、本実施形態では、カバー部14の内部空間における上方V1の部分に配置されている。例えば、伝動部材60がベルトであり、回転体51がベルトを巻き取る巻取プーリである構成とし、或いは、伝動部材60がワイヤであり、回転体51がワイヤを巻き取る巻取ドラムである構成とすることができる。
図3に示すように、伝動部材60における回転体51から繰り出される先端側に設けられた連結部60aが、保持装置20に連結されている。昇降装置50は、回転体51を昇降駆動部71の駆動により回転させて、伝動部材60を巻き取り又は繰り出すことで、保持装置20を上昇又は下降させる(すなわち、昇降させる)。このように、昇降装置50は、保持装置20を吊り下げ支持した状態で、保持装置20を昇降させる。
【0025】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、昇降装置50は、複数の回転体51を備えており、複数の回転体51のそれぞれに伝動部材60が巻回されている。昇降装置50は、保持装置20を複数の伝動部材60により吊り下げた状態で昇降させる。
図2及び
図3に示す例では、昇降装置50は、3つの回転体51を備えている。そして、複数の伝動部材60(本例では、3つの伝動部材60)のそれぞれの連結部60aが、保持装置20に連結されている。複数の連結部60aは、保持装置20における互いに異なる部分に連結されている。なお、
図2及び
図3では、昇降装置50が複数の回転体51を備えていることを示すために、複数の回転体51をそれぞれ別軸に配置しているが、複数の回転体51は、同軸に並べて配置されてもよい。また、
図3では、伝動部材60の連結部60aが、当該伝動部材60が巻回された回転体51の直下に配置されているが、伝動部材60における回転体51から繰り出された部分が、案内用回転体(案内用プーリ等)に巻き掛けられ、伝動部材60の連結部60aが、当該案内用回転体の直下に配置される構成としてもよい。
【0026】
本実施形態では、複数の回転体51を回転駆動する共通の昇降駆動部71が設けられており、保持装置20の昇降動作時の回転体51からの伝動部材60の繰り出し量や回転体51への伝動部材60の巻き取り量は、複数の伝動部材60の間で互いに同一とされる。
そのため、昇降装置50による保持装置20の昇降動作時(但し、後述する保持可能状態と保持状態との間の状態遷移時を除く)には、保持装置20は姿勢が維持されるように昇降される。
【0027】
図4に示すように、物品90は、被支持面91aが形成された被保持部91を備えている。被支持面91aは、物品90の底面90cと平行に配置される面であって、下方V2を向く面である。なお、「底面90cと平行に配置される面」は、底面90cの法線方向において底面90cと異なる位置に配置される面だけでなく、底面90cと同一平面上に配置される面を含む概念として用いている。
図2に示すように、本実施形態では、被保持部91は、物品90の上面90aを構成する上面部(例えば、板状の天板部)に形成されたフランジ部であり、
図4に示すように、当該フランジ部の下面が被支持面91aを構成している。なお、被保持部91は、物品90の上部に形成されるフランジ部に限られず、例えば、物品90の上面部(具体的には、上面部の外周部分)が被保持部91として用いられる構成、物品90の側面90bを構成する側面部に被保持部91が形成される構成、或いは、物品90の底面90cを構成する底面部(例えば、板状の底板部)が被保持部91として用いられる構成とすることができる。
【0028】
図2に示すように、保持装置20は、被支持面91aを下方V2から支持する一対の支持部30を備えている。
図4~
図6に示すように、一対の支持部30の一方を第1支持部31とし、他方を第2支持部32とする。保持装置20は、一対の支持部30を用いて物品90を保持し、
図2に示す例では、物品90を上方V1から保持する。一対の支持部30のそれぞれは、上方V1を向く支持面30a(
図4参照)を備えており、支持面30aを被支持面91aに接触させて被支持面91aを下方V2から支持する。本実施形態では、被保持部91はフランジ部であり、一対の支持部30のそれぞれは、被保持部91と物品90の上面部との間の空間に支持面30aが挿入された状態で、被支持面91aを下方V2から支持する。以下では、一対の支持部30の一方(第1支持部31)の支持面30aと、一対の支持部30の他方(第2支持部32)の支持面30aとを併せて、一対の支持面30aという。
【0029】
図4に示すように、一対の支持部30は、第1方向Zに並べて配置されており、保持装置20は、一対の支持部30のそれぞれを第1方向Zに移動可能に支持する装置本体部21を備えている。本実施形態では、第1方向Zは、水平面Hに対して後述する傾斜角度Aと同じ角度傾斜する方向であり(
図5参照)、傾斜角度Aが0度である場合に水平方向となる(
図4参照)。一対の支持部30のそれぞれは、少なくとも支持面30aを第1方向Zに移動させることが可能に装置本体部21に支持される。支持部30は、例えば、当該支持部30の全体が第1方向Zに沿って移動可能に装置本体部21に支持され、或いは、第1方向Z及び鉛直方向Vの双方に直交する軸心周りに揺動可能に装置本体部21に支持される。本実施形態では、支持部30は、当該支持部30の全体が第1方向Zに沿って移動可能に装置本体部21に支持されている。
【0030】
保持装置20は、一対の支持部30を第1方向Zに互いに接近及び離間させる保持駆動部72(例えば、ソレノイドや電動モータ、
図7参照)を備えている。なお、一対の支持部30を第1方向Zに互いに接近及び離間させるとは、少なくとも一対の支持部30の一方の支持面30aと他方の支持面30aとを第1方向Zに互いに接近及び離間させることを意味する。保持駆動部72は、一対の支持部30のそれぞれの位置及び向きの少なくとも一方を変化させて、一対の支持部30を第1方向Zに互いに接近及び離間させる。本実施形態では、保持駆動部72は、一対の支持部30のそれぞれを第1方向Zに沿って移動させて(すなわち、第1方向Zの位置を変化させて)、一対の支持部30を第1方向Zに互いに接近及び離間させる。
図4に示すように被保持部91の第1方向Zの幅を第1幅ΔZとして、保持駆動部72は、一対の支持部30の間隔を第1幅ΔZよりも大きくするように離間させた第1姿勢C1(
図4参照)と、一対の支持部30の間隔を第1幅ΔZよりも小さくするように接近させた第2姿勢C2(
図5、
図6参照)と、に一対の支持部30を駆動する。
【0031】
図4~
図6に示す例では、一対の支持部30である第1支持部31及び第2支持部32は、案内機構43によって第1方向Zの移動を案内される。詳細は省略するが、この案内機構43は、第1方向Zに延びる案内レールと、案内レールに係合する案内ブロックとを備えた直動機構であり、案内レールが装置本体部21に固定され、案内ブロックが一対の支持部30のそれぞれに固定されている。また、
図4~
図6に示す例では、装置本体部21に固定された保持駆動部72が、駆動機構42を介して一対の支持部30を駆動する。
詳細は省略するが、この駆動機構42は、ボールねじ機構であり、保持駆動部72によって回転駆動される回転軸の回転運動が、一対の支持部30のそれぞれの直線運動に変換される。
【0032】
