(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20241008BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241008BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241008BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W50/14
B60W60/00
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021189632
(22)【出願日】2021-11-22
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2021057769
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021164998
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006275(JP,A)
【文献】特開2020-158021(JP,A)
【文献】特開2007-148788(JP,A)
【文献】特開2020-050091(JP,A)
【文献】特開2020-075585(JP,A)
【文献】特開2016-205971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、
前記自車両の周囲の渋滞を把握する渋滞把握部(76)と、
前記自律走行制御での走行中に渋滞が把握された場合、前記運転支援制御での走行中に渋滞が把握された場合よりも、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)が狭くなる設定に変更する車間制御部(79)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項2】
前記自律走行制御には、特定エリア(SeA)内の走行に限定して実施されるエリア限定制御、及び渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御が含まれており、
前記車間制御部は、前記制御切替部によって前記エリア限定制御から前記渋滞限定制御に前記走行制御状態が移行される場合、前記車間距離が狭くなる設定に変更する請求項
1に記載の自動運転制御装置。
【請求項3】
前記制御切替部により前記エリア限定制御から前記渋滞限定制御へと前記走行制御状態が移行される場合、前記ドライバへ向けた情報提示を行う情報提示装置(10)に、前記車間距離が狭くなることを報知させる報知制御部(73)、をさらに備える請求項
2に記載の自動運転制御装置。
【請求項4】
前記自律走行制御には、渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御が含まれており、
前記車間制御部は、前記運転支援制御による走行中に渋滞が把握され、前記運転支援制御から前記渋滞限定制御に前記走行制御状態が移行される場合、前記渋滞限定制御への移行が完了するまで前記車間距離の設定を維持する請求項
1に記載の自動運転制御装置。
【請求項5】
前記車間制御部は、前記運転支援制御から前記渋滞限定制御への移行完了後、所定時間が経過したことに基づき、前記車間距離が狭くなる設定に変更する請求項
4に記載の自動運転制御装置。
【請求項6】
前記制御切替部により前記渋滞限定制御から前記運転支援制御へと前記走行制御状態が移行される場合、前記ドライバへ向けた情報提示を行う情報提示装置(10)に、前記車間距離の変更を報知させる報知制御部(73)、をさらに備え、
前記報知制御部は、前記運転支援制御から前記渋滞限定制御へと前記走行制御状態が移行される場合、前記情報提示装置(10)による前記車間距離の変更の報知を中止させる請求項
4又は
5に記載の自動運転制御装置。
【請求項7】
前記自律走行制御には、渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御が含まれており、
前記渋滞把握部は、前記自車両の周囲に生じている渋滞の解消を予測し、
前記車間制御部は、前記渋滞限定制御による走行中に渋滞の解消が予測された場合、前記渋滞限定制御の継続中に前記車間距離が広くなる設定に変更する請求項
1に記載の自動運転制御装置。
【請求項8】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、
前記自律走行制御によって渋滞中を走行する場合、前記運転支援制御によって渋滞中を走行する場合よりも、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)が狭くなる設定に変更する(S111~S113,S116)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項9】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、
前記車間制御部は、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定が前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記運転支援制御から前記自律走行制御に移行しても、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定を優先する自動運転制御装置。
【請求項10】
前記車間制御部は、前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定が前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記自律走行制御から前記運転支援制御に移行しても、前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定を優先する請求項
9に記載の自動運転制御装置。
【請求項11】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、
前記車間制御部は、前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定が前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記自律走行制御から前記運転支援制御に移行しても、前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定を優先する自動運転制御装置。
【請求項12】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、
前記車間制御部は、
前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定が前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行しても、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定を優先する一方、
前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定が前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記自律走行制御から前記運転支援制御への移行により、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定に切り替える自動運転制御装置。
【請求項13】
前記自車両が走行する道路の勾配情報を把握する勾配把握部(75)、をさらに備え、
前記車間制御部は、前記勾配情報に応じて前記車間距離の設定を変化させる請求項
9~
12のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項14】
前記車間制御部は、前記勾配情報に基づき、下り勾配の道路を走行する場合、上り勾配の道路を走行する場合及び水平な道路を走行する場合よりも、前記車間距離を広く設定する請求項
13に記載の自動運転制御装置。
【請求項15】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S416)、
前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定が前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記運転支援制御から前記自律走行制御に移行しても、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定を優先する、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項16】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S416)、
前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定が前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記自律走行制御から前記運転支援制御に移行しても、前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定を優先する、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項17】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S516)、
前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定が前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行しても、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定を優先し、
前記自律走行制御に紐づく前記車間距離の設定が前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定よりも広い場合、前記自律走行制御から前記運転支援制御への移行により、前記運転支援制御に紐づく前記車間距離の設定に切り替える、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項18】
自律センサ(30)の情報を用いてドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御装置であって、
前記自律センサによって検出される情報に基づき、前記自律走行制御の実施のために自車両(Am)の周囲の走行環境を認識する環境認識部(62)と、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、前記自律走行制御に紐づく第1設定車間と、前記自律センサによる自車周囲の検出が前記第1設定車間よりも容易になる第2設定車間と、を含む複数のうちで切り替える車間制御部(79)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項19】
前記環境認識部は、前記自律センサに生じた障害を把握し、
前記車間制御部は、前記自律センサの障害が把握されている場合、前記自律センサの障害が把握されていない場合よりも、前記第2設定車間を狭くする請求項
18に記載の自動運転制御装置。
【請求項20】
前記環境認識部は、前記自律センサの検出が前記追従対象車両によって妨げられているか否かを判断し、
前記車間制御部は、前記自律センサの検出が前記追従対象車両によって妨げられていると判断された場合、前記自律センサの検出が前記追従対象車両によって妨げられていないと判断された場合よりも、前記第2設定車間を広くする請求項
18又は
19に記載の自動運転制御装置。
【請求項21】
前記自律走行制御には、特定エリア(SeA)内の走行に限定して実施されるエリア限定制御、及び渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御が含まれており、
前記車間制御部には、前記エリア限定制御に紐づく前記第1設定車間としてのエリア制御用第1車間と、前記渋滞限定制御に紐づく前記第1設定車間としての渋滞制御用第1車間とが準備されており、
前記エリア限定制御における前記第2設定車間は、前記エリア制御用第1車間よりも狭くされ、
前記渋滞限定制御における前記第2設定車間は、前記渋滞制御用第1車間よりも広くされる請求項
18~
20のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項22】
前記環境認識部は、前記自律センサよって検出される情報に基づき、前記追従対象車両の種別を把握し、
前記車間制御部は、前記追従対象車両の種別に応じて前記第2設定車間を変更する請求項
18~
21のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項23】
前記自律センサは、前記自車両の周囲を撮影するカメラ(31)を少なくとも含み、
前記車間制御部は、前記カメラによる前記自車周囲の検出が容易となる前記第2設定車間を設定する請求項
18~
22のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項24】
前記第1設定車間及び前記第2設定車間の切り替えに伴う前記車間距離の変更を前記ドライバへ向けて報知させる報知制御部(73)、をさらに備える請求項
18~
23のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項25】
自律センサ(30)の情報を用いてドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律センサによって検出される情報に基づき、前記自律走行制御の実施のために自車両(Am)の周囲の走行環境を認識し、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、前記自律走行制御に紐づく第1設定車間と、前記自律センサによる自車周囲の検出が前記第1設定車間よりも容易になる第2設定車間と、を含む複数のうちで切り替える(S315~S320)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項26】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、
前記自律走行制御から前記運転支援制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、
前記運転支援制御には、ステアリングホイールの把持義務が前記ドライバにあるハンズオン制御、及び前記把持義務が前記ドライバにないハンズオフ制御が含まれており、
前記車間制御部は、前記自律走行制御から前記ハンズオン制御に移行する場合と、前記自律走行制御から前記ハンズオフ制御に移行する場合とで、移行後における前記車間距離の設定を変更する自動運転制御装置。
【請求項27】
前記車間制御部は、前記ハンズオン制御における前記車間距離を、前記ハンズオフ制御における前記車間距離よりも広く設定する請求項
26に記載の自動運転制御装置。
【請求項28】
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、
前記自律走行制御から前記運転支援制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S311~S314)、
ステアリングホイールの把持義務が前記ドライバにあるハンズオン制御に前記自律走行制御から移行する場合と、前記把持義務が前記ドライバにないハンズオフ制御に前記自律走行制御から移行する場合とで、移行後における前記車間距離の設定を変更する、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項29】
ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御装置であって、
複数レーンを含む道路を自車両(Am)が走行する場合、当該自車両が走行する自車レーン(Lns)の特性を把握するレーン把握部(75)と、
前記自律走行制御によって走行する場合の前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、前記レーン把握部にて把握された前記自車レーンの特性に応じて変更する車間制御部(79)と、を備え、
前記レーン把握部は、前記自車レーンが追越レーン(Lnp)であるか否かを前記自車レーンの特性として把握し、
前記車間制御部は、前記自車レーンが前記追越レーンである場合、前記自車レーンが前記追越レーンでない場合よりも前記車間距離が狭くなる設定に変更する自動運転制御装置。
【請求項30】
前記レーン把握部は、前記自車レーンに隣接した隣接レーン(Lna)を走行する他車両(AL)の走行速度が前記自車両の走行速度よりも高いか否かを、前記自車レーンの特性として把握し、
