(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】A/D変換システム及びA/D変換方法
(51)【国際特許分類】
H03M 1/10 20060101AFI20241008BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20241008BHJP
G05F 3/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H03M1/10 A
H03M1/12 C
G05F3/08
(21)【出願番号】P 2021203208
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 孝宣
(72)【発明者】
【氏名】山内 勇造
(72)【発明者】
【氏名】西尾 聡志
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-208326(JP,A)
【文献】特開昭57-203134(JP,A)
【文献】特開平03-163913(JP,A)
【文献】特開2010-136426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00 - 1/88
G05F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる基準電圧を有する複数のA/Dコンバータを使用して複数のA/D変換を並行して行うシステムであって、
第1基準電源が有する基準電圧又は電流に従ってアナログ信号をデジタル信号に変換する第1A/Dコンバータと通信する第1変換装置と、
第2基準電源が有する基準電圧又は電流に従ってアナログ信号をデジタル信号に変換する第2A/Dコンバータと通信する第2変換装置と、
前記第1A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第1基準低電圧又は電流を、前記第2A/Dコンバータに入力する第1基準低電源と、
前記第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第2基準低電圧又は電流を、前記第1A/Dコンバータに入力する第2基準低電源と、
を備え、
前記第1変換装置は、前記第2基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正し、
前記第2変換装置は、前記第1基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正する
ことを特徴とするA/D変換システム。
【請求項2】
前記第1変換装置は、前記第2基準低電圧又は電流の変動量を打ち消すように前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正し、
前記第2変換装置は、前記第1基準低電圧又は電流の変動量を打ち消すように前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のA/D変換システム。
【請求項3】
前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号の補正が、前記第2基準低電圧又は電流の変動量に関連するパラメータを用いた四則演算に基づいて行われ、
前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号の補正が、前記第1基準低電圧又は電流の変動量に関連するパラメータを用いた四則演算に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項2に記載のA/D変換システム。
【請求項4】
前記第1基準低電源は、前記第1基準電源に接続された能動素子又は受動素子を用いて、前記第1基準電源が有する基準電圧又は電流を降下させて前記第1基準低電圧又は電流を生成し、
前記第2基準低電源は、前記第2基準電源に接続された能動素子又は受動素子を用いて、前記第2基準電源が有する基準電圧又は電流を降下させて前記第2基準低電圧又は電流を生成する
ことを特徴とする請求項1~3何れか1項に記載のA/D変換システム。
【請求項5】
前記第1基準電源が有する基準電圧又は電流が、前記第1基準低電源が有する基準電圧又は電流を、前記第1基準低電源に接続された能動素子を用いて増幅させることにより生成され、
前記第2基準電源が有する基準電圧又は電流が、前記第2基準低電源が有する基準電圧又は電流を、前記第2基準低電源に接続された能動素子を用いて増幅させることにより生成される
ことを特徴とする請求項1~3何れか1項に記載のA/D変換システム。
【請求項6】
互いに異なる基準電圧を有する複数のA/Dコンバータを使用して複数のA/D変換を並行して行う方法あって、
前記複数のA/Dコンバータは、アナログ信号をデジタル信号に変換する第1及び第2A/Dコンバータを含み、
前記第1A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第1基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正するステップと、