ここで、一対の支持部30を第1姿勢C1とすると共に、一対の支持部30のそれぞれの少なくとも一部が被保持部91よりも下方V2に位置し且つ一対の支持部30の間に被保持部91が位置するように一対の支持部30を配置した状態を、保持準備状態という。
保持準備状態では、一対の支持面30aのそれぞれの少なくとも一部が、被支持面91aよりも下方V2に配置される。本実施形態では、保持準備状態では、一対の支持面30aのそれぞれの全体が、被支持面91aよりも下方V2に配置される。本実施形態では、
図4に示す状態が保持準備状態である。上述した第2位置P2は、一対の支持面30aのそれぞれの少なくとも一部が被支持面91aよりも下方V2に配置されるような、保持装置20の位置である。すなわち、保持装置20が第2位置P2に配置されている状態で保持準備状態が実現され、保持装置20が第2位置P2に配置されている状態で、一対の支持部30の姿勢を第1姿勢C1から第2姿勢C2に変更する姿勢変更動作(以下、「保持用姿勢変更動作」という)や、一対の支持部30の姿勢を第2姿勢C2から第1姿勢C1に変更する姿勢変更動作(以下、「保持解除用姿勢変更動作」という)が行われる。
【0033】
保持準備状態において少なくとも保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行することで、一対の支持部30のそれぞれの支持面30aが被支持面91aに対して下方V2から接触する保持状態が実現される。
図4~
図6に示す例では、保持準備状態において保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行することで、一対の支持部30のそれぞれの支持面30aが被支持面91aに対して下方V2から対向する保持可能状態(
図5参照)が実現され、その後、昇降装置50が昇降駆動部71により保持装置20を上昇させることで、保持状態(
図6参照)が実現される。保持可能状態では、一対の支持面30aの少なくとも一方は、被支持面91aに対して下方V2に離間して配置される。
図6に示すように、保持状態では、底面90cと平行な被支持面91aが支持面30aに沿う姿勢で、物品90が保持される。なお、保持準備状態において保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行することで、保持状態が実現される構成(すなわち、保持用姿勢変更動作の終了時に保持状態が実現されている構成)とすることもできる。
【0034】
本実施形態では、物品90は、側面90bに形成された開口部92を介して基板93が出し入れされる容器である。そのため、搬送車1の走行時には、
図2に示すように、物品90の姿勢を、底面90cが水平面Hに対して傾斜した傾斜姿勢S1(具体的には、開口部92が斜め上方を向く傾斜姿勢S1)とすることで、物品90に収容された基板93が開口部92から物品90の外部に移動し難いようにすることができる。よって、本実施形態では、開口部92が斜め上方を向く傾斜姿勢S1が、所望の保持姿勢となる。一方、本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、移載対象箇所6における物品90の姿勢は水平姿勢S2とされる。本実施形態では、保持装置20が後述する連動機構40を備えており、これにより、水平姿勢S2で移載対象箇所6に配置されている物品90を、傾斜姿勢S1で保持装置20によって保持することが可能となっている。
図3に示すように、保持装置20が第1位置P1に位置する状態や、保持装置20が第1位置P1と第2位置P2との間の第3位置P3に位置する状態で、物品90は傾斜姿勢S1で保持装置20に保持される。
【0035】
図4~
図6では、第1方向Zが平面視(鉛直方向Vに沿う方向視)で車体左右方向Yに沿う向きで、保持装置20が配置される場合を例示しているが、第1方向Zが平面視で車体前後方向Xに沿う向きで、保持装置20が配置されてもよい。また、
図4~
図6では、開口部92が車体左右方向Yの一方側を向く向きで、物品90が保持装置20に保持される場合を例示しているが、開口部92が車体前後方向Xの一方側を向く向きで、物品90が保持装置20に保持されてもよい。なお、搬送車1が、保持装置20を本体部10に対して鉛直方向Vに沿う軸心周りに回転させる機構を備える構成とすることもできる。物品90に収容されている基板93が、搬送車1の走行時に開口部92から物品90の外部に移動することをより確実に防止するという観点から、開口部92がカバー部14の壁部を向く向きで、物品90が保持装置20に保持される構成とすると好適である。
【0036】
連動機構40は、一対の支持部30の第1姿勢C1と第2姿勢C2との間の姿勢変更に連動して装置本体部21の水平面Hに対する傾斜角度Aを変化させる機構である。傾斜角度Aは、装置本体部21に設定される基準面(仮想面であってもよい)の水平面Hに対する傾斜角度である。一対の支持面30aは、少なくとも一対の支持部30の姿勢が第2姿勢C2である状態(
図5参照)で、同一平面上に配置され、本実施形態では、一対の支持部30の姿勢が第2姿勢C2である状態で一対の支持面30aに平行となる面を、装置本体部21の基準面としている。そのため、傾斜角度Aは
図5に示す角度となる。本実施形態では、一対の支持部30の姿勢が第1姿勢C1である状態(
図4参照)においても、一対の支持面30aは同一平面上に配置されるため、装置本体部21の基準面は、一対の支持部30の姿勢が第1姿勢C1である状態においても一対の支持面30aに平行となる。
【0037】
物品90は、傾斜角度Aが0度である場合に開口部92が水平方向を向き、傾斜角度Aが正の鋭角である場合に開口部92が斜め上方を向き、傾斜角度Aが負の鋭角である場合に開口部92が斜め下方を向く向き(
図4において開口部92が左側を向く向き)で、保持装置20に保持される。
図6に示すように、本実施形態では、一対の支持部30の姿勢が第2姿勢C2である状態での傾斜角度Aが正の鋭角(例えば、5度)となるように連動機構40が構成されており、保持装置20は、一対の支持部30が保持駆動部72により第2姿勢C2に駆動された状態で(具体的には、保持状態が実現されている状態で)、開口部92が斜め上方を向く傾斜姿勢S1で物品90を保持する。
【0038】
ここで、一対の支持部30の姿勢が第1姿勢C1である状態での傾斜角度Aを第1角度とし、一対の支持部30の姿勢が第2姿勢C2である状態での傾斜角度Aを第2角度とする。保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行する場合には、連動機構40により傾斜角度Aが第1角度から第2角度に変更される。また、保持装置20が保持解除用姿勢変更動作を実行する場合には、連動機構40により傾斜角度Aが第2角度から第1角度に変更される。本実施形態では、第2角度は第1角度よりも大きく、連動機構40は、一対の支持部30の間隔(具体的には、一対の支持面30aの間隔)が小さくなるに従って傾斜角度Aを大きくするように構成されている。
【0039】
第1角度は、移載対象箇所6における物品90の姿勢に応じた角度に設定される。本実施形態では、
