(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20241008BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20241008BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241008BHJP
B60W 10/184 20120101ALI20241008BHJP
B60W 10/04 20060101ALI20241008BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20241008BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20241008BHJP
B60L 15/20 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W40/04
B60W60/00
B60W10/184
B60W10/04
B60T7/12 F
F02D29/02 301D
B60L15/20 J
(21)【出願番号】P 2021212029
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綾部 篤志
(72)【発明者】
【氏名】北尾 明大
(72)【発明者】
【氏名】安田 武司
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-254641(JP,A)
【文献】特開2004-217175(JP,A)
【文献】特開昭61-077534(JP,A)
【文献】特開2000-219113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0004267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
B60W 10/00 ~ 10/30
B60T 7/12
F02D 29/00 ~ 29/02
B60L 15/20 ~ 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力を出力する動力装置と、ブレーキ装置と、先行車両との車間距離、または、設定車速と実際の車速の差に応じて走行するよう前記動力装置と前記ブレーキ装置とを制御する所定走行制御を実行する制御装置と、を備える自動車であって、
前記制御装置は、前記所定走行制御を実行している最中に計算した制御制動力の絶対値が前記所定走行制御を実行していないときにアクセルオフしたときのアクセルオフ制動力の絶対値より大きいときには、所定条件の成立を条件として、前記アクセルオフ制動力を目標制動力として前記ブレーキ装置とを制御する、
ことを特徴とする自動車。
【請求項2】
請求項1記載の自動車であって、
前記所定条件は、先行車両との車間距離が所定距離以上
である条件と、前記制御制動力と前記アクセルオフ制動力との差分の絶対値が所定値未満である条件と、のうち少なくとも一方の条件である、
自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動車であって、
前記アクセルオフ制動力は、車速に基づく制動力である、
自動車。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
前記制御装置は、前記アクセルオフ制動力を前記目標制動力として前記動力装置と前記ブレーキ装置とを制御しているときにはブレーキランプの点灯についてはオフとする、
自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関し、詳しくは、先行車両との車間距離や設定車速に応じて走行するよう動力装置とブレーキ装置とを制御する所定走行制御を実行する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、先行車両との車間距離を検出、又は、設定車速と実際の車速の差を検出し、制駆動操作の操作量に応じて発生される制動力を、先行車両との車間距離が小さくなるほど、また、設定車速と実際の車速の差が小さくなるほど、その値が大きくなるように調整するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、上記制御により、車両の状況に応じてより効果的な制動力を得ることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の自動車では、制動力を、先行車両との車間距離が小さくなるほど、また、設定車速と実際の車速の差が小さくなるほど、大きくなるように調整するから、通常走行時のアクセルオフ時の制動力に比して大きな制動力が作用する場合が生じる。この場合、運転者は、必要以上の制動力に対して違和感を覚える。
【0005】
本発明の自動車は、先行車両との車間距離、または、設定車速と実際の車速の差に応じて走行する制御を実行しているときに制動力に対して運転者が違和感を覚えるのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動車は、