前記第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第2基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正するステップと、
を含むことを特徴とするA/D変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、A/D(Analog/Digital)変換を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-54433号公報は、複数のA/Dコンバータに接続された同一のセンサから出力された電圧を、これらのA/Dコンバータを用いてそれぞれA/D変換するシステムを開示する。この従来のシステムにおいて、複数のA/Dコンバータは、互いに異なる基準電圧を有している。また、センサは、自らが使用する基準電圧を切り替えるための回路を有している。
【0003】
従来のシステムでは、複数のA/Dコンバータが有する基準電圧の中から1つの基準電圧を選択がされ、切り替え制御指令がセンサに出力される。センサは、切り返し制御指令に基づいて、選択されたA/Dコンバータが使用する基準電圧と同じ基準電圧でセンサが動作するように、切り替え回路を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシステムには、切り替え回路の構成や、切り替え回路の制御が複雑化するという課題がある。また、選択されたA/Dコンバータが使用する基準電圧とセンサのそれが同一である間は、非選択のA/Dコンバータが使用する基準電圧とセンサのそれとが異なることを意味する。そのため、この非選択のA/DコンバータによるA/D変換を選択されたA/DコンバータによるA/D変換と並行して行った場合に、前者のA/D変換による変換後の値の信頼性を担保することが難しいという課題がある。
【0006】
従来のシステムは、また、構成上の課題を有している。例えば、複数のA/Dコンバータの基準電圧とセンサが配線により接続されている。そのため、この配線がアンテナとなってセンサの基準電圧にノイズが混入する虞れがある。そうすると、センサによる検出精度が低下して、選択されたA/DコンバータによるA/D変換後の値が真の値から乖離する原因となる。これに加え、従来のシステムでは、分圧回路がセンサに設けられている。そのため、分圧抵抗によってA/Dコンバータの入力インピーダンスが低く制限され、センサの出力インピーダンスが大きい場合に上述した乖離が発生する虞れがある。
【0007】
本開示の1つの目的は、互いに異なる基準電源を有する複数のA/Dコンバータを使用して複数のA/D変換を並行して行う場合において、これらのA/DコンバータによるA/D変換後の値の信頼性を担保することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の観点は、互いに異なる基準電圧を有する複数のA/Dコンバータを使用して複数のA/D変換を並行して行うシステムであり、次の特徴を有する。
前記システムは、第1及び第2変換装置と、第1及び第2基準低電源と、を備える。
前記第1変換装置は、第1基準電源が有する基準電圧又は電流に従ってアナログ信号をデジタル信号に変換する第1A/Dコンバータと通信する。
前記第2変換装置は、第2基準電源が有する基準電圧又は電流に従ってアナログ信号をデジタル信号に変換する第2A/Dコンバータと通信する。
前記第1基準低電源は、前記第1A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第1基準低電圧又は電流を、前記第2A/Dコンバータに入力する。
前記第2基準低電源は、前記第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第2基準低電圧又は電流を、前記第1A/Dコンバータに入力する。
前記第1変換装置は、前記第2基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正する。
前記第2変換装置は、前記第1基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正する。
【0009】
本開示の第2の観点は、第1の観点において更に次の特徴を有する。
前記第1変換装置は、前記第2基準低電圧又は電流の変動量を打ち消すように前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正する。
前記第2変換装置は、前記第1基準低電圧又は電流の変動量を打ち消すように前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正する。
【0010】
本開示の第3の観点は、第2の観点において更に次の特徴を有する。
前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号の補正が、前記第2基準低電圧又は電流の変動量に関連するパラメータを用いた四則演算に基づいて行われる。