図4に示すように、一対の支持面30aのそれぞれが、移載対象箇所6に配置されている物品90の被支持面91aと同じ向きで配置される角度を、第1角度とする。本実施形態では、移載対象箇所6における物品90の姿勢は水平姿勢S2であるため、第1角度は0度とされる。このように第1角度を移載対象箇所6における物品90の姿勢に応じた角度とすることで、
図4から明らかなように、保持用姿勢変更動作の開始後に、移載対象箇所6に配置されている物品90の被支持面91aの下方V2における当該被支持面91aと接触或いは対向する位置(以下、「支持用位置」という)に、一対の支持面30aを適切に移動させることができる。
【0040】
なお、一対の支持部30のそれぞれが揺動することで一対の支持部30(具体的には、一対の支持面30a)が第1方向Zに互いに接近及び離間されるように構成される場合等、一対の支持部30の姿勢が第1姿勢C1である状態で一対の支持面30aが同一平面上に配置されない場合がある。この場合において、
図4~
図6に示す例と同様に、第1方向Zが、水平面Hに対して傾斜角度Aと同じ角度傾斜する方向となる構成においては、第1方向Zが移載対象箇所6に配置されている物品90の被支持面91aに沿う角度を、第1角度とすることができる。一方、第1方向Zが、傾斜角度Aによらず水平面Hに沿う方向となる構成(
図4において、第1方向Zが紙面に直交する方向となる構成、すなわち、一対の支持部30が紙面に直交する方向に並ぶ構成)においては、一対の支持面30aのそれぞれの幅方向(支持面30aに沿う方向であって第1方向Zに直交する方向)が、移載対象箇所6に配置されている物品90の被支持面91aに沿う角度を、第1角度とすることができる。
【0041】
第2角度は、所望の保持姿勢に応じた角度に設定される。本実施形態では、一対の支持面30aのそれぞれが、所望の保持姿勢での物品90の被支持面91aと同じ向きで配置される角度を、第2角度とする。本実施形態では、所望の保持姿勢は開口部92が斜め上方を向く傾斜姿勢S1であるため、第2角度は、所望の保持姿勢での物品90の被支持面91aの水平面Hに対する傾斜角度と同じ角度(正の鋭角)に設定される。このように第2角度を所望の保持姿勢に応じた角度とすることで、
図5に示すように、姿勢変更動作の終了時に、一対の支持面30aが、上記の支持用位置において所望の保持姿勢での物品90の被支持面91aと同じ向きで配置された状態を実現することができる。この結果、
図6に示すように、物品90を所望の保持姿勢で移載対象箇所6から持ち上げて保持装置20によって保持することができる。
【0042】
次に、本実施形態の連動機構40について具体的に説明する。上述したように、昇降装置50は、保持装置20を複数の伝動部材60により吊り下げた状態で昇降させる。
図4に示すように、複数の伝動部材60の中に、第1支持部31に連結された第1伝動部材61と、装置本体部21に連結された第2伝動部材62とが含まれている。第1伝動部材61における回転体51から繰り出された部分は、装置本体部21に固定された案内体41(案内用プーリ等)を経由して第1支持部31に連結されている。そして、連動機構40は、一対の支持部30の第1姿勢C1と第2姿勢C2との間の姿勢変更に連動して、第1伝動部材61における案内体41と第1支持部31との間に配置される部分の長さである対象長さDを変化させるように構成されている。
【0043】
第1伝動部材61における案内体41に対して回転体51の側の部分は、鉛直方向Vに沿って延在しているのに対して、第1伝動部材61における案内体41と第1支持部31との間に配置される部分は、鉛直方向Vに対して交差する方向(
図4に示す例では、第1方向Z)に沿って延在している。そのため、昇降駆動部71による回転体51の回転駆動が停止して、第1伝動部材61における回転体51から繰り出された部分の長さが固定されている時(すなわち、保持装置20の昇降動作の停止時)には、対象長さDの変化に応じて傾斜角度Aを変化させることができる。具体的には、対象長さDが長くなるに従って、装置本体部21における案内体41が固定された部分が上方V1に移動するように傾斜角度Aを変化させ(
図5参照)、対象長さDが短くなるに従って、装置本体部21における案内体41が固定された部分が下方V2に移動するように傾斜角度Aを変化させることができる(
図4参照)。
【0044】
本実施形態では、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って対象長さDが長くなり、且つ、対象長さDが長くなるに従って傾斜角度Aが大きくなるように連動機構40を構成することで、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aが大きくなる構成を実現している。具体的には、装置本体部21における案内体41が固定された部分が上方V1に移動するに従って傾斜角度Aが大きくなるように、案内体41が設けられている。そして、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って対象長さDが長くなるように、第1伝動部材61が第1支持部31に連結されている。よって、保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行する場合には、当該動作の進行に伴い対象長さDが長くなることで、装置本体部21における案内体41が固定された部分が上方V1に移動し、これにより、傾斜角度Aが、第1角度から第1角度よりも大きい第2角度に変化する(
図5参照)。また、保持装置20が保持解除用姿勢変更動作を実行する場合には、当該動作の進行に伴い対象長さDが短くなることで、装置本体部21における案内体41が固定された部分が下方V2に移動し、これにより、傾斜角度Aが、第2角度から第2角度よりも小さい第1角度に変化する(
図4参照)。
【0045】
本実施形態では、第1方向Zが、水平面Hに対して傾斜角度Aと同じ角度傾斜する方向であり、
図4に示すように、第1支持部31は、第1方向Zにおいて案内体41と第2支持部32との間に配置されている。そのため、
図5に示すように、傾斜角度Aが正の鋭角である場合には、第1支持部31が、第2支持部32よりも、傾斜角度Aに応じた高さ上方V1に配置されると共に、第1支持部31及び第2支持部32のそれぞれの支持面30aが、所望の保持姿勢での物品90の被支持面91a(
図6参照)と同じ向きで配置される。このような構成とは異なり、第1方向Zが、傾斜角度Aによらず水平面Hに沿う方向となる構成(
図4において、第1方向Zが紙面に直交する方向となる構成)とすることもできる。この場合、例えば、第1伝動部材61における案内体41よりも連結部60aの側の部分が、案内体41とは別の案内体を経由して第1支持部31に連結される構成とすることで、
図4に示す例と同様に、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って対象長さDが長くなる構成とすることができる。第1方向Zが、傾斜角度Aによらず水平面Hに沿う方向となる構成では、傾斜角度Aが正の鋭角である場合に、一対の支持部30のそれぞれの支持面30aは、幅方向(支持面30aに沿う方向であって第1方向Zに直交する方向)の一方側(具体的には、案内体41に近い側)が他方側よりも上方V1に配置されるように水平面Hに対して傾斜し、一対の支持部30のそれぞれの支持面30aが、所望の保持姿勢での物品90の被支持面91aと同じ向きで配置される。