走行用の動力を出力する動力装置と、ブレーキ装置と、先行車両との車間距離、または、設定車速と実際の車速の差に応じて走行するよう前記動力装置と前記ブレーキ装置とを制御する所定走行制御を実行する制御装置と、を備える自動車であって、
前記制御装置は、前記所定走行制御を実行している最中に計算した制御制動力の絶対値が前記所定走行制御を実行していないときにアクセルオフしたときのアクセルオフ制動力の絶対値より大きいときには、所定条件の成立を条件として、前記アクセルオフ制動力を目標制動力として前記動力装置と前記ブレーキ装置とを制御する、
ことを特徴とする。
【0008】
この本発明の自動車では、、先行車両との車間距離、または、設定車速と実際の車速の差に応じて走行するよう動力装置とブレーキ装置とを制御する所定走行制御を実行している最中に計算した制御制動力の絶対値がが所定走行制御を実行していないときにアクセルオフしたときのアクセルオフ制動力の絶対値より大きいときには、所定条件の成立を条件として、アクセルオフ制動力を目標制動力として動力装置とブレーキ装置とを制御する。これにより、所定条件が成立しているときには、アクセルオフ制動力を目標制動力として動力装置とブレーキ装置とが制御されるから、必要以上の制動力が作用することによって運転者に違和感を生じさせるのを抑制することができる。
【0009】
ここで、所定条件としては、先行車両との車間距離が所定距離以上、または、設定車速と実際の車速の差が所定車速以上である条件や、制御制動力とアクセルオフ制動力との差分の絶対値が所定値未満である条件などを挙げることができ、これらのうちのうち少なくとも一方の条件とするものとしてもよい。これは、先行車両との車間距離が十分な場合や制御制動力とアクセルオフ制動力との差分が小さいときには、アクセルオフ制動力を目標制動力として動力装置とブレーキ装置とを制御しても何ら問題はないことから、運転者に違和感を生じさせないことに基づいている。アクセルオフ制動力については、車速に基づく制動力、車速が大きいほど大きくなる傾向の制動力としてもよい。
【0010】
本発明の自動車において、前記制御装置は、前記アクセルオフ制動力を前記目標制動力として前記動力装置と前記ブレーキ装置とを制御しているときにはブレーキランプの点灯についてはオフとするものとしてもよい。こすうれば、後続車両にブレーキ操作を行なっていないことを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例としての自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】実施例の自動車20の構成の一例を電子制御ユニット50を中心にブロックとして示すブロック図である。
【
図3】電子制御ユニット50により実行される制動力調整処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】アクセルオフ制動力設定用マップの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての自動車20の構成の概略を示す構成図であり、
図2は、実施例の自動車20の構成の一例を電子制御ユニット50を中心にブロックとして示すブロック図である。図示するように、実施例の自動車20は、動力源としてエンジン55と、エンジン55からの動力を変速して出力する自動変速装置56と、エンジン55や自動変速機56を駆動するための駆動アクチュエータ54と、を備える。
【0013】
エンジン55は、例えばガソリンなどの炭化水素系の燃料により駆動する複数気筒(例えば4気筒や6気筒)の内燃機関を用いることができる。
【0014】
自動変速装置56は、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータと自動変速機とにより構成されている。自動変速機は、油圧駆動により前進側に4段や5段、6段などの多段変速を可能とし、後進側に1段の変速を可能としている。自動変速装置56のの出力軸は、デファレンシャルギヤ57を介して駆動輪58a,58bに接続されている。
【0015】
駆動アクチュエータ54は、電子制御ユニット50により設定された目標変速段M*により自動変速装置56の変速段Mを変更し、目標運転ポイントによりエンジン55が運転されるように吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御、吸気バルブ開閉タイミング制御などを行なう。
【0016】
実施例の自動車20は、エンジン55や自動変速装置56、駆動アクチュエータ54の他に、イグニッションスイッチ21、GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)22、車載カメラ24、ミリ波レーダー26、加速度センサ28、車速センサ30、アクセルセンサ32、ブレーキセンサ34、ACCスイッチ36、エアコン用電子制御ユニット(以下、エアコンECUという。)42、エアコン用コンプレッサ44、電子制御ユニット50、ブレーキアクチュエータ62、ブレーキ装置64、表示装置66、ブレーキランプ68、DCM(Data Communication Module)70、ナビゲーションシステム80などを備える。