前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号の補正が、前記第1基準低電圧又は電流の変動量に関連するパラメータを用いた四則演算に基づいて行われる。
【0011】
本開示の第4の観点は、第1~3の観点の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記第1基準低電源は、前記第1基準電源に接続された能動素子又は受動素子を用いて、前記第1基準電源が有する基準電圧又は電流を降下させて前記第1基準低電圧又は電流を生成する。
前記第2基準低電源は、前記第2基準電源に接続された能動素子又は受動素子を用いて、前記第2基準電源が有する基準電圧又は電流を降下させて前記第2基準低電圧又は電流を生成する。
【0012】
本開示の第5の観点は、第1~3の観点の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記第1基準電源が有する基準電圧又は電流が、前記第1基準低電源が有する基準電圧又は電流を、前記第1基準低電源に接続された能動素子を用いて増幅させることにより生成される。
前記第2基準電源が有する基準電圧又は電流が、前記第2基準低電源が有する基準電圧又は電流を、前記第2基準低電源に接続された能動素子を用いて増幅させることにより生成される。
【0013】
本開示の第6の観点は、互いに異なる基準電圧を有する複数のA/Dコンバータを使用して複数のA/D変換を並行して行う方法であり、次の特徴を有する。
前記複数のA/Dコンバータは、アナログ信号をデジタル信号に変換する第1及び第2A/Dコンバータを含む。
前記方法は、
前記第1A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第1基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正するステップと、
前記第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第2基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、前記第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号を補正するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0014】
第1又は6の観点によれば、第1A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第1基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号が補正される。また、第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流よりも低い第2基準低電圧又は電流の変動量に基づいて、第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号が補正される。そのため、例えば、第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流が変動した場合であっても、この変動の前後の第1及び第2A/Dコンバータの間におけるA/D変換後の値の相対的な誤差を一定に保つことが可能となる。従って、第1及び第2A/DコンバータによるA/D変換後の値の信頼性を担保することが可能となる。
【0015】
第2の観点によれば、第2基準低電圧又は電流の変動量を打ち消すように第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号が補正され、第1基準低電圧又は電流の変動量を打ち消すように第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号が補正される。従って、例えば、第2A/DコンバータによるA/D変換時に参照される基準電圧又は電流が変動した場合であっても、この変動量を打ち消すようなデジタル信号の補正が行われ、これにより、変動の前後の第1及び第2A/Dコンバータの間におけるA/D変換後の値の相対的な誤差を一定に保つことが可能となる。
【0016】
第3の観点によれば、第1A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号の補正を、第2基準低電圧又は電流の変動量に関連するパラメータを用いた四則演算によって行うことができる。また、第2A/DコンバータによってA/D変換されるデジタル信号の補正を、第1基準低電圧又は電流の変動量に関連するパラメータを用いた四則演算に基づいて行うことができる。
【0017】
第4の観点によれば、能動素子又は受動素子を用いた第1基準電源が有する基準電圧又は電流の降下によって、第1基準低電圧又は電流を生成することができる。また、能動素子又は受動素子を用いた第1基準電源が有する基準電圧又は電流の降下によって、第2基準低電圧又は電流を生成することができる。