前記車間制御部は、前記隣接レーンの前記他車両の走行速度が前記自車両の走行速度よりも高い場合、前記他車両の走行速度が前記自車両の走行速度よりも低い場合に対し、前記車間距離が広くなる設定に変更する請求項
29に記載の自動運転制御装置。
【請求項31】
ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御プログラムであって、
複数レーンを含む道路を自車両(Am)が走行する場合、当該自車両が走行する自車レーン(Lns)の特性として、前記自車レーンが追越レーン(Lnp)であるか否かを把握し(S135)、
前記自律走行制御によって走行する場合の前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、把握した前記自車レーンの特性に応じて変更し、
前記自車レーンが前記追越レーンである場合、前記自車レーンが前記追越レーンでない場合よりも前記車間距離が狭くなる設定に変更する(S136,S137)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の走行制御装置は、ドライバに周辺監視義務が要求されない自律的な走行制御を実施できる。この走行制御装置は、自車両と同一レーンを走行する他車両との前後方向の車間距離を制御するため、自車両を加速又は減速させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたように、周辺監視義務のない自動運転制御が開始されると、ドライバは、自車両の周囲の状況を把握しなくてもよくなる。そのため、自車両から追従車両までの車間距離の変化等に対して違和感を覚え易くなる。その結果、自動運転に対する利便性が低く感じられてしまう懸念があった。
【0005】
本開示は、周辺監視義務のない自動運転の利便性を向上可能な自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、自車両の周囲の渋滞を把握する渋滞把握部(76)と、自律走行制御での走行中に渋滞が把握された場合、運転支援制御での走行中に渋滞が把握された場合よりも、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)が狭くなる設定に変更する車間制御部(79)と、を備える自動運転制御装置とされる。
【0012】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、自律走行制御によって渋滞中を走行する場合、運転支援制御によって渋滞中を走行する場合よりも、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)が狭くなる設定に変更する(S111~S113,S116)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0013】
これらの態様では、周辺監視義務のない自動走行制御によって渋滞中を走行する場合の車間距離が、周辺監視義務のある運転支援制御によって渋滞中を走行する場合の車間距離よりも狭い設定とされる。故に、周辺監視義務のない渋滞走行のシーンでは、自車両と追従対象車両との間に他車両が割り込み難くなる。以上によれば、他車両の割り込みに起因して自律走行制御が終了される事態が発生し難くなる。その結果、周辺監視義務のない状態が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0014】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、車間制御部は、運転支援制御に紐づく車間距離の設定が自律走行制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、運転支援制御から自律走行制御に移行しても、運転支援制御に紐づく車間距離の設定を優先する自動運転制御装置とされる。
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、車間制御部は、自律走行制御に紐づく車間距離の設定が運転支援制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、自律走行制御から運転支援制御に移行しても、自律走行制御に紐づく車間距離の設定を優先する自動運転制御装置とされる。
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、車間制御部は、運転支援制御に紐づく車間距離の設定が自律走行制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行しても、運転支援制御に紐づく車間距離の設定を優先する一方、自律走行制御に紐づく車間距離の設定が運転支援制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、自律走行制御から運転支援制御への移行により、運転支援制御に紐づく車間距離の設定に切り替える自動運転制御装置とされる。
【0015】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S416)、運転支援制御に紐づく車間距離の設定が自律走行制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、運転支援制御から自律走行制御に移行しても、運転支援制御に紐づく車間距離の設定を優先する、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S416)、自律走行制御に紐づく車間距離の設定が運転支援制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、自律走行制御から運転支援制御に移行しても、自律走行制御に紐づく車間距離の設定を優先する、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S516)、運転支援制御に紐づく車間距離の設定が自律走行制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行しても、運転支援制御に紐づく車間距離の設定を優先し、自律走行制御に紐づく車間距離の設定が運転支援制御に紐づく車間距離の設定よりも広い場合、自律走行制御から運転支援制御への移行により、運転支援制御に紐づく車間距離の設定に切り替える、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0019】
また開示された一つの態様は、自律センサ(30)の情報を用いてドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御装置であって、自律センサによって検出される情報に基づき、自律走行制御の実施のために自車両(Am)の周囲の走行環境を認識する環境認識部(62)と、自律走行制御によって走行する自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、自律走行制御に紐づく第1設定車間と、自律センサによる自車周囲の検出が第1設定車間よりも容易になる第2設定車間と、を含む複数のうちで切り替える車間制御部(79)と、を備える自動運転制御装置とされる。
【0020】
また開示された一つの態様は、自律センサ(30)の情報を用いてドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御プログラムであって、自律センサによって検出される情報に基づき、自律走行制御の実施のために自車両(Am)の周囲の走行環境を認識し、自律走行制御によって走行する自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、自律走行制御に紐づく第1設定車間と、自律センサによる自車周囲の検出が第1設定車間よりも容易になる第2設定車間と、を含む複数のうちで切り替える(S315~S320)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0021】
これらの態様では、自律走行制御によって走行する自車両において、第1設定車間から第2設定車間へと車間距離の設定が切り替えられることにより、自律センサによる自車周囲の検出、ひいては自車周囲の走行環境の認識が容易となる。その結果、周辺監視義務のない自動運転が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0022】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、自律走行制御から運転支援制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、を備え、運転支援制御には、ステアリングホイールの把持義務がドライバにあるハンズオン制御、及び把持義務がドライバにないハンズオフ制御が含まれており、車間制御部は、自律走行制御からハンズオン制御に移行する場合と、自律走行制御からハンズオフ制御に移行する場合とで、移行後における車間距離の設定を変更する自動運転制御装置とされる。
【0023】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、自律走行制御から運転支援制御に走行制御状態が移行する場合、自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S311~S314)、ステアリングホイールの把持義務がドライバにあるハンズオン制御に自律走行制御から移行する場合と、把持義務がドライバにないハンズオフ制御に自律走行制御から移行する場合とで、移行後における車間距離の設定を変更する、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0024】
これらの態様では、ステアリングホイールの把持義務がドライバにあるハンズオン制御と、ステアリングホイールの把持義務がドライバにないハンズオフ制御とで、車間距離の設定が変更される。以上によれば、自律走行制御から運転支援制御に移行したタイミングで、ハンズオン制御及びハンズオフ制御のそれぞれに適した車間距離が確保され得るため、ドライバは、運転支援制御における車間距離に違和感を覚え難くなる。その結果、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0027】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御装置であって、複数レーンを含む道路を自車両(Am)が走行する場合、当該自車両が走行する自車レーン(Lns)の特性を把握するレーン把握部(75)と、自律走行制御によって走行する場合の自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、レーン把握部にて把握された自車レーンの特性に応じて変更する車間制御部(79)と、を備え、レーン把握部は、自車レーンが追越レーン(Lnp)であるか否かを自車レーンの特性として把握し、車間制御部は、自車レーンが追越レーンである場合、自車レーンが追越レーンでない場合よりも車間距離が狭くなる設定に変更する自動運転制御装置とされる。
【0028】
また開示された一つの態様は、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御プログラムであって、複数レーンを含む道路を自車両(Am)が走行する場合、当該自車両が走行する自車レーン(Lns)の特性として、自車レーンが追越レーン(Lnp)であるか否かを把握し(S135)、自律走行制御によって走行する場合の自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、把握した自車レーンの特性に応じて変更し、自車レーンが追越レーンである場合、自車レーンが追越レーンでない場合よりも車間距離が狭くなる設定に変更する(S136,S137)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0029】
これらの態様では、自車両から追従対象車両までの車間距離の設定が、自車レーンの特性に応じて変更される。故に、自車両の前方への他車両の割り込みを抑制させる、又は他車両の円滑な割り込みを支援することが可能になる。以上によれば、他車両の割り込みに起因して周辺監視義務のない自律走行制御が終了される事態は、発生し難くなる。その結果、周辺監視義務のない走行状態が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0035】
尚、上記及び特許請求の範囲における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本開示の第一実施形態による自動運転システム及びHMIシステムを含む車載ネットワークの全体像を示す図である。
【
図2】自動運転ECUの詳細を示すブロック図である。
【
図5】制御切替部を主体として実施される運転制御切替処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】走行設定制御部を主体として実施される車間設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図7】制御パターン1~4における車間距離の設定の大小関係を示す図である。
【
図8】HCUにて実施される報知実行処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】車間距離の設定が変更されるシーン1での制御の詳細を示すタイムチャートである。
【
図10】シーン2での制御の詳細を示すタイムチャートである。
【
図11】シーン3での制御の詳細を示すタイムチャートである。
【
図12】走行設定制御部を主体として実施される車間調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】行動判断部を主体として実施される再発進制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図14】HCUにて実施される再発進報知処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図15】本開示の第二実施形態による報知実行処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図16】第二実施形態のシーン1における制御の詳細を示すタイムチャートである。
【
図17】本開示の第三実施形態による車間設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図18】第2車間距離を調整する車間調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図19】車間距離の設定が第1車間から第2車間に変更されるシーンでの制御の詳細を示すタイムチャートである。
【
図20】第四実施形態の車間設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図21】第五実施形態の車間設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0038】
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態では、
図1に示す自動運転ECU(Electronic Control Unit)50b及びHCU(Human Machine Interface Control Unit)100が車載ネットワーク1に設けられている。
図1及び
図2に示す自動運転ECU50bは、自動運転制御装置の機能を実現する。
図1及び
図3に示すHCU100は、提示制御装置の機能を実現する。
【0039】
図1~
図3に示すように、自動運転ECU50b及びHCU100は、運転支援ECU50aと共に車両(以下、自車両Am,
図4参照)に搭載されている。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50a等と共に自車両Amの自動運転システム50を構成している。自動運転システム50の搭載により、自車両Amは、自動運転機能を備えた自動運転車両となる。
【0040】
運転支援ECU50aは、自動運転システム50において、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を実現させる車載ECUである。運転支援ECU50aは、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2程度の高度運転支援又は部分的な自動運転制御を可能にする。運転支援ECU50aによって実施される自動運転は、ドライバの目視による自車周辺の監視が必要な周辺監視義務のある自動運転となる。
【0041】
自動運転ECU50bは、自動運転システム50において、ドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能を実現させる車載ECUである。自動運転ECU50bは、システムが制御主体となるレベル3以上の自律走行を実施可能である。自動運転ECU50bによって実施される自動運転は、自車周囲の監視が不要となる、即ち、周辺監視義務のないアイズオフの自動運転となる。
【0042】