【0017】
GPS22は、複数のGPS衛星から送信される信号に基づいて車両の位置を検出する装置である。車載カメラ24は、車両の周囲を撮像するカメラであり、例えば、車両前方を撮像する前方用カメラや車両後方を撮像する後方用カメラなどが該当する。ミリ波レーダー26は、自車両と前方の車両との車間距離や相対速度を検知したり、自車両と後方の車両との車間距離や相対速度を検知する。
【0018】
加速度センサ28は、例えば、車両の前後方向の加速度を検出したり、車両の左右方向(横方向)の加速度を検出するセンサである。車速センサ30は、車輪速などに基づいて車両の車速Vを検出する。アクセルセンサ32は、運転者のアクセルペダルの踏み込み量に応じたアクセル開度などを検出する。ブレーキセンサ34は、運転者のブレーキペダルの踏み込み量としてのブレーキポジションなどを検出する。
【0019】
ACCスイッチ36は、所定距離内に先行車両が存在しないときには設定した車速(設定車速)V*で走行するようにエンジン55やブレーキ装置64を制御し、所定距離内に先行車両が存在するときには設定した車間距離L*をもって先行車両に追従走行するようにエンジン55やブレーキ装置64を制御するアダクティブ・クルーズ・コントロール(Adaptive Cruise Control:以下、「ACC」という。)の実行のオンオフや、設定車速V*の設定、車間距離L*の設定などを行なう。
【0020】
エアコンECU42は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。エアコンECU42は、乗員室を空気調和する空調装置に組み込まれており、乗員室の温度が設定された温度となるように空調装置におけるエアコン用コンプレッサ44を駆動制御する。
【0021】
電子制御ユニット50は、図示しないがCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM、フラッシュメモリ、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。電子制御ユニット50は、アクセルセンサ32からのアクセル開度、ブレーキセンサ34からのブレーキポジションなどに基づいてエンジン55の目標運転ポイント(目標回転数や目標トルク)や自動変速装置56の目標変速段M*を設定する。
【0022】
電子制御ユニット50は、アクセルセンサ32からのアクセル開度や車速センサ30からの車速Vに基づいて要求駆動力や要求パワーを設定し、車速Vと要求駆動力とに基づいて自動変速装置56の目標変速段M*や、車両に要求駆動力や要求パワーを出力するようにエンジン55の目標運転ポイントを設定し、目標変速段M*と目標運転ポイントとを駆動アクチュエータ54に送信する。また、電子制御ユニット50は、ブレーキペダルが踏み込まれたときには、ブレーキセンサ34からのブレーキポジションや車速センサ30からの車速Vに基づいて制御制動力Pdを設定し、基本的には制御制動力Pdを目標制動力としてブレーキアクチュエータ62に送信する。
【0023】
電子制御ユニット50は、ACCスイッチ36がオンとされることによりACCを実行する。ACCでは、所定距離内に先行車両が存在しないときには、ACCスイッチ36により設定された設定車速V*で走行するようにエンジン55やブレーキ装置64を制御するよう目標変速段M*と目標運転ポイントとを駆動アクチュエータ54に送信すると共に目標制動力としてブレーキアクチュエータ62に送信する。所定距離内に先行車両が存在するときには、ACCスイッチ36により設定された設定車速V*の範囲内でACCスイッチ36により設定した車間距離または設定車速と実際の車速の差に応じて先行車両に追従走行するようにエンジン55やブレーキ装置64を制御するよう目標変速段M*と目標運転ポイントとを駆動アクチュエータ54に送信すると共に目標制動力としてブレーキアクチュエータ62に送信する。
【0024】
ブレーキアクチュエータ62は、電子制御ユニット50により設定された目標制動力がブレーキ装置64により車両に作用するようにブレーキ装置64を制御する。ブレーキ制御装置64は、例えば油圧駆動の摩擦ブレーキとして構成されている。
【0025】
表示装置66は、例えば運転席前方のインストールパネルに組み込まれており、各種情報を表示する。ブレーキランプ68は、ブレーキセンサ34によりブレーキペダルが踏み込まれたときや、目標制動力が所定値以上のときに点灯する。
【0026】
DCM(Data Communication Module)70は、自車両の情報を交通情報管理センター100に送信したり、交通情報管理センター100からの道路交通情報を受信したりする。自車両の情報としては、例えば、自車両の位置や、車速V、燃費、走行パワー、走行モードなどを挙げることができる。道路交通情報としては、例えば、現在や将来の渋滞に関する情報や、走行経路上の区間における現在の平均車速や将来の平均車速の予測値に関する情報、交通規制に関する情報、天候に関する情報、路面状態に関する情報、地図に関する情報などを挙げることができる。DCM70は、交通情報管理センター100と所定間隔毎(例えば、30秒毎や1分毎、2分毎など)に通信している。