【0018】
第5の観点によれば、能動素子を用いた第1基準低電源が有する基準電圧又は電流の増幅によって、第1基準電源が有する基準電圧又は電流を生成することができる。また、能動素子を用いた第2基準低電源が有する基準電圧又は電流の増幅によって、第2基準電源が有する基準電圧又は電流を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るA/D変換システムの構成例を示したブロック図である。
【
図2】センサSNSが検出した測定対象の物理量(センサ検出値)と、センサSNSから出力されるアナログ電圧信号(センサ出力電圧)との関係の一例を示した図である。
【
図3】降圧回路の第1の構成例を説明する図である。
【
図4】降圧回路の第2の構成例を説明する図である。
【
図5】降圧回路の第3の構成例を説明する図である。
【
図6】基準電圧の時系列変化の一例を説明する図である。
【
図7】実施形態に係るA/D変換システムの第2の構成例を示したブロック図である。
【
図8】実施形態に係るA/D変換システムの第3の構成例を示したブロック図である。
【
図9】実施形態に係るA/D変換システムの第4の構成例の一部を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るA/D変換システム(以下、単に「システム」とも称す。)について説明する。尚、実施形態に係るA/D変換方法は、実施形態に係るシステムにおいて行われるコンピュータ処理により実現される。また、各図において、同一又は相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化し又は省略する。
【0021】
1.システムの構成例
図1は、実施形態に係るA/D変換システムの構成例を示したブロック図である。
図1に示される例では、センサSNSからのアナログ出力OUTA及びOUTBが、電子制御ユニットECU(以下、単に「制御ユニットECU」とも称す。)に入力されてA/D変換される。アナログ出力OUTA及びOUTBは、例えば、センサSNSから出力されるアナログ電圧信号である。アナログ出力OUTA及びOUTBは、本開示における「アナログ信号」の一例である。
【0022】
センサSNSは、例えば、車両に搭載される各種センサであり、この各種センサとしては、アクセルペダルセンサ、温度センサなどが例示される。
図1に示される例では、センサSNSが単一のセンサから構成されている。但し、センサSNSは、同一の対象物の物理量を別々に測定する2つのセンサから構成されてもよい。この場合、アナログ出力OUTAは一方のセンサから制御ユニットECUに入力され、アナログ出力OUTBは他方のセンサから制御ユニットECUに入力される。
【0023】
制御ユニットECUは、アナログ出力OUTAのA/D変換を行うA/Dコンバータ1Aと、アナログ出力OUTBのA/D変換を行うA/Dコンバータ1Bと、を備えている。
図1に示される例では、A/Dコンバータ1Aはマイクロコンピュータ2Aに内蔵されており、A/Dコンバータ1Bはマイクロコンピュータ2Bに内蔵されている。マイクロコンピュータ2A及び2Bは、それぞれ集積回路から構成されている。これらのマイクロコンピュータは配線により接続されており、この配線を介して両者は通信を行う。
【0024】
A/Dコンバータ1Aは本開示における「第1A/Dコンバータ」の一例であり、A/Dコンバータ1Bは本開示における「第2A/Dコンバータ」の一例である。マイクロコンピュータ2Aは本開示における「第1変換装置」の一例であり、マイクロコンピュータ2Bは本開示における「第2変換装置」の一例である。以下、A/Dコンバータ1A及び1Bを特に区別しない場合は、これらを「A/Dコンバータ1」と総称し、マイクロコンピュータ2A及び2Bを特に区別しない場合は、これらを「マイクロコンピュータ2」と総称する。
【0025】
A/Dコンバータ1Aが行うA/D変換では、基準電圧源3Aが有する基準電圧に従って、アナログ出力OUTAがデジタル信号に変換される。A/Dコンバータ1Bが行うA/D変換では、基準電圧源3Bが有する基準電圧に従って、アナログ出力OUTBがデジタル信号に変換される。基準電圧源3A及び3Bは、例えば集積回路や二次電池等で構成された電源である。基準電圧源3Aは本開示における「第1基準電源」の一例であり、基準電圧源3Bは本開示における「第2基準電源」の一例である。以下、基準電圧源3A及び3Bを特に区別しない場合は、これらを「基準電圧源3」と総称する。
【0026】
ここで、基準電圧源3を本開示における「基準電源」の一例とした理由は、基準電圧源3の代わりに基準電流源が用いられてもよいことを意味している。例えば、アナログ出力OUTA及びOUTBがセンサSNSから出力されるアナログ電圧信号の場合、基準電流源が有する基準電流に従って、これらのアナログ電圧信号をデジタル信号に変換することができる。別の例では、アナログ出力OUTA及びOUTBがセンサSNSから出力されるアナログ電流信号の場合、基準電流源が有する基準電流に従って、これらのアナログ電流信号をデジタル信号に変換することができる。このように、基準電源とアナログ入力信号の組み合わせは、電圧又は電流のどちらかに揃える必要はない。基準電圧源3及び基準電流源を、基準レベル発生源と総称してもよい。