自動運転システム50では、運転支援ECU50aによる周辺監視義務のある自動運転制御と、自動運転ECU50bによる周辺監視義務のない自動運転制御とを少なくとも含む複数のうちで、自動運転機能の走行制御状態が切り替えられる。以下の説明では、運転支援ECU50aによるレベル2以下の自動運転制御を「運転支援制御」と記載し、自動運転ECU50bによるレベル3以上の自動運転制御を「自律走行制御」と記載する場合がある。
【0043】
自動運転ECU50bによる自律走行制御によって自車両Amが走行する自動走行期間では、予め規定された運転以外の特定の行為(以下、セカンドタスク)がドライバに許可され得る。セカンドタスクは、自動運転ECU50b及びHCU100の連携による運転操作の実施要求、即ち、運転交代の要請が発生するまで、ドライバに法規的に許可される。例えば、動画コンテンツ等のエンターテイメント系のコンテンツの視聴、スマートフォン等のデバイス操作及び食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0044】
運転支援ECU50a、自動運転ECU50b及びHCU100は、自車両Amに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に、通信可能に接続されている。通信バス99には、ドライバモニタ29、周辺監視センサ30、ロケータ35、車載通信機39、及び走行制御ECU40等が接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。これらECU等のうちの特定のノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バス99を介することなく通信可能であってもよい。
【0045】
ドライバモニタ29は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。ドライバモニタ29は、運転席のヘッドレスト部分に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部の上面又はインスツルメントパネルの上面等に設置されている。近赤外カメラは、後述するメータディスプレイ21又はセンターインフォメーションディスプレイ(以下、CID)22と一体的に構成され、いずれかの画面に設けられていてもよい。
【0046】
ドライバモニタ29は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、ドライバのアイポイントの位置及び視線方向等の情報を撮像画像から抽出する。ドライバモニタ29は、制御ユニットによって抽出されたドライバステータス情報をHCU100及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0047】
周辺監視センサ30は、自車両Amの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から移動物体及び静止物体を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車両Amの周囲を走行する前方車両、後方車両及び側方車両等を少なくとも検出可能である。周辺監視センサ30は、自車周囲の物体の検出情報を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0048】
周辺監視センサ30には、例えばカメラユニット31、ミリ波レーダ32、ライダ33及びソナー34のうちの一つ又は複数が含まれている。カメラユニット31は、単眼カメラを含む構成であってもよく、又は複眼カメラを含む構成であってもよい。カメラユニット31は、自車両Amの前方範囲を撮影可能なように自車両Amに搭載されている。自車両Amの側方範囲及び後方範囲を撮影可能なカメラユニット31が、自車両Amに搭載されていてもよい。カメラユニット31は、自車周囲を撮影した撮像データ及び撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。
【0049】
ミリ波レーダ32は、ミリ波又は準ミリ波を自車周囲へ向けて照射する。ミリ波レーダ32は、移動物体及び静止物体等で反射された反射波を受信する処理によって生成した検出情報を出力する。ライダ33は、自車周囲へ向けてレーザ光を照射する。ライダ33は、照射範囲に存在する移動物体及び静止物体等で反射されたレーザ光を受信する処理によって生成した検出情報を出力する。ソナー34は、自車周囲へ向けて超音波を発射する。ソナー34は、自車近傍に存在する移動物体及び静止物体等で反射された超音波を受信する処理によって生成した検出情報を出力する。
【0050】
ロケータ35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサ等を含む構成である。ロケータ35は、GNSS受信機で受信する測位信号、慣性センサの計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、自車両Amの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータ35は、測位結果に基づく自車両Amの位置情報及び方角情報を、ロケータ情報として通信バス99に逐次出力する。
【0051】
ロケータ35は、地図データを格納した地図データベース(以下、地
図DB)36をさらに有している。地
図DB36は、多数の3次元地図データ及び2次元地図データを格納した大容量の記憶媒体を主体とする構成である。3次元地図データは、いわゆるHD(High Definition)マップであり、自動運転制御に必要な道路情報を含んでいる。3次元地図データは、道路の3次元形状情報及び各レーンの詳細情報等、高度運転支援及び自動運転に必要な情報を含んでいる。ロケータ35は、現在位置周辺の地図データを地
図DB36から読み出し、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等にロケータ情報と共に提供する。
【0052】
車載通信機39は、自車両Amに搭載された車外通信ユニットであり、V2X(Vehicle to Everything)通信機として機能する。車載通信機39は、道路脇に設置された路側機との間で無線通信によって情報を送受信する。一例として、車載通信機39は、自車両Amの現在位置周辺及び進行方向の渋滞情報を路側機から受信する。渋滞情報は、VICS(登録商標)情報等である。車載通信機39は、受信した渋滞情報を自動運転ECU50b等に提供する。
【0053】
走行制御ECU40は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU40は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU及び操舵制御ECUの機能を少なくとも有している。走行制御ECU40は、ドライバの運転操作に基づく操作指令、運転支援ECU50aの制御指令及び自動運転ECU50bの制御指令のいずれか一つに基づき、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御及び操舵角制御を継続的に実施する。加えて走行制御ECU40は、各輪のハブ部分に設けられた車輪速センサの検出信号に基づき、自車両Amの現在の走行速度を示す車速情報を生成し、生成した車速情報を通信バス99に逐次出力する。
【0054】
次に、HCU100、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各詳細を順に説明する。
【0055】
HCU100は、HMI(Human Machine Interface)システム10を、複数の表示デバイス、オーディオ装置24、アンビエントライト25及び操作デバイス26等と共に構成している。HMIシステム10は、自車両Amのドライバ等の乗員による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0056】
表示デバイスは、画像表示等により、ドライバの視覚を通じて情報を提示する。表示デバイスには、メータディスプレイ21、CID22及びヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)23等が含まれている。CID22は、タッチパネルの機能を有しており、ドライバ等による表示画面へのタッチ操作を検出する。オーディオ装置24は、運転席を囲む配置にて車室内に設置された複数のスピーカを有しており、報知音又は音声メッセージ等をスピーカによって車室内に再生させる。アンビエントライト25は、インスツルメントパネル及びステアリングホイール等に設けられている。アンビエントライト25は、発光色を変化させるアンビエント表示により、ドライバの周辺視野を利用した情報提示を行う。
【0057】
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば自動運転機能の作動及び停止に関連するユーザ操作等が入力される。一例として、運転支援制御から自律走行制御への移行を指示するドライバ入力が操作デバイス26には入力される。ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、及びドライバの発話内容を認識する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
【0058】
HCU100は、提示制御装置として機能し、自動運転に関連する情報等のドライバへ向けた提示を統合的に制御する。HCU100は、自動運転ECU50bによる運転操作の実施要求に基づき、ドライバに運転交代を要請する。加えてHCU100は、上述したように自動運転ECU50bと連携してドライバによるセカンドタスクの実施を許容し、運転交代要請を妨げないかたちでセカンドタスクに関連した動画コンテンツ等を再生可能である。
【0059】
HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含む構成である。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部11は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。RAM12は、映像データ生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、提示制御処理のための種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(提示制御プログラム等)が格納されている。
【0060】
HCU100は、記憶部13に記憶された提示制御プログラムを処理部11によって実行することで、ドライバへの情報提示を統合制御する複数の機能部を有する。具体的に、HCU100には、情報取得部81及び提示制御部88等の機能部が構築される。
【0061】
情報取得部81は、車両情報、操作情報、及びドライバステータス情報等を取得する。車両情報は、自車両Amの状態を示す情報である。情報取得部81は、通信バス99等から車両情報を取得する。車両情報には、例えば走行制御ECU40によって通信バス99に提供される車速情報等が含まれる。操作情報は、ユーザ操作の内容を示す情報である。情報取得部81は、CID22及び操作デバイス26等から操作情報を取得する。ドライバステータス情報は、ドライバモニタ29から情報取得部81に提供される情報である。情報取得部81は、ドライバステータス情報に基づき、ドライバの状態を把握する。一例として、情報取得部81は、ドライバが自車両Amの周囲を監視しているか否か、ドライバが実施中のセカンドタスクの内容、及びドライバの運転姿勢等を、ドライバの状態として把握する。
【0062】
情報取得部81は、自動運転ECU50bの情報連携部61(後述する)と連携し、それぞれが取得した情報を共有する。情報取得部81は、操作情報及びドライバの状態を示す情報(以下、行動情報)等を自動運転ECU50bに提供する。情報取得部81は、自動運転機能の状態を示す制御ステータス情報と、自動運転機能に関連する報知の実施要求とを情報連携部61から取得する。
【0063】
提示制御部88は、各表示デバイス及びオーディオ装置24を用いたドライバへの情報の提供を統合制御する。提示制御部88は、情報取得部81にて取得される制御ステータス情報及び実施要求に等基づき、自動運転の動作状態に合わせたコンテンツ提供及び情報提示を実施する。具体的に、提示制御部88は、自動運転ECU50bによる自律走行制御の実施が情報取得部81によって把握されると、動画コンテンツ等の再生を可能にする。さらに、提示制御部88は、運転交代要請と、後述する移行完了報知、車間距離変更報知及び追従再発進報知等とを実施する。
【0064】
運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、走行中の自車レーンLnsに沿って自車両Amを自動走行させるレーン内走行を可能にする。運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、自車レーンLnsに沿って自車両Amを自動走行させるとき、自車レーンLnsを走行する前方車両が存在する場合に、追従走行制御を実施する(
図4参照)。
【0065】
追従走行制御では、前方車両が追従対象車両At(
図4参照)に設定され、自車両Amから追従対象車両Atまでの車間距離VD(
図4参照)が制御される。追従走行制御において、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、追従対象車両Atから自車両Amまでの目標車間時間を設定する。目標車間時間が同一の場合、自車両Amの走行速度が高くなるほど車間距離VDは広くなり、自車両Amの走行速度が低くなるほど車間距離VDは狭くなる。運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、追従走行制御において、目標車間時間に基づく車間距離VDが維持されるように自車両Amの走行速度を管理する。
【0066】
運転支援ECU50aは、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。運転支援ECU50aは、処理部によるプログラムの実行により、ACC(Adaptive Cruise Control)及びLTC(Lane Trace Control)等の運転支援機能を実現する。運転支援ECU50aは、ACC及びLTCの各機能の連携により、上述のレーン内走行、及び追従走行制御を実施する。
【0067】
自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aよりも高い演算能力を備えており、ACC及びLTCに相当する走行制御を少なくとも実施できる。自動運転ECU50bは、自律走行制御が一時的に中断されるシーンにおいて、運転支援ECU50aに代わって、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御を実施可能であってよい。
【0068】
自動運転ECU50bは、HCU100と同様に、処理部51、RAM52、記憶部53、入出力インターフェース54及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部51は、RAM52へのアクセスにより、本開示の自動運転制御方法を実現するための種々の処理を実行する。記憶部53には、処理部51によって実行される種々のプログラム(自動運転制御プログラム等)が格納されている。処理部51によるプログラムの実行により、自動運転ECU50bには、自動運転機能を実現するための複数の機能部として、情報連携部61、環境認識部62、行動判断部63及び制御実行部64等が構築される。
【0069】
情報連携部61は、情報取得部81への情報提供と、情報取得部81から情報取得とを実施する。情報連携部61及び情報取得部81の連携により、自動運転ECU50b及びHCU100は、それぞれが取得した情報を共有する。一例として、情報連携部61は、情報取得部81によって提供される操作情報及び行動情報等を取得する。また情報連携部61は、制御ステータス情報を生成し、生成した制御ステータス情報を情報取得部81に提供する。
【0070】
制御ステータス情報は、自動運転システム50による自動運転機能の動作状態を示す情報である。制御ステータス情報には、切替情報、車間変更情報及び発進制御情報等が含まれている。切替情報は、自動運転機能における走行制御状態の切り替わりを示す情報である。自動運転機能が動作状態にあり、かつ、走行制御状態が複数のうちで切り替えられた場合に、切替情報が、情報連携部61から情報取得部81に提供される。車間変更情報は、追従走行制御における車間距離VDの設定変更を示す情報である。走行制御状態の切り替えに伴い、車間距離VDの設定が変更された場合に、車間変更情報が、情報連携部61から情報取得部81に提供される。発進制御情報は、渋滞中における自車両Amの再発進のタイミングに関する情報である。渋滞中にて一時的に停止した自車両Amが再発進する場合に、発進制御情報が、情報連携部61から情報取得部81に提供される。
【0071】
情報連携部61は、情報取得部81との情報連携のためのサブ機能部として、入力把握部71及び報知要求部73を有する。
【0072】