【0046】
図2及び
図3に示す例のように、昇降装置50が3つ以上の伝動部材60を備える場合、第1伝動部材61及び第2伝動部材62以外の伝動部材60を「追加伝動部材」として、例えば、追加伝動部材が、第2伝動部材62と同様に装置本体部21に連結される構成とし、或いは、追加伝動部材が、第1伝動部材61と同様に第1支持部31に連結される構成とすることができる。また、複数の追加伝動部材が存在する場合に、一部の追加伝動部材が、第2伝動部材62と同様に装置本体部21に連結され、残りの追加伝動部材が、第1伝動部材61と同様に第1支持部31に連結される構成とすることもできる。
【0047】
図7に示すように、物品搬送設備100は、搬送車1の動作を制御する制御部80を備えている。制御部80は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御部80の各機能が実現される。制御部80は、搬送車1に設けられても、搬送車1とは独立に設けられてもよい。また、制御部80が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが搬送車1に設けられ、残りのハードウェアが搬送車1とは独立に設けられてもよい。
【0048】
制御部80は、走行駆動部70の駆動を制御することで、移動経路2に沿って移動する移動動作を本体部10に行わせる。具体的には、制御部80は、走行駆動部70の駆動を制御することで、レール3に沿って走行する走行動作を走行部11に行わせる。本実施形態では、走行部11の走行動作によって本体部10の移動動作が実現される。制御部80は、保持装置20が保持している物品90を移載対象箇所6に搬送する場合に、保持装置20が物品90を保持した状態で走行部11に走行動作を行わせる。また、制御部80は、昇降駆動部71の駆動を制御することで、保持装置20を昇降させる昇降動作を昇降装置50に行わせる。上述したように、保持装置20は傾斜姿勢S1で物品90を保持するため、
図3に示すように、保持装置20に保持された状態の物品90は、傾斜姿勢S1で昇降される。また、制御部80は、保持駆動部72の駆動を制御することで、一対の支持部30の第1姿勢C1と第2姿勢C2との間の姿勢変更動作を保持装置20に行わせる。
【0049】
移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合(すなわち、移載対象箇所6から物品90を搬出する場合)、制御部80は、移載対象箇所6に対応する位置(ここでは、移載対象箇所6より上方V1であって、平面視で移載対象箇所6と重複する位置)まで搬送車1を走行させる走行動作を走行部11に行わせた後、一対の支持部30の姿勢が第1姿勢C1に変更された状態の保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作を、昇降装置50に行わせる。保持装置20が第2位置P2に到達すると、保持準備状態が実現される(
図4参照)。次に、制御部80は、一対の支持部30の姿勢を第1姿勢C1から第2姿勢C2に変更する保持用姿勢変更動作を保持装置20に行わせ、これに伴い保持準備状態から保持可能状態に状態が遷移する(
図5参照)。
【0050】
保持可能状態が実現されている状態で、制御部80は、保持装置20を第2位置P2から第1位置P1まで上昇させる昇降動作を昇降装置50に行わせることで、保持可能状態から保持状態(
図6参照)に状態が遷移した後、物品90を所望の保持姿勢(ここでは、傾斜姿勢S1)で保持する状態の保持装置20が第1位置P1まで上昇する。この際、保持装置20が第2位置P2から上昇するのに伴い、物品90の姿勢が移載対象箇所6における姿勢(ここでは、水平姿勢S2)から変化し、保持装置20が第2位置P2より上方V1の規定位置に到達すると、物品90の姿勢が所望の保持姿勢(ここでは、傾斜姿勢S1)となる。その後、物品90を所望の保持姿勢で保持する状態の保持装置20が、当該規定位置から第1位置P1まで上昇する。物品90に振動が発生し難くするために、保持可能状態と保持状態との間の状態遷移に伴い物品90の姿勢が変化する期間(言い換えれば、保持装置20が第2位置P2と上記の規定位置との間を昇降する期間)における保持装置20の昇降速度を、保持状態において保持装置20が昇降する期間(言い換えれば、保持装置20が上記の規定位置と第1位置P1との間を昇降する期間)における保持装置20の昇降速度よりも低くすると好適である。
【0051】
一方、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合(すなわち、移載対象箇所6に物品90を搬入する場合)、制御部80は、移載対象箇所6に対応する位置まで搬送車1を走行させる走行動作を走行部11に行わせた後、物品90を保持した状態の保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作を、昇降装置50に行わせる。この際、上記の規定位置まで保持装置20が下降すると、物品90の底面90c(ここでは、底面90cにおける開口部92とは反対側の端部)が移載対象箇所6に接触し、その後、保持装置20が第2位置P2まで下降するのに伴い、物品90の姿勢が、所望の保持姿勢(ここでは、傾斜姿勢S1)から移載対象箇所6における姿勢(ここでは、水平姿勢S2)に変化する(
図5参照)。すなわち、保持装置20が当該規定位置から第2位置P2まで下降するのに伴い、保持状態から保持可能状態へ状態が遷移する。
【0052】
保持可能状態が実現されている状態で、制御部80は、一対の支持部30の姿勢を第2姿勢C2から第1姿勢C1に変更する保持解除用姿勢変更動作を保持装置20に行わせ(
図4参照)、その後、保持装置20を第2位置P2から第1位置P1まで上昇させる昇降動作を昇降装置50に行わせる。これにより、移載対象箇所6における姿勢(ここでは、水平姿勢S2)の物品90を移載対象箇所6に残した状態で、保持装置20のみが第1位置P1まで上昇する。
【0053】
なお、保持可能状態において、一対の支持面30aの一方が被支持面91aに対して下方V2から接触することで、物品90の姿勢が、移載対象箇所6における姿勢と所望の保持姿勢との間の姿勢となる構成とすることもできる。また、保持用姿勢変更動作の終了時に、一対の支持面30aの双方が被支持面91aに対して下方V2から接触する保持状態が実現されている構成とすることもできる。この場合、移載対象箇所6から保持装置20に物品90を移載する場合には、保持用姿勢変更動作の実行により、物品90の姿勢が、移載対象箇所6における姿勢から所望の保持姿勢に変化し、保持装置20が第2位置P2から上昇する時点で、物品90は所望の保持姿勢で保持装置20に保持されている。また、この場合、保持装置20から移載対象箇所6に物品90を移載する場合には、保持装置20を第1位置P1から第2位置P2まで下降させる昇降動作の実行により、保持状態のまま保持装置20が第2位置P2まで下降し、その後、保持解除用姿勢変更動作の実行により、物品90の姿勢が、所望の保持姿勢から移載対象箇所6における姿勢に変化する。
【0054】
〔第2の実施形態〕
搬送車の第2の実施形態について、図面(
図8及び