【0027】
ナビゲーションシステム80は、自車両を設定した目的地に誘導するシステムであり、表示部82と地図情報データベース84とを備える。ナビゲーションシステム80は、交通情報管理センター100とDCM(Data Communication Module)70を介して通信し ている。ナビゲーションシステム80は、目的地が設定されると、目的地の情報とGPS22により取得した現在地(現在の自車両の位置)の情報と地図情報データベース84に記憶されている情報とに基づいて経路を設定する。そして、ナビゲーションシステム80は、所定時間毎(例えば、3分毎や5分毎など)に交通情報管理センター100と通信して道路交通情報を取得し、道路交通情報に基づいて経路案内を行なう。
【0028】
こうして構成された自動車20の動作、特にACCスイッチ36をオンとしてACC制御を実行しているときに減速する際の動作について説明する。
図3は、電子制御ユニット50により実行される制動力調整処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、所定期間ごとに繰り返し実行される。
【0029】
制動力調整処理が実行されると、電子制御ユニット50は、まず、ACCを実行中であるか否かを判定する(ステップS100)。ACCを実行中ではないときには、制動力の調整は不要と判断し、本処理を終了する。
【0030】
ステップS100でACCの実行中であると判定したときには、制御制動力Pdを入力すると共に(ステップS110)、ACCを実行していないときにアクセルオフした際の制動力(アクセルオフ制動力)Poffを設定する(ステップS120)。制御制動力Pdは、電子制御ユニット50により、ブレーキペダルが踏み込まれたときにはブレーキセンサ34からのブレーキポジションや車速センサ30からの車速Vに基づいて設定され、ACCの実行中ではミリ波レーダー26からの信号により得られる先行車両との車間距離LやACCスイッチ36により設定した設定車速V*、車速センサ30からの車速Vなどに基づいて設定される。実施例では、ACCを実行している最中であるから、先行車両との車間距離Lや設定車速V*、車速Vなどに基づいて設定されたものを入力するものとした。アクセルオフ制動力Poffは、実施例では、車速Vとアクセルオフ制動力Poffとの関係を実験などにより予め定めてアクセルオフ制動力設定用マップとして記憶しておき、車速Vが与えられるとマップから対応するアクセルオフ制動力Poffを導出することにより設定するものとした。アクセルオフ制動力設定用マップの一例を
図4に示す。
【0031】
続いて、制御制動力Pdの絶対値がアクセルオフ制動力Poffの絶対値より大きいか否かを判定する(ステップS130)。制御制動力Pdの絶対値がアクセルオフ制動力Poffの絶対値以下のときには、制動力の調整を行なう必要がないと判断し、、制御制動力Pdを目標制動力P*としてブレーキアクチュエータ62に送信してブレーキ装置64を制御し(ステップS170)、本処理を終了する。
【0032】
ステップS130で制御制動力Pdの絶対値がアクセルオフ制動力Poffの絶対値より大きいと判定したときには、先行車両との車間距離Lを入力し(ステップS140)、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上であるか否かを判定すると共に(ステップS150)、制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref未満であるか否かを判定する(ステップS160)。所定距離Lは、通常の走行時にアクセルオフして若干の減速をした後にゆっくりとブレーキを操作する程度の距離を用いることができ、車速Vが大きいほど長くなるように設定される。実施例では、車速Vと所定距離Lとの関係を予め定めて所定距離設定用マップとして記憶しておき、車速Vに応じた所定距離Lを導出して用いるものとした。閾値Prefは、制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分が大きくならないようにするために用いられるものであり、軽くブレーキペダルを踏み込んだときの制動力を用いることができる。なお、ステップS150において、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上であるか否かの判定に加えて設定車速と実際の車速Vとの差が所定車速以上であるか否かの判定を行なうものとしてもよい。この場合、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上であると判定したとき、または、設定車速と実際の車速Vとの差が所定車速以上であると判定したときに、肯定的判定を行なうものとすればよい。
【0033】