入力把握部71は、HCU100から取得するドライバの操作情報に基づき、CID22及び操作デバイス26等へ入力されるユーザ操作を把握する。一例として、入力把握部71は、運転支援制御から自律走行制御への移行を指示するドライバ入力(レベル3移行操作,
図9等参照)を把握する。
【0073】
報知要求部73は、情報取得部81へ向けた報知の実施要求の出力により、自動運転機能の動作状態に同期したHCU100による報知を可能にする。実施要求は、自動運転機能による自車両Amの挙動制御に同期した情報提供を可能にする情報となる。報知要求部73による報知の実施要求の出力処理は、報知を実施させる処理に相当する。報知要求部73は、自動運転に関連した報知の実施要求として、上述した運転交代要請の実施要求、移行完了報知の実施要求、車間距離変更報知の実施要求、及び追従再発進報知の実施要求等を、情報取得部81へ向けて送信する。尚、制御ステータス情報が実施要求の機能を兼ねていてもよい。即ち、切替情報が移行完了報知の実施要求を兼ねていてもよく、車間変更情報が車間距離変更報知の実施要求を兼ねていてもよく、発進制御情報が追従再発進報知の実施要求を兼ねていてもよい。
【0074】
環境認識部62は、ロケータ35より取得するロケータ情報及び地図データと、周辺監視センサ30より取得する検出情報とを組み合わせ、自律走行制御の実施のために、自車両Amの周囲の走行環境を認識する。環境認識部62は、走行環境認識のためのサブ機能部として、他車両把握部74、道路情報把握部75及び渋滞把握部76を有する。
【0075】
他車両把握部74は、例えば他車両等、自車周囲の動的な物標の相対位置及び相対速度等を把握する。他車両把握部74は、自車レーンLnsにおいて自車両Amの前方を走行する前方車両と、自車レーンLnsの隣接レーンLnaを走行する並走車両AL(
図4参照)とを、少なくとも把握する。他車両把握部74にて把握される前方車両は、上述した追従走行制御にて、自車両Amの追従対象車両At(
図4参照)となる。
【0076】
道路情報把握部75は、自車両Amが走行する道路に関する情報を把握する。具体的に、道路情報把握部75は、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路が予め設定された許可エリアSeA(
図9参照)又は制限付き許可エリアSeD(
図9参照)内か否かを把握する。許可エリアSeA及び制限付き許可エリアSeDか否かを示す情報は、地
図DB36に格納された地図データに記録されていてもよく、車載通信機39によって受信する受信情報に含まれていてもよい。
【0077】
詳記すると、許可エリアSeA及び制限付き許可エリアSeDは、ドライバによる周辺監視義務のない自動運転が法規的に許可される運行設計領域(Operational Design Domain)に相当する。自動運転ECU50bには、自律走行制御に属する走行制御状態として、渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御(以下、渋滞時レベル3)と、特定のエリア内の走行に限定して実施されるエリア限定制御(以下、エリアレベル3)とが設定されている。許可エリアSeA内の道路では、渋滞時レベル3及びエリアレベル3が共に実施を許可される。一方、制限付き許可エリア内の道路では、渋滞時レベル3のみが実施を許可され、エリアレベル3の実施は不許可となる。さらに、許可エリアSeA及び制限付き許可エリアSeDのいずれにも含まれない道路(以下、不許可エリアSeX,
図9参照)では、周辺監視義務のない自律走行制御での走行が禁止される。渋滞時レベル3では、前方車両との距離を確保しつつ、自車両Amを前方車両に追従走行させる走行制御が実施される。一方、エリアレベル3では、前方車両に自車両Amを追従走行させるか、又は自車レーンLnsに沿って自車両Amを定速巡航させる走行制御が実施される。
【0078】
道路情報把握部75は、地図データ等に基づき走行中の道路のレーン数を把握し、走行方向が同一となる複数のレーンが走行中の道路に存在するか否かを判定する。道路情報把握部75は、複数レーンを含む道路を自車両Amが自動運転によって走行する場合、複数レーンのうちで自車両Amが走行する自車レーンLnsを、ロケータ情報及び検出情報等に基づき特定する。道路情報把握部75は、自車レーンLnsの特性を把握する。
【0079】
道路情報把握部75は、自車レーンLnsの特性として、自車レーンLnsが追越レーンLnpであるか否かを判定する。一方向あたり2車線以上を含む道路では、最も道路中央側(中央分離帯MS側,
図4参照)に位置するレーンが追越レーンLnpに相当する。左側通行の道路の場合、右端のレーンが追越レーンLnpとなり、右側通行の道路の場合、左端のレーンが追越レーンLnpとなる。
【0080】
道路情報把握部75は、自車レーンLnsが低速レーンであるか否かをさらに判定する。低速レーンは、隣接レーンLnaを走行する並走車両ALの走行速度が自車両Amの走行速度よりも低くなるレーンである。一方向あたり2車線以上を含む道路では、最も道路外側(道路端RS側,
図4参照)に位置する走行レーンLntが、低速レーンに相当する。左側通行の道路の場合、左端のレーンが低速レーンとなり、右側通行の道路の場合、右端のレーンが低速レーンとなる。尚、低速レーンは、通常の走行レーンLntに限定されず、登坂レーン、分岐レーン又は合流レーン等であってもよい。
【0081】
渋滞把握部76は、周辺監視センサ30による検出情報及び走行制御ECU40による車速情報等を組み合わせて、自車両Amの周囲の渋滞を把握する。渋滞把握部76は、渋滞状態になったか否かの判定と、渋滞の解消予測と、渋滞が解消されたか否かの判定とを実施する。尚、渋滞把握部76は、渋滞に関連する判定に、車載通信機39によって受信される渋滞情報を用いてもよい。
【0082】
渋滞把握部76は、現在の自車両Amの車速が渋滞速度(例えば、10km/h程度)以下であり、かつ、自車レーンLnsを走行する前方車両が存在する場合、自車周囲が渋滞状態にあると判定する。渋滞把握部76は、自車周囲が渋滞状態にあると判定した後、自車両Amの車速が渋滞速度を超えた場合に、自車周囲の渋滞解消を予測する。渋滞把握部76は、渋滞解消を予測した後、自車両Amの車速が再び渋滞速度以下となると、渋滞の解消予測を取り消す。さらに、渋滞把握部76は、自車周囲の渋滞解消を予測した後、自車両Am又は前方車両の車速が渋滞解消速度(例えば、60km/h程度)を超えた場合、渋滞が解消したと判定する。
【0083】
行動判断部63は、HCU100と連携し、自動運転システム50及びドライバ間での運転交代を制御する。行動判断部63は、自動運転システム50に運転操作の制御権がある場合、環境認識部62による走行環境の認識結果に基づき、自車両Amを走行させる予定走行ラインを生成し、生成した予定走行ラインを制御実行部64に出力する。行動判断部63は、他車両把握部74にて追従対象車両Atが認識されている場合、追従対象車両Atを対象とした追従対象制御を行うための予定走行ラインを生成する。
【0084】
行動判断部63は、自動運転機能の動作状態を制御するためのサブ機能部として、制御切替部78及び走行設定制御部79を有する。
【0085】
制御切替部78は、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを切り替える。加えて制御切替部78は、自律走行制御によって自車両Amを走行させる場合、エリアレベル3及び渋滞時レベル3を含む複数のうちで走行制御状態を切り替える。制御切替部78は、運転制御切替処理(
図5参照)の実施により、運転支援ECU50aと連携して、走行制御状態を複数のうちで切り替える。制御切替部78は、例えば運転支援ECU50aによる運転支援制御の開始に基づき、運転制御切替処理を開始する。
【0086】
運転制御切替処理にて、制御切替部78は、自律走行制御の実施が許可された道路を自車両Amが走行しているか否かを判断する(S101)。道路情報把握部75にて自車両Amが不許可エリアSeX(
図9参照)を走行していると把握されている場合(S101:YES)、制御切替部78は、自律走行制御の実施を許可せず、運転支援ECU50aによる運転支援制御を継続させる(S107)。制御切替部78によって自律走行制御から運転支援制御に走行制御状態が遷移した場合、自動運転ECU50bが運転支援制御を実施してもよい。一方、自車両Amが許可エリアSeA又は制限付き許可エリアSeDを走行している場合(S101:NO)、制御切替部78は、入力把握部71によるレベル3移行操作の把握の有無を判定する(S102)。制御切替部78は、入力把握部71にてレベル3移行操作が把握された場合(S102:YES)、自律走行制御の実施を可能にする。
【0087】
制御切替部78は、自車周囲の渋滞が渋滞把握部76によって把握されると(S103:YES)、渋滞時レベル3の自律走行制御を自車両Amの走行制御状態に設定する(S105)。一方、自車周囲の渋滞が把握されていない場合(S103:NO)、制御切替部78は、自車両Amが許可エリアSeA(
図9参照)を走行しているか否かを判定する(S104)。道路情報把握部75にて制限付き許可エリアSeD(
図9参照)の走行が把握されている場合(S104:NO)、制御切替部78は、自律走行制御への移行を許可せず、運転支援ECU50aによる運転支援制御を継続させる(S107)。対して、自車両Amが許可エリアSeAの走行が把握されている場合(S104:YES)、制御切替部78は、エリアレベル3の自律走行制御を自車両Amの走行制御状態に設定する(S106)。
【0088】
走行設定制御部79は、情報連携部61及び環境認識部62にて把握される情報に基づき、自律走行制御に関連するパラメータの設定を変更する。走行設定制御部79は、上述した追従走行制御における車間距離VD(
図4参照)を設定する。走行設定制御部79は、車間設定処理(
図6参照)の実施により、運転支援ECU50aと連携して、車間距離VD(
図4参照)の設定を走行制御状態に応じて変更する。走行設定制御部79は、例えば運転支援ECU50aによる運転支援制御の開始に基づき、車間設定処理を開始する。
【0089】
車間設定処理にて、走行設定制御部79は、現在の走行制御状態についての周辺監義務の有無を判定する(S111)。周辺監視義務のある走行制御状態であると判定した場合(S111:YES)、走行設定制御部79は、運転支援ECU50aと連携し、運転支援制御に紐づく目標車間時間を設定する(S112)。一方、周辺監視義務のない走行制御状態であると判定した場合(S111:NO)、走行設定制御部79は、走行制御状態が渋滞時レベル3の自律走行制御か否かを判定する(S113)。走行制御状態がエリアレベル3である場合(S113:NO)、走行設定制御部79は、エリアレベル3の自律走行制御に紐づく目標車間時間を設定する(S114)。
【0090】
走行設定制御部79は、走行制御状態が渋滞時レベル3である場合(S113:YES)、渋滞把握部76による渋滞解消予測の有無を判定する(S115)。渋滞把握部76によって渋滞の解消が予測されている場合(S115:YES)、走行設定制御部79は、エリアレベル3の自律走行制御に紐づく目標車間時間を設定する(S114)。一方、渋滞の解消が予測されていない場合(S115:NO)、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3の自律走行制御に紐づく目標車間時間を設定する(S116)。
【0091】
走行設定制御部79は、運転支援制御(レベル2以下)、渋滞時レベル3及びエリアレベル3の自律走行制御の各車間距離VDの大小関係を、複数(例えば、4つ)の制御パターン(
図7参照)のうちで切り替えることができる。
【0092】
制御パターン1では、渋滞時レベル3の自律走行制御に紐づく車間距離VDが最も狭くされ、エリアレベル3の自律走行制御に紐づく車間距離VDが最も広くされる。制御パターン1では、レベル2以下の運転支援制御に紐づく車間距離VDは、渋滞時レベル3よりも広くされ、かつ、エリアレベル3よりも狭くされる。
【0093】
制御パターン2では、渋滞時レベル3及びエリアレベル3に紐づく車間距離VDが実質同一とされる。そして、レベル2以下の運転支援制御に紐づく車間距離VDは、レベル3以上の自律走行制御に紐づく車間距離VDよりも広くされる。
【0094】
制御パターン3では、渋滞時レベル3の自律走行制御に紐づく車間距離VDが、エリアレベル3の自律走行制御に紐づく車間距離VDよりも狭くされる。そして、レベル2以下の運転支援制御に紐づく車間距離VDは、エリアレベル3の自律走行制御に紐づく車間距離VDと実質同一とされる。
【0095】
制御パターン4では、レベル2以下の運転支援制御に紐づく車間距離VDは、レベル3以上の自律走行制御に紐づく車間距離VDよりも狭くされる。一方、渋滞時レベル3及びエリアレベル3に紐づく車間距離VDは、実質同一とされる。
【0096】
制御実行部64は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、走行制御ECU40との連携により、行動判断部63にて生成された予定走行ラインに従って、自車両Amの加減速制御及び操舵制御等を実行する。具体的に、制御実行部64は、予定走行ラインに基づく制御指令を生成し、生成した制御指令を走行制御ECU40へ向けて逐次出力する。
【0097】
ここまで説明した走行制御状態の切り替えが自動運転システム50によって実施されると、HMIシステム10は、走行制御状態の切り替えに関連する報知を実施する。詳記すると、HCU100は、移行完了報知及び車間距離変更報知等を、走行制御状態の移行に同期して実施する。
【0098】
移行完了報知は、走行制御状態の移行完了をドライバに知らせる情報提示である。移行完了報知は、例えば走行制御状態の移行開始に基づき開始され、走行制御状態の移行が完了するまで継続される。移行完了報知は、移行開始及び移行完了をそれぞれ通知する音声メッセージの再生と、走行制御状態を示す画像の様態変更及び制御移行を示す画像の追加表示との組み合わせによって実施される。自律走行制御への移行完了報知は、セカンドタスクが実施可能になったことを示す報知としても機能する。言い替えれば、セカンドタスクについての実施可能報知が、自律走行制御への移行完了報知として実施されてもよい。
【0099】
車間距離変更報知は、走行制御状態の移行に関連した車間距離VDの設定変更をドライバに知らせる情報提示である。車間距離変更報知は、運転支援制御から自律走行制御へと移行するシーン、又は自律走行制御から運転支援制御へと移行するシーンにおいて、車間距離VDの設定が変更する場合に実施され、車間距離VDが変わることをドライバに示す。車間距離変更報知は、移行完了報知と併行して実施されてもよい。車間距離変更報知は、例えば走行設定制御部79による車間距離VDの設定変更に基づき開始される。車間距離変更報知は、所定時間の経過によって終了されてもよく、又は車間距離VDの調整が完了するまで継続されてもよい。自動運転システム50にて追従走行制御が実施されている場合、提示制御部88は、メータディスプレイ21及びHUD23の少なくとも一方により、車間距離VDの現在の設定状況を示す車間ステータス画像Pdsを表示させている。こうした車間ステータス画像Pdsの表示に加えて、音声メッセージの再生又は画像の追加表示を行うことにより、車間距離VDが調整中であること又は車間距離VDの調整が完了したことを示す情報提示が、車間距離変更報知として実施される。
【0100】
以上の移行完了報知及び車間距離変更報知等を実施するため、HCU100は、自動運転システム50での自動運転機能の起動を把握すると、報知実行処理(
図8参照)を開始する。HCU100は、自動運転機能の停止まで、報知実行処理を繰り返す。
【0101】
報知実行処理にて、情報取得部81は、移行完了報知又は車間距離変更報知の実施要求の受信を待機する(S11)。提示制御部88は、情報取得部81にて実施要求が取得された場合(S11:YES)、取得した実施要求に紐づく報知を実施する(S12)。尚、上述したように、切替情報又は車間変更情報が、各報知の実施要求として情報取得部81に提供されてもよい。提示制御部88は、切替情報又は車間変更情報をトリガとして、移行完了報知又は車間距離変更報知を開始可能である。
【0102】
次に、制御切替部78による走行制御状態の切り替えに伴い、走行設定制御部79にて追従走行制御の車間距離VDの設定が変更される複数のシーン1~3の詳細を、
図9~
図11に基づき、
図1~
図4及び
図7を参照しつつ、以下説明する。
【0103】
<シーン1:運転支援制御及び自律走行制御の間での制御移行/制御パターン4>
図9に示すシーン1では、制御パターン4(
図7参照)の車間距離設定が採用されている。走行設定制御部79は、レベル2以下の運転支援制御よりも、レベル3以上の自律走行制御における車間距離VDを広く設定する。シーン1では、制限付き許可エリアSeD内での渋滞への突入が渋滞把握部76にて把握されると(時刻t1)、制御切替部78は、渋滞時レベル3への移行を許可する。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求に基づき、渋滞への突入を報知する。シーン1における渋滞への突入報知は、レベル3の自律走行制御が使用可能になったことの通知としても機能する。
【0104】