図9)を参照して説明する。以下では、本実施形態の搬送車について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
図8及び
図9に示すように、本実施形態では、保持装置20は、昇降装置50に連結された連結部22を備えている。連結部22には、昇降装置50が備える全ての伝動部材60が連結されている。本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、保持装置20の昇降動作時の回転体51からの伝動部材60の繰り出し量や回転体51への伝動部材60の巻き取り量は、複数の伝動部材60の間で互いに同一とされる。そのため、連結部22の姿勢は、保持用姿勢変更動作や保持解除用姿勢変更動作の実行時も含めて、変化しない。
【0056】
本実施形態では、装置本体部21は、連結部22を介して昇降装置50に連結されている。詳細は省略するが、連結部22は、装置本体部21を支持する支持機構(ここでは、装置本体部21を後述する軸心R周りに揺動自在に支持する支持機構)を備えており、装置本体部21は、昇降装置50に連結された連結部22に支持されることで、連結部22を介して昇降装置50に連結されている。そして、連動機構40は、一対の支持部30の第1姿勢C1と第2姿勢C2との間の姿勢変更に連動して、連結部22に対する装置本体部21の傾斜角度を変化させるように構成されている。上述したように連結部22の姿勢は変化しないため、ここでは、連結部22に対する装置本体部21の傾斜角度の基準となる面(連結部22に設定される面)を水平面Hとする。よって、連結部22に対する装置本体部21の傾斜角度は、装置本体部21の水平面Hに対する傾斜角度Aと等しい(
図9参照)。
【0057】
図8に示すように、本実施形態では、装置本体部21は、軸心R周りに揺動可能に連結部22に連結されている。この軸心Rは、第1方向Z及び鉛直方向Vの双方に直交する方向に沿う軸心である。第1支持部31は、第1方向Zにおいて軸心Rと第2支持部32との間に配置されている。そして、
図9に示すように、第2支持部32が下方V2へ移動する方向に装置本体部21が連結部22に対して軸心R周りに揺動することで、傾斜角度Aが大きくなる側に変化する。すなわち、傾斜角度Aが正の鋭角である場合には、第2支持部32が、第1支持部31よりも、傾斜角度Aに応じた高さ下方V2に配置される。
【0058】
本実施形態では、連動機構40は、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第2支持部32を下方V2に移動させるように構成されている。よって、保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行する場合には、当該動作の進行に伴い第2支持部32が下方V2へ移動することで、傾斜角度Aが大きくなる方向に装置本体部21が軸心R周りに揺動し、これにより、傾斜角度Aが、第1角度から第1角度よりも大きい第2角度に変化する。また、保持装置20が保持解除用姿勢変更動作を実行する場合には、当該動作の進行に伴い第2支持部32が上方V1へ移動することで、傾斜角度Aが小さくなる方向に装置本体部21が軸心R周りに揺動し、これにより、傾斜角度Aが、第2角度から第2角度よりも小さい第1角度に変化する。
【0059】
図8に示す例では、保持装置20は、第2支持部32が上方V1へ移動する方向に(すなわち、傾斜角度Aが小さくなる方向に)装置本体部21を軸心R周りに付勢する付勢機構44を備えている。
図8では、付勢機構44をばね部材によって模式的に示しているが、付勢機構44の構成は、所望の方向(ここでは、傾斜角度Aが小さくなる方向)に装置本体部21を付勢できるものであれば特に限定されず、例えば、付勢機構44を、装置本体部21の下面を上方V1に付勢する弾性部材を用いた機構とすることができる。連結部22には、下方V2を向く案内面45aを備えた案内部材45が固定されており、第2支持部32の上部に設けられた被案内部46が、付勢機構44の付勢力によって、案内面45aに対して下方V2から押し当てられている。よって、傾斜角度Aが小さくなる方向への装置本体部21の移動(具体的には、軸心R周りの揺動)が案内部材45によって制限されることで、傾斜角度Aは、案内面45aにおける被案内部46が当接する部分の高さに応じて定まる。
【0060】
そして、案内面45aは、第1方向Zにおける一対の支持部30の中心部に向かうに従って下方V2に向かう方向に傾斜している。よって、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って、案内面45aにおける被案内部46が当接する部分の高さが低くなり、これにより、第2支持部32が下方V2へ移動する方向に(すなわち、傾斜角度Aが大きくなる方向に)装置本体部21を連結部22に対して揺動させることができる(
図9参照)。
また、一対の支持部30の間隔が大きくなるに従って、案内面45aにおける被案内部46が当接する部分の高さが高くなり、これにより、第2支持部32が上方V1へ移動する方向に(すなわち、傾斜角度Aが小さくなる方向に)装置本体部21を連結部22に対して揺動させることができる(
図8参照)。
【0061】
〔第3の実施形態〕
搬送車の第3の実施形態について、図面(
図10及び
図11)を参照して説明する。以下では、本実施形態の搬送車について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
図10及び
図11に示すように、本実施形態では、保持駆動部72は、駆動源49により回転駆動される駆動軸47を備えている。駆動軸47は、駆動源49としての駆動モータに接続されている。そして、駆動軸47は、当該駆動源49により、軸心回りに回転するように駆動される。本実施形態では、保持駆動部72は、駆動軸47の回転に連動して一対の支持部30を第1方向Zに互いに接近及び離間させるように構成されている。本例では、駆動軸47は、ボールねじであり、保持駆動部72によって回転駆動される駆動軸の回転運動が、一対の支持部30のそれぞれの直線運動に変換される。ここで、駆動軸47は、軸心が第1方向Zに沿うように配置されている。そして、駆動軸47は、軸心に沿う方向(第1方向Z)の中央部に対して一方側と他方側とで、螺旋の向きが逆方向となるように雄ねじが形成されている。また、駆動軸47の軸心に沿う方向(第1方向Z)の一方側の端部が、駆動源49に連結されている。具体的には、駆動軸47の第1方向Zの一端部が、駆動モータの出力軸に連結されている。なお、駆動源49は、駆動モータに限定されず、例えば、空気圧や電磁力等で駆動されるロータリーアクチュエータ等で構成されていても良い。
【0063】
本実施形態では、一対の支持部30のそれぞれと一体的に、雌ねじ孔34が形成されている。この雌ねじ孔34は、駆動軸47の外周面に形成された雄ねじに螺合するように形成されている。そして、第1支持部31と第2支持部32とのそれぞれの雌ねじ孔34が、駆動軸47における、雄ねじの向きが互いに異なる部分に螺合している。従って、駆動軸47が第1の方向に回転した場合に第1支持部31と第2支持部32とが互いに接近し、駆動軸47が第1の方向とは反対の第2の方向に回転した場合に、第1支持部31と第2支持部32とが互いに離間する。