【0027】
基準電圧源3Aが有する基準電圧と、基準電圧源3Bが有する基準電圧とは同一の値でもよいし、異なる値でもよい。また、A/Dコンバータ1で検出するセンサSNSの出力は、同一の出力値となるように設計されていてもよいし、互いに異なる出力値となるように設計されていてもよい。
図2は、互いに異なる値を出力するように設計されたセンサSNSが検出した測定対象の物理量(センサ検出値)と、センサSNSから出力されるアナログ電圧信号(センサ出力電圧)との関係の一例を示した図である。
図2に示される例では、センサ検出値に比例して出力電圧が増加している。この例では、アナログ出力OUTA及びOUTBが互いに異なるように設計されているので、これらの出力電圧の間に電位差が生じている。
【0028】
図1に示される例では、更に、基準電圧源3Aとマイクロコンピュータ2Bの間に降圧回路4Aが設けられ、基準電圧源3Bとマイクロコンピュータ2Aの間に降圧回路4Bが設けられている。降圧回路4Aは、基準電圧源3Aが有する基準電圧から、これよりも低い基準電圧(以下、「基準低電圧」とも称す。)を生成する。降圧回路4Bは、基準電圧源3Bが有する基準電圧から基準低電圧を生成する。降圧回路4Aは本開示における「第1基準低電源」の一例であり、降圧回路4Bは本開示における「第2基準低電源」の一例である。以下、降圧回路4A及び4Bを特に区別しない場合は、これらを「降圧回路4」と総称する。
【0029】
以下、説明の便宜上、基準電圧源3Aが有する基準電圧を「基準電圧VrefA_Hi」と称し、基準電圧源3Bが有する基準電圧を「基準電圧VrefB_Hi」と称す。また、降圧回路4Aにおいて基準電圧VrefA_Hiから生成された基準低電圧を「基準低電圧VrefA_Lo」と称し、降圧回路4Bにおいて基準電圧VrefB_Hiから生成された基準低電圧を「基準低電圧VrefB_Lo」と称す。また、基準電圧VrefA_Hi及びVrefB_Hiを特に区別しない場合はこれらを「基準電圧Vref_Hi」と総称し、基準低電圧VrefA_Lo及びVrefB_Loを特に区別しない場合はこれらを「基準低電圧Vref_Lo」と総称する。
【0030】
降圧回路4は、例えば、能動素子又は受動素子を含んで構成される。
図3は、降圧回路4の第1の構成例を説明する図である。
図3に示される例では、降圧回路4が受動素子である抵抗R1及びR2を含んでいる。バッファBUFは、降圧回路4の構成に応じて任意に追加される。
【0031】
この例では、基準電圧源3が有する基準電圧Vref_Hiが、抵抗R1及びR2の大きさに比例して分圧される。降圧回路4により生成される基準低電圧Vref_Loは、基準電圧Vref_Hi、抵抗R1及びR2を用いた下記式(1)により算出される。
【0032】
図4は、降圧回路4の第2の構成例を説明する図である。
図4に示される例では、降圧回路4が能動素子であるダイオードD1及びD2を含んでいる。例えば、ダイオードD1及びD2による電圧降下の特性を事前に把握しておき、この特性に応じた係数を設定する。これにより、基準電圧源3が有する基準電圧Vref_Hiから基準低電圧Vref_Loを生成することができる。
【0033】
図5は、降圧回路4の第3の構成例を説明する図である。
図5に示される例では、降圧回路4が受動素子である抵抗R3と、定電流回路とを含んでいる。定電流回路には、例えば、定電流ダイオードやジャンクションFETが使用される。バッファBUFは、降圧回路4の構成に応じて任意に追加される。
【0034】
2.実施形態の特徴
2-1.基準電圧源を複数設けた場合の問題
図1に示した構成例では、2系統のアナログ出力OUTA及びOUTBが制御ユニットECUに入力され、2つのA/Dコンバータ1でそれぞれA/D変換される。このような二重化によれば、センサSNS及これらのA/Dコンバータ1の健全性を担保することができる。しかしながら、2つのA/Dコンバータ1がこれらに共通の1つの基準電圧源を参照する場合と異なり、これらのA/Dコンバータ1が2つの基準電圧源を個別に参照する場合は、基準電圧源間のばらつきがA/D変換後の値に相対的な誤差を生じさせる。
【0035】
ここでいう「相対的な誤差」とは、一方のA/Dコンバータ1(例えば、A/Dコンバータ1A)によるA/D変換後の値が正しいと仮定したときの、他方のA/Dコンバータ1(例えば、A/Dコンバータ1B)によるそれとの差を意味する。2つのA/Dコンバータが使用する基準電圧が一致する場合は、一方のA/Dコンバータ1によるA/D変換後の値から、他方のA/Dコンバータ1によるそれを差し引くことで、相対的な誤差が計算される。2つのA/Dコンバータ1が使用する基準電圧が一致していない場合は、これらの基準電圧の比を用いてA/D変換後の値の一方を補正して、A/D変換後の他方から差し引くことで相対的な誤差が計算される。
【0036】
ここで、基準電圧源3が有する基準電圧Vref_Hi(又は基準電流源が有する基準電流)は、これが搭載された装置の自己発熱、周囲要素との間の熱の授受によりドリフトが生じる。