ステップS150で先行車両との車間距離Lが所定距離Lref未満であると判定したときや、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上であってもステップS160で制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref以上であると判定したときには、制御制動力Pdを目標制動力P*としてブレーキアクチュエータ62に送信してブレーキ装置64を制御し(ステップS170)、本処理を終了する。これにより、ACCをより適正に実行することができる。
【0034】
ステップS150で先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上であると判定し、且つ、ステップS160で制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref未満であると判定したときには、大きな制動力は不要と判断し、アクセルオフ制動力Poffを目標制動力P*としてブレーキアクチュエータ62に送信してブレーキ装置64を制御(ステップS180)、ブレーキランプ68の点灯をオフ(消灯)して(ステップS190)、本処理を終了する。これにより、車両にはアクセルオフ制動力Poffが作用するから、制動力が過大となることに起因して運転者に違和感を生じさせるのを抑制することができる。また、ブレーキランプ68を消灯した状態とするから、後続車両にブレーキ操作を行なっていないことを知らせることができる。
【0035】
以上説明した実施例の自動車20では、ACCを実行している最中にACCにより設定された制御制動力Pdの絶対値がアクセルオフ制動力Poffの絶対値より大きいときには、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上である条件と制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref未満である条件とが成立しているときに、アクセルオフ制動力Poffを目標制動力P*としてブレーキ装置を制御する。これにより、制動力が過大となることに起因して運転者に違和感を生じさせるのを抑制することができる。また、アクセルオフ制動力Poffを目標制動力P*としてブレーキ装置を制御するときには、ブレーキランプ68を消灯した状態とする。これにより、後続車両にブレーキ操作を行なっていないことを知らせることができる。
【0036】
実施例の自動車20では、ACCを実行している最中にACCにより設定された制御制動力Pdの絶対値がアクセルオフ制動力Poffの絶対値より大きいときには、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上である条件と制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref未満である条件とが成立しているときに、アクセルオフ制動力Poffを目標制動力P*としてブレーキ装置を制御するものとした。しかし、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上である条件と制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref未満である条件の一方のみが成立しているときでもアクセルオフ制動力Poffを目標制動力P*としてブレーキ装置を制御するものとしてもよい。また、先行車両との車間距離Lが所定距離Lref以上である条件と制御制動力Pdとアクセルオフ制動力Poffとの差分の絶対値が閾値Pref未満である条件に加えて他の条件が成立しているときにアクセルオフ制動力Poffを目標制動力P*としてブレーキ装置を制御するものとしてもよい。
【0037】
実施例の自動車20では、ACCを実行している最中の制動力の調整を行なうものとしたが、ACCの実行に代えて自動運転を実行している最中の制動力の調整を行なうものとしてもよい。
【0038】
実施例では、エンジン55を備える自動車20に本発明を適用するものとしたが、エンジンの他に走行用の動力を出力可能なモータを備えるハイブリッド自動車に本発明を適用するものとしてもよいし、電気自動車に本発明を適用するものとしてもよい。
【0039】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン55が「動力装置」に相当し、ブレーキ装置64が「ブレーキ装置」に相当し、電子英魚油ニット50が「制御装置」に相当する。
【0040】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
20 自動車、21 イグニッションスイッチ、22 GPS、24 車載カメラ、26 ミリ波レーダー、28 加速度センサ、30 車速センサ、32 アクセルセンサ、34 ブレーキセンサ、36 ACCスイッチ、42 エアコン用電子制御ユニット(エアコンECU)、44 エアコン用コンプレッサ、50 電子制御ユニット、54 駆動アクチュエータ、55 エンジン、56 自動変速装置、62 ブレーキアクチュエータ、64 ブレーキ装置、66 表示装置、68 ブレーキランプ、70 DCM、80 ナビゲーションシステム、82 表示部、84 地図情報データベース、100 交通情報管理センター。