【0064】
連動機構40は、駆動軸47の回転に連動して回転する連動回転体48を備えている。連動回転体48は、駆動軸47と一体的に回転するように連結されており、駆動軸47に連動して駆動軸47の軸心回りに回転するように構成されている。本例では、連動回転体48は、駆動軸47における、一対の支持部30が螺合している位置よりも第1方向Zの外側(一対の支持部30に対して第1方向Zにおける駆動軸47の両端側)に配置されている。具体的には、連動回転体48は、駆動軸47における、駆動源49と第1支持部31との間に配置されている。なお、本例では、連動回転体48はプーリである。そして、連動回転体48(プーリ)は、駆動軸47と同一軸心となるように、駆動軸47の駆動源49と第1支持部31との間の部分に固定されている。
【0065】
本実施形態では、第1伝動部材61における回転体51から繰り出された延出部分が、連動回転体48に巻回されている。
図10に示すように、回転体51から繰り出された延出部分の先端側に設けられた連結部60aが連動回転体48に連結されていると共に、第1伝動部材61における連結部60aよりも回転体51側の部分が連動回転体48に巻回される。そして、連動機構40は、一対の支持部30の第1姿勢C1と第2姿勢C2との間の姿勢変更のための駆動軸47の回転に連動して回転する連動回転体48により、第1伝動部材61を巻き取り及び繰り出して、第1伝動部材61における回転体51と連動回転体48との間の長さを変化させるように構成されている。以下では、第1伝動部材61における回転体51と連動回転体48との間の長さを、第2対象長さEとして説明する。
【0066】
回転体51と連動回転体48との双方に回されている第1伝動部材61は、回転体51と連動回転体48との間で鉛直方向Vに沿って延在している。そのため、昇降駆動部71による回転体51の回動が停止して、第1伝動部材61における回転体51から繰り出された部分の長さが維持されている状態(すなわち、保持装置20の昇降動作の停止状態)では、第2対象長さEの変化に応じて傾斜角度Aを変化させることができる。具体的には、第2対象長さEが短くなるに従って、駆動軸47における連動回転体48が固定された部分が上方V1に移動するように傾斜角度Aを変化させ(
図11参照)、第2対象長さEが長くなるに従って、駆動軸47における連動回転体48が固定された部分が下方V2に移動するように傾斜角度Aを変化させることができる。
【0067】
本実施形態では、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第2対象長さEが短くなり、当該第2対象長さEが短くなるに従って傾斜角度Aが大きくなるように連動機構40を構成している。これにより、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aが大きくなる構成を実現している。具体的には、保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行する場合、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第1伝動部材61が連動回転体48に巻き取られ、第2対象長さEが短くなる。これにより、駆動軸47における連動回転体48が固定された部分が上方V1に移動し、それに応じて傾斜角度Aが、第1角度から第1角度よりも大きい第2角度に変化する(
図11参照)。一方、保持装置20が保持解除用姿勢変更動作を実行する場合、一対の支持部30の間隔が大きくなるに従って第1伝動部材61が連動回転体48から繰り出され、第2対象長さEが長くなる。これにより、駆動軸47における連動回転体48が固定された部分が下方V2に移動し、それに応じて、傾斜角度Aが、第2角度から第2角度よりも小さい第1角度に変化する(
図10参照)。
【0068】
ここで、連動回転体48の径を調節することにより、第1角度と第2角度との角度差を適宜設定することができる。例えば、径が大きい連動回転体48を使用した場合、径が小さい連動回転体48を使用した場合と比べて、駆動軸47が第1の方向に1回転した場合の、連動回転体48による第1伝動部材61の巻き取り量が多くなる。これにより、第1角度と第2角度との角度差も大きくなる。一方、径が小さい連動回転体48を使用した場合、径が大きい連動回転体48を使用した場合と比べて、第1角度と第2角度との角度差が小さくなる。従って、必要な第1角度と第2角度との角度差に応じて、連動回転体48の径を設定すると好適である。
【0069】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0070】
(1)上記第1の実施形態では、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って対象長さDが長くなり、且つ、対象長さDが長くなるに従って傾斜角度Aが大きくなるように連動機構40を構成することで、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aが大きくなる構成を実現しているが、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って対象長さDが短くなり、且つ、対象長さDが短くなるに従って傾斜角度Aが大きくなるように連動機構40を構成することで、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aが大きくなる構成を実現することもできる。このような構成の一例を
図12に示す。
【0071】
図12に示す例は、
図4に示す例において、第1伝動部材61及び案内体41の配置位置と、第2伝動部材62の配置位置とを入れ替えたもの(図中左右の配置位置を入れ替えたもの)に相当し、
図4に示す例とは異なり、第2支持部32が、第1方向Zにおいて第1支持部31と案内体41との間に配置されている。
図12に示す例では、装置本体部21における案内体41が固定された部分が下方V2に移動するに従って傾斜角度Aが大きくなるように、案内体41が設けられている。そして、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って対象長さDが短くなるように、第1伝動部材61が第1支持部31に連結されている。よって、保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行する場合には、当該動作の進行に伴い対象長さDが短くなることで、装置本体部21における案内体41が固定された部分が下方V2に移動し、これにより、傾斜角度Aが、第1角度から第1角度よりも大きい第2角度に変化する(
図13参照)。また、保持装置20が保持解除用姿勢変更動作を実行する場合には、当該動作の進行に伴い対象長さDが長くなることで、装置本体部21における案内体41が固定された部分が上方V1に移動し、これにより、傾斜角度Aが、第2角度から第2角度よりも小さい第1角度に変化する(
図12参照)。
【0072】