図6は、基準電圧の時系列変化の一例を説明する図である。
図6に示される例では、基準電圧A(例えば、基準電圧VrefA_Hi)が時間の経過に伴い上昇し、基準電圧B(例えば、基準電圧VrefB_Hi)が時間の経過に伴い下降している。このような基準電圧Vref_Hiのドリフトが起きると、基準電圧間の電位差が経時的に変化する。そうすると、2つの基準電圧源を使用したA/D変換による相対的な誤差も経時的に変化する。
【0037】
このような理由から、実施形態に係るシステムは、一方の基準電圧源が有する基準電圧Vref_Hiから生成した基準低電圧Vref_Loを、他方の基準電圧源が有する基準電圧Vref_Hiを参照してA/D変換を行うA/Dコンバータ1(マイクロコンピュータ2)に入力する構成(
図1参照)を採用している。実施形態に係るシステムは、また、基準低電圧Vref_Loが入力されたマイクロコンピュータ2において、この基準低電圧Vref_Loの変動量に関連するパラメータ(変動パラメータ)を計算する。そして、この変動パラメータを用いて、A/Dコンバータ1によってA/D変換されるデジタル信号を補正する。
【0038】
2-2.デジタル信号の補正例
以下、具体的な数値を用いてデジタル信号の補正例を説明する。尚、以下に示す数値は一例であって、本開示はこの数値により限定されるものではない。
【0039】
この補正例では、量子化ビット数が10bitであり、基準電圧源3の基準電圧Vref_Hiが各5.0Vであり、降圧回路4による降圧比が0.8(つまり、基準低電圧VrefA_Loが各4.0V)であるとする。この補正例では、また、アナログ出力OUTAが約4.0Vであり、アナログ出力OUTBが約3.0Vであるとする(つまり、センサ出力電圧間の電位差が約1.0V)。
【0040】
基準電圧VrefA_Hiを用いたA/Dコンバータ1AによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1は下記式(2)により表され、基準低電圧VrefB_Loを用いたこのA/Dコンバータ1AによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH2は下記式(3)により表される。
【0041】
基準電圧VrefB_Hiを用いたA/Dコンバータ1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1は下記式(4)により表され、基準低電圧VrefA_Loを用いたこのA/Dコンバータ1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH2は下記式(5)により表される。
【0042】
A/Dコンバータ1Aによって符号化されたA/D変換結果を、A/Dコンバータ1Aの計算基準電圧を5[V]としてアナログ値に換算すると、下記式(6)及び(7)に示す値(アナログ換算値)CH1及びCH2が得られる。
【0043】
A/Dコンバータ1Bによって符号化されたA/D変換結果を、A/Dコンバータ1Bの計算基準電圧を5[V]としてアナログ値に換算すると、下記式(8)及び(9)に示す値(アナログ換算値)CH1及びCH2が得られる。
【0044】
ここで、基準電圧VrefB_Hiがドリフトによって5.0Vから4.5Vに変動したと仮定して、A/D変換値CH1及びCH2を再度計算する。上記式(2)及び(3)に対応するA/D変換値CH1及びCH2は、下記式(10)及び(11)により表される。
【0045】
一方、上記式(4)及び(5)に対応するA/D変換値CH1及びCH2は、下記式(12)及び(13)により表される。
【0046】
A/Dコンバータ1Aによって符号化されたA/D変換結果を、A/Dコンバータ1Aの計算基準電圧を5[V]としてアナログ値に換算すると、下記式(14)及び(15)に示す値(アナログ換算値)CH1及びCH2が得られる。
【0047】
A/Dコンバータ1Bによって符号化されたA/D変換結果を、A/Dコンバータ1Bの計算基準電圧を5[V]としてアナログ値に換算すると、下記式(16)及び(17)に示す値(アナログ換算値)CH1及びCH2が得られる。
【0048】
式(6)及び(8)に示したアナログ換算値CH1を比較すると、基準電圧VrefB_Hiの変動発生前におけるA/Dコンバータ1AとA/Dコンバータ1Bの間におけるアナログ換算値CH1の差(つまり、センサ出力電圧間の電位差のA/D変換値)が約1.0V(=4.00V-3.00V)であったことが分かる。これは、A/D変換前のアナログ出力OUTAとアナログ出力OUTBの差(つまり、センサ出力電圧間の電位差)と一致する。ところが、式(14)及び(16)に示したアナログ換算値CH1を比較すると、基準電圧VrefB_Hiの変動発生後におけるアナログ換算値CH1の差が約0.67V(=4.00V-3.34V)に変わっていることが分かる。
【0049】