渋滞時レベル3の使用が可能となった後、レベル3移行操作が入力把握部71によって把握されると(時刻t2)、走行設定制御部79は、車間距離VDを広くする設定に変更する(時刻t3)。具体的に、走行設定制御部79は、運転支援制御に紐づく目標車間時間から、自律走行制御に紐づく目標車間時間への設定変更を実施する。その結果、車間距離VDを拡大させる車速制御が開始される。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求又は車間変更情報に基づき、車間距離VDを広げる変更を示す車間距離変更報知を実施する。
【0105】
制御切替部78は、走行設定制御部79によって車間距離VDが変更された後に、運転支援制御から渋滞時レベル3の自律走行制御へと走行制御状態を切り替える(時刻t4)。運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行する場合、報知要求部73は、車間距離VDの変更後に移行完了が報知されるように、実施要求を出力する。こうした報知要求の取得に基づき、提示制御部88は、車間距離VDの変更後に、レベル3の自律走行制御への移行完了を示す移行完了報知を実施する。
【0106】
制御切替部78は、許可エリアSeA内にて自車周囲の渋滞解消が把握されると、渋滞時レベル3からエリアレベル3へと走行制御状態を切り替える(時刻t5)。シーン1では、渋滞時レベル3及びエリアレベル3の各車間距離VDが同一の設定である。故に、渋滞時レベル3からエリアレベル3への移行に伴う車間距離VDの変更及び制御移行に関連する報知は、共に実施されない。
【0107】
道路情報把握部75にて許可エリアSeAからの退出予定が把握されると、提示制御部88は、報知要求部73からの報知要求又は退出予定情報に基づき、自律走行制御の終了を予告する(時刻t6)。さらに、提示制御部88は、自律走行制御の終了予告に続けて、車間距離VDの変更予告を実施する(時刻t7)。以上の自律走行制御の終了予告及び車間距離VDの変更予告は、音声メッセージの再生及び画像の追加表示等によって実施される。
【0108】
制御切替部78は、自車両Amが許可エリアSeAからの退出(時刻t9)以前に、エリアレベル3の自律走行制御から運転支援制御に走行制御状態を切り替える(時刻t8)。走行設定制御部79は、制御切替部78による走行制御状態の移行に合わせて、車間距離VDの設定を変更し、許可エリアSeA内を走行中に、車間距離VDが狭くなる設定に変更する。提示制御部88は、制御切替部78から取得する報知要求に基づき、レベル2の運転支援制御への移行完了報知と、車間距離変更報知とを実施する。この場合、移行完了報知及び車間距離変更報知は、併行実施されてもよく、順次実施されてもよい。
【0109】
<シーン2:エリアレベル3から渋滞時レベル3への制御移行/制御パターン1,3>
図10に示すシーン2では、制御パターン1又は3(
図7参照)の車間距離設定が採用されている。走行設定制御部79は、エリアレベル3よりも渋滞時レベル3における車間距離VDを狭く設定する。シーン2では、許可エリアSeA内での渋滞への突入が渋滞把握部76にて把握されると(時刻t1)、制御切替部78は、エリアレベル3から渋滞時レベル3へと走行制御状態を移行させる。
【0110】
報知要求部73は、走行制御状態の移行に基づき、HCU100へ向けて報知要求を出力する。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求に基づき、渋滞への突入を報知する。シーン2における渋滞への突入報知は、エリアレベル3から渋滞時レベル3への制御移行報知としても機能する。
【0111】
走行設定制御部79は、制御切替部78によってエリアレベル3から渋滞時レベル3に走行制御状態が移行される場合、渋滞時レベル3への移行完了後に、車間距離VDが狭くなる設定に変更する(時刻t2)。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求に基づき、走行設定制御部79による車間距離VDの設定変更に合わせて、車間距離VDが狭くなることを示す車間距離変更報知を実施する。
【0112】
<シーン3:運転支援制御及び渋滞時レベル3間での制御移行/制御パターン1~3>
図11に示すシーン3では、制御パターン1~3(
図7参照)のいずれかの車間距離設定が採用されている。走行設定制御部79は、レベル2以下の運転支援制御よりも、渋滞時レベル3における車間距離VDを狭く設定する。シーン3では、制限付き許可エリアSeD内での渋滞への突入が渋滞把握部76にて把握されると(時刻t1)、制御切替部78は、渋滞時レベル3への移行を許可する。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求に基づき、渋滞への突入を報知する。シーン3における渋滞への突入報知は、レベル3の自律走行制御が使用可能になったことを示す通知としても機能する。
【0113】
渋滞時レベル3の使用が可能となった後、レベル3移行操作が入力把握部71によって把握されると(時刻t2)、制御切替部78は、運転支援制御から渋滞時レベル3の自律走行制御へと走行制御状態を切り替える(時刻t3)。制御パターン1~3では、運転支援制御による走行中に渋滞が把握され、運転支援制御から渋滞時レベル3に走行制御状態が移行される場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3への移行が完了するまで車間距離VDの設定を維持する。提示制御部88は、報知要求部73からの報知要求又は切替情報の取得に基づき、渋滞時レベル3への移行完了を示す移行完了報知を実施する。
【0114】
走行設定制御部79は、運転支援制御から渋滞時レベル3への移行が完了した後、所定時間が経過したことに基づき、車間距離VDを狭くする設定に変更する(時刻t4)。渋滞時レベル3への移行後に車間距離VDの設定が変更される場合、提示制御部88による車間距離変更報知は中止される。但し、車間ステータス画像Pds(
図3参照)によって示される設定車間は、車間距離VDの設定変更に伴って、変更されてよい。
【0115】
渋滞時レベル3による走行中に渋滞把握部76によって渋滞の解消が予測された場合、提示制御部88は、報知要求部73による報知要求に基づき、渋滞時レベル3の終了を予告する(時刻t5)。加えて、走行設定制御部79は、渋滞解消予測に基づき、渋滞時レベル3の継続中に車間距離VDが広くなる設定に変更する(時刻t6)。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求又は車間変更情報に基づき、車間距離VDが広くなることを示す車間距離変更報知を実施する。
【0116】
制御切替部78は、走行設定制御部79による車間距離VDの変更完了後、渋滞把握部76によって渋滞解消が判定される(時刻t8)以前に、渋滞時レベル3から運転支援制御へと走行制御状態を切り替える(時刻t7)。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求に基づき、走行制御状態の切り替えに合わせて、運転支援制御への移行完了を報知する。
【0117】
<走行環境に応じた車間距離の変更>
走行設定制御部79は、レベル3以上の自律走行制御による追従走行を行う場合、追従対象車両Atまでの車間距離VDの設定を、環境認識部62にて認識される走行環境に応じて変更する。走行設定制御部79は、車間調整処理(
図12参照)の実施により、追従対象車両Atまでの車間距離VDを、自律走行制御(エリアレベル3)に紐づく通常の車間距離VDに対して増減させる。車間調整処理は、例えばエリアレベル3への走行制御状態の切り替えに基づき開始され、エリアレベル3が終了されるまで継続的に繰り返される。
【0118】
車間調整処理では、まず環境認識部62による自車周囲の走行環境の認識が実施され、る(S131)。走行設定制御部79は、環境認識部62にて認識された走行環境に基づき、自車両Amの進行方向に合流地点が存在するか否かを判定する(S132)。自車両Amの進行方向に合流地点の存在が把握された場合(S132:YES)、走行設定制御部79は、車間距離VDが広くなる設定に変更する(S133)。
【0119】
一方、合流地点の存在が把握されない場合(S132:NO)、走行設定制御部79は、環境認識部62にて認識された走行環境に基づき、追従対象車両Atが大型車両か否かをさらに判定する(S134)。追従対象車両Atとなる大型車両の存在が把握された場合、(S134:YES)、走行設定制御部79は、車間距離VDが狭くなる設定に変更する(S136)。
【0120】
さらに、大型車両の存在が把握されない場合(S134:NO)、走行設定制御部79は、環境認識部62にて認識された走行環境に基づき、自車レーンLnsの特性を把握する(S135)。具体的に、走行設定制御部79は、低速レーンを走行中か否かを判定する。自車両Amが追越レーンLnp(
図4参照)等を走行している場合、走行設定制御部79は、低速レーンを走行中ではないと判定し(S135:NO)、車間距離VDが狭くなる設定に変更する(S136)。対して、自車両Amが通常の走行レーンLnt(
図4参照)や登坂レーン等を走行しいている場合、走行設定制御部79は、低速レーンを走行中であると判定し(S135:YES)、エリアレベル3に紐づく通常の車間距離VDに設定する(S137)。
【0121】
以上によれば、自車レーンLnsが追越レーンLnpである場合、自車レーンLnsが追越レーンLnpでない場合よりも車間距離VDが狭くなる設定に変更される。また、隣接レーンLnaを走行する並走車両ALの走行速度が自車両Amの走行速度よりも高い場合、並走車両ALの走行速度が自車両Amの走行速度よりも低い場合に対し、車間距離VDが広くなる設定に変更される。
【0122】
<自車両の再発進タイミングの報知>
自動運転システム50による追従走行制御では、例えば渋滞中を走行するシーン等にて追従対象車両Atが一時的に停止した場合、自車両Amも、追従対象車両Atとの車間距離VDを確保しつつ停止する。こうしたシーンにおいて、行動判断部63は、自車両Amの再発進を制御する再発進制御処理(
図13参照)を開始する。
【0123】
再発進制御処理では、他車両把握部74によって把握される追従対象車両Atの検出情報に基づき、行動判断部63は、追従対象車両Atが発進したか否かを判定する(S151,S152)。追従対象車両Atの発進が把握されると(S152:YES)、行動判断部63は、自車両Amの発進タイミングを設定する(S153)。発進タイミングは、追従対象車両Atの発進後の経過時間(車間時間)を用いて設定されてもよく、又は自車両Amから追従対象車両Atまでの車間距離VDを用いて設定されてもよい。行動判断部63は、発進タイミングを示す発進制御情報を、報知要求部73を通じてHCU100に提供する(S154)。行動判断部63は、発進タイミングとなるのを待機し(S155)、発進タイミングとなったことに基づき(S155:YES)、自車両Amを再発進させる(S156)。
【0124】
以上の再発進シーンにて、HCU100は、自車両Amの発進タイミングに関する追従再発進報知を実施する。再発進報知は、例えば追従対象車両Atが動き始めた後、車間距離VDが数メートル(例えば、3メートル)程度となったタイミングで、音声メッセージの再生又は報知画像の表示等によって単発的に実施される。HCU100は、追従走行制御が動作している状態下、自車両Amの停止を把握すると、再発進報知処理(
図14参照)を開始する。再発進報知処理では、発進タイミングを示す発進制御情報の取得が待機される(S51)。この発進制御情報が情報取得部81によって取得されると(S51:YES)、提示制御部88は、発進制御情報の示す発進タイミングに基づき、追従再発進報知の開始タイミングを設定する。そして、提示制御部88は、報知開始タイミングとなったことに基づき(S52:YES)、追従対象車両Atの発進後に、追従再発進報知を実施する(S53)。
【0125】
ここまで説明した第一実施形態では、運転支援制御から自律走行制御へと走行制御状態が移行する場合、車間距離VDが変更された後に、自律走行制御への移行完了を示す移行完了報知が行われる。これにより、ドライバが周辺監視を継続しているうちに、車間距離VDが変更される。その結果、車間距離VDを変更する過程をドライバが把握し易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0126】
加えて第一実施形態では、走行設定制御部79によって車間距離VDが変更された後に、制御切替部78は、運転支援制御から自律走行制御へと走行制御状態を切り替える。以上によれば、車間距離VDの変更は、ドライバによる周辺監視義務のある状態下で完了され得る。その結果、自車周囲を見ていないドライバが車間距離VDの設定変更に対して不安を覚える事態は、発生し難くなる。
【0127】
また第一実施形態では、自律走行制御によって渋滞中を走行する場合の車間距離VDが、運転支援制御によって渋滞中を走行する場合の車間距離VDよりも狭い設定とされる。故に、周辺監視義務のない渋滞走行のシーンでは、自車両Amと追従対象車両Atとの間に他車両が割り込み難くなる。以上によれば、他車両の割り込みに起因して自律走行制御が終了される事態は、発生し難くなる。その結果、周辺監視義務のない状態が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0128】
さらに第一実施形態では、制御切替部78によってエリアレベル3から渋滞時レベル3に走行制御状態が移行される場合、走行設定制御部79は、車間距離VDが狭くなる設定に変更する。故に、渋滞時レベル3の自律走行制御が行われるシーンでは、自車両Amの前方への他車両の割り込みが発生し難くなる。その結果、周辺監視義務のない状態が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0129】
加えて第一実施形態では、制御切替部78によってエリアレベル3から渋滞時レベル3に走行制御状態が移行される場合、報知要求部73は、HMIシステム10によって車間距離変更報知を行わせる。故に、ドライバは、自車周囲を見ていなくても、車間距離変更報知を通じて車間距離VDの設定変更を認識できる。
【0130】
また第一実施形態では、運転支援制御による走行中に渋滞が把握され、運転支援制御から渋滞時レベル3へと走行制御状態が移行される場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3への移行が完了するまで、車間距離VDの設定を維持する。以上によれば、渋滞への突入に伴う急激な車間距離VDの変更が生じなくなるため、自動運転に対するドライバの不安が軽減され得る。
【0131】
さらに第一実施形態では、運転支援制御から渋滞時レベル3への移行完了後、所定時間が経過したことに基づき、走行設定制御部79は、車間距離VDが狭くなる設定に変更する。以上によれば、車間距離VDを狭くする調整は、渋滞への突入後、自車両Amの速度が十分に低下した状態で行われるようになり、自車周囲を見ていないドライバに認識され難くなる。その結果、ドライバは、車間距離VDの変更を意識することなく、セカンドタスクを快適に実施できる。
【0132】
加えて第一実施形態では、運転支援制御から渋滞時レベル3へと走行制御状態が移行される場合、渋滞時レベル3から運転支援制御への移行時に実施されるような車間距離変更報知は、実施されなくなる。故に、車間距離VDを狭くする調整は、ドライバにいっそう認識され難くなる。その結果、ドライバは、自律走行制御によって走行する自動運転期間を快適に過ごすことが可能になる。
【0133】
また第一実施形態では、自車両Amの周囲に生じている渋滞の解消が渋滞把握部76によって予測される。そして、渋滞時レベル3での走行中に渋滞の解消が予測された場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3の継続中に車間距離VDが広くなる設定に変更する。以上によれば、車間距離VDを広げる調整が低速走行時に実施されるため、車間距離VDの調整に伴う挙動変化は、ドライバに認識され難くなる。その結果、自動運転に対するドライバの不安が軽減され得る。
【0134】
さらに第一実施形態では、周辺監視義務のある運転支援制御から周辺監視義務のない自動運転制御へと走行制御状態が移行するとき、車間距離VDが変更される場合に、車間距離VDの変化を示す車間距離変更報知が実施される。故に、車間距離VDの変化する過程をドライバが把握し易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0135】
加えて第一実施形態では、自車両Amから追従対象車両Atまでの車間距離VDの設定が、自車両Amの周囲の状況又は自車レーンLnsの特性に応じて変更される。故に、自車両Amの前方への他車両の割り込みを抑制させるか、又は他車両の円滑な割り込みを支援することが可能になる。以上によれば、他車両の割り込みに起因して周辺監視義務のない自律走行制御が終了される事態は、発生し難くなる。その結果、周辺監視義務のない走行状態が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0136】
また第一実施形態では、自車両Amの進行方向に合流地点の存在が把握された場合、走行設定制御部79は、車間距離VDが広くなる設定に変更する。故に、合流地点にて他車両が自車両Amの前方に割り込むシーンでも、自動運転ECU50bは、自律走行制御を円滑に継続できる。したがって、自動運転の利便性がいっそう向上する。
【0137】