(2)上記第2の実施形態では、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第2支持部32が下方V2に移動するように連動機構40を構成することで、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aが大きくなる構成を実現しているが、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第1支持部31が上方V1に移動するように連動機構40を構成することで、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aが大きくなる構成を実現することもできる。
【0073】
例えば、
図8に示す例において、軸心Rの配置位置を第2支持部32に対して図中右側に変更して、第2支持部32を第1方向Zにおいて第1支持部31と軸心Rとの間に配置すると共に、案内部材45に代えて、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第1支持部31を上方V1へ移動させる案内部材(第1支持部用案内部材)が連結部22に固定された構成とすることができる。この場合、例えば、第1支持部用案内部材が、第1支持部31の上部に設けられた被案内部が上方V1から当接する案内面(上方V1を向く面)を備え、この案内面が、第1方向Zにおける一対の支持部30の中心部に向かうに従って上方V1に向かう方向に傾斜している構成とすることができる。このように案内面を傾斜させることで、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って、案内面における被案内部が当接する部分の高さが高くなり、これにより、第1支持部31が上方V1へ移動する方向に(すなわち、傾斜角度Aが大きくなる方向に)装置本体部21を連結部22に対して軸心R周りに揺動させることができる。また、一対の支持部30の間隔が大きくなるに従って、案内面における被案内部が当接する部分の高さが低くなり、これにより、第1支持部31が下方V2へ移動する方向に(すなわち、傾斜角度Aが小さくなる方向に)装置本体部21を連結部22に対して軸心R周りに揺動させることができる。
【0074】
(3)上記第3の実施形態では、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第2対象長さEが短くなり、当該第2対象長さEが短くなるに従って傾斜角度Aが大きくなるように連動機構40を構成しているが、これには限定されない。例えば、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第2対象長さEが長くなり、当該第2対象長さEが長くなるに従って傾斜角度Aが大きくなるように連動機構40を構成しても良い。
【0075】
例えば、
図10に示す例において、第1伝動部材61及び連動回転体48の配置位置と、第2伝動部材62の配置位置とを入れ替えることができる。この場合、
図14及び
図15に示すように、連動回転体48は、駆動軸47における、第2支持部32に対して駆動源49が配置されている側とは反対の側に設けられる。そして、保持装置20が保持用姿勢変更動作を実行する場合、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って第1伝動部材61が連動回転体48から繰り出され、第2対象長さEが長くなる。これにより、駆動軸47における連動回転体48が固定された部分が下方V2に移動し、それに応じて傾斜角度Aが、第1角度から第1角度よりも大きい第2角度に変化する。一方、保持装置20が保持解除用姿勢変更動作を実行する場合、一対の支持部30の間隔が大きくなるに従って第1伝動部材61が連動回転体48に巻き取られ、第2対象長さEが短くなる。これにより、駆動軸47における連動回転体48が固定された部分が上方V1に移動し、それに応じて、傾斜角度Aが、第2角度から第2角度よりも小さい第1角度に変化する。
【0076】
(4)上記第3の実施形態では、連動回転体48が駆動軸47に連結されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されず、例えば、連動回転体48が駆動軸47とは別軸に配置され、動力伝達機構を介して駆動軸47の回転が連動回転体48に伝達される構成としても良い。動力伝達機構としては、例えば、歯車を用いた機構やベルトを用いた機構等を使用することができる。動力伝達機構が歯車を用いた機構である場合には、例えば、互いに噛み合う2つの歯車の歯数比を調節することで、連動回転体48と駆動軸47との回転量の比を適宜設定することができる。また、動力伝達機構がベルトを用いた機構である場合には、例えば、ベルトが巻回される2つのプーリの径の比を調節することで、連動回転体48と駆動軸47との回転量の比を適宜設定することができる。このように連動回転体48と駆動軸47との回転量の比を調節することにより、第1角度と第2角度との角度差を適宜設定することができる。
【0077】
(5)上記の各実施形態では、移載対象箇所6における物品90の姿勢が水平姿勢S2であり、所望の保持姿勢が傾斜姿勢S1である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、移載対象箇所6における物品90の姿勢が、所望の保持姿勢とは底面90cの水平面Hに対する傾斜角度の異なる傾斜姿勢S1である構成とすることもできる。
【0078】
(6)上記の各実施形態では、連動機構40が、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aを大きくするように構成される場合を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、連動機構40が、一対の支持部30の間隔が小さくなるに従って傾斜角度Aを小さくするように構成されてもよい。この構成は、移載対象箇所6における物品90の姿勢が傾斜姿勢S1であり、所望の保持姿勢が、当該傾斜姿勢S1よりも底面90cの水平面Hに対する傾斜角度が小さい傾斜姿勢S1或いは水平姿勢S2である場合に用いられる。
【0079】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0080】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送車の概要について説明する。
【0081】
物品を搬送する搬送車であって、移動経路に沿って移動する本体部と、前記物品を保持する保持装置と、前記保持装置を前記本体部に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記物品は、当該物品の底面と平行に配置される面であって、下方を向く被支持面が形成された被保持部を備え、前記保持装置は、第1方向に並べて配置されて前記被支持面を下方から支持する一対の支持部と、一対の前記支持部のそれぞれを前記第1方向に移動可能に支持する装置本体部と、一対の前記支持部を前記第1方向に互いに接近及び離間させる保持駆動部と、を備え、前記被保持部の前記第1方向の幅を第1幅として、前記保持駆動部は、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも大きくするように離間させた第1姿勢と、一対の前記支持部の間隔を前記第1幅よりも小さくするように接近させた第2姿勢と、に一対の前記支持部を駆動し、前記保持装置は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して前記装置本体部の水平面に対する傾斜角度を変化させる連動機構を備えている。