このように、基準電圧VrefB_Hiが変動した場合は、2つのA/Dコンバータ1の間におけるアナログ換算値CH1の差が変化する。このアナログ換算値CH1の差の変化は、ドリフト以外の要因でも発生し得るものであり、基準電圧VrefA_Hiが変動した場合でも発生し得る。故に、実施形態では、基準低電圧Vref_Loを参照してA/D変換したA/D変換値に基づいて計算したアナログ換算値CH2に着目し、あるタイミングにおけるアナログ換算値CH2と、これよりも前のタイミングにおけるアナログ換算値CH2との比を「変動パラメータVP」として計算する。
【0050】
変動パラメータVPの計算は、マイクロコンピュータ2A又は2Bにおいて行われる。以下、マイクロコンピュータ2Aが計算する変動パラメータVPを「変動パラメータVP1」と称す。変動パラメータVP1は、式(7)及び(15)に示したアナログ換算値CH2を用いた下記式(18)により計算される。
【0051】
つまり、基準電圧VrefB_Hiの変動の発生後におけるアナログ換算値CH2は、この変動の発生前のそれから10%下降している。変動パラメータVP1が計算された場合、マイクロコンピュータ2Aは、基準電圧源3Bが参照する基準電圧VrefB_Hiが10%下がったものとして、A/Dコンバータ1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1を下記式(19)により計算する。
【0052】
式(19)に示したA/D変換値CH1は、マイクロコンピュータ2Bにおいて計算することもできる。この場合は、マイクロコンピュータ2Aにおいて行われた変動パラメータVP1の計算と同様の手法が適用される。以下、マイクロコンピュータ2Bが計算する変動パラメータVPを「変動パラメータVP2」と称す。変動パラメータVP2は、式(9)及び(17)に示したアナログ換算値CH2を用いた下記式(20)により計算される。
【0053】
つまり、基準電圧VrefB_Hiの変動の発生後におけるアナログ換算値CH2は、この変動の発生前から11.125%上昇している。変動パラメータVP2が計算された場合、マイクロコンピュータ2Bは、基準電圧源3Bが参照する基準電圧VrefB_Hiが11.125%上がったものとして、A/Dコンバータ1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1を下記式(21)により計算する。
【0054】
式(19)に示したA/D変換値は式(2)に示したそれと一致し、式(21)に示したA/D変換値は式(4)に示したそれと一致する。このことから、変動パラメータVPを計算してA/D変換値に適用することで、基準電圧VrefB_Hiの変動(5.0Vから4.5Vへの変動)が打ち消されることが分かる。尚、式(19)及び(21)では、変動パラメータVP1を基準電圧VrefB_Hiに乗算することで、A/Dコンバータ1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1を計算している。但し、乗算以外の四則演算、即ち、加算、減算及び除算を利用してA/Dコンバータ1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1を計算してもよい。
【0055】
上記においては、基準電圧VrefB_Hiが変動した場合のデジタル信号の補正例を説明したが、基準電圧VrefA_Hiが変動した場合においてもこれと同様の手法により、A/Dコンバータ1AによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1を補正することができる。基準電圧VrefA_Hi及びVrefB_Hiが変動した場合場合においてもこれと同様の手法により、A/Dコンバータ1A及び1BによるA/D変換後の値(A/D変換値)CH1を補正することができる。
【0056】
変動パラメータVPに基づいたA/D変換値CH1の補正を行うタイミングとしては、電源投入時が挙げられる。但し、この補正を行うタイミングはこれに限定されない。即ち、電源投入後、一定時間が経過するたびに補正が繰り返し行われてもよいし、制御ユニットECUが搭載された車両が一定距離を走行するたびに補正が繰り返し行われてもよい。基準電圧源3が搭載された装置の温度が閾値を上回るタイミングで補正が行われてもよいし、変動パラメータVPが閾値を上回るタイミングで補正が行われてもよい。センサ出力電圧間の電位差などの特定の変換結果が閾値を上回るタイミング、又は、この変換結果が閾値を下回るタイミングで補正が行われてもよい。
【0057】
3.実施形態による効果
以上説明した実施形態によれば、2つのA/Dコンバータ1のうちの一方のA/Dコンバータ1が使用する基準電圧Vref_Hiから生成した基準低電圧Vref_Loが他方のA/Dコンバータ1に入力されて、変動パラメータVPが計算される。そして、この変動パラメータVPに基づいて、2つのA/Dコンバータ1の少なくとも1つによるA/D変換後の値(A/D変換値)が補正される。従って、基準電圧Vref_Hiが変動した場合であっても、この変動の前後の2つのA/Dコンバータ1の間におけるA/D変換値の相対的な誤差を一定に保つことが可能となる。従って、2つのA/Dコンバータ1によるA/D変換値の信頼性を担保することが可能となる。
【0058】