さらに第一実施形態では、追従対象車両Atとなる大型車両の存在が把握された場合、走行設定制御部79は、車間距離VDが狭くなる設定に変更する。以上によれば、自車両Amの空気抵抗が大型車両によって減少するため、自車両Amの燃費又は電費を改善することが可能になる。
【0138】
加えて第一実施形態の道路情報把握部75は、自車レーンLnsの特性として、自車レーンLnsが追越レーンLnpであるか否かを把握する。そして、自車レーンLnsが追越レーンLnpである場合、自車レーンLnsが追越レーンLnpでない場合よりも、車間距離VDが狭く設定される。以上のように、追越レーンLnpを走行中の車間距離VDが狭くされれば、自車両Amの前方への他車両の割り込みが困難となる。その結果、自律走行制御が円滑に継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0139】
加えて第一実施形態の道路情報把握部75は、隣接レーンLnaを走行する並走車両ALの走行速度が自車両Amの走行速度よりも高いか否かを、自車レーンLnsの特性として把握する。そして、走行設定制御部79は、並走車両ALの走行速度が自車両Amの走行速度よりも高い場合、並走車両ALの走行速度が自車両Amの走行速度よりも低い場合に対し、車間距離VDが広くなる設定に変更する。一般に、走行速度の低い低速レーンを走行する場合、隣接レーンLnaからの並走車両ALの強引な割り込みは、発生し難くなる。故に、低速レーンを走行中に車間距離VDを広く確保し、追従対象車両Atに自車両Amを穏やかに追従させる制御とすれば、自動運転の快適性、ひいては利便性を高めることが可能になる。
【0140】
また第一実施形態では、周辺監視義務のない自律走行制御によって走行中、追従対象車両Atと共に自車両Amが停止した場合、自車両Amの発進タイミングに関する追従再発進報知が、追従対象車両Atの発進後に行われる。故に、追従対象車両Atが発進した後、自車両Amが発進するまでの間に、車間距離VDが一時的に広く空いたとしても、ドライバは、自車両Amの発進予定を把握できるため、広がった車間距離VDに対し違和感を覚え難くなる。こうした違和感の低減が報知によって実現されれば、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0141】
さらに第一実施形態では、自車両Amの周囲が渋滞している場合の車間距離VDは、自車両Amの周囲が渋滞していない場合の車間距離VDよりも狭く設定される(
図7 制御パターン1,3参照)。故に、自車周囲の渋滞が継続する場合、自車両Amの前方への他車両の割り込みは、発生し難くなる。その結果、周辺監視義務のない自律走行制御が継続され易くなるので、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0142】
尚、上記第一実施形態では、並走車両ALが「他車両」に相当し、許可エリアSeAが「特定エリア」に相当し、HMIシステム10が「情報提示装置」に相当し、自動運転ECU50bが「自動運転制御装置」に相当する。また、報知要求部73及び提示制御部88それぞれが「報知制御部」に相当し、道路情報把握部75が「レーン把握部」に相当し、走行設定制御部79が「車間制御部」に相当し、HCU100が「提示制御装置」に相当する。
【0143】
(第二実施形態)
図1~
図3及び
図15及び
図16に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、制限付き許可エリアSeD内にて自車両Amが渋滞に突入するシーン1(
図15参照)での報知の様態が、第一実施形態(
図9参照)とは異なっている。以下、第二実施形態のシーン1における制御及び報知の詳細を説明する。
【0144】
自車両Amが渋滞に突入した後(時刻t1)、レベル3移行操作が入力把握部71によって把握されると(時刻t2)、制御切替部78は、運転支援制御から渋滞時レベル3の自律走行制御へと走行制御状態を切り替える(時刻t3)。走行設定制御部79は、制御切替部78によって渋滞時レベル3に走行制御状態が切り替えられた後に、車間距離VDを変更する(時刻t4)。以上のように、運転支援制御に紐づく設定車間から渋滞時レベル3に紐づく設定車間へと切り替える場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3への移行と同時に車間距離VDの変化を開始させない。走行設定制御部79は、渋滞時レベル3への移行後に追従対象車両Atへの追従に合わせて、徐々に車間距離VDを広げる調整を実施する(時刻t4~t5)。加えて、車間距離変更報知は、車間距離VDを広げる調整に合わせて、渋滞時レベル3への移行後に実施される(時刻t4)。
【0145】
さらに、渋滞時レベル3への移行完了報知は、走行制御状態の切り替え時ではなく、車間距離VDの変更後に実施される。HCU100は、報知実行処理(
図16参照)にて、運転支援制御から渋滞時レベル3への移行を示す切替情報に加えて、車間距離VDの変更完了を示す車間変更情報の取得を待機する。提示制御部88は、情報取得部81によって切替情報が取得された後(S211:YES)、さらに車間変更情報が取得された場合(S212:YES)に、渋滞時レベル3への移行完了を示す移行完了報知を実施する(S213)。以上により、渋滞時レベル3への制御移行後、車間距離VDの設定変更を示す車間距離変更報知に続いて、移行完了報知が実施される(時刻t5)。
【0146】
ここまで説明した第二実施形態でも、車間距離VDが変更された後に、走行制御状態の移行完了を示す移行完了報知が行われる。その結果、第一実施形態と同様の効果を奏し、車間距離VDを変更する過程をドライバが把握し易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0147】
加えて第二実施形態では、運転支援制御から渋滞時レベル3の自律走行制御に走行制御状態が切り替えられた後に、車間距離VDが変更される。このとき走行設定制御部79は、車間距離VDの設定変更が車両挙動からは感じられないように、車間距離VDをゆっくりと変化させる。仮に、渋滞時レベル3への移行と同時に急に車間距離VDの変化が開始されてしまうと、ドライバは不安を感じ易くなる。こうした事態回避のため、走行設定制御部79は、周辺監視義務のない走行制御状態に移行した後に車間距離VDを徐々に拡大させる。その結果、ドライバは、車間距離VDの設定が変わったことを車両挙動から感じ取り難くなる。よって、自律走行制御に対するドライバの安心感が高まり得る。
【0148】
また第二実施形態において、車間距離VDの設定変更を示す車間距離変更報知は、上述した走行設定制御部79の車間制御に合わせて、自律走行制御(渋滞時レベル3)への移行後に実施される。故に、ドライバは、車間距離VDの設定変更をより確実に把握し得るため、車両挙動から車間距離VDの変更を感じ取ったとしても、不安を感じ難くなる。
【0149】
(第三実施形態)
図1~
図4及び
図17~
図19に示す本開示の第三実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態では、周辺監視センサ30の情報を用いた自律走行制御が実施される場合に、周辺監視センサ30による自車周囲の検出が容易となるように、追従走行制御における設定車間が調整される。具体的に、走行設定制御部79は、走行制御状態に応じて車間設定を切り替える車間設定処理(
図17参照)に加えて、自律走行制御での車間設定を変更する車間調整処理(
図18参照)を実施する。以下、第三実施形態にて実施される車間設定処理及び車間調整処理の各詳細を、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0150】
走行設定制御部79は、
図17に示す車間設定処理にて、現在の走行制御状態についての周辺監義務の有無を判定する(S311)。走行設定制御部79は、周辺監視義務のある走行制御状態であると判定した場合(S311:YES)、実施中の運転支援制御におけるステアリングホイールの把持義務の有無を判定する(S312)。
【0151】
走行設定制御部79は、ステアリングホイールの把持義務のある運転支援制御(以下、ハンズオン制御)が実施中である場合(S312:YES)、ハンズオン制御に紐づく目標車間時間を設定する(S313)。ハンズオン制御は、例えば非渋滞時及び自律走行制御の解除直後等のシーンにおいて実施される。
【0152】
走行設定制御部79は、ステアリングホイールの把持義務のない運転支援制御(以下、ハンズオフ制御)が実施中である場合(S312:NO)、走行設定制御部79は、ハンズオフ制御に紐づく目標車間時間を設定する(S314)。ハンズオフ制御は、不許可エリアSeX(
図9参照)での渋滞走行のシーンにおいて実施される。走行設定制御部79は、ハンズオン制御における車間距離VDがハンズオフ制御における車間距離VDよりも広くなるように、各制御に紐づく目標車間時間を設定する。即ち、ハンズオン制御に紐づく目標車間時間は、ハンズオフ制御に紐づく目標車間時間よりも長い設定とされる。
【0153】
走行設定制御部79は、周辺監視義務のない走行制御状態であると判定した場合(S311:NO)、自律走行制御の制御モードを判別し、渋滞時レベル3が実施中か否かを判定する(S315)。実施中の自律走行制御が渋滞時レベル3である場合(S315:YES)、走行設定制御部79は、渋滞把握部76による渋滞解消予測の有無を判定する(S316)。渋滞解消予測がない場合(S316:NO)、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3における車間制御の切替条件が成立したか否かを判定する(S317)。一方、渋滞解消予測がある場合(S316:YES)、又は実施中の自律走行制御がエリアレベル3である場合(S315:NO)、走行設定制御部79は、エリアレベル3における車間制御の切替条件が成立したか否かを判定する(S318)。
【0154】
走行設定制御部79は、渋滞時レベル3及びエリアレベル3のそれぞれにおいて、切替条件の成立に基づき、自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定を切り替える。具体的に、走行設定制御部79は、基準となる第1設定車間と、周辺監視センサ30による自車周囲の検出が第1設定車間よりも容易になる第2設定車間との間で、車間距離VDの設定を切り替える。第1設定車間は、予め設定された固定値(一定距離又は一定車間時間)であり、例えば運転支援制御において用いられる車間時間に近似した値とされる。対して、第2設定車間は、後述する車間調整処理(
図18参照)に基づき、自車両Amの状況に応じて変更される変動値とされる。
【0155】
切替条件は、制御状態の切り替え後の経過時間、自車両Amの車速変化、及び周辺監視センサ30の検出環境の悪化等に関連付けて、設定されている。例えば、雨、雪及び霧等の天候の悪化、又は朝日及び西日等の強い太陽光の入射等が環境認識部62にて認識されている場合に、走行設定制御部79は、検出環境が悪化していると判定する。加えて走行設定制御部79は、夜間及びトンネル内の走行時においても、検出環境が悪化していると判定する。
【0156】
走行設定制御部79は、渋滞時レベル3の開始直後、又は周辺監視センサ30の検出環境が良好な状況において、渋滞時レベル3の切替条件が不成立であると判定する(S317:NO)。この場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3に紐づく第1設定車間(以下、渋滞制御用第1車間)に基づいて、追従走行制御での車間距離VDを制御する(S319)。対して、渋滞時レベル3の開始から所定時間(例えば、数十秒程度)が経過しており、かつ、周辺監視センサ30の検出環境が悪化していると判定した場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3の切替条件が成立したと判定する(S317:YES)。この場合、走行設定制御部79は、渋滞時レベル3に紐づく第2設定車間(以下、渋滞制御用第2車間)に基づいて、追従走行制御での車間距離VDを制御する(S320)。渋滞制御用第1車間から渋滞制御用第2車間への設定の切り替えによれば、自車両Amは、追従対象車両Atまでの車間距離VDを広げる方向に相対移動する。
【0157】
走行設定制御部79は、エリアレベル3の開始直後、又は周辺監視センサ30の検出環境が良好な状況において、エリアレベル3の切替条件が不成立であると判定する(S318:NO)。この場合、走行設定制御部79は、エリアレベル3に紐づく第1設定車間(以下、エリア制御用第1車間)に基づいて、追従走行制御での車間距離VDを制御する(S321)。エリア制御用第1設定車間は、渋滞制御用第1設定車間よりも、車間距離VDを広げる設定とされている。
【0158】
対して、エリアレベル3の開始から所定時間(例えば、数十秒程度)が経過しており、かつ、周辺監視センサ30の検出環境が悪化していると判定した場合、走行設定制御部79は、エリアレベル3の切替条件が成立したと判定する(S318:YES)。走行設定制御部79は、エリアレベル3の開始から所定時間が経過しており、かつ、自車両Amの車速が所定値(例えば、30km/h)未満である場合にも、エリアレベル3の切替条件が成立したと判定する。これらの場合、走行設定制御部79は、エリアレベル3に紐づく第2設定車間(エリア制御用第2車間)に基づいて、追従走行制御での車間距離VDを制御する(S322)。エリア制御用第1車間からエリア制御用第2車間への設定の切り替えによれば、自車両Amは、追従対象車両Atまでの車間距離VDを狭くする方向に相対移動する。
【0159】
走行設定制御部79は、車間設定処理にて切替条件の成立を判定した場合(S317又はS318:YES)に、
図18に示す車間調整処理を開始する。走行設定制御部79は、環境認識部62による走行環境の認識の状況を把握し(S331)、周辺監視センサ30のうちで特にカメラユニット31を優先し、カメラユニット31による検出が良好に実施可能な状態であるか否かを診断する。
【0160】
具体的に、走行設定制御部79は、カメラユニット31に生じた汚れ又は故障等の障害が環境認識部62によって把握されているか否かを判定する(S332)。走行設定制御部79は、カメラユニット31の汚れ等が把握されている場合(S332:YES)、車間距離VDを狭める調整を実施する(S334)。このように、走行設定制御部79は、カメラユニット31の障害が把握されている場合、カメラユニット31の障害が把握されていない場合よりも、第2設定車間を狭くする。渋滞時レベル3の自律走行制御が実施されている場合、走行設定制御部79は、例えば第1車間設定(
図17 S319参照)と同程度の車間距離VD、又は第1車間設定よりも僅かに広い車間距離VDとなるように、第2設定車間を調整する。
【0161】
走行設定制御部79は、カメラユニット31に汚れが生じていない場合(S332:NO)、環境認識部62の認識状況を参照し、カメラユニット31の検出遮蔽物が存在しているか否かを判定する(S333)。環境認識部62は、カメラユニット31の検出が追従対象車両Atによって妨げられているか否かを判断する。環境認識部62は、カメラユニット31によって撮像される前方画像において、自車レーンLnsを区画する区画線の長さが所定値以下である場合、又は追従対象車両Atのサイズが所定サイズを超える場合に、検出が妨げられていると判定する。加えて環境認識部62は、カメラユニット31によって検出される情報(前方画像)に基づき、追従対象車両Atの種別を把握する。環境認識部62は、追従対象車両Atの種別が大型車両である場合、カメラユニット31の検出が妨げられていると判定する。
【0162】
走行設定制御部79は、環境認識部62にてカメラユニット31の検出が追従対象車両Atによって妨げられていないと判断されている場合、検出遮蔽物が存在していないと判定する(S333:NO)。この場合、走行設定制御部79は、通常の第2設定車間に基づく車間制御を実施する(S335)。
【0163】
一方、環境認識部62にてカメラユニット31の検出が追従対象車両Atによって妨げられていると判断されている場合、走行設定制御部79は、検出遮蔽物が存在していると判定する(S333:YES)。この場合、走行設定制御部79は、車間距離VDを広げる調整を実施し(S336)、カメラユニット31の検出が追従対象車両Atによって妨げられていないと判断された場合よりも、第2設定車間を広くする。エリアレベル3の自律走行制御が実施されている場合、走行設定制御部79は、例えば第1車間設定(
図17 S321参照)と同程度の車間距離VD、又は第1車間設定よりも僅かに狭い車間距離VDとなるように、第2設定車間を調整する。以上により、走行設定制御部79は、カメラユニット31による検出を優先し、前方の追従対象車両Atの車種等に応じて第2設定車間の制御量を変化させ、カメラユニット31が前方を確認し易い位置に自車両Amを移動させる。
【0164】
次に、ここまで説明した車間設定制御及び車間調整制御によって追従走行制御の車間距離VDの設定が変更されるシーンの一例を、
図19に基づき、
図1,
図4,
図17及び
図18を参照しつつ、以下説明する。
【0165】