【0082】
本構成では、一対の支持部のそれぞれの少なくとも一部が被保持部よりも下方に位置し、且つ、一対の支持部の間に移載対象箇所に配置されている物品の被保持部が位置するように一対の支持部を配置した状態から、一対の支持部の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更する姿勢変更動作を少なくとも実行することで、移載対象箇所に配置されている物品を保持装置によって保持することができる。そして、本構成では、一対の支持部の姿勢が第1姿勢である状態での装置本体部の傾斜角度(水平面に対する傾斜角度、以下同様)が、以下に述べる第1角度となり、一対の支持部の姿勢が第2姿勢である状態での装置本体部の傾斜角度が、以下に述べる第2角度となるように、連動機構を構成することで、所望の保持姿勢とは異なる姿勢で移載対象箇所に配置されている物品を、所望の保持姿勢で保持装置によって保持することができる。
【0083】
ここで、第1角度は、移載対象箇所における物品の姿勢(例えば、底面が水平面に沿う水平姿勢)に応じた角度であり、例えば、一対の支持部のそれぞれの支持面が、移載対象箇所に配置されている物品の被支持面と同じ向きで配置される角度とされる。このように第1角度を移載対象箇所における物品の姿勢に応じた角度とすることで、姿勢変更動作の開始後に、移載対象箇所に配置されている物品の被支持面の下方における当該被支持面と接触或いは対向する位置(以下、「支持用位置」という)に、一対の支持部のそれぞれの支持面を適切に移動させることができる。
【0084】
また、第2角度は、所望の保持姿勢(例えば、底面が水平面に対して傾斜した傾斜姿勢)に応じた角度であり、例えば、一対の支持部のそれぞれの支持面が、所望の保持姿勢での物品の被支持面と同じ向きで配置される角度とされる。このように第2角度を所望の保持姿勢に応じた角度とすることで、姿勢変更動作の終了時に、一対の支持部のそれぞれの支持面が、上記の支持用位置において所望の保持姿勢での物品の被支持面と同じ向きで配置された状態を実現することができ、物品を所望の保持姿勢で保持装置によって保持することができる。
【0085】
以上のように、本構成によれば、所望の保持姿勢が移載対象箇所における物品の姿勢と異なる場合に、物品を所望の保持姿勢で保持装置によって保持することが可能となっている。
【0086】
ここで、前記昇降装置は、回転駆動される複数の回転体と、複数の前記回転体のそれぞれに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されていると共に前記保持装置に連結された伝動部材と、を備え、前記保持装置を複数の前記伝動部材により吊り下げた状態で昇降させ、複数の前記伝動部材の中に、一対の前記支持部の一方である第1支持部に連結された第1伝動部材と、前記装置本体部に連結された第2伝動部材とが含まれ、前記第1伝動部材における前記回転体から繰り出された部分は、前記装置本体部に固定された案内体を経由して前記第1支持部に連結され、前記連動機構は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して、前記第1伝動部材における前記案内体と前記第1支持部との間に配置される部分の長さを変化させるように構成されていると好適である。
【0087】
本構成によれば、第1伝動部材における案内体と第1支持部との間に配置される部分の長さの変化に応じて、装置本体部における案内体が固定された部分が昇降して装置本体部の水平面に対する傾斜角度が変化するように、連動機構を構成することができる。
【0088】
また、前記昇降装置は、回転駆動される複数の回転体と、複数の前記回転体のそれぞれに巻き取り及び繰り出し自在に巻回されていると共に前記保持装置に連結された伝動部材と、を備え、前記保持装置を複数の前記伝動部材により吊り下げた状態で昇降させ、前記保持駆動部は、駆動源により回転駆動される駆動軸を備え、前記駆動軸の回転に連動して一対の前記支持部を前記第1方向に互いに接近及び離間させるように構成され、前記連動機構は、前記駆動軸の回転に連動して回転する連動回転体を備え、複数の前記伝動部材の中に、第1伝動部材と、前記装置本体部に連結された第2伝動部材とが含まれ、前記第1伝動部材における前記回転体から繰り出された延出部分が、前記連動回転体に巻回され、前記連動機構は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更のための前記駆動軸の回転に連動して回転する前記連動回転体により、前記第1伝動部材を巻き取り及び繰り出して、前記第1伝動部材における前記回転体と前記連動回転体との間の長さを変化させるように構成されていると好適である。
【0089】
本構成によれば、第1伝動部材における回転体と連動回転体との間に配置される部分の長さの変化に応じて、第1伝動部材により吊り下げされた部分が第2伝動部材により吊り下げられた部分に対して相対的に昇降して装置本体部の水平面に対する傾斜角度が変化するように、連動機構を構成することができる。
【0090】
また、前記保持装置は、前記昇降装置に連結された連結部を備え、前記装置本体部は、前記連結部を介して前記昇降装置に連結され、前記連動機構は、一対の前記支持部の前記第1姿勢と前記第2姿勢との間の姿勢変更に連動して、前記連結部に対する前記装置本体部の傾斜角度を変化させるように構成されていると好適である。
【0091】
本構成によれば、連結部に対する装置本体部の傾斜角度の変化に応じて、装置本体部の水平面に対する傾斜角度を変化させるように、連動機構を構成することができる。本構成では、保持装置における昇降装置に連結される部分である連結部の姿勢を変更する必要はないため、昇降装置を改変することなく連動機構を保持装置に設けることができる。
【0092】
また、前記物品は、側面に開口部を有する容器であり、前記保持装置は、一対の前記支持部が前記第2姿勢に駆動された状態で、前記開口部が斜め上方を向く姿勢で前記物品を保持すると好適である。
【0093】
本構成によれば、物品が側面に開口部を有する容器である場合に、物品を、当該物品に収容された収容物が開口部から物品の外部に移動し難い姿勢で、保持装置によって保持することができる。
【0094】
本開示に係る搬送車は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 :搬送車
2 :移動経路
10 :本体部
20 :保持装置
21 :装置本体部
22 :連結部
30 :支持部
30a :支持面
31 :第1支持部
40 :連動機構
41 :案内体
47 :駆動軸
48 :連動回転体
49 :駆動源
50 :昇降装置
51 :回転体
60 :伝動部材
60a :連結部
61 :第1伝動部材
62 :第2伝動部材
72 :保持駆動部
90 :物品
90b :側面
90c :底面
91 :被保持部
91a :被支持面
92 :開口部
A :傾斜角度
C1 :第1姿勢
C2 :第2姿勢
H :水平面
Z :第1方向
ΔZ :第1幅