高精度の基準電圧源を構成するための部品は高価である。この点、例えば、基準電圧源3Aを高精度の基準電圧源とし、基準電圧源3Bを安価な部品を使用した中精度の基準電圧源とし、基準電圧源3Aの基準電圧が正しいと仮定する。そうすれば、基準電圧源3Bの基準電圧Vref_Hiの変動を打ち消すことが可能となる。このように、実施形態によれば、システムの構成に要するコストを下げつつ、中精度のA/Dコンバータ1BによるA/D変換値の信頼性を担保することも可能となる。
【0059】
また、実施形態によれば、従来技術(特開2019-54433号公報)では必要であったセンサが有する基準電圧の切り替えが必要ないという利点がある。また、外部からのA/Dコンバータの入力インピーダンスが制限されることもないという利点がある。
【0060】
4.変形例
以上説明した実施形態に係るシステムは、例えば次のように変形することができる。
【0061】
4-1.A/D変換システムの第2の構成例
図7は、実施形態に係るA/D変換システムの第2の構成例を示したブロック図である。
図7に示される例では、A/Dコンバータ1Aとマイクロコンピュータ2Aの間、及び、A/Dコンバータ1Bとマイクロコンピュータ2Bの間に配線が設けられている。
図7に示される例では、また、マルチプレクサ5A及び5Bが設けられている。
【0062】
マルチプレクサ5Aには、アナログ出力OUTAと、基準低電圧VrefB_Loとが入力される。マルチプレクサ5Aは、マイクロコンピュータ2AからのCH選択指令に従い、アナログ出力OUTA及び基準低電圧VrefB_Loを、A/Dコンバータ1Aに入力する。マルチプレクサ5Bには、アナログ出力OUTBと、基準低電圧VrefA_Loとが入力される。マルチプレクサ5Bは、マイクロコンピュータ2BからのCH選択指令に従い、アナログ出力OUTB及び基準低電圧VrefA_Loを、A/Dコンバータ1Aに入力する。
【0063】
4-2.A/D変換システムの第3の構成例
図8は、実施形態に係るA/D変換システムの第3の構成例を示したブロック図である。
図8に示される例では、合計4つのA/Dコンバータ1C~1Fが設けられている。
図8に示される例では、また、A/Dコンバータ1Cとマイクロコンピュータ2Aの間、A/Dコンバータ1Dとマイクロコンピュータ2Aの間、A/Dコンバータ1Eとマイクロコンピュータ2Bの間、及び、A/Dコンバータ1Fとマイクロコンピュータ2Bの間に配線が設けられている。
【0064】
A/Dコンバータ1Cには、アナログ出力OUTAと、基準電圧VrefA_Hiとが入力される。A/Dコンバータ1Cは、基準電圧VrefA_Hiを参照してアナログ出力OUTAのA/D変換を行う。A/Dコンバータ1Dには、アナログ出力OUTAと、基準低電圧VrefB_Loとが入力される。A/Dコンバータ1Dは、基準低電圧VrefB_Loを参照してアナログ出力OUTAのA/D変換を行う。
【0065】
A/Dコンバータ1Eには、アナログ出力OUTBと、基準電圧VrefB_Hiとが入力される。A/Dコンバータ1Eは、基準電圧VrefB_Hiを参照してアナログ出力OUTBのA/D変換を行う。A/Dコンバータ1Fには、アナログ出力OUTBと、基準低電圧VrefA_Loとが入力される。A/Dコンバータ1Fは、基準低電圧VrefA_Loを参照してアナログ出力OUTBのA/D変換を行う。
【0066】
4-3.A/D変換システムの第4の構成例
図9は、実施形態に係るA/D変換システムの第4の構成例の一部を説明するブロック図である。
図1に示した構成例では、基準電圧源3と降圧回路4の組み合わせによって、基準電圧源3が有する基準電圧Vref_Hiから基準低電圧Vref_Loが生成された。これに対し、第4の構成例では、基準低電圧源6と昇圧回路7の組み合わせによって、第1~3の構成例で説明した2種類の基準電圧が生成される。
【0067】
基準低電圧源6は、例えば集積回路や二次電池等で構成された電源である。基準低電圧源6は、例えば、
図1に示した2つのA/Dコンバータ1に対応して2つ設けられる。昇圧回路7は、例えば、能動素子であるOPアンプを含んでいる。基準低電圧源6同様、昇圧回路7も
図1に示した2つのA/Dコンバータ1に対応して2つ設けられる。昇圧回路7は、基準低電圧源6が有する基準電圧から、これよりも高い基準電圧を生成する。つまり、基準低電圧源6と昇圧回路7の組み合わせによれば、基準低電圧Vref_Loに相当する基準電圧から、基準電圧Vref_Hiに相当する基準電圧が生成される。
【0068】
第4の構成例では、2つの基準低電圧源6が、本開示における「第1及び第2基準低電源」に対応している。2つの昇圧回路7が、本開示における「第1及び第2基準電源」に対応している。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B,1C,1D,1E,1F A/Dコンバータ
2A,2B マイクロコンピュータ
3A,3B 基準電圧源
4A,4B 降圧回路
5A,5B マルチプレクサ
6 基準低電圧源
7 昇圧回路
ECU 電子制御ユニット
OUTA,OUTB アナログ出力
SNS センサ
Vref_Hi 基準電圧
Vref_Lo 基準低電圧