図19に示すシーンにおいて、自車両Amは、制限付き許可エリアSeDを走行している。制御切替部78は、制限付き許可エリアSeD内での渋滞への突入が渋滞把握部76にて把握されると(時刻t1)、渋滞時レベル3への移行を許可する。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求に基づき、渋滞突入報知を実施させ、渋滞時レベル3の自律走行制御が使用可能になったことをドライバに通知する。
【0166】
走行設定制御部79は、渋滞突入報知に応じて入力されるレベル3移行操作が入力把握部71によって把握されると(時刻t2)、車間距離VDを広くする設定に変更する(時刻t3)。提示制御部88は、報知要求部73から取得する報知要求又は車間変更情報に基づき、車間距離VDを広げる変更を示す車間距離変更報知を実施する。制御切替部78は、走行設定制御部79によって車間距離VDが変更された後に、運転支援制御から渋滞時レベル3の自律走行制御へと走行制御状態を切り替える(時刻t4)。提示制御部88は、車間距離VDの変更後に出力される報知要求の取得に基づき、渋滞時レベル3の自律走行制御への移行完了を示す移行完了報知を実施する。
【0167】
走行設定制御部79は、渋滞時レベル3の開始から所定時間が経過し、かつ、例えば周辺監視センサ30の検出環境が悪化した場合、車間距離VDの設定の切替条件を成立させる(時刻t5)。走行設定制御部79は、切替条件の成立に基づき、第1設定車間から第2設定車間へと制御目標を切り替え、追従対象車両Atまでの車間距離VDの変更する(時刻t6)。一例として、20m程度であった車間距離VDは、車間設定の切り替えによって30m程度まで徐々に拡張される。
【0168】
報知要求部73は、走行設定制御部79による目標車間の設定変更に基づき、報知要求を情報取得部81へ向けて出力し、第1設定車間及び第2設定車間の切り替えに伴う車間距離VDの変更をドライバへ向けて報知させる。提示制御部88は、情報取得部81による報知要求の取得に基づき、車間距離VDを広げる変更を示す車間距離変更報知を実施する。
【0169】
さらに、渋滞時レベル3が終了となり、運転支援制御に走行制御状態が移行する場合、走行設定制御部79は、自車両Amから追従対象車両Atまでの車間距離VDの設定を変更する(
図11 時刻t6参照)。第三実施形態では、ハンズオン制御に紐づく目標車間時間と、ハンズオフ制御に紐づく目標車間時間とが異なっているため、移行後の走行制御状態がハンズオン制御かハンズオフ制御かで、移行後の車間距離VDの設定の変化具合が変わることになる。即ち、走行設定制御部79は、自律走行制御からハンズオン制御に移行する場合と、自律走行制御からハンズオフ制御に移行する場合とで、移行後における車間距離VDの設定を変更する。上述したように、ハンズオン制御に移行する場合、ハンズオフ制御に移行する場合よりも、車間距離VDが広くされる。ハンズオフ制御に移行後の車間距離VDは、自律走行制御の車間距離VDと同程度であってもよい。
【0170】
ここまで説明した第三実施形態では、車間距離VDが変更された後に、走行制御状態の移行完了を示す移行完了報知が行われる。その結果、第三実施形態でも、第一実施形態と同様の効果を奏し、車間距離VDを変更する過程をドライバが把握し易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0171】
加えて第三実施形態では、自律走行制御によって走行する自車両Amにおいて、第1設定車間から第2設定車間へと車間距離VDの設定が切り替えられることにより、周辺監視センサ30による自車周囲の検出、ひいては走行環境の認識が容易となる。その結果、周辺監視義務のない自動運転が継続され易くなるため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0172】
また第三実施形態の環境認識部62は、カメラユニット31の画角内への汚れ付着等、周辺監視センサ30に生じた障害を把握する。そして、走行設定制御部79は、周辺監視センサ30の障害が把握されている場合、周辺監視センサ30の障害が把握されていない場合よりも、第2設定車間を狭くする。こうした車間距離VDの調整によれば、カメラユニット31による自車前方の検出が容易な位置に、自車両Amは移動し得る。その結果、周辺監視義務のない自動運転は、いっそう継続され易くなる。
【0173】
さらに第三実施形態の環境認識部62は、カメラユニット31等の周辺監視センサ30の検出が追従対象車両Atによって妨げられているか否かを判断する。そして、走行設定制御部79は、周辺監視センサ30の検出が追従対象車両Atによって妨げられていると判断された場合、周辺監視センサ30の検出が追従対象車両Atによって妨げられていないと判断された場合よりも、第2設定車間を広くする。こうした車間距離VDの調整によっても、カメラユニット31による自車前方の検出が容易な位置に、自車両Amは移動し得る。したがって、周辺監視義務のない自動運転は、いっそう継続され易くなる。
【0174】
加えて第三実施形態では、許可エリアSeA内の走行に限定して実施されるエリアレベル3と、渋滞中の走行に限定して実施される渋滞時レベル3とが、自律走行制御の制御モードに含まれている。そして、走行設定制御部79には、エリアレベル3に紐づくエリア制御用第1車間と、渋滞時レベル3に紐づく渋滞制御用第1車間とが準備されている。さらに、エリア制御用第2設定車間は、エリア制御用第1車間よりも狭くされ、渋滞制御用第2設定車間は、渋滞制御用第1車間よりも広くされる。こうした各状態における車間設定の切り替えによれば、自動運転ECU50bは、自車周囲の物標との関係で、周辺監視センサ30の検出が容易となる位置に自車両Amを継続的に位置させることができる。その結果、周辺監視義務のない自動運転は、いっそう継続され易くなる。
【0175】
また第三実施形態では、周辺監視センサ30よって検出される情報に基づき追従対象車両Atの種別が把握され、第2設定車間は、追従対象車両Atの種別に応じて変更される。こうした車間制御によれば、例えば追従対象車両Atが大型車両である場合に、車間距離VDが広く確保され得る。その結果、カメラユニット31の視界が追従対象車両Atによって遮られ難くなるため、周辺監視義務のない自動運転がより継続され易くなる。
【0176】
さらに第三実施形態では、自車両Amの周囲を検出するカメラユニット31の検出が容易となるように、即ち、カメラユニット31を優先して、第2設定車間が設定される。以上によれば、カメラユニット31による検出に依存した追従走行制御が実施されていても、検出遮蔽物の存在に起因した自動運転の中断は、生じ難くなる。
【0177】
加えて第三実施形態では、第1設定車間及び第2設定車間の切り替えに伴う車間距離VDの変更がドライバへ向けて報知される。このような車間距離変更報知が実施されることで、ドライバは、車間距離VDが変化していることを認識でき、かつ、車間距離VDの変更が異常によるものでないことを把握できる。したがって、周辺監視センサ30の検出のための車間距離VDの変更がドライバに違和感を与える事態は、生じ難くなる。
【0178】
また第三実施形態では、ステアリングホイールの把持義務がドライバにあるハンズオン制御と、ステアリングホイールの把持義務がドライバにないハンズオフ制御とで、車間距離VDの設定が変更される。以上によれば、自律走行制御から運転支援制御に移行したタイミングで、ハンズオン制御及びハンズオフ制御のそれぞれに適した車間距離VDが確保され得るため、ドライバは、運転支援制御における車間距離VDに違和感を覚え難くなる。その結果、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0179】
さらに第三実施形態では、ハンズオン制御における車間距離VDが、ハンズオフ制御における車間距離VDよりも広く設定される。一般的に、ハンズオン制御が利用される速度域は、ハンズオフ制御が利用される速度域よりも高いため、ハンズオン制御にて車間距離VDを広く確保する設定によれば、ドライバに違和感を与え難い運転支援制御が実施可能となる。尚、第三実施形態では、周辺監視センサ30が「自律センサ」に相当し、カメラユニット31が「カメラ」に相当する。
【0180】
(第四実施形態)
本開示の第四実施形態は、第二実施形態の変形例である。第四実施形態では、車間距離VDの設定が走行中の道路の勾配状況に応じて調整される。加えて第四実施形態では、ドライバ入力に基づき車間距離VDの設定が変更可能とされている。以下、第四実施形態における車間距離VDの設定の詳細を、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0181】
<勾配に応じた車間調整>
道路情報把握部75は、自車両Amが走行する道路の勾配情報を把握する。道路情報把握部75は、ロケータ35から環境認識部62に逐次提供される3次元地図データに基づき、走行中の道路の勾配を推定可能である。加えて道路情報把握部75は、自車両Amに搭載された車載センサのうちで、例えば加速度センサ及びハイトセンサ等の計測情報に基づき、自車両Amが走行する道路の勾配を推定してもよい。
【0182】
走行設定制御部79は、道路情報把握部75にて把握される勾配情報に基づき、走行中の道路の勾配状況に応じて、追従走行制御における車間距離VDの設定を変化させる。走行設定制御部79は、ドライバの周辺監視義務の有無に関わらず車間距離VDの設定を調整してもよく、又はドライバに周辺監視義務のある運転支援期間に限り、勾配情報に基づく設定車間の調整を行ってもよい。
【0183】
走行設定制御部79は、勾配情報に基づき、下り勾配の道路を走行する場合に、上り勾配の道路を走行する場合及び水平な道路(平地)を走行する場合よりも、車間距離VDを広く設定する。走行設定制御部79は、道路の下り勾配が大きくなるほど、車間距離VDが段階的又は連続的に広がるように、設定車間を調整する。走行設定制御部79は、道路の下り勾配が所定の閾値を超えた場合に、車間距離VDの設定を一段階広げる調整を実施してもよい。
【0184】
<ドライバによる車間設定の調整>
運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、追従走行制御における車間距離VDの設定を、ドライバ入力に基づいて変更可能である。例えば、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、「長い(遠い)・中間・短い(近い)」等の3段階、又は「長い・やや長い・中間・やや短い・短い」等の5段階のうちで設定車間を切り替え可能である。こうした多段階の設定車間に、各走行制御状態に対応する車間距離VDの設定が紐付けられている。その結果、走行制御状態の移行に伴う車間距離VDの設定変更は、例えば5段階のうちで設定車間を自動で切り替える処理に相当する。
【0185】
走行設定制御部79は、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定が自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定よりも広い場合、運転支援制御から自律走行制御に移行しても、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定を優先する。故に、運転支援制御による走行中にドライバが設定車間を広げる操作を行った場合、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行しても、車間距離VDの設定が維持される。この場合、自律走行制御への移行前又は移行後における車間距離変更報知(
図9及び
図16参照)の実施は、省略されてよい。
【0186】
走行設定制御部79は、自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定が運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定よりも広い場合、自律走行制御から運転支援制御に移行しても、自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定を優先する。故に、自律走行制御による走行中にドライバが設定車間を広げる操作を行った場合、自律走行制御から運転支援制御に走行制御状態が移行しても、車間距離VDの設定が維持される。この場合でも、車間距離変更報知は、実施されなくてもよい。
【0187】
走行設定制御部79は、車間設定処理(
図20参照)の実施により、運転支援ECU50aと連携して、一つの走行制御状態にてドライバの嗜好に合うよう調整された設定車間を、他の走行制御状態の設定車間にも反映させる。走行設定制御部79は、第一実施形態と同様に、運転支援ECU50aによる運転支援制御の開始に基づき車間設定処理を開始し、運転支援制御がオフ状態となるまで車間設定処理を継続する。
【0188】
走行設定制御部79は、車間設定処理にて、制御切替部78による走行制御状態の移行(移行予定)の有無を把握する(S411)。走行制御状態の移行がある場合(S411:YES)、走行設定制御部79は、移行後の走行制御状態に紐づく車間距離VDの設定を読み込む(S412)。走行設定制御部79は、走行制御状態の移行により、自動運転レベルが変更になるか否か、言い替えれば、周辺監視義務の有無が変更になるか否かを判定する(S413)。自動運転レベルの変更がない場合(S413:NO)、走行設定制御部79は、移行後の走行制御状態に紐づく車間距離VDの設定を反映する(S416)。例えば、渋滞時レベル3及びエリアレベル3の一方から他方に移行する場合、又はハンズオンレベル2及びハンズオフレベル2の一方から他方に移行する場合、通常通り、設定車間の変更が実施される。
【0189】
走行設定制御部79は、自動運転レベルが変更になる場合(S413:YES)、移行前(現在)の設定車間と、移行後の設定車間とを比較する(S414)。移行前の設定車間が移行後の設定車間よりも狭い場合(S414:NO)、走行設定制御部79は、移行後の走行制御状態に紐づく車間距離VDの設定を反映する(S416)。一方、移行前の設定車間が移行後の設定車間よりも広い場合(S414:YES)、走行設定制御部79は、移行前の走行制御状態に紐づく車間距離VDの設定を維持する(S415)。このとき走行設定制御部79は、記憶部53に保持している移行後の走行制御状態に紐づく設定車間の情報を、移行前の設定車間の情報で更新してもよい。以上により、ドライバの好む車間距離VDの設定が複数の走行制御状態において共有される。
【0190】
ここまで説明した第四実施形態でも、上記各実施形態と同様の効果を奏し、自動運転の利便性が向上可能となる。具体的に、第四実施形態では、自車両Amの走行する道路の勾配情報が把握され、勾配情報に応じて車間距離VDの設定が変化する。故に、追従走行制御における自車両Amの走行位置は、ドライバを含む乗員が追従対象車両Atに対して不安を感じ難いような車間距離VDを維持するように調整され得る。以上によれば、安心感のある追従走行制御が実施され得るため、自動運転の利便性が向上可能となる。
【0191】
加えて第四実施形態では、下り勾配の道路を走行する場合、上り勾配の道路を走行する場合及び水平な道路を走行する場合よりも、車間距離VDが広く設定される。下り勾配の道路では、自車両Amの速度が上昇し易いため、乗員も不安を感じ易くなる。故に、特に下り勾配の道路において、車間距離VDを広げる制御を実施すれば、追従走行制御に対する安心感をいっそう高めることが可能になる。
【0192】
また第四実施形態では、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定が自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定よりも広い場合、運転支援制御から自律走行制御に移行しても、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定が優先される。以上によれば、自律走行制御への移行後も、ドライバに不安を抱かせ難い車間距離VDが確保され得る。
【0193】
さらに第四実施形態では、自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定が運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定よりも広い場合、自律走行制御から運転支援制御に移行しても、自律走行制御に紐づく車間距離VDの設定が優先される。以上によれば、自律走行制御が終了されても、ドライバに不安を抱かせ難い車間距離VDが確保され得る。尚、上記第四実施形態では、道路情報把握部75が「勾配把握部」に相当する。
【0194】
(第五実施形態)
本開示の第五実施形態は、第四実施形態の変形例である。第五実施形態の車間設定処理(
図21参照)にて、走行設定制御部79は、第四実施形態(
図20参照)と同様に、走行制御状態の移行予定の有無を把握する(S511)。制御移行の予定がある場合、走行設定制御部79は、移行後の走行制御状態に紐づく車間距離VDの設定を読み込む(S512)。走行設定制御部79は、把握した走行制御状態の移行がレベル2の運転支援制御からレベル3の自律走行制御への移行であるか否かを判定する(S513)。
【0195】
走行設定制御部79は、運転支援制御から自律走行制御への移行を把握した場合(S513:YES)、第四実施形態と同様に、移行前(現在)のレベル2の設定車間と、移行後となるレベル3の設定車間とを比較する(S514)。レベル2の設定車間がレベル3の設定車間よりも広い場合(S514:YES)、運転支援制御から自律走行制御に走行制御状態が移行しても、走行設定制御部79は、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定を優先する(S515)。一方、実施予定とされる走行制御状態の移行が自律走行制御から運転支援制御への移行である場合(S513:NO)、走行設定制御部79は、設定車間の比較を行わず、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定に変更する(S516)。
【0196】
以上の第五実施形態でも、第四実施形態と同様の効果を奏し、利便性の高い自動運転が実現される。具体的に、第五実施形態では、システムに運転操作の制御権を引き渡すシーンにおいて、ドライバの嗜好する車間距離VDの設定が優先適用され得る。その結果、自律走行制御への移行後も、ドライバに不安を抱かせ難い車間距離VDが確保され得る。
【0197】
加えて第五実施形態では、自律走行制御に紐づく設定車間が運転支援制御に紐づく設定車間よりも広い場合でも、自律走行制御から運転支援制御への移行に際して、走行設定制御部79は、運転支援制御に紐づく車間距離VDの設定に切り替える。故に、ドライバは、車間距離VDが変更される様子から、自動運転レベルが変化していることに確実に気づき得る。以上により、ドライバによる制御権の受け取りが円滑に実施され易くなるため、自動運転の利便性は、いっそう向上可能となる。
【0198】
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0199】
上記第四,第五実施形態のように、車間距離VDの設定がドライバによって変更可能である場合、ドライバ操作に基づく車間設定によっては、走行制御状態の切り替えに伴う車間距離VDの設定変更が、発生しないケースが生じ得る。一例として、運転支援制御での設定車間がドライバによって最も広く(長く)調整されていた場合、上記のシーン1のように運転支援制御から渋滞時レベル3へと走行制御状態が移行しても、車間距離VDを広げる調整は、実施できない。この場合、ドライバによる車間距離VDの設定を優先する処理が実施されない形態であっても、車間距離VDの設定が維持されてよい。
【0200】
各走行制御状態に紐づく車間距離VDの規定手法は、適宜変更可能である。例えば上記実施形態の変形例1では、目標車間時間に替えて、目標とする車間距離VDの値が直接的に規定される。尚、本開示において、「車間距離VDが広くなる設定に変更する」とは、走行制御状態以外の条件を同一とした場合に、車間距離VDが広くなる設定に変更することを意味する。同様に、「車間距離VDが狭くなる設定に変更する」とは、走行制御状態以外の条件を同一した場合に、車間距離VDが狭くなる設定に変更することを意味する。
【0201】
上記第三実施形態では、第2設定車間への切り替えにより、周辺監視センサ30による自車周囲の検出が第1設定車間よりも容易になるように、車間距離VDが制御されていた。こうした第2設定車間は、周辺監視センサ30(カメラユニット31)による検出が容易となるように予め設定された複数の値のうちの一つとされていた。一方で、第三実施形態の変形例2では、走行設定制御部79は、環境認識部62と連携し、カメラユニット31による検出が良好となる位置を探索するように、第2設定車間を調整する。即ち、変形例2の走行設定制御部79は、カメラユニット31による自車周囲の検出が容易になる位置を、リアルタイムに第2設定車間として設定できる。
【0202】
上記第三実施形態の変形例3では、カメラユニット31とは異なる自律センサの検出を優先するように、第2設定車間が設定される。さらに、上記第三実施形態の変形例4では、自車両Amの走行環境に応じて、検出を優先する自律センサが変更される。変形例4の走行設定制御部79は、走行環境に応じて選択した自律センサによる検出が容易となるように、第2設定車間を調整する。また、上記第三実施形態の変形例5では、自車の後方又は側方を検出する自律センサの検出が容易となるように、第2設定車間が設定される。
【0203】
上記第三実施形態の変形例6では、第2設定車間への切替条件が上記第三実施形態よりも簡素化されている。具体的に、変形例6の走行設定制御部79は、渋滞時レベル3又はエリアレベル3の開始後の経過時間が所定時間を超えたタイミングで、切替条件を成立させて、第2設定車間を用いた車間制御に移行する。さらに、走行設定制御部79は、自車両Amの車速が所定値を超えた場合に、切替条件を成立させて、第2設定車間を用いた車間制御に移行させてもよい。
【0204】
上記第三実施形態における渋滞制御用第1設定車間、渋滞制御用第2設定車間、エリア制御用第1設定車間及びエリア制御用第2設定車間の各大小関係は、適宜変更されてよい。さらに、ハンズオン制御及びハンズオフ制御にそれぞれ紐づく設定車間(目標車間時間)の大小関係も、適宜変更されてよい。
【0205】
上記実施形態の変形例7では、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各機能は、一つの自動運転ECUによって提供されている。即ち、変形例7の自動運転ECU50bには、運転支援ECU50aの機能が実装されている。
【0206】
また、上記実施形態の変形例8では、運転支援ECU50a、自動運転ECU50b及びHCU100の各機能が、一つの統合ECUによって提供されている。こうした変形例3では、統合ECUが「自動運転制御装置」及び「提示制御装置」に相当する。
【0207】
さらに、上記実施形態では、自動運転ECU50b及びHCU100が、それぞれ「自動運転制御装置」及び「提示制御装置」に相当していた。しかし、自動運転ECU50b及びHCU100を含むシステムが、「自動運転制御装置」及び「提示制御装置」に相当する構成であってもよい。
【0208】
上記実施形態の変形例9において、自動運転ECU50bは、レベル4以上の自動運転を実施可能である。さらに、上記第四実施形態において、他のレベルの設定車間をレベル4自動運転の設定車間に反映させる処理、又はレベル4自動運転の設定車間を他のレベルの設定車間に反映させる処理が実施されてもよい。具体的には、レベル4自動運転における設定車間が他のレベルの設定車間よりも広い場合(
図20 S414:YES)、レベル4からレベル2又は3への制御移行後も、レベル4の設定車間が優先適用されてよい。さらに、他のレベルの設定車間がレベル4自動運転の設定車間よりも広い場合、レベル2又は3からレベル4への制御移行後も、移行前の設定車間が優先適用されてよい。
【0209】
また上記第四実施形態の変形例10では、渋滞中を走行する場合に限定して、車間距離VDの設定の共有が実施される。具体的に、変形例10では、渋滞時レベル2から渋滞時レベル3への移行時、又は渋滞時レベル3から渋滞時レベル2への移行時において、移行前の設定車間が移行後の設定車間よりも広い場合に、移行前の車間距離VDの設定が維持される。尚、レベル2の運転支援制御は、ハンズオンレベル2及びハンズオフレベル2のいずれであってもよい。
【0210】
また上記第四実施形態の変形例11では、自動運転レベルの維持される制御移行であっても、移行前の設定車間が移行後の設定車間よりも広い場合には、移行前の車間距離VDの設定が継続利用される。例えば、渋滞時レベル3及びエリアレベル3の一方から他方に移行する場合、又はハンズオンレベル2及びハンズオフレベル2の一方から他方に移行する場合でも、車間距離を狭めるような制御は実施されない。
【0211】
また上記第四実施形態の変形例12では、勾配情報に基づく車間距離VDの調整制御が、上記第四実施形態とは異なっている。この変形例12では、勾配が実質的にない水平な道路での設定車間が、上り勾配での設定車間よりも広くされている。走行設定制御部79は、下り勾配の設定車間を最も広く確保する一方で、上り勾配の設定車間を最も狭くする。以上の変形例12のように、勾配状況に応じた車間距離VDの調整内容は、適宜変更されてよい。
【0212】
上記実施形態にて、自動運転ECU及びHCUによって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
【0213】
上述の実施形態の各処理部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA等に実装された構成であってもよい。また、各種プログラム等を記憶する記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)の形態も、適宜変更されてよい。さらに、記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、自動運転ECU又はHCUの制御回路に電気的に接続される構成であってよい。また、記憶媒体は、動運転ECU又はHCUへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
【0214】
上記の自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。また、自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による自動運転制御及び情報提示は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
【0215】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
[技術的特徴15]
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替える制御切替部(78)と、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更する車間制御部(79)と、
前記運転支援制御から前記自律走行制御への前記走行制御状態の移行に伴い前記車間距離が変更される場合、前記車間距離が変わることを示す報知を実施させる報知制御部(73)と、
を備える自動運転制御装置。
[技術的特徴22]
ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自車両(Am)の走行制御状態を切り替え(S101~S107)、
前記運転支援制御から前記自律走行制御に前記走行制御状態が移行する場合、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を変更し(S114,S116,S319~S322,S416,S516)、
前記運転支援制御から前記自律走行制御への前記走行制御状態の移行に伴い、前記車間距離(VD)が変更される場合、前記車間距離が変わることを示す報知を実施させる、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
[技術的特徴23]
自動運転機能を搭載する自車両(Am)において用いられ、ドライバへ向けた情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちでの走行制御状態の切り替わりに関連する制御ステータス情報を取得する情報取得部(81)と、
前記制御ステータス情報に基づき、前記運転支援制御から前記自律走行制御への前記走行制御状態の移行により、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)が変更されることを把握した場合、前記車間距離が変わることを示す報知を実施する報知制御部(88)と、
を備える提示制御装置。
[技術的特徴24]
自動運転機能を搭載する自車両(Am)において用いられ、ドライバへ向けた情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、前記ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちでの走行制御状態の切り替わりに関連する制御ステータス情報を取得し(S11,S211)、
前記制御ステータス情報に基づき、前記運転支援制御から前記自律走行制御への前記走行制御状態の移行により、前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)が変更されることを把握した場合、前記車間距離が変わることを示す報知を実施する(S12,S213)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラム。
[技術的特徴36]
ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御装置であって、
自車両(Am)の周囲の走行環境を認識する環境認識部(62)と、
前記自律走行制御によって走行する場合の前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、前記環境認識部にて認識された前記走行環境に応じて変更する車間制御部(79)と、
を備える自動運転制御装置。
[技術的特徴37]
前記車間制御部は、前記自車両の進行方向に合流地点の存在が前記環境認識部によって把握された場合、前記車間距離が広くなる設定に変更する技術的特徴36に記載の自動運転制御装置。
[技術的特徴38]
前記車間制御部は、前記追従対象車両となる大型車両の存在が前記環境認識部によって把握された場合、前記車間距離が狭くなる設定に変更する技術的特徴36又は37に記載の自動運転制御装置。
[技術的特徴39]
ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御プログラムであって、
自車両の周囲の走行環境を認識し(S131)、
前記自律走行制御によって走行する場合の前記自車両から追従対象車両(At)までの車間距離(VD)の設定を、認識した前記走行環境に応じて変更する(S132~S137)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
[技術的特徴44]
ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御での走行中に自車両(Am)が追従する追従対象車両(At)を把握する他車両把握部(74)と、
前記自車両の周囲の渋滞により前記追従対象車両と共に前記自車両が停止した場合、前記追従対象車両の発進に基づき、前記ドライバへ向けた情報提示を行う情報提示装置(10)に、前記自車両の発進タイミングに関する報知を行わせる報知制御部(73)と、
を備える自動運転制御装置。
[技術的特徴45]
前記自車両から前記追従対象車両までの車間距離(VD)を設定する車間制御部(79)、をさらに備え、
前記車間制御部は、前記自車両の周囲が渋滞している場合の前記車間距離を、前記自車両の周囲が渋滞していない場合の前記車間距離よりも狭く設定する技術的特徴44に記載の自動運転制御装置。
[技術的特徴46]
ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御を実施可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御での走行中に自車両(Am)が追従する追従対象車両(At)を把握し(S151)、
前記自車両の周囲の渋滞により前記追従対象車両と共に前記自車両が停止した場合、前記追従対象車両の発進に基づき、前記ドライバへ向けた情報提示を行う情報提示装置(10)に、前記自車両の発進タイミングに関する報知を行わせる(S153,S154)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
[技術的特徴47]
自動運転機能を搭載する自車両(Am)において用いられ、ドライバへ向けた情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自車両を追従対象車両(At)に追従させる前記自動運転機能が渋滞中を走行する前記自車両を停止させた場合に、前記自車両の発進タイミングに関する発進制御情報を取得する情報取得部(81)と、
前記発進制御情報に基づき、前記追従対象車両の発進後に、前記発進タイミングに関する報知を行う報知制御部(88)と、
を備える提示制御装置。
[技術的特徴48]
自動運転機能を搭載する自車両(Am)において用いられ、ドライバへ向けた情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記自車両を追従対象車両(At)に追従させる前記自動運転機能が渋滞中を走行する前記自車両を停止させた場合に、前記自車両の発進タイミングに関する発進制御情報を取得し(S51)、
前記発進制御情報に基づき、前記追従対象車両の発進後に、前記発進タイミングに関する報知を行う(S52,S53)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラム。
【符号の説明】
【0216】
AL 並走車両(他車両)、Am 自車両、At 追従対象車両、SeA 許可エリア(特定エリア)、Lnp 追越レーン、Lna 隣接レーン、Lns 自車レーン、VD 車間距離、10 HMIシステム(情報提示装置)、11,51 処理部、30 周辺監視センサ(自律センサ)、31 カメラユニット(カメラ)、50b 自動運転ECU(自動運転制御装置)、62 環境認識部、73 報知要求部(報知制御部)、74 他車両把握部、75 道路情報把握部(レーン把握部,勾配把握部)、76 渋滞把握部、78 制御切替部、79 走行設定制御部(車間制御部)、81 情報取得部、88 提示制御部(報知制御部)、100 HCU(提示制御装置)